Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. PlayStation>
  4. メタルギアソリッド
≫メタルギアソリッド
■発売元 コナミ
■ジャンル タクティカル・エスピオナージ・アクション
■CERO C(15歳以上対象) ※出血、暴力描写等あり
■定価 6090円(税込)、PS One Book版:1890円(税込)
ゲームアーカイブズ版:600円(税込)
■公式サイト ≫こちら ※アーカイブズ版
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 残りブロック数により変動(※プレイステーション専用メモリーカード対応:1ファイル作成につき3ブロック使用)
■その他 アナログコントローラ対応、ディスク3枚組(※ゲームディスク2枚+『幻想水滸伝II』の体験版1枚)
■総説明書ページ数 45ページ
■推定クリア時間 8時間〜9時間(エンディング目的)、45〜60時間(完全攻略目的)
21世紀初頭。アラスカ、フォックス諸島沖の孤島『シャドー・モセス』の核兵器廃棄所で演習を行っていたハイテク特殊部隊『FOX HOUND(フォックス・ハウンド)』が突如、武装蜂起。島を占拠した。数百の核弾頭を手にした彼らの要求は『伝説の兵士』ビッグボスの遺体。彼らは24時間以内に要求が受託されない場合、核を発射すると通告した。

史上最大のテロ事件に、元FOX HOUND隊員ソリッド・スネークが呼び戻され、極秘裏に任務が下る。
占拠された核兵器所に単独潜入し、人質として囚われたDARPA(ダーパ)局長ドナルド・アンダーソン、アームズ・テック社社長ケネス・ベイカーを救出、テロリストを排除、武装解除せよ。

タイムリミットは24時間。困難な任務を背負ったスネークは独り、戦場へと向かう。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆従来型アクションゲームの文法から外れた逆転の発想と高い緊張感が異彩を放つゲーム性
◆緊張感抜群のゲーム性を引き立てる、(いい意味で)心臓に悪過ぎる発見時の演出
◆強敵(ボス)との戦い、謎解き、特殊イベントなど潜入だけで終わらないバリエーション豊かなイベントがたっぷり仕込まれた珠玉のレベルデザイン
◆操作しているプレイヤー側にまで攻略が及ぶ、独創的なアイディアが炸裂した謎解きネタ
◆多彩な仕掛けと練られた敵配置が光る、練り込まれたマップデザイン
◆潜入のゲーム性から逸脱した緊張感と常軌を逸したネタが仕込まれた見所満載のボス戦(特にサイコ・マンティス戦)
◆潜入する面白さと難しさを絶妙に体現した練られた難易度設定(初心者、上級者向けに選択機能もしっかり設けるなど、細かい配慮に関しても申し分無し)
◆ゲーム本編の攻略にも密接に絡む描写とプレイステーションのハード性能の限界を突き詰めた作り込みが光るリアルタイム式のムービーデモ
◆ほぼ全てのボタンを使うが、手にしっくり馴染む自然な手応えが見事な操作性
◆ムービー込みだと膨大、カットすると大幅縮小する良くも悪くも個性的な総計ボリューム
◆進行ヒントの提供だけに留まらず、珍妙なお笑いネタまで仕込まれた無線画面
◆プレイステーションの描画機能をフルに活かしたモデリングと緻密な描写が光るグラフィック
◆潜入時は静かに、イベント時は大いに盛り上げる緩急の付け方が上手い印象深い音楽
◆ストーリー、無線などを大いに盛り上げる実力派声優陣による素晴らしい演技
◆やや難解だが、奥深いテーマ性と意外な展開で楽しませてくれるストーリー

--- Bad Point ---
◆全体像を理解するには2周必要なストーリー(ただ、声優陣の熱演もあり、初見でもある程度は理解できる内容)
◆設定に忠実だが、少しシビアさも否めない難易度設定(一番簡単なイージーでもやや難しい)
◆ゲーム本編の約6〜7割を占めるムービーデモ(ゲーム部分は僅か)
◆煩わしい手順を踏む必要のある、使い勝手の悪い格闘攻撃全般
◆格闘に比べると使い勝手は良いが、ある程度の慣れが必要とされる射撃操作
◆隙だらけで視界も狭く、人間味に欠ける敵兵のAI
◆少し過激過ぎる感も否めない出血、欠損描写
▼Review ≪Last Update : 5/27/2012≫
ディスク以外の物全てを捨てた貴方は間違いなく泣きを見る事でしょう。

資源は大切に。


1986年にMSX2用ソフトとして発売され、隠れる事に重きを置いた独自のゲーム性で高い評価を得た『メタルギア』シリーズの最新作にして、ソリッドシリーズ第一弾。

緊張感抜群のゲーム性とドラマティックなストーリーで魅せる、珠玉の傑作だ。

ゲーム内容は敵要塞への潜入を主要目的とした、戦略諜報アクション(ステルスアクション)ゲーム。主人公のソリッド・スネークを操作し、巡回する敵兵の裏を掻い潜ったり、時には強敵との一騎打ちなどのイベントを乗り越えながら、要塞最深部への到達及び、秘密兵器『メタルギア』の破壊を目指すというものである。
グラフィックが3Dポリゴンという事で画面構成及び視点は見た目こそ3Dだが、基本は2D見下ろし型の固定タイプ。ゲームとしてはアクションアドベンチャーに近く、本編はそのスタイルに準じたイベントクリア方式によって展開する仕組みとなっている。基本的には敵兵が巡回する部屋を抜けつつ、目的地への到達を繰り返しながら進めていく感じだ。目的地に到達すると、ストーリー絡みのイベント、或いは戦闘が始まったりする。これらを繰り返しながら、プレイヤーは最終目的のメタルギア破壊へと迫っていく。
システム周りは、極端に言えば銃器で戦うアクションアドベンチャーである。ただ、今作が他のアクションゲーム及び、アクションアドベンチャーと異なる最大の特徴は、敵(主に雑魚敵)との戦闘が死を意味するという事だ。主人公のスネークは隠密潜入のエキスパートであり、敵に見つからず、任務遂行を目指すのが本編における重大な目的として課せられている。つまり、敵に自らの存在を気付かれたりすれば、任務遂行はぶち壊しとなってしまう。そのような背景設定がある為、今作では積極的に戦闘を仕掛けたりするのは御法度。戦闘回避を強く意識し、敵兵の視界の裏を潜り抜けていかなければならないのである。他のアクションゲーム及び、アクションアドベンチャーゲームが積極的に戦闘を仕掛けていきながら遊ぶのを基本としているのに対し、今作の場合は逆。攻撃は仕掛けず、『かくれんぼ』の要領で遊ぶ事を基本とする、特徴的なゲームデザインが図られているのだ。そのような作り故、ゲーム全体の緊張感は相当なもの。何より、敵に見つかった際のペナルティが非常に大きく、増援を呼ばれるのはお約束、武器が揃っていなければあっという間に瀕死寸前にまで追い込まれてしまうというのが、敵と正面から張り合ってはならない事を強く意識させる。敵自体の行動パターンも例え、視界から外れていたとしても、物音を立てれば近寄って着たり、こちらの予想を覆すルートを歩いてきたりと侮れない。さすがにゲームという事で、生身の人間ほどの賢い知能はない。また、敵の動きとその位置は画面に表示される『ソリトンレーダー』と呼ばれるレーダーで逐一表示されるので、動きを読み取る事自体はそれほど難しくない。しかし、見つかった際のペナルティの大きさもあり、その存在から醸し出される恐怖感はかなりのもの。プレイヤーの前に立ちはばかる脅威として、存分に精神面をえぐってくる。同時にこれらの敵の裏を掻い潜り、見事、目的の場所へ到達できた時の開放感、達成感も今作でしか味わえないものが満載。それだけに、緊張感と出し抜く快感を味わいたいが為に何度もやりたくなってしまうという中毒性に秀でているのも非常に魅力的だ。
それでいて、ただ敵の裏を掻い潜り続けるだけのゲームではないというのがミソ。先にも少し触れたが、本編ではイベントで戦闘が発生する事もあり、時には所持する銃火器を駆使し、敵兵と戦う場面も多々用意されている。そして、その戦闘にはアクションゲームではお約束的な存在であるボスも存在。潜入とは異なる一騎打ちまでもが展開されるのだ。なお、ボス戦のルール自体はは体力ゲージを空にすれば勝利と、単純で取っ付き易いものになっている。ただ、それまでの潜入とは異なる操作テクニックが求められてくるので、別の意味での緊張感満点。ボス自体も相手が特殊部隊と言うだけに超人が多いほか、時には巨大な兵器と戦う事もあったりするので侮れない。そんな潜入からかけ離れたシチュエーションには、今作が潜入一辺倒のゲームではないという事を大いに思い知らされるだろう。ボス戦以外にも、本編ではアイテム回収、イベントミニゲームなどの潜入からかけ離れた展開が充実。駆け抜けていく事になるマップにも多彩なトラップが張り巡らされており、単に裏を掻い潜っていけば良いだけの単純な構成に落ち着かせない作り込みが徹底されているのも見逃せないところだ。
敵に見つかってはならない事を嫌でも意識させる作り込み、それによる斬新な手応えと圧倒的な緊張感。そして、驚愕の展開の数々。純粋にかくれんぼをテーマとした内容だけでも十分な新鮮味があるのに、それだけで終わらせない作り込みも徹底して行うこの姿勢。一発ネタに終始してない内容というのは、これだけでも十分お分かりになるだろう。まさに、従来のアクションゲームの文法から外れた逆転の発想と、ゲームとしての面白さの追求が露骨に現れた出来栄え。唯一無二のゲーム体験と感動が堪能できる作品として完成されているのだ。

そして、今作最大の売りはそんな従来のアクションゲームの常識を覆す斬新なゲーム性、プレイヤーを飽きさせない展開を演出する珠玉のレベルデザインの二つに尽きる。
ゲーム性に関しては言わずもがな。敵に気付かれないよう、裏を掻い潜って目的地への到達を目指していくその過程には、敵に発見されても大きなペナルティが無い他のアクションゲームにない緊張感と面白さに満ち溢れている。何と言っても、プレイヤーの悪戯心を適度に刺激させてくれるというのが実に魅力的。こちらに気付かず素通りして行ったり、物音に気付いて近寄ってくるも、気のせいかと勝手に認識して立ち去ってしまう敵兵の姿には、思わず「バカだなぁ」と呟きたくなってしまう背徳的な快感を存分に堪能する事ができる。また、単に気付かれないように突破するだけに留まらず、後方から近付き、格闘攻撃を仕掛けて気絶させると言った不意打ちも今作では可能。相手の後ろからそっと近付き、脇の下をくすぐる悪戯が好きだった方なら、その不意打ち攻撃には自身の悪戯心を大いに刺激させられることだろう。初めはレーダーで敵の動きを読み取り、慎重に行動するだけで精一杯かもしれないが、何度かプレイを重ねていくと、次第に攻撃を仕掛けられるタイミングなどが分かり、徐々に奥深さが増していく。遊べば遊ぶほど、何度も遊びたくなる癖のある面白さと中毒性は、他のアクションゲームやアクションアドベンチャーゲームでは到底味わえない代物。そう言ったアクションゲームに食傷気味な方ほど、今作のゲーム性には強い魅力と関心を惹き付けられるだろう。
潜入だけで終わらせない本編構成ことレベルデザインも素晴らしい。特に全体の構成が巧みで、文字通りのバラエティ豊かな体験をプレイヤーに提供する盛り沢山の内容に完成されている。ボス戦があったり、アクションアドベンチャーらしい凝った謎解きがあったりなど、これでもかと言わんばかりのイベントの数々には確かな充実感と申し分ない手応えを感じ取れること、間違いなしだ。中でもボス戦は戦闘内容も含めて使い回しゼロ、それぞれが固有の戦闘として作られている辺りに並ならぬこだわりと作り込みが炸裂している。それまでの潜入とはかけ離れたその内容だけでも十分なインパクトがあるのに、打撃しか使えない肉弾戦、巨大な兵器との戦い、狙撃戦があったりと、とにかくバリエーションが多彩極まりない。アクションゲームはおろか、ゲーム史上最も珍妙な戦い方を求められるボスも居たりするので尚更だ。そのボスとの戦いがどんな内容なのかはネタバレとなるので伏せるが、きっと遊んだ誰もが爆笑するどころか、一生忘れられなくなるほどの衝撃を受けてしまうだろう。そんなネタを入れるとか、一体、これを作ったスタッフはどんな頭をしているのかと、人によっては突っ込みたくなるかもしれない。ある意味、潜入主体のゲーム性以上と言っても過言ではないそのシーンは、ゲーム好きならば要チェックだ。
マップデザインも要塞故の人工物特有の無機質さはありながら、赤外線センサーによるトラップ、電流地帯、地雷原など、多彩な罠が張り巡らされており、見た目以上に変化に富んだ作りになっているのが見事。要塞外が舞台になる場面もあり、そこでは人間ではなく、狼が敵として襲い掛かってくるなど、意表を付く展開も沢山用意されている。敵兵に関しても、大半が巡回兵とは言え、中には光学迷彩を身にまとって不意打ちを仕掛けてくる者も居たりするので、なかなか侮れない。普通に戦うと意外と手強いなど、敵に見つかる事がタブーとされた今作ならではの調整が施されているなど、徹底したこだわりが凝らされているのも見逃せないところである。
独特のゲーム性もさる事ながら、アクションゲームの基本中の基本とも言えるレベルデザインも今作は全く手を抜かずに作り込まれている。それでいて、ぶっ飛んだボス戦や謎解きなどサービス精神も旺盛で、印象深い思い出が残る内容になっているのも圧巻の一言に尽きる。純粋に不意打ちを繰り返しながら進めていくのも面白いが、そう言った展開周りでの面白さも今作は頭一つ抜けており、唯一無二の魅力を持ったゲームというだけでは終わらせないインパクトがある。あらゆる意味で、逆転し過ぎの発想盛り沢山。唯一無二どころではない、その新鮮な驚きの数々は、ゲーム好きならば何が何でも体験しなければならない価値があると言っても何ら過言ではないだろう。それほどまでに今作は桁違いのインパクトを持った作品になっているのだ。

また、操作性も良好。ほぼ全てのボタンを使う為に敷居は高いが、配置が適切で、意外とすんなり手に馴染む作りになっている。ただ、格闘や武器の使用と言ったアクションはやや癖がある為、練習は必須。アクションゲームが苦手な方には正直、辛い作りと言えるかもしれない。
対し、難易度は選択機能が搭載されている為、初心者から上級者まで幅広く楽しめる調整と設定が凝らされている。一番簡単な難易度も、肝心の潜入のゲーム性を損ねない適切且つ、手応えのあるバランスになっているなど、気を使った調整が図られているのも秀逸だ。
全体のボリュームもエンディングまで平均20時間ほどと充実。但し、これはストーリーも一緒に追った場合で、カットしながらプレイすれば5時間以内とアクションゲームらしい短時間で遊べる内容になっている。また、やり込みも充実しており、中でも敵兵を一切殺さずに本編クリアを目指す『不殺プレイ』はなかなか熱い仕上がり。その戦略的且つ、緊張感に富んだ内容は、今作でしか味わえない快感が満載だ。
グラフィックも高レベルで、プレイステーションの限界を突き詰めた仕上がりになっている。音楽も印象深い楽曲が揃っているだけでなく、敵に発見された時には緊張感のある曲に切り替わるなど、ゲーム全体の緩急を付ける工夫が凝らされているのが秀逸。潜入をテーマとしたゲームならではのその作りも、今作の大きな見所の一つだ。

高クオリティなグラフィックで描かれたリアルタイム方式のムービーデモも完成度が高く、その物量も膨大で見応え抜群。ただ、全体的にムービーデモ自体は長めな上、その数も入れ過ぎと言わんばかりに多い。カット可能とは言うものの、その規模の大きさは賛否が分かれるかもしれない。
その他、ストーリーも会話シーンとどんでん返しの多さもあってかなりの高密度。それでいて、しょーもないギャグが挟まるなど、シリアス一辺倒ではない作りになっていて面白い。特に進行ヒントなどの救済処置として設けられた『無線通信』での会話の数々は必見だ。また、主人公のスネークを初め、キャラクター達はフルボイスで喋るほか、担当声優陣も大塚明夫、青野武、銀河万丈、塩沢兼人など、重鎮揃い。そんな豪華絢爛さも今作の大きな見所だ。
少し至らない部分も散見されるが、全体の出来は上々。潜入主体のゲーム性とバラエティに富んだレベルデザイン、驚愕のネタの数々など、まさに唯一無二の魅力と面白さを売りとしたゲームとして完成されている。圧倒的な緊張感と快感で、プレイヤーに忘れられない体験の数々を提供してくれる今作。プレイステーション本体をお持ちの方ならばプレイする価値大いにアリの傑作だ。好みを分ける部分もある為、万人向けではないが、はまった際の中毒性はかなりのもの。特にアクションゲームが好きな方は是非、機会があったら試してみて欲しい。お薦めの逸品です。
≫トップに戻る≪