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≫inFAMOUS First Light(インファマス ファーストライト)


■発売元:ソニー・コンピュータエンタテインメント(現:ソニー・インタラクティブエンタテインメント) /
■開発元:サッカーパンチプロダクションズ / ■ジャンル:アクションアドベンチャー /
■CERO:Z(18歳以上のみ対象) ※過度な暴力、犯罪描写あり /
■定価:1500円(税別) ※クレジットカード必須(ウォレット使用不可)

◆ストアページリンク
≫inFAMOUS First Light | PlayStation Store
▼Information
■プレイ人数:1人 / ■セーブデータ数:HDDの残り容量によって変化 / ■必要容量:9.1GB /
■その他:プレイステーション4 Pro対応(※アップデートデータのダウンロード必須) /
■総説明書ページ数:20ページ(電子説明書 ※PDF注意) /
■推定クリア時間:6~7時間(エンディング目的)、25~35時間(完全攻略目的)


7年前、超能力を手にした超人『コンジット』と呼ばれる能力者達が出現。
人知を超える力を持つコンジット達は、力を持たない人々が大多数を占める社会において脅威と見なされ、『バイオテロリスト』と呼ばれて差別されるようになった。後に彼らを管理・統率する政府組織『統一保護局(D.U.P.)』が結成され、最高責任者ブルック・オーグスティンの下、コンジット達は弾圧されていくこととなった。

そんな中、ネオンの能力に目覚めたフェッチことアビゲイル・ウォーカーは、D.U.P.の手から逃れる為に兄のブレントと共に家を飛び出し、アメリカ・シアトルで生活し裏稼業の積荷を運ぶ仕事に就いていた。

しかしある日、二人はその作業に当たっている所を警察に見つかってしまう。バラバラに逃げる作戦を取った事により、フェッチは難を逃れるが、騒動の最中、ブレントがギャング団「アクラ」に襲撃され、行方不明になってしまう。
兄を捜し出すべく、単身で行動を開始したフェッチはアクラの足取りを追っていくが…?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆カルマシステムを廃止し、アクション特化の作りに一新したゲームデザイン
◆オープンワールドの過去編、一本道の現在編の二つを交互に行き交いながら展開する独特の本編構成
◆小さくなったが、目的地への迅速な移動が可能になるなど、テンポ向上の恩恵が現れたオープンワールドのフィールド
◆シリーズ伝統のキャラクターを動かす楽しさを突き詰めた爽快な操作性
◆スピード重視のラインナップと前作にない新たな技を盛り込む試みも成した『ネオン』の超能力アクション
◆移動のテンポ向上に一役買い、動かす気持ちよさをも演出する『ネオンクラウド』によるダッシュアクション
◆精密射撃時に狙いを付け易くするのみならず、回避手段としても活用できる万能スキル「レーザーフォーカス」
◆レーザーフォーカスと格闘系のスキル充実により、今まで以上に暴れ放題な立ち回りが可能となった戦闘
◆広範囲攻撃「ネオンブラックホール」の追加で、力押しの効く余地が作られ、柔軟性が増したゲームバランス
◆情報収集に防衛、狙撃など、バリエーションの豊かさとテンポの良さで魅せるメインミッション
◆テンポ重視の構成に改められ、気軽に挑戦できるように一新されたサイドミッション
◆フィールド上に散らばるものを回収、サイドミッションを攻略するだけで簡単に手に入るようになり、テンポ良く集めていけるようになった強化アイテム「ネオンルーメン」
◆スリリングな展開とハイスコアを目指す王道のやり込みの楽しさが詰まった新要素『バトルアリーナ』
◆短めではあるが、メインミッションの多彩さと豊富なやり込み要素もあって密度は十分のボリューム
◆兄妹の絆と超能力を持った者の苦難を丁寧に描いたストーリー
◆エフェクト全般の大幅な強化が図られたグラフィック
◆雰囲気重視だが、盛り上げるところではしっかり盛り上げる音楽(特に最終局面)
◆テキストからボイスに至るまで、丁寧な日本語化が成されたローカライズ
◆シリーズお馴染みのZ対象作品とは思わせない控え目な暴力描写

--- Bad Point ---
◆相変わらずバリエーションに欠けるサイドミッション(ただ、テンポはかなり良い)
◆同じく相変わらず正確無比な敵の射撃精度(ただ、レーザーフォーカスのおかげで回避し易くなっている)
◆少し唐突感のある終盤のストーリー展開(肝心な描写を端折った箇所がある)
◆密度は十分だが、過去のシリーズと比べてしまうと短めなのは否めない本編のボリューム
◆スキルが充実するにつれ、力押しが効き易くなって大味さが増す戦闘の難易度
◆エンドレス方式しかないのが少し味気ない『バトルアリーナ』
◆『バトルアリーナ』に偏り気味なトロフィー
◆Z対象作品故のクレジットカード以外での購入不可の仕様(当然の措置だが、ゲームの出来が良いだけにもどかしい)
▼Review ≪Last Update : 3/26/2017≫
妹が姉で、兄が弟で。

※日本語吹き替えキャストのお話。



人知を超えた能力を駆使する爽快なアクション、ヒーローの苦悩を体験させるカルマシステムを特色とする『inFAMOUS(インファマス)』シリーズの第三作『inFAMOUS Second Son(インファマス セカンドサン) 』の前日檀を描いたスピンオフ作品。開発はこれまでのシリーズ同様にサッカーパンチプロダクションズが担当。

アクションゲームの面白さと爽快感に特化した、新たなインファマスにして傑作だ。

基本的なゲーム内容は過去のインファマスシリーズ三作と変わらない。オープンワールドの箱庭空間を舞台としたアクションアドベンチャーゲームで、超能力を手にした超人『コンジット』で、閃光を発する『ネオン』の能力を持つ主人公のフェッチ(アビゲイル・ウォーカー)を操作し、行方不明になった兄のブレント・ウォーカーを捜し出すべく、アメリカ・シアトルの街で様々なミッションに挑んでいくというものである。
本編の流れもシアトルの街中を駆け巡り、様々なミッションに挑んでいくお馴染みの方式を踏襲。ただ、今回はストーリーの進行に応じて現在と過去(二年前)が入れ替わり、舞台もそれぞれの時間軸固有のものになる仕組みに改められた影響で、過去作よりも行動範囲が狭められている。基本的に過去は自由に探索可能なシアトルの街、現在は統一保護局(D.U.P)が管理するコンジットの特別拘留施設『カードン・ケイ』のアリーナという割り振りで、これらを交互に攻略する形で進行。なので、過去のインファマスシリーズにも増して一本道色の濃く、ストーリー主導型の構成になっている。
また、インファマスシリーズと言えば、善行を取るか、悪行を取るかでその後のストーリー展開、習得されるアクションに変化が生じる『カルマシステム』が売りだが、今作には無い。併せてそれに関連した分岐も無くなり、純粋にミッション攻略に集中していく、アクションゲームとしての作りに特化したゲームデザインに改められている。
同じくシリーズの売りたる超能力も『ネオン』の一種類のみ。前作『セカンドサン』のように複数の能力を使い分ける要素も撤廃されている。『ネオン』の能力自体も前作にあったものなので、悪く言えば使い回しだ。しかし、セカンドサンには無かった新しいスキルが追加されていたりと、若干の差異がある。スキルの習得と強化も、前作における『ブラストシャード』に当たるアイテム『ネオンルーメン』と呼ばれる赤く光る物体を集め、それを消費する形で行う方式を踏襲。ただ、ルーメンはフィールド上に配置されているほか、メインミッション、サブミッションを攻略する事で獲得する事ができるなど、集め易くなっている。特にフィールドに配置されたルーメンは最たるもので、セカンドサンのようにシャードを所持したドローンを撃破する必要もなく取れるので、テンポ良く集めていけるようになった。そのおかげで習得の際の作業感、煩わしさも薄れ、ストーリーもスムーズに進めていけるようになるなど、ゲーム全体のスピード感も向上。スピーディで軽快なアクションを売りとするシリーズの魅力を際立たせる、大胆な改良が施された作りへと一新されている。
この他にも新要素として『バトルアリーナ』を収録。スコアアタックのやり込みモードで、人質の救出、持久戦などが遊べる。オンラインランキングにも対応しており、世界中のプレイヤーとスコア争いに興じる事も可能。更にストーリーもセカンドサンの前日檀という事で、セカンドサンを遊んだ事のない人でも入っていける作りになっているほか、過去二作に絡んだネタも一切無いので、シリーズ未プレイのユーザーにも優しい設計。セカンドサン経験者にとっても、フェッチが前作主人公のデルシンと出会うまでに経験した出来事の一部始終が描かれるなど、興味深いフィーチャーが満載。当然ながら、ムービーデモなどの音声は完全日本語吹き替え仕様で、文字フォントも今作独自の世界観を現したものを起用する等、気合の入ったローカライズも健在だ。
それ以外にアメリカ・シアトルの街並みを忠実に再現したオープンワールドのフィールドもそのままだが、全体的なスケールは前作の半分(一部分)に縮小されている為、探索範囲が狭められたと言った変更点も。そう言った箇所もあってか、全体的には前作ベースの縮小版という印象が強め。カルマシステムの除去、超能力一本化など、箱庭アクションゲームとしての面白さを突き詰める方向性でまとめた、インファマスに仕上げられている。

そんな今作の魅力は、アクションゲームとしての面白さを突き詰めた作りに集約される。インファマスシリーズはオープンワールドを採用したアクションゲームとしては珍しく、動かす楽しさとアクションの爽快感にこだわり尽したシリーズで、過去に発売された三作もそれに重きを置いた作りになっていた。今作もその伝統に則っているのだが、その完成度が過去のシリーズの中でも桁違いに高い。純粋にアクションゲームとして楽しめる事に特化したゲームデザインの刷新が効果的に働いた仕上がりになっているのだ。
特に本能の赴くままに超能力アクションで暴れ回れるのが痛快。カルマシステムが無いので善行を取るか、悪行を取るかを考える必要もなければ、市民への攻撃を行ってもペナルティを課せられる事が無い(※これまでのシリーズでは市民を攻撃する事でカルマが悪に傾くようになっていた)ので、本当に思うがままにキャラクターを動かし、独自のアクションを満喫できる。そうした結果、余計に過激な方向性に傾いてしまった感もあるが、元々持っていたアクションゲームとしての面白さを突き通した事によって、素晴らしく爽快で、「スカッ!」とできちゃう内容へと変貌を遂げている。アクションは爽快なのに、ストーリーの判断を要求するようなシステムが邪魔臭い…と感じていたプレイヤーにとっては、ある意味、待ってましたと言いたくなるようなアレンジ。インファマスシリーズ独自の魅力こそ無くなってしまってはいるが、それを補うかのようにアクション周りの爽快感が飛躍的に向上し、シリーズでも屈指の動かす楽しさを実現しているのである。
その楽しさを引き立てる快適な操作性も健在。どのアクションもレスポンス良く繰り出せるので、煩わしさを感じさせない。また、『セカンドサン』でも体験できたが、今作の主人公であるフェッチの超能力『ネオン』はスピード重視の超能力。なので、街中を移動するに当たっては『ネオンダッシュ』で高速移動できてしまう為、目的地へも瞬時に到達できる。オープンワールドのアクションゲームよろしく、『ファストトラベル』の機能もあるが、今回は能力自体がそういうものというのもあり、使う機会がほとんど無い。しかも今回はフィールド自体が狭いのもあってか、徒歩でも迅速に到達できるぐらいだ。そういう特色もあって、移動時に必要以上の時間を取られる事は滅多になく、それ自体が気持ちいい。独特のスピード感を堪能したいが為、わざわざやってしまいたくなるほど毒される魅力と面白さに秀でたものになっているのだ。
また、『ネオンダッシュ』の速度を上昇するギミック『ネオンクラウド』もフィールド上に複数配置。これにダッシュ状態で触れる事によって、通常よりもより速い速度で走れると言った事もできてしまうのだ。そして、『ネオンダッシュ』自体、壁も登れてしまう仕様なので、止めるタイミングは完全にプレイヤー任せ。何らかの障害物に接触して止まる心配がないので、思うがままに堪能できてしまうのだ。こう言ったギミックの存在、プレイヤーの判断に任せた設計からも、今作のアクションの気持ちよさとスピード感に対するこだわりの強さというものを感じさせられるだろう。
アクションに関しては戦闘周りでも、そのこだわりが炸裂している。戦闘システム自体はサードパーソンシューティングI(TPS)スタイルで敵を超能力技で狙い撃ったり、近接攻撃を仕掛けたりしながら戦っていくという、過去のシリーズに倣ったもの。今回は『ネオン』の能力しかないので、攻撃技は全てそれにちなんだラインナップに特化されている。この攻撃技というのがどれもこれも優秀。特に技自体は前作にも登場していたものだが、射撃攻撃で狙い撃ち(エイム)した際、一定時間の間、スローモーション状態になる『レーザーフォーカス』が見事。スローモーションになるので敵を正確に射撃できるのに加え、活用次第では敵の銃撃の回避も容易に行えるなど、TPSが不得意なプレイヤーでも敵を狙い撃って正確に射撃する気持ちよさを堪能できる設計になっている。また、敵の銃撃回避に役立つというのも特筆に値する箇所。このシリーズが長年抱え続ける難点の一つとして、敵の銃撃命中精度の高さがあり、前作でもそれがストレスを生む要因になっていたが、今回は周りがスローモーションになる技があるおかげで確実な回避が実施できるようになり、やり方次第ではノーダメージを貫き通す事もできるようになった。また、スローモーションのおかげで、敵の攻撃が何処から来るかもはっきり視認できるので、予めそれを見越した行動も取り易くなっている。それでも、命中精度の高さはいつも通りな上、スローモーション自体も時限方式なので、使いどころをよく考えなければならないのだが、この能力もあって、恐ろしくスピーディ且つ、過度なストレスを感じる事も無く戦闘を展開していけるように。ある意味、シリーズのスタンダードを確立したとも言える、優れた作りになっているのだ。
また、力押しが効き易くなっているのもナイスな改善点。『ネオンブラックホール』なる複数の敵を巻き込む強力な全体攻撃技が新規に追加されており、敵に囲まれて蜂の巣にされかける状況を簡単に打破できるようにもなっている。
力押し絡みでは、近接攻撃もまた然り。回数制限有のワンボタンで放てるフィニッシュ技があったりと、倒すのが難しい敵もやり方次第で簡単に打破できるようになっている。更にゲームが進むと、これまた回数制限有だが強力な追尾機能有りの射撃攻撃も可能になるなど、情け容赦のない攻めが可能になる。細かい所でも、攻撃時のエフェクトも美しく、命中した際の音もいい感じに仰々しく、敵を倒した手応えをしっかり感じ取れる作りになっている。また、一連の技は全て『ネオンルーメン』で強化していくのだが、先に少し触れた通り、ルーメン自体の入手も簡単。サイドミッションを攻略するか、街中に配置されたものを回収するかの二つしかないのに加え、そのどれもが短時間で獲得できるので、習得に無駄な時間を取らされると言った事が無い。特に街中の配置は秀逸で、基本的に少ない手数でゲット可能になっているのが見事。前作だと、シャードを持っているドローンを破壊しなければならないという手間が生じる設計だったが、そう言った面倒臭い事も無く、直感的に獲得できてしまうので、集める作業自体が全く苦にならない。サイドミッション自体もスピード重視のものが多く、ボリューム自体も数分で完了できるぐらいにコンパクト。唯一、警察のドローンを探り出すサイドミッションは少し時間を要する内容になっているが、それも飛行している範囲が狭く設定されているので、探し出す事自体がそこまで面倒臭いという訳でもない。とは言え、個人差がある為、人によっては面倒臭さを感じるかもしれないが。
そんな具合に戦闘に関しても、気持ちよく遊べる事にこだわり尽した作り込みが成されており、極上のアクション体験をプレイヤーに提供。能力自体は前作の使い回しとは言え、スピード感を出す事とストレス無く動かせる事への再調整が行われ、別物同然の仕上がり。むしろ、セカンドサンより良いと思ってしまうぐらいによく出来たものになっているのだ。シリーズ経験者なら尚の事、そう感じてしまうだろう。

メインミッションも高所から迫り来る敵を狙撃する防衛、車の屋根に搭乗して迫り来る敵の車を射撃していくカーチェイス、監視カメラの映像を元に敵を尾行するなどと多彩。また、新要素『バトルアリーナ』を介した『カードン・ケイ』を舞台にしたミッションも、ストーリーの流れに自然と組み込まれたチュートリアルとして完成されているなど、職人芸の作り込みが成されている。ミッションのラインナップが前作とそんなに変わらなかったり、サイドミッションは相変わらずワンパターンと言った難点もあるのだが、それもスピーディなアクションがカバーしていて、些細なものに落ち着かせている。その辺もアクションゲームの気持ちよさに全振りした、今作のコンセプトが発揮されている事の証左と言えるだろう。
ストーリーも見所満載で、思わず見入ってしまう内容。特に終盤にて、兄のブレントと再会するシーンは演出も含めて必見。その一連の展開に強く関与した悪役に対し、計り知れないほどの憤りを覚えてしまうだろう。その悪役も素晴らしく下衆で、「こいつだけは絶対に追い詰めて報いを受けさせてやる!」…という気持ちにさせられるほど。そして、ちゃんと最後にはその思いを晴らしてくれる場面を用意するなど、プレイヤーにモヤモヤとした気持ちでゲームを終えて欲しくないという配慮も凝らされている徹底振り。しっかりと充実感を感じてもらう為の作り込みも万全に成されている。登場人物の心情描写に関しても隙がなく、その出来栄えには海外製のゲームという事実すら吹っ飛んでしまうほど。元々、その作り自体がインファマスシリーズの特色でもあるが、今回もその魅力が余すことなく炸裂した仕上がりになっているのには、シリーズを遊んできた人なら、納得の安心感を覚えるはずだ。
ボリュームもスピード重視の内容になった事で、エンディングまでの所要時間が短縮されたが、ミッションからストーリーまで、非常に濃厚なものになっているので、物足りなさは全く感じさせない。また、今回はやり込み要素として『バトルアリーナ』が設けられているほか、これ自体がオンラインランキングに対応しているので、自らの限界に挑戦すると言った遊びも楽しめる。なので、遊び方次第では何十時間費やす事になっちゃったりも。そんな本編以外の要素が充実している上、極め甲斐のある要素まで凝らされている点でも、シリーズとしては革新的な仕上がりだ。

他にボイスも声優の大原さやか氏演じるフェッチの狂暴性、兄を思う妹としての一面を現した演技が印象的。また、その兄のブレントを演じるのが、何と大原さやか氏の実弟で声優の大原崇氏。現実では立場の異なる二人が、逆の役を演じる…という構図になっているのが実にユニーク。そして、共に全く違和感のない演技をしているというのだから凄い。両者が共演する場面は少なめだが、その配役を想像しながらイベントシーンを見るとより楽しめるかもしれない。
グラフィックも基本はセカンドサンの使い回しだが、元々完成度の高い作りだったのもあり、全くそれを感じさせない。更に今回は『ネオン』の能力に焦点を当てたのもあり、エフェクト絡みの表現が劇的にパワーアップ。特に先の『ネオンブラックホール』のエフェクトは非常に派手で、アクションの爽快感を大いに際立たせるものに仕上げられている。他の地形関連の表現も本物さながらの作り込みが炸裂しているので必見。前作同様且つ、更に洗練されたプレイステーション4の本気というものを思い知らされるだろう。
前日壇というのもあり、メインストーリーのボリュームは少なめで、ストーリーも未完(但し、今作単体の物語はしっかりと完結する)。また、サイドミッションのワンパターンさに敵の射撃精度の高さなど、シリーズの難点を継承しいる所もあるのだが、コンパクトにまとまった内容及び、それをフォローするシステムが搭載されているのもあって、あまり深刻なレベルに至ってないのが救い。難易度も優し過ぎず、難し過ぎずの程よい手応えを演出したバランスになっているのに加え、選択機能も完備。ゲーム中にいつでも変更可能な所も健在で、温く遊ぶか厳しく遊ぶかもプレイヤー次第。過去の三作とはゲームデザイン的に大きく異なるが、それを補って余るほどのアクションゲームとしての面白さに秀でた今作。Z対象タイトル故に購入に当たってはクレジットカードが必須となる為、プレイヤー層も限られるのだが、アクションゲームが好きな人で、プレイステーション4を持っているのなら是非、遊んでみて欲しい傑作だ。シリーズ入門編としても最適なので、これまでシリーズに興味はあったけど、手を出さずに居た方もどうぞ。お薦めです。
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