≫EARTH DEFENSE FORCE:INNSECT ARMAGEDDON(アースディフェンスフォース:インセクトアルマゲドン)
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■発売元 |
ディースリー・パブリッシャー |
■開発元 |
ヴィシャスサイクルソフトウェア |
■ジャンル |
サード・パーソン・シューティング |
■CERO |
C(15歳以上対象)
※暴力、欠損描写あり |
■定価 |
6800円(税別)<Best版:2800円(税別)> |
■公式サイト |
≫こちら ※音が鳴ります |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1〜2人(オンライン時:1〜6人) |
■セーブデータ数 |
1つ |
■必要HDD容量 |
4981KB以上 |
■その他 |
Play Station Network対応、振動機能対応、トロフィー機能対応 |
■総説明書ページ数 |
21ページ |
■推定クリア時間 |
10〜12時間(エンディング目的)、80〜125時間(完全攻略目的) |
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数千年も昔、高度な進化を遂げた昆虫種族が絶滅寸前に宇宙の彼方へ大艦隊を放った。
それぞれの船には昆虫生命体を繁殖させる為の遺伝子素材、触媒が積載されており、生命が存在する惑星に辿り着いては繁殖を行い続けていた。いつしかこの銀河系では、生命のある全ての惑星が彼らによって支配されており、唯一残されていた地球も、そのターゲットとなる。
西暦20XX年、地球では巨大宇宙船が主要都市の上空で突如具現化。
巨大な昆虫、未知の巨大ロボット、果てはそれらが混ざったかのような生命体までもが大量に降り立つと同時に、あらゆる物に対して襲いかかってきたのだ。
『ラヴェジャー(破壊する者)』と称されたこの宇宙勢力の目的は地球上の全人類の滅亡。
世界中が恐怖に怯える中、『EDF』が人類最後の砦として立ち上がった…。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆ミッション攻略式ではあるが、最終的な目的は敵の殲滅という地球防衛軍シリーズらしい直感的な分かり易さを重視したゲームデザイン
◆軽快なレスポンスとスピーディなアクションによる感触の良さが光る操作性
◆本家シリーズにも輸入すべき利便性の高さを誇る武器のリロード&クイックリロード機能
◆ダッシュを始めとするスピーディなアクションと処理落ちを防ぐ措置によって演出された、テンポの良いゲーム展開(特にダッシュのアクションが軽快)
◆敵の殲滅だけに特化しつつも特化し過ぎない、地球防衛軍シリーズ独特の単純明快さと新たな方向性を示した独特の構成が成されたミッション
◆オールラウンド、火力重視等の異なる特徴と戦術性で魅せる4種類のアーマータイプ
◆複数のシングルプレイとオンライン対応のマルチプレイまで、幅広く用意されたゲームモード
◆プレイ人数こそ少なめながら、共闘する面白さとシチュエーションの熱さで魅せるオンラインマルチプレイモード
◆巨大生物の生々しさに対する異様なこだわり(執念?)が炸裂したグラフィック
◆海外のB級映画を髣髴とさせる作風と臨場感溢れる曲調が光る音楽
◆日本語吹き替え仕様で、小ネタもふんだんに盛り込まれたボイス演出
--- Bad Point ---
◆アクションシューティングゲームとしては致命的過ぎる敵撃破演出の弱さ
◆同じく、アクションシューティングゲームとしては致命的なヒット(着弾)感の無さ
◆量より質の方針で作った所為で、無駄に冗長な構成になってしまっている各ミッション(ミッションによってはクリアするのに30分以上かかったりと、とにかく長い)
◆冗長な構成の所為で単調さを際立たせ、返って魅力を損ねるという本末転倒な結果を引き起こしてしまっている敵の殲滅に偏らせたミッションバリエーション
◆ミッション攻略式故の行動面における自由度の低さ(見えない壁で仕切られて自由に動けない)
◆必要な経験値が多過ぎる所為で作業プレイに陥る、調整ミスが際立つランクアップシステム
◆ランクアップシステムと紐付けされ、入手し難い、自由にミッションを暴れ回れないと言った数々の問題点を浮上させてしまっている武器の入手手段
◆都市と洞窟の二種類だけと、ビックリするほどバリエーションに乏しいフィールドロケーション
◆同じくバリエーションに乏しい敵の巨大生物(今作独自の新種がほとんど居ない)
◆全体的に少なめな上、やり込み要素も作業同然で遊び甲斐にも欠ける総計ボリューム
◆僅か三種類の難易度(『サバイバル』がフォローしているのだが…)
◆処理落ち軽減に貢献しているとは言え、シリーズ独特のカオスな雰囲気を薄めてしまった感も否めない、撃破後に跡形もなく消滅する仕様になった巨大生物達
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▼Review ≪Last Update : 12/6/2015≫
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「この戦いが終わったら、結婚するんだ。」
…お察しください。
ディースリー・パブリッシャーの看板タイトル『SIMPLEシリーズ』の一つとして発売され、大きなヒットを記録した後、独立した作品としてシリーズ化された『地球防衛軍』の外伝作品。開発は『EAT LEAD マッド・ハザードの逆襲』を手掛けたディースリー・パブリッシャーの子会社で、アメリカ・ノースカロライナ州に拠点を置くヴィシャスサイクルソフトウェアが担当。
外伝らしい試みと大量の「コレジャナイ」が混在した迷作である。
本家の地球防衛軍シリーズと同様、基本的なゲーム内容はステージクリア方式で進行するアクションシューティングゲーム。或いは、サード・パーソン・シューティングゲーム(TPS)。地球防衛軍『ストライクフォース・ライトニング』の部隊に所属する主人公、ライトニング・アルファを操作し、侵略者『ラヴェジャー』達との戦いに身を投じていくというものである。
だが、システム周りとゲームの流れは地球防衛軍シリーズと同じように見えて、ほとんど別物。外伝作品としての「らしさ」を強く意識したゲームデザインが成された作りとなっている。
特にそれが顕著に現れているのがステージ構成全般。本家地球防衛軍シリーズは、広大な3D空間で描かれたフィールドで暴れ回る侵略者こと、巨大生物達を銃火器を用いて駆逐し、全滅させればステージクリアというシンプルシリーズ作品ならではの分かり易さを特色としたものになっていた。だが、今作では複数の『指示』を設け、それらを順にこなしていくミッションクリア方式の構成を採用。この為、今作では巨大生物との戦いと併せ、司令部からの指示の双方もこなしていかなければならず、とにかくステージ上の色んな所を行き来する事になる。フィールドこそシリーズお馴染みの箱庭空間なのだが、行動範囲も限られてくるのである。ステージ上を徘徊する巨大生物をあらゆる手段を用いて駆逐するという、自由度の高い攻略が楽しめた本家シリーズから見ても、如何に別物であるかが容易に想像ができるだろう。そんな具合にまさにTPS、と言わんばかりの構成になっている。しかも、一つのステージに用意された指示の数も結構なもの。最大で10以上の指示が用意されている。肝心の指示の内容も、墜落した輸送機からのデータ収集とその爆破処分、目的地への到達、自軍の仲間の捜索など、戦闘とは無関係なものが幾つか。中には『ドアガンナー』を行うミッションもあったりと、何処のコールオブデューティだ!と突っ込みたくなるものまであるほどだ。とは言え、敵の全滅を題材とした指示を多めに設定するなど、地球防衛軍シリーズとしてのらしさは意識。また、全滅だけに留まらない攻略が楽しめるというだけあって、常に目まぐるしい展開が繰り広げられる。その点で見ると、本家シリーズの単調になり易い部分をカバーした作りと言える。単調さ、シンプルさが魅力なのに……と思う所もあるかもしれないが、今作は外伝にして海外の開発会社製作の作品。だからこその異なる方向性を突き詰めるとも言うべき作りには潔さすら感じる。賛否ある構成ではあるが、外伝らしさをハッキリと示した作りは実に痛快。新しい地球防衛軍の形を示した、印象深い仕上がりになっている。
また、プレイヤーキャラクターと武器の入手経緯も外伝らしさが色濃く現れている。プレイヤーキャラクターに関しては今作、『アーマータイプ』なる兵種の概念が設けられ、能力や装備できる武器等に明確な差別化が図られた。これにより、アーマーごとに異なる戦術によるミッション攻略が楽しめるようになっている。肝心のアーマーも陸戦兵士『トルーパー』、その上位種で地雷などの戦術的な武器を装備できる『タクティカル』、ホバリングで高速移動する『ジェット』、重装甲を纏った高い防御力と火力の高さを持ち味とする『バトル』の全四種類が用意されており、性能も実に多種多様。更に各アーマーには『ランク』が設けられており、これが上昇していくにつれ、強力な武器が装備可能となるRPGチックなシステムまで実装されている。『ランク』を上げる為の方法は単純明快で、ミッションでスコアポイントを稼ぐこと。今作では新たに敵を倒す度にスコアが獲得される仕組みとなっており、その溜まったスコアがミッションクリア時に経験値としてアーマーへと換算されるのである。そのスコアが一定量に達するとアーマーがランクアップ。装備可能な武器が増える以外に防御力、特殊能力も上昇して、より強くなっていくのだ。このようなものを実装したという事で、今作では本家シリーズのように好き勝手に武器を使う事ができない。手に入れる手段こそ本家と同じ敵を倒して手に入れるドロップ形式ではあるが、レベル制限がかけられるので、好き勝手に暴れ回るプレイも封じられるのだ。そういう意味でも地味にもどかしさの溢れる仕様となってしまっている。
正直、ここは幾ら外伝だからとは言え、違和感のある作りではある。装備にしてもアーマーごとに装備できないものが存在する為、自由にカスタマイズできない辺りももどかしさがある。だが、異なる性能を持ったアーマーごとの性能はなかなか魅力的。本家でも『ペイルウィング』という別の兵種が居たが、今作はその実に二倍に当たる量だけあって、多様な遊び方ができるようになっているのは特筆すべき部分と言えるだろう。カスタマイズの自由度こそ落ちたとは言え、選んだアーマーごとにプレイスタイルが変わる仕組みと操作感の違いはなかなか魅力的。これまた、新たな地球防衛軍としての可能性を描いた仕上がりになっている。
他に今作ではメインの『キャンペーンモード』以外に敵の配置がランダムとなる『キャンペーン・リミックス』、トルーパーのアーマー固定で戦う『サバイバル』の二つの新モードが追加され、遊びの幅が広がっている。また、これらのモードはオンライン協力プレイに対応。シリーズ初にして待望とも言える、世界中のプレイヤーと協力して侵略者の軍勢に立ち向かうという白熱必至の戦いが堪能できるようにもなっている。それに伴い、シングルプレイ時も共通して仲間同士の協力が求められる場面があったり、倒れた仲間を救う『蘇生』アクションと言った如何にもな新要素も追加され、戦術面においても本家との大きな差別化を図っている。更にこの他にも、任意のタイミングで弾薬の補充ができる『リロード』、高速で移動する『ダッシュ』と言った本家も真似した方が良いのではと思ってしまうこと必至な新アクションも豊富に追加されている。
こんな具合に宇宙からの侵略者の駆逐と本家とは共通しているとは言え、様々なシステムが別物同然に一新されており、外伝らしさバリバリの内容にまとめられている。指示を受けながら進めていく下りから、TPSらしさも濃い目で、マットハザードの逆襲を手掛けた実績を持つ会社ならではの作風が出た内容と言えなくもない。まさに地球防衛軍でなく、アースディフェンスフォースと名乗るのも納得の仕上がり。新たな試みと違いに溢れた作品になっている。
しかし、幾ら外伝だからと言って、手放しに褒められない出来になってしまっているのが今作の困った所。本家と違いを出す事に対し、とても意欲的に取り組んでいるのだが…如何せん、看過できない問題点が多過ぎる。
まず第一に致命的な点として、アクションシューティングゲームとしての爽快感の無さである。特に敵を攻撃したり、倒した際の演出が壊滅的。ヒット時の効果音が無いに等しいレベルに小さい、敵である巨大生物も断末魔の悲鳴が小さくてほとんど聞こえない、体液も派手に噴出しないなど、全く持って「倒した」という手応えが得られないのだ。一応、攻撃した際には体液が飛び散るので、弾が当たったかが分からないという事は無いのだが、それにしたってこの地味さは大変度し難い。ジャンルそのものを舐めていると言われても致し方が無い酷さだ。本家の地球防衛軍は、アリやクモなどの巨大な昆虫が暴れ回る特撮映画さながらのビジュアルもさることながら、それらを攻撃した時や倒した際にお披露目する仰々しい反応も大きな見所の一つと言えた。アリを倒せば「ピギャー!」という断末魔の悲鳴をあげ、クモを倒せば何処かの部位が破裂したかのような奇妙な爆音を鳴らす。それにより、プレイヤーは巨大生物を仕留めたという確かな手応えを得る事ができた。別にそれは地球防衛軍シリーズに限った話では無い。あらゆるアクションゲーム、シューティングゲーム、そして昨今のFPS、TPSにおいて、敵に攻撃した際のリアクション、音というのは入念に作り込む必要のある個所であり、その出来栄え如何で倒した時の手応えと爽快感は激変するほど重要なファクターでもある。そして、その出来栄え如何で、アクションゲーム等の醍醐味とも言えるキャラクターを動かす楽しさ、気持ちよさも大きく変化し、悪ければ悪いほどその質は著しく下がってしまうものだ。そんな本家が守り通してきたアクションシューティングゲームとしての最低限の事が今作ではできておらず、全く爽快感を味わう事ができない。まとめて敵を倒したとしても、派手な音が鳴る訳でも、断末魔の悲鳴が上がる訳でも無い。絵的に派手な散り方をするだけ。完全な手抜きなのである。派手な散り方とまとめて敵を倒した際の演出もシリーズの魅力だし、それこそがアクションシューティングゲームの醍醐味とも言える箇所なのに何故、こうも地味にしてしまったのか。愚の骨頂としか言い様がない。こんな最悪な仕上がりなので、今作をプレイしていて敵をまとめて倒す気持ちよさなど微塵も無し。得られるのはモヤモヤ感だけ。それだけでも、爽快感を求めるプレイヤーやシリーズファンにとって、今作が度し難い内容であるのかは話すまでも無いだろう。
更に致命的な点はこれだけに留まらず、第二としてミッションクリア型の構成になったステージも冗長過ぎる。色んな指示が加わる事によって展開に起伏こそ付けられているが、一つ一つのミッションが全体的に長めで、その数が多いステージほど後半でダレてくる。また、指示にしても先程、全滅以外にも変わったものが幾つかあると紹介したが、実際のところ、全体の7〜8割を占めるのは敵の全滅指示。単調且つ、偏ったランナップになってしまっている。本家なら全滅のみだから、更に単調と言えるかもしれないが、今作は爽快感が無い所為で「敵を倒しているだけでも気持ちいい」と言う所が皆無な上、肝心の敵も本家ほどのバリエーションに欠けるので、余計にそれが際立つ。敵の中にはアリの巣穴のように、何故か近付いて爆弾をセットしないと破壊できないものもあるなど、面倒な手数を踏む類のものもいるなど、変にプレイ時間を引き延ばそうとする策が散見されるのも苦しいと言わざるを得ない。これも全ては今作に収録されているステージの総数が僅か15しかない事に起因した結果なのかもしれないが、だとしても敵の出現パターンに全体の流れなど、工夫すれば単調さは防ぎ切れたはず。その努力の跡も見れず、単に引き延ばし、かったるい構成にしてしまったのは失敗だったと言わざるを得ない。それに先の爽快感の無さもプラスされるのだから尚更だ。本当、皮だけ再現するだけで十分と思ったのではないのかと感じさせてしまう甘さには、ただひたすら呆れるばかりだ。
追い討ちの如く、三つ目としてアーマーのランクアップにしても問題多し。特にランクアップに必要な経験値が多過ぎて、作業プレイ必須としている辺りに安直な水増し発想が浮き出ている。それに紐付けされた形でアンロックされていく武器も、もどかしいの極み。好きな武器で暴れ回る楽しさをスポイルしてしまっている。これなら溜めたスコアで武器を購入するシステムでも良かったと思うのだが、何故、こうも面倒臭いものにしてしまったのか。外伝だから明確に差別化させようとする意図があったにせよ、ここだけは普通に本家のシンプルな仕様を踏襲しても良かっただろう。変に違いに固執した結果、面白さ以上に面倒臭さの目立つ作りになってしまっているのにはクリエイターの意地が悪い方向に働いた事が滲み出ており、本当に惨いの一言だ。
この他にもミッションクリア型故の攻略面の自由度の低さ、その窮屈さを強く印象付ける『見えない壁』の存在、ほぼ空気な『ドアガンナー』のミッション、マップのロケーションが都市と洞窟だけと少ないを始め、遊んでいて素直に面白くない、作りが甘いと感じさせる部分が多数。しかし、光る所もあり、アーマータイプの増加による戦術性の拡大、リロード、ダッシュの新アクションは本家シリーズにも採用した方が良いと思える魅力が際立っている。特にリロードに関しては『クイックリロード』なる高速リロード機能が大変素晴らしく、これのおかげでよりアクション性が高まったのは素直に評価できる部分である。オンラインマルチにしてもモードによって参加人数に違いがあるが(※サバイバルモードのみ6人、他のモードは3人)、共闘して侵略者の軍勢と戦う展開は非常に熱く、演出面の貧弱さも気にさせないほど熱中する仕上がりになっているのも特筆に値するところだ。
だが、そんな魅力もほとんどが先の欠点に食い潰されてしまっているのだから惨い。せめて爽快感だけでも、本家と変わらないものになっていれば印象が違っていたのだが。そんな肝心な所を抑えもせず、違いを突き詰めてしまっては「コレジャナイ」と言われても仕方がない。本当に皮だけ倣って作ったんじゃないのかと思ってしまうぐらいだ。そんな感じに看過できない問題点が呆れるほどに満載。挑戦的な作りなのに、全てが空回りとも言える惨憺たる有様なのだ。まさに「コレジャナEDF」。海外製だから違くて当然と言われても、その限度を超えてしまっているのだ。
先のステージ総数から察せるように、ボリュームも少ない。お馴染みの難易度選択も今回は『ノーマル』、『ハード』、『インフェルノ』の三種類しか無く、やり込みの面でもやや弱体化してしまっている。ただそれを補う形で『サバイバル』が設けられているので、プレイしてみるとそこまで密度は変わっていないと感じるかもしれない。
また、操作性は非常に良い。何よりも動かしていて軽快。新アクションの『ダッシュ』が特に素晴らしく、スピーディな立ち回りができる辺りは今作の数少ない良点の一つと言える。更に今作では、本家シリーズではある意味、お家芸ともされている処理落ちも発生しない。なので、動きがもたつく事もあまり無し。そこもある意味、本家を上回っている所だ。
難易度も自由な攻略が楽しめなくなっている側面があるが、逆にその縛りからくる堅実さが適度な緊張感を演出しており、それなりにやり応えがある。堅実であるが故に変に大味な所も無く、純粋に戦術性を推し出したアクションシューティングとしてのバランスにしている辺りもまた、操作性同様に本家を上回る良点と言えるかもしれない。
グラフィックの質に関しては平均的だが、巨大生物こと虫絡みのグラフィックに関してはやたら気合の入った出来。特にカマキリ型ロボット『デストロイ・マンティス』はビジュアル、動き共に大変素晴らしい仕上がりになっている。音楽も良曲が揃ってたマットハザードの開発会社が製作しただけあって、全体的にクオリティが高い。何処となく、海外の特殊部隊を題材にした映画を髣髴とさせる作風と臨場感溢れる戦闘曲には思わず耳を傾けてしまうかもしれない。
演出周りに関してはエフェクト絡みが致命的だが、音声は全て日本語に吹き替えられているなど、それなりに凝った所もある。だが、ストーリーに関しては最悪と言わざるを得ない出来。とにかく結末が酷く、未完同然の内容になってしまっている。しかも、難易度ノーマルであれば、絶対にバッドエンディングになってしまうという悪夢のような仕様。普通のエンディングを見るなら、ハード以上でないといけないのだ。さすがにこれは意地悪。どの難易度でも共通のエンディングにするべきだった。また、仮にハード以上の難易度で攻略したとしても未完で終わるのも褒められない。続編前提の意図があったのかは不明だが、あのような敵を出したのならしっかりと決着を着けて欲しかったところだ。何故、こうも余計な演出を入れたのか。甚だ疑問である。
本家も採用すべき魅力的な新要素もあり、特にオンライン協力プレイは傑出した完成度を誇るのに、それ以外の部分が惨憺たる有様になってしまっている今作。外伝だからという事で、違いを追求する姿勢は悪いものでは無い。その事を意識した試みによって生まれたものもあるので、方向性自体は間違ってなかったと言える。だからこそ、アクションゲームとしての爽快感にはもっとこだわって頂きたかったのだが、そういう肝心な所を落としてしまう辺り、開発会社の地球防衛軍シリーズ及び、アクションゲームやシューティングゲームの醍醐味に対する理解の甘さを痛感させられるばかりだ。
言うまでも無いが、手放しでお薦めできるものではない。ただ、オンライン協力プレイなど、シリーズファンならチェックしてみる価値のある部分が幾つかあるのも事実。そういう意味では、コアなプレイヤー向けの一本と言えるかもしれない。だが繰り返しになるが、出来は上記の通り。ある程度の覚悟を決めた上で行く事を強く推奨致します。
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