≫アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝
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■発売元 |
ソニー・コンピュータエンタテインメント |
■開発元 |
ノーティドッグ |
■ジャンル |
アクションアドベンチャー |
■CERO |
C(15歳以上対象) ※暴力・身体欠損描写等あり |
■定価 |
5980円(税込)<Best版:2980円(税込)> |
■公式サイト |
≫こちら ※音が鳴ります |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1人 |
■セーブデータ数 |
HDDの残り容量によって変化 |
■必要HDD容量 |
2560KB以上 |
■その他 |
振動機能対応、トロフィー機能対応、モーションセンサー機能対応 |
■総説明書ページ数 |
31ページ |
■推定クリア時間 |
8時間〜10時間(エンディング目的)、20〜30時間(完全攻略目的) |
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16世紀の冒険家であり、私掠船の船長でもあったフランシス・ドレイク卿。
パナマ海岸沖に埋められた彼の棺の中には、400年前に滅亡したとされる黄金の都、『エル・ドラド』への手がかりが隠されていると伝えられていた。
ドレイク卿の子孫にして、プロの財宝ハンターであるネイト・ドレイクは、考古学番組『アンチャーテッド』の司会、エレナ・フィッシャーとの共同探索により、400年以上の時を経て棺と財宝の手がかりを発見する。そして、エル・ドラドの失われた財宝を求め、太平洋のど真ん中に位置する未知の孤島と失われたスペインの植民地へと旅立つ。
だがそれは、誰も予想し得なかった冒険劇の始まりでしかなかった…。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆『PLAYする映画』のキャッチコピーに相応しい、目まぐるしい展開満載の本編構成
◆挙動こそリアルだが、大半はワンボタンで繰り出せる簡単設計が秀逸なプレイヤーアクション
◆サードパーションシューティングとしての基本要素を万全に抑えた、戦闘周りのシステム
◆程好い難易度設定で楽しませてくれる謎解き(ヒント機能も完備と隙が無い)
◆必要最小限に抑えられた、シンプルな画面表示(傑作『ICO』を髣髴とさせる作り)
◆長過ぎず、短過ぎずの丁度良い長さでまとめられた、テンポの良いムービーデモ
◆ジャングル、古代遺跡、更には廃墟など、冒険の好奇心を刺激する魅力的なロケーション群
◆崩壊する遺跡、ジープに搭乗しての敵の包囲網からの脱出など、映画好きならばニヤリとすること請け合いのB級映画的シチュエーションの数々
◆それらのシチュエーションと共に展開される、ノリの良いストーリー
◆素晴らしい翻訳センスが炸裂した、日本語吹き替えによるボイス(声優陣も秀逸)
◆見た目に反して、意外と直感的にキャラクターを動かせる、良好な操作性(だが…?)
◆短過ぎず、長過ぎず、それでいて十分な密度でまとめられた手頃ながらも濃いボリューム
◆自然環境の圧倒的な美しさが異彩を放つ、美麗なグラフィック
◆映画的な演出と絶妙にマッチした、雰囲気重視の音楽(メインテーマも非常に印象的)
◆難易度設定機能、音声切り替え、ヒント表示の設定など、充実し過ぎなオプション
◆皆無同然のロード時間(ゲームスタート時にある程度で、以降は一切無し)
--- Bad Point ---
◆銃撃戦が8割を占める、単調且つ厄介なレベルデザイン(謎解きパートが少なめ)
◆銃撃戦時における、規格外にも程がある敵の物量(その為、一回の戦闘が終わるまでの時間がやや長い。TPS初心者には非常にしんどい)
◆移動パートにおける、クライミングエリアの多さ(登って頂上を目指す…という展開ばかり
◆やや曖昧な攻撃判定(主にヘッドショット)
◆モーションセンサー機能を使った操作の煩わしさ(特に手榴弾の操作は非常に問題あり)
◆ほとんどQTE(クイックタイムイベント)なボス戦(一つぐらい、普通の戦闘があっても…)
◆人によっては応えること必至な終盤の展開(詳細は伏せるが、ホラーテイスト全開になる)
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▼Review ≪Last Update : 10/13/2013≫
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今宵、あなたの心に何が残るのか。
ヤベェ。
『クラッシュ・バンディクー』シリーズ、『ジャック×ダクスター』シリーズなど、コミカルな作品を手掛けてきたアメリカのゲーム開発会社、『ノーティドッグ』初のリアルな作風を持ち味とする、完全新作のアクションアドベンチャーゲーム。
極上の映像美とアクションでお送りする、プレイする木曜洋画劇場だ。
ゲーム内容は三人称視点で展開する、3Dアクションアドベンチャーゲーム。主人公でトレジャーハンターのネイト・ドレイクを操作し、遺跡の謎を解いたり、自身を付け狙う敵との銃撃戦を乗り越えながら、『エル・ドラドの秘宝』にまつわる謎に迫っていくというものである。
本編は『ACT』と称されたシナリオを順に攻略していく形で展開。進行は一本道で、目的地まで到達すると、そのまま間を挟まずに次のチャプターへ移行し、新たな展開が始まる映画を髣髴とさせる仕組みとなっている。各チャプターは謎解きを行う探索、敵との戦闘こと銃撃戦の二つのパートで構成されており、この二つを交互に繰り返しながら進めていく。各パートの切り替えはACTの移行と同様、シームレス方式で展開するほか、探索では敵が一切登場せず、逆に銃撃戦では謎解きなどは一切行われないなど、それぞれが明確に棲み分けられた作りとなっている。また、クリア条件にしても探索は次の目的地に繋がるルートの確保、銃撃戦は敵の全滅と単純明快。入り組んだ要素は皆無で、テンポ良くシナリオを進めていける作りとなっている。まさに一つの映画を鑑賞して追っていくかのような構成と言った感じだ。
システム周りにしても、基本は3Dアクションアドベンチャーの王道に則った作り。ただ、アクションと銃撃戦周りは少し特徴的なものになっている。アクションに関しては、主人公のネイトが生身の人間である設定を考慮し、その生々しさを全面に演出。ジャンプしても大した高さが出ないほか、足場から足場へと渡るに至っては助走をつける必要があったりなど、如何にも人間らしい重みが反映されたものになっている。ゲームに詳しい方に向けて例えるなら、『プリンスオブペルシャ』の主人公の近い仕様というとイメージし易いだろうか。あれを髣髴とさせる作りとなっている。
ただ、操作自体は至って簡単。スティックとの組み合わせとは言え、ボタンは一つしか使用しないので、意外とすんなりと繰り出せるようになっている。また、段差の淵に掴まったり、そこから飛び移ると言ったアクションもあるのだが、これもスティックとボタンの組み合わせで手軽に行える作り。更に人間的な生々しさを反映しているとは言え、段差の淵を掴んで長時間待機していると力尽きるなどの緊張感を煽る要素も皆無だ。その点だけで、少し人間離れし過ぎてると言えるが、それは置いておくとして。基本的に生々しさが反映されているのは挙動だけで、操作自体には一切、それ相応の要素を凝らすと言った事は行われてない。
生々しさを全面に出したアクションという事から、操作の難しさや手応えの悪さをイメージするかもしれないが、あくまでも反映しているのは挙動(手応え)のみ。操作に関しては面倒な要素は取っ払い、プレイヤーを思うが侭に動かす楽しさに重きを置いた、アクションゲームの醍醐味にこだわったものに仕上げられている。
銃撃戦に関しても、その雰囲気を演出する狙いで、今作ではサードパーソンシューター(TPS)の方式を取った、如何にもなものになっているのがユニーク。しかも緊急回避、ヘッドショット、エイム射撃(精密射撃)、カバーアクションと言ったお馴染みの要素もしっかり実装。武器にしてもピストルからマシンガン、グレネード(手榴弾)と、TPS定番のラインナップとなっているという徹底振りである。また、接近戦時専用の格闘攻撃もあるほか、こちらに気付いていない敵を一撃で気絶させるステルス攻撃まで完備。もはや、独立したTPSとしても十分に遊べるレベルのものに仕上げられている。あくまでも、アクションアドベンチャーたる本編を補完するパートでしかないのだが、その基本を抑え過ぎた作りには、他のTPSをプレイした事のあるプレイヤーも唸るほど。今作独自の要素は無いものの、王道を極め尽くしたとも言える出来は色んな意味で必見だ。その他、画面構成も所持武器以外の情報は一切表示されず、ダメージにしても画面全体の演出で表現するなど、映画的なゲーム展開を意識した試みが成されているのも大きな特徴。
一口で言ってしまうと、『インディー・ジョーンズ』などの名作冒険映画をそのままゲームにしたかのような作品。生身の人間らしさを全面に出した挙動に本格的な銃撃戦など、アクション映画のお約束をこれでもかと詰め込んでゲームにした、まさに『PLAYする映画』というキャッチコピーに相応しい内容になっている。映画という括りを抜きにしても、謎解きあり、銃撃戦ありと盛り沢山。近代3Dアクションゲームの良い所取りとも言える作りとなっている。
しかし、今作の謳うキャッチコピー『PLAYする映画』というのは正直な所、妥当ではない。正しいキャッチコピーは『PLAYする木曜洋画劇場』。それこそが今作最大の魅力。あの伝説的な番組で放送される資格を持った作品と言っても良いほど、素晴らしいB級感と素敵な翻訳(吹き替え)が迸る内容になっているのだ。
特にその魅力が炸裂しているのがストーリーで、随所において『インディー・ジョーンズ』や『ダイ・ハード』を始めとする名作映画のオマージュ、パロディが散りばめられている。探索中に崩壊し始める遺跡、ジープで敵の包囲網から脱出、そして未知の脅威との遭遇など、映画好きならは思わずニヤリとしてしまうこと間違いなしのシチュエーションがこれでもか!と言わんばかりに展開されるのだ。そして、それら名場面の数々を実際にプレイヤー自身がネイトを操作し、しっかりと乗り越えなければならない。勿論、ミスすれば、問答無用でお陀仏。映画の主人公のような華麗なプレイをしたくば、己の腕も磨けと言わんばかりの容赦無い現実まで一緒に思い知らせてくれるのである。そんな具合に単に名場面を再現して見せるだけに留まらず、実際に体験させてスリルまで提供する、アクションゲームとしてのゲーム性を高める作り込みも徹底。本当に映画の主人公になりきれてしまう、体験重視のストーリーとしても完成されているのだ。
実際にそのストーリーに対する体験重視のこだわりはムービーデモにも現れており、冗長にしてプレイヤーがコントローラを長い間手放す状態を作らぬよう、短めにするという配慮が徹底されている。アクションゲームとしてもデモが短めなのもあって、常にアクションを楽しめるテンポの良さも際立っており、休まず一気に進めて行きたいというプレイヤーの欲求に応えてくれる内容にまとめられているのも実に魅力的。あまりにテンポ良く、且つスムーズに進んでいくので、止め時を作るのも難しいぐらいだ。ストーリーを見たり、読み取ったりするのではなく、体験する事を何よりも重視したコンセプトが如何なく発揮されている。そのストーリー自体も探検アクション映画の王道を突き詰めた、懐かしくも新しい、独特の安心感に満ち溢れた作りになっているのが秀逸。それでいて、演出周りや登場キャラクターの面々と性格描写等にB級的なノリが炸裂しており、プレイヤーの笑いを誘う。
更にムービーデモにおける会話等はフルボイスで、日本語吹き替えとなっているのだが、この吹き替えがまた素晴らしいほどに木曜洋画劇場。茶目っ気溢れる独特の翻訳センスと担当声優陣の絶妙過ぎるチョイスが光る仕上がりになっているのだ。特にその良さが炸裂しているのが、ネイトの相棒役として探索に同行するキャラクターのサリー。彼のどの辺りが素晴らしいのかは、吹き替えを担当している声優が千葉繁氏であると言うだけで、映画ファン、そしてアニメファンならば大体察する事ができるだろう。『北斗の拳』の(やたら熱い)次回予告ナレーション、『ビーストウォーズ』のメガトロンなどで知られ、そのハイテンションな演技と突拍子の無いアドリブに定評のある氏が相棒役を務める。これが如何に面白い事なのかは実際にプレイすれば嫌というほど思い知らされるはずだ。また、ネイトを演じる東地宏樹氏の三枚目な演技も素晴らしく、危機的状況でダイ・ハードのマクレーン刑事のように愚痴ったり、手榴弾を投げ込まれた際に情けない悲鳴挙げる様には、思わずプレイヤーも同調してしまうこと必至。あくまでも演出でしかないが、そんな主人公との一体感、映画…もとい、木曜洋画劇場を見ているという雰囲気を高める配慮とこだわりは特筆すべきものがある。正直、これを目的に今作をプレイしても決して損はしないほどの魅力が込められているのだ。そんな吹き替え如きに…と思った方ほど体験してみて欲しい。きっと微笑ましい気分になってしまうはずだ。また、何故に今作をPLAYする木曜洋画劇場と言ったのか、その訳も思い知らされるだろう。
しかし、そうプレイする木曜洋画劇場としての作り、アクションゲームとしてのテンポの良さを重視したこだわりは秀逸な反面、レベルデザインには少し難がある。特に銃撃戦が本編の8割近くを占める配分はやり過ぎの一言。「新しい場所に行く」⇒「待ち構えてた敵が出てきて囲まれる」⇒「物陰に隠れて殲滅する」というパターンがあまりに多く、後半になればなるほど単調さが増していく。敵の種類が少ないのも、その面白味のなさに拍車をかけてしまっている。探検がテーマの内容なのに謎解きがそれほど無いのも如何ともし難い。もう少し、入れても良かっただろう。
また、本編ではボス戦もあるのだが、これが全てQTE(クイックタイムイベント)によるイベント戦になってしまっているのも味気ない。映画的な体験を味わえるゲームとしてのノリを出す為、このような作りにしたのかもしれないが、さすがに全部というのはやり過ぎ。もう少し、アクションゲーム的な戦闘も用意して欲しかったところである。そういうレベルデザイン周りでの問題が残念だが、映画を実際に体験するかのようなプレイ感覚とテンポの良いストーリー、素晴らしい吹き替えの数々がそれを上手くカバーしており、全体的には刺激的且つ、冒険心をくすぐる体験をプレイヤーに提供してくれる。課題も多いが、プレイする木曜洋画劇場としての内容に歪みは何ら無し。映画の主人公になって、ハラハラドキドキのアクションが楽しめる。まさに夢が具現化したかの如き、豊富な魅力が詰まったアクションゲームに仕上げられている。
映画的な内容だけに留まらず、アクションゲームの肝とも言える操作性も良好。複雑なボタン操作を求められる事は無い上、キー配置が適切なのもあって取っ付き易い。挙動の生々しさに反し、躍動的な動きを手軽に繰り出せる楽しさは格別だ。ただ、モーションセンサーを使った操作は正直、蛇足。特に手榴弾(グレネード)を投げる際、スティック操作とモーション操作の判定が同時発生する辺りは不備としか言い様が無い。オプションで片方をOFFにできれば良かったのだが、その配慮が一切無いのがまた残念だ。
更に難易度も銃撃戦に偏りがちなレベルデザインの問題もあり、少々高め。TPSに慣れてない方にはやや厳しい調整になっている。一応、リトライポイントが豊富な上、難易度も数種類用意されているなど、配慮は成されているのだが、最も簡単な『初級』でも銃撃戦の難易度に大差が無いのは少々調整が不足だ。ただ、謎解きの難易度は良好。優し過ぎず、難し過ぎずの適切なバランスにまとめられており、この点がせめてもの救いと言える。
ボリュームもメインストーリーで8〜10時間程度と適切。また、フィールドに隠された宝物の回収もあるなど、やり込み要素も充実しており、そこそこ長く遊べる内容になっている。
グラフィックの質も非常に高い。特にジャングルを始めとする自然環境、水の描写は凄まじく綺麗で、PS3初期に発売されたゲームとは思えないほどのクオリティとなっている。音楽は映画的なゲームらしい、雰囲気重視の曲が多め。だが、メインテーマ曲など、印象深い曲もそこそこ。なかなか気合の入った仕上がりだ。
更に快適性周りも特筆すべきものがあり、中でもロードは最初のセーブデータ読み込みの時だけに発生するだけで後は皆無というのが凄い。ムービーへの切り替えにせよ、エリアの移り変わりにせよ、全く待ち時間が発生しないので、凄くスムーズ且つ、テンポ良くゲーム本編を進めていける。その他、セーブもフルオート仕様なほか、英語音声への切り替え、ヒント機能の有り無しなど、オプションの充実振りも圧巻の一言。
それだけにレベルデザインとゲームバランス周りでの課題が惜しまれるが、映画的な体験を味わえるアクションゲームとしての完成度は申し分無いだけでなく、美麗なグラフィックに突き抜けた快適性など、PS3のマシンパワーをフル活用した部分の出来も侮り難きものがある。何よりも、PS3から発売されて間もない頃にこのような圧倒的なクオリティを誇るゲームを作り上げてしまった制作スタッフの技術力の高さに驚かされるばかりだ。ノリはB級でありながら、クオリティはそれ以上のクラスと言ってもいい今作。
PS3をお持ちの方ならば是非、プレイしてみて頂きたい力作だ。TPS周りの難易度が少し高めな為、苦手な方にはお薦めし難い部分があるが、このヤベェ冒険は一度でも良いから味わっておくべき価値がある。レッツ、チャレンジだ。
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