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≫ロックマンメガワールド
■発売元 カプコン
■ジャンル アクション
■CERO(推定) A(全年齢対象)
■定価 8500円(税別)
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3個(※バッテリーバックアップ:リチウム電池形式)
■その他 ファイティングパッド6B対応(※旧3ボタンパッドにも対応)
■総説明書ページ数 36ページ
■推定クリア時間 2〜3時間(シリーズ三作+短編)、8〜12時間(全作合計)
過去、何度もロックマンの前に敗北したDr.ワイリーはその野望を捨てたのか?
或いは、心を入れ替えたのか?

答えは全て違った。
彼は自ら開発したタイムマシーンを使って過去に遡り、ロボット達を復活させて暴れ始めたのだ。
このままでは平和になった歴史が変わってしまう。
ロックマンはワイリーの野望を阻止するべく、ライト博士が急遽開発したタイムマシーンで過去の世界へと旅立った。

果たしてロックマンはワイリーの野望を食い止めることができるのか。
そして、ワイリーが新たに開発した三体の新型ロボットとは何者なのか…!?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆初期のロックマン三作のリメイク版と完全新作をセットにしたお得でボリューム満点の本編
◆歴史改変を目論むワイリーの野望を阻止する為、過去作の世界に向かうというストーリー性を反映させた構成(これにより、三作全てをプレイしなければならない必然性が付けられている)
◆シリーズ初のセーブ機能実装で、難易度の大幅な緩和が実施された初期のロックマン三作(特にパスワードのなかった初代ロックマンがより一層遊び易くなっている)
◆上位ハードに移行したなりのアレンジが施された初期ロックマン三作のグラフィック
◆短編ながら、意欲的なシステムと演出が異彩を放つ作りの本作限りのシナリオ「ワイリータワー」
◆かの有名な伝奇小説『西遊記』をモチーフとしたキャラクターデザイン、シリーズでも他に例を見ない仕掛けが凝らされた「ワイリータワー」限定のオリジナルボス三体
◆全ステージに固有の音楽、背景を設けると言った地味ながらも上位ハードならではの凝った作り込みが図られたワイリータワーステージ(登場するボスにも独特の仕掛けがある)
◆初期ロックマン三作のアレンジだけに留まらず、新曲も豊富に収録された音楽
◆挙動が変化しているものの、シリーズ伝統の取っつき易さは健在の操作性
◆オリジナルと異なる所はあれど、破綻はほとんどなくまとまっている難易度設定
◆地味に豪華なオプション機能(作中の全楽曲聴き放題のサウンドテストを実装)

--- Bad Point ---
◆激しい処理落ち(計算能力に優れたメガドライブのゲームとは思えないぐらい酷い)
◆処理落ちによってオリジナル版とは異なるバランスに調整された一部のボス戦(特に初代ロックマンのイエローデビルは難易度の低下のみならず、戦闘テンポまでオリジナル以上に悪化している)
◆一部、オリジナルと露骨に異なる演出(特に『ロックマン2』のメカドラゴン)
◆ボス撃破演出の劣化(爆発音が大人しい上、よくかき消されるのもあって地味)
◆ダメージを与えている手応えに乏しい撃ち込み音(雑音が鳴り響く感じに…)
◆ややレスポンスの悪さが目立つメニューインターフェース
◆意欲的な作りではあるが、ボリューム的に物足りなさも否めない「ワイリータワー」
◆少し賛否の分かれる初期ロックマン三作のアレンジ曲(概ね上手くアレンジされているが、中にはロックマン3のワイリーステージ3のように間抜けな方向にアレンジされたものも…)
▼Review ≪Last Update : 2/4/2018≫
三蔵法師「私の出番はないのか…。」

無いようです…。


1987年にカプコンよりファミリーコンピュータ(ファミコン)用ソフトとして発売され、高いアクション性と自由度の高いゲームデザインで人気を博し、名実共に同社の看板タイトルとなったアクションゲーム『ロックマン』のメガドライブ向け新作。

一部オリジナル版と仕様が異なる粗い箇所もあるが、リメイクと新作が一緒に遊べる充実した内容が光る良作だ。

内容はステージクリア型の横スクロールアクションゲーム。主人公のロックマンを操作し、自由に選択可能な複数のステージを攻略し、最後に待ち構えるボスを撃退してその特殊武器を獲得しながら、最終ステージを目指すというものだ。
システム周りはファミコンで発売されたロックマンシリーズに準拠。プレイヤーの任意で本編の攻略ルートを構築できる自由度の高さを売りとしたステージセレクトシステム、各ステージのボスを倒すことでロックマンの攻撃手段が増える「特殊武器」、それを特定のボスに使うことで大ダメージを与えられる属性相関の概念は何一つ変わらず踏襲されている。
そもそも、変わらず踏襲されているのも当然の話である。というのも、本作はリメイク作品。シリーズ第一作の『ロックマン』とその続編『ロックマン2 Dr.ワイリーの謎』、『ロックマン3 Dr.ワイリーの最期!?』を一本にまとめて収録したコレクションタイトルなのだ。なので、システム周りが変わっていないのは当たり前も当たり前だ。しかし、各作品は原作のファミコン版がそのまま収録されている訳ではない。メガドライブ用ソフトとして出すに当たって、グラフィック、音楽などは全てハードの仕様に合わせたものに一新。簡素にまとめられていた背景の描き込みがより深まっていたり、音楽全曲がFM音源でアレンジされていたりと言った、上位ハードに移行したなりの恩恵が如実に現れた作りになっている。
更に本作は単なるコレクションタイトルに終わっていない。先述の通り、本作には過去作の世界に逃げて歴史改変を目論むワイリーの野望を阻止するという独自のストーリーが設定されていて、全ての作品を攻略しなければならない必然性をプレイヤーに課している。しかも、それら三作を攻略し終えた後には、本作だけでしか遊べない完全新作のロックマン『ワイリータワー』が出現。三体のオリジナルボスとの戦いを乗り越え、タイトルにもなっているタワーで待ち受けるワイリーを追い詰めるという、新しいストーリーが楽しめるようになるのだ。そんな「好きなものだけ遊べばよい」というコレクションタイトルのプレイスタイルに異を唱えるかのような試みが成されている。ある意味、一つにまとめるなりの意味を突き詰めた形。非常に個性的で、独自色に富んだゲームデザイン、レベルデザインが図られているのである。
また、この内容を考慮して独自の新要素も実装。最も象徴的なものではセーブ機能。ロックマンシリーズと言えば二作目より、ステージをクリアする度に「パスワード」が表示され、それをタイトル画面経由で入力することで途中から再開できるシステムがお約束となっていたが、これが本作では不採用。三作全てを攻略しなければならないボリュームの大きさを考慮してか、当時のアクションゲームのほか、ロールプレイングゲームなどの他ジャンルでも一般的になっていたセーブ機能が搭載されている。この為、本作ではステージクリアの度に表示される「パスワード」をメモに取ったり、覚える必要は一切無し。その仕様に煩わしさを感じていたプレイヤーにとっては待望とも言える仕様に改められている。更に特筆すべきは初代『ロックマン』にもこの機能が反映されていること。オリジナル版経験者ならば御存知の通り、初代にはセーブはおろか、パスワードコンティニューも実装されていないので、エンディングまでやり通すとなれば一日の内にやり通さなければならなかった。慣れれば2時間ほどで攻略できるものの、基本の難易度自体が非常に高めなのもあって、余程の腕前の持ち主でなければ最後のワイリーステージに行くまででいっぱいいっぱい。そんな厳しい作りがセーブ機能によって緩和され、根気さえあれば最後まで行けるようになった。これが同作のクリアを断念した人にとって、どれほど有り難いものかは想像に難くないだろう。他にシリーズ最大のボリュームを誇る『ロックマン3』に関しても、この機能のおかげで本編の攻略にじっくり取り組めるようになったのも同作のクリアを断念したプレイヤーには嬉しい改善点。システム自体はそんなに革新的なものではないが、元々搭載されてなかった作品に備わったのもあって、大きな存在感を放つものになっている。ただ、新作も含めて最後のワイリーステージに関しては細かくセーブは不可能。その辺は原作もパスワードでの対処ができなかった仕様を反映している格好だ。ここだけシビアな点に関しては賛否が分かれるかもしれない。
他に独自要素としては件の『ワイリータワー』に関連するもので、武器選択システムがある。タワー本編はいつものロックマンとは異なり、ボスを倒しても特殊武器が獲得できないのだが、その代わりにロックマン1〜3のサポート系も含めた全ての武器を最初から使えるようになっている。ただし、持ち運べるのはその内の八つ+サポート三つ。それを選ぶ為に件のシステムが取り入れられている。ロックマンとしてはボスから特殊武器を選べないのも含めてかなり奇抜な仕様だが、これによって多種多様な攻略スタイルを構築できるようになっている。また、どの武器を持ち込むか否かで攻略パターン、難易度も変わるなど、従来のロックマンとは異なる戦略・戦術性が描かれているのも面白い。やりようによっては強力な縛りを課して、高難易度プレイに勤しめたりなど、なかなかに侮り難い作り。体験できる場面は限られるが、本作特有の体験が得られるシステムに完成されている。
このように一見、過去作のリメイクを詰め合わせた内容に見せかけて、実は新作も遊べる意外性の強い内容。当時(1990年代前半)、流行していた旧ハードの作品を上位ハードでリメイクする風潮に倣いつつも、他とは一線を画すことにこだわり、オリジナル版の経験があるプレイヤーも新鮮な気持ちで楽しめるようにした、唯一無二の個性を持ったコレクションタイトルに完成されている。むしろ、「オムニバス作品」と表した方が適切かもしれない。

そんな本作の魅力は、先も紹介した過去作品の詰め合わせだけで終わらせていないゲームデザインとレベルデザインだ。上位ハードの技術を用いて再構築し、一つのソフトにまとめただけで終わらせず、何故一つのソフトに複数作入れたかの理由を設定し、独立した作品としてまとめたその内容は非常に面白く、他とは一線を画す個性が表現されている。
特に収録作品の総決算に当たるゲームデザインを施した新作『ワイリータワー』の存在が見事だ。ボリューム的には過去作三作よりも少ない短編なのだが、それまでの三作で培った経験と特殊武器を駆使して、ワイリーとの最終決戦に挑む展開には過去作を詰め合わせた内容だからこそできた独自の遊び応えがある。何より、過去三作で手に入れた特殊武器でワイリーの決戦に挑む展開が最高にロマンに富んでいる。当時の時点で既に五作、外伝も含めるとそれ以上の数がリリースされていたロックマンシリーズだが、ストーリー上の繋がりはあっても、ロックマン自身の基礎ステータスは作品ごとに毎回リセットされる為、前作で使いこなした特殊武器で新たな敵と戦うということはできなかった。言うまでもなく、そんなシステムを実装でもすれば容量的な限界が出て過去作並みのボリュームを堅持するのは難しくなってしまうし、ゲームバランス面でも入念な調整を施さないと破綻しかねない。後者に関しては十分な時間をかければ打開できるかもしれないが、前者に関しては容量的な制約の多い旧ハードで実現するとなれば困難極まりない。何より、そんなシステムを入れたりでもすれば、ますます持ってゲーム自体がシリーズ経験者向けのハードルの高い作品にもなり得る。そう言った制作上の都合、導入時のデメリットを考慮すれば、そのような要素が実装されないのは至極当然の話だし、取り入れようとする動きが生じなかったのも理解できるところではある。しかし、あくまでもそれは続編の話。過去作の詰め合わせて収録できる作品で、制約がある程度緩和される上位ハードなら、それができるのではないのか?実際にそんな考えで作られたのかは関係者のみぞ知るところだが、本作はまさに詰め合わせだからこそ許されたこと、過去作でやるならデメリットになりかねなかった事柄を『ワイリータワー』という新作でやってのけてしまっているのだ。過去作で得た経験と武器を元に新たな敵と戦う展開が楽しめてしまうのである。
こんなシリーズを遊んだプレイヤーなら少しは思い描いたであろう展開が楽しめる内容になっているだけでも、『ワイリータワー』がいかに出色した作りをしているのか想像に難くない。新しいボスからは特殊武器を得られないことにした設定もバランスを取る為の施策としては秀逸で、様々な武器で対抗できる戦術性の広さも相まって、一回戦うだけで終わらない深さが表現されているのも面白い。これで新たな武器が獲得できる従来の仕様になっていれば、過去三作の武器を持ち込めるシステムは確実に形骸化していただろうし、ボス一体一体の魅力も薄れてしまっていたに違いない。それにこう言った詰め合わせの内容で、その最後に登場するオリジナルの作品であるからこそ、シリーズの常識に則らないボスを導入しても違和感がない。これが普通の本編新作であれば、違和感は噴出していただろうし、それまでと違うノリに非難の声すら挙がっていただろう。そんなところまで、詰め合わせであるが故の意味を出しているのには本当に唸らされる限り。その細かな作り込みには職人技と卓越したセンスを感じさせられるばかりだ。
ワイリータワーに関してはステージ、ボスキャラクターに関しても本作でしか味わえない魅力が詰まっている。中でもメインボス三体は個性派揃い。かの有名な中国の伝奇小説で、日本国内でも馴染み深い『西遊記』の悟空、沙悟浄、猪八戒をモチーフにした、ロックマンシリーズにしては珍しい原作の存在するキャラクターになっている。戦闘内容も面白く、沙悟浄ことメガ・ウォーターSはロックマンの基本に忠実なのに対し、悟空ことバスター・ロッドGは戦闘終盤に意外な展開が、猪八戒ことハイパー・ストームHはライフが二本分という驚異の耐久力を誇ると言った露骨な差別化が図られている。特にライフ二本分の耐久力を誇るハイパー・ストームHとの戦闘はまともに戦えばシリーズきっての長期戦に。ボス自身も体格が大きく、それでいて攻撃も多彩という(いい意味で)厄介なキャラクターになっているので必見だ。他に最終ステージのワイリータワーで登場するボス達も全て新規。これに関してはネタバレになってしまうので、詳しくは本編でご確認いただきたい。特にステージ3のボスには意表を突かれること間違いなしだ。
ワイリータワーの話を重点的にしてしまったが、リメイクされた旧作も盤石の出来。何より、新規に描き直されたグラフィックとFM音源に改められた音楽も相まって、どこが変わったのかを楽しみながらプレイできるのが面白い。主にシリーズ経験者ほど、その変化には一喜一憂してしまうはずだ。セーブ機能搭載で全体的なゲームバランスが緩和されているのも特筆すべきところ。先も触れたが、初代ロックマン、ロックマン3がじっくりと取り組めるようになったところはクリアを断念したプレイヤーには嬉しい改善点だし、シリーズ未経験者にも優しい。むしろ、こちらで一旦経験を積んでからオリジナルを体験してみるのが推奨されるほど。その辺の遊び易さの向上はまさにリメイクならでは、と言ったところだ。
反面、再現が不十分というリメイク作品特有の経験者に違和感を抱かせる難点も健在だが。中でも処理落ちの激しさは常軌を逸している。巨大ボス戦において、異様にノロノロとする様子にはオリジナル経験者ほど憤りを覚えるだろう。純粋にメガドライブのゲームとしても、処理落ち頻発は不可解。その辺の能力に優れたハードで、何故にそう言った現象が起きる作りになってしまったのか。この辺に関しては正直な所、制作スタッフの技術力不足を実感させられるところだ。

オリジナル作品由来の演出にも再現のおかしな所が複数ある。顕著な例では『ロックマン2』のワイリーステージ最初のボス「メカドラゴン」。出現してからロックマンの後ろに張り付いて迫ってくるのではなく、出現したと同時に後ろに下がっていき、戦闘フィールドに到達すると姿を現す、全く別の演出になってしまっている。戦闘フィールドに到達するまでの間、ボスが後ろを追いかけてくるというスリルとファミコンのハード制約を逆手に取った表現が同ボスの魅力であったのに、それをスポイルしてしまっている所はオリジナル経験者ほど大きな疑問符を覚えるだろう(表現周りは上位ハード故に仕方ないが)。同じところでは初代『ロックマン』の強敵とも言われた「イエローデビル」も再現がおかしく、処理落ちの問題で分裂ブロックの攻撃回避が容易になった反面、戦闘が長期化してテンポが悪化したほか、弱点で攻撃した際に与えるダメージも減らされるという改悪が図られてしまっているのも経験者ほど首を傾げてしまうこと確実。ロックバスターの連射数が全作品共通で三発に減らされてたり(オリジナルは四発)、ボスを撃破した時の演出が大人しくなっているなどの変更もまた然り。リメイクなりの仕様変更と好意的に見て取ることもできるが、かと言ってオリジナルで一際印象的だったものを取り除き、経験者に違和感を与える作りにしてしまっているのはさすがに擁護するのも難しい。特にメカドラゴンの下り、爆発演出に関してはオリジナルを尊重して頂きたかったところだ。後者に関してはなおのこと。そもそも、オリジナルより劣化しているのはダメだろう。そこは上位ハードなりの派手さを突き詰めて欲しかった。
操作性もややフワフワとしていて、経験者ほど違和感を覚えること確実。インターフェース周りのレスポンスも若干鈍くなっている所があり、特にロックマン3ではそれを実感させられるだろう。ただ、キーアサインはロックマンの基本を踏襲。直感的にキャラクターを動かせる楽しさは健在であり、そこはちゃんと押さえている。
ボスに妙なところはあれど、ステージに関してもオリジナルに忠実な再現が徹底されている。ワイリータワーのステージ構成も三作準拠の敵配置、地形配置を徹底していて、バランス周りの破綻はほとんどない。道中の仕掛けにも上位ハードの作品なりのユニークなものが仕込まれているほか、演出面もその恩恵を感じられるものになっているので必見だ。

描き直されたグラフィックも出来は良く、特に全作品のワイリーステージの背景の精密さは圧巻。FM音源でアレンジされた音楽も素晴らしく、特にロックマンシリーズ屈指の名曲とされる『ロックマン2』のエアーマンステージ、ワイリーステージ前半の曲はオリジナル版以上にカッコイイものに様変わりしている。本作でしか聴けない新曲も満載。中でも『ワイリータワー』の最終ステージはFM音源特有の魅力が存分に詰め込まれた非常にカッコイイ曲に仕上がっているので要チェックだ。何気にサウンドテストも搭載されていて、未使用の楽曲込みで自由に聴ける特典も。ロックマンシリーズの音楽が好きなプレイヤーにとって、本作が必携品であるのは言うまでもないだろう。
ボリュームも過去作三本、短編の新作込みの四本分の内容だけあってシリーズ屈指。全部をクリアするだけでも過去作の四〜五倍はかかるのでやり応えは十分。相当な満腹感を得られる。また、セーブ機能の搭載によって一日一ステージのゆっくりプレイも手軽に実施できるようになるなど、上位ハード特有の恩恵を感じられる魅力も満載。
リメイク作品としては再現度の甘い所が複数あるので、コアなファンほど及第点を付けるのは難しい出来ではある。しかし、単に過去作のリメイクを詰め合わせただけで終わらせない内容とそのような作りだからこそ実現した試みが満載の新作『ワイリータワー』、進化したグラフィックと音楽と言った魅力も多く持ち合わせた作品に完成されている。同じく過去作の要素を取り入れたゲームボーイのロックマンワールドシリーズに近い、意欲的な試みが光る本作。粗削りな所も見受けられるが、アクションゲーム好き、ロックマンシリーズ好きなら触れて然るべき良作だ。本作だけでしか味わえない、過去作の要素を総動員して挑む宿敵ワイリーとの戦いを是非、体験してみて欲しい。地味ながらお薦めの一本だ。
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