『A Dark Room』は新感覚のテキストベースアドベンチャーゲームです。古典的テキストゲーム『ゾーク(Zork)』を思い起こさせつつも、現代的なスパイスがちりばめられています。
本作では、あなたの認識力・行動力・想像力が試されます。
画面はとてもシンプル。テキストのみの視覚的情報から手がかりを得ながら進むも、深まる謎めいたストーリー。サウンドも想像を掻き立ててくれます。(以下略)
※My Nintendo Store:商品ページより引用
◆A Dark Room ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
半額だったのを機に買ったが、素で変な声が出るゲームだった。原作はブラウザゲームで、後にスマートフォンのアプリ版が発売されたりしたのだが、自分はそのどれも知らず(※知ったのはクリア後)、そして推薦された方より「買うなら何も調べないで」と忠告されたのを踏まえ、真っ白なまま遊び始めた。
その通りにして良かったと、心底思った。
これはいくら何でも予想が付かない。
ゲーム内容、ストーリーは非常に単純だ。プレイヤーの分身たる主人公はその名の通り過ぎる「暗い部屋」にいる。部屋は凍えるほど寒くなっている。主人公の隣に居る”彼女”も弱っている。
だから火を灯し、暖を取りながら生き延びましょう。それだけ。
実際のプレイもひたすら「火を灯す」コマンドを選び続けるだけである。
だが、灯すことを続けるにつれ、部屋の様子がおかしくなっていく。
併せてコマンドにも灯す以外のものが現れ、できることが増える。
そして、それらを選ぶにつれ、事態は思いもしない方向へ……。
それがどんなものかは「何も調べないで」の忠告に従い、感想でも言及しないでおく。
少しだけ言うなら、変な声が出る。
最初は「は?」、次に「え?」、そのまた次に「な!?」、大転機に「い!!?」、締めのラストに……絶句である。
なんのこっちゃだけど、本当にそんな声が衝動的に出てしまう事態が連続するのだから仕方がない。あと、クリアした時には思わず「どうしてこうなった」と言いたくなる。火を灯していただけだったのに、と。
ありのまま一連の体験をまとめれば。
俺は火を灯しながら暗い部屋に居たのに、いつの間にか違うことをしていた。
何がなんだかだが、自分も何のゲームをしていたのか分からなかった。
時間もたっぷり吸われていた。
中毒性が高い、面白い、世紀の傑作とかの次元ではない。
得体の知れない”何か”を味わったような心境です。
元がブラウザ、スマホタイトルなので、カーソル操作には少し煩わしさがあったこと、クリア後の開発者コメンタリーが『Firewatch』みたいに英語音声で字幕なしなのが酷すぎるけど、それらが霞むほどのものがある。
定価でも700円とお手頃だが、下手すれば20~30時間以上遊べる可能性あり。
アドベンチャーゲーム好きなら確かめて欲しい。
ストーリーに少し関心を抱いた方も、怖いもの見たさで突撃してみて欲しい。
一応、触れておくとホラー要素はほぼないので、苦手意識のある人も大丈夫。
ただ、そんなものを超越した”何か”を見るかもしれない。
原作を知らない人なら何も調べずに行くべし。
さすれば、全てが分かる。
締めにプレイ時はNintendo Switchの携帯モードに特化することをおすすめする。テレビモードでもいいけど、本作はそちらとの相性がずば抜けていい上、タッチスクリーンが使えて操作性が多少向上する点でほぼ一択。
だが、普通に始めると4~5時間は吹っ飛びかねないので、時間とはよく相談の上で。
どうしてそんな時間がすっ飛ぶかの理由は説明しない。実際にやるべし。