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  4. コールオブデューティ4 モダン・ウォーフェア
≫コールオブデューティ4 モダン・ウォーフェア
■発売元 アクティビジョン(廉価版:スクウェア・エニックス)
■開発元 Infinity Word
■ジャンル ファースト・パーソン・シューター
■CERO C(15歳以上対象) ※暴力、出血、犯罪描写等あり
■定価 7140円(税込)<廉価版:2940円(税込)>
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人(オンラインプレイ時:2〜18人)
■セーブデータ数 HDDの残り容量によって変化
■必要HDD容量 10MB以上
■その他 Play Station Network対応、AVチャット対応
■総説明書ページ数 13ページ
■推定クリア時間 5〜8時間(エンディング目的)、200時間以上(完全攻略目的)
ロシアの過激派テロリスト、イムラン・ザカエフ。スターリンを崇拝し、旧ソ連の理想を蘇られようと目論む超国家主義者である彼は、野望の障害になるアメリカに対抗する為、中東の反米武装テロ組織を率いるアル・アサドと手を組む。国歌と人権を超えた国際テロネットワークが組織され、彼らは大規模なテロ活動計画に乗り出す。

この情報を察知したイギリス陸軍特殊部隊SASはアメリカ海兵隊に協力を要請。
テロ計画を阻止する為、共同作戦を展開する。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆アクション映画さながらのスピード感に秀でた、『キャンペーン』のゲーム展開
◆ボロ衣同然に死ぬ兵士達、飛び交う銃弾と仰々しい爆音など、プレイヤーに戦争の恐怖と臨場感を嫌というほど見せ付けるフィールドマップ
◆チュートリアルの攻略状況で選択範囲が変化する、良心的な設計の難易度選択機能
◆一人称の主観視点を最大限に活かした、シームレスで迫力満点の演出(中でもゲーム中盤の核爆発シーンは必見)
◆様々な人間の思惑が錯綜する、見応え抜群の『キャンペーン』のストーリー
◆ワンボタンで敵に狙いを定める機能など、細かい配慮も成された良好な操作性
◆FPS初心者から上級者まで幅広くカバーした適切なゲームバランス
◆豊富なリトライポイントに目的地表示機能など、痒い所まで手の行き届いた配慮の数々
◆銃撃戦に脱出、更には爆撃まで、バリエーション豊かな『キャンペーン』のミッション
◆銃撃戦の臨場感と恐怖を煽り立てる、生々しい銃撃音
◆プレイヤーの没入感を引き立てる、臨場感・現実味満点のグラフィック
◆対人戦ならではの極上の緊張感、膨大なやり込み要素に経験値による強化システムなど、強烈な魅力に秀でた『オンラインマルチプレイ』
◆クリアまでは短いが、オンラインも含めてやり込むと底無し沼と化す総計ボリューム
◆死亡時(ゲームオーバー時)に表示される、歴史上の人物達の印象深い名言の数々

--- Bad Point ---
◆台詞の文字化け(あまりに見苦しい)
◆手榴弾の異常な強さと近くに投げられた際のアイコン表示の見難さ(少し巻き込まれただけで即死。設定に忠実とは言え、ちと強力過ぎ)
◆耐性の無い方なら「コロリ」と撃沈しかねない傾き演出(もの凄い角度に傾く)
◆現実感まるで無しな上、バランス調整の面でも苦しさが見える無限に湧く敵兵達
◆『キャンペーン』後半で登場するドーベルマン対処の難しさ
◆死亡しても経験値が入る対策が組まれているとは言え、FPS初心者には正直、手厳しい仕様であるとも言わざるを得ない『オンラインマルチプレイ』のシステム全般
◆コンパス風の作りな為、若干分かり難い目的地表示
▼Review ≪Last Update : 12/26/2010≫
「宣戦布告するのは老人だ。だが戦って死ななければならないのは若者だ。」

ハーバート・フーバー(アメリカ合衆国第31代大統領)


Microsoft Windows、Mac OSなどのパソコン向けに販売。映画的な演出と圧倒的な臨場感で数々の賞を受賞した伝説的なFPS『コール オブ デューティ』シリーズの第四作目。第二次世界大戦などの過去の戦争を描いてたシリーズとしては初めて、現代戦を舞台とした作品である。開発は初代と第二作目を手掛けたInfinity Ward。

一人称視点ならではの迫力満点の演出が光る、珠玉の力作だ。

ゲーム内容は3D主観視点で展開する、ファースト・パーソン・シューター(FPS)。豊富な銃火器を使いこなして目前の敵を撃破し、戦場を駆け抜けていくというものだ。
ゲームモードはシングルプレイの『キャンペーン』と『アーケード』、オンライン対戦などが楽しめる『マルチプレイ』の計三種類を収録。この内、『アーケード』だけは『キャンペーン』をクリアする事で開放されるモードとなっている。事実上のメインモードとなるのは『キャンペーン』。ストーリーを追いながら状況に応じて課せられるミッションを遂行していく。
本編は基本、一本道で展開。章(ACT)単位の区切りがあり、一定量のミッションを攻略すると次のACTへと進む仕組みとなっている。また、章ごとに異なる主人公が設定されており、それぞれの角度から見たストーリー、ミッションが展開するザッピング方式も起用されている。ただ、一本道進行の為、主人公変更は強制的に行われる仕様。自由度は気持ち低めとなっている。しかしそれを補うように、銃撃戦や目標物爆破と言った多種多様なミッションを収録しているので、密度は恐ろしく濃い。全体の構成はまさにシンプルの極致と言った具合だが、それ故の飽きさせない工夫は万全。自由度が低いとは言え、非常に起伏に富んだゲーム展開が楽しめる仕上がりとなっている。
更にシステム周りには遊び易さへの配慮も際立つ。スムーズなゲーム進行を補助する為の目的地表示システム、致命傷を受けてもその場で少し待機する事で自動的に回復が行われる体力システムなど、FPSに苦手意識のある方でも安心して楽しめる為の工夫が豊富に仕込まれている。操作性も左右2つのスティックを使用するスタイルで、多少の慣れが求められるが、ワンボタンで対象の敵に狙いを定められる機能も搭載しているので意外に親切設計。そして、難易度選択システムも標準装備。しかも、ただゲームスタート時に選ぶ方式ではなく、チュートリアル(操作、アクション解説)の攻略状況によって選べる難易度の種類が変化するユニークな仕様となっている。この恩恵もあって、自分の腕に見合わぬ難易度を選び、後で泣きを見る事故が今作では起き難い。またきちんとした過程に基づいて難易度を厳選してくれるので、確かな説得力もある。放任的な仕様も仕様で、自由に選べるのが大きな魅力だが、こういう腕前を見た上で選択範囲を調整してくれるのはプレイヤー思いの優しさが滲み出てて凄く良心的。変な差別意識を与えない点でも、大変秀逸だと言えるだろう。地味な所だが、チュートリアル自体もゲームのストーリーに沿っており、確立した世界観を表現している辺りも見逃せないところだ。何かと硬派なゲームというイメージが根付いてるFPSだが、今作ではこんな具合に硬派さを和らげる配慮が充実。かと言って、中身の方では一切妥協しないなど、基本も抑えつつ、遊び易さも大事にするという非常に高度なゲームデザイン、レベルデザインが図られた内容に仕上げられている。
『キャンペーン』だけでなく、他の『アーケード』、『マルチプレイ』においても遊び易さと独自の要素、そしてFPSの基本的なゲーム性を抑えた作り込みが徹底されている。特に『マルチプレイ』、その中でもオンライン対戦はシステム、ボリューム共に強烈極まりない。相手を倒して経験値を稼ぎながらレベルを上げ、武器やスキル(特技)を解放し、戦いを経験していくその内容は、日常生活に支障をきたすほどの圧倒的な中毒性に秀でている。実力差を埋める為、経験値は仮に敗北しても入る仕組みであるなど、初めてのプレイヤーにも優しい配慮も万全。意外と間口は広く、良心的な設計となっている。対戦ルールも通常戦闘(フリー・フォー・オール)、目標物爆破(サーチ・アンド・デストロイ)など、非常に豊富。戦略も幅広く、遊び込めば遊び込むほどに発見があり、更に戦術が広がっていくのでまさに底知らず。『チャレンジ』なる全百以上もの課題を攻略するやり込み要素も実装されてるので、冗談抜きにほぼ一生モノである。
純粋なFPSとしてのゲーム性と遊び易さを抑えるだけに留まらず、遊び込む面白さと恐怖まで詰め込む凄まじさ。『キャンペーン』のゲームデザインも結構なものだが、オンラインなどの周辺要素への気合いの入れっぷりも尋常でない。あらゆる要素が本気という名の塊。基本バッチリ、やり込みもバッチリと、尋常でない作り込みが光るFPSなのだ。

しかし、そんな基本と遊び易さを抑えたゲームデザインと中毒性の高いオンラインが今作最大の魅力という訳ではなかったりする。それらも大きな魅力的であるのは間違いないのだが、それ以上に今作は『キャンペーン』における演出の素晴らしさが目を惹く。一人称視点である事を最大限に活かした、衝撃的なカットが沢山仕込まれているのである。
例を挙げれば、船内が舞台のミッションで沈没が始まった際、画面が凄い角度に傾いたり、建物倒壊時には本物同然の大きな爆発音が鳴り響いたりなど。自分が主人公として、本当にそこにいるかのような錯覚を覚えるシーンが豊富に詰め込まれているのである。しかも、今作はストーリーもゲームに合わせてシームレスに展開する方式を起用しているので没入感も桁違い。ムービーに切り替わらず、そのままの画面(一人称視点)で全てのストーリーが展開するので、文字通りにその瞬間が体感できてしまう。裏切り者が銃殺刑に処せられる、本来ならムービーデモで片付けられる場面ですら、だ。そういう所まで今作は、プレイヤーに直接体感させるという驚愕の手法を取ってしまっている。ムービーデモなんて章の始まり以外では一切流さず、ゲームの展開に沿ってその瞬間を体感させてしまうのだ。とてつもない凝りっぷりである。主観視点の特徴、そしてその視点だからこそ表現できる事、それらを極めて高いレベルで突き詰めている。
特に強烈なのは、中盤の核爆弾が爆発するシーンだ。ネタバレに触れるので、何がきっかけで核爆弾が爆発するのかは秘密だが、ここは主観視点だからこそ可能な表現の集大成と言っても良いほど、強烈な印象を残す場面に仕上げられている。しかも単に見た目が凄いだけでなく、操作性にまでその表現を加えているのだ。詳しく語れないのが辛いが、ここは単にFPS好きだけでなく、ゲームが好きな方ならば絶対に見ておくべき部分と言っても良いだろう。主観視点の強みとは、そして見せられるものとは。その可能性を突き詰めた成果がここにある。要チェックだ。 また、そう言った迫力の演出と共に展開するミッションも基本の銃撃戦から敵地潜入、救出活動と実にバリエーション豊か。中には爆撃機に乗り込んで航空支援を行う奇抜なミッションも用意されているなど、最初から最後までFPSとして通している訳でない辺りもユニークだ。しかも、ちゃんとモノクロの画面で展開するこだわりまで炸裂してる凝り様。豊富でダレない展開もさることながら、現代戦という設定を尊重した細かな配慮と作り込みも、演出と並んでプレイヤーの目を見張る。
そして、ゲームと合わせてシームレスに展開するストーリーも様々な人間の思惑が錯綜する、見応えのある内容で丁寧に作られている。また、ゲーム部分に言葉で語らない戦争の悲惨さを織り交ぜた手法も絶妙だ。本編では基本的に多人数で行動する場面が多いのだが、その行動してた仲間が銃撃戦の最中、唐突に殺されてしまったりと、プレイヤーに最も分かり易い形で生と死が行き交う戦争の事実を見せ付ける。結局、誰も死なないなんてのは妄想同然、と切り捨てるかのようなその潔さ、ゲーム体験と同時にそれを見せ付ける手法はあまりにエグい(良い意味で)。その生々しさは、もはやエンターテインメントの域を超えてると言っても良いだろう。ボロ衣同然に死ぬ仲間達だけでなく、戦場の恐怖感を煽る激しい銃声、爆発音もストーリーや先の演出をより魅力的なものへと引き立てている。こんな事が現実に起きたら怖い、と嫌になるくらいプレイヤーに見せ付ける凄まじさも、ゲームという枠を越えたインパクトに満ち溢れている。
テキストで語らず直接体験させる事で、戦争の恐怖を伝える。一方で、ゲームとして楽しめるようにもする。言葉で表すと簡単だが、実際にやるにしても相当なセンスと技術力が無くしては不可能な事だろう。そんな難しい事を今作は見事、成し得てしまっているのだから驚かされる。一体、どんな技を持ってして仕立て上げたのか、聞いてみたくなる限りだ。そして改めて、戦争の恐怖を描くに当たり、FPSというジャンルが如何に適しているか。そんな事実を確認させられる。
主観視点の可能性を突き詰め、多彩な体験をプレイヤーへ提供するゲームの追求。そして、戦争の悲惨さを考えさせるストーリーの追求。それら二つを絶妙なバランスで絡み合わせ、プレイヤーに双方の体験を提供させた今作は、まさにゲームの範疇を飛び越えたエンターテインメントを提示したと言っても過言ではない。純粋にFPSとしても、確かな力作。主に演出面はこの手の戦争モノの中では、トップクラスの出来と言えるだろう。

演出的に見所満載の『キャンペーン』だけでなく、やり込めばほぼ一生モノのボリュームと中毒性を誇るオンラインマルチプレイも魅力的。『キャンペーン』は正直、ボリューム的には短めであっさり終わってしまう為、やや物足りない感じなのだが、その物足りなさをオンラインが補ってくれる。特にチャレンジの項目が恐ろしく多く、やり込みだすと百時間は余裕で超える。しかも対戦自体も白熱必至の面白さなので、コンプリートしても飽きが来ない恐怖の一面がある。まさに廃人仕様。見所満載の内容だが、やり過ぎには要注意だ。
ゲームバランスも良好。各種難易度別の味付けもしっかりしており、最低難易度では若干、ゴリ押しが効くのに対し、最高難易度では相手の出方をよく見た上での攻撃が求められたり、一発でも弾を浴びれば致命傷になるなどの差別化が上手く図られている。また、仮に死亡してもチェックポイントからすぐ再開できるなど、ストレスを軽減する配慮が成されてるのも秀逸だ。この辺はさすが最近の海外製ゲームと言ったところ。遊び易さへのこだわりには頭が下がる。
グラフィックも効果音に負けず劣らず、臨場感抜群。多数の銃弾が飛び交い、多くの人間が戦い合う様はとてつもない迫力に満ちている。エフェクト周りも派手で、先の核爆発のシーン全般は度肝を抜かれること、間違いなしだ。

また、ゲームオーバーになった際に挿入される著名人による名言も実に印象深く、戦争について考えさせられるものが多い。妙な事ではあるが、そんなゲームオーバーになった時なりの楽しみがあるのも、今作の魅力の一つと言える。
ただ格言は良いとして、ストーリーの台詞に誤訳が目立つのは残念。中には文字化けしてるのもあったりと、適当な仕事ぶりが目立つ。折角、ゲームが良い出来なのにこういう些細な部分で落としてしまっているのは勿体無い。
また、キャンペーンの目的地表示がコンパス方式でやや分かり難い、オンラインも初心者への救済があるとは言え、やや慣れが求められる仕様なのも少し残念だ。しかし、それを含めても今作の完成度の高さは鉄板だ。一人称視点の可能性を突き詰めた演出に盛り沢山のオンラインなど、全てが高いレベルでまとめられている。純粋にゲームとしてでなく、ストーリーも考えさせられる内容に仕上げられているなど、全体を通して制作スタッフの規格外のセンスが炸裂している今作。FPS好きは勿論のこと、PS3(またはXbox360)を持ってる方なら一度はプレイする価値のある傑作だ。この迫力とテーマ性、計り知れぬ凄さがある。お薦めの逸品です。
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