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≫ロックマンDASH2 エピソード2〜大いなる遺産〜
■発売元 カプコン
■ジャンル フリーランニングRPG
■CERO A(全年齢対象)
■定価 3800円(税別)<カプコレ版:1980円(税別)>
ダウンロード版:667円(税別)
■公式サイト ≫カプコンオンラインゲームズ:紹介ページ
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 メモリースティックの残り容量によって変化(使用容量:360KB以上)
■その他 メモリースティックDuo&メモリースティックPRO Duo対応
■総説明書ページ数 33ページ
■推定クリア時間 10〜13時間(エンディング目的)、40〜60時間(完全攻略目的)
古代文明の遺跡を発掘し、そこから『ディフレクター』と呼ばれるエネルギー源を採集する『ディグアウター』を生業とするロックとロールは、『大いなる遺産』の謎を追いかけ、旅をしていた。
行方不明であるロールの両親にいつか再び出会えることを願って。

多くのディグアウター達の夢である『大いなる遺産』。
それが何であるかを知る者は誰も居ない。
ディフレクターに代わる、無限の力を持つ新エネルギーという説を最初に唱えた人物で、事業家のウェルナー・フォン・ミュラーは、やがて枯渇するであろうディフレクターに代わるものとして、これに注目。人類の未来の為に大掛かりなプロジェクトを起ち上げる。『大いなる遺産』があると噂されながらも、誰も踏み込む事ができなかった『禁断の地』に、全財産をかけて建造した巨大飛行船『サルファーボトム号』で乗り込もうというのである。
かくして、完成した飛行船内にて、ミュラーによる記者会見が行われる。
そしてそこに、白いリーバードを引き連れた一人の女性が現れた。

『大いなる遺産』をめぐる冒険は、ここから始まる。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆武器切り替えを駆使したスリリングな戦闘、アクション性を強く推し出したゲームバランスなど、前作準拠且つ、細かな進化を施したロックマンらしさ溢れるゲームデザイン
◆対象に照準が表示されるようになり、使い勝手、視認性共に向上したロックオンシステム
◆冒険の舞台が広がり、より一層華やかで冒険色の増したフィールドロケーション
◆人質解放、敵包囲網の突破等の新種が追加され、更にバリエーション豊かになったミッション
◆ロケーション等の進化により、華やかで波乱万丈な内容へと激変を遂げた本編構成
◆前作に負けず劣らずの個性的で愛おしいキャラクター達(今回は敵側の面々が非常に濃い)
◆ダッシュジャンプ、物を持ち上げて投げるなど、前作以上に多彩になったロックのアクション
◆3Dアクションらしさを追求した作り込みを施しつつ、前作準拠のテンポの良さを重視した構成でまとめられたダンジョン
◆立ち止まらずに使えるタイプが増えるなど、バリエーションの増強で、戦術性が増した特殊武器
◆前作準拠の多彩な行動パターンと見た目のインパクトで魅せるボス戦(今回はロックマンお馴染みの人型ボスも増加)
◆特殊武器の活用如何で難易度が変化するロックマンらしさは相変わらず健在の良好なゲームバランス
◆短めながら、冒険の舞台やミッションの増強で密度が非常に濃くなった本編のボリューム
◆高所着地字の膠着が無くなるなど、前作以上に動かす楽しさと気持ちよさを追求した操作性
◆キャラクターの豊かな表情とアニメチックなモデリングが異彩を放つ、独特のグラフィック
◆前作とは打って変わって、物静かでシリアスな雰囲気が強化された音楽
◆各キャラクターのイメージと絶妙にマッチした、秀逸なボイス演出&キャスティング

--- Bad Point ---
◆相変わらずの3Dアクションとしては変化球過ぎる操作性(ただ、ロックオンの可視化などの改良が図られている)
◆何故か今回も継承された特殊武器のインフレ過ぎる改造費(一応、減額されているらしいのだが、それでも高い)
◆同様に今回も健在の特殊武器の酷い格差(安く強化できる武器ほど攻撃力が高いなど、前作とは違った意味で釣り合ってない調整が行われてしまっている)
◆前作、外伝作『トロンにコブン』に収録された『エピソード1「ロールちゃん危機一髪!」の巻』の続きという、ややこしい時間設定のストーリー(ただ、PSP版にはエピソード1も収録されている)
◆前作などで明かされなかった謎に迫る内容ながら、多少駆け足感も否めないシナリオの構成(また、エンディングも若干、スッキリとしないオチになっている)
◆アクションの挙動からリアクションまで鈍くなるなど、テンポが異様なまでに悪く、ストレスフルな作りになってしまっている水中ダンジョン(但し、挙動を改善する装備は用意されている)
◆相変わらずのベタ移植に終始した内容(エピソード1の収録以外の強化点はワイド化程度)
▼Review ≪Last Update : 6/19/2016≫
前回の冒険で手に入れた強力な装備があるから、恐れるに足りず!

しかし、そこに立ちはばかる懐事情という名の現実。


ロックマン、ロックマンXに続く新しいロックマンシリーズとして発売され、これまでとは大きく異なるゲームシステムとアクション性、世界名作劇場な香り漂う世界観とストーリーで好評を博した『ロックマンDASH 鋼の冒険心』の続編にして、プレイステーション・ポータブル向け移植作品。

前作以上にスケールアップしたボリュームと進化したシステムで送る、正統進化系の続編だ。

※注:筆者はこのPSP版が初プレイだった為、それを前提としたレビューとなります。

ゲーム内容は前作と変わらない。3D視点で展開するアクションアドベンチャーこと、フリーランニングRPG。主人公のロック・ヴォルナットを操作してフル3Dで構築されたフィールドを駆け巡り、多種多様なイベントを攻略しながらストーリーを進めていくというものである。システム周りに関しても前作を踏襲。フル3Dで構築されたフィールド、頭、胴体、左手、右手、脚部の計五ヶ所に武器やパーツを自由に実装できるカスタマイズ性に秀でた装備システム、多彩な特殊武器とその改造システム、『ミッション』という形で設けられたイベント、ロックオンシステム等は今作にも引き続き採用されている。ストーリーに沿ってイベントを攻略し、敵との戦闘とそれにちなんだミッション、そしてダンジョンの探索等をこなしていく本編構成もそのまま。前作経験者であればすんなりと入っていける、如何にもな続編と言える内容になっている。
そして、続編という事で前作の要素の一部が変更及び改善。特に目立つ変更点としては、冒険の舞台が増えたこと。前作は『カトルオックス島』という小さな島が舞台で、遺跡に洞窟(廃坑)、湖、市街地とそれなりにロケーションは用意されていたが、島という設定故にこじんまりとしていて、小規模な印象が否めなかった。今作ではそこが強化され、舞台が世界全体へと一気に拡大。併せて雪国、砂漠、近未来的な構造をした街、挙句の果てには宇宙空間という新たな舞台が追加され、より一層ロケーション豊かな冒険が楽しめるようになった。
更にこう言った舞台の拡大に伴い、世界全体を描写した『ワールドマップ』を新たに追加。今回もエリアごとの移動は『フラッター号』で行うのだが、今回は移動時にこのマップが表示されるようになり、エリア名だけしか表示されなかった前作よりも華やかなものへと一新されている。また、『カトルオックス島』以外の世界も描かれるようになり、作中の世界観が明確に示されるなど、ストーリー面の演出強化にも一役買っている。正直、システム自体は前作にもあったものなので、変更点としては地味だが、マップを元に様々なエリアへと出向く方式になった事で、冒険している雰囲気は一層向上。システム的にも視覚的に分かり易くなり、総じて使い勝手の優れた作りへと進歩している。
また、イベントこと『ミッション』も新たに人質解放、敵包囲網の突破、宝物の争奪戦と言った新種が追加され、よりバラエティーに富んだ展開が繰り広げられるように。ダンジョンの構造も、前作以上に3Dならではの高低差を活かした作り込みが成され、パワーアップ。ギミックにも前作には無かった水中エリア、溶岩地帯、無重力エリアと言った新たなものが追加され、やり応えを一層高めている。まさに舞台となる場所が増えた事の恩恵を受けた格好だ。絵的な面でも表現の幅が広がって「世界を股にかけた冒険」としての色合いが濃くなり、前作以上にスケールのあるアクションとダンジョン攻略を始めとするイベントが楽しめる内容になっている。勿論、全体のボリュームも増加。とは言え、大体一周にかかる時間は10〜13時間程度と控え目になっている。そんなアクション重視且つ、ロックマンのRPGとしてのらしさは前作と変わらず健在。あくまでも突き詰めたのは多彩さ。安易な水増しはしない、バランスの取れた仕上がりとなっている。
システム周りもブラッシュアップが図られている。特に敵に狙いを定める『ロックオンシステム』は大きく進歩。専用の照準が表示されるようになり、誰を狙っているかが視覚的にはっきりと示されるようになった。前作はロックオンすると言っても誰を狙っているか、それを示すマーカーが何も表示されなかっただけに、やっと言葉通りのシステムへと完成した感じである。また、ロックオンの仕様自体にも改良が施され、ロックオンしながら移動してもカメラが常にその敵を注視するようになったり、空中であってもロックオンが効くようになるなど、使い勝手の良い作りへと進歩を遂げている。狙いを付ける照準が表示されるようになったという事で、今作より前にNINTENDO64で発売された『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の注目システムに影響された感じが強く出てはいるが、それもあって、今回のロックオン自体は非常に使い易いものになっている。正直、照準の表示は前作の時点でやっておけよと突っ込みたくなる所もあるが、とりあえずは理想的な形へと刷新。順当なブラッシュアップを遂げた仕上がりになっている。
並行して、『特殊武器』もバリエーションが多彩になったほか、性能的に変わったものが増えた。注目すべきは、動きながらでも使用可能な特殊武器が追加された点だ。前作では大半が立ち止まらないと使用できないという妙な制限があったが、今回はそうでなくても使用可能な特殊武器が追加されたので、戦闘時により派手な立ち回りができるようになっている。また、地面を転がっていく爆弾を投げる『アースクリーパー』、対象に向けて一定時間攻撃を続ける『リモートチャージ』等、武器自体にも新種が追加され、戦術の幅が広がっている。更に前作では終盤になると、一部の特殊武器に頼りがちになり、数多くの特殊武器がお荷物になる難点があったが、そこも基本性能と改造による強化加減の調整が行われ、大体の武器が最後まで活用できるバランスへと改められている。それもあって、今回は本家のロックマンシリーズばりに多種多様な武器を使いこなして戦えるようにもなっている。舞台となるフィールドのバリエーション増強だけに留まらず、こう言った所でも武器周りにしても、ロックマンシリーズとしてのらしさが感じられるように強化。シリーズを遊んできたプレイヤーならニヤリとすること間違いなしの秀逸な仕上がりになっている。
他に細かい所でも、高い所から落下した際の硬直の概念が廃止され、よりスムーズ且つ、スピーディに次のアクションへと繋げられるようになったほか、『ローラーダッシュ』のアクションを行っている際、ジャンプする事によって大ジャンプができるというロックマンXシリーズを髣髴とさせるアクション、物(敵も含めて!)を持ち上げて投げる、マリオを髣髴とさせるようなアクションまで追加され、より思うがままにロックを動かせるようになっている。こんな具合に全体的に前作をベースにシステム周りの改善、ボリュームアップに徹した作りにまとめられており、これぞ正統進化系の続編と言うに相応しい作品に仕上げられている。前作で確立されたゲーム性を一変させるような派手なシステム変更もないなど、順当な進化に徹している所もロックマンシリーズらしい。加えて、ストーリーも前作の続き物という続編全開な内容であったりなど、95年以降のロックマンシリーズの御約束を良くも悪くもバッチリと踏襲した作りにもなっている。

そんな今作の売りは、ロケーション増強で更に魅力が増し、ロックマンDASHシリーズとしてのらしさを一層濃くしたレベルデザイン。新しいダンジョンとパワーアップしたギミック、特殊武器による多彩な戦術等、前作にも増して起伏に富んだ冒険と戦闘が楽しめる内容へと進歩を遂げ、更に楽しく、やり応えのある内容へと進化を遂げている。
特に光るのはやっぱりロケーションの増強。雪国、砂漠、更には宇宙、中には怪しげな大地まで、前作以上に多様なカラーで彩られた世界を冒険できるようになった事により、アクションアドベンチャーとしての魅力は飛躍的に高まった。世界各地の町や遺跡を巡っていく今回のストーリー構成にしても、そのらしさを一層強めており、これぞ世界名作劇場と言わんばかりの展開が堪能できるようになったのも特筆すべき点にして、ロックマンDASHとしての個性を一層引き立てている。折角、キャラクターや世界観が魅力的なのに、小さな島が舞台では…と思っていた前作経験者が今作をプレイすれば、間違いなくこのように感じてしまうだろう。「これこそが冒険だ!」…と。さりげなく、今作のスタート地点となる場所が雪国であったりする事からも、今作が前作以上にスケールの大きな舞台で冒険を楽しんでもらいたいという意図を込めて作られた事をヒシヒシと感じられるはずだ。
また、ダンジョンのパワーアップもロケーション増強と併せて注目に値する進化だ。特に構造が立体的になり、より3Dアクションゲームとしてのらしさを追求した作りになっているのには、今作が2Dアクションのロックマンでは無く、3Dアクションのロックマンという印象を強固なものにしようとする製作スタッフのこだわりが強く現れている。前作同様、謎解きも『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』等の初期のゼルダシリーズを意識したものになっていて、変に複雑にし過ぎず、優しくし過ぎずの適切なバランスを維持した作りになっているのにも、あくまでもアクションが主役とするロックマンらしさを感じられる仕上がりになっていて見事だ。ギミックの追加も、そんなアクションとしての魅力を一層高める要素として機能しており、中でも溶岩エリアはミッションの内容も含め、タイムボカンシリーズのような雰囲気を醸し出している。同様に水中エリアも、他のロックマンシリーズではお馴染みのものではあるが、3Dになった事によって水圧がかかるが故の重い操作感と恐怖を表現しているのがユニーク。そんな特色故、ゲームのテンポが一層悪くなるという弊害まで生まれてしまっていたりするが、前作とは異なる方向性を突き詰めようと作り込んだそれらのインパクトはなかなかのもの。これもまた、アクションアドベンチャーとしての魅力を更に高めるものとして完成されている。
そして、ミッションも全体のボリューム増強によってバリエーションが増強されたほか、新規のミッションも追加された事で更にやり応えと起伏のある仕上がりへとパワーアップを遂げている。主に戦闘関連において、ストーリーと強く絡んだキャラクター達との戦いが増えたのは大きな見所と言えるだろう。
そして、ボス戦も全体のボリュームアップに並行する形でその数が大幅に増えた。ボス自身も、今回は従来のロックマンシリーズを髣髴とさせる人型タイプが多くなっているほか、大型メカタイプも複雑な形態を特色としたタイプが増強されるなど、手強さを追求した面子が勢揃い。だが、例によってバランスの取り方は、ロックマンシリーズに則った特殊武器の活用如何で左右するもの。難しさを選ぶか、簡単で行くかはプレイヤーにお任せというコンセプトは今作にも継承されており、多様な戦術を用いた奥深い戦いを楽しむ事ができる。ボス自身の動きも、今回は本家のロックマンシリーズに迫る勢いの多彩な動きを見せてきたりなど、シリーズファンならニヤリとしてしまう作り込みが成されているのが面白いところ。前作も前作で、戦闘の多さなどで凝った作りを見せていたが、今回もそのこだわりは健在。ボス戦が熱くてこそのロックマンと思う方なら、大満足必至の戦闘が楽しめるだろう。こう言ったパワーアップとこだわりの作り込みが成されているだけあって、そのレベルデザインが如何に起伏に富んだものになり、それでいて冒険色の濃いものになったのかは容易に察する事ができるだろう。前作も前作で、ミッション構成やダンジョン、戦闘などにおいてその起伏に富んだ構成とバランスの良さを見せていたが、今作はそれ以上に刺激的で、目が離せない構成。サービス精神旺盛でロックマンらしさと冒険に溢れた体験がたっぷり堪能できる内容になっているのだ。
ただ、ストーリーに関しては前作の続き…と見せかけて、実は外伝作『トロンにコブン』の『エピソード1「ロールちゃん危機一髪!」の巻』の続きというのは正直、紛らわしい。その為、前作から今作に入ると何故、一部のキャラクターの設定が変わっているのか混乱する所があるのは難点だ。しかし、このPSP版にはそのエピソード1が別途、収録されているので、フォローは万全。とは言え、メニューの配置的におまけコンテンツの位置付けにされてしまっているのは配慮が甘いと言わざるを得ない。そんな訳で、本編を始める場合は必ずエピソード1をプレイしてからするようにと、強く注意しておきたい。しかし、肝心の本編ストーリーはエピソード1だけでなく、前作の伏線が関係してくる内容な為、前作未経験者には何がなんだかなものになってしまっている。加えて駆け足な展開も多く、無理矢理圧縮したかのような内容になってしまっているのがタマにキズ。一応、伏線はしっかり回収され、決着を着けて幕を閉じるのだが、正直、結末に関しては賛否が分かれるだろう。どう賛否が分かれるものなのかは、未だに今作の続編を望む声が大きい現状を見れば分かるはず。そういう人によっては嫌悪感を抱きかねない要素を加えてしまったのは純粋に拙い施策だった、と言えるかもしれない。

その他、操作性に関しては、前作のものを継承しているというだけあって、レスポンス周りはそれほど変化はない。ただ、先の通りに落下時の硬直が無くなった事でよりスムーズにアクションを繋げられるようになるなど、より動かす楽しさが増したものになっている。相変わらず、方向転換と横移動の操作感に癖はあるが、慣れてくれば驚くほど自然にキャラクターを動かせる上、PSPのハード設計との相性の良さが発揮された仕上がり。使いこなせるようになるだけの価値を持った作りは今作でも健在だ。
ボリューム絡みでは今回もクリア後の高難易度モードなど、やり込み要素はバッチリ収録。ただ、本編のボリュームを増やした反動でか、サブイベントが少なくなってしまっており、寄り道する楽しさは薄れてしまっている。ストーリーを進める度に色んな道が開いていく事に楽しさを覚えた前作経験者にとって、この辺は劣化したと感じてしまうだろう。
隠し難易度の出現条件もディグアウターのランクを上げる試験のイベントを攻略しなければならないなど、やや面倒になっている。ただ、攻略する事で本編とは異なるダンジョンが出現すると言った特典もあるので、一概に悪いとは言い切れないところも。ある意味、前作とは異なる方向性を目指した作りと言えなくもない。
3DCGでありながら、アニメのようなデザインと表情豊かなキャラクターのグラフィックは今作も健在で、続編と言うだけあって品質も底上げされている。ただ、今回もその評価はオリジナル版の視点から見たもの。PSP移植版としては、ベタ移植と言わざるを得ない仕上がりになっているのはちょっと勿体なく感じてしまうところだ。
音楽に関してもロックマンシリーズにしては珍しい明るい路線の雰囲気重視の曲が多いが、ストーリーが少しシリアス調であるのも影響してか、やや落ち着いた作風の物が増えた感じ。正直、今回は好みが分かれるかもしれない。ただ、主題歌に関しては今回も印象深いものが揃っている。特にエンディングテーマは要チェックだ。

演出周りも前作同様にムービーデモはリアルタイム形式であるなど、非常に凝った仕上がりになっている。キャラクターボイスにしても相変わらずのフルボイスで、前作のキャストが続投。ロックとロールは相変わらずの『天空の城ラピュタ』っぷりとなっている。新キャラクターも全体的にミステリアスな面子が多いのが印象的。声優陣も家弓家正、矢島晶子、子安武人、飯塚昭三とこれまたベテラン勢ばかりとなっているので、そう言った方面でも要チェック。特に子安氏が演じるキャラクターは複数居る上、そのどれもが強烈な個性を放っているので、見れば嫌でも記憶に残ってしまうかもしれない。
全体的には前作ベースの続編という事で、悪かった所を更に良くする改良が施された、真っ当な正統進化系に徹した仕上がりになっている。ただ、ストーリーが続き物且つ駆け足気味以外にも、特殊武器の改造費と強さが噛み合っていない、水中エリアの面倒臭さなど、新たな欠点も浮上してしまっており、少し粗さを感じてしまう所もある。
とは言え、完成度は決して低くなく、3Dらしさを更に追求したダンジョンやロケーションの増えたフィールドなど、冒険ものとしてのカラーは一層濃くなり、ロックマンDASHとしての独自性を引き上げた内容に仕上げられている。前作プレイ前提とはなるが、高い完成度を誇る今作。前作経験者は勿論のこと、ロックマンシリーズが好きな方なら要プレイの傑作だ。今回もベタ移植という事で派手な変更点や改良は無いが、携帯機でサクサク遊べる快感はなかなかのもの。その色褪せぬ面白さを是非、体感してみよう。お薦めです。
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