≫バイオニックコマンドー
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■発売元 |
カプコン |
■開発元 |
GRIN |
■ジャンル |
新世代スウィングアクション |
■CERO |
D(17歳以上対象) ※過度の暴力・出血描写あり |
■定価 |
7340円(税込) |
■公式サイト |
≫こちら |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1人(オンラインプレイ時:2〜8人) |
■セーブデータ数 |
3つ(※セーブ容量:2580KB以上) |
■必要HDD容量 |
1850MB以上(※インストール必須) |
■その他 |
DUALSHOCK3対応、PLAYSTATION3用ワイヤレスヘッドセット対応、PlayStation Network対応、トロフィー機能対応 |
■総説明書ページ数 |
33ページ |
■推定クリア時間 |
8〜10時間(エンディング目的)、25〜35時間以上(完全攻略目的) |
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10年前、バイオニックコマンドーのネイサンR.A.Dスペンサーは苦闘の末、ファシズムを信奉する総統キルット率いる帝国軍を打ち破り、その秘密兵器『アルバトロス』を破壊。帰還したスペンサーと”スーパージョー”ことジョセフ・ギブソンは、全国民の称賛を受け、英雄として祝福された。
スペンサーの活躍によって、彼にバイオニック・アームを授けた諜報機関『TASC(タスク)』が推進するバイオニクス(生体工学)・プログラムへの需要は飛躍的に高まり、TASCの権力は全盛期を迎え、バイオニックパーツで全身を強化した諜報員が次々に誕生することになる。
だが、スペンサーがアメリカ連邦国(FSA)政府から下された任務を失敗し、国家反逆罪で死刑判決を言い渡された後、状況は一変。バイオニックへの不信感が巷を席巻し、支持派と反対派による対立が深まり、暴動へと拡大していったのだ。
痺れを切らした政府は、バイオニクス・プログラムの廃止を決定付ける大統領令を発令。だが、この強硬手段が裏目に出て、支持派の暴動は拡大。またTASCのバイオニック兵達は、バイオニックパーツを奪われる事に反発し、逃亡した。
やがて混乱は収まり、バイオニック技術は完全に葬り去られた。
しかし、その平穏を覆す恐るべき自体が今、再びFSAを襲おうとしていた。
この物語はここから始まる。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆3Dになり、劇的にその迫力が増したワイヤーアクション(スウィングアクション)
◆3Dになっても、従来の一本道構成を守り抜いた、こだわり満点のゲーム展開
◆銃火器による攻撃のみならず、パンチからワイヤーによる蹴り飛ばしまで、よりダイナミック且つ、多彩なものに進化したスペンサーのアクション
◆陰湿だが、進むべき方向の分かり易さを綺麗に演出している『放射能地帯』
◆銃火器でなく、ワイヤーを使わせる事を強調した、独特の戦闘バランス
◆丁寧なレクチャーと構成が秀逸な、ワイヤーアクションのチュートリアル
◆荒廃した都市、広大な洞窟から巨大兵器まで、ロケーション豊かなステージ
◆ほぼ全てのボタンを使いながらも直感的に動かせる、抜群の操作性
◆昔のカプコンらしさ溢れる、歯応え満点ながらも絶妙なゲームバランス
◆本編とは180度異なる、80年代のアニメテイストが逆に面白い、水木一郎応援ソングで展開する熱過ぎる特典映像
◆大体8〜10時間で決着する、前作のノリを忠実に継承した程好い全体ボリューム
◆トロフィー収集、難易度別チャレンジなど、適度に充実したやり込み要素
◆ワイヤーアクションの迫力を引き立てる、臨場感満点の美麗なグラフィック
◆各シチュエーションを無駄に盛り上げる、オーケストラ風の秀逸な音楽
◆ムービーを少なくし、ゲームパートと連携させるこだわりが見事なデモ演出
◆高低差の激しいマップで戦う、その内容が斬新なオンライン対戦プレイ
--- Bad Point ---
◆操作の癖が強く、慣れるまでは大変なワイヤーアクション(スウィングアクション)
◆リトライ時の地味に長いロード時間(ここは無くすか、短縮して欲しかった)
◆アクションゲーム初心者お断りの硬派な難易度(一番簡単な難易度でもきつい)
◆攻撃命中時の音が弱く、やや分かり難いダメージ判定(手応えが弱いのも気になる)
◆消化不良気味なストーリー(回収されない伏線など、ワザとらしい演出がチラホラ)
◆青い煙の薄い所でもアウトだったりなど、境界線が曖昧過ぎる放射能地帯(入ってゲームオーバーになるまでも早い)
◆水や炎に触れてからゲームオーバーになるまでの時間の早さ
◆一部、吹き替えされてない英語ボイスの台詞(どうせなら日本語吹き替えを…)
◆絶対に1周で集めなければならない仕様の収集アイテム(2周目とかあっても…)
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▼Review ≪Last Update : 10/4/2009≫
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私がまだ若かった頃に出会った、一人の男のその後を語ろう。
20年来の続編、ここに降臨。
ワイヤーアクションなる特殊なアクションによる高いゲーム性、現代にヒットラーが蘇ると言う衝撃のストーリーでカルト的な名作として評価されたファミコン用ソフト、『ヒットラーの復活 TOP SECRET(※バイオニックコマンドー マスターD復活計画)』の20年ぶりとなる続編。開発はスウェーデンの製作スタジオGRINが担当。
荒削りだが、旧作の高いアクション性と麻薬的な中毒性を見事に進化・継承した、力作アクションゲームだ。
基本的な内容は、ガンシューティングの要素を含んだ3Dアクションゲーム。主人公ネイサン”RAD”スペンサーを操り、道中で課せられるミッションをこなしつつ、ステージを進めて行くというものだ。旧作『ヒットラーの復活(マスターD復活計画)』にあった全体マップ、遭遇戦ステージ、中立エリア等は今作では廃されており、ひたすら前へ前へと進んで行く、シンプルなアクションゲームに改められている。
また、TPS(サードパーソンシューター)の要素も新たに導入。武器である銃火器全てに弾量制限が設けられるなど、旧作とは異なる味付けが成されており、敵との戦闘が多少ながら、シビアになっている。プレイヤーアクション全般も然り。銃火器による攻撃のほか、パンチ、マップ上に設置されたオブジェクト(物)を殴り飛ばす、急降下など、バリエーションが大幅に増強。銃火器による攻撃だけに留まらぬ、多彩なアクションの数々が楽しめるようになっている。
だが…何と言っても、彼のアクションで最も進化したのは、今作最大の特色である、ワイヤーアクション(スウィングアクション)だ。天井や壁等のオブジェクトにワイヤーをかけ(フックし)、ターザンのように振り子運動(スウィング)をし、その勢いで飛ぶ…これまでの感覚はそのままに、3Dならではの圧倒的臨場感、物理演算によるリアルな動作感をプラス。かつてない程にスリリングで、迫力満点のアクションに生まれ変わっている。その操作感も、実にダイナミック。物理演算に基づき、少しだけ方向が傾くなど、現実であり得そうなスウィング動作をするので、2Dでは到底味わえない、あまりに生々しい手応えを感じ取ることができる。
しかしその反面、アクション自体の癖の強さも2D以上にアップ。スウィング方向の調整など、3Dならではのテクニックが求められてくるので、アクション自体の敷居はかなり高くなっている。また、飛距離の計算から、連続してスウィングしていく場合のオブジェクトの位置関係の把握など、2Dにもあったテクニックも必要となってくるので尚更。アクション自体の迫力だけでなく、その癖自体も大幅にパワーアップしてしまっている。
ただ、慣れてしまえば、あとは自分の思う通り動かせるようになるのはいつも通り。3Dに大きく様変わりしたとは言え、それに関してはちゃんと「わかった」バランス調整が成されている。そして、回を重ねていくにつれ、よりダイナミックなプレイができるようになっていく、自分自身の成長を感じ取れる過程もまた然り。
またワイヤーアクションは、単に2Dを3D用に改めただけに留まらない。道中に群がるドラム缶などの物を投げたり、敵にフックして飛び蹴りをするなど、ワイヤー自体の用途も、大きく広げられている。それまで、移動手段用の武器に過ぎなかったワイヤーが、攻撃にも活用できるようになったその変わりぶりには、旧作を遊び込んだプレイヤーならば、大きな衝撃を受けること請け合いだ。純粋にアクションとしても爽快感満点で、特に飛び蹴り攻撃は威力も高く、思わず中毒になってしまうほど。他のアクションゲームでは到底味わえないその気持ちよさには、つい魅了されてしまうだろう。
更に今作では、プレイヤーキャラのジャンプもできるように(旧作では不可能だった)なり、これとの組み合わせ次第で、より自由度の高いワイヤーアクションが可能になったのも見逃せない進化だ。一見、届きそうに無いポイントに、無理矢理ジャンプで近づき、ワイヤーでフックするなど、その用途の広さもかなりのもので、プレイヤーを飽きさせない。
この他、ビルの壁等にフックする事で高いジャンプができ、足場へと乗り上げる事ができたり、フック可能な所には照準が表示されるようにされているなど、アクションの快適さを演出する配慮も徹底されている。
ゲーム自体は旧作とは別物だが、アクションの気持ちよさと癖の強さは変化は無し。今風でもあるのだが、昔ながらの良さも残した、旧作の「らしさ」を尊重した作りとなっている。理想的な現代アレンジ、と言ってもおかしくは無いだろう。
そんな今作最大の売りは、やはりこの3Dに進化したワイヤーアクション(スウィングアクション)の気持ち良さと麻薬的な中毒性に尽きる。これは今作の3D版に限らず、2D版にも言える事だが正直、誰でも簡単にできるようになるアクションではない。スウィングの動作など癖の強い所が多く、始めはその感覚を掴むのに四苦八苦してしまうだろう。そして、あまりに上手く動かせないのをきっかけに、人によってはコントローラを投げたくなる衝動に駆られてしまうかもしれない。だが、逆にそれを自分のものにしてしまえば、爆発的に面白くなるアクションなのだ。
今作の3D版も、その面白さを完璧に再現している。ゲームを始めて間もない頃の上手く動かせない(飛べない)が故のもどかしさ、後半になってからのスムーズに動かせるようになってくる気持ち良さ。そして、2周目以降からの自分自身が、プロ並にアクションをこなせるようになっている事に気付く、高い充実感。その全てが紛れも無く、『ヒットラーの復活』のワイヤーアクションの再現且つ、進化系となっている。
特に今作の場合、3Dに変わった事で、上達への見返りが大きくなったのが秀逸だ。2Dでは、ワイヤーアクションがスムーズに行えるようになる程度であったのが、3Dではそれに加え、プレイヤー自身が風になったかのような快感まで味わえるようになったので、得られる気持ち良さが倍増している。更に3Dになった事でアクションの迫力も倍増し、上手くなればなるほど、ハリウッドのアクション映画並のド派手なプレイができるようになってくる過程も、2Dでは味わえなかった高い充実感を提供してくれる。そして、それらから醸し出される、麻薬的な中毒性。上手くなればなるほど、「もっとスムーズに!もっと華麗に!」と欲求が高まって行くので、何度も何度もスウィングしたくなる衝動が抑えられなくなってくる。旧作でも、上手くなればなるほど、また遊びたくなる中毒性はあったが、今作は見返りの大きさもあってか、レベルの高さが桁違い。3Dだからこそ表現できた諸々の魅力を上手く活かした、新たな奥深さが加味されたものにパワーアップしているのである。
単に3Dの恩恵だけではない。舞台となるステージの構成も、ワイヤーアクション(スウィングアクション)の楽しさ、緊張感を余す事無く引き出そうとするこだわりが炸裂しており、プレイヤーの上達への意欲、そしてアクションそのものの面白さを大いに煽り立てる。移動面だけでなく、敵との戦いのパートにおいても、銃火器より、ワイヤーで戦えるようにすると有利になるシチュエーションが多く、「ワイヤーは移動だけじゃなく、戦いでも使って欲しい」というメッセージが込められているのにも、今作がワイヤーが主役のアクションゲームであるのだ、という事に対するこだわりを感じ取れる。
また、今作ではプレイヤーの行動を制限する意味で、ステージには『放射能地帯』と呼ばれる、突入すると即死するエリアも設けられているのだが、これもプレイヤーの移動すべき方向を示す為のものとして、上手く機能している。3Dである故、仮に自由にワイヤーアクションで移動できてしまうと、逆にプレイヤー自身は行き先を見失ってしまいがちだ。それに、元々『ヒットラーの復活』は一本道のアクションゲーム。そんな元の良さを活かす為、3Dアクションの分かり易さを演出する為、このような処置が成されているのには、まさに『ヒットラーの復活』に対するリスペクトの表れと言っても良いだろう。良さを活かす為に行動制限をかけるその思い切りには本当、頭が下がる。実にナイスな配慮だ、の一言に尽きる。
しかし、放射能地帯の見分けのし難さは問題。一応、青い煙がかかった場所が放射能地帯とされているのだが、それが薄い所でもミス判定になったりと、どうにも曖昧な所がある。リアルさを出す為の演出なのかは謎だが、青い煙の所だと絶対にダメ!…みたいな、思い切った仕切りをして頂きたかったところだ。また、このような上達如何が問われるゲームで、リトライの負担が大きいのも褒められない。あまり長く無いのが幸いではあるが、毎回10秒ほどロードが入るようになっていては、プレイヤーのやる気を殺ぎかねないし、ましてやテンポを崩す。マップの読み込みとか、その辺は構わないとして、こういうリトライの負担だけは最低限、軽いものにできなかったものか。本当、この点は悔やまれる限りだ。
しかし、それでもアクションの面白さは凄まじく、少ししかダメージを与えてない実情。欠点があっても、主役がそれを帳消ししている時点で、今作が丹念に練り込まれたゲームだというのは、紛れも無い事実と言っても良いだろう。完璧なゲームではない。しかし、完璧でなくても主役であるワイヤーアクションの面白さは、飛び抜けている。そして、中毒性もまた尋常なき凄味に満ちている。こんな仕上がりになってるのも、全ては『ヒットラーの復活』とアクションゲームに対する愛の賜物。ワイヤーアクションだけでも傑作の評価を与えても言っても良いほど、強烈な面白さを演出しているのだ。単刀直入に言って、それは他のアクションゲームと肩を並べる、いやそれ以上と言っても過言じゃない。それほど凄いのだ。
その他、操作性もほぼ全てのボタンを使うとは言え、違和感なく指にフィットする感触の良さ。レスポンスも素晴らしく、直感的にキャラを動かす楽しみに秀でているのは、さすがはアクションゲームには手馴れたカプコンだけにあると言ったところだ。
全体的な難易度も最低難易度である『ノーマル』ですら高めだが、頑張れば必ず攻略できる絶妙さ。これまた、カプコンらしいバランスとなっている。
総計ボリュームも『ヒットラーの復活』を尊重してメインは8〜10時間程と、控えめに抑えられているのが良い感じ。やり込みも『トロフィー集め』等、充実していてやり甲斐がある。ただ、アイテム収集に関して、必ず一周目以内で全て集めなければならない仕様は意地悪。せめて、収集したアイテムを引き継いだ2周目とか、用意して欲しかった。
ストーリーも正直、イマイチだ。説明不足な描写が多い上、続編を想定したかのような表現があったりして、感情移入し難い。普通に王道の内容にすれば良かっただろうに、この点に関しては変にこだわらないで頂きたかったところだ…。
逆にグラフィックや音楽のレベルは高い。特にグラフィックは大変綺麗で、高層ビルから落下した際のスリルは、他のアクションゲームでは味わえない衝撃に富んでいる。
また、音楽も上質。荘厳なオーケストラ調の熱い曲が盛り沢山で、ゲームプレイを大いに盛り上げる。『ヒットラーの復活』の懐かしの曲もあるなど、ファンサービスもバッチリ。オールドプレイヤーならつい、ニヤリとしてしまうこと間違いなしだ。
その他にも、オンラインによる対戦プレイ、水木一郎氏による熱い応援ソングで展開される特典映像など、見所は満載。
欠点も多くあり、荒削りな印象も否めないが、アクションゲームとしての完成度の高さ、『ヒットラーの復活』に対する並々ならぬ愛の深さは、特筆すべきものがある。
アクションの癖が強過ぎる為、残念ながらアクションゲーム初心者にはお薦めできない。しかし、アクションゲームが好きな方ならば、挑戦するだけの価値は大いにある。
万人向けのゲームではない。しかし、紛れも無い傑作である。
アクションゲームを愛して止まないプレイヤーよ。3Dにパワーアップし、上達の面白さが更に増したワイヤーアクションを是非、体験して頂きたい。『バイオニックコマンドー』、このゲームにはアクションゲーム真の面白さと熱さがある。
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