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≫スペースインベーダーエクストリーム2
■発売元 タイトー
■ジャンル シューティング
■CERO A(全年齢対象)
■定価 3990円(税込)
■公式サイト ≫スクウェア・エニックス:紹介ページ
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 1つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ&ダウンロードプレイ対応、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応、DS振動カートリッジ対応、パドルコントローラDS対応
■総説明書ページ数
■推定クリア時間 1時間〜3時間(エンディング目的)、15〜20時間(完全攻略目的)
クールで楽しく、新しい現代型スペースインベーダー。
更なる進化を遂げて再登場。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆上画面でもゲームが展開するようになり、よりDSらしさが強化されたゲームシステム
◆上画面で並行展開する仕組みになり、メインステージの進行を妨げないものへと進化した『ラウンドゲーム』
◆ラウンドゲームのシステム変更で、大幅に向上したゲームテンポ
◆DS限定だからこその、二画面をフルに活かすアイディアが炸裂したボス戦
◆ボス戦で敗北してもそこから復帰できるようになり、シビアさが大きく緩和されたコンティニューシステム
◆役ことフィーチャーの作り方次第でスコアアップが狙える、強烈な奥深さを醸し出した新要素『ビンゴシステム』
◆前作以上に演出がド派手になって爽快感も増した、フィーバータイム
◆敵配置がよりトリッキーなものとなり、個性が強化された全ものステージ
◆インベーダー史上初にして驚愕の『萌えキャラ』ステージの存在
◆インベーダー初心者には嬉しい新要素、低難易度モードこと『イージーモード』
◆イージーモードの追加で、前作以上に懐が広くなったゲームバランス
◆前作譲りのインベーダーシリーズの伝統に則った、快適な操作性
◆隠し難易度モード、スコアアタックと、数は少ないが手応えは確かなやり込み要素
◆前作同様、スコアアタックの面白さを際立たせる、Wi-Fiのランキングシステム
◆インタラクティブな演出とスピード感溢れる旋律が異彩を放つ、良質の音楽
◆背景グラフィックの強化と共に更に仰々しく、派手派手になったエフェクト演出

--- Bad Point ---
◆上画面でも展開する事になった影響で、忙しさも増したゲーム展開
◆派手になり過ぎたグラフィック(そのせいで弾が背景と同化することが…)
◆古きインベーダー経験者には賛否の分かれる、萌えキャラステージ
◆前作と同様、賛否の分かれる少なめの総計ボリューム
▼Review ≪Last Update : 12/27/2009≫
インベーダー、萌えの境地へ!

しかし、それを見たオールドゲーマーは固まるかもしれない。


タイトーの看板タイトルにして伝説的なシューティングゲーム、『スペースインベーダー』を現代風にアレンジし、コアなプレイヤーのみならず海外のユーザーからも称賛された『スペースインベーダーエクストリーム』の続編。

前作の持ち味はそのままに、DSらしさが強化されて更に面白くなった続編だ。

ゲーム内容は前作と同様。縦方式のステージクリア型シューティングゲームで、機体を操り、画面上部から迫り来るインベーダーを撃墜していくというものだ。
機体のパワーアップシステム、パワーアップアイテムを出現させる為の役を作る『フィーチャー』、2つの役を作った後に出現するフラッシングUFOを撃墜する事でプレイ可能となる『ラウンド』等、システムも前作を踏襲している。
また前作はニンテンドーDSだけでなく、プレイステーションポータブル(PSP)版もリリースされたが、今回の続編はDSだけ。そういう事もあって、今回は全体的なゲームデザインがよりDSライクなものへシフトされている。
その象徴的なものと言えるのが『ラウンド』だ。前作のラウンドは、スタート時にメインステージの進行がストップし、別画面となって展開される形式となっていた。対し今作では、上画面にてラウンドステージが展開される形式へと変更され、メインステージの進行が止まらなくなった。上下で同時進行するという、DSの二画面を最大限に活かしたものへと進化したのである。上下二つの画面を見なければならなくなった事により、忙しさも進化してしまっているのだが、この変更の恩恵でゲームテンポは爆発的に向上。前作のようにメインステージの進行に釘が刺されなくなったので、大変快適なプレイが終始、楽しめるようになっている。スコアなどの情報表示に徹していた前作と比べたら、大変な進化。自然な形でDSの二画面を活かしている。まさに、今回DSだけのリリースに絞り込んだだけにある大化けと言えるだろう。
また、今回から新たに加わった新要素『ビンゴ』も、そんなDSの二画面だからこその独自性が発揮された仕上がりとなっている。概要は至ってシンプル。ラウンドが始まる前に作られた『フィーチャー』の色の組み合わせが、ラウンドクリア時に表示される3×3のビンゴパネルの中にあった時、そのパネルが点灯する。そして、そのパネルが縦横斜めのいずれかで3つ連続で揃う(点灯する)と『スーパーフィーバータイム』なる、ラウンドクリア時のフィーバータイム以上のスコアアップのボーナスタイムがスタートとなる…というものである。
凄く簡潔に言えば、ラウンド以上のボーナスタイム…と言ったところだ。前作だとフィーチャーは単なるラウンド開始の条件に過ぎなかったが、今回は更にその先まで反映され、大きなスコアアップチャンスが作れるように。それによって、フィーチャー自体の色を「二つ揃えれる」という行為自体にも奥行きが加わり、より戦略的なプレイが楽しめるようになっている。
まさにフィーチャーの新しい可能性を発掘させた、ターニングポイント的な新要素と言っても良いだろう。ただの新要素として独立させず、他のシステムにも影響を与えるその作りには感服する。メインステージ進行と並行させて揃え難いバランスとし、『スーパーフィーバータイム』の快感を高める調整となっているのも、さすがはリスクとリターン性に秀でた、インベーダーらしい作りだ。パネル表示時にメインステージ進行が止まらず、同時進行で表示させるなど、DSの二画面を活かした配慮がされてるのも今回のDSだけに絞った恩恵が滲み出ていて面白い。
このように、基本システムは前作と一緒だが、DSらしさを強化。見た目は大分、変わったがその恩恵により、ゲームテンポが向上し、スピード感が高められた内容に大化けしている。前作もインベーダーらしからぬスピード感はあったが、今回はその2倍に跳ね上がった感じである。文字通り、『2』だけに。

そんな今作の売りは前作と同様、新しいのにインベーダーのゲーム性と面白さにブレが無い、新しさと懐かしさの絶妙な融合…であるが、それと同時に前作以上に人を選ばなくなったというのがある。厳密にはゲームバランスの事で、今回、新たに『イージーモード』という初心者向けの難易度が用意され、シューティングが苦手な方も安心して遊べる内容へ進化したのだ。その為、前作よりも敷居が大幅に低下。面白いという評判は聞くけど、シューティングはどうしても苦手で…という方でも難なく遊べる、万人向けのカラーが強い内容に進化している。
単に、間口が広くなっただけではない。イージーを除く、全体のバランスも大きく改善され、より遊び易いものへとパワーアップしている。何よりも、これは通常難易度もだが、コンティニュー周りが改善されたのがでかい。前作ではボス戦でゲームオーバーになると、またそのステージの最初からになるシビアな仕様だったが、今回はボス戦からの再開となり、精神的負担が軽減されたのである。その恩恵で今回は、例え腕が悪くても諦めない気持ちさえあれば、クリアは必ずできるように。諦めない気持ちと耐え抜く根気までもが要された前作を考えれば、凄く気軽にチャレンジできるようになったと言える。前作のコンティニューシステムはレビューでも語っていた通り、確かに色々と問題だったので、この改善は素直に嬉しい。最初からやり直しになるシビアさも、それはそれで高い達成感を演出していて、捨て難いものがあったが、さすがに繰り返しやるにはしんどいものがある。それだけに、この判断は正解である。
更にステージ全体の構成も、ラウンドが進行の邪魔をしなくなった恩恵によりスピード感が高まり、遊び易いものへと進化している。全体の長さも、ラウンドの邪魔が入らなくなった恩恵で適量となり、水増し感が薄れたのも良い感じだ。
ボス戦もまた、リトライの敷居が下がって戦い易くなったのみならず、DSらしい特性がフルに活かされた仕上がりになってるのが素晴らしい。ボス一体一体の個性も前作以上に強められており、見た目のインパクトもかなりのもの。戦闘自体もDSに絞り込んだこその面白さに秀でており、一画面構成では到底味わえない手応えを提供してくれるだろう。
そして、今作の醍醐味とも言えるスコアアタックも、バランス周りが改善された事で、よりのめり込めるものへと進化したのも嬉しい改善点だ。ラウンドがメインステージと同時進行になったので、テンポ良く得点稼ぎに集中できるし、『ビンゴ』を始めとする更なるチャンスも加わり、戦略面において奥行きと中毒性が広まっているところは、前作をやり込んだプレイヤーならば、たまらないものがある。
相変わらずなシンプルな得点を稼ぐ事の面白さは、今回も鉄板のクオリティで、見た目は新しくても中身は昔と変わらないという、前作と同様の魅力に秀でているのは、本当に素晴らしいとしか、他に言い様が無いほどだ。
大群のインベーダー達を撃墜するパワーアップアイテムによる攻撃の爽快感、多彩な攻撃を仕掛けてくるインベーダー達などの魅力も、一切失われてなく、前作そのままの面白さとクオリティを保ってるのもさすが。
DSだけでリリースするという事で、ゲームデザイン的にアレンジを加える上、前作で問題とされた箇所もきちんと修正し、尚且つ基本的な面白さも守り抜く(より面白くする)という、この徹底振り。全体的な見た目は、二画面を駆使するそのスタイルもあり、少し別物となっているのに、ちゃんと続編らしい内容に仕上げられているのは、見た目を変えてもこのゲームは『スペースインベーダーエクストリーム』なんだという、こだわりの現われか。
DSだけに絞った故の「らしさ」も出す上で、続編としての正統進化も行う丁寧な仕事ぶりには、本当にプロの技というものを思い知らされる。さすがはインベーダーというゲームの魅力を殺さず、21世紀向けに絶妙にアレンジさせる手腕を持つ製作スタッフが作っただけにある。前作もそうだったが、このバランスの良さには感心させられるばかりだ。

その他、操作性も前作と同様のシンプル且つ快適なレスポンスを演出。今回も別売の『パドルコントローラDS』に対応しており、昔ながらの感覚でプレイすることが可能。オールドファンへのファンサービスも万全だ。
全体的なボリュームも前作と変わらないが、スコアアタックやWi-Fiコネクションのスコアランキングチャレンジなど、やり込み要素は充実しているので、物足りなさを感じることはほぼない。前作にもあった隠し難易度等のスペシャルチャレンジもあるので、フォローも万全だ。
そして、前作最大の魅力の一つでもあった、インタラクティブな演出が凝らされた音楽は更に磨きのかけられたものへと進化。スピード感の高まった本編のステージ構成と相まって、爽快感に更なるアクセントが加わったものに化けている。
曲自体もメロディアスなものが満載で、インタラクティブ系の音楽に有りがちな印象に残り難い空気な一面が無いのも秀逸。特にインベーダーシリーズ前代未聞の『萌えキャラ』が出て来るステージで流れる曲は要チェックだ。
そんな感じに音楽は素晴らしい進化を遂げているのだが、逆にグラフィックは進化し過ぎて劣化すると言うありえない様に。厳密には派手に作り過ぎて、インベーダーの弾が見え難くなるという副作用を生む要因になってしまっているのだ。幸いにしてオプションで画面の明るさを調整する事もできるのだが、それでも総じて派手過ぎる感は否めない。今回は著名アーティストがグラフィック全般を描いているのだが、それが返って災いした格好である。見た目も良いけど、もっとゲーム部分との調和もきちんと考えて欲しかったところだ。あと、グラフィックの中に一部、先も紹介したが『萌えキャラ』のものがあるのは、熱心なインベーダーファンなら賛否が分かれるだろう。

そんなグラフィックは悪化してしまったが、エフェクトなどの演出全般はなかなかのもの。シンプルながらもクールな色使いとデザインが成された、印象深いものに仕上げられている。また、女性から男性へ変わったナレーションボイスも、熱いものとなっている。女性の方が良かったという方には賛否が分かれるかもしれないが…。
ともあれ、前作以上にバランス周りが改善され、尚且つゲームデザインのDSらしさも強化され、総じて大変魅力溢れる続編に仕上げられている。イージーモードの導入で敷居も低くなり、気軽に遊べるようになったのも大きな強み。
インベーダー特有のゲーム性もそのままで、まさに正当進化系というに相応しい出来を誇る今作。前作と同様、DSを持ってるユーザーなら是非、プレイしてみて欲しい逸品だ。今回も申し分無しの名作なのでオススメ。買って損は無い。
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