※注:本記事にはNintendo Switch版『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者・うしろに立つ少女』のネタバレを多数含みます。本編の核心部分(事件の犯人、事件の真相、作中に殺害されるキャラクター)に関する言及は伏せていますが、細かいネタには複数触れていますので、今後プレイ予定の方はご注意ください。
発売から半年が経ったし、いい加減まとめる頃合いだろう、ということで。
今年の5月、ついに発売されたNintendo Switch向けテキストアドベンチャーゲーム『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者・うしろに立つ少女』。1998年発売のスーパーファミコン版『ファミコン探偵倶楽部PARTII うしろに立つ少女』以来、約20数年越しの再始動を果たした本作は、個人的に昨年2020年発売の新作の中でも飛び抜けて期待を寄せていたタイトルだった。もう今後新作が作られることはないと(事実上)明言されていた名作が、前言を撤回する形で復活するのだから。件のスーパーファミコン版でファミ探の魅力に心を奪われた人間としても、当時幻に終わった『消えた後継者』のリメイクが実現するとあって、多大な期待を寄せていた。
結局、2020年の発売はなくなって、2021年に変更される地獄のような精神的ダメージを負う事態になりはしたものの。年明けから少し経った後に続報が飛び込んできて、無事、2021年5月に発売。
晴れて、生まれ変わったファミ探の世界に触れることができた。
発売されるまでの間、本作については色々気になる事柄をブログに書き殴ってはまとめてきた。製品版が発売され、一連の疑問も全て解消されたので、その総括となる感想をネタバレお構いなしに書き殴るとする。
今後プレイを予定している方は読まずに回れ右推奨。
作中の事件の犯人については言及しないが、節々のイベント、公にされていないキャラクターのことにはガッツリ触れるので、真っ新なままプレイしたいなら読まないことを強く薦める。個人的にも本作は真っ新な状態でプレイするのがおすすめなので、以下はプレイ後に見るのがおすすめです。
まあ、基本的に雑で無駄に長い書き殴りですけど。
■リメイク版全体の感想
率直に手の込んだ作りのリメイクだった。特にキャラクターたち。主要人物から脇役に留まらず、事実上の背景に過ぎない通行人、客、村人といったキャラクターたちにまで細かく動きを付け、独自の立ち振る舞いをする作り込み具合には素直に圧倒させられた。中には台詞の語り(喋り)に合わせ、キャラクターの部位を動かす細かすぎる演出もあって、思わず「そこまでやるか……」の一言。早く進めても大よそ6~7時間、中編規模のボリュームの作品なのに、なぜ制作に時間を要したのかが改めてよく分かる仕上がりだった。
こういった動きを付ける演出はスーパーファミコン版『うしろに立つ少女』にもあったが、リメイク版はまさにその究極系を追求したとも言える出来。23年の年月が経過したなりの進化も感じられ、紛れもなく現代のアドベンチャーゲームとして新生したファミコン探偵倶楽部を遊んだとの手応えがあった。スーパーファミコン版の演出に驚かされたクチとしては、全てにおいて感無量としか言い様がない。
改めて、こんなとんでもない代物を執念で作り上げた制作スタッフの方々に敬礼。
また、システム周りも原作に忠実、かつ遊びにくい部分を改良した作りにまとめられていて好感触。ボタンによる文字送り、スキップ機能が搭載されたことで、非常に遊びやすくなった。調査コマンドで対象を調べる際にも、調べられる箇所には吹き出しを表示したり、また怪しい場所に気付きやすくするようデザインを調整するなど、過剰な総当たりを防止する策が凝らされていたのも見事。かと言って順調に進み過ぎないようフラグ立ての過程は原作を踏襲したりと、プレイヤーが探偵の主人公に扮して調査するという手応えを大事にするバランスに落ち着かせている。この辺のさじ加減は本当に際どいものがあったと思うけど、最終的に原作に近い手応え(及び良くも悪くもな煩わしさ)が維持されているのは、個人的にはありだと思えた。
他にオプションでは主人公のボイスの有無が選べたり、原作のディスクシステム版、スーパーファミコン版の音源変更、文字フォントの変更まで可能になっているのが素晴らしい。この辺は同じ制作スタッフによるリメイク版『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』を踏襲した格好で、発売前に「オプション周りはきっと大丈夫だろう」と信じて良かったと心底思った次第(笑)。
あと、2作共にリメイクされた音楽がサウンドトラックが欲しくなるほど素晴らしい出来だったことを強く言っておきたい。一体、誰が編曲を担当されるのか、発売前から凄く気になっていたが、なんとInfinityシリーズ、科学アドベンチャーシリーズでお馴染みの阿保剛さんだった!『Ever17』と『12RIVEN』の楽曲が好きだったクチには辛抱たまらぬ人選!もうただひたすらに感謝感激でした。繰り返しになるけど、マジでいつの日かスイッチ版のサントラを発売して欲しい。ゲーム中のクリア後要素でサウンドテストがあるけど、『うしろに立つ少女』の警察署とエンディング、『消えた後継者』の調査パートの楽曲は作業用BGMにしたいんじゃ……!
共通部分はこの辺にして、次は2作ごとの感想を。
■初リメイク『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』
スーパーファミコン版『うしろに立つ少女』から数えて、23年越しの悲願となったリメイク版『消えた後継者』。リメイクの方向性は、件のスーパーファミコン版『うしろに立つ少女』を踏襲するのかなと発売前に想像していたが、蓋を開けてみると、原作のディスクシステム版を尊重したリメイクだった。スーパーファミコン版に由来するアレンジもあるにはあったけど、全体的にはディスクシステム版重視。新イベント、新曲の追加もなければ、終盤の3D迷路も、さらには現状に相応しくないものまで加わる豊富なコマンドもそのままという徹底ぶりだった。
正直、この方向性は予想外。特にコマンド量の整理が無かったのには悪い意味で驚かされた。確かに操作性とシステムの改良で原作ほどの煩わしさは抑え込めているが、後発の『うしろに立つ少女』に倣ってもっと整理してよかったように思う。その所為で、原作以上にテンポが良くなったと思えなかったのが少し残念。新曲の追加もなく(厳密にはあるのだが、スーパーファミコン版『うしろに立つ少女』ほどのものではない)、一部イベントの演出(雰囲気)が一新されるようなことがなかったのも物足りなさが否めなかった。
しかし、原作を尊重した点は素直に評価できるところだ。また新曲の追加はないものの、一枚絵は大量に追加。それによって原作以上に迫力が増した場面も結構あった。主に綾城アキラ関連がその象徴。
さらに原作ではストーリー開始時点で故人だった綾城キク、キクの娘である綾城ユリに台詞と、専属の声優が配役されていたのもナイスなアレンジ。特にユリは原作よりも出番も増え(”かつこさん”こと大西克子から提供される若き頃の写真が具現化されたのが大きい)、どういう人物だったのか分かりやすくなっていたのは凄く良かった。ユリに関しては、原作には名前だけの存在だった”想い人”が初めて明確に描かれたのも感慨深いものがあった。
ストーリーの大筋も原作そのまま。後述の『うしろに立つ少女』とも共通するが、ナレーション系のテキストを主人公の台詞に置き換えたり、会話の流れと繋がりが自然になるよう台詞を調整したり、加筆する工夫も凝らされて、全体的なまとまり具合が良くなっていた。また、フルボイス化によって元来秘められていたストーリー全体の”泣かせる力”が底上げ。終盤にある主人公の過去が明かされるシーンと、その先の手紙の内容が語られるシーンは最もその恩恵を受けていて、原作以上に涙腺を刺激するものになっていたと思う。
また、スーパーファミコン版及び今回のリメイク版『うしろに立つ少女』では削除された3D迷路もそのまま。しかも、3DダンジョンRPGスタイルの操作で主人公を動かすという現代仕様にアレンジされていた。ここは個人的に今回のリメイク版のアレンジの中では断トツに感動した。最高すぎるアレンジ。しかも、原作にはなかったミニマップ機能も搭載!しかもこのミニマップ、ただのゲーム内機能としてではなく、ストーリー上存在意義のあるものとして描写されていたのがあまりにも素晴らしすぎた。個人的に「そう解釈したのか!」と唸りまくり。原作経験者ほど「その発想があったか!」と思い知らされるので、ぜひここは体験してみて欲しいなと思う。
他にエンディングにも原作にはなかった新しいシーンが最後に追加。おかげで締め括りが凄く綺麗になった。終盤の重要局面に登場できなかったキャラクターの救済にもなっていたし、ここは本当にナイスアレンジの一言に尽きた。
スーパーファミコン版『うしろに立つ少女』並のアレンジを期待していた人間には若干、肩透かしを食らった部分もあったけど、全体的には満足度が勝る出来。
初リメイクなりの並々ならぬ気合と原作愛がひしひしと伝わってくる仕上がりだった。
■2度目のリメイク『ファミコン探偵倶楽部 うしろに立つ少女』
『消えた後継者』とは対照的に2度目のリメイクになる『うしろに立つ少女』。登場人物のデザインがスーパーファミコン版を踏襲していることから、それを元にしたリメイクになるのかと思ったら案の定だった。
しかも、ゲームクリア後のやり込み要素「ラブラブチェック」まで継承と来た(笑)。また満タンを目指して周回プレイに明け暮れる日がくるのかと、苦笑いしたのは言うまでもない。
本編もディスクシステム版ではなく、スーパーファミコン版を踏襲。例によって、ディスクシステム版だと中盤にあった3D迷路は丸ごと削除されている。整理されたコマンドの量もスーパーファミコン版そのまま。それもあって、プレイ中は豪華になったスーパーファミコン版を遊んでいるような心持ちになったのは言うまでもなく。大筋も一部の追加イベントなど、ほとんどスーパーファミコン版と変わらずだったから尚更。しかし、あの当時密かに思い描いたアニメ風で、キャラクターたちも喋るファミコン探偵倶楽部を遊んでいるという感慨深さは大きく、終始、「おお~」とか「なるほど~」とか、「こうきたか~いいね~」という独り言ばかり呟きながら遊んでしまった(笑)。学校の怪談にちなんだ殺人事件という、題材的に不気味な内容でありながら、ビクッとすることもなく。まあ、スーパーファミコン版を件の「ラブラブチェック」で何度も周回し、ストーリーを丸々覚えてしまっていた反動も大きいが(汗)。
そんな訳で『消えた後継者』以上に振り返りの色が濃すぎるプレイになっちゃったけど、総じて豪華版と言える出来だったのは間違いなく。新しい一枚絵が追加されて盛り上がりが増した各種イベント、スーパーファミコン版とは異なる本物のアニメーションで描かれる一部の演出など、まさに現代版『うしろに立つ少女』を堪能できた。
ストーリーも『消えた後継者』同様のアレンジが施されているが、台詞の追加が割と多かったのが印象的。また、丸山警部との出会いの過程が多少変更されたり、ディスクシステム版とスーパーファミコン版にも登場しない全く新しいキャラクターが登場したり、特定のイベントの楽曲が別の曲に差し替えられるといった明確な変更点もあった。特に楽曲の差し替えは唯一のビックリポイント。それによって、イベント全体の雰囲気も変わっていて、知っている展開なのにどこか新鮮な気持ちに浸れた。また、田崎さんの用務員室(母屋)、小島洋子の自宅といったディスクシステム、スーパーファミコン版では全く描かれなかった区域も明確に描写。一部、登場キャラクターと会話する場所も変更。その中でも水野店長との会話は場面的にも凄く自然になっていたように思えた。
他にもエンディング直前にストーリーの真相に気付きやすくする演出が挟まれたり、若き日の葉山先生が迫真の表情を見せるようになったり(笑)とか、いいアレンジと感じた部分は多数。
ああ、もちろん進化したひとみちゃんは最高でしたよ。最高すぎましたね(しみじみ)。
前述の通り、一部変更&僅かな追加シーンもあるので、あの場面やこの場面も肉付けしても……と思うところもあったが、夢にまで見た豪華な『うしろに立つ少女』が遊べただけでも感無量。こちらも良いリメイクでした。
■一新されたキャラクターたちの雑感と演じた声優陣のこと
2作共通の事柄だが、今回はキャラクターたち全てのデザインが一新されるに加え、声を発して喋るようにもなっている。あのキャラクターが一体どんなことに、と個人的に今回のリメイク版最大の関心事だったが、その中身は期待を上回るものだった。特に喋るようになって、原作以上に魅力が増したキャラクターが何人もいた。
以下、そんなキャラクターたちを個別に取り上げて紹介する。
◇熊田先生(消えた後継者)
表情の変化、新規の一枚絵追加によって、原作以上にお茶目なじいちゃん先生になった(笑)。特に新規の一枚絵こと、某有名探偵のコスプレを披露するシーンには思わず爆笑。また、綾城ユリのことを初めて伺った時に見せる反応も原作以上に強烈すぎるものに進化(笑)。ローワン・アトキンソンの吹き替えで知られる声優・岩崎ひろしさんによる演技もイメージにぴったり。よくぞこの御方を起用いただいたと、キャスティングを決めたスタッフの方に拍手。
◇熊田医院の看護婦(消えた後継者)
原作では立ち絵が存在せず、進め方によっては一度も出会うことなく終わってしまうキャラクター。リメイクに当たって立ち絵が描き起こされたほか、登場機会が大幅に増え(出会わずに終わるということも起きない)、実質新キャラクターも同然の存在になった。間違いなく今回のリメイクの中で、原作以上に存在感が増し、立場的にも著しい改善が図られたキャラクターだろう。
また、このキャラクターに限り、他のキャラクターにも増して身振り手振りの動きが多彩なのも特徴。そこに制作スタッフの妙なこだわりを感じもしたけど、まあ、数の多さからしてこだわったんだろうな……(笑)。(今の時代なら「看護師」なのに、あえて時代設定に則って「看護婦」としているところも。)
◇裏山の村人(消えた後継者)
ある事件後、綾城の屋敷裏の山で出会うおじさん。原作同様、リメイク版もこの場面でしか出会えない完全なる”ぽっと出”キャラクターだが、何故か専用カットインが複数追加されたことによって、妙な存在感がプラスされた(笑)。何でただの一度しか出会わないキャラクターにこのようなことを(笑)。というか、恐れおののいているシーンのポーズが『ルイージマンション』のルイージまんまに見えるのは気のせいですかね?
(似ている……)
◇大西克子(消えた後継者)
原作では当時の表現上の制約もあってか、ハニワと言われても仕方がない容姿にされてしまっていた(ある種の)迷キャラクター。今回、初リメイクで一体、どんな姿になられたのか!?気になる生まれ変わった”かつこさん”は……
若干、いとうあさこさんが脳裏を過ぎるご婦人になられました(笑)。
正直、予想外のアレンジで困惑。しかし、その佇まいと口調はまさに貴婦人。ボイスのない原作では描かれなかった、気品と麗しさがプラスされたキャラクターへと大きな進化を遂げた。台詞の一つひとつが聞いていて凄く心地よい。まさに美しい日本語というものを堪能させられる。
そんな生まれ変わったかつこさんを演じられたのは森なな子さん。元宝塚の声優さんということで、その演技にも納得。ちなみにプリキュア(キュアショコラ)の声優さんでもあった(汗)。
(余談だが、実は『消えた後継者』には他に2名プリキュア声優が重要キャラで出演している。)
最近だとプロセカで幼少期の神代類を演じられていた。いやはや……。
◇日比野達也(うしろに立つ少女)
ストレートに「三木眞一郎さん、ありがとうございます!ありがとうございます!!本当に本当にありがとうございます!!!」としか言い様がない。100点満点という表現ですら生ぬるい、アメイジングマーベラスな配役。個人的に一報を聞いた時、思わずガッツポーズしたけど、実際は期待を超越するものだった。
もう、この声で喋らない日比野先生は考えられない。
改めて三木さん、本当にありがとうございます……!
◇酔っ払い(うしろに立つ少女)
立ち絵のデザインはスーパーファミコン版を踏襲。あの気色悪さもそのままだが、声がイメージ通りにも程がある完璧なハマりぶりで笑ってしまった。しかも、髪の毛にもちょっとした仕掛け付き(笑)。
スーパーファミコン版の時もやけに描き込まれたデザインにギョッとするものがあったけど、こちらもこちらで、妙な気合の入れようと感じさせられた次第。期待以上のへべれけぶり。演じた声優さん共々拍手です。
ちなみにこの酔っ払いから主人公を助けてくれる呼び込みの兄さん、例の台詞はスーパーファミコン版と変わらず。緒方恵美さんが配役されたのもあって、爆笑度合いが増しました。てっきり自分は今にちなんで(さらにMAGES.繋がりで)「クリスちゃん、まゆりちゃん」、あるいは「レムちゃん、ラムちゃん」にしてくるとか思ってたのに(笑)。
◇「はいはい、ご馳走様」の女生徒(うしろに立つ少女)
中盤の校門前で出会う女生徒。主人公とあゆみの関係を突っついてくる脇役ながらも印象深いキャラクターだが、その設定にベストマッチした声優さんが配役されたことにより、より一層その魅力が増した。
もちろん、最後の「ラブラブチェック」にも登場する隙のなさ。御馳走様です。
(実際は達成失敗の図である。)
◇マンション前の野次馬(うしろに立つ少女)
スーパーファミコン版はディスクシステム版同様、立ち絵も存在しない完全なるモブだった(ゴミ出しのおばさんを除く)。それがなんとリメイク版では全ての野次馬に専用の立ち絵が設定!個別の声優まで当てられた!
何してんの!誰がそこまでやれと言った!(笑)
おかげで色々緊迫感のあるこのシーンに若干の笑いがプラスされることに……。
以上となる。
……だが、そんな彼らを凌駕する原作超えを果たした偉大なるキャラクターがいた。
ネタバレお構いなしということで、ついに登場だ!
そして、発表当時から溜め込んでいたものを一気に吐き出させていただく!
◇河合ひとみ(うしろに立つ少女)
夢にまでみた高画質化!まさかの声帯獲得!
任天堂ゲーム史上屈指の裏ヒロインにして、
丑美津高校番長ひとみちゃん(♂)が令和に大・復・活ッ!!
これだけでも感慨深すぎるのに、実際の本人は原作どころか、スーパーファミコン版以上に面白おかしいキャラクターになってしまっていた。中でも真面目キャラに変化した後の「みんなの算数ドリル」は反則!
あと、ありとあらゆる台詞が原作以上に珍妙奇天烈なものにアレンジ!
しんどすぎにもほどがある!(褒めてます)
そして、起用された声優さんが超想定外にもほどがあった。
どうしてだ!どうしてなんだ!!
どうして、あの御方をひとみちゃんの声の主にしてしまったのです!
「異論はないな?レディー」の決め台詞でお馴染み、
『メトロイド』シリーズのアダム・マルコビッチ司令(アダム)その人である小山力也さんを!!(汗)
正直、第一報を聞いた時は二度見しましたわな!
今後『メトロイド アザーエム』をどんな気持ちでやったらいいんだよ、と!
アザーエム本編のサムスみたいに叫びたくなるレベルの衝撃キャストだよ!!
アンソニー(※アダムの部下)もびっくりだよ!
このファミ探の後、メトロイドの新作『メトロイド ドレッド』が発表されて、アダムの続投が明らかになった時も「ひとみちゃんの衝撃が収まっていない段階でそれ!?」と大困惑状態になったのは言うまでもない。
幸いドレッドは英語ボイスだったため、事なき(?)を得たが。
けど、小山さんの起用は悔しいけど(おい)想像以上の大当たりだった。
ひとみちゃんの面白おかしさ3割増し。
脅しを決めてくるところはドス効かせまくり、あゆみに対して腰砕けになる所は愉快さ満点、そして真面目キャラ変貌時は”ねっとり”と喋るなど、彼の持つ魅力の全てが小山さんの怪演によって底上げさせていた。間違いなく本作でひとみちゃんというキャラクターは史上最高にして究極の完成形に達したと思う。
当初、予想していた声優さんは小山さんじゃなかったんだけどな……。
谷山紀章さん、福島潤さん辺りを想像していた。まさかの可能性で高木渉さんも。まさかベテラン中のベテラン、某少年探偵漫画の眠りの小五郎を起用するとは恐れ入った(汗)。
だが、何故にメトロイドでメッチャ渋かっこいいキャラクターを演じられたこの御方を!
しかも、今回のリメイク2作の出演陣の中で唯一のメトロイド関係者!坂本賀勇さん、アダムの声優さんであることを存じていたのか?存じた上であらゆる台詞を調整したとなれば確信犯がすぎるよ……。
残念ながら、スーパーファミコン版よりも出番が増えたみたいなアレンジは無かったけど、本当に今回のリメイク版において、最もフルボイス化の恩恵を得ていたキャラクターだったと思う。元々面白おかしいひとみちゃんを今の時代にも通用するキャラクターとして出してくれた制作陣の方々にはただひたすら感謝!小山さんにも感謝!
だが「異論はないな?レディー」の名台詞を聞く(読む)たび、ひとみちゃんが脳裏を過ぎるようにしてしまったことについては絶対に許しませぬ(笑)。(そんな訳で、メトロイド経験者がプレイする際には注意されたし……?)
■物申したい箇所あれこれ
……と、ここまで書き殴ってきたけど、気になる部分も2作共にそこそこあった。
前述の作品別の感想でも数点触れているけど、それ以外にもこんなのがある。
◇2作共通:あらすじ機能
てっきりスーパーファミコン版『うしろに立つ少女』のように、これまで読み終えた章のあらすじを読めたり、専用の演出が見れたりするものになっているのかと思いきや、前回ゲームを終えた所のストーリーがあゆみの朗読で語られるだけ。スーパーファミコン版のあらすじ機能が結構凄い仕上がりだっただけに、そのようなものを期待したクチからすると、ここは今回屈指のガッカリポイントだった。
まあ、あのレベルのものを作るとなると大変だろうから簡略化したのかもしれないが……。
◇2作共通:音楽鑑賞機能
折角、ディスクシステム版とスーパーファミコン版の楽曲にも切り替えられるのなら、こちらの方でも聴けるようにして欲しかった。コレクターズエディションのサントラとの兼ね合いもあったのだろうけど。
◇2作共通:音声同期機能がない
最近のボイス付きのアドベンチャー(ノベル)ゲームではお馴染み、喋りに合わせながらテキストを表示するという同期機能がない。フルボイス化が上手くハマっているだけに、無いのは勿体ないとしか言いようがなかった。これがあることで凄く光りそうなシーンがあっただけに尚更そう思う。
◇2作共通:カーソルのレスポンス
全体的に妙にもたつくのが気になった。
スーパーファミコン版ぐらいが丁度よかったような。
◇『消えた後継者』:章題によるネタバレ
スーパーファミコン版『うしろに立つ少女』にちなんで章分け&章題の設定が行われたが、そのうちのひとつにその後の展開をモロにネタバレするものがあったのにはさすがに首を傾げた。ある意味、直前の展開から誰もが想像できるだろうからそうした、という意図もあったのかもしれないが、できれば遠回しな表現にしてくれれば……。
◇『消えた後継者』:とある死体
誰かは言及しないが、さすがに設定の割に綺麗すぎると思った(汗)。
原作並に緑色にするなりして不気味さを際立たせて欲しかった。。
(ちなみにこの難点、任天堂からのアンケートでも伝えておいた。。)
◇『うしろに立つ少女』:ゴミ出しのおばさん
ナレーションが削除されたことで、マンションからどうしておばさんが出てきたかの説明がなくなり、不自然さが増してしまった。ディスクシステム、スーパーファミコン版ではゴミを出しに来たと説明されていたのに何故?
◇『うしろに立つ少女』:マンションでの出来事
率直に言って今回のリメイク版では個人的に最も改悪だと感じた。
発生直前の演出が地味で、驚きが薄れてしまっている。また、野次馬たちの立ち絵が設定されたのは凄いが、状況的に不釣り合いな容姿のキャラクターまで入れ込むのはやりすぎだった。
◇『うしろに立つ少女』:最後のアレの出だし
音声同期機能を用いた演出にして欲しかった……。ただその一言に尽きる。
だが、担当声優さんの演技は完璧も完璧で感動しっぱなしでした。
あと、惜しいと思ったことで神谷浩史さんが出演されてなかったことか(笑)。
『消えた後継者』のラストに登場するキャラクターに起用されるのかなと予想していたのだが、別の声優さんでした。同じファミ探好きの杉田智和さんが出演されたのなら、ぜひ何らかの役で出して欲しかった。
とりあえず、次回作があったときに救済されることを願う!
■作ってくれたことに圧倒的感謝!次はぜひ『雪に消えた過去』を!
長くなってしまったが、総合的には大満足。そして、感無量。無事発売されたこと、こんなにも豪華に作ってくれたことにただひたすらに感謝したくなる仕上がりだった。
嬉しいことに、売上もなかなかの結果を残したようで、今後の新展開にも期待できる。次はぜひ、同じスタッフで今や幻の3作目として名高い『BS探偵倶楽部 雪に消えた過去』の復刻をお願いいただければと思う!
コレクターズエディション同梱の調査ファイルに掲載されたMAGES.のプロデューサー、浅田誠さんのコメントには「完全新作もやりたい」とも載っていたけど、まず先に『雪に消えた過去』を!今となってはプレイするのも困難な『雪に消えた過去』を復活させて欲しい!その後に夢にまで見た完全新作を作ってくれればと思う。
最後に調査ファイル掲載の坂本賀勇さんのコメントいわく、今回のファミ探の復活は任天堂のとある若い社員の方の行動が大きなきっかけになったという。その御方に大きな声で「復活の道筋を立ててくれて、本当にありがとうございます!」と伝えたい。坂本さんも(調査ファイルでは名は伏せられているが、可能性的に最も高いと推察される)『メトロイド ドレッド』の開発と並行し、復活に力を注いでくれたことに感謝!
わざわざプロトタイプを作って任天堂へと持ち込んだ浅田さんにも敬礼!
またいつか、この少年探偵とあゆみのコンビの活躍が見れることを願って!
あと今回のリメイク版制作によって、坂本賀勇&大澤徹という『カエルの為に鐘は鳴る』のタッグが復活したのにちなんで、同作のリメイク、もしくは続編がいつかの未来に実現することも願っております(笑)。