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≫GUNNERS HEAVEN(ガンナーズヘヴン)
■発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
■開発元 メディア・ビジョン
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 オリジナル版:5800円(税別)、ゲームアーカイブズ版:571円(税別)
■紹介ページ ≫オリジナル版 / ≫ゲームアーカイブズ版
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 無し(※バックアップ機能・パスワードコンテニュー無し)
■総説明書ページ数 32ページ
■推定クリア時間 4〜6時間
西部大陸アルハザード。
極限にまで発展した機械文明の末、人類は魔導力の存在を確認し、その科学的解明に成功。それまで非科学的なものと切り捨てられた伝説、神話、民間伝承の中に隠された大いなる秘密を突き止めたのである。そして研究が進むにつれ、人々の間に天の精霊と新月の光を宿す天覇の石『秘石ヴァルキリー』の噂が流れる。
トレジャーハンターのアクセル、ルカはヴァルキリーの魅力に惹かれ、西部辺境をめざし、冒険の旅に出る。しかし、そんな彼らの前に現れたのは強大な魔導兵器を駆使する謎の武装集団『パンプキンヘッド』のどす黒い陰謀の渦であった。

そして今ここに、二人とパンプキンヘッド達による大争奪戦の幕が切って落とされる。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆迫り来る敵の群れを重火器で一掃し、ステージを順に攻略していく、アーケードライクの昔懐かしい香りと取っ付き易さ、爽快感が光るゲームシステム
◆パワーアップ後の射撃変化など、明確な個性付けが成された二人のプレイヤーキャラクター
◆制限時間方式という独特の味付けが成されたパワーアップシステム(効果を持続するにはアイテムを取り続けなければならないなど、レースゲームチックなプレイが求められてくる)
◆上方向への回避に特化した『ワイヤー』など、少なめながらも個性的なプレイヤーアクション全般
◆全6ステージという少なさを何ら実感させない、密度十分な総計ボリューム&レベルデザイン
◆見た目とは裏腹の緻密なプレイが求められる、歯応え十分、爽快感も適度に抑えた難易度設定
◆レスポンスの良さとキー配置の違和感の無さが光る、良好な操作性
◆鮮やかな色遣いと緻密な描き込みが異彩を放つ、質の高いドット絵で構成されたグラフィック
◆無駄に飛び散る爆風など、射撃主体のゲーム特有のツボを抑えたエフェクト周りの演出

--- Bad Point ---
◆独創性皆無のゲームシステム(思いっきり『ガンスターヒーローズ』の物真似)
◆「このゲームは『ガンスターヒーローズ』の物真似です」と主張するかの如き、独創性の無さと性格の悪さが滲み出たタイトルロゴ(幾ら物真似にしてもやり過ぎのレベル)
◆歯応え十分にしても、初見殺しの多さは手放しで褒められない難易度設定
◆必ず長期戦になるのに加え、難易度もやたら高めに設定された冗長過ぎるボス戦
◆1ステージ単位の密度こそ高めながら、全体的に水増し感も否めないレベルデザイン
◆アーケードライクなアクションゲームとしては致命的に等しいリプレイ性の弱さ(先のレベルデザイン、ボス戦の問題点もあって気楽に何周も遊べるゲームでは無くなってしまっている)
◆ボリューム面の密度を何ら考慮していない、セーブ機能、パスワードコンティニューシステム非搭載の仕様(こんなボリュームだからこそ実装すべきだった)
◆個性付けこそされているが、若干偏りも見受けられる二人のプレイヤーキャラクター
◆軽快な作風ながら、イマイチ印象に残り難く、ほとんど空気になっている感が否めない音楽
◆軽過ぎる効果音(このせいで爆発関連の演出が地味)
▼Review ≪Last Update : 5/25/2014≫
何故巻き取る!そこはスウィングだろう!

某バイオニックなコマンダー:談


プレイステーションの発売から間もない頃に発売された、新作アクションゲーム。開発は後に『ワイルドアームズ』シリーズで知られる事になるメディア・ビジョンが担当。

何処かで見た感満載のお手軽&爽快アクションシューティングゲームだ。

ゲーム内容は横スクロールで展開する、ステージクリア型アクションシューティングゲーム。アクセル・ソニックス、ルカ・ヘッドフィールドのいずれかのキャラクターを操作し、迫り来る敵の群れを銃火器で撃退し、ステージを攻略していくというものである。本編は一本道進行のアーケードスタイルで展開。各ステージのクリア条件も、最後に待ち構えるボスを倒すだけと、この手のゲームとしては王道のものとなっている。
各ステージにてプレイヤーがやる事も銃火器をぶっ放して迫り来る敵達を撃退し、ひたすら前に進んでいくだけと至極単純。アクションシューティングの定型に忠実過ぎるゲームデザインとなっている。また、プレイヤーが扱う銃火器は、二人の主人公共にスタンダードなショット、レーザー、ファイア、ナパームの計4種類が用意されており、△ボタンを押す事でいつでも切り替える事が可能。敵の数に合わせて連射性能に秀でた武器で戦ったり、ボス戦では長期戦を避ける為に威力の高いファイアで攻めるなど、このシステムを活かした場面も随所に盛り込まれており、複数の武器を状況に応じて使い分ける戦略性が演出されている。更に各種武器は主人公により、そのパワーアップパターンも変化。アクセルの場合は敵を追尾するものに進化したり、ルカの場合は攻撃の範囲が拡大するなど、それぞれのキャラクターで異なる攻撃の妙味を堪能できるようになっている。攻撃周りだけでなく、アクセルは火力重視、ルカはバランス重視と明確な差別化も図られている為、難易度面でも違いが出る。そんな一粒で二度美味しい奥行きも兼ね備えたりなど、やり込み甲斐のある内容になっているのも今作の大きな特徴である。
……と、ここまでの解説から、アクションゲームに詳しい方なら、強烈なデジャヴを感じたと思われる。銃火器をぶっ放し、敵の群れを撃退していくという基本的なゲーム内容。そして、4種類の異なる武器を使いこなすゲーム性と二人の主人公。もう、これだけで大体の詳しい方は気付いていたかもしれないが、今作は1993年にメガドライブで発売され、その高い技術力と爽快なゲーム性で国内外と問わず高い評価を獲得した名作アクションシューティングゲーム『ガンスターヒーローズ』の物真似作品である。もっと時代を遡るのなら、コナミの『魂斗羅』シリーズ、SNKの『メタルスラッグ』シリーズそのまんまな作品である。しかし、アニメっぽい世界観、タイトルロゴのデザイン及び題名から、ベースとなっているのがそれらではなく、『ガンスターヒーローズ』であるというのは、もはや一目瞭然。ゲーム性及び演出周りはビックリするほどそのまんまで、知っている人なら苦笑い必至な内容になってしまっている。無論、世界観などは今作オリジナルではあるが、無駄に飛び散る爆風、銃火器撃ちまくりの本編、やたら変形するボス達などは完全にガンスターのそれなので、これで全く影響を受けていないとか言われても無理がある。そもそも、タイトルロゴと題名からして、『ガンスターヒーローズ』という名前に酷似している時点でバレバレである。ソックリなゲームを作るにしても、そこまで真似る必要はないだろと、思わず呆れるほど酷い有様となっている。完全に類似品レベルだ。
とは言え、何もかもが『ガンスターヒーローズ』と酷似している訳でもない。例えば本編だが、ガンスターはステージセレクト制を採用していたのに対し、今作は一本道のアーケードスタイル。プレイヤーの好みに応じて好きなステージから始められたガンスターよりかは、攻略面の自由度は低めとなっている。
更に先ほど触れたが、パワーアップパターンが主人公ごとに違うのも今作ならではの要素だ。アクセルの場合は追尾するようになったり、ルカの場合は範囲が拡大するなど、明確な違いが現れる為、それぞれで違った展開が楽しめるようになっている。そして肝心のパワーアップシステムも独特。何と制限時間制で、アイテムを取ってパワーアップさせても、画面上部に表示された制限時間の限りでしか効果が続かない。アイテムを取ればダメージを受けるまで効果が永遠に持続するという仕組みではないのだ。その為、持続するには時間を延長するアイテムを取り続けなければならないなど、何処と無くレースゲームを髣髴とさせるようなプレイが求められるバランス設定が成されている。
また、アクション周りにしてもこちらの方ができる事が少ない。ただ、スライディングなど、最低限のアクションは抑えており、物足りなさは全く感じさせない。更に独自のものとして、R2ボタンを押す事で『ワイヤー』発射するというものがある。ワイヤーと言うと、カプコンの『ヒットラーの復活(バイオニックコマンドー)』の振り子運動によるジャンプを人によっては連想するかもしれないが、今作のワイヤーは巻き取り限定の緊急回避専用アクション。基本的に上部に一時的に避難するだけの地味なものになっている。ただ、これを使わないと特定のボスの攻撃が回避できないなど、それなりに使う場面は用意されており、独自のスリルを堪能する事ができる。巻き取りメインなだけに地味な感じは否めないが、回避方向が上限定というその特徴から来るスリルと違和感はなかなかユニーク。意外と見所のあるアクションに仕上げられている。
この他にも、ステージの最後で待ち構えるボスは大半が二段階以上に変形するようになっているほか、二人同時プレイは不可能と言った相違点がある。特にボスはその性質上、どれも長期戦になり易く、かなり歯応えのある難易度になっているのは大きな特徴であり、手応えを求めるプレイヤーにとっては見逃せない売りとも言えるだろう。
しかしながら、撃ちまくる事に主眼を置いたゲーム性故、ソックリ感は全く払拭できていない。また、やたら変形しまくるボスにタイトルロゴデザインなどから、考えたくなくてもガンスターを意識してしまう要素がある為、物真似としてのカラーは濃い目だ。ある意味、時代を感じさせられるとも言える内容。新規プレイヤーはまだしも、スーパーファミコンやメガドライブで発売されたアクションシューティングゲームをプレイ、或いは見てきた方であれば、苦笑い必至の作品に仕上げられている。言葉が悪いが、事実なのだから仕方が無い。典型的な類似品である。

例によって、今作の魅力にして欠点は清々しいほどのソックリ感だ。パワーアップシステムに一部のアクションなど、細かい違いはあれど、ゲーム的には完全にガンスターヒーローズ。経験者であれば、真似し過ぎにも程があると突っ込みたくなるほど新鮮味の無い内容になっている。
それでいて、内容面での物足りなさが凄まじい。銃火器をぶっ放し、敵を倒す爽快感自体はそれなりにあるのだが、ステージ構成や演出周りにおける工夫がイマイチで、アクションシューティングとしての充実感や手応えは及第点に達していない出来にまとまってしまっている。一応、ステージに関しては強制スクロール、シューティングなど、それなりの個性は出せている。だが、基本的に迫り来る敵を銃火器で倒していくことに特化する上、プレイヤーをあっと言わせるようなシチュエーションや突飛な展開が無いので、地味な印象が払拭できない。
比べる事自体が酷ではあるが、メガドライブには無かった様々な機能を高度なプログラミング技術によって実現させたガンスターヒーローズ、その原点に当たるコナミの魂斗羅シリーズ(厳密にはシリーズ三作目である魂斗羅スピリッツ)、同等のゲーム性を持つメタルスラッグシリーズなどと見ても明らかに見劣りする。ましてや、今作はそれらの作品が制作されたハードよりも性能面で恵まれている。なのに突飛な展開も無く、刺激に欠けた作りになってしまっているのには、上辺だけ真似るという浅はかな考えの元で今作が制作されたというのが見え見えだ。この手のガンスター、魂斗羅シリーズを真似たゲームはスーパーファミコンでも『スーパータリカン』、『レンダリングレンジャーR2』などの例があるが、それらよりも演出面、アイディア面で劣ると言うのは如何なものなのだろうか?そもそも、スペック面で恵まれているハードとしての底力を見せようとする気概の無さはあったのか?こんなにも『ガンスターヒーローズ』を真似るというのなら、先に挙げた二作のように只の物真似では済まさせない作り込み、それこそ1ステージに6体以上の大型ボスが登場するとか、軽い探索要素を加えるなど、プレイヤーをあっと言わせるようなシチュエーションの連続、ハード能力をフルに活かしたエフェクトと仰々しい演出にこだわって頂きたかったものだ。
筆者は先に挙げた二作をプレイ済みであるが、それらも基本はガンスターヒーローズや魂斗羅シリーズの物真似だった。しかし、いずれも物真似ではあれどそれで終わらせないという熱い意気込みがその二作にはあった。プレイヤーをあっと言わせようとするサービス精神に溢れていたのだ。そして、元の作品に対する敬意すら感じさせられた。結局、今作にはそんな敬意を払う所も無く、ただの物真似作品で終わらせてしまっているのが、本当、腹立たしい限りである。先に挙げた例がある以上は「負けてたまるかよ!」な本気を出して頂きたかった。個性にこだわるゲーム作りを心掛けて頂きたかったものである。
それのみならず、練り込み不足と思しき点も目立つ。中でもゲームバランス面では初見殺しの要素があまりにも多く、難易度もステージとボス戦とで差があり過ぎるなど、爽快感に秀でた本編に泥を塗るかのような調整が図られているのは褒められたものではない。また、大半のボスが二段階以上変形するその設定故、長期戦にもなり易く、ある意味、ステージのインパクトを食い潰している辺りにもバランス調整の雑さを感じざるを得ない。爽快感を売りにしながらも、ボス戦はガチガチの真剣勝負。面白いバランス付けと言えばそうかもしれないが、相性というのを少しは考えるべきではなかったのではないだろうか。設定自体は悪くないのに、こういう所で台無しになってしまっている辺りにも、今作の浅はかさと言うものを感じてしまう。 とは言え、アクション自体は軽快で、迫り来る敵を一気に仕留めていく快感自体は決して悪いものではない。制限時間方式によるパワーアップシステムも、腕が上達するほど効果時間を継続できるようになり、爽快なプレイが長く味わえるようになっていくなど、リスクとリターンの概念を上手く活かしたものに完成されているのは特筆すべきものがある。ボス戦にしても、全てのボスが二段階以上に変形するという設定の大胆さもさることながら、デザイン自体もかなり緻密な所まで描き込まれており、デザイナーの本気を実感させられるばかりだ。 だが、結果的に褒められる部分と言ったらそれ位で、他は今作の元ネタのみならず、同等の精神で作られたと思しき他の物真似作品にも劣るというします。制限時間制のパワーアップシステムだけが優れた存在感を放っているのに、他がそんな感じでは本末転倒も良い所だ。 この全体に漂う「真似はしてみたけど至りませんでした」な出来栄えには悲しさすら覚えるほど。ある意味、元への配慮、敬意を払った結果なのかもしれないが、もう少しはっちゃけるのも良かったのではないだろうか。先の物真似二作にしても、はっちゃけた事によって結果的にプレイヤーに強烈な印象を残す作品に完成されていた。そんな意気込みを炸裂できていない辺りが全く持って残念極まりないというか、もっと頑張れただろと言いたくなるばかりである。

そうも情けない部分が目立つ今作だが、操作性に関しては及第点。射撃、アクションなどのレスポンスは抜群に良く、動かすだけでも楽しいものに仕上げられている。難易度設定にしても、ボス戦を除けば概ね良好。アーケードスタイルのゲームならではの緊張感と手応えを味わえるバランスにまとまっているのはせめてもの救いと言えるかもしれない。だが、アクセルが火力重視、ルカがバランス重視と設定されているのに、一番楽に本編を進めていけるのが、パワーアップ効果に優れたアクセルの方であるというのには少し引っ掛かりを覚えるところである。
ボリュームも1ステージが気持ち長めなので、それなりに充実感があるのだが、どうにも水増しし過ぎな印象も否めず。ボス戦の難易度がかなり高めに設定されているのもあり、手軽にサクッと遊べないのももどかしさを覚えざるを得ない。こんなにきつい設定なのにパスワードコンティニューやセーブが無いのも配慮不足だ。一応、裏技コマンドによる救済処置が用意されてはいるのだが、それにしても雑過ぎるとしか言い様が無い。
グラフィックに関してはなかなか良質。ドット絵の芸術とも言える職人技が炸裂しており、特に鮮やかな色使いは目を見張るものがある。音楽も全体的に軽快な曲が満載で、派手な展開を適度に盛り上げてくれる。しかしながら、曲自体のインパクトは薄めで、印象に残り難い。一応、ボス戦等、インパクトのある曲はあるのだが、過度な期待は禁物である。

また、演出全般も爆発エフェクトの仰々しさなど、ガンスターを意識した作品なりにツボは抑えているのだが、効果音が軽く、迫力に乏しいのが致命的過ぎる。この手のゲームなら、音楽を聴こえなくさせてしまう程度に重めの爆音を響かせた方が爽快感が増すだろうに、何故に軽めの音を起用してしまったのか。分かっていないにも程がある。そのくせ、ボイス周りはやたら力が入っており、矢尾一樹、日高のり子、三木眞一郎、高山みなみとやたら豪華な声優陣を起用している。しかし、効果音の出来栄えを見れば、力を入れる所が思いっきり間違っているのはもはや言うまでもない。それよりもまず、大事にしないといけない所があるだろう。
一応、フォローする形で言っておくと、ゲーム自体は決して駄作ではない。基本的なアクションシューティングのツボは抑えているし、操作性も軽快で、キャラクターを動かすだけでも十分な楽しさと爽快感を味わえる。しかし、物真似元であるガンスター等に見劣りする部分が多い上、印象的な場面にも欠けるので、ゲーム的なインパクトに乏しい。これをやるぐらいならガンスターか、先の二作を遊んだ方が充実したひと時を過ごせると言っても良いほどだ。
それほどまでに物真似色が濃過ぎる本作。正直、物好き向けの凡作だ。難易度も高めなので、アクションシューティング入門編としても厳しい出来。お薦めとは言い難い一品である。
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