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  4. ロックマンDASH 鋼の冒険心
≫ロックマンDASH 鋼の冒険心
■発売元 カプコン
■ジャンル フリーランニングRPG
■CERO A(全年齢対象)
■定価 3800円(税別)<カプコレ版:1980円(税別)>
ダウンロード版:667円(税別)
■公式サイト ≫カプコンオンラインゲームズ:紹介ページ
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 メモリースティックの残り容量によって変化(使用容量:360KB以上)
■その他 メモリースティックDuo&メモリースティックPRO Duo対応
■総説明書ページ数 29ページ
■推定クリア時間 4〜5時間(エンディング目的)、40〜60時間(完全攻略目的)
遥か未来、大陸の大半が海に沈んだ地球。
かつての文明を忘却の彼方に追いやるかのように、人々は残された大地で独自の文化を形成し、生活を営んでいた。そんな人々とは対照的に、かつての文明の遺産を掘り起こし、それを生活の糧とする者達『ディグアウター』が現れた。

ある日、ディグアウターであったバレル・キャスケットは、遺跡で一人の赤ん坊を拾う。彼は赤ん坊をロック・ヴォルナットと名付け、生まれたばかりの孫娘ロールと共に育てる事にした。
それから14年後、大きくなったロックは行方不明となったロールの両親の意志を継ぎ、ディグアウターとして旅をしていた。両親唯一の手がかり『大いなる遺産』を探し求めて…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆従来のロックマンとは180度方向性の異なりつつも、敵に応じた武器の切り替えとアクション性の強い展開の数々等、シリーズらしさも程好く残したゲームデザイン
◆マップ探索と戦闘ミッションを交互に繰り返しながら進行する、起伏の激しい本編構成
◆逃げる敵の追跡、特定施設の防衛戦、巨大ボスとの戦闘など、バリエーション豊かなミッション
◆ロックマンシリーズらしい一筋縄ではいかぬ攻撃パターンと見た目のインパクトで魅せるボス戦
◆強力なロックオンシステムによって構築された、2Dアクションゲームとほとんど変わらぬ感覚で楽しめる戦闘システム(ストレス無く敵に攻撃を撃ち込める親切設計)
◆爆弾を撒き散らすものに斬撃を可能にするブレード、至近距離で絶大な威力を発揮するドリルなど、多種多様でロックマンシリーズらしいノリも含んだ特殊武器全般
◆特殊武器の活用如何で(主にボス戦)難易度が変化する、これぞロックマンなゲームバランス
◆複雑な謎解きを取り除き、アクションゲームとしてのテンポの良さと敵との戦闘に重きを置く設計が成されたダンジョン
◆少し変化球だが、キーレスポンスの良さとキャラクターを動かす楽しさに秀でた操作性
◆控え目ながら、クリア後の高難易度と言ったやり込み要素の数々でたっぷりと楽しませてくれる総計ボリューム
◆シリーズとしては珍しいフル3Dによる描写とコロコロと変わるキャラクターの表情で魅せるグラフィック
◆世界観にマッチした明るい作風とまさかのクラシックアレンジ収録で楽しませてくれる音楽
◆敵に攻撃を撃ち込んだという確かな手応えを実感させる、質感満点の効果音
◆味方から敵も含め、非常に個性的で愛おしいキャラクター達(特にボーン一家のコブン達)
◆各キャラクターのイメージと絶妙にマッチしているほか、ストーリーイベントの盛り上げにも貢献しているボイス演出

--- Bad Point ---
◆3Dアクションとしては変化球過ぎる操作性(視点と移動の操作が独立しているので癖が強い)
◆幾ら何でもインフレし過ぎな特殊武器の改造費(普通にプレイしていてはまず、絶対に集める事ができないであろうレベルの額を要求される。その所為で何処となく水増し感も…)
◆全体的に稼ぎプレイが4割程度占める本編(特に特殊武器の改造でそれを余儀なくされる)
◆特殊武器の格差の酷さ(終盤に手に入るものほど強く、序盤〜中盤は弱いものがほとんど)
◆一応の決着は着くものの、数多くの謎が明かされないまま終わってしまうシナリオ
◆設定的に理に適っているが、強くし過ぎな感が否めないラスボス
◆完全なベタ移植に終始した内容(画面のワイド化ぐらいしか、アレンジされた所が無い)
▼Review ≪Last Update : 12/13/2015≫
これだけの装備が揃えば、次の冒険も怖くない!

しかし、その3年後…。


ロックマンシリーズ生誕10周年を記念して製作され、それまでのシリーズとは大きく異なる世界観とゲームデザインで好評を博した新たなロックマン『ロックマンDASH 鋼の冒険心』のプレイステーション・ポータブル向け移植作品。

遊び易さを重視したゲームデザインとゲームバランス、3Dになっても損なわれていないロックマンらしい手応えを持ち味とする、シリーズ屈指の野心作だ。

※注:筆者はこのPSP版で今作を最後まで遊んだ為、それを前提としたレビューとなります。

公称でフリーランニングRPGと謳っているが、その詳細な内容は3D視点で展開するアクションアドベンチャーゲーム。主人公の『ロック・ヴォルナット』を操作して3Dで描写されたフィールドを駆け巡り、様々なイベントを攻略しながらストーリーを進めていくというものだ。ロックマンシリーズと言えば、2D横スクロールのステージクリア型アクションゲームとして知られ、今作と同様に新シリーズとして誕生した『ロックマンX』においても、その基本形を踏襲していた。だが、今作はその伝統的なスタイルをほとんど踏襲せず。一応、キャラクターの名前、主人公のロックが青を基調としたキャラクターである所は踏襲しているが、その他のシステム周りは完全な別物で、ロックマンの名を語った新作タイトルも同然の内容になっている。更にアクションアドベンチャーというだけに、ゲームの流れも先の通り、横スクロールのロックマンとは別物。他のゲームで例えるならば、任天堂の『ゼルダの伝説』に非常に近い遊び心地を持ったものになっている。
システム周りもそれまでのロックマンとは大きく異なる。第一に『装備』関連。頭、胴体、左手、右手、脚部の五ヶ所に専用のパーツを装備する事ができ、それによってステータスが変動し、能力が強化されていくという如何にもRPGな成長システムが実装されている。仕組み自体は『ロックマンX』のパーツシステムに近いが、今作ではパーツの一つ一つがイベントの進行に応じて順次手に入って行くほか、中には探索を行わないと終盤まで手に入らないままのものも存在するので、ほとんど別物。加えて装備品の内の一つ、特殊武器に関しては『改造』という形で造り出さねばならず、その為に該当するパーツとお金(ゼニー)が必要とされるなど、RPGである事を強く意識した仕組みになっている。なお、経験値によるレベルアップシステムに関しては非搭載。基本的に能力強化はフィールドやダンジョン内で手に入るアイテム及び、パーツの装備によってのみ行われる方式になっている。特殊武器の強化に当たって、お金を稼がなければならない作業プレイが求められる所もあったりはするが、基本はアクションのロックマンシリーズ(ロックマンX)やゼルダの伝説シリーズを踏襲。アクションゲームの感覚でテンポ良く遊べる事を意識した設計となっている。
アクション絡みでは、戦闘全般とそれに連なる機能周りもそれまでのシリーズとは異なる第二の箇所。基本的な作りはロックマンシリーズらしさ溢れるアクションシューティングスタイルで、フィールド上を駆け回りながら、お馴染みのロックバスターを撃ちながら敵を攻撃していくというものになっている。ただ、3D空間での戦闘という事で、敵に狙いを定める必要があったり、肝心の敵の耐久力が高めに設定されるなど、その遊び心地とゲームバランスは大きく異なるものにされている。また、操作周りも非常に独特で、移動と方向転換(カメラ操作)が独立した振り分けになっている。つまり、アナログパッドだけだとキャラクターは倒した方向にしか動かない。上下に倒して前進と後退は普通でも、左右に倒すと水平移動になってしまうのである。なので、向きを変えたい際はLRボタンで調整しなければならない。アナログパッドとLRボタンを併用し、キャラクターを動かしていくのだ。その為、非常に癖が強い。特に今作の前年に発売されたNINTENDO64の『スーパーマリオ64』に触れた経験のあるプレイヤーなら、強烈な違和感と覚えること間違いなしのものになっている。なので、操作の慣れは必須。そんな所も従来の2Dアクションとの決定的な違いを現した仕上がりになっている。
そして、第三として本編の構成、レベルデザインにしても完全な別物。先の繰り返しになってしまうが、ストーリーに沿って進んでいく構成なので、事実上の一本道。プレイヤーで好きなステージから始める事のできたシリーズとは異なり、ルートが完全に固定されている。ただ、今作はメインのシナリオに絡んだイベントを『ミッション』という格好で扱っており、これに絡んだマップに移動するまでに踏破済みのダンジョンを探索し、アイテムや装備品の回収を行うと言った寄り道は好き勝手に行える。ただ、結果的には一つのルートに絞り込まれてくる上、中には寄り道できずに強制的に発生する類のものもあるので、手応えは別物。攻略周りにそれっぽい所もあるが、全体的にここも他と同様に今作独自の特徴を全面に推し出した作りとなっている。
他にも謎解き、探索要素を主軸とした『ダンジョン』が登場するのも、それまでのシリーズには無かったフィーチャーの一つ。また、グラフィックもキャラクターからフィールドに至るまで全てが3DCGで描かれており、ドット絵で描かれた過去のシリーズとは180度異なるビジュアル、世界観になっているのも特色の一つだ。
以上、駆け足で紹介したが、これだけでも今作が完全新作と謳われても止む無しの内容なのは容易に想像できるだろう。同じく新シリーズとして派生した『ロックマンX』が正統なパワーアップ版だったのなら、今作は突然変異種とでも言うべきか。これまでにない新しいアクション、新しいシステム、そして新しい世界観を特色としたロックマンになっているのだ。だが、肝心の中身はこれぞまさにロックマンだと断言できるゲームに完成されている。

その別物ながらも立派にロックマンだと言い切れる、巧みなゲームデザインが今作の売りでもある。確かに基本的な作りこそ、横スクロールのステージクリア型アクションゲームだった従来作とは完全な別物。メインストーリーに絡んだイベントはプレイヤーの好きな所から進めていく事もできないし、8体のボスも存在しない。極め付けにダンジョンという探索と謎解きが仕掛けられたマップまで出てくる。これがロックマンだ、と言われても完全新作じゃないかと反論したくなるのは致し方ないとしか言い様がない。
だが、それでも今作は真っ当にロックマンとして作られているのだ。例えば装備と戦闘関連。主に特殊武器の扱いに関してだが、これを用いる事で、強敵に致命的なダメージを与えられるなど、難易度が一変する仕掛けが凝らされている。地道にロックバスターで戦うと与えるダメージが少なく、時間がかかるけど、特殊武器なら短期決戦へと持ち込める。この辺の武器によって大きな変化が生じるバランスは、紛れもなくロックマンそのもの。あの独特の戦術性と露骨な変化が現れる秀逸なゲームバランスはそのままなのだ。特殊武器の多様さにしてもまた然り。威力の高いバスターを放つ基本的なもの以外にも、大量の爆弾を撒き散らすもの、狙撃特化型のバスター、至近距離で絶大な威力を発揮するドリル、更には斬撃が可能になるブレードと、個性豊かで奇抜な特徴を持ったものが豊富に用意されている。そう言ったバリエーションに富んだ武器が用意されている所もまた、ロックマンらしさ全開。加えて狙撃型のバスターなど、3D空間を舞台にした今作だからこそ成し得た独自性の強いものもあったりなど、新たな試みが炸裂しているのも地味ながら注目に値する所である。戦闘の仕組みと武器の入手過程が違うのに加え、武器自体も意識して探さないと取りこぼしが発生したりするが、手に入れた後、強敵に向けてそれを使った際の快感、難易度の一変にはシリーズ経験者ほど、これはロックマンだと確信すること間違いなし。そんなアクションゲームとしての肝は今作、しっかりと伝統を継承。別物にしようが、そこは失わせまいと言わんとする工夫が凝らされているのだ。
更に、ほぼ2Dの感覚で遊べる戦闘も特筆すべきところ。先の通り、今作は3D空間でのシューティングバトルという事で、狙って撃つアクションが求められる場面がある。だが、変にプレイヤーを突き放した仕様にはなっておらず、自動照準機能と対象を絞り込むロックオン機能を実装。しかも、対象をロックオンすればバスターがそのまま相手の方向に向かって当たってくれるようになっている。なので、撃ち外しが非常に発生し難い。驚くほど直感的に、横スクロールアクションのロックマンとほぼ変わらぬ感覚で敵との戦闘を楽しめてしまうのだ。無論、立ち回り等に関しては独自のテクニックが求められてくるが、3D空間を舞台にしたゲームなりの攻撃の当て難さ、外れ易さが皆無な点は特筆に値する。更に当て易いからと言って、戦闘が一方的な展開になる訳でも無く、さすがそこはロックマンと言わんばかりにボスはトリッキーな動きと攻撃で攻め込んでくるので、撃ってばかりでは容易に勝てないバランス調整が図られている。だが、特殊武器で攻め込めば難易度を急激に下げる事もできたりと、攻略の手法はプレイヤーそれぞれ。そんな遊び易さ、アクションゲームとしての手応え、ロックマンとしてのらしさを3Dでもしっかり再現。手法を変えても独特の味わいを残したその出来栄えには、安易な気持ちでロックマンを3D化させた訳では無いという、製作陣のセンスの良さと情熱を感じさせられるだろう。
また、遊び易さを重視したマップデザインとそのサポート機能も特筆すべき部分。広大な3D空間を動き回れるが故の欠点、進行すべき方向の分かり難さを抑え込む為、画面右上に現在位置を示すミニマップを表示し、専用のアイコンで通過済みの道であるか否かを示したり、進行ルート上に敵を配置し、直感的にプレイヤーを誘導させるレベルデザインを図るなど、横スクロールのアクションゲームとほぼ変わらぬ感覚で本編を進めていける気持ちよさを大事にした配慮と作り込みが成されている。本編全体のレベルデザインにしても、敵との戦闘が大半を占めるとは言え、ミッションによっては防衛戦、海上戦と全く趣の異なる展開になったり、中には戦闘という名の鬼ごっこが繰り広げられるなど、パターン化させない為の工夫が素晴らしく、プレイヤーを飽きさせない。更に肝心のダンジョンも、難解な謎解きは控え目で、探索とアクションの楽しさを重視するなど、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』等の初期のゼルダシリーズへの影響と敬意が込められた作りになっているのが面白い。謎解きは控え目にし、戦闘に手応えを割く配分にしても、退屈な時間を作らないとする明確な意図が感じられる。
ただ、特殊武器を製造するのに必要なお金が異様に高い等、作業プレイを強いられる部分が皆無な訳では無く、その辺に関してはバランス調整のミスを感じさせられてしまう。特殊武器にしても、今作では威力重視の方針な為、弱い武器は強力な敵やボスが登場する後半になるほど使用機会が無くなり、置物と化すのも色んな使用用途がある事を売りとしたロックマンシリーズにしてはらしからぬまとめ方であると言わざるを得ない。
そんな粗削りな所もありはするが、新しいロックマン、そして遊び易い3Dアクションとして仕上がった巧みなゲームデザインは見事と言わざるを得ない。何よりも、単純に既存シリーズの遊びをそのまま3Dにせず、新たなキャラクターによる世界観を作り、そして遊びも新しくして3D化を行うという、既存のファンに違う作品として意識させるやり方でこのようなチャレンジを行ったのが素晴らしい。シリーズ作品の2Dから3Dへの一新として、今作のやり方は理想的な手法の一つと言っても過言ではないだろう。無論、良い事ばかりでは無く、勝手の違いから過去のシリーズのファンほど戸惑い易い内容になっているのも事実なのだが。だが、プレイしてみればロックマンの味を感じられるほか、シリーズ未経験であってもその遊び易さに驚かされるだろう。そうも今作はロックマンとしても、一つの3Dアクションゲームとしても完成度が高い。新しい内容ながら、半端無い意気込みによって作り込まれた作品になっているのだ。

しかし、操作性は慣れるまでは戸惑うこと必至。キーアサイン自体はPSPのハード設計に適したものになっているのだが、方向転換が独立している点は他の3Dアクションゲームに慣れ親しんだ人ほど混乱するかもしれない。だが、レスポンスは非常に良く、特に走ったり、ジャンプするだけでも気持ちよさを味わえるものになっている。少々癖があるのがタマにキズだが、慣れるだけの価値は十分にあるものになっているので、是非、習得してみて頂きたいところだ。
難易度に関しても、ロックマンという事で難しいイメージを持ってしまうかもしれないが、そこまで苛烈では無く、程好く手強い落ち着いたものになっている。ボス戦も全体的に苛烈だが、特殊武器を使うか使わないかでかなりの差が出るので、バランス自体は適切。ただ、ラスボスはロックマンを名乗る作品なりの本気が炸裂しているので、ある意味、注意ではある…。(念の為だが、バランス自体は非常に良好で、ノーダメージを狙える強さである)
ボリュームもメインストーリーは10時間以内と割と控え目。しかし、パーツ集めなどの収集要素、クリア後に解禁される上位の難易度へのチャレンジ等、やり込みは充実。特に難易度は数種類用意されており、最高難易度はカプコンの本気炸裂と言わんばかりの凄さ。腕に自信のある方でも唸るほどの手強さになっているので要チェックだ。
その他、グラフィックも先の通り、全てが3DCGで描かれたロックマンシリーズとしては珍しいビジュアル。表情がコロコロ変わるなど、革新的なチャレンジが炸裂した仕上がりになっている。ただ、その評価はあくまでもオリジナル版の視点から見てのもの。今作、PSP版としてみると、ベタ移植同然の仕上がりなのが残念な所だ。折角、上位ハードで出すならリファインぐらいしても良かったと思うのだが、何故、行わなかったのか。元の雰囲気を損ねない意図があったにせよ、ちょっとそこは勿体ないところだ。音楽に関してはロックマンシリーズにしては珍しく、明るい路線の雰囲気重視の曲が多め。また、クラシック曲のアレンジが流れると言った変わった演出も仕込まれている。何処で流れるのかはプレイするまでのお楽しみだが、聴けば誰もが「そこで使うの?」とビックリするだろう…。

演出周りも…これまたオリジナル版としての視点で見て、ムービーデモがゲーム中のグラフィックをそのまま使ったリアルタイム形式になっているのが圧巻。キャラクターもフルボイスでよく喋るのが実に印象的。声優陣も主人公のロックは『ONE PIECE』のルフィ役で知られる田中真弓、ヒロインのロールは『ドラえもん』の初代ドラミ役で知られるよこざわけい子と、名だたるベテランが多数参加している。その二人の名と配役から、スタジオジブリの名作アニメ映画『天空の城ラピュタ』が脳裏を過ぎった方が居るかもしれないが…はい、まんまラピュタです。そのストーリーにしても、ロックマンにしては珍しい冒険色の強い内容なのが印象的。キャラクターも素晴らしく個性的で、特に敵として登場するボーン一家とそれに従うロボット達『コブン』の間抜けさと可愛らしさは必見だ。
初の3D作品故の粗削りな箇所も見受けられるほか、PSPの移植作としてみると画面サイズがワイドになった事とムービーに字幕が追加された程度と、ベタ移植も同然なので、オリジナル版経験者には物足りない作り。
しかしながら、3Dのロックマンを見事に表現し切ったゲームデザインと遊び易さに対するこだわりが炸裂したシステム周り等、その面白さと完成度は全く持って色褪せていない。そして、長年続くシリーズ作品の3D化への進み方など、改めてみると考えさせられる部分も多く含まれているこの『ロックマンDASH 鋼の冒険心』。ロックマンで3Dなんて…と思う方やシリーズ未経験者ほど遊んで頂きたい傑作だ。移植作としてみると特色が皆無だが、携帯機で遊べるというのは地味に大きな強み。それほど目立ったアレンジは無いが、何年経っても枯れない作品の凄味というのを改めて味わってみるのも如何でしょうか。非常にお薦めの一品です。
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