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≫スペースインベーダーエクストリーム
■発売元 タイトー
■ジャンル シューティング
■CERO A(全年齢対象)
■定価 3990円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 1つ(※フラッシュメモリバックアップ)
■その他 DSワイヤレスプレイ&ダウンロードプレイ対応、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応、DS振動カートリッジ対応、パドルコントローラDS対応
■総説明書ページ数 37ページ
■推定クリア時間 1時間〜3時間(エンディング目的)、15〜20時間(完全攻略目的)
インタラクティブなサウンドと躍動的なビジュアル。
30年の時を経て、スペースインベーダーが新たな進化を遂げる。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆スペースインベーダーシリーズ特有の攻防の面白さにスコアアタックを熱くする要素、現代的な演出を絶妙に絡み合わせた、完成度の高いゲームシステム
◆同じ色を揃えてパワーアップアイテムを出現させる、パズル的な面白さと仕組みが新鮮な新要素『フィーチャー』
◆シリーズのイメージを一新する、派手な攻撃の数々が印象的な自機のパワーアップ攻撃(各攻撃もレーザーからワイドショットなど、仰々しいものが多い)
◆インベーダー達を一気に撃墜する、シリーズ異質の爽快感に満ちた『フィーバータイム』
◆従来タイプから突撃、自爆タイプまで大幅にバリエーションが強化されたインベーダー達
◆DSの二画面構成を巧みに活かした戦闘内容と演出が面白い、ステージ終盤のボス戦
◆個々の新要素の恩恵で無駄に盛り上がる上、中毒性が半端無いスコアアタック
◆スコアアタックの熱中度をより高める、Wi-Fiコネクションによるランキングシステム
◆構成は単純だが、敵配置とその種類で大いに魅せてくれる全ものステージ
◆絶妙な歯応えに富んだゲームバランス(隠しで高難易度も収録)
◆インベーダーシリーズの伝統に則った、快適でシンプルな操作性
◆シンプル且つスタイリッシュなデザインが異彩を放つ、独特のグラフィック
◆本編の爽快感を後押しするインタラクティブな演出が光る、秀逸な音楽(純粋に曲としてのクオリティも高い)
◆独特のデザインを際立たせる色使いが印象的なセンス溢れるエフェクト演出

--- Bad Point ---
◆本ステージの進行が中断させられる仕組みの『ラウンドゲーム』(その為、1ステージの攻略時間がかかる)
◆ラウンドゲームの仕様上、やや悪い感が否めないステージ進行のテンポ
◆シビアなコンティニューシステム(ボス戦で負けてもステージの最初から)
◆シューティング初心者にはやや厳しい感のあるゲームバランス
◆賛否分かれる、少ない総計ボリューム(スコアアタックが主体のゲームなんで、この辺は仕方が無いところがある)
▼Review ≪Last Update : 11/8/2009≫
インベーダー、クールに転身!

新しさと懐かしさの融合がここに。


タイトー製作の伝説的シューティングゲーム『スペースインベーダー』のシリーズ生誕30周年を記念してリリースされた、完全新作のスペースインベーダー。DS、PSPでリリースされたパズルアクションの傑作、『EXIT』を手掛けたスタッフが開発。

懐かしさと新しさが絶妙なバランスで融合した、奇跡の大傑作だ。

ゲーム内容は、過去のインベーダーシリーズに準拠する、縦方式のシューティングゲーム。機体を操作し、画面上部より迫り来るインベーダー達を撃墜していく、お馴染みのものだ。
だが、今作のゲームシステムは、過去のインベーダーと劇的に異なる。上画面から迫り来るインベーダーを撃墜していく仕組みこそ、いつものインベーダーだが、細かいところに新たな味付けが加えられている。
まず第一に機体のパワーアップシステム、『フィーチャー』と呼ばれる要素の追加。
パワーアップシステムは、過去の『スペースインベーダー 復活の日』等にもあったが、今作ではパワーアップは全4種類(貫通レーザー、ボム、ブロードショット(ワイドショット)、シールド)、並びにパワーアップ中の攻撃は決められた時間の内でしか行えないと言ったアレンジが施されたものを起用している。また、パワーアップする際には例によって、アイテムをゲットする必要がある。ただ、このアイテムを出すに当たって、今作ではインベーダーで「役」を作らねばならない。それが、もう一つの新要素『フィーチャー』。今作では、敵であるインベーダーが色分けされており(赤・青・緑・白・黒の計5色)、白を除く、同じ色のインベーダーを4体連続で撃墜すると「役」ができる。そして、役ができるとパワーアップアイテムが落ちてくるという、パズル的な要素が導入されているのである。更にこの『フィーチャー』は単に、パワーアップアイテムを出す為の要素ではない。そこで第三の新要素『ラウンド』の紹介となる。役は、最高2つまで作る事ができ、最初の一回目は先の通り、パワーアップアイテムの出現がその効果として現れる。では、更にもう一つ作った場合は?画面上に『フラッシングUFO』と呼ばれる点滅するUFOが出現し、撃墜する事で『ラウンド』と呼ばれる、スペシャルステージが遊べるようになるのだ。『ラウンド』はいわゆるミニゲームで、制限時間内に指定のインベーダーを倒す等のチャレンジをする事になる。
そしてそのチャレンジに成功すると、『フィーバータイム』というのが始まる。また新たな第四の要素が出てきたが、これは文字通りにボーナスタイム。一定時間の間、強力なパワーアップ攻撃が可能になり、インベーダーの編隊を撃墜し易くなるのだ。この状態で、UFOを撃墜すると『ジャックポット』なるボーナス得点が獲得できる。ジャックポットはUFOの色によってボーナスが異なり、黄色のUFOだと『スーパージャックポットボーナス』なる、高得点を得ることが可能。スコアアップのチャンスにもなるので、高スコアを狙いたい時の大きなカギとなってくる。なお、『フィーバータイム』の制限時間は『ラウンド』の内容と、『スコアレート』の状態によってその長さが変化。『スコアレート』はいわゆる、インベーダーを連続して倒した際に溜まる『ゲージ』で、繋げれば繋げるほど、得点にかかる倍率が増していくようになっている。更に繋げる事で、機体の通常攻撃の発射速度も早くなるなど、他にも様々な効果を得る事が可能だ。
ザッとここまで、一通りの流れを紹介してきたが、要素てんこ盛りなインベーダーというのが想像できると思う。基本のゲーム性は、従来のインベーダー。だが、随所にスコアアップに繋がる要素等が仕込まれており、詰めに詰めるとスルメ的な味わいが増していくようになっている。普通にやるとシューティングゲームだが、いざ入れ込んでプレイするとパズルゲームになる…と言ったところだろうか。未体験の奥深さを導入した、深みのあるアレンジが加えられた内容に仕上げられているのである。そのゲームに奥行きを与えるアレンジの数々は、何処と無く現代風味。まさに、次世代スペースインベーダーと言っても良い、意欲的な内容となっている。
ちなみに紹介が遅れたが、今作はゲームの展開も別物。インベーダーの編隊を撃墜しながら、ステージ終盤で登場するボスを倒せばステージクリアとなる、これまた現代的なものになっている。従来のように延々とインベーダーを倒していくタイプのものでは全くあらず。これだけでも、今作の「別物感」が強く現れていると言っても良いだろう。

そんな現代的なアレンジが沢山仕込まれてる今作だが、肝心のスペースインベーダーとしてのゲーム性、面白さには全くブレが出てない。それどころか、基本的な面白さはきちんと残した上で、新たな面白さ(価値観)が演出されている。懐かしさと新しさが絶妙なバランスで融合された、美し過ぎる仕上がりになっているのだ。その出来栄えこそが今作最大の売りにして、最も衝撃的な部分である。
何故、そんな絶妙なバランスで仕上げられているのか。その訳は何と言っても、各種新要素がインベーダーシリーズ特有の「攻防の面白さ」を念頭に置いた設計が行われている事にある。そして、あくまでもメインはインベーダーとの攻防だと明確に打ち出したゲームデザインが図られているのも、その一つと言えるだろう。
特に新要素はどれも新しい味も出しつつ、インベーダーの攻防の面白さに繋がる設計で作られてるのが、実に素晴らしい。『フィーチャー』にしろ、『フィーバータイム』にしろ、攻防を制するものが得られるものとして機能しているので、インベーダー特有のゲーム性と上手く合致しており、何ら破綻していない。
また、各種要素はそれまでのインベーダーには無縁だった、「爽快感」と「スピード感」を加味したという点でも非常に大きい。過去、チマチマと倒すしかなかったインベーダーが一網打尽にできるようになったのは、過去、インベーダーの群れを全滅できなかったオールドユーザーからして見れば、アドレナリン大放出だ。強力な攻撃が可能となったおかげで、インベーダーを撃墜し易くなったのも、シリーズ未経験者や初心者に対する救済処置としては申し分なしである。
また、『パワーアップ』の効果は一定時間しかないというのも上手い調整だ。無双的な遊びはあくまでもおまけで、肝は地道な攻防という、インベーダーのゲーム性を見事に活かしている。これが仮にミスしない限りずっと使い続けるとかだったら、インベーダーとしてのゲーム性は失われていただろう。そんなゲーム性をきちんと残すのを前提とし、更に新要素の魅力もなるべく殺さないようにする設計を行った今作のスタッフは、本当に凄過ぎるとしか他に言い様が無い。まさに、プロの技と言うべきだろう。
各種新要素の追加で、更なる奥行きが加わったスコアアタックの面白さも格別だ。コンボ(チェイン)を繋げてインベーダーを撃墜していく事で得点が増えていくシステムと言い、ジャックポットボーナスと言い、どの要素もギリギリまで高い得点を目指す、不変の面白さを演出している。得点を高める要素が無駄に多い故、中毒性も非常に高く、「どう意識してインベーダーを倒し続ければ、フィーバータイムで稼げるか?」と言った感じに、シューティングでありながら、パズル的な考える面白さが出ているのも、新鮮な味わいがある。自らの限界に挑戦する面白さをとことん追及できる為、そんな要素を徹底してつぎ込むスタッフも、本当に(良い意味で)憎たらしい。
それでいて、先の爽快感へと繋がる工夫が徹底されているのもさすが。『フィーバータイム』がそれだが、弾を乱射してインベーダーの大群を撃墜する面白さも味わえる上、何処までスコアを伸ばせるかと言った奥深いチャレンジも味わえるなど、その二面性を活かした作りには全く持って驚かされるばかり。ちゃんと新しい価値観も出した上で、不変の面白さを残すその作りの上手さは、繰り返しになるが、プロの技だなと感心するばかりである。
新しさと懐かしさを融合させたゲームというと、どうも巷では新しさが優先されるばかり、別物になっているものが多い。逆に、懐かしさを優先し過ぎたばかりに、今の時代にそぐわぬ内容となり、もはや遊ぶに耐えぬ出来へ落ち着くものもある。そんなのが出来てしまうのも、結局は昔を守る以前に、今の時代を意識し過ぎてしまう事にあると思われる。
そんな失敗例が多い同コンセプトのゲームの中で、今作が最高の成功例であるのは、もはや鉄板だ。懐かしさは全く失われず、新しさもきちんと発揮されている完成度の高さ。これをそれらの成功例と言わずとして、何と言おう?

更に操作性もシリーズの伝統に則ったシンプルな操作感を継承。別売の『パドルコントローラDS』にも対応するなど、オールドユーザーへのファンサービスも効いており、なかなかニクい。バランスも練り込まれている。難し過ぎず、それでいて優し過ぎず。シリーズの不変さを物語るこの調整の上手さは、まさに職人技だ。ただ、ボス戦でミスをすると、ステージの最初から始まる仕組みはちとシビア過ぎ。ここはもう少し、緩くして欲しかった。
また、ボリュームは少なめ。ただ、スコアアタックやWi-Fiコネクションによる競い合いなど、長く遊べる為の工夫は整っているので、消化不良にはなり難い。隠し難易度など、その辺のサービスも行き届いているので心配無用だ。
グラフィックもシンプルながら、スタイリッシュなデザインとなっており、凄くカッコイイ。何処と無く近代的なそのデザインには、思わず見とれてしまうかもしれない。
音楽もインタラクティブサウンドという事で、ゲームの流れに応じてメロディが変化する仕掛けが凝らされてるのが気持ち良い。本編の爽快感にもアクセントを加えていて、単に敵を倒すだけでも楽しい面白さがある。また、曲自体もインタラクティブな仕掛けがありながら、ワリとメロディアスなものが充実。単に空気な曲に仕上げてないところに、タイトーらしいこだわりが光っていて秀逸だ。エフェクトなどの演出面も言うまでも無くド派手。単純なデザインでも色使い次第で綺麗に見せられるというのを、思い知らされるだろう。海外の女性ボイスによるナレーションも雰囲気満点だ。

インベーダーとしてのゲーム性は失わず、そこに新たな面白さを加えた絶妙な仕上がりが見事なこの『スペースインベーダーエクストリーム』。やや難易度が高めなのと、全体のボリュームが人によって好みが分かれるかもしれないが、完成度の高さはもはや折り紙付きと言っても良い。
それのみならず、次世代スペースインベーダーとしての中身の濃さ、新しさと懐かしさを巧みに取り入れたゲームデザインの上手さなど、単純にゲームの作り方の面で見ても、かなり学ばされるところが多い。真の意味で元の魅力を損なわず、時代に沿った進化を取ったゲーム。それを今作では体験する事ができる。インベーダーを遊び込んだプレイヤーも、未経験の方…もとい、DSを持ってるユーザーも是非、今作はプレイしてみて欲しい。
こいつは本物の名作である。買って損は無い。超オススメ!
また今作はプレイステーションポータブル版、Xbox360版(LIVEアーケード)も発売されている。PSP版だけ、音楽の仕様がDS版とは大幅に異なるが、両方とも内容には大きな変更点は無い。そちら二つも並行して要チェックです。
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