≫007 Legends
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■発売元 |
Activision |
■開発元 |
Eurocom |
■ジャンル |
スパイアクション |
■ESRB |
Teen(13歳以上対象)
※暴力、出血、犯罪描写あり |
■定価 |
$59.99 |
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▼Information
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■プレイ人数 |
1〜4人(ローカル)、2〜12人(オンライン) |
■セーブデータ数 |
HDDの残り容量によって変化 |
■必要HDD容量 |
5MB以上 |
■その他 |
PlayStation Network対応、振動機能対応、ヘッドセット対応、トロフィー機能対応 |
■総説明書ページ数 |
13ページ |
■推定クリア時間 |
8〜10時間(エンディング目的)、30〜35時間(完全攻略目的) |
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北大西洋条約機構(NATO)の工作員情報を記録したハードディスクが、謎のテロリスト「パトリス」によって強奪された。現地に出向いていた007(ダブルオーセブン)ことジェームズ・ボンドはパトリスを追跡し、列車上での激しい格闘戦の末、当人を追い詰める。だが、同じくパトリスの追跡に参加し、その後方支援を務めていたイヴが放った狙撃がボンドに命中。反動でボンドは列車が走行していた橋の下にある川に転落し、そのまま気を失ってしまった。
そして、走馬灯のように過去の任務の記憶が呼び起こされる…。
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▼Points Check
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--- Good Point ---
◆リニューアル版『ゴールデンアイ 007』(以下、前作)の続編的な作りにまとめられたゲームシステム
◆映画シリーズ全23作(※2012年時点)の中から選び抜かれた5作+最新作をベースに構築されたシングルプレイのメインミッション(シリーズ屈指の名作から異色作まで、チョイスが面白い)
◆過去の名作を現代風に改めたら、という「もしも」で構成された旧5作の世界観とストーリー
◆敵の注意を引いて陣形を崩す、視界外に死体を隠すなど、前作から更に進化したステルス要素
◆パズルの解読、特定パターンの照合など、同じく前作から進化したハッキング要素
◆実質、二本分の内容を盛り込んだボリューム満点の構成に刷新されたミッション内容
◆映画シリーズの名シーンを完璧に押さえた各ミッションの山場(外している箇所皆無!)
◆ミッションの起伏を付ける意図で盛り込んだ、カーチェイスを始めとする特殊アクションシーン
◆NINTENDO64版『ゴールデンアイ007』から復活を遂げた「レーザー銃」、ステルス特化型の「ダーツガン」など、よりバリエーション豊かになった武器(イベント専用のものも存在する豊富さ)
◆自動回復有り、無しが選べるようになり、より幅広い楽しみ方が可能になった難易度選択機能
◆オンラインマルチプレイより逆輸入されたアップグレードシステム(ステータス強化が可能に)
◆ジャンプが導入され、よりコールオブデューティシリーズっぽくなった操作性
◆シングルでも楽しめる課題攻略モードも実装され、より遊び応えが増したオンラインマルチプレイ
◆ミッション1つ単位の密度上昇も相まって、前作以上に増えた総計ボリューム
◆一部、ボイスも含めて原作映画の出演者を起用するこだわりが光るキャスティング(フェリックス、ブロフェルドと言った一部のキャラクターは原作とは異なる新しいキャストが起用されている)
◆作品ごとに映画の主題歌にちなんだ曲を流すなど、ファンサービスもバッチリの音楽
◆何故かマルチプレイ専用キャラクターとして起用された「スカイ・ブリッグズ」(※前作のドバイミッション冒頭で登場した”歩く死亡フラグ”のセキュリティ責任者が何故だかゲスト出演…)
--- Bad Point ---
◆1ミッションのボリューム増大の反動で大幅に長くなったロード時間(30秒以上待たされる)
◆1つクリアするだけでも30分以上、酷ければ1時間費やすことになる各ミッション
◆ミッションのボリューム増大の反動で著しく低下したリプレイ性(タイムアタックが辛すぎる!)
◆全体的に重みのある手応えに改められた操作感(その為、若干ながらモッサリとしている)
◆本格的にはなったが、逆にミッション攻略のテンポを損ねる存在と化したハッキング要素
◆しょっぱすぎる格闘戦イベント(ひたすら指定のボタンを押していくだけ)
◆同じく素っ気ない作りのカーチェイスイベント(内容的にも短く、迫力に欠ける)
◆仕組みこそ進化したが、発見後の解除は前作同様にできないステルス要素
◆作品ごとに2ミッションという制約の関係で、巻き進行が目立つミッションごとのストーリー(結末も中途半端な所で終わってしまう。『女王陛下の007』だけはちゃんとした結末が描かれる)
◆『ムーンレイカー』のミッション終盤で展開されるグローブ破壊パートの理不尽すぎる難易度(操作の複雑さと無限湧きする敵、苛烈なレーザー攻撃の嵐の関係であり得ない難しさになっている)
◆新作撮影の関係か、ダニエル・クレイグ本人の声で喋らないボンド(物真似臭が凄い)
◆一部音楽の露骨な流用(格闘戦の曲が完全に『007 ブラッドストーン』のもの)
◆リザルト画面などにおける小さすぎて読み難い文字の存在(37型のテレビですら確認困難…)
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▼Review ≪Last Update : 10/28/2018≫
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「そんなことは……あり得ないのだよ。」
確かに、歩く死亡フラグの貴方が今作のゲストってのはあり得ない。
映画007シリーズの生誕50周年並びに最新作『スカイフォール』の公開を記念して制作された新作FPS。開発はリメイク版『ゴールデンアイ007』を手掛けたイギリスのゲーム開発会社「Eurocom」が担当。
シリーズファン垂涎の内容ながら、甘過ぎる作り込みで評価を著しく落としている、残念な記念作品だ。
内容は一人称視点で展開するスパイアクションこと、ファースト・パーソン・シューター(FPS)。主人公のジェームズ・ボンドこと007(ダブルオーセブン)を操作し、敵基地への潜入と破壊工作などの任務を遂行していくというものだ。
ゲームシステムはWii(※海外限定でプレイステーション3、Xbox360)向けに発売されたリメイク版『ゴールデンアイ 007』をベースにしており、強化されたステルス要素、ステージクリア型の体裁で構成されたミッション、オンラインマルチプレイ、、スマートフォンを使ったハッキングなどの要素は今作にも引き継がれている。事実上の続編と言っても良い作りだ。
そして、様々な面で変更及び強化が図られている。特に象徴的なのがステルス要素全般の大幅強化。前作は敵に発見され、その対象を倒さず逃げてしまうと問答無用で銃撃戦に突入してしまう極端なものだったが、今作では敵がボンドの存在に気付いた際に「反応ゲージ」が表示されるようになり、これが最大値まで溜まると銃撃戦が発生する仕様に改められた。ユービーアイソフトの『スプリンターセル』、『ファークライ』などのステルス系サード・パーソン・シューター(TPS)、FPSでお馴染みのシステムを取り入れた格好だ。これにより、逃げてやり過ごす選択肢も用意されたほか、敵を誘い出す戦術も駆使できるようになるなど、ステルスゲームならではの立ち回りが演じられるようになっている。
更に今回は敵の死体も消滅しなくなった。その為、巡回中の敵が死体に気付いたり、監視カメラが確認してしまう(※監視範囲内に死体が設置されていた場合)と警戒状態に突入する。よって、気付かれないよう敵を一人ずつ倒し、全滅させる戦術も通用しない。如何にして巡回する敵、監視カメラに異変を気付かされないようにする工夫が要求されてくるようになっている。これもまた、ステルスゲームならではの手応えを演出。前作のゲーム側の都合に合わせた簡易仕様に強い違和感を覚えたプレイヤーなら、今回の仕様とバランスには大いに唸ること間違いなしだ。
スマートフォンによるハッキングもパワーアップしている。前作はWi-Fiハッキングと写真撮影機能だけだったが、新たに「バイオメトリクススキャン(指紋認証と浮き出し)」が追加。これを使った捜索、暗号解読の謎解きが登場する。更に△ボタンで各モードを切り替えられるほか、ハッキングの仕組みも変更。スマホの画面に現れる二つのバーをL2、R2ボタンで調整しながら、バー上を動く赤い光に重ね、パーセンテージを上げていくというものになってる。前作に比べると、面倒臭い作りになってしまっているが、これもまた今作のステルスゲームとしての真価を実感させられるポイントだ。
このスマートフォンの仕様刷新に併せてミッション一つのボリュームも大幅に増大しているほか、要所要所において、特定の敵との一対一の格闘戦が展開されるイベントも導入。ボンドのアクションにも「ジャンプ」が追加されたほか、難易度も「Moden」と「Classic」の二つのモードが選択できるようになり、前作では最高難易度「007クラシック」限定だった体力ゲージ制が「イージー」、「ノーマル」と言った難易度でも楽しめるようになるなど、やり込み甲斐が増している。
勿論、新要素も。代表的なものでは「アップグレード」。今作では武器を使い込むにつれ経験値こと「ポイント」が溜まっていくようになっており、これを消費することで「リフレックスサイト」、「ACOGスコープ」などのオプション装備の購入、体力を始めとするボンド自身のステータス強化を行えるようになった。このアップグレード画面はセレクトボタンを押せばいつでも呼び出せるがし、オプション装備の購入と付け替えは、ミッション道中にある「MI6のジェラルミンケース」を使って実施する限定的なものになっている。いわゆる、オンラインマルチプレイの要素が逆輸入されたかのような感じだ。これにより、ミッション攻略の幅が大幅に広がっている。少し複雑になった感もあるが、FPS初心者にも良心的なシステムとしても完成されていて、難易度選択機能と併せた新たな救済措置としても機能した魅力的なシステムになっている。
他に三種類のダーツを発射するステルス行動時に役立つ「ダーツガン」なる新たな武器が追加。更に復活要素として「レーザー時計」と「レーザー銃」も登場。NINTENDO64版のゴールデンアイを知るプレイヤーなら感涙必至だ。
そして、今作のストーリー、並びに世界観は2012年に公開されたシリーズ第23作『007 スカイフォール』をベースにしており、オープニングで峡谷の川に落下し、意識を失ったボンドが過去の戦いを思い出し、それをプレイヤーが追体験していくというものになっている。
舞台となる作品と簡単な概略は下記の通り。
■ゴールドフィンガー(1964年)
合衆国金塊保管所内部で核爆弾を爆発させ、西側諸国の金の価格を暴騰させようと目論む大富豪オーリック・ゴールドフィンガーの陰謀に挑むミッションが繰り広げられる。
■女王陛下の007(1969年)
アルプス山頂で殺人ウィルスを製造し、世界中にばら撒く陰謀を企てている犯罪組織『スペクター』の首領、エルンスト・スタヴロ・ブロフェルドの陰謀に挑むミッションが繰り広げられる。
■消されたライセンス(1989年)
中東の内戦地に武器を密輸し、ボンドの友人であるCIAエージェント、フェリックス・ライターとその妻に瀕死の重傷を負わせた武器商人フランツ・サンチェスの工場に潜入し、その輸送ルートの壊滅とサンチェス自身の打倒を目指すミッションが繰り広げられる。(※注:原作映画からストーリー、設定が大幅に変更)
■ダイ・アナザー・デイ(2003年)
ダイヤモンド王グスタフ・グレーブスによるダイヤモンドを使った衛星兵器による陰謀を阻止すべく、彼がイベント会場として作り上げた城へと潜り込み、その打倒を目指すミッションが展開される。
■ムーンレイカー:(1979年)
宇宙ステーションから殺人ガスを搭載した爆弾を地球に投下し、全人類の抹殺と理想の世界実現を達成するという狂気に満ちた大富豪ヒューゴ・ドラックスの陰謀に立ち向かうミッションが展開される。
これら5つを攻略すると、『スカイフォール』のミッションが解禁(※要:無料アップデート)。と言っても、中身はダイジェストで、NATOの工作員情報が収められたハードディスクを奪った犯人、パトリスを追跡するミッションとなっている。元々、今作がスカイフォールの公開と併せて発売されたゲームなので止む無き措置だ。
以上、6作品のミッションを攻略していく事になる。なお、各作品はすべて前作のゴールデンアイ同様にダニエル・クレイグ主演の21世紀仕様にアレンジされている為、原作とは大分異なる構成になっている。
『ムーンレイカー』の登場など、全体的にNINTENDO64版ゴールデンアイの隠し要素を製品化した色彩も強く、ストーリーもダイジェスト的に描かれるなど、それっぽさを感じ取れる内容になっている。
なので、ある意味で今作は前作の大型追加コンテンツに該当する内容。システム的にもゴールデンアイを踏襲しているほか、オンライン対応のマルチプレイも継続して実装するなど、それらしさを強く感じる仕上がりになっている。NINTENDO64版の隠し要素が無かった事に不満を覚えた前作経験者には待望の一作と言えるかもしれない。
そんな今作の魅力は映画版007シリーズ6作の名場面を追体験できるミッションだ。過去の007シリーズのストーリーを追体験する要素自体は、先に挙げたNINTENDO64版『ゴールデンアイ 007』があり、今作にも収録されている『ムーンレイカー』、シリーズ第八作目『死ぬのは奴らだ』とその続編で九作目の『黄金銃を持つ男』を原作にしたミッションをプレイすることが事ができた。ただ、どちらも遊べたのは1ミッションのみ。如何にもおまけ的な扱いであった。
今作も作品ごとに用意されたミッションは二つ、ストーリーも端折られているなどおまけ色は強いが、技術の進歩によって、ほぼ映画版そのままのシーンが追体験できるのはファン垂涎モノ。『ゴールドフィンガー』なら合衆国金塊保管所での激しい銃撃戦と内部でのゴールドフィンガーの用心棒「オッドジョブ」との格闘戦、『女王陛下の007』ならボンドガールであるテレサとのスキーでの逃避行、『消されたライセンス』であればトレーラーに次ぐトレーラーを跨いで展開する熾烈な追跡劇、『ダイ・アナザー・デイ』なら氷上でのカーチェイス、『ムーンレイカー』なら無重力の宇宙空間でのレーザーが飛び交う銃撃戦など、映画を見た事のある方ならば覚えのあるシーンがこれでもかと言わんばかりに展開され、それをプレイヤー自身で直接、体験できてしまう。それだけでも、シリーズファンにとってたまらない内容なのは明らかだ。
昨今の技術があってこそ実現したシチュエーションが満載なのも見所。オッドジョブとの格闘戦、カーチェイス、ドアガンナーになっての研究所襲撃は、ファンなら感動間違いなし。NINTENDO64版ゴールデンアイを経験したプレイヤーも、当時とは比べ物にならないほど進歩した演出には度肝を抜かれるだろう。
前作ゴールデンアイの続編としての進化点の数々も秀逸。特にステルス周りの強化が目を見張る。前作にて猛威を振るった、デモを省略(キャンセル)して敵に無力化攻撃を仕掛ける「無力化キャンセル(※勝手に命名)」も、今作では死体が残るようになった事などから通用し難くなり、ゲームバランス的に妥当なものへと再調整されている。そのアクションを楽しんでたプレイヤーには何とも歯痒い再調整だが(苦笑)、結果的にステルスゲームとしての魅力はグッと高まり、スパイが主人公のFPSらしい手応えが得られるようになったのは大きな進歩と言えるだろう。
ミッション内容のバリエーション強化も素晴らしい。銃撃戦や潜入だけに留まらず、カーチェイスやドアガンナーを務める別ジャンル前回の戦闘、簡易だが仇敵との格闘戦など、多種多様なイベントとギミックが仕込まれた事で、一ミッションごとの遊び応えもパワーアップしている。ミッション一つのボリュームも非常に大きく、銃撃戦から潜入、はたまた脱出劇、部屋の調査と起伏に富んだイベントが矢継ぎ早に繰り広げられていくので飽きさせない。前作も前作で、ミッション構成は練られていたが、今作でもそこは継承。続編に当たる作品ならではの売りが炸裂した仕上がりになっている。
他にも新要素「アップグレード」もミッション攻略の幅を広げる機能として働いているのみならず、難易度の緩和にも影響するなど、救済措置としても上手くまとまっている。難易度選択も、体力制のスタイルを選べるようになって遊びの幅が大きく広がり、よりやり込み甲斐のあるシステムへと進化したのも大きな進化と言ってもいいだろう。
そんな具合にファンアイテム、前作『ゴールデンアイ 007』の続編としてもいい感じの今作なのだが、残念ながら総合的な出来は前作に軍配が上がる。その要因は詰め込み過ぎていること。特にボリュームの増したミッションは裏を返せば気軽に遊べなくなって、リプレイ性が著しく落ちた。関連してタイムアタックなどのやり込みも辛くなり、どんなに早くクリアしても30分かかってしまう関係もあって、楽しさ以上に苦しさが勝ってしまっている。
しかも、この反動でロード時間まで長くなった。ミッション開始、リトライ時に30秒以上かかるのだ。さすがにいつの時代のゲームだと言わざるを得ない。そうも長くなるのなら、インストール機能を設けても良いだろうにそれも実装されてない始末で、開発スタッフの神経を疑う。この長さで問題ないと考えていたのだろうか。もし、そうだとしたら絶句するしかない。
新要素もテンポの悪化に繋がっているものが。特にハッキング、パズル系に関しては余計だと言わざるを得ない。一応、スキップにも対応しているとは言え、こう言ったテンポを乱す要素は極力、控えるように気を遣って欲しかった。
格闘戦も作り込みが甘過ぎる。というか、あまりにも作りがしょっぱい。相手の攻撃を回避するという選択肢自体が無く、ほとんどQTE同然になっている。敵によっては違う戦法が求められるなど、差別化を施す余地は十分にあるだろうに、それすらせずにまとめてしまっているのは手抜きに等しい。せめて、前作のゼニア・オナトップ戦ぐらい凝ったものに仕上げてくれれば話は違っていたのだが。他にステルスも敵発見までの過程は自然になった一方、発見後は戦闘状態を解禁できなかったり、ポイントが習得された際の文字が大型テレビでも視認できないほど小さい、ジャンプのアクションが空気など、雑な部分は多数。原作再現も作品ごとに二つのミッションしかないのもあってダイジェスト色が強く、どのミッションも結末が明確に描かれないなど(女王陛下の007は除く)、作り込みが行き届いていない。
元々、今作は『007 スカイフォール』と映画版007シリーズ生誕50周年を祝って作られた背景があり、上記の作り込みの甘い部分は制作スケジュールの関係で詰めれなかった可能性がある。なので、安易に制作スタッフを責められない所があるのだが、それでもロードなど、擁護したくてもできない部分が多々あるので、黙るに黙れない。せめて、その辺が適切であれば、前作の進化系としてソツなくまとまった作品になっていただろうに、粗過ぎとしか言いようの無い様になってしまっているのは残念の一言に尽きる。まさに販促品として作られた事の弊害が現れた出来。前作から進化した所もあるが、それ以上に劣化した所が多い、悲惨な仕上がりになってしまっているのだ。
難易度も一応、簡単から難しいまで、幅広く難易度が選べるのだが、明らかに調整不足な場面が。特に『ムーンレイカー』のグローブ発射装置破壊ミッションはその一例で、破壊対象の装置の配置が分かり難い、無重力空間なのでボンド自身を操作するのが困難、でありながら敵が無限湧きするという理不尽気味なバランスになっている。簡単な難易度でさえ。正直、この一箇所が存在するだけでも、今作のゲームバランスが練り込まれているとは口が裂けても言えない。
操作性も前作のクラシックコントローラの操作を踏襲しているが、×ボタンにジャンプが割り振られた所為でダッシュ移動が左スティックの押し込みになり、微かに悪化している。操作系自体はコールオブデューティシリーズのもので、シリーズ経験者なら直に手に馴染む作りだが、Bボタンでダッシュできたゴールデンアイを考えると劣化していると言わざるを得ない。挙動もやや重くなっていて、前作をやり込んだプレイヤーほど言葉に表現し難い違和感に襲われるかもしれない。
グラフィックに関しては前作を綺麗にしただけのような感じで、HD機のものとしてはちょっと見劣りする。ボンドを始めとするキャラクターのモデリングも最低限のレベルに抑え込んでいて、古臭さを感じてしまうかもしれない。
音楽に関しては前作と変わらず、これぞまさしく007シリーズと言わんばかりの楽曲が揃っている。更に各作品にちなんだミッションでは、その主題歌にちなんだ音楽が流れるなど(特に象徴的なものでは『女王陛下の007』)、ファンサービスもバッチリ押さえた仕上がりになっている。ただ、一部で『007 ブラッドストーン』の曲をそのまま使い回しているのは萎えるところだ。曲自体は悪くない出来なのだが、これまた気になる人は気になってしまうかもしれない。
ボリュームもオンライン対戦のキャラクター育成、そして特別なミッションに挑む「MI6-OPS」と言ったのやり込み要素が充実しているが、肝心の本編が数十のミッションしかないので物足りなさが残る。単純にエンディングを目指すだけなら十分過ぎるほどに密度を感じられるのだが、もう少し数を用意できなかったのかと悔やまれる。更に頼みの綱とも言えるマルチプレイもラグが酷く、プレイするのが困難を極めるという有様。まともにプレイできない。ただ、これは海外専売タイトルゆえの対象外措置(日本からの通信をテストしてない)の可能性もあるので、致し方ないところではある。
その他、演出に関してはゴールデンアイで完成されたものを踏襲しており、カットシーンは迫力十分。各映画に登場したキャラクターの声も故人を除き、映画版で当人を演じた俳優が起用されているのにもこだわりを感じさせられる。なのに、ボンドがダニエル・クレイグ本人でない(ソックリな声の声優が演じている)など、肝心な所を外している。発売時期的にクレイグ本人はスカイフォールの撮影に時間を取られていたと思われるので、スケジュール確保が無理だったことからの苦肉の策なのかもしれないが、これもこれで萎えてしまう部分である。
単純に概略だけ見れば、魅力的な作品のように映る。しかし、実態は販促品として売られた宿命が露骨に現れた、作り込みの甘い仕上がりになってしまっている。ステルスパートの強化にミッションバリエーションの拡大など、ゴールデンアイのシステムを継承した続編なりの進化もあるのだが、それ以上に粗さが際立ってしまっている今作。
単刀直入に言って、熱心な007シリーズファン向けのコレクターアイテムである。前作のゴールデンアイを楽しんだプレイヤー、FPS好きには間違ってもお薦めできない代物。オンライン対戦にしても、日本側からのプレイだとラグが酷いのでお薦めできたものでは無い。こういう記念作品があったんだ、という程度で触れる事を強く推奨します。
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