≫ロックマンゼロ4
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■発売元 |
カプコン |
■開発元 |
インティ・クリエイツ |
■ジャンル |
アクション |
■CERO |
A(全年齢対象) |
■定価 |
5040円(税込) |
■公式サイト |
≫こちら |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1人 |
■セーブデータ数 |
5つ(※フラッシュメモリバックアップ) |
■総説明書ページ数 |
24ページ |
■推定クリア時間 |
2〜5時間(エンディング目的)、17〜30時間(完全攻略目的) |
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荒野に散った人々やレプリロイドを助ける為、大型トレーラーで各地を転々としていたゼロ達。
ある時ゼロ達は、レプリロイドの軍団に襲われているキャラバンに遭遇する。
レプリロイド軍団からキャラバンを助けたゼロは、ジャーナリストを名乗る人間の女性『ネージュ』より、悪の科学者ドクター・バイルによって変わり果ててしまったネオ・アルカディアの時刻のような現状を聞かされる。
キャラバンの人間達は、そんなバイルの支配から逃れる為、ネオ・アルカディアを離反し、『エリア・ゼロ』にある人間だけの集落を目指しているのだった…。
やがて彼女達と別れたゼロ達は、かの『エリア・ゼロ』へと向かうのだが…。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆初代のロックマンゼロらしさと旧ロックマンらしさが絶妙にマッチしたゲームシステム
◆ミッション色が濃くなり、久しぶりに意外性が蘇ったゲーム展開
◆そのゲーム展開の意外性を更に助長させる、見易さ抜群のミッションセレクト画面
◆天気を変える事で変化する地形など、より仕掛けが仰々しくなったステージ構成
◆1体に限定され、使い勝手が大幅に向上したサイバーエルフシステム(理想形に到達)
◆強力過ぎるものが排除され、バランスが大幅に良くなった強化チップ
◆お馴染みの人型から大型まで、実に多彩なバリエーションが用意されたボス戦
◆相変わらずの動かす面白さと爽快感に秀でた、抜群の操作性
◆過去のシリーズを凌駕する、鬼気迫る描き込みが秀逸なグラフィック(特に背景が凄い)
◆シリーズ最終作に相応しい、衝撃的な展開が盛り沢山のストーリー
◆フルボイスによるモノローグ等、過去のシリーズ以上のこだわりが炸裂している演出
◆前作にて問題視された、カードeリーダーを始めとする無駄な連動要素の排除
◆キャラクター図鑑からミニゲームまで、充実したおまけ要素
◆とてつもない迷台詞(ボイス)を吐くボス、ミノ・マグナクス(笑)
--- Bad Point ---
◆不親切で面白味の欠片も無い新要素『チップメイキングシステム』(ノーヒントでチップを作れとか、ふざけてる)
◆そのシステムでチップ作成する際に使う、各パーツ名前がいずれも分かり難い(最悪)
◆初心者救済処置としても中途半端な新要素『ウェザーチェンジングシステム』(これでステージの難易度を難しくしないとEXスキルが手に入らないというのは…)
◆使い勝手の良い武器が僅かしか無いのが最悪な新要素『ウェポンシージングシステム』
◆そのシステム導入により、廃止されてしまったエレメントチップ
◆エレメントチップ廃止で属性が付き、更に陰湿なものへと化してしまった『EXスキル』
◆意地悪な一撃死トラップが増え、2以上に陰湿になってしまったステージ構成
◆こちら側が回避できない先制攻撃を放ってくる、陰湿な敵キャラの存在
◆各システムの改変によって、絶妙どころか陰湿になってしまったゲームバランス
◆大味過ぎる上に作りも雑で、初心者救済処置にもなっていない『イージーモード』
◆場の雰囲気を意識し過ぎたせいで大幅に面白くなくなった音楽
◆うるさ過ぎるボスキャラの掛け声(オプションでOFFにできる機能でもあれば…)
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▼Review ≪Last Update : 4/19/2008≫
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全てが無(ゼロ)に帰す時が来る。
あまりに悲劇的な形によって…。
意欲的なゲームシステムと『ゼットセイバー』による爽快なアクションで好評を博した、ロックマンXシリーズの後継作『ロックマンゼロ』の第四作目にして、シリーズ最終作。
一度頂点に達したものは、後は転落の道しかない。
システム、バランス共に劣悪な進化を遂げてしまった、悲しき作品である。
ゲーム内容はこれまでと同じ。基本はミッションクリア型としながらも、実質はステージクリア型の横スクロールのアクションゲームだ。システム周りも、前作『ロックマンゼロ3』にて完成されたものをそのまま引き継いでおり、安定した面白さを残している。だが、今作はそれらのシステム周りに数々の改悪が行われているだけではなく、余計な新要素の追加やゲームバランスの硬化と言った、シリーズがそれまで積み重ねてきた伝統をぶっ壊すかのような事までやってしまっており、全体的なゲームとしての完成度は著しく劣化。かなり厄介な作りとなってしまっている。その厄介ぶりは、かの初代『ロックマンゼロ』に迫る勢い。いや、むしろ…それより酷いかもしれない。
まずゲーム展開だが、基本は『ロックマンゼロ2』以降のステージクリアタイプ(最後に待ち構えるボスを倒せばステージクリア)なのだが、今作ではどのステージもミッションが積極的に絡んで来るようになり、ただ前へ前へと進めば良いだけの単純な作りではなくなっている。敵の基地の入口を探す為に、巨大な迷路を制限時間以内に突破しなければならなかったり、脱出を図らねばならなかったり、更には特定の機械を全部発動させなければならなかったり等、今回は大真面目にミッションをこなしていかねばならなくなったのだ。まさに、ミッションクリア型アクションゲームとしての本領発揮。
また、今作では最初からメインとなる8つのミッションが自由に選べるのだが、これにもまた1つ罠があり、進めている途中に強制イベントが発生し、そのミッションを攻略する事になるなど、予想だにしない展開が発生する仕掛けが凝らされており、決してプレイヤーの思い通りの攻略ルートで進めない、実に波乱に満ちた作りとなっている。言うなれば、初代ロックマンゼロの意外性溢れるゲーム展開が、形を大きく変えて蘇ったのである。その為、今作では終始、気の抜けない…そして先の読めない展開が続々と起こり、プレイヤーの攻略プランを大いにかき乱してくる。ミッション色も濃くしたのならば、展開も原点回帰!…まさに、シリーズとしては久々にロクゼロらしさを全面的に押し出した作りになっているのだ。
だがこの原点回帰は、返ってゲームそのものの難易度を悪戯に上げてしまっている感が否めない。別に原点回帰する事が悪いという訳ではないのだが、ステージ構成とかはもっとミッションを楽しく展開できるような工夫を凝らして欲しかった。やたらと高度なテクニックが要されてくる場面があったり(特に脱出は酷い)、あまりアクションの妙味が味わえないものがあったりとか、総じて詰めが甘過ぎる。普通のアクションステージでも、今作はステージごとの仕掛けがあまりに過剰で陰湿な為、駆け抜ける面白さに欠けているから辛い。折角、前作でバランスの良さを見せたのに、何で崩してしまうか…。
おまけに今作では、ステージごとの天候を自由に変えられる『ウェザーチェンジングシステム』なる余計な新要素のせいで、ステージの難易度がなお陰湿になったりするから最悪。普通でも辛いのに、余計難しくして何が楽しいのかと。しかも今作では、これで一番難しい天候でミッション(ステージ)クリアしなければ『EXスキル(必殺技)』が入手できない上、クリア後のスコアで高得点も得られないのだから、もはや虐めも同然である。
ただ一つ、言えるのは作りの甘さまで原点回帰してしまった…と。独自性こそ蘇ったが、要らぬものまで蘇ってしまった。今作はまさに、そう言わざるを得ない出来栄えとなってしまっているのだ。何で、そんなものまで呼び寄せる…。
『ウェザーチェンジングシステム』以外で、今作から新たに導入された要素も最高に詰めが甘い。こちらもまた、悪い意味での原点回帰を果たしてしまっている。
特に『チップメイキングシステム』の出来の悪さは突き抜けている。敵が落とすパーツを組み合わせ、ゼロの能力を強化するチップを作ると言うものなのだが、この作れるチップがまたとんでもない。基本的には作成表(レシピ)を見て作るタイプと、自分の勘を頼りにパーツを組み合わせ、チップを作るタイプの二通りがあるのだが、ゲーム中で最もチップが多く用意されているのは何と後者。作成表では僅かしか作れないのである。しかも、言うまでも無いが、後者は勘頼りだから勿論、ノーヒント。……ふざけるのにも程がある。
第一、ノーヒント&自分の勘を頼りにチップを作れだなんて、理不尽にも程がある。そんなんじゃ、永久に終わらないではないか…と。しかも、そっちに万能チップの大半を含ませると言うのだからなおふざけてる。おまけに、作成に使うパーツもパーツで、名称があまりに複雑で覚え難いという超致命的な欠点付き。はっきり言って…要らな過ぎだ。これなら普通に前作のように、ステージを探索して手に入れる形式の方が遥かに…というか、絶対良かったのに何で、こうも面倒なものに変更してしまったのか。言葉が悪いが、これは本当に考案者の神経を疑う。
同じく新要素の『ウェポンシージングシステム』も最悪の出来だ。今作では『ゼロナックル』という武器を使って、敵が装備している武器を奪えるようになったのだが、この敵から奪える武器と言うのがどれもこれも役立たずばかり!使えるのはほんのごく僅かで、残りはお飾りに過ぎないのだ。「無限のウェポンバリエーションで敵を粉砕せよ!」…と大胆的に言われても、これじゃ粉砕し甲斐が無い。
挙句、この要素導入の反動で『エレメントチップ』が廃止されてしまったのだからなお最悪だ。初心者の方にも優しく、分かり易い…という敷居の低さと使い勝手の良さが魅力的な特殊武器だったのに、何故、廃止なんて暴挙に走ったのか?そして、どうして繰り出すのが面倒な『EXスキル』に属性要素を付加したのか?おかげで初心者でも気軽に楽しめなくなってしまったではないか!それどころか、ボス達に簡単に大ダメージを与えられなくなって、手軽さが無くなってしまったではないか!何故そこまで、コアユーザー向けにシフトしてしまうのか、本当に理解に苦しむ。せめて、このシステムで入手できる武器に使い勝手が良く、大ダメージを与えられるものがあれば話は別だったのだが、結局、そういうのが無いのだから意味が無い。本当にもう、この作り込みの甘さとコアユーザーびいきには呆れるばかりである。
他の『サイバーエルフシステム』は、エルフが1体のみになり、成長させる事で3種の能力をキャパシティレベルの範囲内で装備できるようになり、使い勝手が良くなったのに、何で他はこうも粗だらけなのか。全く持って、悪い原点回帰とはこの事である。何でもかんでも新システムを入れれば良いってもんじゃないだろう。やっつけ仕事にも程がある。
また、今作では『イージーモード』なる簡単な難易度も用意されているのだが、バランス調整が大雑把。それにこの難易度の場合、ラスボスがノーマル以上に強くなるのもおかし過ぎだ。これではイージーじゃないだろ。正直、こんなモードを導入するぐらいなら、ノーマルの難易度を初心者でも安心して楽しめるような難易度に作り上げて欲しかったに尽きる。
その為、今作は全体的なゲームバランスも悪い。決して理不尽な訳ではないが、陰湿。ステージのみならず、敵の攻撃も今回は先制攻撃が多くてかわし難いし、ボスもエレメントが無くなったせいで倒し難くなり、初心者に厳しくなってしまっている。特に敵の先制攻撃の多さは異常だ。あんなのをどう、初心者がかわせると言うのだろうか。先の言葉を繰り返すが、あまりにコアユーザーびいきし過ぎである。
更にゲーム以外の部分で、音楽も今作ではクオリティダウン。場の雰囲気を意識したせいか、聞いているだけでも単調な曲が増えてしまっている。良い曲もある事はあるのだが、いつに無く短めでインパクトが弱い。前作までにあれほどの進化を遂げたのに、ここまで落ちてしまうとは正直…残念としか言い様が無い。
音と並行してボイスによる演出も今回はうるさ過ぎ。よく喋るのは凄いけど、こういう演出が嫌いな人もいるのだから、オプションでOFFに出来る項目を用意して頂きたかった。というか、そんなゲームに直結しない所にこだわってどうする…。
その他、操作性、グラフィック、そしてストーリーは相変わらず水準以上の出来。バランスは悪くなっても、操作性が良好なままなのは本当に大きな救いではある。これがもし、バランスと同じような有様だったらどうなっていたか。
だが、それでも全体的な完成度は総じて低く、シリーズの中でも低位に値するのは言うまでも無い。折角、前作で完成されたものを破壊し、余計にコアユーザー向けの仕様とし、初心者に遊び難いものに仕立て上げてしまったその所業は、許されるものではない。
全く遊べない訳じゃないのがせめてもの救いではあるが、正直な所、今作はシリーズファン、アクションゲーマー向けの作品である。イージーモードがあっても、初心者には決してお薦めできない。それでも遊びたいと言うのならば、他のシリーズをプレイして、一通り感覚を掴んでから挑む事をお薦めする。
かくしてロックマンゼロは、あらゆる意味で悲劇的な形で幕を閉じたのだった。どうしてこうなってしまうのか。
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