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  4. ロックマンゼロコレクション
≫ロックマンゼロコレクション
■発売元 カプコン
■開発元 インティ・クリエイツ
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4800円(税別)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 1つ(イージーシナリオモード)、3つ(ロックマンゼロ)、6つ(ロックマンゼロ2)、5つ(ロックマンゼロ3、ロックマンゼロ4)(※全てフラッシュメモリバックアップ)
■総説明書ページ数 45ページ
■推定クリア時間 4〜6時間(エンディング目的:イージーシナリオモード)、2〜5時間(エンディング目的:全作共通)、50〜70時間(完全攻略目的:全作合計)
イレギュラー戦争終結から百年あまり。
人間は新たに建設された都市「ネオ・アルカディア」を拠点として、荒廃した世界の復興に取り組んでいた。
一方、レプリロイド達はイレギュラー化を恐れる政府によって不当な理由で捕獲、処分されていた。
罪の無いレプリロイド達を率い、ネオ・アルカディアを脱出した科学者シエル。
彼女は遠い昔に封印された伝説の英雄に最後の望みを託す。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ロックマンシリーズのセオリーから外れた意外なゲーム展開が魅力の『ロックマンゼロ1』
◆演出面の大幅な強化とロックマンシリーズらしいゲームデザインで魅せる『ロックマンゼロ2』
◆シリーズ最高傑作とも言える完成度の高さが異彩を放つ『ロックマンゼロ3』
◆野心的な新要素の多さ、原点回帰を果たした本編構成で楽しませてくれる『ロックマンゼロ4』
◆連作構成のロックマンゼロシリーズのストーリーを低難易度でまとめてプレイできる上、アクションゲームとして集中的に楽しむ遊び方にも対応した「イージーシナリオモード」
◆一本にまとまった事で、より気軽に主人公ゼロの軌跡を追っていけるようになったストーリー
◆DSのボタン配置に合わせた『ロックマンX』タイプも用意されて、更に洗練された操作性
◆シリーズ四作をまとめて収録したなりの圧倒的な総計ボリューム
◆基本的に原作そのままだが、ハード移行による液晶の変化でより鮮明になったグラフィック
◆僅かながら音質面の調整が施され、パワーアップを遂げた音響面(特にボイスが顕著)
◆周辺機器『カードeリーダー+』要らずの仕様に改められ、原作以上に気軽に楽しめるようになった、『ロックマンゼロ3』専用の「かいぞうカード」による模様替え機能
◆イージーシナリオモード限定として、新規に導入された『ロックマンゼロ2』のアルティメットモード(オリジナル版とは異なり、本気モードのボスと気軽に戦える設計になっている)
◆本作専用のオープニングデモを収録するなど、原作経験者にも驚きを感じられるサービス精神が炸裂した演出周り
◆抜群のコストパフォーマンス(原作のGBA版を一本一本買うよりもお得!)

--- Bad Point ---
◆ゲームセレクトメニューに戻る際にタッチ操作を強要されるなど、やや洗練されてないインターフェース周り(ただ、常時戻れる設計になっているだけでも良心的ではある)
◆セーブファイルを1つしか作れないのが惜しい「イージーシナリオモード」
◆同様に各シリーズのここぞという場面を自由に楽しめるチャプター機能が実装されてないのも惜しい「イージーシナリオモード」(ややワガママな難点だが)
◆序盤が高難易度という歪みが生じているイージーシナリオモードにおける『ロックマンゼロ4』(同作のみ、他の三作とアルティメットモードの仕様が異なる事による弊害)
◆折角の新規要素なのに、原作(セレクトモード)には未実装の『ロックマンゼロ2』のアルティメットモード
▼Review ≪Last Update : 8/20/2017≫
ゼロの死闘がここに集約される。

手軽にその軌跡を追うこともできます。


2002年に『ロックマンX』の世界観を継承した新作として発売され、ファンのみならず、アクションゲーム好きからも高く評価された『ロックマンゼロ』の一作目から四作目までを一つのパッケージに収めたコレクションタイトル。開発はオリジナルのゲームボーイアドバンス版同様にインティ・クリエイツが担当。

経験者から未経験者まで楽しめるロックマンゼロシリーズ一括体験セットにして、コストパフォーマンス抜群の傑作だ。

内容は横スクロールのミッションクリア型アクションゲーム。主人公のゼロを操作して様々なミッションに挑み、イレギュラーと断定されたレプリロイド達を狩るネオ・アルカディアに抵抗していくというものだ。
システム周り及び、本編の流れに関しては収録された四作ごとに異なる為、以下、作品ごとに紹介する。

■ロックマンゼロ≫オリジナル版レビュー
シリーズ第一作。全四種類の武器の内、二つを装備して状況に応じて使いこなすウェポンシステム、武器を使い込む度にアクションパターンが増えていくスキルアップシステム、ステータス強化や攻略サポートなどを行うサイバーエルフシステム、攻撃技に属性を付加できるエレメントチップ、ミッション攻略時に設定された評価(ランク)によって変化するボスの攻撃パターンなど、後のシリーズの基礎となるシステムはこの時点で実装されている。独自の要素としては、ミッションクリア方式の色を強く出したレベルデザインとその成否に問わずゲームが進行していく本編の構成、レジスタンスベースを基点に構成された探索要素の強いマップ、ミッションの進行に応じての地形変化などがある。携帯機向けに作られたアクションゲームとしての配慮か、ミッション一つ一つのボリュームがコンパクトに収まっているのも特色の一つで、粗削りながらも新シリーズの始まりを予感させる作品に完成されている。

■ロックマンゼロ2≫オリジナル版レビュー
シリーズ第二作。前作のシステムをベースにしつつ、本編構成及びレベルデザインがロックマンシリーズ伝統のステージクリア方式を髣髴とさせるものに刷新された。その為、人質救助に拠点に攻めてくる巨大メカニロイドの撃破など、変則的なイベントの多かった前作に比べ、今回はミッション終盤に待ち受けるボスの撃破を目標に展開していくなど、非常にロックマンらしいものになっている。また、この構成に改められたのに併せ、ミッション選択画面もロックマンシリーズ伝統のステージセレクト画面そのまんまなものになっている。
新要素としては特定のオブジェクトを引っ張ったり、ワイヤーアクションを可能にする「チェーンロッド」なる新たな武器、A以上のランクでボスを撃破した時にだけ取得できる「EXスキル」、ゼロ自身に一定の能力を付加する「フォームチェンジ」など。一方で本編構成の刷新に併せ、探索要素の強いマップ構成は廃止された。地味ながら、ミッションごとのボリュームも大きめになるなど、続編ならではの進化と昔ながらのロックマンらしさを実感させられる続編になっている。

■ロックマンゼロ3≫オリジナル版レビュー
シリーズ第三作。前作『ロックマンゼロ2』を踏襲し、作業色の強かったスキルアップシステムの廃止、サイバーエルフにサポートタイプの「サテライト」の追加、ヘッド・ボディ・フットのチップを組み替えてゼロの能力を自由に設定できるチップカスタムシステムの実装、所持しているサイバーエルフの能力が解放される『サイバー空間』なるエリアの登場と言った変更を施し、よりテンポ良く、よりロックマンらしさを感じられる作りに改められた。難易度も基本高めながらも、前二作ほど尖ったものではなくなり、シリーズ随一のバランスと遊びやすさを強みとする作品に完成されている。
また、ゲームの攻略には直接関係しないが、別売の『カードeリーダー+』、『ロックマンエグゼ4』とその周辺機器『バトルチップゲート』との連動・通信機能が実装されている。本作ではこれらの要素の内、エグゼ関連のものは未実装。『カードeリーダー+』に関してはクリア後特典の「改造カード」という内部要素として収録されている。

■ロックマンゼロ4≫オリジナル版レビュー
シリーズ第四作にして最終作。ロックマンゼロ2〜4のゲームシステムを土台に、初代を髣髴とさせる新要素を多く盛り込んだ作品。新要素として天候を切り替えてステージの難易度を改める「ウェザーチェンジ」、敵のパーツからチップを作り出す「アイテムレシピ」を追加。また、サイバーエルフが一種類のエルフに様々な能力をコピーして使用するというこれまでとは大きく異なる方式に改められた。更にEXスキルもランクではなく、天候に関連して習得できる方式に改められた。他にミッションセレクトで最初から8体ボス全てのステージが選べるようになったほか、初心者用の難易度「イージーモード」を搭載。また、シリーズ三作目まで継承されてきたエレメントチップが廃止。EXスキルに属性が付くようになり、ますますロックマンらしい作りになった。ゲーム以外に関連しない所で演出面も強化。フルボイスで語られるデモシーンなど、後期のロックマンXシリーズを髣髴とさせる手法も取り入れられている。

以上、簡単ではあるが、本作に収録された四作の概略である。詳細なレビューに関しては、作品ごとに当サイト内に記載しているので、リンク先より参照頂きたい。
本作、コレクションにおける独自要素としては、「イージーシナリオモード」、そして先に紹介した『ロックマンゼロ3』の『カードeリーダー』にちなんだ要素の内部搭載と言ったものがある。象徴的なものとしては例によって「イージーシナリオモード」。2以外に隠し要素として用意された「アルティメットモード」でシリーズ四作の通しプレイを行うという、その名の通りにストーリーだけを楽しみたいプレイヤーに向けた内容になっている。更にアルティメットモードなので、「サイバーエルフ」の育成、「EXスキル」の回収と言った要素に手を回す必要もなく、純粋にミッション攻略だけに集中可能。その為、ストーリーだけでなく、純粋にロックマンゼロシリーズのアクション部分だけを楽しみたいプレイヤーの欲求にも応えた作りになっている。勿論、四作全て通しでプレイするのではなく、個別でプレイする選択肢も「セレクトモード」という形で用意されている。ただ、基本的には原作に当たるゲームボーイアドバンス版のベタ移植。唯一、『ロックマンゼロ3』だけは周辺機器に関連した要素のアレンジが実施されているが、それ以外の作品に関しては新ステージの追加、シナリオの変更などのアレンジは何一つないので過度な期待は禁物だ。その他、細かい所では操作系も原作準拠のキーアサインのほか、ニンテンドーDSのボタン配置に合わせたスーパーファミコンスタイルの操作(Bボタンでジャンプ、Yボタンで攻撃)も用意。『ロックマンX』シリーズに近い感覚で楽しめるようにもなっている。画面解像度も基本的に原作準拠だが、DSの液晶に合わせてグラフィックが鮮明に表示されるようになるなど、細かい変化も生じている。
それでも基本はベタ移植と、新鮮味は薄い。しかしながら、元々ストーリー的に連作構成だったシリーズ四作が全て遊べてしまうという点で、非常に魅力的且つ、シリーズ集大成を騙るに相応しいコレクションタイトルになっている。まさにコレクションと言う名のゼロの軌跡。シリーズファンのみならず、未経験者も楽しめる最高の詰め合わせだ。

そんな本作の魅力は、原作のゲームボーイアドバンスの時点で主にアクションゲーム好きより高い評価を得たロックマンゼロシリーズをこれ一本で遊べてしまうこと。それに尽きる。各作品に関しては、先の通りに当サイトでは原作のゲームボーイアドバンス版の四作全てのレビューを掲載しているが、改めてその魅力を作品ごとに以下に紹介しよう。

≪ロックマンゼロ≫
最大の魅力は先の読めない本編の構成。従来のロックマンシリーズと異なり、ミッションごとにどんなボスが待ち構えているかがミッションセレクトの段階で確認できず、ボスを倒したとしてもクリアとならないタイプのミッションもあったりと、いい意味でこれまでのシリーズとは毛色の異なる意外性の強いゲーム展開が楽しめる。また、ミッションのボリュームを控え目にするなど、携帯機のアクションゲームである事を意識した配慮もあってテンポ良くゲームが進む。従来のロックマンシリーズには無い革新的且つ、挑戦的なシステムを豊富に盛り込んだ作りも最大の強み。
しかし、サイバーエルフの育成絡みのシステムは調整がイマイチで、個々の能力を発揮するに当たって「Eクリスタル」を特定のマップで回収し続けるという長時間に渡る作業プレイを強いられる事になるのが難点。サイバーエルフを使わずともクリア可能なゲームバランスにはなっているのだが、ゼロのステータスを最大まで強化させるという堅実なクリアを目指すとなると、その辺の水増し要素が際立ってしまう。また、使う事でミッションクリア時の成績(リザルト)が下がってしまうのも気に障るところではある。拠点を軸に広がったマップも、とあるミッションをクリアするることによって二度と訪れる事ができなくなってしまう場所があったりなど、不便に感じる所も多い。初期の作品であること、これまでのロックマン、ロックマンXとの差別化を意識した事が裏目に出過ぎているのが玉に瑕だが、アクションゲームとしてのツボはしっかりと抑えた出来。携帯機という枠組みに捉われ過ぎない作り込みが光る力作になっている。

≪ロックマンゼロ2≫
ロックマンシリーズらしくなったゲームデザインが魅力。ミッションクリア方式だが、選択画面が従来のステージセレクト画面に近いデザインに改められたほか、ミッションのクリア条件がボスを倒す事に一極化したので、いつものロックマンの感覚で遊べるようになった。これにより、前作の意外性のあるゲーム展開は影を潜めてしまったが、要人の防衛、前代未聞の仕掛けが凝らされたボスラッシュなど、過去のロックマンを踏襲し過ぎない事を意識した工夫はバッチリ。ステージ上のギミックもバラエティに富んでいるほか、ボリュームも前作以上に増え、やり応えのある作りになっている。
演出面も大幅に強化。特にオープニングステージから、拠点に当たる新しい「レジスタンスベース」に至るまでのストーリー展開は、前作経験者ならグッとくるものになっている。一枚絵を使ったデモシーンも豊富で、ストーリーの要所要所でゲームを盛り上げてくれる。デモシーンがやや長めでスキップできない、新システム「フォームチェンジ」はほぼ空気、サイバーエルフも育成に必要な資源(Eクリスタル)の量が減って改良されたが、前作同様に使用するとミッションクリア時の成績は下がってしまうなど、至らない難点も幾つかある。しかし、ゲームとしては着実に進化。独自性こそ薄れたが、ロックマンシリーズらしい手応えと新しさを感じ取れる良作に仕上げられている。

≪ロックマンゼロ3≫
シリーズ最高傑作。前作の難点が概ね解消されたほか、作業プレイを強いるスキルアップの廃止で、よりロックマンシリーズらしいスピード感溢れるアクションが楽しめるようになった。サイバーエルフもリザルトに影響されない新タイプ「サテライト」が追加された事で、使い勝手が劇的に向上。本編全体の難易度も緩和され、サイバーエルフの恩恵無しでも最後までやり通せる調整にまとまっている。新武器「リコイルロッド」、「チップシステム」、「サイバー空間」と言った新要素もちゃんと練り込まれていて、作中に自然に馴染んで新たな魅力を醸し出しているのも大きな見所だ。
ただ、『カードeリーダー+』と『バトルチップゲート』との連動機能に関しては蛇足。当時、ロックマンエグゼシリーズが人気だったので、その恩恵を得る目的で導入したのが丸わかりなのが痛い。ただ、それらが無いと完全攻略ができない訳ではないのが救い。『バトルチップゲート』を使う事で解禁される隠し要素も、別の手段が用意すると言った良心的な配慮が成されている。その他、ステージ構成も前作の初見殺しな所が緩和、グラフィックや音楽も大幅にパワーアップ。演出周りもボイスが強化されるなど、GBAの限界を突き詰めた作り込みが炸裂している。シリーズ過去最高のゲームバランスも相まって、シリーズの基本形が完成されたと言っても過言では無い出来。ロックマンXシリーズに比較的近い手触りを持っている為、同作にハマったプレイヤーも満足できる仕上がりになっている。全四作の中では特にお薦めの一本。

≪ロックマンゼロ4≫
豊富な新要素とゲームボーイアドバンスの限界に挑戦した演出が魅力。ベースは前作ゼロ3ながら、天候を変化させる「ウェザーチェンジ」、強化チップを作成する「アイテムレシピ」と言った豊富な新要素もあって、一作目を髣髴とさせる挑戦的な試みが成された仕上がりになっている。ステージ構成とストーリーにも一作目を髣髴とさせる意外性のある展開が復活し、原点回帰を実感させられる内容になっているのも面白い。
ただ、システムの作り込みは総じて甘く、中でも「アイテムレシピ」は作成表(レシピ)で作り出すものより、適当な組み合わせで作るノーヒントのものの方が多く、そちらに性能の優れたものが集中しているという本末転倒なものになってしまっている。「ウェザーチェンジ」もそのステージの難易度を上昇させる相性が悪い天気を選ばなければ、ボスから「EXスキル」を手に入れられないなど、ほぼ嫌がらせ。前作までシリーズの代名詞的なシステムでもあった『エレメントチップ』が廃止され、ボスへの弱点攻撃が容易にできなくなって難易度も嫌な感じに上昇。代わりにEXスキルに属性が付いたが、チップ+チャージショットほどの大ダメージを与えられない上、コマンド技で繰り出す仕様というのもあって非常に煩わしい。ロックマンシリーズの御約束に則ったシステムだが、結果的に前作までの優れたゲームバランスを硬派寄りに傾けてしまっている。他にステージもギミックが陰湿な上、ボスの強さも統率が取れていないなど詰めの甘い部分が目立つ。初心者向けの「イージーモード」にしても、このモードだとラスボス(最終形態)が倒し難くなるという矛盾した難点まである始末だ。大幅に進化したグラフィックと音楽、ボイス、そしてシリーズ完結編というに相応しいストーリーと言った見所もあるが、完成度は前作に劣る。それでもアクションゲームとしての出来は十分に良作レベルだが、お薦めできるほどではない。ある意味、シリーズ一作目の粗削りな所と前作の完成されたシステムが悪い意味で融合してしまった作品である。

全四作の中で特にお薦めなのは三作目のロックマンゼロ3。シリーズで最もゲームバランスが良く、アクションゲームとしてもロックマンXシリーズの正統進化系(特にロックマンX4以降のゼロ編の完成形)になっている。何度も周回プレイしたくなるリプレイ性にも秀でているので、シリーズ経験者ならばこれぞロックマンという手応えを実感できるだろう。惜しむべきはストーリーが前作の続きモノな為、2のプレイが前提であること。その為、いきなり本作からプレイするのは推奨しない。それに1作目、2作目と連続してプレイして本作に辿り着く事で、ゲームシステムとバランスの進化をより堪能できる魅力もある。そのような事情もあってハードルが高いが、ロックマンゼロシリーズに触れるのならばこの作品は何が何でも遊んでみて頂きたいところだ。初めてプレイする際は「イージーシナリオモード」で行くのがいいだろう。他の一作目と二作目も悪い出来では無い。四作目はあまりにも粗削りで野心的過ぎる故、お薦めするのは難しい。難易度も初心者向けのイージーモードを用意しながら、先の通りに矛盾した罠が存在するほどで、前作の三作目で完成形に達したゲームバランスが荒々しいものに様変わりしてしまっている。ストーリー的にも前三作のプレイ前提なので、いきなりここからプレイするのはお薦めできない。このシリーズが如何なる形で締め括るのか、気になるのならどうぞ…と言った感じだ。良くも悪くも、制作スタッフの暴走が顕著に出た作品なので、挑む時はそれなりの覚悟をして頂きたい。
そんな具合に一作だけ、きつい作りのも存在するが、アクションゲームとしての基本的な出来は全作良好。加えて連作のストーリーを低難易度で楽しめるなど、オリジナル版当時に遊べなかったプレイヤーのみならず、難易度の高さに心が折れたプレイヤーに対する救済措置も導入されているので、その鬱憤を晴らす事もできる。シリーズファンのみならず、未経験者も楽しめる内容という表現に嘘偽りはなし。おまけに今作の方が安上がりなので、コストパフォーマンスも抜群だ。その点でも、大変にお買い得。これからロックマンゼロを始めるなら、これをやっておけと言わんばかりの一本なのである。

操作も先の通り、ロックマンXシリーズ同様のボタン配置で遊べるようになったのは地味に嬉しいアレンジ。よりロックマンXシリーズの関連作品(事実上の続編)としての手応えが堪能できるようになったと言っても過言ではないだろう。
グラフィックの事に関しても同様、先述通りにハード移行に伴ってキャラクターから背景のドット絵が鮮明に表示されるようになり、見栄えが良くなっている。そして、これはここで新たに触れる事柄だが、音響面もニンテンドーDSへの移植に合わせて若干の調整が行われ、ややこもり気味だったボイスが鮮明に聴こえるようになっているほか、音楽も若干ながら、オリジナル版よりも音質が向上している。さすがに開発元のインティクリエイツが販売したサウンドトラックのようなリマスターアレンジは無いが、原作の時点でその出来は折り紙付き。特に『ロックマンゼロ2』、『ロックマンゼロ3』の二作は印象的な楽曲が充実しているので要チェックだ。ゲームボーイアドバンスのスピーカーの限界に挑戦したとも言える、『ロックマンゼロ4』も侮り難し。特にボイス絡みは今回の調整によって大きくパワーアップしているので、これまた要チェックである。
そう言った具合にハードの移行に伴う進化を遂げた箇所がある一方、今作独自の新たな難点も幾つか。特にインターフェースは現在プレイしているシリーズ作を終えて別のシリーズに切り替える際、タッチ操作以外を受け付けない仕様になっているのが厄介。ボタン操作に対応していないのである。ある意味、唐突な切り替えを防ぐ意図とボタン数の足りなさからこのようなインターフェースにしたのだろうが、ちょっと無理矢理感が否めず。何度か使えばそれほど騒ぐほどのものではないと感じるようにはなるが、できればボタン操作も効くような作りにして欲しかったところだ。

イージーシナリオモードもセーブファイルを一つしか作成する事ができないのに加え、クリアしたシリーズ作品に戻って再プレイするチャプター機能が無いのも残念。後者に関しては単独収録した作品の意義が無くなるので、機能を実装しなかったのが分かるが、あればモードとしての魅力が深まっただけにちょっと惜しい。特にアルティメットモードで遊べるロックマンゼロ2は本当に稀少なだけに、できれば用意して欲しかったものだ。欲を言うならば、単独収録したロックマンゼロ2に今作新規でアルティメットモードを入れて欲しかったが、それは贅沢な望みという事で。他にロックマンゼロ1には下の足場が見えなくなると言った難点が存在するので、解像度を上げて対処して欲しかったとか、ロックマンゼロ4のイージーシナリオモードにおけるアルティメットモードは作品独自のものでは無く、オープニングステージの時点で既にゼロが強い仕様のものにしてくれればと言った「ここさえ良ければ…」と感じる難点は幾つかある。
ただ、ゲーム内容のお得さと質の高さは本物。ゲームボーイアドバンス時代にロックマンエグゼと並んで、シリーズファンに愛され、一つのアクションゲームとしても高評価を得た作品が一本のDSソフトとして遊べる。おまけに低難易度で四作のストーリーを連続して体験できるモードまで収録されているほか、オリジナル版では周辺機器が無いと遊べなかった特典を収録し、DSのボタン配置に合わせたロックマンXシリーズスタイルの操作でプレイ可能と、今からロックマンゼロを遊ぶのならばこれを選べと言い切れるぐらいの魅力がたっぷり詰まっている。シリーズファンは言うまでもなく、オリジナル版当時に遊んだ事の無かったプレイヤー、難し過ぎて挫折したプレイヤー双方に自信を持ってお薦めできる今作。まさにコストパフォーマンス抜群のコレクションタイトルにして傑作だ。これからロックマンゼロの世界に入っていきたいのなら、迷わずこちらを選ぼう。また、DSを持っているアクションゲーム好きも是非、機会があったら遊んでみて頂きたい。根強いファンに愛されたアクションゲームの底力を堪能するべし。お薦めの一本だ。
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