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≫inFAMOUS 2(インファマス2)
■発売元 ソニー・コンピュータ・エンタテインメント
■開発元 サッカーパンチプロダクションズ
■ジャンル サンドボックス型アクション
■CERO Z(18歳以上のみ対象) ※過度な暴力、犯罪描写あり
■定価 5695円(税別)<Best版:2667円(税別)>
■公式サイト ≫こちら ※音が鳴ります
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 HDDの残り容量によって変化
■必要HDD容量 2480MB以上
■その他 Play Station Network対応、振動機能対応、トロフィー機能対応
■総説明書ページ数 31ページ
■推定クリア時間 12〜14時間(エンディング目的)、50〜65時間(完全攻略目的)
かつて、エンパイアシティーを恐怖に陥れた黒幕に見せられた悪夢のような未来。
それは、『ビースト』と呼ばれる新たな敵が世界を破壊し尽くすというものだった。

ある事件を機に、電気を自在に操る超能力を宿した『コンジット』となった元メッセンジャーのコール・マグラスは、親友のジーク・ダンバー、そしてNSA(国家安全保障局)捜査官のルーシー・クオと協力し、その脅威に備えていた。
そして、その日は突然訪れた。
大きな苦悩と共に宿った力を振るい、コールは果敢にビーストへと立ち向かうのだが、エンパイアシティー全土を見下ろすほどに高く、巨大なそれにはコールの力など無に等しい。
結果的に彼らは崩壊するエンパイアシティーから逃げるしか選択肢は無かった。

更なる力を手に入れ、ビーストを倒す事を誓うコールは、1ヵ月前にクオから聞いたビーストに対抗する手段を知るとされるウルフ博士に出会う為、南部の街『ニューマレイ』へと向かう。だが、『ニューマレイ』では街の支配者、ジョセフ・バートランド三世によるコンジットの排斥運動が進んでいる最中にあった。そして、バートランド指揮下の民兵組織『ミリシア』、湿地帯から生まれた異形のモンスター達がコールの行く手を阻む。バートランドに立ち向かうには、ニューマレイを震撼させる正体不明のモンスターを倒し、市民からの協力を得なければならない。果たしてコールはこの窮地を乗り越え、ビーストへの対抗手段を手に入れる事ができるのか。全ては、彼の手に委ねられた。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆電気の超能力で敵と戦い、難局を乗り越えていく独特のアクションとゲームデザイン
◆アクションの挙動が大幅に改められ、単に走るだけでも強烈な気持ちよさが味わえるようになった操作性(前作に戻るのが困難になるほど「ヌルヌル」)
◆近接専用武器『アンプ』の登場により、前作以上に使用機会に恵まれるようになった格闘攻撃
◆前作並に広大で、南部独特の空気感が見事に表現された新たな舞台『ニューマレイ』
◆明確な分岐が設けられ、選択時の演出を簡略化するテンポ向上の改善まで図られてパワーアップしたカルマシステム
◆電気以外の属性技を習得できるようになったほか、カルマシステムとも絡んでストーリーに変化を及ぼす要素として完成されたパートナーシステム
◆ミッションを作成し、インターネットを介して公開できる思い切った試みが炸裂した新モード『ミッションクリエイト』
◆日本語吹き替え仕様になったボイス(これによってストーリーを細部まで楽しめるように)
◆巨大な怪物との戦闘など、新たなシチュエーションの登場で更に魅力的になったメインミッション
◆長過ぎず短過ぎず、その分やり込み甲斐抜群のバランスの取れた総計ボリューム
◆敵の異様な命中率修正、プレイヤー側の攻撃手段の増強で改善が図られたゲームバランス
◆背景からキャラクターのモデリングに至るまで、前作から見違えるほど綺麗になったグラフィック
◆登場人物達の描写の繊細さが光る、前作に負けず劣らずの珠玉のストーリー
◆強化されたグラフィックによって、更に派手で見応えのあるものになった演出周り
◆前作同様に18歳以上対象タイトルとは思えないほど、控え目な暴力描写

--- Bad Point ---
◆本編後半の敵の命中率、敵コンジットの苛烈な動きなど、まだ課題も残されたゲームバランス(特に敵コンジットはもう少し、弱く設定しても良かった)
◆万能性に秀で過ぎてる氷の能力(特に『アイスジャンプ』が強力過ぎる)
◆美人というにはほど遠い外見の女性キャラクターのデザイン(特にニックスが強烈で、この所為もあって氷のルーシー一択になってしまうほど)
◆攻撃バリエーションに劣る所為で、ワンパターンさも否めない『アンプ』による格闘攻撃
◆前作同様に似通ったものが多く、ワンパターンさが際立つサブミッション
◆一部、音声が途切れてしまう小さなバグの存在
◆苛烈な難易度の物が多く、遊ぶのに覚悟がいる『ミッションクリエイト』の投稿ミッション
▼Review ≪Last Update : 11/15/2015≫
氷か、オイルか。

捜査官か、魔女か。


電気を自在に操る超能力アクションと開放感に富んだオープンワールド、そしてヒーローの苦悩を体感させるカルマシステムとストーリーで好評を博した『INFAMOUS(インファマス) 悪名高き男』の続編。開発は前作に引き続き、サッカーパンチプロダクションズが担当。

これぞ究極進化!あらゆる部分がパワーアップした、最高の続編だ。

前作と基本的なゲーム内容は共通。オープンワールドで繰り広げられるミッションクリア型アクションゲームで、主人公のコール・マグラスを操作し、舞台となる都市『ニューマレイ』の各地で発生するミッションを攻略し、ストーリーを進めていくというものだ。システム周りも前作を踏襲。電気の超能力を用いたアクションと超人的な身体能力、状況に応じた選択如何でストーリーとコールの周辺状況が変化する『カルマシステム』は今作にも引き続き実装されている。また、ストーリーも前作のエンディング後という設定で、その名前と驚異的な力が示唆されていた怪物『ビースト』がオープニング早々から登場。その『ビースト』を如何にして倒すかというコール達の奮闘が描かれる。その為、前作プレイは必須。人間関係の設定もそのまま引き継いでいるので、早々に言ってしまうが、今作を遊ぶなら先ずは前作を一通りクリアしておこう。ある程度のフォローもあるが、知識無くしては理解が追い付かない所が結構あるので尚更。今なら廉価版が販売されていて手を出し易くなっているので、是非。
…話を今作に戻すとして。そんな感じにゲームとしての基本的な作りはあまり変わってない。ただ、続編という事で、細かな部分においてブラッシュアップが図られている。先ず『カルマシステム』だが、仕様が大幅に変更。前作では関連するイベントが発生すると強制的にイベントデモへと移行し、選択肢を選ぶ画面になるアドベンチャーゲームチックなものだったが、今作ではイベントデモが発生しないようになり、その場でどちらかの行動を取るだけで判定が下るシームレス方式へと一新された。これにより、ゲーム全体のテンポが劇的にアップ。よりスピーディ且つ、快適にミッション攻略とカルマイベントの双方を進めていけるようになっている。
第二にアクション全般。新たに『アンプ』という武器を用いた近接攻撃ができるようになった。前作にも近接攻撃は実装されていたが、活躍の場に恵まれない上、メインの電気アクションが万能過ぎた為、存在感がほとんど無かった。攻撃範囲が狭い、挙動が重い等、根本的な部分にも欠点が多く、これなら電気で戦った方がマシと感じた前作経験者はそれなりに居たかと思われる。そこを今作は大きく見直し、より気持ちよい操作感を味わってもらうのを意図して、武器を用いたスタイルに刷新した。これによって攻撃範囲が拡大したほか、挙動もキビキビと動く調整を施した事により、非常にテンポ良く且つ、ストレス無く攻撃を繰り出せるように進歩。更にフィニッシュ時にはカメラがコールに近付き、その瞬間と同時にスローモーションになるという、敵を倒した事をより強く実感できるよう演出まで一新し、爽快感もパワーアップしている。まさに前作の格闘攻撃って何だったの、と言いたくなる激変っぷり。欠点を完膚なきまで潰したとも言わんばかりの大化けを遂げているのだ。しかも、この刷新によって使用機会も激増。この技を使って敵を仕留めたい気持ちにもさせてくれる場面も増え、積極的に使いたくなる工夫もバッチリ行うという徹底振り。その使い勝手の良さ、気持ちよさは前作経験者なら化け過ぎだろと、思わず笑みがこぼれてしまうこと必至。そうもずば抜けた進化を遂げた仕上がりになっている。
これと並行してアップグレードシステムも一新。一つの技を強化していく形式から、多様な技の中から状況に応じて最適なものを選び、強化を図っていくシステムへと改められた。それにより通常攻撃のボルト(電撃)だけでも、三方向からの同時攻撃、遠距離攻撃、連射型などバリエーションが豊富に。そうも多彩な攻撃が取れるようになった事で、戦術面の幅広さにしても前作以上にパワーアップしている。但し、技を解禁するに当たってはミッションをクリアするだけではなく、特定の技を何度か行う必要があるなど、その条件はちと厄介。プレイスタイルによっては、全て解禁されずに終盤を迎えてしまうなんて事もある。一応、解禁せずとも遊べるバランスにはなっているが、前作のシンプルなスタイルが好みだったプレイヤーには正直、賛否が分かれるかもしれない。とは言え、プレイヤーのやり方次第で攻撃範囲が変わっていくのは、ゲームプレイの変化を演出していて地味にユニーク。多少、煩雑になった感も否めないが、アクションの多彩さは圧巻。動かす事の面白さを純粋に突き詰めたその作りは侮り難いものになっているので必見だ。
そして第三として、日本語吹き替えボイスの実装!前作では英語音声+日本語字幕なのに加え、ストーリーに関連する箇所しか実装していないという不完全過ぎる仕様で、吹き替えの方が圧倒的に良いのでは、と思わせてしまうローカライズになっていたが、今作では、日本語吹き替えを採用!テレビの中継映像と言った前作では字幕が振られていない所にまで吹き替えが行われ、ストーリーをしっかりと追えるようになった。細部までストーリーを追えない事に不満を募らせた前作経験者にとっては、まさに待望の進化!前作の欠点を完膚なきまで潰したものになっている。また、吹き替えの声優陣も実力派が揃えられており、主人公のコールには『クレヨンしんちゃん』の野原ひろし役でお馴染みの藤原啓治、相棒のジークにはエルドランシリーズのエルドラン役、近年では『ちびまる子ちゃん』の友蔵役で知られる島田敏を起用。脇を固めるキャストも三石琴乃、高乃麗、西村知道、谷口節とアニメのみならず、洋画吹き替えのベテランが勢揃い。各キャラクターのイメージにもちゃんと合っており、特にこれまでの実績から「どうなんだ?」と思ってしまうであろう、コール役藤原氏の意外なハマりっぷりは要チェックである。
既存要素の強化だけに留まらず、新モードとして『ミッションクリエイト』なるプレイヤー自身の手で様々なミッションを作成することができるクリエイトモードの実装、『パートナーキャラクター』なる相棒キャラクターの登場、その相棒が用いる『氷』と『オイル』のいずれかの属性の技を選べるなど、新要素も盛り沢山。細かい所においても、アクションの挙動全般の刷新、グラフィック全般の強化もある。特にグラフィックに関しては制作協力としてアンチャーテッドシリーズで知られるノーティドッグが絡んだ影響もあって、前作の倍以上の美しさになっている。キャラクターのモデリングにしても一新されていて、主人公のコールに関しては前作経験者ならば見た瞬間、「誰?」と戸惑ってしまうかもしれない。コールの挙動軽量化にしても、前作に戻るのが困難になること必至なほど「ヌルヌル」。爽快感と操作性の手触り感も抜群で、「そこまでやるか…」と圧倒させられる仕上がりになっている。
まさに全てが究極進化と言わんばかりの化けっぷり。続編としても理想的な仕上がりに徹しており、前作で評価された所はそのままにして更に磨き込み、欠点は徹底的に潰すスタンスで作り込んだ内容になっている。その出来栄えたるや、インファマスここに完成したり!…と言わんばかりのクオリティ。とんでもない大化けを遂げた続編になっているのだ。

例によって、今作の魅力はその究極にも程がある進化っぷりである。良い所を伸ばし、悪い所を潰すという続編としての理想的な有り方を突き詰めた作り込みの数々には感動すら覚えるものがある。カルマシステムの選択簡略化、日本語吹き替えボイスの実装、パートナーキャラクターとマルチエンディングシステムの搭載によって魅力が増したストーリーは、そのスタンスが最も顕著な形で現れた部分と言ってもいいだろう。
特に有り難いのは日本語吹き替え仕様になったボイス。しかも、必要最低限の箇所だけに終わらせず、通行人等のストーリーにそれ程絡まない所に至るまで日本語化させているという辺りに前作のような安易なローカライズで終わらせないようにしようという、日本語版ローカライズスタッフの意地と前作を越えるという目標意識の高さを実感させられる。おかげで今回はしっかりとストーリーを理解できる。最低限の部分しか分からなかった前作とは大違いだ。前作経験者であれば、英語ボイスで字幕すら無く何を言っているのか分からなかったテレビの放送が日本語で内容が分かるようになっているというだけでも感動してしまうかもしれない。同時に「それを前作でやって欲しかった…」と愚痴りたくなるかもしれない。
カルマシステム全般に関しても然り。中でも、今回は選択自体がストーリーに色濃く反映されるようになったのは本当に大きい。前作は善悪の判断が関連してくるのが取得するアクションぐらいしかなく、ストーリーの方はどちらの選択を取っても訪れる結末が一緒であるという素っ気なさだったが、今回はパートナーキャラクターの登場により、電気以外に身に着けられる属性の技が変わってくるようになったほか、ストーリーにしても結末が全く異なる二つのものが用意された。それによって、選択によって変化するオープンワールドアクションゲームとしてのらしさが大幅に深まっている。派手な変化が生じるようになった事で、二周目以降のやり込みにおける魅力も倍増し、一粒で二度美味しい内容のゲームとして大きくパワーアップしたのも特筆すべきところだろう。結局、一つのストーリーじゃないか、と残念な感じがあった前作のあの姿は今作には微塵も非ず!その変わりっぷりにしてもまた、前作経験者なら前作でやって欲しかったと惜しい気持ちが湧き立ってくるだろう。
だが、それ以上に続編としての改善っぷりを痛感させられるのがゲームバランスだ。前作は敵の全てが『ゴルゴ13』と言わんばかりに正確な射撃を決めてくる、ストレスが溜まり易い調整になっていたが、それが抑えられて適切な調整に改められた。それでもまだ正確に狙い撃ってくるところはあるが、至近距離まで攻め寄って格闘武器『アンプ』で瞬時に黙らせる戦術が取れるようになったので、前作よりも戦い易い。攻撃する際に敵の射撃を受けながら戦わざるを得なかった前作を考えれば、ようやく適切な調整に落ち着いたと言えるだろう。むしろ、前作の調整は何が原因で起きてしまったのか、今作をプレイすると余計に疑問符が浮かぶ所である。
『アンプ』によって格闘戦が一新された事で、戦闘が銃撃戦一辺倒にならなくなったのも大きな改善と言える。アンプ自体も非常に爽快感溢れるアクションに完成されており、敵を攻撃した際のカメラワークにヒット時のエフェクト、倒した際に一瞬だけ、スローモーションになるなど、徹底してプレイヤーに気持ちの良いアクションとして味わってもらいたいとするこだわりの作り込みが成されている。格闘戦に持ち込めば、兵士系の敵であればほぼ一方的に攻撃できる極端な調整も爽快感の向上に一役買っていて見事。ゲームバランス的に一方的に持ち込めるその性質故、やや大味になってしまっている感も否めないが、その調整の恩恵もあって銃撃戦時のストレスは和らいだし、何よりも前作ではほとんど存在意義を発揮しなかった格闘アクションの意味を突き詰めているというだけでも評価に値する進化と言える。ただ、格闘攻撃のバリエーションが乏しく、中盤から後半にかけて刺激が薄くなっていく辺りは一考の余地あり。豪快に攻め寄る快感は素晴らしいが、もう少し発展できたのでは、と思う所が残ってしまっている辺りは前作の悪い所が残ってしまったと言えなくもない。
射撃の正確性も完全に直されたという訳では無い。後半以降になると、前作を髣髴とさせる正確な射撃を行ってくる敵が増えてくるので、ストレスが溜まり易くなっている。また、今回は敵にもコンジットが登場し、苛烈な攻撃で攻め寄ってくるのもあり、アクションゲームがそれほど得意で無い人なら翻弄されかねない場面もある。一応、難易度を簡単なイージーにまで下げれば過激さも落ち着くとは言え、もう少しストレスを感じ難くする程度の厳しさに抑えられなかったのか。相手が特異な能力を駆使する超人であるから、という意図も分からなくはないが、折角、アクション全般の爽快感が増したのにそれを打ち消すかのような作りになってしまっていて勿体ない。もう少し抑えて欲しかったところだ。
他にパートナーキャラクターの能力バランスで、氷が極端過ぎるのもマイナス。その中の一つ、通常よりも更に高く飛べる『アイスジャンプ』が万能過ぎて、難易度的に見ても氷を選ぶのがベストとなってしまっているのは調整ミスと言わざるを得ない。肝心のパートナーにしても、見た目からして氷の方が勝ってしまっているのが厳しい。というか、キャラクターデザインが濃過ぎだ。特にニックスに関しては完全に物好きのレベル。まず彼女を選ぶのは無いだろう…と、誰もが即答するほどである。片方の人物にしても冷酷な見た目もあって、少し拒否反応を覚えるかもしれない。海外製ゲームだから濃いデザインになるのも致し方無し…かもしれないが、アンチャーテッドのエレナのような例もあるだけに、もう少し濃い目な所を薄くするデザインは心掛けられなかったのか。折角、明確な分岐を見せる作りになったというのに、こういう所で落としてしまっているのが勿体ない限りだ。
そんな新たな欠点と継承されてしまった所もあるが、全体的には続編とはこうあるべしを体現した仕上がりになっている。前作経験者なら、ストーリーと吹き替えだけで「ガツン」と来るだろう。また、続編においてユーザーが喜び、ゲーム自身も幸せになる進化とは何か、今作をプレイするとそれが嫌というほど分かるかもしれない。理想的な進化を遂げた続編というのは過去にも山ほど存在するが、今作はそう言った過去の一例に属する資格を持った作品と言えるだろう。それほどまでに進化具合が見事。最高の続編という評価がこの上なく似合う出来なのだ。

また、カルマシステムと強く絡むストーリーも前作同様、非常に面白く、見応え十分の仕上がり。二人のパートナーにまつわる過去、主人公コールと前作で騒動を起こした相棒ジークとの友情、謎の敵『ビースト』にまつわる衝撃の真相、悲壮感と希望に満ちた善ルートのエンディング等、見所が多い。特に善ルートのエンディングは大変素晴らしく、ジークにまつわる繊細な描写も相まって、ホロりと来るものになっている。何よりも、このようなストーリーを海外の会社が生み出してしまったのが結構衝撃的。日本人の御得意技とも言える描写を炸裂させてしまっている点でもまた、この展開が一目に値するものであるのは言うまでもなく。その一連の結末を見るだけでも、今作を遊ぶ価値は十分にある。前作のプレイが前提とはなるが、一通りプレイすれば、コールとジークの二人が如何にナイスなコンビであるのか、感慨深い思いに浸れるだろう。とにかく要チェックである。
その他、操作性に関しては挙動の刷新が図られたのもあって更にパワーアップ。純粋に歩かせるだけでも気持ち良さが伝わってくる、トンデモナイ破壊力を潜めた仕上がりになっている。アクションゲームは動かす気持ちよさあってこそ、というこだわりを持つプレイヤーならば、その完成度の高さには度肝を抜かれるだろう。
ボリュームは前作と大差無し。ただ、やり込み要素はカルマシステムによるストーリー変化が濃い目になり、二周目以降の周回プレイを遊ぶ価値が増す等、魅力が増している。アイテムの収集、アップグレードの強化、サブミッションなどの寄り道要素も豊富。少し単調過ぎる所はあるが、極めるとなると前作以上に長く遊べる仕上がりになっている。
フィールドマップにしても雰囲気こそ、前作の大都会というイメージが無くなってスラムっぽさが強くなったほか、エリアの数が減って規模がやや落ちたところがあるが、探索する面白さと自由に動き回れる開放感は健在。一部が水没していて行動し難いエリアになっていたりと、前作の複雑なビルを駆け抜けていくスタイルとは異なる面白さを描いているのも印象的。ミッションもカルマとの連動で展開が変わるなど、結構凝った仕上がりになっている。特に今回は巨大な怪物との戦闘もあったりなど、見た目で圧倒させるシチュエーションが満載なのも印象的。そのビジュアルも無駄に気持ち悪い等、気合入れ過ぎの作り込みが成されているので必見だ。

演出周りもオープニングから飛ばしまくり。前作の舞台、エンパイアシティがビーストによって壊滅していく様は大迫力の一言で、PS3のハード性能を嫌というほど思い知らされる仕上がり。コミックスタイルのムービーデモ、相変わらずセンスに富んだタイトル画面なども必見。テンポとカッコよさにこだわり尽したその仕上がりには見とれてしまうかもしれない。
他に細かい所でも、ロードは一切無し、難易度選択機能も実装されていて、ゲーム中にいつでも切り替え可能であるなど、遊び易さを第一にしたこだわりが炸裂しているの見逃せない。
バランス周りでの欠点とキャラクターデザインの残念さ、ミッションクリエイトで作成され、ネット上で公開されているミッションのほとんどが素っ気ない作りなど、まだ調整と練り込みが甘いと言わざるを得ない部分もあるが、総じて前作の欠点の大半は潰されていて、まさに正統進化系と言い切れるレベルの続編に仕上がっている。
ストーリーが続きものなので、未経験者には敷居が高い所もあるが、アクションにストーリー、操作感など、全てにおいて気持ちよさに対するこだわりが余す事無く炸裂している今作。前作経験者ならば必ずプレイすべき最高の続編にして傑作だ。前作未経験者でもアクションゲーム好きなら、前作を経験した上で挑む価値がある。劇的なパワーアップを遂げ、名実共にインファマスというゲームが完成したその瞬間を目撃せよ。メッチャお薦め!
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