【ゲーム回想録2023】:新作&旧作ベスト5ほか

投稿者: | 2023-12-31

2023年に発売された新作ゲームの個人的なベスト5。
ここしばらく、この記事は年明けに書いてまとめることが続いていたが、2024年の1月が例年にも増してドタバタしそうなことから、年越し前にまとめてしまうことにした。2019年以来、4年ぶりに元通りとなった格好です。

2023年は2月に突如として現れた『メトロイドプライム リマスタード』により、想定外の「メトロイド オモロイド」な始まりを迎えた1年だった。当初は1月に業務用の新型PC購入という大きな出費が生じる都合、2月いっぱいまで新作の購入を自粛するつもりだったのに、こんな展開、誰が予想したか。おのれ、ニンテンドーダイレクト。また2024年もサプライズをかます気か。望むところだ、どんとこい(※意訳:『メトロイドプライム2 リマスタード』を頼む!)。

また、近年は当日買いした新作の多くをすぐ始められず、積んでしまう傾向が高くなっていた。今年は完全に防ぐことこそ無理だったものの、一区切り着けられた新作の数が勝る結果に。おかげで年越し前にこの記事を書く余裕も生まれた。2024年も究極的には積むタイトル0本を目指したいけど、今年ぐらいの比率を目標にしたく思う。

そんな2023年のマイ・ゲーム・オブ・ザ・イヤー。
今年は豊作期と言ってもいいほど魅力的な新作が多く、どれをベストにするかで迷った。最終的に選ばれたのは、ストーリーとキャラクターの2点で圧倒的な印象を残した”小さな”傑作。

『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』(NS/PC)。

昨年にも『春ゆきてレトロチカ』という、挑戦的な完全新作アドベンチャーゲームを出したスクウェア・エニックス(スクエニ)が、またも一風変わった新作を投入。それも小規模ながら、ストーリー、ゲームシステム、演出ともに驚くほど完成度の高い仕上がりで圧倒させられた。
特に素晴らしかったのがストーリーで、相手を呪い殺す秘術を手に入れた登場人物たちが凄惨な呪い合いを繰り広げるバリバリのホラーと思わせて、徐々にミステリー群像劇へと変化していく過程には唸った。伏線の貼り方とその回収も巧み。全く無関係と思われた人物が実は重要な情報を握っていたり、思わぬ繋がりがあると判明する場面には何度も驚かされた。そして、その登場人物たちがメチャクチャ個性的。とりわけ渋いベテラン刑事と思わせて、実はもの凄くお茶目なおじさんである津詰徹生、見た目はおっとりしていて暗い雰囲気を漂わせながら、実は主人公級の大活躍を見せる黒鈴ミヲの2人はあまりにも強烈すぎた。台詞回しも小気味よくて読みやすく、さすがはかの名作アドベンチャーゲーム『探偵・癸生川凌介事件譚』シリーズの御方と唸った次第。
ストーリーばかり語ってしまったが、システム側の活かし方も秀逸で、とてもユニークな形で作中のイベントに絡んでくる。詳しくは言えないが、”あの機能”を使うことまでストーリーを進めるためのフラグになっているのにはビックリすると同時に笑った。これ以上情報を引き出せない選択肢にチェックが付いたり、スイッチ版に関してはボタンとタッチの双方で楽しめたりと快適性にも気を遣った仕上がりになっていたのが好印象。ボリュームも10時間と短めながら、ストーリーの面白さと「TIPS」の情報量、そして「なめどり」なるシールを探し出すやり込みもあったりして物足りなさは感じなかった。むしろ、規模的に丁度いいとすら思ったほど。とは言え、黒幕周りの描写とオチはちょっと物足りない感じがあって、もう少し時間を使って掘り下げてくれればと感じたが。
本作も『メトロイドプライム リマスタード』同様、2月のニンテンドーダイレクトで突如発表されたタイトルで、同作がリマスターであることを踏まえれば、本作が個人的に2023年最初の完全新作だった。その1発目がこれほど鮮烈な印象を残す傑作とは、誰が予想したか。その衝撃性と、近年は大作嗜好なところのあるスクエニが小規模ながら見事な傑作を作り上げたことに感銘を受けて、これこそ年間ベストに相応しいということで選んだ。世間的にも熱心なファンを生み出して、続編希望の声が上がっているけど、個人的にも近いうちにお目に書かれることを期待したい!ディレクター兼シナリオの石山さんも乗り気なようなので、そう遠くない内に結実することを願って!規模に関してもできれば本作ぐらいを保って欲しい……と、付け加えておきます。

そんな『パラノマサイト』に続いた、残る4本のベストタイトルは以下に。

■ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム(NS)
満を持して発売された『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の続編。前作はWii U版を選んだため、個人的には今回の続編が初のSwitchでの体験になったけど、携帯モードと探索の相性がとんでもなく、ズルズルと時間を吸われた。続編としても前作のどこへでも行けてしまう探索の面白さと自由度はそのままに、空中と地底という新たなフィールドを導入して大幅にスケールアップ。さらに「ウルトラハンド」なる新能力を駆使したクラフト要素を導入し、発想次第では戦闘から謎解きまで、トンデモすぎる攻略法を可能にしてしまうというハチャメチャさに驚かされた。それでバランス的に極端な破綻が見られないのも恐ろしすぎる。他に高所への移動を容易にする「トーレルーフ」の能力も探索の面白さを引き立てるに留まらず、登り切るまでに相当な時間を要するという前作の難点を解消する意欲的な新要素だった。新たフィールドである地底も、探索範囲を広げるほど地上の祠探しがスムーズになるというメリットを秘めた構造になっていたのが印象的。真っ暗で何も見えなかったのが、徐々に視界が広がって全容が明らかになっていくのも地上の探索とは異なる面白さがあった。それ以外にも前作とは違って個性豊かなボス戦が楽しめたダンジョン、ガノンドロフの鮮烈な復活と活躍(そして顔芸)が描かれたストーリーなど、印象に残った所は多数。
2023年発売の新作の中ではダントツに時間を割いたタイトルで、年間ベストに選ばれる資格があったのだが、根幹たる探索の中毒性は前作由来で、衝撃性という点では弱かったことから、この位置になった。それでも2023年を代表する傑作にしてヒット作だったのには間違いない。あと、携帯モードとの相性の良さを本作で心底思い知ったので、年明けにも前作のSwitch版を押さえておこうと思います。

■Gravity Circuit(グラビティサーキット)(PC/PS5/NS)
インディーゲーム界隈で多々見られる『ロックマン』フォロワーの中でも最上位に君臨する傑作にして、個人的に”越えられない壁”として君臨した逸品。ベースは『ロックマンX』と『ロックマンゼロ』で、それ由来の要素が多々存在するが、格闘攻撃とフックショットによる遠距離攻撃を使い分ける戦闘スタイル、ほぼすべての敵を一撃で倒してしまう「投げ」のアクションによって独自性を確立。さらに多彩なスキルとチップを組み合わせ、ステージやボスに対して適切な効果を発揮する”答え”を探るという、『ロックマン』フォロワーとしてのらしさも本作のゲームシステムを駆使して表現。そんな完全新作としての独自性とフォロワー作品としてのらしさを両立させるという、恐ろしく高度なことをやってのけたゲームデザインには度肝を抜かれた。アクションは完全に別物なのに、もの凄くロックマンを遊んでいる感覚がある……けど、実際はそうじゃないとか、こんなにもレベルの高いフォロワー作品、初めて見た。操作感、効果音、爆発エフェクトといったアクションゲームとして最も大事な手触りも完璧で、とにかく動かしているだけでも楽しい。グラフィック、音楽もハイレベルで、とりわけ音楽に関してはあまりの良さからサントラを買ってしまったほど。他にもほど良いボリュームとやり込み要素、興味深い設定が光るストーリーなど、好印象を抱いた部分多数。
7年前からSteamのウィッシュリストで塩漬け状態になっていたゲームだったが、まさかこんな『ロックマン』史上最大にして最高のライバルとも言える作品として現れるとは夢にも思わなかった。
また、発売されたのは自分自身、最も精神的に疲弊していた時期だったのだが、本作の面白さと圧倒的な完成度がそこから立ち直る原動力になってくれた。その意味ではこれも年間ベストに君臨する資格のあるタイトル。改めて……「あの時に発売してくれて、楽しませてくれて本当にありがとう!」と感謝の言葉を伝えたい。

■Redemption Reapers(リデンプションリーパーズ)(NS)
退廃的な世界観と雰囲気をまとった完全新作のターン制シミュレーションRPG。大群で襲い来る軍勢に、手数で勝る圧倒的少数の自軍で迎え撃つというスリリングな設定、その状況を打破する戦術を考え抜いて実行する面白さが強烈な印象を残す良作だった。特にどう考えても次のターンは数の暴力に晒されると思われた苦境を、様々なスキルを駆使して見事に打開し、まさかの敵側の全滅を達成できた時のあの快感たるや。その場で出し切れる手札を最大限活用して、苦難を乗り越えるというのは個人的にSRPGを遊んでいる時に最も楽しいと感じる瞬間で、それがてんこ盛りな本作は刺さりまくりも刺さりまくりだった。常に少数で戦う都合、どうしてもマップのバリエーションに偏りが生まれてしまう難点もあったけど、そこも敵の種類や配置、援軍ユニット、そして初期配置などで可能な限り単調さは防いでいた印象。何より自軍のメンバーそれぞれの個性が明確で、状況に応じてそれが最も活きる瞬間が用意されているのが素晴らしかった。単純にキャラクターとしても印象に残る面子が多く、とりわけユニット的に使いやすさの面でも並外れている「ルグ」が強烈。彼にツダケン(津田健次郎)さんを配役したセンスにも拍手を送りたい(笑)。そんな自軍こと灰鷹旅団の戦いを描いたストーリーも超が付くほど局所的で、世界観の情報は断片的にしか分からないというやたら攻めた作りだったが、その分、主要な部分はきちんと描き切っており、ラストの結末もこれ以上のものは考えられないと納得できるものがあった。実質、未完オチではあったが、消化不良感が全然ないのは凄く不思議。とは言え、あの断片的にしか語られなかった世界観にさらに迫った新作は今も欲しい気持ちだが。
他にも『ベヨネッタ』や『大神』の楽曲で知られる近藤嶺さんによる楽曲も圧巻の出来で、サントラ付きの限定版を買ってしまったほど。正直、全体的に尖りに尖った作風のため、手放しに広くお薦めできるゲームではない。ただ、刺さる人にはかなり深々と刺さる魅力があり、自分はそれに該当した結果、2023年の新作の中では『ティアーズオブザキングダム』に次いで最も長い時間を費やしたタイトルになった。実は今も3周目を進めている最中。どこまでやるかは分からないけど、今後も定期的に遊ぶSRPGになるかもしれない。

■ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔(NS)
『ベヨネッタ』シリーズ最新作にして、彼女の少女時代を舞台にしたアクションアドベンチャー。ゲームシステムもグラフィックの作風もこれまでの『ベヨネッタ』とは全くの別物ながら、1人と1匹を同時に動かしながら敵と戦い、謎を解くという本作独自の体験の数々が凄く面白かった。特に1人と1匹を同時操作するという、システム的なクセを踏まえた導線の敷き方が見事。操作に慣れてもらうため、最初は1人(1匹)ずつ動かす展開を設け、謎解きと戦闘も偏りすぎない塩梅で出すという流れが大変良心的で、ストレスなくその後の展開に浸れた。また、1匹ことチェシャは絶対にやられない事実上の無敵キャラであること、ボタン1つで1人行動&高速移動ができるなど、システム側も配慮されていて、あまり動かしていてもどかしく感じることがなかったのも好印象。戦闘もこれまでの『ベヨネッタ』ほどのスピード感はないが、多彩な戦術を駆使して敵を圧倒させる爽快感と手ごたえは勝るとも劣らず。中でもボス戦は趣向を凝らしたものが多くて、凄く面白かった。最終決戦の紛うことなき『ベヨネッタ』感も印象的。あれはシリーズ全体の中でも屈指のボス戦だったと思う。ストーリーもデコボココンビの奮闘劇としての王道を押さえた掛け合い、終盤の意外ながらも切ない展開で楽しませてくれた。あと、個人的にはもの凄く久しぶりに沢城みゆきさんの少女演技が堪能できた点で満足度が高い(笑)。(だが、一番強烈だったのは千葉繁さんだった模様)
他にボリュームも長すぎず短すぎずで丁度良く、単純にアクションアドベンチャーとしても謎解きからイベントの配分などにこなれていた。節々にゼルダネタがあったのも面白かったというか、『大神』の魂を感じた次第。そもそも、ストーリー自体が白いオオカミを追いかけながら進行する時点で完全に確信犯としか思えないのだが(笑)。グラフィックが独特すぎて視認性の問題を抱えているという難点はあったが、総合的には大満足。この方向性の新作をまた見てみたいと思えるほど、シリーズの中ではお気に入りの1作になった。これはアクションアドベンチャー好きには強く推したい。ストーリー自体は『ベヨネッタ』を知らずとも問題なく楽しめる設定というか、過去を舞台にしているからこそ、後々のシリーズがより楽しめるようになるメリットがあるので興味があればぜひ。

しかし、まさか発売からしばらく経った後、シリーズディレクターでこの新作でもストーリーを担当された神谷英樹さんがプラチナゲームズを去ってしまうとは思いもしなかった。今後、どんな活動をされていくのだろう。
2024年は色んな意味でその動向から目が離せない。

それからベスト5外になったけど、とても面白かった次点の新作5本。

■LunarLux(ルナーラックス)(PC)
『Gravity Circuit』がアクションの『ロックマン』(X、ゼロ)のライバルなら、こちらはRPGの『ロックマン』(エグゼ、流星)のライバルな良作。RPGとしての作りは別物だが、アクションにシューティング、デッキ構築までてんこ盛りな戦闘システムがとても面白かった。完璧な日本語翻訳と共に紡がれるベタながらも熱いストーリーにも拍手。

■役づくりパズル ゆめいろユラム(NS)
ブロックを消すのではなく、積み上げながらさまざまな”役”を作っていくというユニークなゲームシステム、高い戦略性が強烈な印象を残した傑作。役の作り方が分かってくると睨めっこする勢いで集中してしまい、時間が溶けていくという中毒性の高さも素敵だった。ただ、欲を言うなら価格はもう少し抑えて欲しかったかな……。

■スーパーマリオブラザーズ ワンダー(NS)
初代『Newスーパーマリオブラザーズ』以降、そのスタイルを踏襲し続けて深刻なマンネリ化に陥っていた2Dマリオシリーズに新たな可能性を切り開くアイディアが炸裂した傑作。やりたい放題な「ワンダー」絡みのネタ、目まぐるしく変化するグラフィック、そして3Dマリオを思わせる攻略自由度の高さも素晴らしかった。あと、あらゆる意味でマンネリを打破したクッパの活躍(暴走?)にも賞賛を送りたい。

■エグゾプライマル(PS5/PS4)
電ファミさんの案件を通してプレイしたタイトル。序盤がビックリするほど単調で、ヤバい雰囲気を漂わせていたが、そこから右肩上がりで戦闘、ストーリー共に面白くなっていき、気が付けばドハマりしていた。特にオンライン専用というゲームの仕組みを活かしたストーリーは大変興味深い仕上がりだった。
あと、本作のラスボスには2023年度「ラスボス・オブ・ザ・イヤー」を贈呈します。

■Advance Wars 1+2: Re-Boot Camp(NS)
日本未発売の『ゲームボーイウォーズアドバンス1+2』リメイク作。オリジナル版よりテンポが悪化したのはいただけなかったが、「キャンペーン」のマップが再プレイ可能になったり、一部ショーグンのAIが変更されるなど、嬉しい改善点も多く最終的には好印象が勝った。あと、やっぱりウォーズシリーズは手触り(操作感)の面でインディー界隈のオマージュ作を凌駕しているなと改めて思った次第。

他に『御伽活劇 豆狸のバケル ~オラクル祭太郎の祭難!!~』(NS)、『F-ZERO 99』(NS)、『薔薇と椿 ~お豪華絢爛版~』(NS)の3作も良かった。残念ながら年内に一区切り着けることはできなかったが、間もなく日本語翻訳のアップデートが実施されるらしいサイバーパンク”バイオニック”アクション『SANABI』(PC)、変身&育成RPG『Cassette Beasts カセット ビースト』(PC)もピックアップしておきたい。

旧作ベストはもちろん「メトロイド オモロイド」……じゃなくて『ファイナルファイト ONE』(GBA)。

3月末の「ニンテンドーeショップ」のサービス終了を受け、購入したものだったが、素晴らしい操作性と圧倒的な爽快感、そして独自の救済措置とアーケード版の内容をほぼ忠実に再現した作り込みの深さに唸った。元々、GBA初期の傑作として評判だったが、遊んでみて納得。今もWiiUを起動した時にはつい、起動してプレイしたくなるほどのお気に入り。また、eショップ終了の流れで結果的に『ファイナルファイト』シリーズをすべて行脚してしまったのも思い出深い。その流れで『ファイナルファイト』と密接な関連を持った『ストリートファイター6』にも行ければよかったけど、残念ながら都合が付かず。なので、2024年のどこかで押さえる。

残る旧作ベスト4に『メトロイドプライム リマスタード』(NS)があり、他に『マリオカート8 デラックス』(NS)、『ロックマンエグゼ アドバンスドコレクション』(NS/PS4/PC)、『鬼武者』(PC)の3タイトルが来る。リマスタードもアドコレも今年発売されたタイトルだけど、中身は旧作ということで、こちらになった。前々からそういう方針だが。
旧作の中で一番思い出深いのは『マリオカート8 デラックス』。『マリオカートWii』以来15年ぶりに買った新作で、同作で負った精神的なダメージを癒してくれた点でありがたい1本だった。今のところ、シングルしかプレイできていないけど、ある程度覚悟が決まったらオンラインにも挑んでみたいと思う。

最後に10個の部門別に印象に残ったタイトルをピックアップ。

■惜しい部門:『螺旋麗嬢 スパイラルお嬢様 超髪のマキナ』(NS)
金髪縦ロールのお嬢様が”バイオニックなスウィングアクション”で悪と戦うという設定からして、既に強すぎる作品。しかし、中身はアクションの手触りこそいいものの、ステージが単調だったり、力押しが効きやすかったりと、調整不足や作り込みの甘さが目立つ仕上がりだった。結果的に出オチ感が勝る作品になってしまった印象。操作に関してもAボタンがジャンプであることを始め、キー配置の違和感が凄いのと、それを変更できるコンフィグ機能が備わっていないのが残念。一応、バイオニックなアクションゲームらしく、コツを掴むともの凄いスピードでステージを飛び回れる面白さはあるのだが、肝心のステージが似たり寄ったりで、動きがワンパターンになってしまうのが辛い。逆に言えば、ステージのバリエーションが多彩なら違った印象を抱いていた作品でもあった。
単調さが出てしまうのはステージが多いことも関係してそうで、減らして絞り込んだ方がより魅力的なアクションゲームにできたのでは、とも。もし、次があるとすれば、今度は本作みたいにステージを沢山入れるのではなく、厳選してアクションを作り込む方向に振って欲しいと思う。

■ネタ部門:『薔薇と椿 ~お豪華絢爛版~』(NS)
おビンタの世界は奥が深すぎてございましてよ。

■ギャップ部門:『Desta: The Memories Between』(PC)
オシャレなビジュアルの中、登場キャラクター全員がコテコテの関西弁で喋りまくるとか、これにギャップを感じないことの方が無理あるわ!というか、どうしてこんな日本語訳になってしまったのか。

■キャラクター部門:津詰徹生(『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』)
強面で渋い雰囲気を醸し出しているのに、中身は若くてお茶目とか、こんなの2023年のベストキャラクターに挙げずしてどうしろと。(実際は黒鈴ミヲも有力候補だったけど、最終的にツッコミのキレの良さで軍配)

■グラフィック&ビジュアル部門:『御伽活劇 豆狸のバケル ~オラクル祭太郎の祭難!!~』(NS)
色遣いの鮮やかさもさることながら、特定のステージ限定のグラフィックまであるという異様なこだわりに唸った。しれっと『モンキーバレルズ』のネタが紛れ込んでいたのにもニヤリ。

■ミュージック部門:『Redemption Reapers(リデンプションリーパーズ)』(NS)
他にも『Gravity Circuit』、『ルナーラックス』、『ゆめいろユラム』という強力すぎる候補があり、過去イチでどれをベストにするかで悩んだ。最終的にサントラ欲しさで資料集も付いた限定版に突貫した経緯からこちらに。

■アイディア部門:『F-ZERO 99』(NS)
19年ぶりの新作という点でもインパクトは大きかったけど、バトルロイヤルゲームへと昇華させた発想はまさに「その手があったか!」。間違いなく『F-ZERO』の新境地を切り開いた作品だったと思う。

■残酷部門:『SHINOBI NON GRATA』(PC)
ボスの多くが四字熟語と共に散っていくその様……ではなく、終盤付近のアレが残酷すぎた。
というか、多少ネタバレだけど、実績にしなくていいでしょうよ……。(褒めてます)

■癒し部門:『役づくりパズル ゆめいろユラム』(NS)
キャラクターもさることながら、音楽も可愛らしい楽曲揃いで紛うことなき癒しだった。

■どうしてこうなった部門:『帰ってきた 名探偵ピカチュウ』(NS)
2016年配信の『新コンビ誕生』から追ってきた身としては、本当に「どうしてこうなった」としか言い様がない完結編。ストーリーがあまりにも雑で、こじんまりとしすぎ。特に人間側の重要キャラクターの掘り下げ不足と扱いの酷さはあんまりで、おかげで真相に迫る終盤が全然盛り上がらない。演出的にも2018年発売の前作からパワーダウンしているどころか、前時代的なぎこちなさ(特に3Dモデルの動きや表情周り)が凄く、「この時代に出すゲームか、これ……?」と悪い意味でビックリした。ストーリーでは他にも前作から2年が経っているという設定も全然活かせていないし、真相に迫る完結編なのに、前作でティムとピカチュウをサポートしたベイカーとアマンダが未登場というのも訳が分からない。ポケモンと協力する謎解きも全体的にテンポの悪さが否めず、サブイベントも攻略することによる旨味が皆無に加え、内容的にもお使いばかりで水増し感が否めなかった。
ただ、謎解きの難易度は丁度いい塩梅。テンポの悪さはあれど、他のポケモンの台詞を聞けるという協力パートの仕掛けも面白く、つい寄り道したくなる楽しさがあった。あと、実写映画版『名探偵ピカチュウ』のネタが随所にあったのも好印象。例のポケモンの登場のほか、姿を見せずに”あのキャラクター”を登場させる表現には思わず唸った。そして、ポケモンが人間の世界で暴れる恐怖も健在。ただ、迫力に関しては前作に軍配が上がってしまう。仮にも3DSより性能が上回るゲーム機で地味というのもどうなんだ……。
決して駄作ではないが、散々引っ張ってきた完結編がこんなにこじんまりとした作品だったというのは素直にショック。同時にゲーム版『名探偵ピカチュウ』は、シリーズ展開の仕方を盛大に誤った失敗作になってしまったと思う。そもそも、こんなにストーリーになるなら、前作で完結させておいた方が明らかに良かった。本当、前作を含めてあらゆる意味で実写映画版の足元にも及ばない存在となった印象(むしろ、実写映画版こそが『名探偵ピカチュウ』の本家本元にして原作だと言ってもいいぐらい)。どうしてこうなったのか。

実は「どうしてこうなった部門」には別候補で『Gripper』なるタイトルもあった。ただ、物申したいことの多さから『帰ってきた 名探偵ピカチュウ』を選んでしまった感じです。というか、単純に出来の深刻さなら『Gripper』が上だったりするんだが……正直、これは黙殺が望ましいということで、これ以上は何も書かないことにする。

そんな感じの2023年でした。
しかし、結果的に2023年が舞台の『パーフェクトダーク』のリメイクは発売されずだったな……。代わりに前身の『ゴールデンアイ 007』は『NINTENDO64 Nintendo Switch Online』で復刻されたけど。

2023年は1~2月を新作、旧作共にゲーム購入を自粛する期間にしたが(メトロイドによって覆されたが)、2024年はこれまで通り、新作と旧作共にゲームの購入が発生する。

今のところ、新作第1号は『アナザーコード リコレクション:2つの記憶 / 記憶の扉』になる見込み。その次にも久しぶりに買うことを決断した『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』が控えている上、2月にも2~3本の追加が発生予定だったりと、ラッシュが起きそうな状況になっている。
それだけに当日プレイできずに積むタイトルも多発しそうな懸念があるが、なるべくそれは避けるよう、そして出したとしても今年ぐらいの比率を維持できるようにしたい。

そんなこんなで、2024年も素敵な新作、旧作との出会いが沢山あることを願って。