≫DARKSIDERS(ダークサイダーズ) ~審判の時~ |
■発売元:KONAMI(コナミデジタルエンタテインメント) /
■開発元:Vigil Games /
■ジャンル:アクションアドベンチャー /
■CERO:D(17歳以上対象)※過度の暴力・身体欠損描写などあり /
■定価:6,800円(税別)
◇備考リンク
≫DARKSIDERS ~審判の時~(ファミ通.com:特設ページ)
◇Darksiders Warmastered Edition(※現行機向けリマスター版)
PlayStation 4 / Nintendo Switch / PC(Steam)
© 2009 THQ Inc. / Developed By Vigil Games / KONAMI is a registered tradmark of KONAMI CORPORARION
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▼Information
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■プレイ人数:1人 /
■セーブデータ数:HDDの残り容量によって変化 /
■必要HDD容量:2204MB以上 /
■推定クリア時間:25~35時間(エンディング目的)、60~80時間(完全攻略目的)
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時の起源より、天界と魔界の軍勢は終わりなき戦いを繰り広げてきた。そこにこの世の秩序と調和を保つため、どちらかが全宇宙の基盤を揺るがす力を持たぬよう統率する「焦炎評議会」が現れる。迅速、かつ苛烈な裁きと、それらを執行する「四騎士」の存在もあって、やがて天界と魔界は、評議会に畏敬の念を抱き始めた。
そんな争いの最中、地球上に人類が誕生する。
評議会はこの弱くも狡猾な生物が、やがては調和に不可欠な存在になると予言。こうして人類の王国たる「第三の王国」(人間界)が創造されるに至った。そして、この王国の誕生を契機に天界と魔界は休戦協定を結び、「七つの封印」が施されるに至った。封印は人類が終末戦争への力を蓄えた時に解かれ、「四騎士」が降臨する仕組みとなっており、勃発する戦いは調和をもたらし、三つの勢力の命運を決定付ける……はずだった。
それから数年の時が過ぎった現代。
著しい発展を遂げた人間界に突如、隕石が降り注いだ。
それは魔界からの魔物、そして天界からの天使だった。
大都市のオーロラビジョンでニュースを見ていた人たちは彼らに次々と襲撃されていき、次第に事態は人間界を巻き込んだ天界と魔界の戦争へと波及。その影響で人間界は、次第に地獄へとその様相を変えていく。
そして争いの最中、四騎士のひとりである「ウォー」が人間界に降臨。
だが、それは異常事態だった。
「七つの封印」が解かれていなかったからである。
当のウォーもこの事態に困惑。自分以外の四騎士の姿も見えず、争いを鎮圧する力も何者かに封印された状態になっていたからだ。一体、誰がウォーを召還したというのか。
結果的にウォーは状況が飲み込めないまま戦いに巻き込まれ、力が封印されていた反動もあって敗北。そして評議会の前に連れ出され、終末戦争を勃発した張本人として咎められてしまう。
いわれなき判決に異議を申し立てたウォーは、無実を証明し、真の黒幕を捜し出すため、自らを地上へと戻すよう評議会に嘆願。評議会は監視役「ウォッチャー」の同行を条件に快諾し、彼を終末戦争から100年後の人間界へと戻した。
戦争後の世界では人類は絶滅し、今もなお天界と魔界による争いが続いていた。
そのどちらにも嫌悪され、疎まれながらもウォーは真実を求める旅へと出る。
果たして、彼の復讐は成し遂げられるのか。そして、黒幕の正体とは。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆『ゼルダの伝説』を始めとする”名作良い所取り”を徹底してまとめられたシステム全般
◆道中のイベント、一部アイテムに仕込まれた名作由来のネタの数々(一例を挙げるだけでも『パンツァードラグーン』、『バイオニックコマンドー』など、見覚えのあるものが多数)
◆真相を知る者が待つ場所への道を開くため、周辺のエリアを攻略していくとの明瞭な目的が課された分かりやすい本編構成(実質、ゼルダの形式をなぞった感じだが)
◆シューティングにステルスなど、バリエーションに富んだエリアごとのイベントの数々
◆カギを探し、アイテムを見つけ、行動範囲を広げていくゼルダすぎる構成のダンジョン(パズルや仕掛けにおいてもそれっぽいものが多数登場する)
◆3Dゼルダのロックオンを踏襲しつつ、『ゴッド・オブ・ウォー』などの1対多の要素を取り入れ、似て非なるバランスで仕上げられた戦闘システム及びシーン
◆本作の世界観ならではの豪快な戦術とゼルダ的な味わいが秘められた、見所満載のボス戦
◆豊富な攻撃アクションの数々(ソウルを集めて購入することで、驚くほど多彩な攻撃が可能に)
◆大柄な主人公の見た目からは想像もつかないほど軽快で、動かす楽しさに富んだ操作性
◆「イージー」から「ハード」までの3種類を用意し、幅広いプレイヤーをフォローした難易度(難易度はプレイ中にいつでも切り替え可能なほか、全体のバランスも総じて良好)
◆本編だけでも25~30時間、やり込み要素を含めれば倍以上に膨れ上がる圧巻のボリューム
◆崩壊した現代の大都市で天使と悪魔が暴れ回る、他に類を見ない独自性に秀でた世界観
◆その世界観を余すことなく表現し、アメコミ特有の作風も炸裂した美麗なグラフィック
◆攻撃時の動きからエフェクト、ムービーデモに至るまで独自のデザイン手法が炸裂した演出
◆日本語音声への対応を始め、全体的に丁寧な仕事が炸裂した日本語ローカライズ
--- Bad Point ---
◆悪く言えば寄せ集めでしかないゲームシステム(独自性は皆無)
◆やや不安定かつ、時々コマ落ちも生じるフレームレート
◆読み込みが頻繁に行われる仕様の関係で、割と頻発しやすいフリーズバグ(確率は稀だが、特にヴァルグリムの店で品物を選んでいる時に発生しやすい)
◆「黙示録の四騎士」の知識を前提に制作された、ハードル高めの世界観(あまりその辺に馴染みのない日本人だと、設定が頭に入ってきにくい)
◆難解、かつ途中で置いてきぼりにされるストーリー(特に中盤以降は首を傾げる展開の連続)
◆アメコミ臭全開ゆえ、人を選ぶキャラクターデザイン
◆ウォーの見た目が少し残念なことになる最強装備「アビスアーマー」(決して格好悪い訳ではないのだが、初期に比べて地味な感じになる上、周回要素の引き継ぎ対象になっている)
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▼Review ≪Last Update : 2/21/2021≫
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「オレをハメたのは、天使か、悪魔か?」
いわれなき罪を背負われた騎士の復讐の物語、開幕。
マーベル作品などに携わったアメリカン・コミックス作家、ジョー・マデュレイラ氏が設立したゲームスタジオ「Vigil Games」開発による、『黙示録の四騎士』を題材としたアクションアドベンチャーゲーム。海外版の販売はTHQ(現:THQ Nordic)、国内版はKONAMIが担当している。
よい意味で独自性のない作りと既存要素のまとめ方の巧みさが光る傑作だ。
内容は3Dの3人称視点で展開されるアクションアドベンチャーゲーム。四騎士のひとりで主人公の「ウォー」を操作し、人類と文明が滅んだ終末世界の各地を巡り、探索と戦闘をこなしながらストーリーを進めていくというものだ。
最終的な目標は冒頭のストーリー紹介の通り、ウォーに濡れ衣を着せた黒幕への復讐を果たし、潔白を証明すること。そのために終末戦争の勝者である勢力「破壊者」の中で、「選ばれし者」と呼ばれる精鋭たちの心臓を4つ手に入れ、一連の事件の真相を知るものが待つと言われる場所、「黒の玉座」へと繋がる道の解放に挑んでいく形になる。
具体的には玉座に近い「炎火の絞首台」なる場所を起点に、それぞれの「選ばれし者」が統治するエリアへと向かい、彼らの居城となるダンジョンの最深部を目指す感じだ。身も蓋もなく言えば、アクションアドベンチャーゲームの代名詞にして、任天堂の看板タイトルのひとつ『ゼルダの伝説』そのものである。現にダンジョン攻略の流れはゼルダそのもので、閉ざされた扉を開くためのカギを探したり、特殊なアイテムを手に入れて行動範囲を広げたり、パズルを解いていくことに終始。シリーズ経験者ならば、強烈な既視感に襲われること確実な構成になっている。
しかも、それだけではない。システム周りもゼルダに準拠。中でも象徴的なのは戦闘における「ロックオン」。特定の敵に注目し、集中的な攻撃を行うという『ゼルダの伝説 時のオカリナ』を始めとする、3Dのゼルダシリーズにおける定番のシステムを実装しているのである。操作もL2ボタンを押すといういかにもな設定。さらにロックオン中には画面上下に黒い淵まで現れる仕組みになっている。ゼルダを知る人ならば、きっとこう叫んでしまうはずだ。「そのまんまやんけ!」……と。ウォーの武器も大剣なので、余計にそれっぽく感じるかもしれない。さらに驚くべきことにゼルダ由来のシステムはこれに限らず。各種ボタンに特殊なアイテムをセットして使用可能にする機能、騎馬で高速移動する要素まで実装している。アイテムの中にも露骨にゼルダを模したものが用意されており、これまた経験者ならば「いいのか、それ!?」とツッコみたくなること間違いなし。幾ら似ているとは言え、そこまでゼルダの名前を出さなくてもと思うかもしれないが、実際、それ以外に表しようがない。プレイすれば嫌というほど、他に適切な表現が浮かばなくなる程度にそのまんまなのである。一応、1対1の戦闘以上に1対多になる場面が多い、状況によっては広範囲をフォローする技で集団をまとめて攻撃することが求められるなど、バランス面での差別化は凝らされているが、手触りはゼルダとしか言い様がない程度にそのまんま。冗談抜きに、誇張でもなく、ゼルダシリーズ経験者に強烈なデジャヴを与える作りになっているのだ。
また、ゼルダ以外のオマージュ要素も存在する。一定のダメージを与えた後、表示されたボタンを押すと同時に発動する強力なフィニッシュ技。プレイステーション2後期の傑作で、後にシリーズ化を果たした『ゴッド・オブ・ウォー』の要素である。そんなものまで本作は押さえている。さらに敵を倒した時に「ソウル」が散らばり、自動的にウォーが吸収する(回収する)要素にしても『ゴッド・オブ・ウォー』まんまになっている。厳密にはカプコンの『デビル・メイ・クライ』由来のものだが、そんなものまでガッツリオマージュしているのである。もちろん、吸収した「ソウル」はプレイヤーの能力強化に活用。厳密にはソウル自体は通貨のようなもので、「ヴァルグリム」と呼ばれる商人の店で新たな技を獲得したり、ステータスの強化を図っていくのだ。ヴァルグリムの店はマップ内の特定の場所に隠されているので、探して見つける必要があるなど、『ゴッド・オブ・ウォー』の仕組みと比較するとやや手間を要するが、ひとつ買う度に(強化する度に)派手な攻撃が可能になっていく過程はそれっぽく、プレイ経験のある人ならば既視感を覚えること確実だ。ちなみに「ソウル」には色が付いていて、「緑色」を吸収すればウォーの体力が回復、「黄色」を吸収すれば強力な技を使う際に消費する「ラス」が回復されるようになっている。この辺もほぼ『ゴッド・オブ・ウォー』と『デビル・メイ・クライ』である。さらにゲームが進むと一定時間の間、ウォーが強化状態になって強力な攻撃が繰り出せるようになる「カオスフォーム」なる技も使用可能に。それもまた、思いっきり『ゴッド・オブ・ウォー』などをオマージュしている感じである。
そんな訳で本作を端的に表すれば、『ゼルダの伝説+ゴッド・オブ・ウォー(ほんのりデビル・メイ・クライ)』である。もっと短くすれば名作良い所取り。それ以外に適切な表現がないほど、アクションアドベンチャーとしてありきたり過ぎる作りになっているのである。さすがに世界観とストーリーはオリジナルだが、それ以外は既視感の塊に等しい。例に挙げたゲームをプレイしたことのある人ならば、ほとんど新鮮味を感じさせないという、色んな意味で凄い内容になっている。
そして、本作の魅力もまた明瞭。名作良い所取りを貫き通したことによる、独自性皆無なゲーム内容である。もはや清々しいと思えるぐらいにそのまんまで、反って魅力的に映ってしまう作りになっている。
しかも少しネタバレするが、本作がオマージュしているのはゼルダ、ゴッドオブウォー、デビルメイクライに限らない。一例として、あるエリアでは巨大な竜にまたがり、襲い来る敵をショット攻撃で撃ち落としていくシューティングゲームのイベントが発生する。巨大な竜にまたがって、敵を撃ち落としていく?それってもしや……と思った方はご推察の通り。1995年にセガサターン用ゲームソフトとして発売された3Dシューティングゲーム『パンツァードラグーン』だ。なんとあのゲームをそのまま再現したイベントが用意されているのである。しかも驚くべきことに、同作の特色でもあった複数の敵をロックオンし、弾を一斉射出するシステムも完備!もはやこれを『パンツァードラグーン』という以外に何と表せばいいのか、と言いたくなるほどそのまんまな作りになっている。
さらにもう一例、ゲームが後半に差し掛かると「アビスチェーン」なる特殊アイテム(装備品)が手に入り、以降、特定のフックにひっかけ、振り子運動の勢いを利用して大ジャンプを決めれるようになる。「なに!?」となる方は限られるかもしれないが、往年のアクションゲーム好きなら察せるはずだ。カプコンの『バイオニックコマンドー』である。別の名前で『トップシークレット』、『ヒットラーの復活』と言えばより分かりやすいかもしれない。「発動!トップシークレット!」という、水木一郎兄貴の歌声がこだましたアナタは真性です。とにもかくにも、あの作品を再現したかのようなワイヤーアクション(スウィングアクション)が楽しめるようになってしまうのだ。加えてこの「アビスチェーン」には誘導性能もあり、ウォーの視界内にいる最も近い敵へ攻撃を行う仕組みになっている。特にまとわりついてくるカラスの敵には絶大な効果を発揮。その鞭を振るう姿は、人によっては本作の販売を担当したKONAMIの『悪魔城ドラキュラ』が脳裏を過ぎるかもしれない。
ここまでの一例を見るだけでも、いかに本作が良い所取りに徹しているのが察せるだろう。さぞ、新鮮味がないゲームなのだなと思うかもしれない。だが、本作はそれが素晴らしい。この独自性のなさが魅力になっているのだ。
具体的には各種要素のまとめ方が絶妙。それぞれのシステム、アクションが持つ醍醐味が活きる場面を見定めて、プレイヤーに存在して当たり前、自然なものとして意識させる作り込みが徹底されているのである。それもあって、各種要素が互いを引っ張り合うような”喧嘩”が起きない。全ての要素が元の魅力を残し、それぞれを尊重、かつ映えるように位置付けられているのである。
その魅力が最もよく現れているのが戦闘。ゼルダのロックオン、ゴッドオブウォーの1対多を織り交ぜて、独自のバランスを実現させた内容にまとまっており、似て非なる手応えを実現している。時に豪快に大勢を巻き込み、強力な敵には1対1の戦いに持ち込むという緩急が驚くほど綺麗に描かれているのだ。プレイ始めは、そのゼルダまんまな作りに苦笑いするかもしれないが、ゲームが進んでいくと徐々に違う印象が植え付けられていく。そんなまさか、と思うかもしれないが、騙されたと思って体験してみて欲しい。まさに「似ているようで違う」の極致を思い知るはずだ。
中でもボス戦はゼルダネタと、本作特有の戦術が組み合わさった魅力溢れる内容に完成されている。ダメージを与える手順も本作でしかできないと思える独自性に富んでいるので要注目だ。
それぞれの要素が本編全体に激しい起伏を作り出しているのも見所。『パンツァードラグーン』由来のイベントはまさにその象徴だ。さらにイベントはこれに限らない。他にもウォーに助力するキャラクターとの共闘、広大な砂地を徘徊する巨大ワームの隙を突いて目的地を目指すステルスゲームチックな展開など、豊富なバリエーションが用意されているのだ。まさにプレイヤーを飽きさせないを体現したまとめ方で、最初から最後まで退屈する暇がない。楽しいアクションアドベンチャーかくあるべし、とも言える徹底した作り込みで、単調な展開は何が何でも生み出させないとする姿勢には制作陣の意気込みの高さを思い知らされるだろう。
確かに新鮮味はない。名作の良い所だけを取り出して作りとか、制作姿勢的にどうなのかと思うかもしれない。だが、前述の通りに本作はそのまとめ方が素晴らしく、それぞれの要素と元の作品への敬意を払って作り込んでいる所に凄味がある。それらを駆使し、本作でしか体験できない場面も作り出されていたり、安易に寄せ集めだと断じるのも難しい、侮り難いものに完成されているのである。そして、制作陣がいかに「自分たちが好きだったゲームを組み合わせた、最高に見所満載のゲームを作っちゃおう」という思いで押し切ったかも感じ取れる仕上がりなのだ。そのような思いでゲームを作ると、基本的に個々の要素が合体事故を起こし、方向性が行方不明になりやすい。だが、本作にはそれがない。それだけでも、本作の独自性皆無というのがいかに適切、かつ凄いことなのかが分かるだろう。
いい意味で”名作良い所取り”を貫き通した本編に限らず、操作性を始めとする細かい部分の完成度も高い。ゲーム中のムービーデモなどを見れば一目瞭然だが、主人公のウォーは非常に体格の大きなキャラクターとなっている。武器も大剣がメイン装備のため、必然的に操作感も鈍くて重々しいものを想像してしまうかもしれない。
だが、実際は驚くほど軽快。キビキビと動いてくれる。また、本作はゼルダとは違い、ジャンプができるのだが、それも何ら重々しさを感じさせない。ゲームが進むと前述の特殊アイテム、ヴァルグリムの店で購入した技の追加に伴い、できることが増えるのだが、いずれも僅かなボタンの組み合わせと連打で手軽に繰り出せるので、アクションゲームに苦手意識のある人にも優しい。まさに動かすだけでも楽しいを押し通した出来。ウォーの見た目から「そんなまさか」と思うかもしれないが、実際に触れてみれば、決して誇張ではないことを思い知らされるはずだ。
本編ボリュームも大きい。メインストーリーだけでも25~35時間以上、隠された強化アイテムの収集要素を兼ねれば倍以上に膨れ上がる密度になっている。また、ゲームクリア後に一部のアイテムを引き継ぎ、最初から遊ぶ「強くてニューゲーム」な周回要素も備わっているほか、難易度も「イージー」、「ノーマル」、「ハード」の3段階あり、それぞれをやり尽くそうとなれば、さらなる時間を要する。その密度の濃さには、人によってはゼルダといい勝負とすら感じること請け合い。実際、本当に匹敵するほどのボリュームがあるので、物量を求める人ならば至福のひと時を満喫できるはずだ。
そのほかグラフィック、特に世界観とキャラクターデザインは本作における独自性の象徴とも言える仕上がり。まさにアメコミ、と言わんばかりの鮮烈なビジュアルには、好きな人にはたまらないだろう。舞台となる終末世界もどこもかしこも見所満載。崩壊した現代の大都市をバックに、天使や悪魔と言ったファンタジー系のキャラクターたちが暴れ回るのだ。それを見るだけでも、この作品でしか味わえないものを感じるはず。図書館、地下鉄、高層ビルなど、ロケーションも個性豊かで、いずれもボロボロに壊れ果てているので、廃墟好きなら思わずゾクゾクするかもしれない。
演出面でも戦闘時のキャラクターのアクションからエフェクト、ムービーデモに至るまで独自のセンスが炸裂。また、ムービーデモの音声は日本語吹き替え仕様。声優もそれぞれのキャラクターのイメージにマッチした面々が配役されているので、雰囲気満点。中でもウォー役である白熊寛嗣氏の渋い演技、彼の監視とサポートを兼任するウォッチャー役の多田野耀平氏の不敵な演技は要注目だ。
ただ、肝心のストーリーは日本では馴染みの薄い『黙示録の四騎士』を題材にしている関係で難解。最低限、原典である新約聖書を確かめておくのがおすすめだ。また、それとは別に中盤以降には唐突な展開が多く、何が起きているのか状況が分からなくなる場面もある。最後とそこからのエンディングも「なぜそんなことに?」との疑問が噴出すること請け合い。正直、翻訳の際に流れが繋がっているのか、改めて確かめて欲しかったところである。また、あらかじめ伝えておくとストーリーは未完である。念のため、ウォーの目的はちゃんと果たされるので、そこはご安心を。
他にロードが少し長く、移動中ごく稀にマップの読み込みで止まったり、フレームレートがコマ落ちしたりする点も気がかり。頻繁にセーブを行う仕組みの都合でか、ごく稀にフリーズバグが生じることがあるのも厳しいところだ。そして、ビジュアルが現すようにアメコミ全開な作風は大分好みが分かれる。ぶっちゃけ、可愛い要素なんて欠片もないので、間違っても求めないようご注意を。
それらの点から、若干のハードルの高さもあるが、ゲーム自体の完成度は高く、傑作とためらいなく言い切れるアクションアドベンチャーになっている。システムから細かいイベントに至るまで、既視感の塊ではあるのだが、単純に寄せ集めとは言い切れない魅力があり、それらのまとめ方が驚くほど自然、かつセンスに富んでいるという強みがある。主にゼルダのようなアクションアドベンチャーをお求めの人ならば間違いなく刺さる1本。興味があればぜひ、お試しいただきたい。人類と文明が滅び、文字通りの地獄絵図と化した世界で大柄の騎士となり、天使と悪魔との壮絶な戦いに身を投じよう。
なお、本作は後発でフレームレート向上などの改良を施したリマスター版『Darksiders Warmastered Edition』が日本国内ではPlayStation 4、Nintendo Switch、PC(Steam)で発売されている。内容はこのPS3版と共通で、価格も手頃になっているので、これからプレイするという方はこちらを選ぶのがおすすめだ。
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