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≫New スーパーマリオブラザーズ2


■発売元:任天堂 / ■ジャンル:アクション / ■CERO:A(全年齢対象) /
■定価:4571円(税別) ※パッケージ版、ダウンロード版共に共通

◆公式サイト / ストアページリンク(ダウンロード版)
≫New スーパーマリオブラザーズ 2(任天堂公式サイト)
≫New スーパーマリオブラザーズ 2 | ニンテンドー3DS(任天堂公式サイト:商品&購入ページ)
▼Information
■プレイ人数:1人(通信プレイ時:2人) / ■3D表示:あり / ■セーブデータ数:3つ /
■消費ブロック数:2715ブロック以上(※ダウンロード版) / ■その他:追加コンテンツ対応、ローカルプレイ対応、すれちがい通信対応、いつの間に通信対応、インターネット対応 /
■推定クリア時間:3~4時間(エンディング目的)、40~50時間(完全攻略目的)
ピーチ城に遊びに来たマリオとルイージ。
ピーチ姫と冒険の話に花を咲かせたり、しっぽの変身で空のコインを集めることに夢中になるなど、楽しい一時を過ごしていた二人だったが、休憩しようと着地して間もなく、頭上から黒い影が。

現れたのはクッパの手下「クッパ七人衆」。彼らは二人がコイン集めに夢中になっている隙を狙って、ピーチ姫を捕まえてしまったのだ。そして、乗り物と共にその場から立ち去ってしまう。

助けを求めるピーチ姫を追って、再び新たな冒険が始まる!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆マリオを動かし、ゴールを目指すシリーズ定番にして盤石の分かりやすさを誇る本編構成
◆ストックアイテム、二画面インターフェースなど、初代準拠に回帰したシステム周り
◆シリーズ歴代最高の物量を誇る一コースごとに配置されたコインと、それを元にした新たなやり込み要素「コイン集め」(コースごとに集めたコインの枚数も記録されるようになった)
◆コインの”ジャラジャラ感”を際立たせる新たな仕掛け「ゴールドリング」と「ゴールドブロック」
◆基本性能はファイアマリオの亜種ながら、倒せない敵も一撃必殺の高威力を誇り、大量のコイン獲得のチャンスも作り上げるインパクト抜群の新パワーアップアクション「ゴールドマリオ」
◆シリーズとしては24年ぶり、仕組みもそのままで『スーパーマリオ3Dランド』の「タヌキマリオ」に基づいた機動性の強化も図られたパワーアップアクション「しっぽマリオ」
◆「コイン集め」に特化した独自のコースが遊べる新モードにしてやり込み要素「コインラッシュ」
◆本編ではお目にかかれない、突飛な構成が光るコインラッシュ兼ダウンロードコンテンツ専用コース
◆スピーディな展開とジャンプ操作だけで楽しめる単純さが光る新コース「大砲コース」
◆コース総数80以上、さらにコイン集めのやり込みも加わってコンプリート後も楽しめる余地が備わった総計ボリューム(限界を徹底的に極めようとなれば、ほぼ一生モノかもしれない)
◆背景がボヤけて視認性が大きく向上する、興味深い試みが成された立体視対応のグラフィック
◆序盤優しめ、中盤から手ごわくの理に適った上昇曲線が描かれた難易度設定(しかし……?)
◆ミスを重ねると強力なアイテムが出現する、アクションゲーム初心者に嬉しい「アシスト機能」
◆純粋にスライドパッドとボタンのみに徹したマリオ王道の操作性(タッチ操作も若干あり)
◆久しぶりにコクッパ七人衆(クッパ七人衆)へスポットライトを当てたボス戦及びストーリー
◆『スーパーマリオワールド』のみの出演に留まってた中ボス「ブイブイ」の復活(22年ぶり!)

--- Bad Point ---
◆「コイン集め」による遊びの違いはあれど、覆い隠すことが全くできていない強烈なマンネリ臭(特にグラフィック、音楽が『New スーパーマリオブラザーズWii』の使い回しなのが大きい)
◆新鮮味皆無のワールドごとのロケーション(これもまたNewマリオWiiの使い回し)
◆従来の100枚集めて1UPのシステムがそのままの所為で、完全に形骸化してしまっている残機制(普通に3桁に達してしまうので、ゲームオーバーの存在意義すらなくなっている)
◆形骸化した残機制の影響で尋常でない大味さが滲み出た難易度(全体的には理に適っているが…)
◆ただの目標でしかなく、無理矢理加えた感が否めない「100万コイン」のやり込み要素
◆ストーリー上の設定がなく、不自然さが際立っているコインだらけのコース(100万コインの目標もそうだが、「何故集めるのか?」という理由付けが全くないために酷く浮いてしまっている)
◆あまりにもくだらない100万コイン獲得後の特典(やり込み要素としては適切なのだが……)
◆初代よりかはマシになっているものの、意地悪さが滲み出ている隠しルート兼コースへの道筋
◆スライドパッド操作の関係でやや暴発しやすい「ヒップドロップ」
▼Review ≪Last Update : 8/11/2019≫
その100万コインで城を建てるんだ!

※それは貴方の主演作でやってください。



数十年ぶりの横スクロール作品として発売され、大きなヒットを記録した『Newスーパーマリオブラザーズ』の続編。シリーズとしてはWiiで発売された『NewスーパーマリオブラザーズWii』に次ぐ三作目となる。

マンネリ感濃い目ながら、シリーズ随一の高いリプレイ性が光る続編にして盤石の良作だ。

基本的な内容はこれまでのシリーズ二作を踏襲。横スクロールのステージクリア型アクションゲームで、マリオを操作して多種多様なコースを攻略しながら、さらわれたピーチ姫の救出を目指すというもの。いつものマリオだ。
今作はニンテンドーDS用ソフトとして発売された初代『Newスーパーマリオブラザーズ』の続編ということで、システム周りはそちらに準拠。具体的には上画面にゲーム本編を映し、下画面にスコア、タイムなどの情報を格納した分割型の構成のほか、(時系列的に)前作に当たる『NewスーパーマリオブラザーズWii』では撤廃された「ストックアイテム」が復活を遂げている。反面、ワールドマップ上のキノピオの家などで手に入るパワーアップアイテムを保存・コース攻略開始前の使用を可能とする「アイテムウィンドウ」、搭乗することで敵を食べるなどの特殊アクションが可能になるサポートキャラクター「ヨッシー」、「プロペラマリオ」を始めとする新たなパワーアップなどの前作の要素は不採用。数回のミスを重ねるとコースを自動的に攻略してくれる救済機能「お手本プレイ」も、五回同じコースでミスすると「無敵このは」なる強力なパワーアップアイテムが出現する「アシスト機能」に刷新されている。
また、その機能経由で現れるアイテムの名から明らかな通り、今作では「しっぽマリオ」のパワーアップが『スーパーマリオブラザーズ3』以来、24年ぶり(!)に復活。ダッシュし続けると溜まる「Pゲージ」が満タンになった時、ジャンプボタンを連打すれば空を飛べる仕組みもそのままだ。しかも、ジャンプ後にゆっくり下降する際の操作もジャンプボタン押しっぱなしという、『スーパーマリオ3Dランド』のタヌキマリオ準拠のものに刷新。下降のみならず、真横にジャンプ後、ボタン押しっぱなしで飛距離も伸ばせるようにもなるなど、正統進化を遂げた「しっぽマリオ」になっている。ちなみにルイージの場合、キツネっぽい外見になるというマリオ3Dランド由来のネタも。同作経験者なら、ニヤリとしてしまうかもしれない。
「しっぽマリオ」以外では、「巨大マリオ」、「マメマリオ」の初代にあったパワーアップも復活を果たしている。もちろん、新しいパワーアップも。その名も「ゴールドマリオ」。「ゴールドフラワー」なる金色のファイアフラワーを獲得で変身できる黄金のマリオだ。実質的には「ファイアマリオ」の亜種で、「ゴールドボール」なるものを投げられるようになる。ただ、ボールは壁などに当たると爆発。その爆風に触れた敵を倒せるのに加え、ファイアボールで倒した時以上のコインを獲得できる。レンガブロックに命中した場合に至っては全てがコインに変化。ハテナブロックなら、中に入ったアイテムが飛び出る。そして、ファイアボールはおろか、踏み付けでも倒せない敵も一撃必殺。極めつけ、ワールド最後に待ち構えるボスにも踏み付け一回分のダメージを与えられてしまうのだ。こんな具合に簡潔に言えば、強力なファイアマリオ。巨大マリオとは趣の異なる大暴れが楽しめるパワーアップになっている。
ただ、変身機会は少なめ。この状態で居られるのもそのコース限りで、クリア後にはファイアマリオに戻される。変身時に別のパワーアップアイテムを取っての変身解除も不可。手にしたアイテムはストック分にされるので、意地でも解除したくばダメージを受ける(またはミスする)しかなし。強力すぎるのもあって、それなりに制限を課した作りになっている。
そして、多くのコインが獲得できる点から、今作では「コイン集め」なる遊びが新たに加わっている。コースごとに手に入れたコインの枚数が記録され、その合計数が専用のカウンターに記録されていくようになった。カウンターは六桁あり、ゲーム内での最終目標は100万コイン貯めることになる。本編の進行とは関係ない、純粋なやり込み要素としての位置付けだが、これによってクリア済みのコースでも隠された「スターコイン」を回収する以外の遊び方が用意され、リプレイ性が大幅に向上している。さらに本編とは別に「コインラッシュ」なるゲームモードを追加。その名の通りにコイン集めに特化したチャレンジモードで、三つのコースを連続プレイし、何コイン集められるかの記録に挑む。もちろん、集めたコインはカウンターに記録されるので、こちらを重点的にプレイして稼ぎに徹する遊び方も可能だ。また、このモードはダウンロードコンテンツに対応。「追加パック」と称された有料のパックを購入すれば、遊べるコースを増やすこともできる。全10パックが配信されており、効率的なコイン集めを可能にするものから、上級者向けの高難易度コースまでとラインナップもバラエティ豊か。本編も80以上のコースが用意されているが、それでも物足りないと感じるプレイヤーの欲求を満たしてくれる試みとなっている。シリーズを長くプレイしているプレイヤーなら、ゲームボーイアドバンス版『スーパーマリオアドバンス4』の「カードeリーダー+」を用いて遊べたスペシャルコースが脳裏をよぎるかもしれない。
全体的に「2」の名を関している通り、作りと遊び心地は初代『Newスーパーマリオブラザーズ』。しかしながら、「コイン集め」なる要素と有料ダウンロードコンテンツへの対応によって、やり込み周りは大幅に強化。続編としては無難な進化ながら、繰り返し遊べる部分が深まった、過去のマリオシリーズから見ても非常にやり込み甲斐のある作品に仕上がっている。そして、そんなリプレイ性の高さを今作は最大の魅力とする。

特にそれを引き立てるのがコースごとに記録されるコインの枚数。これまでのシリーズと異なり、何枚集めたかがクリア後、コース情報欄へ詳細に記録されるので、隠されたスターコインを全て集め終えた後でも、どこまで伸ばせるかに挑む遊びを楽しめる。基本的に全てのスターコインを集め終えれば、そのコースは完結というのが暗黙の定義ではあったが、今回はそれを覆す要素を加えたのもあって、単なる折り返し点に等しい位置付けに。どこで完結するかは己で決めろとも言うべき、ある種の漢(おとこ)仕様な作りへと全コースが一新されているのだ。普通に遊ぶと今まで通りのNewマリオ。だけど、コインを意識した途端に違うマリオ。むしろ、同じくコインを集めることを遊びの主題に置いたワリオランドシリーズか、と思ってしまう不思議な仕上がりになっている。さすがにワリオのようにタックル、頭突きなどのパワフルアクションはできないほか、制限時間制に100枚集めての1UPなどシステム面も別物だが、マリオの視点から見たコイン集めということで、同シリーズのプレイ経験があれば、色々興味深い手応えを得られるだろう。限界を突き詰める遊びが強化された関係から、ゲームボーイの『ドンキーコング』、『スーパーマリオ3Dランド』のタイムアタックにハマったプレイヤーにも刺さる作りと言える。手触りとしては後者が特に近いので、そちらに熱中した経験があればきっとお気に召すはずだ。
また、このコイン集めをより魅力溢れるものにするための施策として、今回はどのコースでも膨大な量のコインが登場するのも見所。間違いなく歴代のマリオシリーズでも最高クラスに属するジャラジャラっぷりで、「ここは成金天国か!?」と思ってしまうほどインパクト溢れるものになっている……少々言葉がアレだが。実際に土管から雨のようにコインが降ってきたりと、息つく暇もないテンポでコインが出てくるので、クリア後の心境はまさにバブリーでウハウハ。しかも、単にコインが沢山出てくるだけではない。道中にはさらなる”コインフィーバー”を引き起こす仕掛けを用意。敵キャラクターを黄金化し、倒す度にコインが自動的に手に入るなどの効果を及ぼす「ゴールドリング」、被って走ると勢いよくコインが飛び出す「ゴールドブロック」、そして先に紹介した新たなパワーアップアクションの「ゴールドマリオ」がその象徴だ。その中の「ゴールドマリオ」と「ゴールドリング」が組み合わりでもすれば、バックに流れる音楽がコイン獲得の効果音で音楽がかき消される程度に膨大な量のコインがガッポガッポ手に入る大変なことに。その光景たるや、大盤振る舞いの一言である。ただ、コース内のコインは必ずしも全て獲得できる訳ではない。あらかじめ配置されたものだけでなく、地上に降り注いで一定時間経過した後、消えてしまうものが沢山あるのだ。なので、本気で全部回収するとなれば相応のテクニックが必要とされるし、場合によっては諦めると言った妥協も必要となる。もちろん、穴などのトラップ付近に置かれたものもあるので、欲をかけば自滅に一直線だ。しかしながら、こういう全部獲得できる保証がないからこそ、どこまで限界を突き詰められるかが熱い。そして、何度も遊びたくなるリプレイ性を際立たせる。一見、大雑把に見えて、程よく意地悪な所も混ぜる辺りはこれを今回の主題に置いているなりのこだわりの現われと言ったところ。不思議と考え抜かれた印象を抱かせる調整になっている。本編もさることながら、それ以上のコインが出てくる「コインラッシュ」は特にその辺の面白さを突き詰めた仕上がりになっているので、一通り終えてもっとジャラジャラとコインが出てくる所を見たいのなら要チェックだ。
その「コインラッシュ」も極め甲斐の高さもさることながら、本編とは独立したモードであるが故の”やりたい放題”な作りになっているのも見所。具体的にはダウンロードコンテンツ「追加パック」として用意された追加コースだが、いずれも購入するだけの意義と魅力に富んだものばかり。特に「じごくのてつじんレースパック」はマリオシリーズをやり尽くしたプレイヤーどころか、アクションゲーム上級者に血涙を流す任天堂の無慈悲さに溢れた内容。それ以外にもスコアアタック、謎解きなどの一風変わったコースが用意されているので、本編よりもさらにぶっ飛んだコースを遊びたい、刺激を感じたいのであれば購入をお薦めしたい。いずれも200円程度と、価格も良心的だ。ただ、追加パック購入はゲーム起動中に実施する形なので(ニンテンドーeショップでの単独購入は不可)、その点はご注意を。
そうもコイン集めの面白さと爽快感、それを元にしたリプレイ性の高さが見事な今作だが、目に付く難点も結構多い。何より残念なのが「100万コイン集める」という目標がただの目標でしかないこと。ストーリー的な理由付けが一切なく、単に「やれるものならやってみろ」な挑戦状同然の設定にされてしまっているのだ。元々やり込み要素なので、アッサリさせるのはいいのだが、本編のコースで大量のコインが出てくるだけに、やはりそこと関連させる何らかの設定が欲しかったように思う。その影響でゲーム側と世界観とのかい離が酷く、まとめ方の雑さが滲み出てしまっている。同じくコインを集めるワリオランドシリーズに関しては、(初代に関して言えば)ワリオが自分の城を建てることが必要と理由付けされていた。また、大量のコインが出てくるのも敵が略奪を繰り返す海賊だからという、極めて納得のいく背景があった。そういう設定を考えられなかったのだろうか?プレイヤーにコイン集めを強要してしまう一面もあることから、避けた可能性も考えられるが、やはりあるとなしでは違和感に違いが出る。そもそも、こういう所にはこだわる印象がシリーズ、並びに任天堂にはあるだけに非常に”らしくない”。願わくば、ちゃんと設定して欲しかったところだ。例に出した初代ワリオランドには黄金像なるものがあった。それをクッパに壊されたから修復するとか、あっても良かったのではないだろうか?

また、幾らコイン集めという新たな遊びがあれど、ゲーム全体に漂う強烈なマンネリ臭は隠しきれていない。コースは全て新作とは言え、ロケーションはこれまでのシリーズと一緒。背景パターンに夜、夕焼けのほか、ジャンプ操作に特化した「大砲コース」なる新種が加わっているとは言え、やはり基本的なグラフィックが変わり映えしないので新鮮味は薄い。むしろ、背景パターンに至っては苦し紛れがすぎる。それだけ今までとは違う雰囲気が出せるとか、タカをくくり過ぎてるとしか言い様がない。音楽もほぼ全曲が前作『NewスーパーマリオブラザーズWii』の流用というのも、マンネリ臭の強さを一層際立たせている。好意的に見れば『スーパーマリオブラザーズ2』のオマージュと見て取れるが、評価できる箇所かと言えば否。どうも噂によれば制作期間が短かったらしく、妥協した結果だったのかもしれないが、できれば少しでも新しい地形を入れるなりして欲しかった。そこを押さえていればより良くなっていただけに勿体ない。
もう一つ、難易度周りにも難がある。とは言え、全体のバランスは良い。優しすぎず難しすぎず、そしてクリア後要素はとことん難しくの理に適ったまとめ方になっている。問題となっているのは残機だ。先の通り、今回はコインが大量に集まる関係でもの凄い勢いで増える。エンディングを迎える頃には三桁に達しているほどなのだ。そのため、完全にシステムとして形骸化してしまっている。ミスした時のデメリットも弱く、シリーズお馴染みの砦・城コースクリア時限定のセーブシステムがもたらす緊張感も空気。ゲームオーバーに至っては何のために存在するか分からない始末だ。正直、ここに関してはあえて残機制を取っ払っても良かったのではないだろうか。確かに残機が増えやすいのは、アクションゲームが苦手な人にはありたがいし、コイン集めに至っては気負わず取り組めるメリットがある。だが、こうも空気になるなら無くした方が良かっただろう。ゲームオーバーの存在意義がないのだから。結果的にいつものマリオを意識してこうなったのだろうが、もう少し慎重に判断いただきたかった。今までと違う現象が起きるのだ。それを踏まえた最適な枠組みを作っていただきたかった。結果的に安易なまとめ方になっているのが残念な限りだ。
他にコースも一部における隠しルートへの道、スターコインの配置において難が目立つ。同様の難点は前二作にもあったが、今作も分かりにくい条件の達成を要求されたり、一見ではまず気付かない所にブロックが設置されているなど、意地悪さが目立つ。さすがに特定のパワーアップが必須となるようなケースは抑え込まれているが(無い訳ではない)、もう少し「ちょっと考えれば分かる」、「怪しいと思わせる」ような調整は心がけられなかったのか。地味に今回含めて三作続けてこれなので、制作スタッフ側の隠し要素に対しての考え方に疑念を抱いてしまうばかりだ。

難点を列挙してしまったが、もちろんそれぞれの箇所に良い所もある。コースはどこも長すぎず、短すぎずのボリュームに収まっていて遊びやすく、物量も80以上と申し分ない。グラフィックも基本は流用だが、立体視と組み合わせた際に背景がボヤけ、キャラクターをハッキリ捉えられるようになる工夫が凝らされているのは面白い。
細かい所で操作性も前作はモーションセンサーを無理矢理使うアクションがタマにキズだったが、今作はボタン特化型。いつもの感覚で動かせる。初代においては専用のコースで遊ぶだけの内容に留まっていた二人プレイも本編で可能、しかも同時プレイ方式になったのは大きな進化だ。(※プレイするに当たってはソフト二本が必要)
あとさらに一つ、「コクッパ七人衆」こと「クッパ七人衆」に焦点を当てたストーリーも見所。珍しく「クッパJr.」が登場しないので、彼らが大暴れした『スーパーマリオブラザーズ3』、『スーパーマリオワールド』を知る世代には当時の匂いを強く感じるはずだ。ちなみに『スーパーマリオワールド』からは「ブイブイ」も久しぶりに登場するので必見だ。
総じていつものマリオ過ぎる部分が惜しいが、出来は及第点。コイン集めを題材にしたことによる高いリプレイ性、「コインラッシュ」モード導入によるやり込み周りの強化などの独自の魅力もあり、確かな新しさを感じられる内容になっている。コインがガッポガッポと手に入る爽快感も格別で、少し変わった見所も満載の今作。シリーズ経験者はもちろん、アクションゲーム好きなら要チェックの良作だ。やり込み周りが優れた出来なので、パッケージ版よりかはダウンロード版がお薦め。同日に発売された『ものすごく脳を鍛える5分間の鬼トレーニング』とのセットで楽しんでみよう。
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