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≫ロックマンロックマン
■発売元 カプコン
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5040円(税込)<※Best版:2079円(税込)>
ダウンロード版:2200円(税込)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 メモリースティックの残り容量によって変化(※使用容量:512KB以上)
■その他 メモリースティックDuo&メモリースティックPRO Duo対応、ワイヤレスLAN(インフラストラクチャーモード)対応、UMDPassport対応タイトル
■総説明書ページ数 48ページ
■推定クリア時間 3〜4時間(エンディング目的)、40〜70時間以上(完全攻略目的)
20XX年。
科学の進歩により、人々は工業用の人型ロボットを生み出した。
家庭用お手伝いロボット『ロック』も、ロボット工学の第一人者、トーマス・ライト博士の研究所で平和に暮らしていた。

ところがある日、ライト博士の研究所を悪の科学者Dr.ワイリーが襲撃。
自らの世界征服の野望を成し遂げる為、ライト博士のロボットを奪い去ってしまった。
ガックリ肩を落とすライト博士。
それに対しロックは、ワイリーの野望を阻止する為、自らを戦闘用ロボットに改造して欲しいとライト博士に願う。ライト博士はその言葉にためらったが、ロックの強い意志を汲み取り、彼を戦闘用ロボットに改造。

こうして、戦闘用に改造されたロック改め、ロックマンはワイリーの後を追う。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ステージの変化から新ボス追加など、初代経験者でも新鮮な気持ちで楽しめる要素が盛り沢山の『NEWスタイル』
◆画面比率に音楽まで、見た目は違えど初代ロックマンを忠実に再現した『OLDスタイル』
◆中間地点が豊富にセットされ、進め易くなった各ステージ(NEWスタイルに限る)
◆違った操作感覚とアクションの妙味が楽しめる、ボスキャラクター操作モード
◆嫌らしさは緩和しつつも手強さは残した、初代に対する愛に溢れたゲームバランス
◆一番簡単な難易度ではサポートの足場を追加するなど、それぞれの個性がきちんと表現された全三種類の難易度
◆全部で100問と、ボリューム満点でやり応えも半端じゃない『チャレンジモード』
◆一本で二本分のロックマンが楽しめる上、やり込み要素も満載の総計ボリューム
◆オリジナルステージの作成ができ、ネットで公開もできるのが魅力的な『コンストラクションモード』
◆3Dに見た目は変わっても、従来のレスポンスの良さはそのままの抜群の操作性
◆オリジナルと180度異なる、可愛らしさが全面に押し出された特徴的なグラフィック
◆雰囲気は変わったが、相変わらず名曲揃いの音楽(アレンジ具合もグッド)
◆初代ロックマン経験者なら爆笑必至のオープニングデモ
◆可愛らしい世界観にマッチしたボイス演出(ワイリーに青野武氏を起用するなどのファンサービスも)
◆初代ロックマンに少し奥行きを与えた表現と演出が光る、NEWスタイルのシナリオ
◆ウザいほど熱過ぎるファイヤーマン

--- Bad Point ---
◆明らかに理不尽としか思えない難易度のチャレンジモードの一部課題
◆時間が長くてテンポが悪い、『チャレンジモード』の再スタート
◆一部、極端にギリギリなジャンプ操作が求められる、NEWスタイルステージの存在(ガッツマンステージ、ワイリーステージ4など。特に後者のシビアさは行き過ぎている感が否めない)
◆内容は魅力的だが、配信の方法など初心者には敷居が高過ぎるコンストラクション
◆熱心なファンほど、賛否の分かれるキャラクターデザイン
◆ボイスのみOFFするオプションの非搭載(相変わらず無い…)
◆再現は見事だが、多少無理矢理っぽさも漂う『OLDスタイル』
◆弱点武器で攻撃しないと回避できない、NEWスタイル最終ボス第二形態の突進攻撃(しかもこのボス、弱点武器が変動するギミックが仕込まれているので、判断時にかなり焦る)
▼Review ≪Last Update : 12/6/2009≫
燃える 燃える!体が燃える!オマエに萌える!

※仕様です。


カプコンの看板アクションゲームにしてロックマンシリーズの元祖、初代『ロックマン』を現代風にアレンジしたリメイク作品。『イレギュラーハンターX』のスタッフが開発を担当。

本気のロックマン愛に満ちた、極上のリメイク作品だ。

内容は原作である初代ロックマンに準拠。自由に選択できる6つのステージを攻略しながら最終ステージを目指す、横スクロールのステージクリア型アクションゲームだ。各ステージのボスを倒す事で取得できる多彩な特殊武器、ジャンケンの概念を取り入れたボスの弱点武器など、基本システムも原作を踏襲。その上で新要素を加え、模様替えまで施した、かなり大胆なリメイクとなっている。
特にリメイクされた箇所で目に付き易いのは、作品全体の世界観。原作の80年代のロボットアニメ風とは180度異なる、ぷに萌えアニメ風(?)の可愛らしい世界観に変更されている。その変更に伴い、演出や音楽の作風も大分変わっており、原作特有の硬派さ、ロボットアニメっぽさは完全に削ぎ落とされている。
男性向けから女性向けにシフトしたという事で、原作経験者からして見れば相当な違和感を覚える変更点と言えるだろう。ロックマンのみならず、宿敵ワイリーを始めとする敵キャラクター達も全員、可愛らしくなっているので尚更。しかし、見た目は可愛らしくとも、ゲームバランスは原作準拠の硬派な調整。手応えは間違いなくロックマンなので、見た目に違和感を覚えてもゲームに対しては違和感を覚える事はほぼ無い。現代風にしつつも元は厳守する姿勢が一貫されているので、見た目に違和感は覚えど、この手応えには原作経験者も大いに満足できるはずだ。この見た目にして、なかなか侮れない作り込みが成されている。
また、今作には二つのゲームスタイルが用意されているのも大きな特徴。原作の初代ロックマンを3Dグラフィックと4:3の画面比率、懐かしのファミコン音楽で完全再現した『OLDスタイル』、画面比率はPSPに準拠、ストーリー性を強化し、新ボスなどの大幅なアレンジが加えられた『NEWスタイル』、それぞれ異なる作りのロックマンが一度に楽しめる、あまりに贅沢な内容となっている。旧作の再現と新作同然の旧作がプレイできる。これだけでも、今作がかなりお得なゲームであると言うのは、語るまでも無いだろう。
特に『NEWスタイル』は秀逸。ステージ構成が旧作と別物、新ボスが2体加わって選択可能ステージが8つに増加、ストーリー性を強化と、もはや新作同然の大胆過ぎるアレンジぶり。初代未経験者はおろか、経験者でも新鮮な気持ちで楽しめる、大変やり応えのあるものとなっている。更にこのモードに限り、8体のボスを一定の条件で倒せば、そのボスをプレイヤーキャラとして使う事ができるようになる、ある意味夢のような要素も追加されている。初代のボス達がプレイヤーキャラとして使える!熱心なロックマンファンならば、この要素には熱いものが込み上がってくるだろう。しかもボスを使う事でシナリオが変化したり、ステージ攻略も変化するというニクい要素も完備。やり込むだけでも、かなりの手応えが得られるのが感じ取れると思う。こんな様からしてもう、リメイクとしてやり過ぎな作りであるのは、もはや言うまでも無い。
それに加え、この他にも自分だけのオリジナルステージが作れ、インターネット経由で配信できる『コンストラクション』やら、全100もの課題が用意された『チャレンジ』なるやり込みモードまで完備。そして、初心者の配慮として難易度選択機能を搭載するなど、細かい配慮に関しても万全という隙の無さ。
幾ら何でも、これは作り込み過ぎだろう、と。そうツッコミたくなってしまうほど、無駄に豪華過ぎる内容なのである。それでいて、変え過ぎていながら改悪になってない、むしろ原作以上のクオリティを出しているという凄さ。
まさに、本気のロックマン愛があってこそ生まれたリメイク作品というに相応しい。

そんな本気のロックマン愛、それこそが今作最大の売りにして凄味である。具体的にはNEWスタイルにおけるステージ構成、バランス調整と言った基本的な所なのだが、それら全てがきちんと、「初代ロックマンらしさ」を活かした仕上がりとなってるのが素晴らしい。本当に初代ロックマンが好きだからこそ出来た、職人芸が炸裂している。
特にバランス調整の上手さは職人技である。
初代ロックマンは、最初の作品だけにシリーズの中で飛び抜けて難易度が高く、仕掛けや敵の配置もやや陰湿だった。しかし決して理不尽でなく、失敗を重ねるにつれ、次第に無傷で突破できるようになる絶妙なバランスで構築されていたので、無事に成し遂げた時に味わえる達成感は、格別なものがあった。
その難易度の高さ(歯応え)、達成感こそが初代最大の魅力。そして、欠点でもあった。初代は難易度の高さが、根本的な面白さに上手く直結した調整が図られていたのである。その事は他のロックマンシリーズでも共通しているが、達成感の強みに関して言えば、初代が最も突出していたのは間違いないだろう。
その初代のリメイクたる今作は、例によって時代の変化を受け、初代よりも陰湿さは緩和されている。敵配置は分かり易くし、難所も長さが短くされ、中間地点(コンティニューポイント)が豊富にセットされた。また、難易度選択機能も加わり、一番低い難易度にすれば難所にサポート用の足場が出現するので、ステージで苦労する事も減る。原作と比べたら、優しくなり過ぎたと言っても過言ではないだろう。
だがこんなに緩和されても、肝心の達成感と歯応えにはブレが無い。幾つかの箇所が温くなったとは言え、それでも気を抜いたらミスを招く…初代譲りの手強さはきちんと活きているのである。一番低い難易度にしてもそれは言え、ステージが進み易くなるとは言え、基本的に進み易くなるだけで、最終的にクリアできるかどうかはプレイヤーの腕が左右する調整とされている。温くするしても達成感はそのままと、原作の良さがちゃんと尊重されているのだ。ステージ構成にもそれは言え、どのステージにも必ず一箇所難所があるなど、手強い初代のらしさ(存在感)を示す配慮が徹底されている。初見で突破可能なステージなど、そんなに多くは無い。そしてその少なさこそが、初代一つの特色。徹底した初代ロックマンらしさが発揮されているのである。
正直、この手強さを残した判断はある意味、欠点とも言えるだろう。時代を意識して、一番低い難易度なら苦労無くアッサリクリアできるようにすべきだったはず。だが、あえて今作はその選択肢を取らず、手強さを尊重した。それはやはり、今作が初代のリメイクを語る作品だからこそのこだわりからなのだろう。
初代なのだから、優しくしても手強さを削ってはならない!…と。
難易度の高いゲームでも一定の優しさが求められる時代、このような過去の魅力を現代風に且つ、スマートに落とし込んだ手法はまさに驚嘆の一言に尽きる。初代のリメイクだからこそ、らしさを守らなければならない。本気の愛なくして、こんな所業、できるはずがない。その徹底したこだわりには、感服するばかりだ。
またグラフィックは現代風にして、きちんと初代ロックマンにしたOLDスタイルの再現度の高さも、そのこだわりの結晶と言ってもいいだろう。
見た目は現代なのに、バランス調整が見事に初代しているのも、本気の愛なくして行えたものじゃない。隅々まで研究し尽くしたその凄さ。正直、ここまでやり通してしまっては、文句を垂れるのも野暮だと言っても良いだろう。
それほどまでに、今作には愛が溢れている。今後のロックマンシリーズの発展を素直に期待できる魅力に秀でているのである。さすがは、かつて『イレギュラーハンターX』で見事なリメイクを披露したスタッフだ。

操作性も申し分無いレスポンスの良さで、初代と変わらぬ動かす面白さは万全。先に少し紹介したボスキャラごとの操作感の違いも見事に表現されており、丁寧な仕事が光る。
ボス戦もいつも通りの白熱する楽しさで、新規に加わった2体もロックマンらしい躍動感溢れる動きを魅せてくれる。各ステージの仕掛けの新しさも、初代経験者には新鮮な驚きと味に溢れているのが印象的だ。
グラフィック、音楽のクオリティも高い。特に音楽は初代の硬派さは無いにしろ、グラフィックの雰囲気にマッチした楽しげな曲調が秀逸。曲自体のアレンジも上手く、特に通常ボス戦はかなりの出来栄えである。
演出全般もNEWスタイルでは、フルボイスを起用するなどこだわっている。声優陣は過去のロックマン8などから完全に一新されてしまっているが、唯一、宿敵ワイリーだけはロックマン8、そしてロックマンX4等と同様に青野武氏を起用するという、分かったキャスティングがされてるのが嬉しい。かれこれ8年ぶりの青野ワイリーという事で、ロックマン8を知るシリーズファンならばその印象的な声を聞くだけで思わずニヤリとしてしまうだろう。その他、エフェクト周りも爆発表現がオモチャっぽいものになっていたりなど、ポップな世界観を意識した作り込みが成されているのが印象的。

ボリュームもやり込むとなるとかなりの物量で、ステージ作成のコンストラクションを使えばほぼ一生は遊べる。ただ、この『コンストラクション』、その内容こそ魅力的なのだが、ネットへの作ったステージ配信の敷居が高い(具体的にはヘルプ機能が圧倒的に不足している)なのは褒められない。これはPSP全体の問題とも言えるが、子供でも自然に扱えるような配慮はできなかったのだろうか。折角、魅力的な要素なのにコアユーザー向けのものになってしまってるのは残念な限りである。もっと丁寧な作り込みを施して欲しかった。
それ以外にも熱心なファンほど賛否が分かれる世界観とか、一部シビアな操作が要されるステージの存在(NEWのガッツマンステージなど)なども欠点として上げられる。
正直、見た目で懸念してしまうファンは多いだろう。ロボットアニメ風の世界観こそロックマンだとこだわるファンほど、抵抗を覚える内容なのは否定できない。しかし、はっきり言ってそれは大損だ。これほどまでに本気のロックマン愛で作られたロックマン、やらなくしてファンは名乗れない。アクションゲームとしての完成度も高く、PSPの数あるタイトルの中でも、三本の指に入るクオリティで、見た目に反して凄まじくロックマンしている今作。ファンは勿論のこと、アクションゲーム好きなら要プレイの愛溢れる傑作リメイク作品だ。
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