≫X-Morph:Defense(エックス モーフ:ディフェンス)
■発売元:マーベラス /
■開発:EXOR Studios /
■ジャンル:タワーディフェンス&シューティング /
■CERO:B(12歳以上対象) ※暴力表現あり /
■定価:1,833円(税別)
◆公式サイト / ストアページ
≫PS4『X-Morph:Defense(エックス モーフ:ディフェンス)』(マーベラス公式サイト)
≫『X-Morph:Defense(エックス モーフ:ディフェンス)』(PlayStation Store)
©2017 EXOR Studios, the EXOR Studios logo, X-Morph and the X-Morph logo are trademarks or registered trademarks in the United States, European Union and other countries. Licensed to and published by Marvelous Inc.
▼Information
■プレイ人数:1~2人 /
■セーブデータ数:1つ /
■推定クリア時間:10~12時間
エネルギー資源を求め、宇宙をさまよい続けていた地球外生命体「X-Morph(エックスモーフ)」。
ある時、彼らは資源の採集に適していそうな手ごろな惑星「地球」を発見する。そして「ハーベスターコア」なる兵器を降下させ、惑星と同化しながらエネルギー採取を開始した。
だが、これに知的生命体「人間」が反応。緊急事態と察した彼らは、陸上兵器と戦闘機を動員し、コアに向けて進軍を開始する。
X-Morphは同化までの時間を稼ぐため、特殊攻撃機「X-Morph Fighter(エックスモーフ・ファイター)」を出撃。
かくして地球外生命体と人間による壮絶な戦いが幕を開けた。
▼Pros cons Pick up
--- Good Point ---
◆タワーディフェンスとシューティングが絶妙に融合したゲームシステム
◆攻撃兵器と戦闘機が連携し、敵軍を迎え撃つ楽しさと戦略性を見事に表現した難易度設定
◆兵器設置や建物の破壊によるルート妨害・破断など、単純ながらも侮りがたい「セットアップ」パート
◆敵軍を相手にするのとは異なる、総力戦な展開と趣向を凝らした攻撃パターンでヒヤヒヤさせるボス戦
◆コアが無事なら何度も復活可能、自動回復機能も搭載という自機「エックスモーフ・ファイター」のユルさ
◆全14と数は少なめながら、攻略には1時間以上を要するボリューム満点のステージ
◆新兵器の解禁、戦術の転換を要する敵の出現など、段階的な変化を押さえた各ステージの構成
◆実在の国家を舞台にした各ステージの設定(特に最終ステージの「日本」は色んな意味で必見)
◆人間とエイリアンの立場が逆転した設定、B級映画感あふれるネタの数々が光るストーリー
◆ステージごとに選択可能で、好みの加減で進められる大らかさがありがたい難易度選択機能
◆次世代機である強みを最大限に活かした緻密で美しいグラフィック
◆エフェクト、音ともにマニア垂涎の迫力と美しさに秀でている爆発演出(破壊表現の細かさにも注目)
--- Bad Point ---
◆各々のジャンルの特性を見事に描きつつも、相応の忙しさは否めない難易度(ノーマルでも割と手ごわい)
◆ボリューム満点である反面、それなりに腰を据えて挑む必要のある各ステージ
◆大きめのテレビ(モニター)でも小さい文字フォント(小さいテレビやモニターだとより厳しいことに)
◆派手で美しい一方、敵弾(特にミサイル)視認性への影響も若干ながら及ぼしているグラフィック
◆やや長めのロード時間(ステージ開始時にも若干、時間を要する)
◆ネタは色々あれど、登場人物の少なさからやや淡白な印象も否めないストーリー
▼Game Overview
情けは無用だ。我らの技術力を駆使して地球を奪え!
VIDEO
◇ポーランドのインディーゲーム開発スタジオ「EXOR Studios」が手がけたタワーディフェンス&シューティングゲーム。日本語版の販売とローカライズはマーベラスが担当(※PlayStation 4版以外にPC 、Xbox One 、Nintendo Switch 版も発売されていて、そちらはマーベラスではないメーカーが販売を担当している)。地球外生命体「X-Morph(エックスモーフ)」の惑星同化およびエネルギー採取を成し遂げるため、それを妨害せんと攻めてくる人間の軍隊を特殊攻撃機「X-Morph Fighter(エックスモーフ・ファイター)」と各種攻撃兵器で迎え撃っていくという内容。
◇基本的にフィールド上の任意の場所に攻撃兵器を建設し、自軍の陣地(本作では「ハーベスターコア」)に攻め込んでくる敵を迎え撃つというタワーディフェンスゲームの定型を踏襲している。本編はステージクリア方式で進行。各ステージは攻撃兵器を建設する「セットアップ」、敵の波状攻撃に対抗する「Wave(ウェーブ)」の2つのフェーズで構成され、これを交互に繰り返す形になる。最終的に全ての「Wave」を乗り越えられれば勝利(ステージクリア)、「ハーベスターコア」を破壊されてしまうと敗北。
◇兵器建設は自機「エックスモーフ・ファイター」を動かし、半透明の「ゴーストモード」に切り替えて実施。兵器は無限に建設できず、ひとつ立てる度に画面左下に表示された「資源ゲージ」が減る。空になる、建設に必要な量が無くなるとそこまで。「セットアップ」時には敵の進軍ルートがオレンジ色の線で表示され、それを頼りに兵器を建設していくのが基本となる。
また、進軍ルートはプレイヤーの手で変えることも可能。建設した兵器と別の兵器の間に「レーザーフェンス」が展開でき、これでルートを閉鎖させられれば、遠回りさせられる。そのようにしてコアへの到達を遅れさせ、遠回りルートにある兵器で一網打尽にするのが最良の勝利を目指すに当たっては重要。
◇「Wave」ではプレイヤーの操作する「エックスモーフ・ファイター」の立ち回りも重要。敵は建設した兵器で簡単に倒せるほどヤワではなく、大群で攻めてくるため、「エックスモーフ・ファイター」でシューティングゲームのようにショットを撃って敵を倒していかなければならない。中にはヘリコプターのように「エックスモーフ・ファイター」を狙う敵も現れる。ただ、耐久力がなくなって撃墜されても、コアさえ無事なら何度でも復活できる。受けたダメージも時間経過と共に自動で回復する。
◇ゲームが進むと強力な対空兵器が現れたり、レーザーフェンスなどの障害を飛び越える機動隊も参戦。特定のステージでは最後にボス戦も発生する。こちらでは「エックスモーフ・ファイター」による重点的な攻撃が勝敗を左右する。そんなタワーディフェンス特有の戦略・戦術を練る楽しさ、シューティング特有の撃ちまくる快感が融合したゲームデザインが大きな特徴。
▼Review
≪Latest Update :4/23/2023 | First Publication Date:4/23/2023≫
これぞまさにタワーディフェンスとシューティングゲーム、奇跡のコラボ。
巧みなゲームデザインと変化に富んだステージ、そして大爆発で魅せる珠玉の傑作である。
とりわけ素晴らしいのがゲームデザイン。リアルタイムで展開される防衛シミュレーションことタワーディフェンス、数あるゲームジャンルの中でも特に古い歴史を持ち、スリリングなゲームプレイに根強いファンを持つシューティング。一見、水と油にしか見えない2つのジャンルだが、実は相性抜群の最高のコンビだったと痛感させられるほどゲームデザインが完成されている。兵器側ではさばき切れず、突破されてしまった敵をシューティングによる追撃で仕留める、巨大なボスにより大きなダメージを与えるために兵器側が助太刀する瞬間は最たる一例。いずれもプレイしていれば思わず感心してしまうほど適材適所な活躍をする。
敵の耐久力が絶妙に固く設定されているのも、これらのコンビネーションをより美しいものへと引き立てている。絶妙に固いからこそ、「もう、あいつだけでいいんじゃないのかな」とボヤきたくなる展開は生まれないし、双方が協力し合う構図と必然性が出る。柔らかければどちらかの一方的な展開になってしまうし、逆に固すぎると攻撃兵器側の存在意義が薄れる。そうしたデメリットを細かく想定した調整が凝らされていて、見事に双方のジャンルが立っている。前述のゲーム概略を見る限りだと、「その組み合わせは相性悪いのでは?」と思うところもあるが、プレイすればほぼ確実に「最高のコンビだ!」という感想に一変する。なので、少しでもシステムに疑問を持ったのなら、騙されたと思ってゲーム本編をプレイしてみていただきたい。「最高のコンビ」という意味の重さを思い知らされるはずだ。
全部で14も用意されたステージも変化に富んだ構成になっており、終始、退屈する暇もない戦いが展開される。中でも見事なのが、ステージが進むたびにプレイヤー側、味方側に分かりやすい変化が発生するようになっていること。新しい敵の登場、建設可能な兵器の拡張など、段階的に要素を増やしていく構成を採っているので、どのステージでも似通った展開が発生しにくい。最初から最後まで、ずっと「エックスモーフ・ファイター」と攻撃兵器のコンビネーションで戦う訳ではないのも面白い。少しネタバレになるが、中盤以降にはステージ上にあるビルを始めとする建造物を倒壊させ、進軍ルートを破断させる手段も取れるようになる。そして敵側もまた、前述で少し触れた通り、進軍ルートを無視して攻め込んでくるタイプが登場し、それを見越した兵器の設置、自機の立ち回りが試されてくる。さながら、「お前らのコンビネーションはどこまで通用するかな?」と試してくるような構成で、本作のシステム特有の遊び、構図を考え抜いて作り込んでいるのがよく現れている部分でもある。
こういった挑戦的な展開のおかげで、「絶対にこのコンビネーションで乗り切ってやる!」という熱い気持ちにもなりやすく、プレイヤーを夢中にさせてしまう仕組みが完成されている。まさにゲームシステムとステージ構成を重ね合わせた”熱い展開”とも言えるまとめ方で、その自然な仕上がりと作り込み具合にはやり込むたびに唸ってしまうはずだ。
また、本作は地球全体が舞台という設定。そのため、どのステージも実在する国家となっているのも見所である。もちろん、その中には日本もある。しかも……これはゲーム開始時点ですぐに分かってしまうので、ネタバレする。日本は本作の最終ステージである。なぜ日本が最終決戦の地であるのか?これには日本人なら大爆笑間違いなしの最高の理由付けが成されている。どんな戦いが待っているのかはその目でしかとご確認いただきたい。間違いなく「そりゃ最終決戦の地を日本にするわ!」と言いたくなってしまうだろう。合わせて開発の「EXOR Studios」の日本への愛も感じるかもしれない。
ちなみに日本以外での見所としては「エジプト」がある。こちらはどちらかというとストーリー面で大きな見所となっている。どんなストーリーが展開されるのかは例によって見てのお楽しみ。多分、「X-Morph」たちが可愛く見えてしまうかもしれない。
ステージに関しては、数の少なさとは裏腹なボリュームにも注目。実はひとつクリアするのに30分~1時間半以上は費やす必要があるほど、盛り沢山な内容になっている。単純にエンディングを目指すだけでも10時間以上は余裕だ。
さらに各ステージには4種類の難易度が設けられており、それぞれの攻略とクリア時のスコアに応じて手に入る「メダル」の最高グレードを目指すやり込み要素も備わっている。各種難易度のバランスも標準の「ノーマル」はやや高めながら、適切な場所への兵器建設、シューティング側のサポートを適時心がければ不利な戦況が緩やかになるなど、戦略を練る楽しさを尊重した調整が光る。侵略者としての力を存分に振るいたい、ストーリーを楽しみたいとの欲求にこたえてくれる「イージー」も心地よいバランスだ。また、難易度はステージ単体で選ぶ形式なので、途中で上げるも下げるも自由。そんな好みの加減で遊べる設計なのも嬉しいところだ。
他にグラフィックも次世代機向けに作られた作品なりに美しさを徹底的に追求した仕上がり。特に爆発表現は圧巻の一言で、細かい瓦礫からチリまでもが表現された、異様なこだわりが炸裂した仕上がりになっている。もちろん、効果音も抜かりない。ドッカン、ドッカンとそれはもう、うるさいぐらいに鳴り響く。ボスを倒した時の爆発も気分爽快、アドレナリン大放出のベリーマーベラスな仕上がりだ。マーベラスだけに。そんな具合に「ゲームと言えば爆発だ!」と豪語してやまないマニアにもたまらない魅力がある。少しだけ『地球防衛軍』シリーズに影響を受けていると思しき表現もあるので、そちらのファンも注目だ。
そもそも逆『地球防衛軍』とも言える内容の時点でおススメなのだが。
基本的にゲームシステムに魅力が集約されている本作だが、ストーリーもいい意味でB級映画館あふれる仕上がりになっている。人間たちが敵で、侵略者側が主人公というのも珍しく、その設定を活かしたニヤッとするシチュエーションも随所に盛り込まれている。所々に何かの映画をオマージュしたと思しきネタが仕込まれているのも同様に必見だ。
ただ、ちょっと残念な所として、画面左上や右上に表示される台詞の文字フォントが非常に小さい。大きなテレビ(モニター)でやっと視認できるレベルなので、小さなテレビ(モニター)で遊ぶとなれば急激に読みにくさが増す。残念ながら、文字の大きさを調整するオプションも備わっておらず、この辺はもったいないの一言だ。また、爆発周りのグラフィックは派手な一方、一部視認性の難を生み出している部分もある。特に大群を相手にしている際だと、ミサイルを見落としやすいのはちょっとストレスを感じるかもしれない。それでもまったく見えなくなるのが頻発することはほぼなく、最低限の視認性を確保しているのが救いだが。
そして難易度だが、後半に関しては「ノーマル」でも結構厳しい展開が増える。一応、攻撃兵器との連携と戦略で乗り切られるバランスにはなっているが、戦況を常時確認しながら動く忙しい展開になるのは好みが分かれるかもしれない。他にも細かい所で若干、ロードが長い、ボリューム満点とはいえ1回の戦闘に要する時間が長い重厚長大さがにじみ出ているのも気になるところだ。
本作、頻繁に割引セールになることがあり、そこから怪しいゲームなのではとの警戒心を抱く人も少なからずいるかもしれない。だが、実際の内容は傑作といっても不思議ではないほどの高い完成度を誇る作品。タワーディフェンスとシューティングが違和感なく融合したゲームシステムが異彩を放つ内容に仕上がっている。特に一風変わったタワーディフェンス、シューティングゲームのどちらかを求める人にほど刺さりやすい。少しでもシステムに興味を惹かれたのならぜひ、お試しいただきたい。人間たちに慈悲の心などないエイリアンの尖兵になって、レッツ・くたばれ下等生物ども だ。おすすめです。
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