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≫リトルビッグプラネット
■発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
■開発元 Media Molecule
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5980円(税込)<Best版:2980円(税込)>
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 HDDの残り容量によって変化
■必要HDD容量 600MB以上
■その他 Play Station Network対応、モーションセンサー機能対応、振動機能対応、トロフィー機能対応、Play Station Eye対応
■総説明書ページ数 63ページ
■推定クリア時間 6〜7時間(エンディング目的)、無限(完全攻略目的)
惑星『地球』、またの名を『夢見る人々の惑星』。
この惑星に住む種族はこれでもかというぐらいに寝たり夢見たり。
そんな彼らの夢からクリエイティブなエネルギーに満ち溢れた大きなイマジネーションが吐き出され、宇宙の遥か遠く先まで飛んでいった。そして、それらが色んな夢と混ざり合い、素敵なことが起きた。

惑星ができちゃいました。

摩訶不思議で夢のような冒険と可能性を秘めた惑星。
今まさにその惑星で貴方の冒険が始まろうとしています。
ようこそ、リトルビッグプラネットへ。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆横スクロール型アクションゲームとしての王道の面白さ、安心感を重視したゲームデザイン
◆まるで工作で作られたかのような手作り感と生々しさが混在した独特過ぎる世界観
◆掴む、手前と奥への移動など、シンプルながらも3Dグラフィックの必然性を活かした作りが光るプレイヤーアクション
◆遊び重視の作りで取っ付き易く、それでいて想像力も大いに刺激させられる『ぼくの惑星』ことステージ作成モード
◆手順の分かり易さ、創作意欲を刺激する機能が秀逸なオンラインアップロードシステム
◆実質、無限に等しい総計ボリューム(オンラインに繋げるともはや終わりが無くなる!)
◆物理演算処理による生々しさが目を見張るオブジェクト動作(この仕様を活かした仕掛けも充実)
◆ユーモラスなナレーションで手取り足取り教えてくれる、楽しいチュートリアル
◆最大四人までの同時プレイに対応しているほか、チャットなどシステム周りも充実したオンラインマルチプレイモード
◆豊富な仕掛けと驚きの演出、イベントでプレイヤーを楽しませる工夫に富んだステージ構成
◆チェックポイント多めで、アクションが苦手な方も気軽に遊べる易しめの難易度設定
◆工作風味の世界観をより魅力的なものへと引き立てる、手作り感満点の美麗なグラフィック
◆手作り感満点のグラフィックとマッチした、オシャレで爽やかな雰囲気に富んだ音楽

--- Bad Point ---
◆リアルさを追求した故の挙動の重さがタマにキズな操作性(手応えが重い)
◆キーボード操作前提のチャットシステムのインターフェース(コントローラでの操作だと非常に煩わしい)
◆オフラインに限った場合の総計ボリューム(やや短め。やり込み周りも薄味)
◆悪く言えば遊び倒すにしても限度があるオンライン込みの総計ボリューム
◆ストーリーモードにおけるストーリー性の薄さとメリハリに欠けたレベルデザイン(特にボス戦の少なさは引っ掛かる)
◆物理演算処理の弊害、オブジェクトの予想だにしない倒壊による詰みパターンの発生
▼Review ≪Last Update : 5/20/2012≫
閉じた遊びから無限の遊びへ。

膨大な可能性を秘めた衝撃作、ここに参上。


イギリスのサリー州・ギルフォードに居を構える小規模な開発スタジオ『Media Molecule』による完全新作の横スクロール型アクションゲーム。

ネットワークを駆使したクリエイト機能が異彩を放つ、驚愕の大作アクションゲームツールだ。

ゲーム内容は横スクロールで展開する、ステージクリア型アクションゲーム。リビッツと呼ばれるプレイヤーの分身となるキャラクターを操作し、様々な仕掛けやイベントが張り巡らされた多彩なステージを攻略していくというものである。
ゲームモードは四種類。舞台となるリトルビッグプラネットで困っている人々を助け、冒険を進めていく『ストーリー』、世界中のプレイヤーと同じステージを一緒にプレイする『クイックマッチ』、世界中のプレイヤーが作成したステージを遊べる『コミュニティー』、そしてオリジナルのステージを作成できる『ぼくの惑星』が用意されている。事実上のメインとなるのは『ストーリー』。基本的にエリアごとに用意されたステージを攻略していく、ステージクリア型アクションの王道に則ったモードだ。各ステージのクリア条件もゴールへの到達を目指すという、これまた王道に則ったもの。一部、謎解きなどの特殊なイベントもあるが、シンプル故の取っ付き易さと親しみ易さに秀でた、万人向けの作りになっている。
システム、アクション周りも王道を極めた作り。ただ、独特の要素として奥行きの概念、「掴む」を主としたアクションと仕掛け、そして物理演算処理によるオブジェクトの動きなどがある。中でも象徴的なのが、物理演算処理に基づくオブジェクトの動き。今作では、ブロックなどのオブジェクトの動きに物理演算処理が施されていて、崩れ落ちる際などにはその法則に基づいた生々しい動きをお披露目するのである。実際に本編にもこの動きを活かした難所、謎解きなどが一部登場し、この処理ならではのリアルな体験と映像表現をプレイヤーに提供する。基本的には演出の一部に過ぎないのだが、その生々しい動きには、他の横スクロールのアクションゲームには無い味が満ち溢れている。また、3DCGだからこその説得力も抜群で、本物の玩具で作られた世界を冒険しているかのような質感と空気感に富んでいるのも見逃せない見所だ。更にプレイヤー自身の挙動にもこの物理演算処理が施されており、実際の人形を動かしているかのような手応えに秀でている。多少、重くて鈍いところは好みを分けるが、玩具の世界を冒険している現実味と世界観の説得力を高めているのが見事。演出に過ぎないとは言え、本物の玩具の世界を描こうとする細部に至る作り込みは圧巻の一言に尽きる。基本は王道の横スクロールアクションゲームでありながらも、3DCGだからこその現実味への徹底が至る所に炸裂。独自色とこだわりに満ち溢れたものに仕上げられている。他の奥行き、掴むのアクションもその生々しさを演出しているほか、3DCGだからこその説得力を高める要素としても存在感を発揮している。
しかし、それら以上に今作の独自性を醸し出しているのは、『ぼくの惑星』ことステージ作成モードだ。今作では『ストーリー』で手に入る『素材』を使い、オリジナルのステージを作成できる、ユニークなモードが実装されている。しかも、この作成したステージはオンラインにアップロードできる上、世界中のプレイヤーと共有できるという衝撃の機能まで搭載。アップロードされたステージは『コミュニティー』にてプレイ可能なのだが、その数や何と200万以上。実質、無限とも言うべき圧倒的な量が用意されている。
更に、作成システムも自由度が極めて高いのみならず、普通にアクションゲームを遊ぶかのように作れてしまう親しみ易さ抜群の設計。また、素材の組み合わせによってはアクションゲームから逸脱したステージ、スーパーマ●オブ●ザーズの1面ソックリなステージまで再現できてしまう。実際、アップロードされているステージの中にはそんな驚くべきアイディアが凝らされたものが多数あり、『ストーリー』では体験できない衝撃的なアクションステージの数々を体験できてしまうのだ。しかも、その数200万以上。如何に今作のボリュームが桁違いなのかは言うまでもないだろう。作成の敷居も低く、苦手な人でも単純にステージを遊ぶだけでも十分に満足できてしまう懐の広さ。本編『ストーリー』にも、多彩なアイディアが凝らされたステージが登場するが、それ以上の世界をオンラインに接続する事で体験できてしまう。更に『クイックマッチ』では、そんな世界中のプレイヤーとの最大四人までの協力プレイが楽しめてしまうというおまけ付きだ。正直、これでは『ストーリー』がおまけじゃないのかと言っても全く不思議でないぐらいである。
それほどまでに今作のオンライン、ステージ作成周りの機能は飛び抜けたものになっている。アクションゲームとしても王道の作りで、親しみ易さと圧倒的なリアリティが見所の出来。しかし、その見所もオンラインとステージ作成の前では霞んでしまう。ストーリー限定でも十分遊べるが、オンラインに繋げると更に遊べてしまう。まさに、オンライン機能搭載で横スクロールアクションはここまで凄いツールと化す、という事を体現したかのような内容。繋がる面白さと可能性を提示した、驚くべき意欲作として完成されているのである。

そして、今作最大の魅力はその本編たるストーリーモードを喰うステージ作成モードである。自由に好きなステージを作成できるに留まらず、ネットワークにアップロードされた世界中のユーザーの作ったステージまで遊べてしまう、常軌を逸する贅沢さ。しかも、そのアップロードされたステージの数が200万以上と、明らかに遊びきれないほどの量。これだけでも、今作の真価がストーリーモードには無いというのが嫌というほど分かるだろう。ストーリーモードをクリアし、隠されたアイテムを探すやり込み要素を遊び尽くしても、新しいステージが山ほど残されている。それどころか、世界中のユーザーと共有できるそのワールドワイドな仕様もあってか、日に日にその数は増え続ける。なので、どんなに遊んでも全然終わりは見えない。実質、無限とも言えるその圧倒的なボリュームは、まさに常識外れの一言では済まないレベルだ。なので、今作に完全攻略の文字など何処にも無し。全てにおいて規格外の内容になっている。
これほどの内容と密度を実現させたのも、全ては作成システムの親しみ易さ、世界中のユーザーとの共有を可能としたアップロードシステム二つの賜物だ。特に前者、作成システムの親しみ易さは特筆すべきものがあり、実際にプレイヤーキャラクターのリビッツを動かしながらオブジェクトの配置・調整を行う、遊び重視の作りになっているのが非常に素晴らしい。ツール風の画面で作っていくシステム特有の作業感が無く、自分でステージを作っているという確かな手応えとその場で遊んでいるかのような感覚に浸れるのが大変秀逸だ。また、このような仕組み故、テストプレイへの切り替えも即座に切り替えられるなど、快適性も申し分なく、ストレス無く細かい調整や設計が行える作り込みが成されているのも見事だ。更に初めてステージを作るというプレイヤーに向けた懇切丁寧なチュートリアルも完備という徹底振り。しかも、実際にゲームを遊ぶ感覚で各機能の詳細などを覚えていけるなど、ここでもツールとしての一面を見せない作り込みが凝らされているのだから凄い。何かと作成ツールというと、お堅い雰囲気が漂う為、少し敷居の高さを感じ易い。だが、今作はシステムにせよ、作成の過程にせよ、そう言ったものを極力無くし、遊びとしての面白さを最優先とする環境作りが凝らされている。物作りは遊びであり、作業ではない。だから、その部分を見せよう徹底する…という狙いがあったのかどうかは不明だが、実際に今作のツールは遊びの要素としての色彩が強く、作業感を何ら感じさせないものとして完成されている。ある意味、ゲームならではのツールとも言うべきその出来栄えは、まさに芸術的の一言。多少、メニュー表示の操作などに癖のある部分もあるが、遊べる作成システムとは如何なるものかという問いに対し、今作のシステムほど綺麗に答えた例も他に無いと言っても良いだろう。それほどまでに今作の作成システムはお堅いツールではなく、遊びとして完成している。作成周りの自由度に関しても凄まじく、地形だけでなくステージの背景から音楽に至るまで、ありとあらゆるものが自由に作れてしまうのは圧巻の一言。まさに誰もがクリエイターになれてしまう、その規格外な作成スケールの大きさもまた、システムの作りと同様に必見だ。
後者、アップロードも手順が簡単なだけでなく、作成したステージを遊んだユーザーからの評価がもらえるシステムが創作意欲を適度に刺激する。また、どうしてもステージを作るのは苦手という方も、逆にオンラインにアップされたステージを遊び倒したり、そこで発見したコピー可能なステージを使い、少しいじって自分だけのステージにするお手軽プレイができるのも面白い。また、手軽にアップできるその仕様故、中には粗悪なステージもあったりするのだが、それも遊んでみたいステージを手軽に発見できる優れた検索機能が実装されているので、回避が容易。このようなプレイヤーのあらゆる要求に対応する秀逸なシステムの存在も、今作のオンラインプレイの魅力を大いに底上げしている。
現在、アップロードされているステージも衝撃的なものばかり。中には本編のステージの1つで収録されても全く違和感の無いものもあり、それが逆に今作に収録されたステージの質を貶めていたりする事も。そういうのをプレイすると、『ストーリーモード』で楽しめるステージには強烈な物足りなさを覚えてしまうかもしれない。
一応、メインは『ストーリー』なのだが、それを上回るコースがオンライン経由で遊べてしまうほか、自由度の高さと遊び重視の作りが光る作成モードと言った強烈な魅力がある為、本当に本編ではメインのくせしておまけ扱い。完全に主役は作成モードとオンラインにありと言った格好だ。まさに今作は、アクションゲームというよりはアクションゲームツール。それも、圧倒的な自由度と親しみ易さを兼ね備えた、大作同然のツール。前代未聞の無限に遊べて遊びきれない、驚異的な密度を持ったゲームなのである。

作成システムとアップロードの箇所ばかりを強調したが、最大四人までの協力・対戦プレイが楽しめる『マルチプレイ』も大変熱い仕上がり。特にオンラインではテキストチャット、ボイスチャットの機能も実装しているので、共に大騒ぎしながらステージ攻略を楽しめる。無論、オフラインの面白さも相当なもの。接待ツールとしても申し分ない活躍をしてくれる。ただ、コントローラでウィンドウを表示し、文字入力を行うチャットの使い勝手はお世辞にも良いとは言い難く、キーボード必須の作りになってしまっているのがタマにキズではある。
また、肝心の操作性も物理演算処理を用いてるだけにか、挙動が重い。ジャンプにせよ、ダッシュにせよ鈍いので、気持ちの良い動きを求めるプレイヤーは拒否反応を覚えるかもしれない。(ストーリー限定だが)難易度もチェックポイントが豊富なのもあり、比較的易しめ。ただ、物理演算の所為で進行不能の道が時々出来上がるなど、少し運が絡む部分があるのがタマにキズ。一応、リトライ機能があるので、詰みは発生しないよう作られているが、この辺はさすがに調整不足。気軽に楽しめるとは言え、ちょっと勿体無い。
グラフィックに関しては申し分の無い出来。手作り感満点の暖かみのあるデザインは他に無い美しさと味に富んでおり、見る者に強烈な刺激を提供してくれる。
音楽もグラフィックにマッチしたオシャレな曲が満載。効果音も手作り感を引き立てるリアルなものになっていて、本当に玩具で遊んでいるかのような手応えを感じ取れるのが印象的だ。

演出周りもステージによっては派手な映像表現があったりなど、なかなか凝っている。また、チュートリアルも操作などの解説をフルボイスで丁寧に教えてくれる演出が仕込まれているのが面白い。特にナレーション担当の佐藤賢治氏のユーモラスな喋りは要チェックだ。
総じてクリエイト周りに魅力が秘められた今作。操作性と挙動、チャット周りの操作、ステージ構成、そしてロード周りなど、少し残念な部分も多く、特に操作性はアクションゲーム好きには賛否が分かれるかもしれない。また、オンラインマルチプレイ時のラグが酷いなど、少し褒められないところもある。十分なボリュームはあれど、事実上のメインがクリエイトにあるだけに、ストーリー単体を遊びこむだけでは今作の真価が味わえないのも敷居が高いと言えば高い。しかし、それらを含めても、今作が凄まじい魅力を持った作品、否、ツールである事に間違いはない。
少し癖もあるが、圧倒的な自由度を誇るステージ作成モードとオンラインにアップロードされた膨大なステージの数々が誇る魅力は桁違い。接待ツールとしても秀逸な傑作だ。本体をお持ちの方は是非、お試しあれ。お薦め。
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