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  4. Never Dead(ネバーデッド)
≫Never Dead(ネバーデッド)
■発売元 KONAMI(コナミデジタルエンタテインメント)
■開発元 リベリオン
■ジャンル 不死身アクション
■CERO D(17歳以上対象)
※過度の暴力、出血、欠損描写等あり
■定価 6648円(税別)
▼Information
■プレイ人数 1人(オンライン時:2〜4人)
■セーブデータ数 HDDの残り容量によって変化
■必要HDD容量 4000KB以上
■その他 Play Station Network対応、振動機能対応、トロフィー機能対応、モーションセンサー機能対応、ヘッドセット対応
■総説明書ページ数 21ページ
■推定クリア時間 10〜11時間(エンディング目的)、45〜65時間(完全攻略目的)
500年前、妻と共に魔王に戦いを挑み、妻を殺され、敗北した挙句に不死身にされてしまったデモンハンターが居た。その名はブライス・ボルツマン。生きる目的も何もかも失った彼は、失意の中、死ぬ事も許されず、下級のデモンを退治して酒代を稼ぐ日々を送っていた。……食べる必要すら無いのに。

そして現代。
一見、平穏な街の影には悪魔が元凶とされる事件が勃発していた。その存在は一般市民には秘匿とされ、NADA(National Anti Demon Agency)により、事件は秘密裏に処理されていた。
しかし近年、その動きは活発化し、不気味な影が忍び寄りつつあった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆腕や足がもげようが、頭だけになってしまおうが普通に生存し、操作もできる衝撃性で魅せる不死身システム
◆不死身の身体を活かした、大胆不敵にして危険極まりない戦術の数々
◆TPSスタイルながら、敵を如何に地形の崩落に巻き込ませる事ができるかと言った戦略的な行動が求められる、独特のバランス付けが成された戦闘
◆特徴的な戦闘バランスと不死身システムの特色を活かす作り込みが光るレベルデザイン
◆正統派の人型から部屋全体という常軌を逸したものまで、何でもありの無茶苦茶さが炸裂したボス達(何処となく往年の魂斗羅、ドラキュラっぽさがある)
◆不死身ならではの暴れ回る楽しさが光る、オンライン対応のマルチプレイモード
◆悪魔に侵略された現代都市という設定を反映させた、禍々しいビジュアルが異彩を放つロケーション(地下鉄、高層ビルなど、現代風でありながら良い意味で気色悪い)
◆敵悪魔達の禍々しさ抜群のデザイン、ほぼ全ての地形に破壊描写を仕込むという細かな作り込みが光るグラフィック(特に破壊描写の派手さは必見)
◆世界観と絶妙にマッチした、メタル全開の印象深い音楽(特にボス戦の曲の出来がピカイチ)
◆長過ぎず短過ぎずの本編と適度に盛り込まれたやり込み要素が光る、総計ボリューム
◆陰鬱な世界観ながら、主人公ブライスと相棒アルカディアの夫婦漫才、スピーディでテンポの良い展開で楽しませてくれる、見所満載のストーリー
◆素晴らしく濃いキャラクター付けが成された登場キャラクター達(特にアレックス)
◆実力派声優陣による素晴らしい演技と絶妙な配役が光るボイス演出
◆ほぼギャグ同然の暴力描写(中でもブライスのシャワーシーンは見物)

--- Bad Point ---
◆挙動の鈍さに右スティックで操作する斬撃武器『バタフライブレード』など、癖の強さと配置の違和感が際立つ操作性
◆敵を地形の崩落に巻き込むか否かで、極端過ぎるほど難しさが上下するゲームバランス(普通にTPSスタイルで戦うと、弾切れで悩まされると言った地獄を見る事に)
◆巻き込み戦術に関するチュートリアル不足(本編をプレイしながら知れ、と言わんばかりに突き放した作り)
◆巻き込み戦術を気付き難くさせているTPS準拠のゲームデザイン
◆物理演算処理の所為で運の要素も絡んでくる巻き込み戦術
◆ゲームオーバーの存在を認知させる為とは言え、出現する量が過剰で無限湧きなのがウザったい『グランベイビー』
◆『グランベイビー』に飲み込まれた際に発生するシビアなQTE(クイック・タイム・イベント)
◆腕や足がバラバラになる度にその回収が求められる、システム特有の作業感
▼Review ≪Last Update : 12/27/2015≫
必殺!のんでれげれっぴ!!

名前に反して「いってえwww」技なんです。


狙撃特化型のシューター『スナイパーエリート』シリーズで知られるイギリスのデベロッパー・リベリオンと、コナミとのコラボレーションによって開発された完全新作のアクションゲーム。プロデューサー兼監督は『メタルギアアシッド』シリーズなどで知られる野尻真太氏が担当。

奇天烈なセンス炸裂のゲームシステムとロックなストーリーで魅せる怪作だ。

ゲーム内容は三人称の3D視点で展開する、サードパーソンシューティング(TPS)の要素を取り入れた不死身アクションゲーム。主人公のブライス・ボルツマンを操作し、現代の都市で暴れるデーモン(悪魔)の群れを銃火器等の武器で討伐しながらストーリーを進めていくというものだ。
本編はチャプター単位で区切られたシナリオを攻略していく形で進行。各チャプターは一本道構成で、道中で課せられるミッションを順に攻略していく、TPS及びFPSライクな仕組みになっている。ミッションの内容も目的地への到達、要人救出など、多種多様なものが用意されているが、大半はデーモンとの戦闘。そこもまたTPS、FPSっぽさバリバリ且つ、主人公ブライスのデモンハンター、悪魔を狩る者という肩書きに忠実な構成となっている。ただ、あくまでもTPSと言い切れるのは射撃要素程度。その他のTPSでお馴染みのアクション、物陰に隠れて射撃する『カバーアクション』は今作には実装されていない。更に武器は銃火器だけでなく、『バタフライブレード』なる近接武器もあり、それにちなんだ近接戦闘も繰り広げられるようになっている。なので、どちらかというとアクションゲームに強く寄り添った作りと言った趣。実際に激しく立ち回らなければならない場面が豊富にあったりと、それを謳うのも納得の内容になっている。
そして今作最大の特色が、ジャンル名にも記載されている不死身システム。その言葉の通り、今作の主人公ブライスは死なない。敵の攻撃を受けるのは勿論、爆発に巻き込まれたり、高圧電流に触れても死なない。そして、腕と足がもげようが、頭だけになってしまおうが普通に生き残り、その状態で操作できてしまうのだ。しかも、失われた腕と足、胴体等はちゃんと元通り、再生させる事が可能。基本的にいずれかの部位が失われると、フィールド上にそれが散らばるので、近付いて回収すれば元通りになる。仮に頭だけになっても同様の手順を踏めば再生可能。更に画面右下に表示された『イービルアイ』のゲージが最大値である時に右スティックを押し込めば、回収せずとも全ての部位を再生させる事もできてしまう。まさに化け物!どんな状態になろうが、生き残っては蘇るキャラクターになっているのだ。
だが、腕や足が失われる分、アクションが制限されていくデメリットがあり、足を失えば移動力が落ち、腕を失うと銃撃や近接攻撃ができなくなる。なので、敵の攻撃に当たりまくっても大丈夫という訳では無い。特に頭だけになると、満足に戦う事すらできなくなる上(※一応、ダッシュアタックができるが連発は不可能)、その時に限った脅威『グランベイビー』が登場。これの吸い込み攻撃を喰らって飲み込まれ、内部からの脱出に失敗してしまうとブライスは”消化”されて液体として永遠に生き続ける事になり、ゲームオーバーとなってしまうのだ。しかも、『グランベイビー』自体は戦闘中に無限で発生。なので、五体満足の状態で倒したとしても全滅させる事はできないのである。一応、飲み込まれてもその瞬間に発生するQTE(クイックタイムイベント)を成功させれば回避可能だが、一度のミスも許されないので油断は禁物。おまけにゲームオーバーに繋がるのはこれだけではない。ミッションによってはブライスの相棒、アルカディア(普通の人間)と連携して戦う戦闘もあるのだが、この戦闘でアルカディアがダウンし、蘇生措置を施さずに放置して死亡してしまった際もゲームオーバーになってしまうのだ。その為、連携しての戦闘が展開される場面ではパートナーの状況も確認しなければならない、多角的な視点を持っての立ち回りが求められてくる。なお、言うまでもないが蘇生措置は頭部だけの時に行う事は不可能。よって自身のステータスも上手く保たねばならない。おまけに腕も足もワリと簡単にもげるほど耐久力が低めに設定されているので、戦闘中にはその恐怖も付きまとうから尚更だ。死なないからと言って無敵という訳では無い。そして、幾ら自分が大丈夫でも生身の人間には耐えられない。主人公が不死身と聞いて、ゲームに詳しい方なら任天堂のワリオランドシリーズ(厳密には2と3)を想像するかもしれないが、あちらが不死身である事の強さを描いているのなら、今作は弱さを描いている感じ。真逆の方向性を突き詰めた、独自のアイディアが光るシステムになっているのだ。
だが、全てにおいて弱いという訳では無い。ユニークな点として、ブライスの部位はプレイヤーが任意で切り離す事が可能。腕をちぎって投げ飛ばし、敵の注意を誘ったり、時には頭だけになって通風孔と言った五体満足な状態では絶対に入れない所を通り抜けるなど、それにちなんだ戦術、探索ができてしまうのである。更に高等テクニックとして、銃を持った腕を投げ飛ばし、その投げ飛ばした所で間接的に銃撃をするなんて事も可能。もっと行くと自ら炎を身に纏えば、炎を帯びた銃撃と近接攻撃が可能になり、敵に追加ダメージを与える事ができたり、感電状態になると敵を麻痺させる攻撃ができるようになったりする。極め付けには、部屋全体にガスを充満させ、十分に溜まり切った後に引火させてガス爆発を発生させ、敵を一網打尽にするなんてのもある。勿論、ブライスは不死身だから、爆発後も平然と生き残る。そんな生身の人間なら、自殺行為に等しい事が戦術の一つになってしまうのもこのシステムの特色。不死身で良かった!…と思えるメリットとそれ故の遊びも仕込むなど、独自の魅力もちゃんと描いているのである。特に自殺行為が戦術になるゲームというのも、なかなか無いというか…今作ぐらいだろう。その点で見てもかなり異彩を放っている。
こんな主人公を操作し、本編を進めていく事になる。そのぶっ飛んだ仕様には、「そんなのアリ?」と唖然となる衝撃性があるのは言うまでもない。主人公の腕や足がいとも簡単にもげるわ、頭だけになっても死なないわ、充満したガス部屋を爆発させて敵を一網打尽にするのが戦術として仕えてしまうわと、あらゆる面において狂気の沙汰。冗談抜きに製作者は頭に虫が湧いているんじゃないのかと、本気で疑ってしまうぐらいにハイセンス過ぎるアイディアが炸裂した内容になっている。ある意味、ゲームならではの無茶が色濃く現れた作品、と言える作り。文字通りの怪作なのである。

当然ながら、今作の売りは狂気に満ちたブライスのアクションと戦術の数々。こんな事ができるのはこのゲームだけ!…と言い切れるぐらいに唯一無二の仕上がりになっている。
特にその点が際立っているのが戦闘とその難易度の味付け。不死身なんだから無茶振りしてください、と言わんばかりにその体質を最大限に活かした戦術が求められる作り込みが成されている。先のガス爆発は序の口。それ以外にも爆弾を持った状態で身体をバラバラにして頭を切り離した後、爆発させて集まっている敵を火あぶりにしたり、感電状態で銃撃して敵を麻痺させ、その上にある天井の床を崩落させて圧死させるなど、生身のキャラクターでそれを試したら巻き添えを喰らって当然の行為が戦術としていとも簡単に試せてしまう。そんな不死身だからこその不謹慎で悪趣味な戦術(※褒め言葉)で敵を翻弄させるのには、癖になる快感とプレイヤー自身の下衆な感情を昂ぶらせる高揚感がある。
そう言った戦術で敵を倒すようにして欲しい意図を込めてか、通常の銃撃、近接攻撃だと敵に満足なダメージを与えられないよう、ゲームバランスが調整されているのがユニーク。見た目がTPSなのもあり、パッと見、銃で戦えば良いのかと思いがちだが、実はそれでは満足なダメージを与えられないよう、敵の耐久度が固めに設定されている。その為、TPSのスタンダードに則って戦うとまともにやり合えないどころか、最悪、返り討ちされかねない。しかも、敵は集団で現れる上、その中に銃撃が通用しない敵を混ぜるという意図的な組み合わせにもされているので尚更。一応、『バタフライブレード』による近接攻撃なら十分なダメージを与えられるのだが、致命傷になる程度でもなく。何せ私達は悪魔ですので、と言わんばかりの強く、そしてあくどい設定が成されているのだ。
逆に地形を利用する形で戦うと、驚くほど簡単に倒せてしまう。中でも天井崩落は最も効果が高く、これに上手く巻き込めるか否かで戦闘時間が激変するほど。天井が無い所でも、周囲にガスボンベがあるのならそれを誘爆させたり、或いは炎を身に纏った状態で銃撃して連続ダメージを与える等、手段は豊富にあり、それを用いる事でまともに張り合う以上の致命的な一撃を与える事ができるのだ。しかも、巻き込むに当たっての敵の誘導もそんな難しくなく、大半の敵はブライスの後を付けてくる習性があるので、意外と簡単に指定位置まで連れてくる事ができる。また、地形自体も数発の銃で破壊可能なほど脆く、意外と早く策を実行できてしまう。そんな配慮が凝らされているのも、今作が不死身アクションゲームとして作られた事の意図の現れ。卑怯なやり方で攻めてくる相手にはそれ相応の行為で対応する。反則めいた設定をちゃんと活かすバランス取りを実施し、独自のゲーム性を演出しているのである。そんなまともに張り合うか、ハメるか。状況に応じた行動を考えながら戦っていくだけあって、どの戦闘も緊張感抜群。戦略を練る面白さもあり、まるでリアルタイムストラテジーに近い手応えは、まさにこの不死身システムあってこその賜物と言えるだろう。
この特徴的なバランスを活かしたレベルデザインも秀逸。特に中ボス、ボス戦はその練り込み具合が最もよく現れているほか、ボス自身のバリエーションも多彩。中には中にはフィールド全体がボスという大胆過ぎる存在も居たりと、荒唐無稽な戦術が求められる今作ならではのぶっ飛んだアイディアも炸裂している。その何でもあり過ぎる無茶振りには、何処となく同じコナミ製の魂斗羅シリーズやドラキュラシリーズを髣髴とさせるものがある。実際に本編には明らかにそれを意識したと思えるネタも随所に凝らされているので、いずれのシリーズ経験者はじっくり観察してみると面白いかもしれない。
そうも独自の快感を表現している今作の戦闘だが、この巻き込みを狙った戦術が重要である事を本編で説明し切れていない点は正直、致命的と言わざるを得ない。特にチュートリアルでその言及が無いのが痛過ぎる。最低限の説明だけに留めた格好で戦闘が始まる上、その戦闘はTPSのやり方で乗り越えられるバランスになっているので、その時点で銃で戦うゲームと勘違いしてしまう。そして勘違いした結果、以降の戦闘で返り討ちに遭い、理不尽なゲームオーバーを沢山体験するという悪循環に見舞われる。無論、周囲を利用してという解説やそれを意識的にやらせる調整がまるで成されていないので、どう戦えば良いのかも気付き難い。気付けずゲームオーバーを繰り返すのなら、もう今作を遊ぶ資格は無しと言われる様なもの。突き放し過ぎにも限度がある有様になってしまっているのだ。
さすがにこれは怠慢としか言い様がない。巻き込む戦術が重要なら、先ずは序盤にそう言った戦い方をする事をプレイヤーに意識付けるチュートリアル的な戦闘を幾つか挟むべきなのに、全くできていない。プレイヤーが自然と気付いてくれるだろう、という勝手な思い込みによる雑な仕上がりになってしまっているのである。正直、プレイヤーを舐め過ぎとしか言い様がない。どう足掻いても、導入部の流れではTPSスタイルが戦闘の基本と思ってしまう。変わった戦術で遊ぶゲームなら、そういう意図を理解してもらう為の工夫は実施して然るべきだろう。それをやらずに上手く遊ばない人を切り捨てるかの如き作りにしたのは失策も甚だしいところだ。それを説明しなかったが故、高難易度のTPSと勘違いしてしまう箇所を表面化させてしまったのも致命的過ぎる。実際に戦闘の難易度はTPSスタイルだと異様に高くなり、時には乗り切れない場面もあったりするほど。これでは、幾ら面白いバランス付けがされていると言っても、TPSに手慣れたプレイヤーから非難されるのも当然としか言い様がない。特にその辺のゲームになれた海外のユーザーからなら、駄作認定を喰らうのも止む無しと言ったところだろう。
戦術自体の面白さは格別で、これまでにない新しくも狂気的なビジュアル、ゲーム性を演出しているのは素直に評価に値する所。レベルデザインも全体を通して観れば、凝った作りにはなっている。だが、遊び方の説明が不十分過ぎて、非常に勘違いされ易い内容。アクションなのにTPSとして見られ、間違った遊び方をされて悪い評価を喰らった『バイオニックコマンドー』と同じ轍を踏んでしまった作品と言えるかもしれない。
実際に巻き込みを意識してプレイした場合の今作の面白さは、TPSスタイルで戦った時以上に面白く、独特の味わいに満ちたものになっている。今後、今作をプレイするつもりのある方は是非、その事を念頭においてプレイして頂きたいと思う。本当、チュートリアルの手法を誤った作品としてこれほど典型的な一例もなかなか無い。それほどまでに遊び方次第で評価が変わる内容。不死身である事の強みや悪い所を良い形でも悪い形でも現してしまっている。

その他、操作性も全体的に癖が強め。挙動がやや鈍いほか、バタフライブレードの操作は右スティックを切る方向に倒すという『メタルギアソリッド2』の雷電の刀と同様の体系を起用しているのもあり、慣れが必要とされる。また、ボタンを押せば良い所が実は長押ししなければならないなど、配慮が行き届いてない所も散見される。正直、合わない人なら拒否反応を覚える仕上がり。一昔の海外ゲーム臭い手触り感が出てしまっている。
難易度も一応、選択オプションがあるのだが、最も簡単な『イージー』でも結構な歯応え。何より、先の巻き込みを意識した戦術を考慮して戦わないと必要以上に高くなってしまう。また、ボス戦時であっても無限湧きする『グランベイビー』等、嫌らしくし過ぎな所も目立つ。『グランベイビー』に飲み込まれた際に発生するQTEも、一回失敗したら即ゲームオーバーというのもシビア過ぎる。ここも数を減らすなりして、嫌らしさを軽減させる配慮をして頂きたかったところである。ただ、身体能力を高める『アビリティ』等、ある程度の救済措置は完備。システム自体もRPGチックなスロットに装備するスタイルで、組み合わせ次第でプレイヤーごとに違うブライスを作り出せるのは地味ながら魅力的だ。
グラフィックも全体的に質が高い。特に悪魔のデザインは禍々しさ抜群。また、ほぼ全てに専用の破壊描写が仕込まれた地形の作り込みも圧巻の一言で、デザイナースタッフの本気とこだわりを痛感させられる。
音楽も素晴らしい出来。特にボス戦の曲が素晴らしく、その中でも自称伯爵のサングリアとの戦闘曲はインパクト抜群の仕上がりになっている。テーマソングも熱く、歌っているのがアメリカのスラッシュメタルバンド『メガデス』というのも非常に豪華。更に本編のキーパーソンを演じるニキ・サマーフィールドを演じる声優の中島愛による歌(勿論、日本語)まで収録。その異様なまでのこだわりには、過去に数多くの名曲を輩出してきたコナミの底力を実感させられるだろう。

ボリュームも本編は9〜10時間程度と適度な長さなほか、アビリティコンプリート等のやり込み要素、オンライン対応のマルチプレイモードも実装されているなど、長く遊べる設計になっている。特にマルチプレイは本編とは異なる不死身の身体故の暴れ回れる快感に満ちているのが秀逸。ルールこそ少なめではあるが、アイテム収集や防衛戦など、白熱必至の作りになっているので要チェックだ。
その他、演出面、ストーリーの完成度もピカイチ。特にストーリーはブライスとアルカディアの掛け合いが素晴らしく、ダークな世界観に華を添えている。キャラクターを演じる声優陣もブライスに白熊寛嗣、アルカディアに木下紗華と洋画吹き替えのベテランを添えているほか、先のニキ役には『マクロス7』のランカ・リー役で知られる中島愛、更に敵役のサングリアには『ドラゴンボールZ』のフリーザ役、『それいけアンパンマン』のばいきんまん役等で有名な中尾隆聖、ブライスのライバル・アレックス役には『サザエさん』のアナゴさんでお馴染み過ぎる若本規夫という豪華な面々を起用している。中でも若本氏のアレックスは酷く濃いキャラになので必見。その決め台詞には誰もが「???」と首を傾げてしまうだろう(※良い意味で言ってます)。
とにかく、チュートリアルの不備が致命的過ぎるが、不死身である事を活かした多様な戦術に独自のゲーム性、素晴らしい音楽とノリの良いストーリー等、光るアイディアや魅力も沢山持った内容になっている。正直、強烈に人を選ぶゲームではある。だが、同時に他のゲームに無い強烈な個性と独自色を持った内容でもある今作。少し変わったアクションゲームを遊びたい方なら是非、お試し頂きたい2012年屈指の怪作だ。間違っても、TPSとして手を出すのは危険。今作は不死身の主人公で遊ぶアクションゲームである。その事をお忘れないよう…。
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