Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. PlayStation 4>
  4. Child of Light(チャイルド オブ ライト)
≫Child of Light(チャイルド オブ ライト)


■発売元:ユービーアイソフト / ■ジャンル:ロールプレイング /
■CERO:A(全年齢対象) / ■定価:1628円(税込)、初回限定パッケージ版:1980円(税別)

◆公式サイト / ストアページ
≫『チャイルド オブ ライト』(ユービーアイソフト公式サイト)
≫『チャイルド オブ ライト』(PlayStation Store) ※販売終了(PS Plusのエクストラプランでプレイ可能)
≫『チャイルド オブ ライト』(Microsoft Store) ※Xbox One版
≫『Child of Light』(Steam)※Windows PC版
≫『チャイルド オブ ライト』(My Nintendo Store) ※Nintendo Switch版
▼Information
■プレイ人数:1人 / ■セーブデータ数:1つ / ■必要容量:2.1GB以上 /
■その他:Play Station Network対応、追加コンテンツ対応 /
■推定クリア時間:10~11時間(エンディング目的)、13~15時間(完全攻略目的)
闇の女王の手により、ふしぎな王国「レムリア」の太陽と月と星々が奪われた。

ある出来事から、レムリアにやってきたオーストリアの侯爵の娘「オーロラ」は、
失われた三つの光を取り戻すため、旅へと出る。
▼Pros cons Pick up
--- Good Point ---
◆参加人数2人という制約とタイムライン上での駆け引きで、独自の戦略性を演出する戦闘システム
◆「オキュライ」なる特殊な宝石でステータス上昇、属性付与を図る独特な仕組みの装備システム
◆「スキル」の割り振りにより、プレイヤーごとに異なる上昇パターンが構築できるアップグレードシステム
◆得意・不得意が明確に設定され、戦況に応じて使い分ける必然性を出している仲間キャラクターたち
◆アイテム回収、戦闘中の敵行動妨害など、ユニークな性能を持ったサポートキャラクター「イグニキュラス」
◆ひとりはオーロラ、パートナーはイグニキュラスを操作という独特なプレイスタイルが光る2人同時プレイ
◆安易な力押しは効かず、常にターンごとに最良の一手が求められる絶妙な調整でまとめられた戦闘バランス
◆探索から謎解き、果ては脱出イベントと盛りだくさんなイベントでプレイヤーを飽きさせない本編構成
◆エンディングまで約10時間ほどと、控え目に抑えられた中編規模のボリューム
◆児童小説風味の世界観とキャラクター設定、演出周りが異彩を放つストーリー
◆横スクロール形式の構成と豊富なロケーションで強い印象を残すフィールド構成およびデザイン
◆まさに動く絵本との表現がよく似合う、美しくて芸術的なグラフィック
◆フィールド、戦闘ごとに作風の異なる楽曲を設定する緩急の付け方の上手さが光る音楽

--- Bad Point ---
◆PS4版特有のセーブデータ破損バグ(ストーリー終盤に発生しやすい。セーブデータのバックアップ必須)
◆前述のバグの危険性を助長させているオート形式のセーブ(作成できるデータがひとつだけなのも厳しい)
◆誌的な台詞回し、中盤の唐突な展開など、荒っぽさと好みの分かれる側面を持ったストーリー
◆戦闘速度「通常」の存在意義の薄さ(「最速」が最も最適な速度のため、わざわざ用意する必要がない)
◆悪く言えばやり込み要素には乏しく、物足りなさも感じやすい本編のボリューム
◆物量作戦で攻めてくるパターンが大半で、展開的にワンパターン気味のボス戦
▼Game Overview
「オーロラ、愛ってなに?」
「さよならを言う時、さびしくなる気持ちよ。」




◇ユービーアイソフト「モントリオールスタジオ」の小規模チームによって開発された、完全新作のロールプレイングゲーム(RPG)。アクションゲーム『レイマン オリジン』、『レイマン レジェンド』の2作に用いられた、ユービーアイソフト独自の2Dゲーム開発エンジン「UbiArt Framework」で制作されたタイトルでもある。プレイヤーは主人公の「オーロラ」を操作し、舞台となる不思議な国「レムリア」の大地を巡りながら、闇の女王に奪われた太陽と月、星々を取り戻しつつ、元の世界への帰還を目指す。マップは横スクロール形式で、見た目は前述の『レイマン オリジン』、『レイマン レジェンド』のようなアクションゲーム風になっている。

◇本編はイベントをクリアしていく形で進行。ストーリーは章単位で区切られていて、特定の場所へと到達したり、イベントを攻略すると次の章へと映る仕組みになっている。構成的には1本道の色が濃いが、行動範囲を極端に縛るイベントはごく僅かで、探索の自由度自体は高い。全体的には90年代初期の日本産RPGを踏襲した感じの懐かしい構成にまとめられている。また、ゲームの進展に応じて探索範囲が拡大する要素があり、最初は陸地しか歩けないが、後に空を自由に飛び回れるようになって、文字通り縦横無尽な探索ができるようになる。横スクロールのアクションゲーム風な所から、行動範囲の狭さが想像されるが、そのようなアクションがあることから実際はかなり広い。しかも、飛び回る際に制限時間が課せられることもないため、存分に隅々まで調べ尽くせられる設計になっている。
探索では、「イグニキュラス」なるホタルの相棒が同行するのも特徴。「イグニキュラス」は右スティックで動かすことができ、オーロラの到達できない所にあるスイッチを起動させるといった活躍をしてくれる。

◇戦闘はフィールド上の敵に接触すると発生。システム自体はRPGの王道とも言えるターン制のコマンド選択型。攻撃、スキルなどのコマンドを選び、素早いキャラクターから順に行動する。行動の全ては「タイムライン」なる「ウェイト」「キャスト」の枠が設けられたゲージで管理。基本的にタイムラインに記されたキャラクターのアイコンが「キャスト」に到達すると、コマンドで選んだ行動が実行される。逆に「キャスト」到達前、「ウェイト」の移動中に敵の攻撃を受けると行動キャンセルが発生。左端のスタート地点に戻され、再び「キャスト」に到達するまでの間、コマンド選択が不可能になる。これはプレイヤー、敵共通の仕様。なので、戦術次第では一方的に行動を止めることも可能。また、本編が進むとオーロラの旅に同行する仲間が加わるが、戦闘には最大2人までしか参加できないため、状況に応じた編成が都度求められる。
さらに戦闘にはイグニキュラスも参加し、味方に光を発して回復を図ったり、敵の目を眩ませて行動速度を遅くする戦術も取れる。イグニキュラスの活かし方次第では、圧倒的に不利な状況を覆す逆転の一手になることも。全体的に日本の名作RPGへの影響が垣間見える作りをしているが、イグニキュラスによる干渉と参加制限、行動キャンセルの要素によって独自の戦術性を表現。手触りは懐かしいが、どこか新しくも感じるユニークな戦闘システムに仕上げられている。

◇システム周りでは他にも独自のもので、オーロラを始めとするキャラクターの育成。RPG伝統の経験値によるレベルアップ方式を採用しつつ、それと共に得られる「スキルポイント(SP)」を「スキルツリー」で選択可能な「スキル」へと振り、特技を習得していく形になっている。装備周りも「オキュライ」と呼ばれる宝石を装着し、各種性能の底上げを図るやや変わった形になっている。「オキュライ」は武器、盾、装飾品それぞれのスロットに装着可能。また、同じオキュライでも装着するスロットによっては効果や属性が変化。異なる2~3種類を合成し、新たなオキュライを作り出すこともできるようになっている。オキュライ自体はわりと簡単に入手できるが、本作には属性相関の要素もあり、敵の属性を踏まえての切り替えが試されるなど、意外に侮りがたい存在感がある。装備するものが制限されているなりの工夫も感じられ、見所の多い要素になっている。

◇RPGながら2人同時プレイも可能。片方がオーロラ、もう片方がイグニキュラスを操作するというスタイルで、どことなく『スーパーマリオギャラクシー』が脳裏を過ぎる作りになっているのもユニーク。作品のコンセプトはユービーアイソフトの開発チームいわく、日本産っぽいRPGで、戦闘システムや育成周りにはそれっぽさが現れている。だが、イグニキュラスにオキュライといった独自の要素も多く、単なるオマージュ作品として終わらせまいとする意気込みを感じられるRPGに完成されている。
▼Review ≪Latest Update :5/28/2023 | First Publication Date:1/22/2017≫
完成度の高いシステム周りと、絵本のようなビジュアルで魅せる小粒な傑作だ。
一番の魅力は戦闘システム。王道のコマンド選択型ながら、「タイムライン」を見つつ、相手の出方を読んで最適な行動を取っていく過程が熱い。日本産の名作RPGを思わせつつも、単に真似ただけに終わらない遊び応えを持った仕上がりになっている。

とりわけ素晴らしいのが、イグニキュラスによる戦闘時のサポート並びに敵への妨害。コマンド選択型バトルでありながらアクションゲーム的な遊び心地も持つという、システムの独自性を際立たせている。
下手をすれば、ゲームバランスを壊しかねない存在にもなりかねないのだが、そこも妨害できるのは光を放つ専用のゲージが尽きるまでという制約を設けるのみならず、仲間の援護も同じゲージを消費する二者択一の判断が求められるので、戦術の一つとして違和感なく溶け込んでいる。そして、その適切な措置によって戦闘に一方的な展開を発生させる事もできなくし、バランスを保っているのが凄い。開発スタッフのセンスと日本産RPGへの研究具合を感じさせられる。元ネタと思しき作品っぽさを主張し過ぎず、本作ならではの魅力を突き詰めた作りは芸術的の一言に尽きる。

戦闘バランスも絶妙。特に仲間キャラクター達の個性付けが素晴らしく、取得スキルの違いも含めて上手に差別化されている。強弱の加減にしても適切なレベルに落ち着いており、誰を使っても戦闘が極端なまでに優位になったり、劣勢になりにくい。さすがに属性の相性が絡む戦闘ではそれが現れたりするが、参加人数に限りのある戦闘システムの特色、戦略を練る楽しさを際立たせるため、どのキャラクターでも十分に戦える調整でまとめている。プレイヤーそれぞれが自由に戦略を練る楽しさ、キャラクターにも愛着が湧くというRPGというゲーム特有の面白さを突き詰めているのが見事だ。その仲間キャラクターの数も非常に多く、誰を参加させるか選別する際に悩む楽しさがあるのも秀逸。キャラクターへの愛着、その存在の有難みを実感させるイベントを仕込むという、本編構成への工夫にも唸る。

フィールドマップの作り込みも見事で、横スクロール方式の画面構成を感じさせない開放感と程よい難易度の謎解き、アクション操作が求められる仕掛けの数々で楽しませてくれる。
ロケーションも多彩でもの寂し気な森から荘厳な神殿、巨大生物の体内など、これぞ冒険活劇な地形がプレイヤーの前に続々と立ちはだかる。雰囲気作りも隙がなく、人によってはしばらくこのフィールドをじっくり飛び回りたいと思ってしまうほど。そんな雰囲気ゲーとしてのツボを抑えているのにも、作り込みの深さを実感させられるところだ。

反面、メインストーリーに関係しない寄り道要素は乏しく、1本道構成の色が濃いのはプレイヤーによっては古臭さを感じるかもしれない。シナリオも台詞が誌的な言い回しに加え、中盤には唐突な展開もあったりと、荒っぽさと癖が混在している。この辺りに関しては、海外製タイトルの悪い傾向が現れてしまっている印象が否めない。ただ、決して日本語ローカライズの質が悪い訳ではない。台詞の中にも印象的なものがいくつかあり、本稿の冒頭でピックアップした「愛」にまつわるやり取りはその象徴だ。

他にストーリー絡みでは、ボスとの戦いが決まって物量に対処するパターンに偏っているのも割と気になる部分ではある。だが、いずれの気になる部分も全体的な完成度の高さから、「欲を言えば……!」という流れから出てくるもの。それほど魅力的な内容に仕上げられている。日本製RPGに対する愛も凄く、とりわけオマージュに終わらない戦闘システム全般の出来は要チェックだ。
「UBI Art Framework」によって実現した、絵画風のグラフィックも素晴らしい仕上がり。件のゲームエンジンの実力に関しては、先行採用例たる『レイマン オリジン』、『レイマン レジェンド』の2作にて実証済みなので、すでにそちらで体験済みだと驚きを感じにくいかもしれないが、イラストそのままにキャラクター達が動く様子は素直に凄い。中でも戦闘シーンは、その真価が発揮された仕上がりになっているので要注目だ。また、本作は世界観からキャラクターに至るまで、『ピーターラビット』などに代表される海外の児童文学を意識したデザインが成されているのも特色の一つ。モチーフがモチーフだけに、キャラクターデザインは少し好みの分かれるものになっているのだが、インパクトは抜群。例に挙げた児童文学が好きなプレイヤーにはたまらないだろう。

フィールドはピアノ、戦闘はオーケストラと場面に応じた選曲がされている音楽もこだわりを感じさせられる仕上がりだ。これもどことなく日本の名作RPGを思い起こさせる部分だが、絵画風のグラフィックとの親和性は抜群で、唯一無二とも言える雰囲気を作り上げている。それぞれの楽曲の出来、特に戦闘系は素晴らしい出来。フィールドの楽曲もリラックス効果が得られそうな落ち着いたものになっているので、戦闘曲と併せて要チェックである。ただ、眠気を誘う恐れがある点には注意が必要かも。

細かいところでは操作性も良好で、キャラクターの挙動やメニュー周りのレスポンスがキビキビとしているので、全くストレスを感じさせない。さりげなく、2つのスティックを標準搭載したコントローラを前提としたボタン配置になっているのも面白い。 演出周りも独自のグラフィックを活かした派手なエフェクト、ナレーションによるストーリーデモなど、ソツなくまとまっている。何気にナレーションは日本語吹き替えで、しっかり日本向けに手直したものに仕上げられているのが嬉しい。

ボリューム的には中編規模であるために控え目で、寄り道要素も最小限。シナリオも海外製タイトル特有の癖があるなど、好みの分かれる所もある。また、これはPS4版においてだが、強制終了バグが発生する頻度がやや高く、オート方式のセーブシステムと絡んでセーブデータ破損による詰みを招きやすい欠点もある。アップデートが図られた後もこの点は完全に解消されてなく、そこが本当に残念で勿体ない限りだが、RPGとしての完成度は盤石だ。バランス調整も含めてキッチリ仕上げられた戦闘システム、美麗なグラフィック、そして控え目だからこそ気軽に遊べるボリュームなど、大作RPGでは味わない魅力がたっぷり詰まった本作。RPG好きのプレイヤーならば要プレイの傑作だ。RPGがそれほど得意でない方も、難易度選択を始めとするサポート機能が充実しているのでぜひ。なお、2023年5月現在、PS4版はストアでの販売を終了しているが、会員制サービス「PlayStation Plus」のエクストラ以上のプランに加入すれば無料でプレイできる。また、他のプラットフォームではXbox One、PC(Steam)、Nintendo Switchで販売中。これからプレイする場合はその辺りにご注意を。
≫トップに戻る≪