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≫パーフェクトダーク


■発売元:任天堂 / ■開発元:レア / ■ジャンル:3Dガンアクション /
■CERO(※): Z(18歳以上のみ対象:暴力・出血・過度な犯罪描写あり) /
■定価:5800円(税別)、7800円(税別:メモリー拡張パック同梱版)

◆公式サイト / ストアページリンク(ダウンロード版)
≫パーフェクトダーク(任天堂公式サイト)
≫パーフェクトダーク(Xboxプラットフォーム:リマスター版)

※Xbox 360のリマスター版で設定されたレーティングを反映。
▼Information
■プレイ人数:1~4人 / セーブデータ数:4つ(※コントローラパック使用時にさらに4つ追加) /
■その他:メモリー拡張パック専用(※メモリー拡張パック、ハイレゾパックがないとプレイ不可
振動パック対応、コントローラパック対応(28ページ使用) /
■推定クリア時間:7~11時間(エンディング目的)、180~200時間(完全攻略目的)

▼補足情報:パーフェクトダーク(ゲームソフト備考録)
西暦2023年、人類は科学の進歩と共に繁栄の一途をたどっていた。
科学者「ダニエル・キャリントン」の開発した『反重力テクノロジー』はその象徴で、彼はこの技術などで得た資金をもとに兵器開発・諜報活動を行う『キャリントン協会』を設立。世界各地での最先端技術の開発状況を調査していた。

そんな中、兵器関連企業『データダイン』の奇妙な急成長が確認された。
同企業は2023年現在の水準では考えられない、高度な技術を用いた武器を相次いで開発していたのである。

キャリントンは同社に疑念を抱き、真相を突き止める策を考えていた中、データダインの本社から『ドクター・キャロル』なる人物からのSOSが送信されてくる。これで同社を調べるきっかけを得たキャリントンは、完璧なテスト成績で『パーフェクトダーク』のコードネームを持つ新人エージェント、「ジョアンナ・ダーク」に出動命令を下した。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆潜入スパイらしく、敵を引き付けないよう静かに敵を倒し、任務を遂行することを推奨するゲームデザイン
◆前作『ゴールデンアイ 007』をそのまま踏襲した、秘密工作から銃撃戦まで多彩なイベントを設けたステージ構成
◆変装による別人物へのなりすまし、盗撮など、よりスパイらしさが強化されたステージごとのミッション
◆実在する市街地、秘密基地、果ては海底遺跡に宇宙船と、より個性的になったロケーション
◆大声を出して近くにいる敵兵を呼び出すなど、より人間臭い動きと戦術で攻めてくるようになった敵兵
◆ミッションの対象が近くにある際、音声で伝えてくれる便利なナビゲーション機能
◆基本操作の解説から各種武器の使い方まで、幅広く教えては練習もさせてくれる新要素兼拠点の『キャリントン協会』
◆ノートPC型のマシンガン、貫通型狙撃ライフルなど、ぶっ飛んだものまで用意された全42種類もの武器
◆手にしている武器を全く違う形で扱える面白さ、攻撃の変化が印象的な新要素『第二武器モード』
◆ぶっ飛んだ武器の登場も相まって、さらに白熱度と爆笑度が強化された最大4人参加可能な対戦モード
◆1人でも対戦プレイの醍醐味が味わえる、贅沢な新モードにしてやり込み要素でもある『チャレンジモード』
◆前作『ゴールデンアイ 007』譲りの手にしっかりとフィットする手触りと絶妙なボタン配置が光る操作系
◆ストーリー重視、スパイらしさ重視の異なる遊び応えが表現された3種類の難易度とその調整具合
◆光源の処理が派手になったほか、背景の掻き込みも細かくなったグラフィック
◆どことなく哀愁漂う戦慄、状況に応じた曲調の変化といった仕掛けで楽しませてくれる珠玉の音楽
◆相も変わらず、全要素をやり尽くそうとすれば10倍以上に膨れ上がる全体のボリューム

--- Bad Point ---
◆ダメージを受けた際の無敵時間が無くなった影響で、硬派さが際立った難易度(特に最高難易度は前作以上の鬼門)
◆戦術面のパターン化を防ぎ、武器ごとの個性を表現してはいるものの、若干の蛇足感も否めないリロード時間の概念
◆本編『ソロ・ミッション』中盤以降におけるストーリー展開と演出の失速(一部の描写がぶつ切りにされたまま進む)
◆難しさが突出している「宇宙船」ステージ序盤(最高難易度時に最も顕在化。海外版にあった武器が別の武器に差し替えられ、現れる敵に対処しにくくなってしまっている)
◆細かいルール設定が可能になった反動で、手軽に遊べる魅力が薄まった対戦モード(一応、お手軽設定もあるが……)
◆全体的に狭いフィールドに集中しすぎているきらいのある対戦モード専用ステージ
◆CPU操作の「シミュラント」を加えた際における対戦モードでの激しい処理落ち
◆FPSの宿命とも言える”3D酔い”の懸念
◆ROMカセットながら、なぜか5~10秒ほど発生するロード時間(ソロ・ミッション時に散見される)
▼Review ≪Latest Update :1/29/2023 | First Publication Date:11/15/2008≫
人類は常に”監視”され続けている……。

それも地球から離れた宇宙のどこかから……。


海外で800万本以上を売り上げるという、爆発的な大ヒットを記録した3Dガンアクションゲーム(FPS)『ゴールデンアイ 007』のゲームエンジンを基に作られた完全新作兼続編的な作品。開発は『ゴールデンアイ 007』に引き続きレア社が担当。

若干、盛り込みすぎな部分はあれど、続編らしい順当なパワーアップを遂げた良作だ。
『ゴールデンアイ007』のゲームエンジンを基に作られているため、その基本的なゲームの内容はほとんど同じ。1人称の主観視点で展開する3Dガンアクション(FPS)である。プレイヤーはキャリントン協会所属のエージェント『ジョアンナ・ダーク』になり、秘密工作、ターゲットの暗殺、盗撮といったミッションの数々をこなしていく。

ゲームモードの構成も1人用の「ソロ・ミッション」、対戦モードの「コンバット・シミュレータ」と名称こそ異なるが、『ゴールデンアイ007』と同じ。ただ続編だけに、いずれも細かな面においてバージョンアップが図られている。

特に『ソロ・ミッション』は、ステージごとに設けられた各種ミッションの”スパイらしさ”が大幅強化。衣装を着て他人になりすましたり、「カムスパイ」なる独自カメラを操作し、人間では入れないところに設置された装置、敵の会合を盗撮したり、更にはコンピュータウィルスを敵の基地に設置された端末に流し込むなど、いかにもスパイらしい潜入工作が楽しめるようになっている。

ステージのロケーションも前作以上に多彩になっている。市街地、企業ビル、艦船といった現実的なものに加えて、深海の遺跡、大統領専用旅客機、果てには宇宙船までもが潜入工作の舞台として登場する。いずれも近未来を舞台にしている作品ならではの大盤振る舞いといった感じだ。同時に原作付き作品だった『ゴールデンアイ 007』とは違う、完全オリジナル作品ならではの強みも発揮されている。秘密基地以外は現実順序でリアル志向な感じだった『ゴールデンアイ 007』のロケーションに関し、僅かながら物足りなさを感じていたプレイヤーも、今回は「もう十分です」と言いたくなるぐらいにお腹いっぱいになれるだろう。「大統領専用旅客機」、「エリア51」など、随所に著名な映画のパロディが仕込まれているのも大きな見所である。
だが、『ソロ・ミッション』において最も著しく進化したのはナビゲーションの強化である。今回は各ステージでミッションを行うポイント付近に来ると、仲間からの通信、その場にいる敵兵たちの会話が音声付きで挿入されるようになったのだ。これにより、ステージ内でどのようなミッションをこなし、どこへと向かえばいいのかが格段に分かりやすくなった。加えてメニュー画面には前作と同様、テキストによるミッションの詳細な概要も掲載されているので、聞き逃してしまった際の対策も万全。3種類の難易度によるプレイヤーの腕に応じた救済処置もバッチリで、巧みの技が光る改善が施されているのだ。

それでいて難易度が下がっていないのも絶妙。敵のAIプログラムが強化されたり、プレイヤーのダメージの仕様も連続して敵弾を浴びれば、一気に瀕死に追い込まれるリアル志向に変更されたりなど、他所ではその分かり易さを妨害するかのような強化が施されているから、一筋縄じゃいかない。特に前者のAIプログラムの進化は強烈で、今回の敵兵は応援を呼びに行ったり、周囲に大声でわめいたりとかなり意表を付く人間臭い動きを披露する。その意外性溢れる動きには誰もが、手を焼くこと必至。そしてリアル過ぎる行動パターンに思わず、焦ってしまうだろう。

他にもチュートリアル的な『キャリントン協会』が加わったなど、進化したところは数知れず。遊び易さを優先させながらも、前作の手強い持ち味は損なわせない。まさにこだわり尽くしの贅沢なパワーアップが施された新作に完成されている。原作付きの作品らしい制約から解放された反動もあるのか、今回は全編に渡って開発スタッフのやりたいことが詰め込まれた仕上がりだ。
システム面ではまだ面白いところがある。それが敵との戦闘において用いるピストル、ライフルなどの武器全てに搭載された『第二武器モード』。Bボタンを押しっぱなしにすることで、通常とは違った攻撃を繰り出せるようになるという、何とも面白くて興味深い要素が加えられたのだ。

しかも、その第二武器の効果がどれも現実味溢れるものばかりという見所がある。普通のピストルなら第一は普通の銃撃、第二ではグリップで敵を殴る攻撃ができたりと、現実でもあり得そうなアクションを今回は繰り出せるようになっている。だが、全部が全部現実指向という訳ではない。例えばロケットランチャーでは第二武器だと敵もビックリな誘導弾が撃てたりと、ゲームらしいハチャメチャさもある。そのあまりに突飛な仕様には、誰もが思わず「これはねえだろ!」と爆笑してしまうだろう。
加えて今回登場する武器は42種類と前作以上に増えている。オーソドックスなピストルにライフル、ロケットランチャーにリモコン爆弾、そして捧腹絶倒爆弾……もとい。センサー爆弾と言った『ゴールデンアイ 007』由来のものに加えて、爆弾ピストル、中性子爆弾、鎮静剤、ボウガン、果てはセンサー爆弾に変身するライフル、壁を貫通するXレイスキャン付き狙撃ライフルと言った過激なものが大量に加わって、より派手かつぶっ飛んだ銃撃戦が楽しめるようになっている。

例によって、これらの武器を扱って戦う対戦プレイこと『コンバット・シミュレータ』の面白さは鉄板も鉄板である。数が増えた恩恵で、前作以上に白熱&爆笑指数がパワーアップしている。また今回の対戦プレイは、コンピュータ(シミュラント)を参加させての一人プレイも可能となっており、本編のストレス解消の意味合いで遊ぶなど、よりその奥深さも向上。
そして極めつけ、一人プレイ専用の『チャレンジモード』と呼ばれる対戦に特化したおまけモードまで加えられており、単にゲームとしての手応えも前作以上にパワーアップしてしまった。ただでさえ、前作がしんどかった方にとってはこれはもう悲鳴必至の要素と言えるだろう。そうも今回は…前作のヒットを反映させた、ドえらい仕様となってしまっているのである。

ただ、この対戦プレイの面白さとしては前作よりも若干ながら劣る。というのも、変に内容にこだわったせいで対戦前の設定が複雑化、かなり細かい設定が出来るようになった反面、前作のような手軽さが大幅にそがれてしまっている。また、対戦ステージもお世辞にも良い所がなく、狭いステージが総じて多くて戦い難い。前作のステージもおまけで用意されてはいるのだが、そこに前作で一番優れていた『図書館』のステージが無いなど、まるで「分かってない」ラインナップとなっているのが残念極まりない。更にプレイ中の処理落ちもメモリー拡張パック専用タイトルにしては酷く、CPUキャラを交えてプレイするとより酷くなるなど、所々で無茶が見受けられるのも苦しい限りである。
前作の対戦がヒットしたからパワーアップさせた、そのような方向性から今回はこうも複雑化へと舵を切ったのだろうが、流石にこれはやり過ぎたとしか言い様が無い。まさに無理なこだわりが、よくない方向へと作用したとはこのこと。それでも対戦の面白さは健在であること、細かい設定を抜きにして遊べる機能が設けられているのが救いだが、遊び易さでは前作が上。ここに関しては、進化させるにもそれは武器やステージに振って、機能周りはホドホドに留めていただきたかったところだ。
ただ第二武器モード、一人プレイにも対応させたという試みは先の一人プレイと同様に大きな進化。前作以上に遊べる内容にしようとした、その志の高さは大いに評価に値する。流石は最高の進化を遂げた続編と言ったところ。劣化はしてしまってるが、かつての面白さが損なわれていない辺り、改めて本作の底力を実感させられる限りだ。
操作系に関しても前作のものをそのまま継承している。相変わらず、Zトリガーを銃火器の引き金として見立てたボタン配置の絶妙さと手への馴染み具合は素晴らしい。NINTENDO64というゲーム機およびそのコントローラがいかにFPSと相性抜群であるか、改めて思い知らされるだろう。
難易度も簡単なものであればサクサクと進められ、最も厳しいものであれば隠密行動と被弾を極力抑える立ち回りが試されるという全く違ったバランスが表現されているのが面白い。ただ、全体的な難しさは底上げされていて、ダメージを受けた際に無敵時間が発生しなくなった点に関しては賛否が分かれるかもしれない。
グラフィックも拡張パックの恩恵もあり、光源処理が強化されるという分かりやすい進化が表れている。音楽も今回はオリジナルだけあって、作曲担当のやりたいことがにじみ出た仕上がり。耳に残る楽曲も多く、哀愁漂う戦慄が印象深い「シカゴ」ステージに関しては特に要チェックである。
演出周りもわかりやすく進化。特に各ステージ開始、クリア後にムービーデモが挿入されるようになったのが大きい。しかも、キャラクターたちも英語音声で台詞を喋るという手の込み具合だ。キャラクターの動きもモーションキャプチャーを用いた人間臭さ溢れるものになっているなど、細かなこだわりが光る仕上がりだ。
やり込み要素におまけモードもレア社らしく盛り沢山で、前作プレイヤーを意識したファンサービスもバッチリ。「ソロ・ミッション」のストーリーが後半以降、描写不足で駆け足になってしまうことや前述の無敵時間廃止に伴う難易度の上昇、そしてお馴染みの視点の都合による”3D酔い”など、手放しには褒められない欠点もチラホラとあるが、完成度の高さは折り紙つき。
世界中を熱狂と爆笑の渦に巻き込んだ名作の続編らしい堅実な進化、そしてゲームとしての面白さにこだわった新要素がたっぷりと詰め込まれたこの『パーフェクトダーク』。
対戦ツールとしては『ゴールデンアイ 007』よりも僅かながら劣るところはあるが、総合的な出来は盤石。素直に良作と言い切れる逸品だ。『ゴールデンアイ 007』をやり込んだ方も、やった事のない方にも是非ともお試しあれ。対戦だけプレイするのも良し。近未来ならではの白熱必至・大爆笑必至のヘヴンが貴方を待っている。
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