≫パーフェクトダーク(備考録)
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■発売元:任天堂 /
■開発元:レア /
■ジャンル:3Dガンアクション /
■CERO(※): Z(18歳以上のみ対象:暴力・出血・過度な犯罪描写あり) /
■定価:5800円(税別)、7800円(税別:メモリー拡張パック同梱版)
◆公式サイト / ストアページリンク(ダウンロード版)
≫パーフェクトダーク(任天堂公式サイト)
≫パーフェクトダーク(Xboxプラットフォーム:リマスター版)
※Xbox 360のリマスター版で設定されたレーティングを反映。
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▼Contents Index
≪Latest Update :1/29/2023 | First Publication Date:2/26/2017≫
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▼『パーフェクトダーク』:レビュー /
▼『パーフェクトダーク』:スタッフリスト
◇『赤と黒』騒動
◇幻の機能とサウンドトラック
◇隠し対応機器:64GBパック
◇HDリマスター版『パーフェクトダーク』
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--- 参考資料・一部引用 ---
■The 64DREAM:1998年7月号、2000年9月号(毎日コミュニケーションズ)
■パーフェクトダーク 任天堂公式ガイドブック(小学館)
■Perfect Dark Japan Central(※Internet Archive)
■タイトル名向上委員会(※Internet Archive)
■任天堂アラカルト(ロクヨンやろうぜ!)
■キッコーマン公式サイト:『赤と黒』ニュースリリース(2000年1月)
■NINTENDOスペースワールド2000(任天堂公式サイト)
■NINTENDOスペースワールド99:オフィシャルガイドブック
■『樹の上の秘密基地』:罪と罰 地球の継承者(ほぼ日刊イトイ新聞)
■社長が訊く:『罪と罰 宇宙の後継者』(任天堂公式サイト)
■IGN.com
■赤と黒 上・下巻(新潮文庫)
■Rare Ware:公式サイト
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◇『赤と黒』騒動
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日本国内版を語る上で決して外せない、ある意味”伝説的”とも言える騒動。
ことの発端は2000年6月下旬から7月中旬にかけてである。
当初、『パーフェクトダーク』(仮称)だったタイトル名が『赤と黒』(仮称)なるタイトル名に突如、変更された。
2000年7月21日に発売されたゲーム誌『The 64DREAM』(現:Nintendo Dream)でも、この件が報道された。さらに同誌の数あるコーナーのひとつ、『任天堂公式Q&A:教えて本郷さん・N64の質問箱』において編集長の左尾昭典氏が、当時の任天堂広報室企画部企画課係長だった本郷好尾氏に変更の経緯に関して質問した。
それに対する本郷氏の回答は「わかり難いからです」というものだった。以下、その発言の引用である。
「ジョアンナ・ダークが主人公のゲームタイトルが『パーフェクトダーク』と言っても、日本人には分かり難いですよね。原作にアニメがあったり、前作の『ゴールデンアイ』のように、映画が元になっていれば、世界観が伝わり易いんでしょうけど…。それで、今回『パーフェクトダーク』を『赤と黒』という仮称で呼ぶことになったのは、日本人に覚え易いタイトルにしようとしてのことなんです。漢字がブームという事もありますし…。
このソフトはすごく良く出来ているので、インパクトのあるタイトルにしようというわけなんですね。ところで、どうして『赤と黒』になったのか、その理由は異動する(※)ので聞かされていないんです(笑)。」
(The 64DREAM:2000年9月号・92ページより)
※当時の人事で、本郷氏は業務本部に異動することが決まり、その関係でこの号に掲載された『N64の質問箱』は最終回となった。
この『赤と黒』という新たなタイトル名は、『読者が選ぶN64ドリームランキング』においても記されている。さらにこの新タイトルに関して「焼肉のタレでも、小説でもないぞ」との注意(?)も記されていた。
補足として、前者の『赤と黒』とはキッコーマンから発売されている焼肉のタレ。2000年当時、俳優の高橋克典をメインキャラクターに起用したテレビコマーシャルが放送された。(当時のニュースリリースはこちら)
後者の『赤と黒』はフランスの作家スタンダールの長編小説である。
このように突如として変更が決まったこの『赤と黒』なる新たなタイトル名だったが、日本語版の発売を楽しみにしていたファンからは激烈な批判を呼んで炎上。元の『パーフェクトダーク』に戻すための署名活動へと発展した。
実際に当時、ネット上で署名運動を行っていたサイトには……
「数年前から発表しているタイトル名を直前になって変えるのは如何なものか。」
「とにかく世界観を壊してはならないと思う。」
「そのタイトルになったら日本版は買わない。」
「「Windows」というソフトが日本で「演歌おばさんの輪投げ」というソフト名に変更されて発売されても絶対売れなさそうですよね。(笑)」
「日本映画のタイトルのようで変。」
「焼肉のたれと一緒にしないで!!」
≫以上、タイトル名向上委員会様(※Internet Archive)より一部引用。)
……といったファンからの怒りの声が殺到し、『赤と黒』という新たなタイトル名がいかに受け入れられていないかを示す形となった。当時はネットの黎明期だけに、一部プレイヤーの声として見なされる側面もあったが、肯定意見が皆無というだけでもその嫌われぶりが察せるところではある。最終的に署名は任天堂へと郵送されている。
そして、変更の発表から約1ヶ月も間もない2000年7月28日。
任天堂より、日本語版のタイトル名は『赤と黒』でなく『パーフェクトダーク』で確定との発表が行われたことによって事態は鎮静化。同年の8月25日から27日までの3日間、幕張メッセにて行われた任天堂主催のイベント『NINTENDOスペースワールド2000』でもこの名で出展され、日本語版のタイトルロゴもお披露目されている。
更に『The 64DREAM 2000年10月号』の『任天堂の質問箱』のコーナーでは、新たな任天堂の質問回答者(広報担当者)より、タイトル名を元に戻した経緯も説明されている。その中で発売を楽しみに待っていたファンからの反発があったことに触れられており、議論の末に元に戻す事になったようだ。ある意味、なるべくしてなった結果と言える。
しかし、タイトルが『赤と黒』ではなくなった一方、パッケージ及び本作のイメージカラーは”赤と黒”になった。日本語版の『赤と黒』を命名した任天堂スタッフ最後の抵抗だったのか、騒動の名残なのか。真相は関係者のみぞ知るところである。
なお、本作の1ヵ月後に発売された『罪と罰 地球の継承者』では、タイトル決定の際に今作の旧名、『赤と黒』の影響があったという裏話をスーパーバイザーの山上仁志氏がインタビューにて発言している。元々、初お披露目の完全新作だったというのもあってか、こちらはそこまで大きな騒動にはならなかった。ちなみにその9年後に発売された続編『罪と罰 宇宙の後継者(Wii)』のインタビューでも、山上仁志氏がタイトル決定の際、『赤と黒』の影響があったというエピソードを話している。
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◇幻の機能とサウンドトラック
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1999年のE3及びNINTENDOスペースワールドで出展されたバージョンには、ゲームボーイの『ポケットカメラ』で対戦キャラクター用の顔が作成できるという、驚きの機能が搭載されていた。
しかしながら、人種差別などの社会問題に発展しかねない可能性を考慮し、最終的に削られている。

▲見ての通り、ポケットカメラのアイコンがある。
『NINTENDOスペースワールド99:オフィシャルガイドブック』、22ページより
また2006~2008年頃にはレア社の公式サイトではMP3データのサウンドトラックが無料配布されていた。
2023年現在は配布されていない。
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◇隠し対応機器:64GBパック
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北米で2000年5月22日、欧州で2000年6月30日に発売された海外版『パーフェクトダーク』だが、この二つは『ポケモンスタジアム』などのタイトルで使われる周辺機器『64GBパック』に対応しており、海外限定発売のゲームボーイカラー専用ソフト『Perfect Dark』をスロットに入れる事により、以下のチートが自動解禁される特典がある。
□Cloaking Device(日本名:スパイクローク)
□Hurricane Fists(日本名:高速パンチ)
□R-Tracker(日本名:Rトラッカに秘密武器表示)
□All Guns in Solo mode(日本名:オール武器(ソロ))
反面、日本版にはこの連動要素は無く、パッケージ裏にも64GBパック対応のアイコンは記されていない。
しかし、64GBパックに何かしらのソフトを差し込んだ状態でチートメニューを開くと、読み込みが行われる。

▲証拠画像
(※64GBパックに『カードヒーロー』を差し込んで確認)
上記の通り、読み込みは失敗となるが、これは対応ソフトである事の名残と思われる。
もしくはゲームボーイカラー版の日本版発売を任天堂が検討していたのかもしれない。
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◇HDリマスター版『パーフェクトダーク』
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2010年3月17日より、北米のXbox LIVEアーケードにてHDリマスター版の配信が始まった。日本国内では北米版の配信から3年半後が経過した2013年10月13日よりスタート。価格は1000円(税別)で、CEROレーティングはZ(18歳以上のみ対象)。レーティングの都合により、購入に当たってはクレジットカードが必須となる。発売元は日本マイクロソフト。開発はマインクラフトの移植で知られる4J Studiosが担当。レア社は監修という形で参加している。
◆備考リンク
≫パーフェクトダーク(Xbox Marketplace)

また、2015年8月6日に販売されたXboxOne専用ソフト『Rare Replay(レア・リプレイ)』にも収録されており、こちらの場合、パッケージ版であればクレジットカード無しでも購入は可能。
しかしながら、CEROレーティングはZ(18歳以上のみ対象)であるので、該当年齢を下回るプレイヤーは購入不可。店舗によっては購入の際、身分証明書の提示も要求される事もあるので、要注意だ。ちなみにディスク内にゲーム本編が収録されているのではなく、XboxOneの下位互換機能に対応したLIVEアーケード版パーフェクトダークのダウンロード権が入っているだけで、プレイするに当たっては別途、本体側にソフトのダウンロードを実施する必要がある。なので、ディスクを買えば直に遊べる訳でもなく、ダウンロード完了まで待たされることになるので、その辺もまた要注意だ。
下位互換に対応と記した通り、ソフト単品の方もMicrosoftストアにて販売されており、XboxOne本体で遊ぶ事ができる。例によって、こちらも購入に当たってはクレジットカードが必須となるので(※基本的に下位互換に対応したタイトルはレーティングに関係なく、クレジットカードが購入の際に必須となる)、未所持の方は注意されたし。
◆備考リンク
≫レア リプレイ(Microsoftストア) ※ダウンロード版
≫パーフェクトダーク(Microsoftストア) ※XboxOne下位互換対応版

ゲームの方は基本的にはオリジナルのNINTENDO64版と変わらない。しかし、HDリマスターという事でグラフィック全般が高解像度仕様にリファインされて美しくなり、画面比率も16:9のワイド表示(1080p対応)に改められている。フレームレートも60fpsに引き上げられ、より滑らかに動くようになっているほか、操作性も昨今のコールオブデューティ、HALOと言ったFPSタイトルに倣い、二つのスティックを使う現代仕様に変更。しかしながら、オリジナル同様に強力な自動照準機能が実装されているので、敵に狙いを付ける操作を細かく実施せずとも自然と撃ち込める作り。武器モードの切り替えも専用のボタンが割り振られ、快適且つ、手軽に実施できるようになっている。
また、本編の台詞などのテキスト、タイトルロゴもNINTENDO64版のものを踏襲している。ただ、ゲーム自体は海外版がベースとなっており、国内版とは異なる箇所も多数ある。更にリマスター及びダウンロードソフトになった事で変更・強化が施された箇所も幾つかある。具体的には以下の通り。
■オープニング
言うまでもないが、発売元変更に併せて任天堂のロゴは表示されない。
代わりにマイクロソフトのロゴが表示される。
また、タイトルロゴ表示前にリマスター版開発元の4J Studiosのロゴも表示される。
(※下記のトレイラーの冒頭でその模様が少し見れる。)
■ゲームスタート時の挙動
オリジナル版はオープニングでスタートボタンなどを押せば、直にファイルセレクト画面へと移行したが、今回はオープニグムービー(ミッション1のムービー)を一旦挟む形になっている。
■セーブデータ管理
LIVEアーケードタイトルという事で、1アカウントにつき1つしか作成できない。
■実績機能
Xbox360用タイトルに改められたのに伴い、特定の条件達成で実績が獲得できるようになった。
項目数は20。全実績を獲得する事であられる総スコアは200。
■ロード時間(処理速度)
全体的に高速化。
ミッション選択後、1秒足らずでオープニングのムービーデモが始まる。
■キャラクターモデリング
全キャラクター共に刷新。但し、オリジナル版同様に口元は動かない。
■サウンド全般
基本、オリジナルの流用だが、Dolby Digital 5.1chへの対応、音質周りの改善で一部の楽曲が多少変化している。最も分かり易いのはクリア後のスペシャルミッション『マイアンSOS』の楽曲『マイアンの悲しみ』。
■ダッシュ移動
一定距離を歩き続けることで、ジョアンナが走って移動するようになった。

■出血・死体描写
海外版に準拠し、壁や床に付着するようになっている。
また、倒した後に死体が残るようになっている。(一定量に達すると消えていく)
■コンバット・シミュレータ(対戦プレイ)
シングルでしか使えなかった『ゴールデンアイ 007』のクラシックウェポンが使えるようになった。
また、シミュラントにへ攻撃命令を行う際、味方を対象に指定できないようになっている。
■Sライフル
第二武器モードが削除。(切り替えボタンを押しても反応が無い)

■コンバットナイフ
国内版では削除された武器が復活。
併せて、ミッション8-1『スケダー宇宙船<制圧>』序盤の難易度が緩和された。
特に難易度パーフェクトで、その違いを嫌というほど思い知らされる。
■スタッフクレジット
スキップが可能になった。また、参加スタッフが多くなった影響で長くなっている。
更にクレジットにはオリジナル版のスタッフも紹介されるシーンが、NINTENDO64版のローカライズに携わった任天堂スタッフは軒並み削除されている。発売元が違うので、当然の話だが。
狙い撃ち(エイム撃ち)の際の感度が大幅に上がり、安定して照準を定めるのが難しくなっていたり(※ただ、感度自体はオプションで調整可能である)、レーティングの上昇でプレイヤーを年齢面で選ぶようになってしまったが、基本的なプレイ感はオリジナル版とほぼ一緒なので、そちらをプレイした経験者でも直に馴染める。
より美しいグラフィックと滑らかなフレームレートのパーフェクトダークを遊びたい気持ちに応えてくれる、良リマスターに仕上がっているので、Xbox360、XboxOne本体をお持ちの際は是非。『パーフェクトダーク』を遊んだ事の無い新規のプレイヤーにも取っ付き易い作りになっているので、同じく本体をお持ちの際は機会があったらお試しを。
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