≫Rocket Knight(ロケットナイト)
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■発売元 |
KONAMI |
■開発元 |
Climax Studios |
■ジャンル |
アクション |
■CERO |
A(全年齢対象) |
■定価 |
1000円 (税別) |
■公式サイト |
≫こちら |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1人 |
■セーブデータ数 |
1つ |
■必要HDD容量 |
430MB |
■その他 |
PlayStation Network対応(※スコアランキングのみ)、振動機能対応、トロフィー機能対応 |
■推定クリア時間 |
1〜3時間(エンディング目的)、15〜25時間(完全攻略目的) |
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かつて悪の権化『ピグスター』の力を狙った『デボチンドス帝国』。
その戦いで討ち倒された皇帝デブリゲスの後継ぎとなった将軍シュヴァインハルトは、かつて敵対していたゼピュロス王国との和平条約を締結しようとしていた。ピグスターを巡って彼らと敵対したスパークスターは、シュヴァインハルトが何かを企んでいる可能性があるとゼピュロス王に詰め寄り、和平条約の取り消しを懇願するが、一度口にした約束は破れないと王は固辞し、条約を締結。国内に帝国民を受け入れる。スパークスターの心配をよそに帝国民は一生懸命働くが、彼らが静かに過ごし続けると思えなかったスパークスターは再び王に掛け合う。だが、王はこの条約によって平和な時代が訪れたとスパークスターを説き伏せ、彼を過去の英雄として突きはねてしまった。その一言に酷く傷付けられたスパークスターは、ゼピュロス王国と決別する事を決意し、風に吹かれるまま、遠い未開の地を目指して姿を消した。
それから15年後。
スパークスターは妻子と共に農業を営みながら素朴に暮らしていた。
だがある日、畑に居た彼は恐ろしい光景を目にした。野蛮な事で悪名高いマウンテン・ウルフ軍が、ゼピュロスの街に攻め入ろうとしているのである!
かつて、王国から酷い仕打ちを受けたスパークスターはその光景に躊躇うが、平和の為に正義を貫くという信念の元、ゼピュロス王国を救う為、マウンテン・ウルフ軍へと立ち向かうことを決意。
かつての鎧を身にまとい、単身、ゼピュロスの街へと向かった。だが、その前に現れたのは、ゼピュロスの民から英雄と慕われるかつての宿敵、黒騎士アクセルギアだった…!
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆チャージ方式からワンボタンによる簡単操作へと一新され、手軽さが増したロケットアタック
◆任天堂のスーパーマリオシリーズを髣髴とさせる、王道の面白さと親しみ易さを全面に推し出した本編構成(ワールドごとに用意されたステージを攻略していく仕組みに刷新)
◆アクションあり、謎解き有り、シューティング有りの個性豊かな展開で魅せるレベルデザイン
◆優し過ぎず難し過ぎずの適切なバランスへと大きく一新された難易度設定
◆長過ぎず、短過ぎずの丁度良さと豊富なやり込み要素が光る及第点の総計ボリューム
◆キビキビとした挙動と的確なボタン配置で旧作の良さをしっかりと引き継いでいる秀逸な操作性
◆騎士を捨てた男の復活劇が描かれた、地味ながらも熱い展開目白押しのストーリー
◆最初のステージで初代ロケットナイトアドベンチャーズの曲が流れる、明確な繋がりが示されたストーリーなど、豊富に仕込まれた旧作プレイヤーへのファンサービスの数々
--- Bad Point ---
◆仕様の刷新で連続して発動できなくなり、劇的に低下したゲーム全体のスピード感(かつて『スピードアクションゲーム』と名乗っていた頃の面影は何処にも無い)
◆派手な爆発エフェクト、無茶苦茶な展開など、動物版魂斗羅と言わしめた要素の完全除去
◆敵バリエーションの減少と偏り(ほとんどウルフ兵ばかりで、ロボット系の敵があまり出ない)
◆魂斗羅的な要素を取り除いたのに伴い、印象に残り難くなった各ステージ(レベルデザイン自体の出来は良いが、悪く言ってしまうと王道過ぎて刺激に欠ける)
◆静か過ぎる効果音、2Dで描かれた変な爆発エフェクトなど、壊滅的な劣化を遂げた演出全般(メガドライブ、スーパーファミコンの旧ハードで発売された前作よりも劣るというあり得ない出来)
◆劣化した演出と数の減少により、戦闘の面白さと熱さが大幅に薄れたボス戦
◆敵バリエーション減少と演出面の劣化で、盛り上がりに欠けるシューティングステージ
◆背景オレンジ、文字は白という見栄えの悪いメニューインターフェース
◆HD機のゲームにしては思えないほどギザギザが目立つ上、少しボヤけ気味のグラフィック
◆空気過ぎて印象に残らない音楽(過去作のアレンジはそれなりに印象的だが…)
◆アメコミ(カートゥーン)っぽさを一層濃くしたキャラクターデザイン
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▼Review ≪Last Update : 5/10/2015≫
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最速騎士、復活の巻。
しかし、15年の歳月は想像以上に応えるものだった…。
かつてメガドライブ、スーパーファミコンで発売され、動物版魂斗羅と言わんばかりのド派手な演出、ダイナミックなステージ構成でアクションゲーム好きを虜にした伝説の名作『ロケットナイトアドベンチャーズ』15年ぶりの新作。開発は『サイレントヒル:シャッタードメモリーズ』等を手掛けたアメリカのデベロッパー、ClimaxStudioが担当。
旧シリーズの面影、魂斗羅成分皆無の新生ロケットナイトだ。
ゲーム内容は横スクロールで展開する、ステージクリア型アクションゲーム。主人公のスパークスターを操作し、マウンテンウルフ軍の兵士達を蹴散らしながら、ゼピュロス王国の平和を取り戻す為、ステージを攻略していくというものだ。基本的なシステム周りは横スクロールアクションゲームである点を除き、全てが前作に当たるスーパーファミコンの『スパークスター』、そしてメガドライブの初代『ロケットナイトアドベンチャーズ』とは完全な別物になっている。
第一にステージクリア方式だが、前作及び初代では最後に待ち構えるボスを倒せばクリアだったのに対し、今作ではゴールに辿り着く事でステージクリアという、アクションゲームの王道に準じたものに改められている。それに伴い、本編の構成もワールド単位で用意されたステージを順番にクリアしていく、任天堂のスーパーマリオシリーズを髣髴とさせるものになった。各ワールドが4つのステージで構成されているなど、そのまんまである。また、そのステージに初代『ロケットナイトアドベンチャーズ』にあった横スクロールのシューティングステージを復活させ、山あり谷ありの冒険活劇風の構成へと回帰させている。横スクロールアクションという基本こそ前作と一緒だが、構成の刷新もあり、そのゲーム性は別物同然。言うまでも無く、前作のイメージを抱いてプレイすると、凄まじいコレジャナイ感を喰らうこと必至な作りとなっている。
更に第二として、主人公スパークスターのアクション周りも刷新。特に大きな変更点が背中に背負ったロケットを噴射し、その反動で高速移動する『ロケットアタック』。これが何と、前作のエネルギーチャージ形式から、ボタンを一回押すだけで発動する仕様に変更された。これにより、ボタンを押しっぱなしにしてエネルギーを溜めた後、離して噴射という少し手間のかかる操作をする必要もなく、手軽且つ直感的にロケットアタックを出せるようになった。だが、その代償として飛行距離が固定になった挙句、移動時のスピードも劇的に低下。具体的に言うと、目で追いかけられる程度の速度に落とされてしまった。この為、ゲーム全体のテンポも前作の半分以下にまで低下。高速移動で素早くステージを駆け抜ける事ができなくなり、スピード感って何の事だと言わんばかりの普通のアクションゲームも同然なテンポに改められてしまっている。一応、斜め方向へのロケットアタックが手軽に出せるようになるなど、改良点もあるのだが、あの異様なスピード感に魅了されたプレイヤーにとって、今回のロケットアタックが受け入れ難いものになっているのは言うまでも無く。シリーズが持っていた魅力を根こそぎ取り除いたも同然なアレンジが成されてしまっている。
しかも、スピードが落ちたばかりでなく、ロケットアタックは連発もできなくなった。というのも、チャージ時間を稼ぐ際に重宝したアクション『ローリングアタック』が廃止。飛距離を稼ぐ事ができなくなってしまったのだ。その為、前作のようにローリングアタックを使い、ステージを怒涛の勢いで駆け抜ける大胆なプレイもできなくなり、行動とステージ攻略の幅が大きく狭められている。ゲームバランスの観点から見れば、強引なプレイを封じて大味なノリを抑える為の対策という感じだが、その大胆なプレイを楽しんだプレイヤーにしてみれば、悪夢に等しい変更。「何故、そんな風にしたんだ…」と問い詰めたくなる仕様になってしまっている。
更に剣による通常攻撃も□ボタンで近接用の斬撃、△ボタンで衝撃波発射と、前作では一緒にできた技がボタンごとに振り分けられている。しかも、衝撃波に至っては、ロケットアタック使用時にも用いる『バーストゲージ』を消費する方式に改められて連射もできなくなり、使い勝手が大幅に低下。これまたもどかしい作りになってしまっている。また、『バーストゲージ』を消費するアクションの一つとして『ホバリング』なるアクションが追加。これで滞空時間を稼ぎ、狭い足場を乗り越えていく場面も今回、一部に追加されている。その滞空時間を稼ぎながら難所を突破していく辺りも、前作の路線から大幅に反する部分。ロケットの性能を使いこなすとも言える、真逆のコンセプトが徹底されたアクションになっている。
その他、今作は海外のメーカーが手掛けているというのもあり、キャラクターデザイン及び世界観はカートゥーンのアニメを意識したものに。更にロボットの敵が減り、ウルフ軍の兵士が登場する敵の大半を占めるようになり、かつての『魂斗羅』を髣髴とさせるノリが消失してしまっているなど、様変わりした所はかなりある。
前作から実に15年ぶりの新作という事で、当時、遊んでいたプレイヤーならば以前と同じ内容をイメージするかもしれないが、その中身はこれまで解説した通りに完全な別物。スピード感は消え失せ、アクションも大胆さが薄れるなど、全体的に堅実な姿勢が全面に現れた、大人しいアクションゲームになってしまっている。キャラクターデザイン、世界観にしても別物なので尚更。まさに新生ロケットナイトとも言うべき内容に仕上げられてしまっている。
例によって、今作は魅力以上に欠点が勝ってしまっている。特に象徴的なものがロケットアタックの仕様刷新によるスピード感の大幅な低下だ。操作こそ簡単になったものの、その代償でかつて『スピードアクションゲーム』を謳ってたゲームとしての魅力と独自性が消え失せ、平凡なステージクリア型アクションゲームへと成り下がってしまっている。
元々、ロケットアタック自体は癖の強いアクションだった。発動する事で、プレイヤーの目で追うのは困難な速さでスパークスターが移動する。その異様な速さに戸惑い、敵陣のど真ん中に突っ込んでしまったり、足場の無い場所に突っ込んでしまったりなど、数あるアクションゲームの中でもとりわけ、事故を招き易いアクションであったのは正直、否定できない。だが、慣れれば慣れるほど驚きの速さでステージを攻略できるようになるなど、非常に極め甲斐ある奥深いアクションになっていたのも事実。ロケット噴射で移動するスパークスター自身も、他のアクションゲームの主人公達とは一線を画す個性が滲み出ており、今作の独自性を象徴する存在として描かれていた。ロケットの噴射による反動をテーマにしたゲームならではの癖の強さ、そしてその圧倒的なスピードを物にする快感。そのような傑出した個性と奥深い一面、それらの魅力を最大限に活かすレベルデザイン、仰々し過ぎる演出を始めとする徹底した作り込みを行ったからこそ、前作の『スパークスター』は唯一無二の傑作として完成されていた。
その前作の魅力を可能な限り継承するのが、次なる作品の役割というものだろう。なのに今作は妻子持ちの中年男性へと老けてしまったスパークスターの設定をそのままゲーム本編へと反映させるかのように、平凡なゲームに改めてしまったのである。15年の歳月が経過しているかた致し方が無い、と理由付けするように。ただ、前作から15年以上も間が空いている故、次の新作を別物にする判断自体は分からなくもない。ロケットアタックにしても、癖が強いのは欠点でもあったから、万人に親しんでもらう為にスピードを落とす調整を施すのも致し方がないと言えるだろう。妻子持ちの男性になったスパークスターとの設定とも非常にマッチしており、若き頃のやんちゃっぷりが鳴りを潜めたスパークスターを見事に描き切れている。とは言え、幾らそんな致し方ない背景があるにせよ、旧作の匂いを残さず作るのは如何なものか?幾ら設定通り、或いは現代風にする狙いがあったのだとしても、旧作の魅力、特にロケットの速度をものにする快感と奥深さは最低限残して然るべきだろう。そういうのを一切やらず、単に『ロケットで飛ぶ』という旧作とは真逆、そして無関係なコンセプトを貫いたアクションゲームにしてしまったのは、旧作のイメージを壊すのみならず、久しぶりの新作として待ち望んだファンを失望させる非常に残念な判断である。そもそも、制作陣は旧作を知らなかったのでは?と考えても全く不思議でないくらいの敬意の無さだ。仮に少しでも知っているのなら、何もかも真っ赤な別物にはしないだろう。最低限、魅力は残すはずだ。敵の中にロボットを混ぜたり、滅茶苦茶な展開をするステージを織り交ぜるなど。だが、その名残と思しきものは皆無も同然。動物キャラクターの世界観に忠実過ぎる作りにしてしまっている。
また、ロボットの敵を混ぜるという点等、旧作は動物版の『魂斗羅』と言わんばかりに演出が派手で、無駄に爆発したり、多関節の巨大ロボットが暴れ回るなど、凄味のある展開が沢山あったのだが、そういうのも今作にはゼロ。魂斗羅っぽい爽快感と派手さは何処にもなく、効果音の質感、迫力のなさも相まって、非常に味気の無い仕上がりになってしまっている。ステージにしても、地面が炎上する中での中ボスとの戦いと言った、無茶苦茶なシチュエーションもなく、王道の地味な展開に徹していて、何とも素っ気無い。
だが、レベルデザイン自体は決して悪くはなく、水準以上の仕上がり。終盤には謎解き要素を取り入れたステージが登場するなど、随所において個性的且つ、かつてのシリーズには無い新しいアイディアが詰め込まれている。シューティングステージも演出、効果音は致命的なまでに地味とは言え、チャージ攻撃による大量の敵の殲滅などは結構爽快。アクションの息抜き用ステージとしての出来は悪くは無い。なので、決して手を抜いた作りではなく、一応はそれなりに作り込まれたゲームにはなっている。全然遊べないというほど酷い出来ではないという事は、声を大にして言っておきたい。
しかしながら、旧作の系譜に連なる新作としての出来は問答無用で言わせて頂くと、落第点レベルである。ロケットアタックはスピード感が無い上、癖が弱いので極める面白さも奥深さも皆無。魂斗羅的な仰々しい演出も、大胆なアイディアに富んだステージも無い上、敵を倒す爽快感も効果音の弱さもあって壊滅的に薄い。16年以上が空いてしまってるから、別に路線を継承しなくても良いよねと、本当に適当な思いで作られたかのような敬意のなさは、旧作経験者の視点から見れば非常に腹立たしい。同じく旧作から20年以上もの年月を経て発売されたカプコンの『バイオニックコマンドー』(3D版)もゲーム的に別物になってはいたが、それでもワイヤーアクションの奥深さという独自の魅力は何ら失われておらず、旧作の香りを残した新作として見事に完成されていた。何故、それと同じ事が今作はできなかったのだろうか。旧作に対する敬意の欠片もない、旧作自体を遊んだ事のない人間が携わったから?或いは、15年前のゲームなんて誰も覚えていないだろうという諦めからの結果なのか?
その真相は闇の中だが、旧作経験者として言っておきたい。懐かしの作品の新作を作るのなら、かつての魅力はちゃんと残せ、そんなに別物にするならタイトル名にそれを現すかのような単語を付けろ、と。前作プレイヤー完全無視も良い所の出来は本当に残念な限りである。ただ先の通り、旧作を知らない方ならば楽しめる内容。少々、無難過ぎる所もあるが、普通のアクションゲームとしては全体的に良質な仕上がりになっている。
アクションゲームとしての出来の良さは操作性にも現れており、ワンボタンで繰り出せるロケットアタックなど、取っ付き易さと手触り感は上々。ボタン配置も無理がなく、違和感なく手にフィットするものになっている。また、挙動に関しても旧作を完全踏襲しており、見た目こそ3Dながら、2Dさながらのキビキビとしたアクションが楽しめるのも秀逸だ。
難易度もスピード感の低下に合わせて下がり、微かにトゲを秘めた手応えが消滅。ステージ内に無茶苦茶な展開が無いのもあって、印象に残り難くなってしまっている。しかし、全体的なバランスは決して悪くはなく、前半緩やか、後半厳しめという理に適った調整は見事。上級者向けのハードも用意されているほか、ノリこそまるで違えど、旧作に近いスピード感が味わえる『ゴールドスパークスターモード』など、それなりの手応えは堪能できる仕上がりになっている。
ボリュームもそこそこだが、ワールドの最後にボス戦が展開される構成になった影響でか、密度は旧作よりも落ちてしまっている。ボス自体も旧作よりもかなり少なくなってしまっており、それが派手さを損ねる要因として働いてしまっているのももどかしい。ただ、数自体は十分な量。また、トロフィーや難易度ハード、先のゴールドスパークモードへのへの挑戦のほか、ステージ内に隠されたアイテムの全回収など、やり込みも幾つか用意されており、リプレイ性は総じて高め。そこそこ長く楽しめる作りになっている。
また、こういう数十年ぶりの新作では何かと負の方向に行きがちなストーリーも意外と良い出来だ。基本的に台詞は無く、キャラクターの寸劇と状況説明のみで語られるだけなのだが、騎士である事を捨てたスパークスターの復活劇が見事に描かれている。かつてのライバル、アクセルギアも変わった形で登場するほか、彼との戦いも数度に渡って展開されるなど、旧作の設定をしっかり活かしている辺りは評価に値するところだ。
グラフィックに関しては色鮮やかなデザインが印象深いが、先も紹介したようにキャラクターデザイン全般がカートゥーンチックで、洋ゲーっぽさが強め。決して悪い出来ではないのだが、好みが分かれる。また、解像度もHD機向けのゲームにしては妙に低めで、テレビによってはSD(標準解像度)機のゲームと変わらない程度に見えてしまうのは気になるところだ。そして、音楽は完全に空気。一応、初代『ロケットナイトアドベンチャーズ』のテーマ曲が流れるなど、旧作ファンに対するサービスもあるにはあるのだが、とにかく自己主張が強くないのもあり、印象に残り難い。先にも挙げた効果音の弱さなど、音周りに関しては今作、旧作はおろか、他のアクションゲームよりも劣ってると言っても良いだろう。
演出周りも繰り返しになってしまうが地味で、旧作では非常に仰々しかった爆発は効果音も合わせて大人しいものになってしまっている上、そのエフェクトも何故か3Dではなく、2Dで描かれているだけに不自然さが漂うものになってしまっている。巨大ボスとの戦いも、この演出、効果音の弱さもあってどうにも盛り上がらない。倒した際の演出にしても非常に地味で、まるで達成感が感じられないのはアクションゲームとしては致命的としか言い様が無い。それ以前にハードの性能も含め、表現周りでは圧倒的に勝っているはずの今作が、スーパーファミコンやメガドライブでリリースされていた旧作よりも演出面で遥かに劣るというのはどうなのだろうか。こういう所に関しても、製作陣の旧作に対する理解、新作における努力不足、そして間違った方向に行かされてしまっている事を痛感させられる。
他にもメニューインターフェースが背景がオレンジ、文字が白という組み合わせで見栄えが悪いなど、気にかかる点は幾つか。純粋に一つのアクションゲームとして見れば、良作レベルの出来。丁寧なレベルデザインと難易度設定、良好な操作性などが光る仕上がりになっている。しかし、『ロケットナイトアドベンチャーズ』の系譜に連なる新作としては落第点の出来で、ロケットアタックによる圧倒的なスピード感と爽快感、魂斗羅イズムに満ち溢れた演出等が皆無。その辺に期待してプレイすると、強烈なしっぺ返しと失望を喰らう内容であるのは言うまでも無いだろう。仮にも久々の新作であるというのに、新規プレイヤー想定で、旧作経験者完全無視。そんな非道な作りが非常に度し難い今作。
良作ではあるが、間違っても旧作が好きだった方は遊んではいけない一品だ。本当に良い意味でも悪い意味でも、新生ロケットナイトな内容。旧作みたいなロケットナイトをやりたい方はコナミに新作製作を嘆願するか、或いはWii、WiiUのバーチャルコンソールで初代『ロケットナイトアドベンチャーズ』、『スパークスター』の復刻を要望しよう。その方が幸せになれる…のは間違いない。逆に旧作未経験のアクションゲーム好きなら遊んでみる価値はある。そして今作の後、機会があったら旧作に触れてみて欲しい。何故、旧作経験者が納得できない内容なのかが分かるだろう…多分。
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