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  4. ぎゃる☆がん
≫ぎゃる☆がん
■発売元 アルケミスト
■開発元 インティ・クリエイツ
■ジャンル 3D眼(ガン)シューティング
■CERO D(17歳以上対象) ※過度のセクシャル描写等あり
■定価 6800円(税別)<廉価版:3800円(税別)>
ダウンロード版:2667円(税別)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 1つ
■必要HDD容量 2900MB以上(※ダウンロード版:3487MB以上)
■その他 Play Station Network対応、振動機能対応、トロフィー機能対応
■総説明書ページ数 33ページ
■推定クリア時間 1〜2時間(エンディング目的)、40〜60時間(完全攻略目的)
ちょっと優柔不断でちょっとエッチな、何処にでも居るごく普通の高校二年生の男の子、茂手杉 天造(もてすぎ てんぞう)。モテ期どころか、異性と付き合った経験も無い寂しい日々を送っていた彼だったが、見習い天使ぱたこの失敗に巻き込まれ、気が付けば突然、モテモテに。

1日限定のモテモテで困っちゃう、略してMMK状態になった彼だったが、その翌日には『永遠に彼女ができなくなる呪い』がかかってしまうという。
かくして、人生最大のピンチを迎えた天造は、迫り来る女子達を潜り抜け、意中の彼女への告白に乗り出す。
果たして、この突然の攻め込みは成功するのか。
それとも地獄行きまっしぐら、略してJIMエンドの到来か。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆言い寄る女の子達を眼力で昇天させていく、あまりにもおバカで革新的なゲームデザイン
◆女の子ごとの出現パターンとバリエーションの多彩さなど、意外なほど作り込まれたステージ構成
◆高校が舞台故のロケーションの乏しさを補う、各ステージにおける主人公の無茶苦茶な行動ルート(何故、そういう所を歩く!?と言ったツッコミ所が満載)
◆一撃で決めた時の爽快感、スコアアタック時の手強さを際立てる必殺技『エクスタシーショット』
◆確実なエクスタシーショットと出現パターンの記憶力が求められる、やり込み甲斐十分のスコアアタック
◆見た目とは裏腹に手応え十分でありながら、ストーリーを楽しみたいプレイヤーへの配慮(難易度選択機能など)も施した、懐の広いゲームバランス
◆本探し、決闘、ライブなど、多種多様且つ、ツッコミ所満載の『アクションイベント』
◆あんな所からこんな所まで入念に作り込まれた、デザイナースタッフの紳士的な欲求とこだわりが炸裂したグラフィック(特にキャラクター全般)
◆基本的に照準と攻撃の二つだけに集中すれば良い、シンプルで取っ付き易い操作性
◆本編僅か二時間程度という短さ、それによるやり込みのし易さが秀逸な総計ボリューム
◆全ヒロインのルート攻略、女の子達のヒミツ情報集めなど、豊富に用意されたやり込み要素(特にヒミツ情報集めは、その情報の作り込み具合が色んな意味で必見)
◆題材とは裏腹のカッコイイ楽曲が揃った、意外性抜群の音楽(特に戦闘系の出来が秀逸)
◆題材特有のあんな事やこんな事まで徹底的に表現した”紳士的な”演出の数々
◆ツッコミ所満載ながら、王道を攻める正統派の内容でまとめられたストーリー
◆天然系からツンデレ、お嬢様等の御約束を完全網羅した個性溢れる四人のヒロイン達
◆緊急時の対策として組み込まれた救済措置(?)『ママキタ画面』(そのデザインも必見!)

--- Bad Point ---
◆常に周囲の目を気にしながらプレイしなければらならないという敷居の高さ(汗)
◆通常のショットで女の子を昇天させた際の手応えの弱さ(エクスタシーとは違い、効果音とその演出が地味なものになっているので、爽快感に欠ける)
◆エンディング目的でのプレイだと温さが際立つゲームバランス(特に最低難易度だと、ボタン連打でどうにかなってしまうので作業色が強くなる)
◆少し鈍すぎる感が否めない、メニュー周りのキーレスポンス
◆最終イベントのパンパターンさ(全ヒロイン共通という事で、差別化が不十分)
◆ローカル、オンライン切り替えの際、常にタイトル画面に戻らねばならない面倒な仕様の『スコアボード』
◆全体的に割高感が否めない追加ダウンロードコンテンツ(詳しくはこちら…)
▼Review ≪Last Update : 12/27/2015≫
これが他の追随を許さない、新境地のシューティングゲームだ。

…むしろ、追随する作品が他にあるのか…?


Xbox360用ソフトとして発売され、その頭のネジが外れ過ぎにも程があるゲームデザインと意外にマジな作りで評判を呼んだシューティングゲーム『ぎゃる☆がん』のプレイステーション3向け移植版。開発はXbox360版同様、ロックマンゼロシリーズで知られる変態集団(※半分冗談)インティ・クリエイツが担当。

題材とは裏腹の本格的な作りで魅せる、衝撃(笑撃?)のシューティングゲームだ。

※注:筆者はXbox360版未プレイの為、それを前提としたレビューとなります。

ゲーム内容は一人称(主観)視点の強制スクロール方式で展開する、ステージクリア型3D眼(ガン)シューティングゲーム。見習い天使の失敗が元で一日限定のモテ男になってしまった主人公・茂手杉 天造(もてすぎ てんぞう)を操作し、自身に言い寄ってくる女の子達を眼力で昇天させつつ、意中のヒロインを攻略し、『永遠に彼女ができなくなる呪い』から逃れる為、奔走していくというものである。初っ端から酷い紹介だが、全て嘘偽りの無い事実だ。決して、酔った勢いで書いているのではない。それだけは強調しておく。更に言うなら、私(筆者)は下戸だ。
とにもかくにも…違う表現を用いて今作を紹介すると、3Dの強制スクロールで展開するレール式シューティングゲーム。基本的に照準を操作して画面内に現れる敵を射撃して倒し、ステージ終盤で待ち構えるボスの打倒を目指すというものだ。他のゲームで例えるなら、ナムコ(現:バンダイナムコゲームズ)より1996年にアーケードタイトルとして展開された『タイムクライシス』シリーズに近い内容というと、ゲームに詳しい方はピンとくるかもしれない。
だが、先の通り、今作でプレイヤーが扱う武器は銃(Gun)では無い。『眼力』こと眼(Gan)である。更に敵も主人公に一目惚れ状態の女の子達で、殺意ではなく好意を剥き出しにして迫り寄ってくる。この女の子達に眼から放たれる『フェロモンショット』を浴びせて昇天させながらステージを進み、最後に待ち構えるボスこと意中のヒロインの攻略に臨む。それが今作の概略なのである。正直、頭が痛くなる内容である事は否定しない。筆者も書いてて頭が痛い。
その内容をもう少し掘り下げていくと、基本的に各ステージは『シューティングパート』と『アドベンチャーパート(&アクションイベント)』の二つのパートを順に攻略していく形で展開。前者はその名の通りにシューティングに特化したパートで、照準を操作して主人公に言い寄ってくる女の子に『フェロモンショット』を浴びせ、昇天させていく事になる。それを乗り越えると、後者のボス戦に当たるパートへと到達。ヒロインとの会話イベントが展開された後、『アクションイベント』なる特殊なシューティングパートが始まり、それを攻略するとステージクリアとなる。本編はこの繰り返しで進行し、最終的に意中のヒロインへの告白と恋愛が成就すれば、晴れてエンディングとなる。ただ、その二つが上手くいかないとエンディングが分岐。先の解説では省いたが、『アクションイベント』ではその手のゲームでお馴染みの選択肢も登場し、その内容如何で次のステージの同じパートにおけるイベント、及び最終的なエンディングが変化する仕掛けが凝らされている。なので、迂闊に話を進めていく事に集中すると、最後の最後でしっぺ返しを喰らったりする事も。眼力で女の子を昇天させていくという内容からはおバカな印象しか感じないかもしれないが、『アドベンチャー』を名乗ってるなりに意外とツボを抑えた作りになっており、相応の手応えを感じられるパートになっている。
シューティングパートもまた然り。女の子が主人公に言い寄ってくるとか、男性の視点から見たらパラダイス過ぎる展開だが、彼女達の告白と言う名の精神攻撃を喰らうと画面右下に表示された『精心力ゲージ』がダウン。ゼロになるとゲームオーバーになり、意中のヒロインじゃない女の子との恋愛を成就させるという最悪の結末を迎える事になるのだ。だから、全部受け止めるだなんて広い心を持つ訳にもいかず。上手く迫り来る女の子に『フェロモンショット』を当てて昇天させ、意中のヒロインの元へ到達できるように切り抜けていかなければならないのだ。そんな目的があるのもあり、見た目に反して結構、シューティングゲームとしては成立した作り。プレイすれば誰もが、確かにこれはシューティングゲームだと納得させる手応えとバランス調整が成された仕上がりになっている。
また、システム周りやレベルデザインも地味に本格的。何としてでも告白したいという思いが先行してか、女の子の出現パターンは凄く巧妙で、時には不意打ちを仕掛けてくる事もあるし、ステージによっては中ボスこと『女教師』が行く手を遮る場面まである。故に適当に撃ちながら捌いていると、あっという間に『精心力ゲージ』がダウンする事も。また、プレイヤーができる事も『フェロモンショット』だけでなく、一人の女の子を集中的に攻撃する『ドキドキモード』、『フェロモンショット』最初の一発を女の子の弱点に当て、一撃で昇天させる『エクスタシーショット』と言った手段が用意されていたりと、戦略的な要素も盛り込まれている。特に『エクスタシーショット』は重要なテクニックで、これを決められるか否かでステージの難易度が変化してくるほど。最初の一発目を弱点に当てなければ効果が無いという制約も地味に熱く、攻略周りに奥行きを与える要素として完成されているのも大きな見所である。そう言った女の子達の執拗な告白攻撃を切り抜け、着実な一撃を決めて脅威を退けると言ったテクニックが要されてくるので、シューティング色全開。おかしな見た目とは全く違う、本格的な手応えを実感できるのである。何処となく一発ネタで作った感も漂うが、その作り込みの数々には軽い気持ちで今作を作った訳では無い製作スタッフの本気が炸裂しまくり。意外なほど「ガチ」な仕上がりになっているのだ。
更にシステム周りでは、先ほどに少し触れた『ドキドキモード』における攻略後の追加特典と主人公のパラメーターアップ機能と言った様々な要素を実装。そのパラメーターの上昇によって、ヒロインとのイベント攻略が変化する、ちょっとした分岐要素も仕込まれている。更に、紹介が遅れたが今作に登場する意中のヒロインは四人。このヒロインの内、どれを攻略するかはゲームスタート時に決める事になっており、一度決めてしまうと、他の三人は攻略できなくなる。加えて、ヒロインごとにステージ終盤の『アクションイベント』も変化。あるヒロインだとふとしたトラブルで召喚してしまった化け物との戦闘があったり、また別のヒロインだと音楽ゲームが始まったりなど、一人一人の個性と独自性を推し出したイベントが用意されている。なので、全ての『アクションイベント』を遊びたいとなれば四周以上のプレイが必須に。そんな、恋愛を題材にしたゲームなりのやり込み要素もちゃんと実装されているのも見所の一つ。ヒロインの好き嫌いも考えて対処しなければならないなど、意外と戦略的なプレイも求められるのだ。
この他、今作には本編にしてヒロインの攻略に臨む『ストーリーモード』、やり込み要素的な位置付けに当たる『スコアアタック』、『ドキドキカーニバル』の計三つのゲームモードを収録。この内、後者二つはXbox360版には無かった追加の新要素という位置付けになっており、『スコアアタック』は専用のシステムを幾つか実装するなど、本編には無い遊びを盛り込んだ作りになっている。それ以外にも、Xbox360版には無かった追加の新要素としてシューティングパートで登場する女の子に新規の二名が追加されていたり、登場キャラクターをじっくり眺められ、コスチュームの変更を行える『更衣室』に強化が図られていると言ったものも。特に『更衣室』は紳士興奮必至…と言って良いのかどうか分からないぐらいに凄いものになっているので、色んな意味で見逃せない。
こんな感じに見た目は病的…と言ってもおかしくないぐらいだが、作りは結構本格的で、シューティングゲーム単体としても意外と遊び込める内容になっている。まさに、見た目とは裏腹の作品という表現がこの上なく似合う作り。そして、ありそうで無かったネタを実現させつつ、ゲームとしてもちゃんと成立させた意外性溢れる作品になっているのである。

そんな今作の魅力は、見た目とは裏腹のシューティングゲームとしてのやり応えである。主人公に告白しようと言い寄ってくる女の子達を眼力で昇天させる。その内容からしておバカ全開だが、実際に遊んでみると、意外なほどシューティングゲームとして完成されており、ジャンル特有のやり応えを存分に堪能できる仕上がりになっている。
特にレベルデザインが秀逸。女の子達の出現パターンがよく考えられているほか、『フェロモンショット』を一発撃ち込んだ所で簡単に昇天しまうほど脆くないので、ちゃんと迫ってくる順番を考えて撃ちこんで行かないと、精心力をごっそり奪われかねないという、ガンシューティングゲームの基本に則った作り込みが徹底されている。色んな女の子達が主人公に言い寄ってくるというその光景からして、男性的にはまさにザッツ・パラダイス…ではあるのだが、彼女達は意中のヒロインへの告白を邪魔する障害。そのポジションに相応しく、執拗な動きを見せ、プレイヤーを”しっかりと”翻弄させてくるのだ。その動きもステージが進むにつれて徐々に陰湿さが増し、辛うじて女の子を対処して振り向いたら、既に目前まで接近した状態で告白行為に出るという初見殺し過ぎる攻撃を仕掛けてくる、なんて事も。主人公を殺すのではなく、意中のヒロインの関心を喪失させる事を目的に攻め込んでくるという設定とは言え、その必死過ぎる攻撃の数々には、愛に溺れた女性の怖さというものを実感させられること請け合い。そんな恐怖を体感させると同時に、シューティングゲームとしての慌しさも同時に描くという、計算された作り込みが炸裂した仕上がりになっているのだ。
また、その後に到達するヒロインとの『アクションイベント』も一筋縄ではいかぬものばかり。図書室で本を探す事の手伝いをしたり、時にはヒロイン自身との決闘に挑んだりなど、シューティングという枠組みから外れた展開が多い上、それまでのテクニックが一切通用しないものばかりなので、自然とコントローラに力が入ってしまう。中にはワザとコントローラから力を抜きたくなる場面もあるのだが、それは置いといて。更にヒロインごとに個別のイベントを用意している所も素晴らしく、周回プレイへの意欲を湧き立てると同時に、それぞれの個性を尊重した遊びを盛り込み、そのルート特有のやり応えを追求したものに仕上げている辺りに、今作のシューティングゲームとしての意地を実感させられる。
難易度調整に関しても一切妥協は無く、理不尽に難しいものも無ければ、ゲームとして成立していないほど簡単なものも無し。シューティングパートも同じく、一見、無傷で切り抜けるのが難しそうに見える場面も、順番を考慮して撃っていく事で被害を最小限に抑える事ができたり、『エクスタシーショット』を決め込む事を意識すればノーダメージでの突破も可能など、やり込む度にその深みが出てくる。その練り込まれたバランスには、製作スタッフの本気とシューティングゲームに対するこだわりの強さを実感させられること間違いなし。元々、今作の開発を手掛けたインティ・クリエイツはロックマンゼロシリーズに代表されるように、質の高いアクションゲームを作る事に手慣れた会社で、原作付きのゲームであっても妥協の無い作り込みを行う事に定評がある。その製作スタイルは今作においても炸裂しており、ネタ要素を取り除いた一つのゲームとしてもしっかりと遊べる内容に仕上げている。こんなおバカなネタが全面に出た作品であっても、ゲームとしての完成度を重視する作り込みを徹底するのは中の女の子に倣って、惚れるの一言。ゲームを作る職人としての本気、かつてカプコンに所属したクリエイターが集う会社としての実力の高さを痛感させられるところだ。
そう言った製作スタンスが余す事なく炸裂した、スコアアタックの奥深さも見事。全ての女の子を『エクスタシーショット』で仕留める事に特化したプレイを心掛けていくと、ガチ過ぎるシューティングゲームへと一変し、ありとあらゆる要素を頭に叩き込んだ上でのテクニックが求められるようになる辺りには、一つのシューティングゲームとしても普通に遊び込めるものを作ろうとした、製作スタッフの強い意気込みとジャンルに対する敬意というものが現れている。
特にこのやり込みに特化した専用の『スコアアタック』のモードでは、そんな今作の隠された顔というものを存分に堪能できる内容となっている。更にこのモード特有のシステムとして、エクスタシーショットを連続で決める『連続エクスタシーショット』、そのエクスタシーショットを素早く連続で撃ち込めた際に入る『スピードボーナス』、『ドキドキモード』で女の子を昇天させた後に手に入る『ドキドキボム』を放つ事で発生する『フィーバータイム』など、独自のものが仕込まれており、『ストーリーモード』でプレイした時以上に深みのあるゲームプレイを演出する。しっかりと作り込まれたレベルデザインやゲームバランスも素晴らしいが、こう言ったシューティングゲーム特有の醍醐味を設けている所も今作の魅力の一つ。あくまでもやり込み向けのモードという位置付けだが、今作の更なる深淵というものを実感できる内容なので、今作をプレイする機会があったら、是非、『ストーリーモード』のクリア後にチャレンジしてみて欲しいところだ。遊べば、今作の侮り難さというものをより強く実感させられるかもしれない。
しかし、裏を返せば、今作は題材が題材だけに、やり込む際に周囲の目を気にしなければならないのは、シューティングゲームとしては手痛い欠点。何分、出てくる敵が全て女の子で、それを眼力で昇天させていくので、他の人にプレイしている所を見られると相当に恥ずかしい(汗)。それでこその今作でもあるのだが、誰も居ない所でコッソリ遊ぶのがほぼ必須となっている事からして、シューティングゲームとしては相当に敷居の高い作品であるのは否めない。折角、システムやバランスの作り込み具合が素晴らしいというのに、コンセプトで近寄り難い雰囲気を醸し出してしまっているのは、ちょっと勿体なく感じてしまうところだ。ただ一応、この特色も考えてか、今作には『ママキタ画面』なるワンボタンで別のゲームに切り替えられる、その場しのぎ機能も実装されている。しかし、そう言った機能があるからと言って、ゲームとしての気まずさが緩和される訳でもなく。でも、この場合はあるだけマシと言ったところではあろう。あるだけ…。
そんな弊害が現れてしまってもいるが、シューティングゲームとしての完成度の高さは特筆すべきものがあり、いざ遊んでみると予想外の奥深さに驚かされる仕上がりになっている。正直、挑むに当たってはかなりの勇気が必要とされるのは否定しない。人によっては、こんなの遊んだら家庭的に殺されかねないという恐怖も感じてしまうだろう。しかし、あえてここは騙されたと思って突撃してみて欲しい。そして、そのシステムとゲームバランスの妙を体感してみて欲しい。ここまで言ってきた事が決して嘘では無い事を痛感させられるはずだ。

また、操作周りも良好。基本的に照準の操作と攻撃に集中すれば良いので、説明書を読まずとも直に馴染める仕上がりとなっている。また、今作は『PlayStation Move』にも対応しており、使用する事によってコントローラ以上に直感的な操作で本編が楽しめるようになる。ジャンル的にも非常に相性がよく、違和感なく馴染んだものになっているので、できる事ならば今作はこの操作で楽しんでみて欲しいところだ。少し値が張るのが難点だが。
全体のボリュームも、エンディングを目指すだけならば長くて2時間ぐらいで決着する、如何にもシューティングゲームらしい簡易構成。ただ、ヒロインの全攻略を目指すとなると四周以上のプレイが必須となるほか、エンディングの種類も複数用意されているなど、やり込み出すとその密度は大きく一変。それら以外にもやり込み要素は豊富に盛り込まれており、シューティングパートで登場する女の子達のヒミツ情報収集など、上級者プレイヤーも悲鳴を挙げるものを収録。何気に一人一人に個別の設定が成されていたりと、妙な作り込みが炸裂しているのもちょっとした見所。そう言った恋愛系ゲームなりの御約束も今作はバッチリと抑えている。その隙の無い作り込みにも、製作スタッフの変態ぶり…否、職人技というものを実感させられるだろう。
グラフィックも題材が題材だけあって、キャラクター一体一体のモデリングの質が高い。しかも、あんな所やこんな所までちゃんと作られているという徹底振りである。それが一体何処の事を指しているのかは、本編にてご確認ください。なお、調べる事によって、貴方は正真正銘の変態となってしまいますので、あしからず。調べる時は周囲に誰も居ない事を条件に行いましょう。音楽も題材とは裏腹にカッコイイ曲が揃っているという、意外性のある仕上がり。特に『アクションイベント』において、そのような楽曲が豊富に用意されているので要チェックだ。なお、今作の作曲を手掛けているのはロックマンゼロシリーズでも作曲を手掛けていた方々。なので、出来の良さもある意味、納得する…かもしれない。

ストーリーも初っ端から飛ばしまくりだが、恋愛を題材とした作品なりのツボを抑えた作りになっているほか、意外性のある展開もあったりして結構、見応えのある作りになっている。また、ヒロインごとのキャラクター付けも素晴らしく、天然系からツンデレ、お嬢様と御約束を完全網羅。更にイベントはフルボイスな上、声優陣も実力派が揃っている。特にシューティングパートで登場する女の子達の声優陣の謎の豪華さは色んな意味で必見…かもしれない。
その他、演出周りも効果音からエフェクトまで、シューティングゲームとしての爽快感を尊重した仕上がりになっているほか、女の子の昇天パターンもやたら豊富だったりと、変態染みた…否、職人的な作り込みが炸裂。ステージに関しても舞台が学校と統一されたものになっているとは言え、ぶっ飛んだシチュエーションで魅せるという工夫で、プレイヤーに意表を突いてくる仕上がりになっているのが見事だ。
題材からして色んな意味でおバカだが、シューティングゲームとしての作りは非常に堅実。ネタがネタだけにやり込みを行うに当たって周囲の目に気を配らなければならないのがタマにキズではあるが、練り込まれたレベルデザインに良好なゲームバランス、そして奥深いスコアアタックなど、その内容は非常に深くて熱い。それでいて、女の子が沢山登場するゲームなりの御約束もしっかり抑えるなど、全編において妥協の無い作り込みが炸裂している今作。
非常に人を選ぶ内容だが、シューティングゲームが好きな人ならば一度でも遊んでみる価値がある、意外性抜群の傑作だ。あからさまに怪しい題材だが、そこに潜むのは本格的なガンシューティング。今時珍しい、そのストレートなゲーム性を体感せよ!あまり大きな声では言えないけど、お薦めの一品です。
でも、17歳以下の男の子はやらないようにね♪(禁じられてる訳じゃないけど…)
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