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≫ロックマンゼロ2
■発売元 カプコン
■開発元 インティ・クリエイツ
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5040円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 6つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 ゲームボーイアドバンス専用通信ケーブル対応
■総説明書ページ数 24ページ
■推定クリア時間 4〜6時間(エンディング目的)、12〜18時間(完全攻略目的)
伝説の赤きレプリロイド『ゼロ』の復活により、ネオ・アルカディアを統治するコピーエックスは倒された。そして、シエル達は最悪の事態から逃げる事ができた。
だが、レジスタンス達の元にゼロが戻ってくる事は無かった。

あれから1年。シエル達は半壊したレジスタンスベースをあとにし、政府と対立する別のレジスタンス軍と合流する。

当初の計画を狂わされたネオ・アルカディアは、四天王の一人「ハルピュイア」を当面の責任者とし、計画を続行する。

そしてシエル達が新しいレジスタンスベースで生活を始めている頃、ゼロはまだ傷ついた体を休める事も無く、ネオ・アルカディアの追撃から逃れている最中だった…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ステージクリアが主体となり、よりロックマンらしさが増した基本ゲームシステム
◆全体的なボリュームが増し、やり応えのあるものに進化したステージ構成
◆ロックマンファンには懐かしいボスの顔グラフィックが印象的な新ミッションセレクト
◆輸送物資の防衛、人質の救助などプレイヤーを焦らせる、唐突な展開の数々(前作よりも数は減ってしまっているが)
◆消費するエネルゲン水晶の数が減り、育て易くなった『サイバーエルフ』
◆お馴染みの『バスターショット』に『ゼットセイバー』からワイヤーアクションができる『チェーンロッド』など、前作以上に多彩な攻撃アクションが楽しめるようになった武器群
◆エルフ収集、高ランククリア、EXスキル集めなど、充実したやり込み要素
◆前作譲りの抜群の操作性(Lボタンダッシュの爽快感は健在)
◆やや覚えゲー的な色が強くなったが、相変わらずの絶妙さが冴え渡るゲームバランス
◆機敏な動きと多彩な攻撃でプレイヤーを翻弄する、個性豊かなボスキャラクター達
◆相変わらずドット絵の芸術が炸裂している美麗なグラフィック
◆前作以上に聴いているだけでも楽しい曲が増えた、珠玉の音楽
◆一枚絵によるストーリー描写等、細かな表現が劇的にパワーアップした演出
◆前作よりも内容量、分かり易さが向上した説明書(笑)

--- Bad Point ---
◆アクションゲーム初心者にはきつ過ぎるOPステージ(挫折しかねない高難易度…)
◆表現はパワーアップしたが、冗長さが否めないデモ(挙句、カット機能無し…)
◆前作よりも後退した感が否めないゲームシステム(独自性が薄れてしまった)
◆自分で挙動などを調整しなければならない、チェーンロッドによるワイヤーアクション
◆会得法が作業染みていて、能力的にも魅力に欠ける『フォームチェンジ』
◆意地悪な一撃死トラップが多すぎる感のあるステージ構成
◆上級者の為のおまけにしかなっていない『EXスキル』(取らなくても良いのが救いだが)
◆相変わらず、作業っぽさが拭えないスキルアップ(廃止した方が良いのでは…)
▼Review ≪Last Update : 4/5/2008≫
もっと…、もっと力をぉぉぉ!

封印された悪夢が蘇る…。


独特のシステムと意外性満点のゲーム展開、爽快なアクション性で好評を博した、新生ロックマンシリーズ『ロックマンゼロ』の続編。開発は前作に引き続き、元カプコンのスタッフが集う開発会社、インティ・クリエイツが担当。

独自色こそ薄れたが、前作以上にロックマンらしさが倍増した、GBAアクションの傑作だ。

ゲーム内容は基本は前作と同じ。ミッションクリア形式の2Dアクションゲームで、プレイヤーはゼロを操作し、様々な敵やボスと戦いながら課せられたミッションを攻略していく。
しかし、実際の所はミッションクリアと言うよりもステージクリア形式のカラーが強調されており、前作とは手応えが大きく変わってしまっている。言うなれば、意外性のあった前作に対し、今作は初代ロックマンシリーズやロックマンXシリーズを髣髴とさせるアクションゲームになった。要は内容的に逆行してしまったのである。
それを象徴するかのように、今作で課せられるミッションを遂行するステージでは、前作のように「制限時間内に爆弾を解除しなければゲームオーバーになる!」…と言ったような意外な展開とかは、滅多に起きない。普通に過去のロックマンシリーズに習い、様々なトラップや敵の猛攻を掻い潜りながらボスが待ち受ける部屋を目指す…淡々とした流れになってしまっている。一応、基本はミッションクリア形式という事もあって、ステージによっては仲間の人質を救助しなければならなかったり、輸送物資を敵の奇襲から守らなければならなかったりと言ったイベントもあると言えばある。だが、別にそれらは完璧にこなす必要なし。こなさなくても、何のペナルティも無く、今作では普通にステージをクリア出来ちゃうのだ。結局の所、ミッションは単なるおまけに過ぎず。あれほど、ミッションクリア型アクションゲームとしての基礎を構築した前作を捨てるかのような試みが成されてしまっているのだ。正直、前作のような意外性溢れる内容を期待すると、肩透かしに合うのは必至。それほどまでに今作、別のアクションゲームとして様変わりしてしまっているのである。
無論、これはとても褒められた事じゃない。折角、作り上げた新しいシステムを煮詰めないまま破棄してしまうだなんて、勿体無さ過ぎるとしか言い様が無い。何よりも、ロックマンゼロとしてのアイデンティティを捨て、ロックマンとしての元来あるべき姿を選んでしまった事が残念極まりない。この結果、今作はゼロが主人公にすり代わっただけのロックマンXに成り果ててしまった。新シリーズとして、こうも旧態依然な姿勢に路線を変えてしまうとは、幾ら何でも逃げも同然じゃないだろうか。でも、このシステムは何も、悪い作用ばかりを及ぼした訳ではないのが、せめてもの救いではある。現に今作、ステージクリア形式に様変わりした事により、少し構造的に分かり難さがあった前作以上に、内容の把握が格段にし易くなったのは大きな進歩と言える。この結果、今作はアクション初心者にも取っ付き易くなった。また、基本は『ステージの最後に待ち構えるボスを倒せば良い』という事だけに絞られ、昔ながらのアクションゲームの良さが押し出されている辺りも、アクションゲームファンには嬉しい仕様と言える。
事実、前作は内容面では非常にオリジナリティがあったものの、癖が強すぎて取っ付きが悪く、親しめなかったと言うユーザーの声が多く見受けられた。やはり、取っ付き難いシステムを引き継ぐよりも、遊び易いシステムにすり替えた方がユーザーには良い、…こんな狙いがあったのかどうかは分からないが、そうだとすれば、今作でこう大がかりにシステム変更するのもある意味、仕方が無いと言える。実際、分かり易いシステムに変えた事で、取っ付き易くなったし、ゲーム自体も古くからのファンにも馴染めるものになったのだから、変えた事自体はシリーズにとっても大きなプラスとなったことは間違いない。それでも独自性は少しでも残して欲しかった…のも事実だが。
何にせよ、このように今作、独自性は薄れたが、その分、取っ付き易さは向上しており、前作よりも多くのユーザーにお薦めできる作りとなっている。退化してるようで進化している、どうにも不思議な匂いの漂う続編となっているのだ。

内容面に対し、逆にシステム面では今作、前作のものを引き続き、継承している。サイバーエルフ、多彩な武器、そして武器のスキルアップと。特にサイバーエルフは前作から大きく見直され、育てる際のエネルゲン水晶の量が下がり、使い易くなったのは大きな進歩。エルフのコメントにも「自分は使われると死ぬ」ようなものが無くなり、後ろめたさを感じずに使えるようになった点もナイスだ。前作の不満をなるべく解消しようと奮闘した、スタッフの努力が感じられる。
それらの要素にプラスする形で、新要素も幾つか追加。物を引っ張ったり、ワイヤーアクションができる『チェーンロッド』、Xシリーズのパーツシステムを思わせる『フォームチェンジシステム』、高ランクでボスを倒す事で必殺技が入手できる『エクストラ・スキル・キャプチャリング(EXスキル)』等、いずれも意欲的なものが用意されている。
しかし、前作に習ってか…またこれらも中途半端な作りに留まってしまってるのが残念。特に『フォームチェンジ』は、各フォームの会得方法が作業染みているだけでなく、サイバーエルフの存在もあってか、あまり能力的に光るものが無いのが辛い。この程度のものなら、無理して入れる必要は無かったのではないのか…と言いたくなるほどだ。
『EXスキル』も単なる上級者へのご褒美でしかないのが寂しい。入手条件を高ランクでボスを倒した時のみ…ではなく、他にランク以外のものを用意すると言った処置を施して欲しかったところだ。ただ、EXスキルの技の大半は、入手できなくてもゲーム進行に支障が無い程度の扱いに留められているのは救い。EXスキルを使えばボスに大ダメージを与えられる…というような、ロックマンシリーズのじゃんけんシステムみたいなものもなく、基本はエレメントチップ(今作でも継承)によるチャージ攻撃と絞られているのも好印象だ。この辺は、辛うじて前作の独自性を保った…と言った所だろうか。
だが、いずれの要素がさほど練り込まれていない時点からして、あまり褒められたものではない事に変わりは無いが。新しい事に果敢にチャレンジしようとするその心意気は素晴らしいが、ただチャレンジしてそのまま放置ではなく、もっとそのチャレンジをまともなものに仕上げようとする努力をして頂きたい。これでは、かの5作目からのXシリーズがやっている事と変わらない。あちらと比較すれば、まだマシな方であるのも事実だが。
ともあれ、内容面ではゲーム的な分かり易さを重視する姿勢が見受けられるが、こんな感じに相変わらずシステム面においては相変わらず今作、散々な有様となってしまっている。大量に入れてこんな有様なら、もう少し量を留めれば、作り込みにも重視できるだろうに。もう少し、新要素の導入には敏感になって頂きたいものだ。

その他、操作性やゲームバランス、ステージ構成に関しては前作の良さをしっかり受け継いでいる。特にステージ構成は今作、前作が少し短かったのを受けてか、大幅にボリュームアップ。携帯機のアクションらしさが失われてしまったが、結果としてロックマンらしい歯応えと駆け抜ける爽快感が強化され、一層魅力的なものになった。各ステージの仕掛け・並びに舞台もユニークなものが満載で、終始、プレイヤーを飽きさせない。相変わらずの駆け抜けるだけでも楽しい、ハラハラドキドキのゲーム展開が楽しめる。
またゲームバランスも最初のOPステージを除けば、全体的にはすこぶる絶妙。プレイヤーの腕の上達によって道が切り開かれていく、理想的なバランスを終始、維持している。ボス戦もエレメントチップの使い分けによっては難易度が激減したりと、ロックマンらしい救済処置がちゃんと図られていたりと、非常によく分かった作りになっている。
グラフィック、音楽の出来も良好。特に音楽は全体的に単調な曲がほとんどだった前作を思わせないほどに進化。聴くだけでも楽しい名曲が満載の、凄くロックマンらしい仕上がりとなっている。これを聴く為だけに今作をプレイしても、決して損はしない。中でもOPステージの音楽は必聴の価値ありだ。

演出、シナリオの出来も上々。意外な展開とかは前作よりも少ないのだが、終盤のボスラッシュにて起こる、シリーズ初の試みは必見だ。また、メインストーリー自体も台詞やのデモの量が倍増し、深くなってる。だが、デモカット機能が無い上、無意味に長めに作られてしまってるのが痛い所だ。ラスボス戦前のデモの長さとか、どうにかならなかったのか。
これ以外にも少し出しているが、OPステージの難易度が絶望的に高かったりする(初心者なら確実に挫折しかねない)のも痛過ぎだ。アクションゲームにおいて、一番大事な導入部をこんな硬派なものにしてしまうだなんて、虐めも良い所。いくらストーリー上仕方がなかったとは言え、もう少し難易度を下げるなりして頂きたかったところだ。
ともあれ、相変わらず欠点はチラホラあるが、1つのアクションゲームとしての完成度は確実に前作よりも向上している本作。取っ付き易くなったが、序盤の難易度が異常な為、初心者には全くお薦めできないが、ロックマンシリーズ好き、アクションゲーム好きには前作と並行して、是非とも遊んでみて欲しいGBAアクションの傑作だ。
独自色は薄れたけど、新しい魅力と元来の面白さを徹底したロクゼロをお楽しみあれ。
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