≫ロックマンゼロ
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■発売元 |
カプコン |
■開発元 |
インティ・クリエイツ |
■ジャンル |
アクション |
■CERO(推定) |
A(全年齢対象) |
■定価 |
5040円(税込) |
■公式サイト |
≫こちら |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1人 |
■セーブデータ数 |
3つ(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式) |
■総説明書ページ数 |
12ページ |
■推定クリア時間 |
42分〜5時間(エンディング目的)、10〜15時間(完全攻略目的) |
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レプリロイドを凶暴化させるシグマウィルスが発端となり、長きに渡って繰り広げられた『イレギュラー戦争』は、一人の英雄『ロックマンX』の活躍によって終わりを告げた。
そして再生の拠点として理想郷『ネオ・アルカディア』が築き上げられ、人々にはようやく笑顔が戻りつつあった。
だが、その理想郷はレプリロイドにとっては地獄そのものだった。レプリロイドのイレギュラー化を恐れた政府は、不当な理由でレプリロイド達を逮捕し、処分して行ったのだ。
元科学者の少女シエルはそんなイレギュラーの汚名を着せられたレプリロイド達と半壊した旧都市に隠れ、静かに暮らしていたが、遂に彼女達にも政府の魔の手が迫る。
次々と政府軍によって倒されていく仲間のレプリロイド達。
追い詰められたシエルは、ある場所に眠っているという伝説のレプリロイド『ゼロ』の名を思い出す。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆人質救出から爆弾の回収など、ロックマンシリーズとしては珍しいミッションクリア方式を採用したゲームシステム
◆ミッションクリアタイプならではの意外性満点の予測不能なゲーム展開
◆意外な展開に更なる旨みを加えている、テキスト表示方式のミッションセレクト
◆携帯ゲーム機のハード特性を考慮した、お手軽なステージ構成(満足度も高め)
◆妖精に水晶を与えて育て上げた後、その能力を使ってゼロのステータスを強化する、RPGチックな面白さが満ち溢れた『サイバーエルフ』によるパワーアップシステム
◆状況に応じて使い分ける戦略性を打ち出している、特徴ある4種類の武器
◆特殊武器システムを更に分かり易く、直感的なものへと改めた『エレメントチップ』
◆腕に合わせてボスの強さが変化する、『プレイヤーレベル』による難易度変化システム
◆エルフコンプリートからリザルト等、豊富なやり込み要素の数々(隠し要素も満載)
◆戦いの面白さを最大限に引き出している、臨場感満点・手応え満点のボス戦
◆心地良い達成感と確かな手応えを演出している、シリーズ譲りの絶妙のゲームバランス
◆GBAのハード特徴を捉えた抜群の操作性(特にLボタンダッシュは快適)
◆ドット絵の芸術とも言わんばかりに丁寧に描き込まれているグラフィック
◆予測不能なゲーム展開に上手くマッチした、インタラクティブな音楽
◆セイバーで敵を斬ると真っ二つに切れるなど、細かな所までこだわってる演出(鬼武者に負けず劣らずのバッサリ感)
◆予測不能なゲーム展開と肩を並べるほど激情的な展開が満載のダークなストーリー
--- Bad Point ---
◆理不尽なリトライシステム(ゲームオーバーになったり、途中離脱するとそのミッションが二度と遊べなくなってしまうなど、失敗した際のデメリットがあまりにも大きい)
◆面倒なサイバーエルフの育成(一体のエルフにかかる水晶の量が多過ぎる)
◆同じく、サイバーエルフにした意義が不明なサブタンク
◆工場ステージ中盤における欠陥(リフトの上からその上の足場へ行き、そこから下のリフトに戻ろうとするとリフトが見えない。この所為で常にギリギリの操作を要求される)
◆結局、ゼットセイバー以外は使用機会に恵まれない4つの武器
◆遊び幅を狭める結果になってしまってるクリア後のリザルトでの評価システム
◆やや消化不良なエンディング(ちゃんと終わりはするのだが)
◆貧弱な説明書(簡潔過ぎる上に、肝心な事が書かれてない)
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▼Review ≪Last Update : 10/13/2007≫
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その者は伝説の英雄か、それとも血に飢えた破壊神か。
赤きロックマンによる新章、ここに始まる。
カプコンの人気アクションゲーム『ロックマン』の新シリーズにして、『ロックマンX』シリーズの後継作。開発は元カプコンのスタッフが集うソフトハウス、インティ・クリエイツが担当。
新シリーズの幕開けに相応しい、革新的なシステムと意外性満点のゲーム展開。
荒削りながらも、新しいアクションの面白さがギッシリ詰まった意欲作だ。
ゲーム内容はロックマンXシリーズの流れを汲む横スクロールのアクションゲーム。プレイヤーはXシリーズもう一人の主人公で赤いレプリロイド『ゼロ』を操り、科学者の少女シエルから課せられる多種多様なミッションを攻略していく。
基本的なシステム周り、並びに操作系統は先程も述べた通りに、ロックマンXシリーズと同様のものを継承。肝心のアクション部分についても、ダッシュに壁蹴り、そしてゼットセイバーによる攻撃アクションなどXシリーズと同様のものを採用している。しかし、あくまでも継承しているのは基本的な部分だけであり、実際の本編についてはそれまでのXシリーズ、ロックマンシリーズとは劇的に異なったものに仕上げられている。
まず本作、ステージクリア型のアクションゲームではない。冒頭で述べたが、科学者の少女『シエル』から課せられるミッションを攻略していく、ミッションクリア型のアクションゲームとなっている。更にシリーズの伝統であるステージセレクトシステムも無く、本作では拠点となる『レジスタンスベース』を移動し、シエルに話しかける事でミッション選択画面に移行するというRPGチックな構成に改められている。また、受けたミッションはクリア、或いは失敗する(ゲームオーバーになる)と二度とプレイする事ができなくなるほか、そのミッションの舞台となったステージで取り忘れたアイテムの回収、並びに地形の探索をする場合は拠点から自ら歩いて目的地へと向かうか、『トランスサーバー』という転送装置を使って目的地まで向かわなければならない。他のゲームで例えるなら、任天堂の『メトロイド』っぽい…と言うべきか。全体的にロックマンXシリーズでも僅かに導入されていた、ステージの探索要素をより大規模に発展させた作りになっているのである。
そうなると、ミッションも自分で目的地まで足を運ばねばならないのかと気にする方もいるかと思うが、その点は心配無用。ミッションは発動すると強制的にその舞台へと移動するようになっているので、わざわざ自分で目的地まで移動する必要は無い。この点に関しては、これまでのシリーズと変わらぬ味を残している。まさに、シリーズとしての宿命とも言うべきか。如何に本作が、新しい事を精力的に盛り込む裏で、ロックマンである事を大切にしたかが伺えてくる。
そのミッションもお馴染みのボスを倒すものを始め、人質の救助や爆弾回収など実にバリエーション豊か。また、ボスを倒すと自爆装置が発動して脱出パートに移ったり、ミッション開始と共にボス戦が始まり、その後に新たなイベントが発生するなどという、ミッションクリア型の進行形式だからこそ表現できた、意外性満点の展開はプレイヤーを熱くさせる。これまでのロックマンにはなかった、予測不能の面白さを表現したという点でも、非常に感慨深い試みである。
ゲームオーバー、或いは『エスケープユニット』なるアイテムを使用するとそのミッションが二度と遊べなくなるという要素が意義を成してなく、失敗した際のデメリットがあまりにでかく設定されてるのはやり過ぎとしか言い様が無いが、シリーズの新たな可能性を打ち出してるという面では、この試み自体は十分に成功していると言えよう。実に面白い。
また、本作ではXシリーズと同様にパワーアップの概念もあるのだが、これも大分形が異なる。本作では、予め用意された専用のアイテムやパーツを集めてパワーアップを行うのではなく、『サイバーエルフ』という妖精のようなアイテムを集め、それを『トランスサーバー』で一定のレベルまで育て、その成長したエルフを使用する事でパワーアップを行うのだ。
エルフの育成は、ゲーム中に手に入る『エネルゲン水晶』のアイテムを与える事で行う。エルフの中には一回育て上げれば使えるようになるものや、複数回に渡って水晶を与えなければ成長しないものなど様々な種類が存在。得られる能力も防御力の強化から移動速度の強化、そしてトゲトラップの無効化など実に個性的なものが多数用意されている。
しかしこのシステム、確かに試み自体は非常に面白いのだが残念ながら手放しに誉められたものじゃない。とにかく面倒で、特に1つのエルフにかかる水晶の量がやたらと多く、1つの能力をパワーアップさせるのに余計な時間がかかる。これならば、返って普通にアイテムで出した方が遥かに良かったと思える位。しかも、ゲーム中にその水晶を沢山集める機会が何とロクに用意されて無い。一応、ある事はあるのだが、あるミッションをクリアすると行けなくなるデメリットが敷かれてしまっており、本編の進行を阻害してしまっているのだ。これはもう、明らかに不備としか言い様が無い。せめて、水晶の量が少なめで、稼ぎポイントとかが複数配置されていれば、こうも酷くはならなかったと思うのだが…。また、やたらと「使うと自分は死んでしまう」という事を解説のテキストで強調しているのも不快だ。
これを使う事でゲームの難易度を下げられるという要素自体は、初心者対策としては良いと思うが、肝心のエルフが育て難いのだからこれでは元も子もない。ミッションクリア型のシステムはゲームとしての新しい面白さを打ち出し、効果的に機能しているが、これに関しては残念ながら失敗してると言わざるを得ないだろう。アクションゲームとしてはあってはならぬ面倒臭さと作業感、果てには罪悪感があって実に気持ち悪い。
今作独自の要素でもある、ゼロが使いこなす4種の武器も同じだ。バスター、ゼットセイバー、そしてシールドブーメラン、トリプルロッドと言った個性豊かな武器が登場するのだが、結局、ゲーム中で一番使えるのはゼットセイバーであり、バランス的にもそちらよりになってしまっているのが辛い。また、使えば使うほど攻撃手段が増えていく『スキルアップ』なる要素も不要としか言い様が無く、結局、プレイ時間の水増し策にしかなってないのが痛い。これについては、何の為に入れたのかが全く持って分からない。最初から全て使えた方が明らかに快適だったのに、どうしてそれを遮断したのか。
エルフと絡めて言うが、もっとプレイヤーの心情を考慮した配慮を徹底して頂きたかったものだ。試み自体は悪くないのに、ロクに機能してなくちゃ意味が無い。共にロックマンシリーズとしての新しさを出してるのは評価に値するが、残念ながらこの点は練り込み不足と言わざるを得ない。元は良いのに勿体無い。
一方で『エレメントチップ』なる新要素はお見事。シリーズの伝統でもある特殊武器によるボスの弱点をより分かり易く且つ、直感的なものに改めており非常に感触が良い。チップを装備した際の技もチャージ攻撃で十分と言うシンプルさ、そして属性が三つに限定されているのもお見事。この辺は良い感じに過去のシリーズの複雑さを解消している。プレイヤーレベルによるボス戦の難易度変化も面白い。ランクにあわせてボスの攻撃パターンが変化し、変化に富んだゲームプレイを演出する。また、舞台となるステージの構成も携帯機を意識してか、極力短めに抑えられているのも好感触だ。
操作性、ゲームバランスも良好。バランスはXシリーズに比べると高めだが、理不尽さは無く、従来通りの絶妙な難しさを演出しており、心地良い達成感を味わえる。操作性もGBAのハード特徴を捉えた配置が成されており、特にLボタンによるダッシュはあまりにも快適。慣れると、Xシリーズのダッシュに戻れなくなってしまうほどだ。
グラフィック、音楽、そして演出と言った部分も及第点の出来。特に演出はセイバーで敵を斬るとちゃんと真っ二つに切れるなど細かい所まで凝っており、見ているだけでも楽しい。敵を倒した手応えを嫌というほど表現している、生々しさ満点の効果音も強烈。同社の鬼武者に負けず劣らずの「バッサリ感」を心行くまで堪能する事ができる。
ストーリーもゼロが主人公として活躍する内容だけに、ファンにはたまらない。勿論、単品のストーリーとしても良く出来ており、終盤にかけての怒涛の展開は必見だ。
他にも躍動感溢れる動きを披露するボスキャラ達、やり込みプレイヤーにはたまらないランクシステムなど見所は満載。
エルフと武器システム周りの不備、工場ステージの下の足場が見えない欠陥があるリフト地帯、素っ気無すぎる説明書とチュートリアル(そのせいで全体的なシステムを把握するのに時間がかかる)など荒削り且つ非常に残念な所も多いが、全体的にどのシステムも新しいアクションゲームを作ろうとする制作スタッフの熱き思いが満ちており、新生ロックマンを名乗るには相応しい面白さを演出している。
総評して、傑作には及ばないが佳作。アクションゲームに慣れてない初心者にはお薦めし難いが、アクションゲーム好きやシリーズファンには文句無しにお薦めの一本だ。新鮮味満点のゲーム展開と意欲的なシステム、そして制作スタッフのロックマンシリーズ並びアクションゲームへの熱き思いをその手で感じ取ってみて欲しい。
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