Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. PlayStation 3>
  4. アンチャーテッド 砂漠に眠るアトランティス
≫アンチャーテッド 砂漠に眠るアトランティス
■発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
■開発元 ノーティドッグ
■ジャンル アクションアドベンチャー
■CERO D(17歳以上対象) ※過度の暴力、犯罪、出血描写等あり
■定価 5695円(税別)<Best版:2667円(税別)>
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜2人(オンライン時:2〜10人)
■セーブデータ数 HDDの残り容量によって変化
■必要HDD容量 1100MB以上
■その他 Play Station Network対応、振動機能対応、トロフィー機能対応、モーションセンサー機能対応、ヘッドセット対応
■総説明書ページ数 43ページ
■推定クリア時間 8時間〜10時間(エンディング目的)、20〜30時間(完全攻略目的)
16世紀、大航海時代。
女王陛下の私掠海賊と呼ばれた男が居た。
イングランド屈指の海軍提督、フランシス・ドレイク卿である。

その子孫を名乗るトレジャーハンター、ネイサン・ドレイク(通称:ネイト)は、相棒のサリーと共に幻の古代都市『砂漠のアトランティス』を求め、世界を股にかける冒険へと旅立つ。

だが、謎の秘密組織が立ちはばかるその冒険行は、これまでになく過酷で危険なものであった。更にその最中、ネイトは少年時代に遡るある恐怖と対面する事になる。
果たして、彼はその試練を乗り越え、古代都市へと辿り着く事ができるのか…?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆息つく暇すら与えない展開で楽しませる、『PLAYする映画』のキャッチコピーを体現した本編構成
◆位置取りやカウンター等が求められるなど、少し本格的な作りへと一新された格闘戦
◆手榴弾の投げ返し、急降下攻撃等が可能となり、より戦術の幅が深まった戦闘パート
◆仲間と共にスラム街を歩き回る展開に少年時代のネイトを操作する逃避行シーンなど、これまでのシリーズとは趣向の異なる展開で魅せる作りに改められたレベルデザイン
◆炎上する古城、砂漠地帯、巨大な廃船、更には幻覚空間と言ったビジュアル面のインパクトを重視した地形が増え、何処となく怪しげな空気感が強化されたロケーション周り
◆これまでの二作とは異なり、少しシリアスな作風でまとめられたストーリー
◆少し手強くなりながらも、抑え目の難易度と良心的なサポート機能でプレイヤーを楽しませてくれる謎解きイベント
◆シリーズ伝統の長過ぎず短過ぎずのバランスの取れたボリュームでまとめられたムービーデモ
◆センス溢れる台詞回しで魅せる、木曜洋画劇場感溢れる日本語吹き替えボイス
◆前作準拠の洗練された取っ付き易さと手応えの良さで魅せる、良好な操作性
◆オフラインの協力モードのほか、アクション周りの増強にSNSと連携させた新システムを実装するなど、前作以上に規模の大きな作りへと進化したマルチプレイモード
◆マルチプレイ周りのやり込み要素強化で、更に遊び応え、密度共に増強されたボリューム
◆前作同様にプレイステーション3の本気が炸裂した、美し過ぎるグラフィック
◆映画的な展開との絶妙なマッチングと印象深いテーマ曲が異彩を放つ、完成度の高い音楽
◆難易度選択機能からボイス言語の設定まで、相変わらず無駄に充実したオプション周り
◆ゲームスタート時以外は皆無のロード時間(今回もHDDへのインストール不要)
◆出番の増えたサリーさん(前作で物足りなさを覚えたファンも満足必至…?)

--- Bad Point ---
◆攻撃手段が少ないなど、作り込みの足りなさも見受けられる格闘戦
◆特異な場面での戦闘が増え、ますますTPS初心者に厳しい内容になってしまった戦闘パート
◆銃撃戦下で蜂の巣にされる危険性を孕んだ格闘戦の仕様(その為、今回はこれまでのシリーズのように直感的に仕掛けるのが危険行為も同然になっている)
◆少年ネイトの逃避行シーンにおける進行方向の分かり難さ(グラフィックが美しさがアダとなり、進むべき道がハッキリしない場面が幾つかある)
◆掛け声が英語音声のままなど、不完全な感が否めない日本語吹き替えボイス(前作では掛け声もしっかりと日本語版の声優が演じてたのだが…)
◆単調過ぎる上に演出的にも盛り上がりに欠けるラスボス戦
◆クリア後の特典要素(チート機能)の撤廃(二周目以降の無双プレイが楽しめなくなった)
▼Review ≪Last Update : 12/20/2015≫
気が付けば、ピンク色の象が見え始めた。

ヤバ過ぎ。


マルチプレイモードの実装にステルス要素追加によるレベルデザインの強化、そして高度な映像表現で世界中から賞賛された『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』の続編にして、シリーズ第三弾。これまでのシリーズ同様に開発はノーティドッグが担当。

前作レベルの進化には乏しいが、摩訶不思議な映像美と風変わりなピンチの連続、奇抜なストーリー展開という異なる切り口で攻め込んだPLAYする木曜洋画劇場第三弾だ。

前々作、前作とゲーム内容は一緒。三人称視点で展開する3Dアクションアドベンチャーゲームで、トレジャーハンターのネイサン・ドレイク(ネイト)を操作し、世界各地を飛び回りながら謎を解いたり、時には戦闘を繰り広げながら、先祖のフランシス・ドレイクが探したとされる幻の古代都市『砂漠のアトランティス』の発見を目指すというものだ。
本編の流れも、これまでのシリーズを踏襲。『ACT』と称されたシナリオを順に攻略していく一本道構成で、目的地まで到達すると同時に直に次のACTへと移行し、新たなシナリオが始まるノンストップ方式となっている。システム周りこれまでのシリーズと変わらず。前作から新たに追加されたステルス系アクションも継承しているほか、最大10人まで参加可能で対戦、協力の多種多様なゲームルールを内包した『マルチプレイモード』も引き続き実装。基本的には前作を下地にした続編と言った趣で、そこに少数の新要素を足した、順当なパワーアップ版としての作りに徹した内容になっている。悪く言えば、前作の皮だけを変えた続編とも言えなくもない。
だが、新要素自体はこれまでのシリーズのノリを大きく変えたものになっている。その新要素と言うのは格闘戦とアクション全般。これまでのシリーズでは基本的に格闘戦と言ったら、近接攻撃時に殴り合うだけの単純明快なものだったが、今作ではこれが大きく一新。位置取りや防御、カウンターと言ったテクニックが求められる、少し本格的なものへと改められた。その為、今作では敵に近付いてボタン連打で殴りまくれば良い…という、力押しに近い戦術が通用し難くなっている。また、このシステム全般の一新に伴い、今作では戦闘パートに銃撃戦とは別に銃が一切登場しない肉弾戦のパートが新たに追加。格闘アクションゲームさながらの展開が繰り広げられるようになったのだ。その戦闘が展開される場面も酒場だったり、スラムだったりと映画っぽさバリバリ。また、こう言った肉弾戦でお約束なのが「ぬお〜」という声と共に現れる怪力男の存在だが、これにしても今作は一切漏らさず収録(?)。実際に「ぬお〜」という掛け声と共にネイトに襲い掛かってくる上、戦闘自体も相手が怪力だけあって単純に殴れば良いだけでは無く、しっかりと隙を突いて攻めていかなければならないバランス調整が成された、「分かってる」作り込みが成されている。戦闘自体の頻度もワリと多いほか、今回のオープニングはこの肉弾戦から始まるので、これまでとは打って変わった雰囲気になっているのも特色である。こう言った銃に頼らない戦闘が挟まれるようになった事で、僅かながら戦闘のバリエーションが強化。ストーリー的にも雰囲気の違いを見せて意表を付けるなど、これまでのシリーズとは異なる手応えと見た目を追求した仕上がりになっている。
また、銃撃戦に関しても多少、勝手が変わっている。基本的な作りは前作を踏襲しており、ステルス攻撃による回避、重装備兵と言った要素は今作でも健在。ただ、FPS(ファースト・パーソン・シューター)ではお馴染みとも言える敵が投げてきた手榴弾の投げ返し、相手より高い足場から落下攻撃が仕掛けられるようになるなど、新しいアクションが追加。より戦術性の深まった攻撃が展開できるようになった。シチュエーションにしても、奇抜な場面が増えている。例に挙げると、海面上(しかも水中に潜れる状況下)での銃撃戦、クライミングしながら上から銃撃を仕掛けてくる敵との戦いなど。いずれも「何でそんな時に撃ってくる?」と口から漏らしてしまうこと請け合いのものばかりだ。特にクライミングしながら上から攻めてくる敵を迎撃する戦闘は、アクション映画でもなかなかなお目にかかれない無茶苦茶さバリバリの作り。探索時にお馴染みの場面で戦うだけあって、かなりヒヤヒヤすること必至な戦闘になっている。この他にも乗馬しながらの銃撃戦など、奇抜な場面は多数。ワリと真っ当な場面を描いていたのが前作なら、今作は奇抜な場面を描く事がコンセプトと言ったところだろうか。そうもゲームらしい「不可能を可能にする」を描いた場面の増えた仕上がりになっている。おかげで多少、不自然さも増したが、ネイトさんなら仕方がないと遊べば納得するはずだ。意見には個人差があるが。
更に探索にしても、これまた少し路線の異なる仕上がり。従来通りに遺跡の探索等もあるが、今作では肉弾戦が新たに追加された事で、人気の少ないスラム街を仲間と共に歩き回ると言った、これまでとは大分、雰囲気の異なる場面が増えている。また、今回のストーリーはネイトの過去、ネイトとサリーの出会いも描く内容という事で、少年時代のネイトを操作する場面が要所要所で登場する。この少年時代のネイトを操作する場面は基本的に銃を使った攻撃ができない為、敵とは一切張り合う事ができない。その為、上手く敵の裏をかいて動かなければならなかったり、時には相手の追撃からひたすら逃げ続けるなど、ステルス色の強いアクションが求められてくる構成になっている。前作で言うなら、序盤のトルコ博物館を更に先鋭化させたかのような作りだが、少年ならではの機敏な動きと銃が使えないが故のもどかしさが際立つ、スリリングな場面に仕上げられている。それほど多く挟まれる訳ではないが、大人のネイトとは勝手が大きく異なる地形構成とストーリー展開は見所充分。若き頃のサリーの姿も含めて注目のシーンに仕上げられている。また、これ以外にも新しい舞台として『炎上する古城』、『幻覚空間』等がある。特に『幻覚空間』はビジュアル的にもかなり不気味で、これにちなんだストーリーも描かれるなど、今回はややシリアス寄り且つ、複雑に入り組んだ作りにもなっている。前作のエンターテインメント一直線な作りが好みだったプレイヤーには賛否が分かれるかもしれないが、それまでのストレートに冒険を描いた内容とは異なる構成は地味に刺激的。路線の違いを現した仕上がりになっている。
この他、『マルチプレイモード』に関してはダッシュの追加、デフォルト照準の表示、画面分割による最大二人までのオンライン参加機能とオフラインの協力モード実装など、前作にも増して作り込まれた仕上がりになっている。また、Facebook、フェイスブックと直結したパーティ編成、コミュニティ機能を実装するなど、Web上のSNSと連携させた新システムを実装する革新的な試みも成されている。ルールにしても新規のものが複数追加されるなど、もうこれ一本で独立させても行けるのではと思ってしまうぐらいに本格的。シングルは全体的に順当な進化で落ち着いているに対し、マルチの方は前作のシングル並の進化に徹しているというのは面白いところ。ある意味、逆転現象とも言える格好だ。
こんな具合にマルチプレイを除けば、基本的には前作ベースの続編だが、肉弾戦追加で全く違う戦闘を表現したり、幻覚や過去の回想などの奇抜な演出を絡める等、路線の違いを強く推し出した仕上がりになっている。前作が正統進化なら、今回は捻った進化か。ストーリーもシリアス色強めと、明らかに違う事を意識させる続編になっている。

そんな今作の売りは、やはり所々で見受けられる過去作との明確な「違い」を強く表現した要素の数々。特に肉弾戦が新たに追加された戦闘全般、過去と幻覚空間が混在するストーリー展開がその最たる一例と言える。
戦闘に関しては恐らく、シリーズ全体で見ても最も無茶苦茶で、荒唐無稽な展開の際立つ作りと言ってもおかしくはないだろう。先の梯子を登りながら繰り広げられる戦闘など、過去作でなら探索パートでもあった場面で銃撃戦が展開されるだけあって、良くも悪くも「マジかよ」とボヤきたくなる場面が連続する。中でもそう言った戦闘が際立つのが『廃船置き場』。先の梯子を登りながら繰り広げられる戦闘や海面上での銃撃戦のほとんどはここで繰り広げられるのだが、とにかく地上で戦うのとは勝手が違い過ぎるテクニックが求められてくるので、気が休まらない。挙句、終盤には船と言ったらこれでしょ、と言わんばかりに「タイタニック」な展開まであったりするので尚更だ。訪れるのが中盤で多少遅いのに加え、状況が特殊過ぎるのもあって難易度も結構なものなのだが、今作の戦闘の中でも屈指とも言える「違い」を描いた場面なので、見る価値は大いにあり。ビジュアルも素晴らしく、タイタニック過ぎる展開にしてもハード性能フル活用とも言える、開発担当のノーティドッグの高い技術力と映像センスに息を飲む仕上がりになっているので、そちらも併せて必見だ。
肉弾戦による戦闘も、これまでの銃撃戦に偏りがちだったシリーズに新たな可能性を打ち出しているのが印象的。それまでのシリーズのように接近してボタン連打で殴り合いではなく、相手の出方を見ながら攻撃を行い、時には防御したり、カウンターを決めたりして的確にダメージを与えていかなければならないなど、まるで勝手の異なる操作と戦術が求められてくるのが面白い。また、演出面でも映画らしさの向上に一役買っていて、その中でもゲーム開始間もなく繰り広げられる酒場での戦闘は雰囲気たっぷり。こういう場面で銃撃戦は妙だよな、と納得してしまう説得力があるだけでなく、シーンとしても過去作と今回は単純じゃないぞと知らしめるなど、プレイヤー(特に経験者)に違いを意識させるものとして完成されている辺り、見事と言わざるを得ない。この肉弾戦が追加されたからこそ表現できた場面も幾つかあり、特に中盤終わりに展開される輸送機での戦闘はその恩恵を大いに味わえる。高所恐怖症のプレイヤーから見ると、とんでもなく怖いシーンだったりするのだが、銃撃戦ではこの緊迫感と構図は作れなかったと言わんばかりの迫力がある。今作をプレイしたのなら、是非ともそこは体感してみて頂きたいところだ。007シリーズが好きな方も必見である。
ストーリーと絡んだ探索とその描写にも、明確な違いを現す作り込みが成されているのが秀逸。探索に関しては、前作に引き続いて今作にも実装された危機的状況からの脱出に絡んだ所だが、燃え盛る古城からの脱出とネイトの過去を舞台とした逃走劇が特に象徴的。前作の列車からの脱出ほどの飛ばしっぷりは無いが、古城の炎の描写は圧巻の一言で、本当に舞台となる城がジワジワと崩れていく恐怖に苛まれながら内部を進んでいく事になる。その緩やかに迫りくる恐怖の描写が今作ではピカイチで、パッと見で分かることに特化していた前作とは路線の異なる方向を突き詰めているのが実に面白い。幻覚空間を舞台にしたシーン等は更にそこを突き詰めた感じで、ストーリーの展開と併せてサイケデリックな雰囲気を強めているのが、エンターテインメント一直線で進んできた前作までとは違う味わいがあってユニークだ。そのストーリー自体も先の通りにシリアス色が強くなり、冗談なんて言ってられないほどにピンチが連続するほか、ネイト自身が本気で激怒する場面もあるなど、大分作風が異なった仕上がり。敵も今回は秘密結社を率いる知的で冷酷なマダム、且つその声を演じるのが女優の夏木マリ氏とだけあって、妙に張り詰めた雰囲気に富んでいるのが印象的だ。無論、全編シリアスという訳では無く、いつものように翻訳は木曜洋画劇場臭バリバリで、前作ではチョイ役だったサリーが全面的に出てくるので千葉繁氏出しゃばりまくりと、ユニークな一面もあるのだが、これまでのシリーズをプレイして来た方なら微かに違和感を覚えるかも。そんな細かい所にしても違いが幾つか。これまでの路線が好きだった方には賛否が分かれるかもしれないが、三作目と来てマンネリの恐れがあるシリーズ作で考えれば、そう言った工夫を凝らすのも一興。こう言った所からも、前作と同じでも違いを明確に表すという製作スタンスが色濃く現れている。
しかし、そう言った違いがアダになってしまっている所も多い。特異な場面での戦闘が増えた事で俊敏な動作が求められるなど、戦闘自体の難易度は大幅に上がってしまっている。元々、TPS未経験者には厳しい側面があるのがシリーズにおける難点として存在してたが、そこが更に悪化してしまった感じだ。格闘戦も銃撃戦下でも今回のシステムで戦闘が展開されるだけあって、タイミングを誤ると別の敵に蜂の巣にされる事もあったりするので、ますます持って繰り出し難い。どうにもこの辺は調整不足が如実にあられてしまっている印象が否めない。また、肉弾戦にしても相手の攻撃パターンが少ないので、徐々に単調でワンパターンになってしまっていくなど、折角、システムを切り替えたというのに肝心な所の作り込みが甘い。ストーリーも過去と現在、幻覚が入り混じる故に展開が追い難くなっているほか、重要な設定が語られずに捨てられるなどの伏線放置もあるなど、前作までと比較すると粗い作りになってしまっている感は否めない。何より、これだけ違いを込めたとしても、マンネリ感が出てしまっており、進化の限界が現れている辺りが惨いところだ。
ただ、これでもレベルデザインは前作並の水準な上、演出面の派手さも更に上を行くなど、アクションアドベンチャーとしての完成度が安定しているのは、製作スタッフの実力の高さの現れと言った所。作り込みの深さは前々作に近い所まで下がったが、路線の違うPLAYする木曜洋画劇場としての出来はピカイチで、驚愕のアクション体験を提供するゲームとしては見事なまとまり具合となっている。変に新要素を足して違いを現そうとしない姿勢もこだわり過ぎの一言。そのセンスの高さに海外の実力派デベロッパーの底力を痛感させられるばかりだ。

操作性も前作のものを踏襲しているとだけあって、手触り感は良好。相変わらず挙動は重々しいが、ワンボタンで派手なアクションができてしまうシンプルさというだけあって、動かすだけでも楽しい。今回はアクション周りも増強されたという事で、その辺の楽しさがより一層深まっているのは特筆すべきところと言える。
ボリュームにしても本編は8〜10時間程度、マルチプレイを含めたやり込みを入れるとその倍以上と、前作で評価された密度を維持していて、今回も相応のやり応えを誇る内容になっている。マルチプレイに関してはルールも、やり込みも何もかもが前作以上の質になっているだけあって尚更だ。ただ、前々作から継承されてきたチート機能の特典が無くなるなど、劣化してしまった箇所も。シングルクリア後、その機能を解禁して一周目とは違ったノリで周回プレイを楽しむのが好きだったプレイヤーには度し難い改悪と言えるだろう。何故、廃してしまったのか、この判断には疑問が残る。
グラフィックにしても、質は前作を更に高めたものになっているのだが、今回は静かに迫りくるスリルを描く事に徹している為か、インパクトは弱まってしまっている。とは言え、決して劣化はしておらず、先の古城で見れるリアルな炎の描写(と、その破壊表現)、サブタイトルならではの砂漠の砂の描写は一見の価値あり。
音楽も相変わらず雰囲気重視。ただ、印象的な楽曲は大分、少なくなってしまっている感は否めない。それでもテーマ曲だけはいつも通り健在な辺りには、シリーズ経験者なら不思議な安心感を得られるかもしれない。

快適性周りに関しては言わずもがな。シリーズお馴染みのロードはセーブデータの読み込みとゲームスタート時だけで、後は一切存在せずの快適ぶりな上、ムービーやエリアの切り替えにしても一瞬。そして、HDDへのインストール機能も一切使わずという高い技術力が炸裂した仕上がりになっている。前作もそうだったが、何故にこれほどのクオリティでインストール無しのロード無しを実現できるのか。化け物過ぎるの限りだ(褒め言葉)。
難易度が必要以上に高まってしまった戦闘、起伏を付ける事には成功しているけど作りの甘さも見受けられる肉弾戦、そして今までのシリーズとは大分作風の異なるストーリー等、完璧に近い進化を見せていた前作から見ると劣ってしまっている所も多い。だが、更に洗練されたレベルデザイン、路線は異なるけど迫力十分の演出と映像美など、全体的に続編としては素直な進化と違いを突き詰めた仕上がり。難点も目立つが、とあるキャラクター同士の関係に一応の決着が着くなど、二作全てを遊んできたプレイヤーなら決して見逃せない見所も含んだ内容になっている。頂点に達してしまった作品の続編故の宿命も見受けられるが、安定した完成度と高い技術力は健在の今作。
TPSが極度に苦手という方以外でPS3をお持ちの方なら、是非ともプレイして頂きたい傑作だ。前作とは全く異なる切り口で「ヤベェ」アクションと冒険を突き詰めた新たなアンチャーテッドをその目と手で体感してみるべし!お薦めの逸品です。
≫トップに戻る≪