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≫SHINOBI NON GRATA(シノビ ノン グラータ)


■発売元:フライハイワークス / ■開発:Studio PICO、エスカドラ / ■ジャンル:ハードコア2D忍者アクション /
■IARC:12歳以上対象(軽度の暴力、出血表現あり) / ■定価:1,500円(税込)

◆公式サイト / ストアページ
≫『SHINOBI NON GRATA』(Steam)
≫『SHINOBI NON GRATA』(My Nintendo Store) ※Nintendo Switch版
≫『SHINOBI NON GRATA』(PlayStation Store) ※PlayStation 4版
≫『SHINOBI NON GRATA』(Microsoft Store) ※Xbox One版

©picopico ©ESQUADRA Inc. ©Flyhigh Works Music by hydden
▼Information
■プレイ人数:1人 / ■セーブデータ数:1個 / ■必要容量:500MB / ■推定クリア時間:2~3時間


天保九年―
世情の混乱に乗じ、
如月玄蕃(きさらぎ げんば)率いる「朧一党」は魔界のものと手を結び、
幕府の転覆を画策していた。

その陰謀に立ち向かう影ひとつ。
いつの時代も闇の力との戦いを繰り広げてきた一族、
封魔忍の末裔、腕(カイナ)。

今、幕府最大の嵐が吹き荒れようとしていた。
▼Pros cons Pick up
--- Good Point ---
◆”最後は忍びに道に通づる”をベースに往年の名作忍者アクションのいい所取りに徹したゲームデザイン
◆大量のオマージュを採り入れたことによって実現した、似ているようで異なるアクション周り(特に戦闘)
◆道中2割、ボス戦8割の極端さと、それゆえの息つく暇のない展開が光るステージ構成
◆多彩かつハチャメチャな攻撃と時代設定を無視した容姿で魅せる(中、大を含む)ボスたち
◆強敵を打ち倒したという圧倒的な快感を提供するボス撃破時(散り様)の演出
◆雑魚敵やボスに設定された弱点の存在による、使い分けの楽しさと戦術性が表現されたサブウェポン
◆忍者らしくてそうではない奇妙さを秘めた6種のサブウェポン(特に誘導レーザーこと「エレキテル」)
◆見た目は懐かしいが、仰々しいエフェクトなどで現代的な派手さも表現したこだわりのグラフィック
◆動かすだけでも楽しいアクションゲームの醍醐味を的確に押さえた操作性
◆”バッサリ感”溢れる素晴らしい効果音と仰々しいエフェクトによって実現した手触りの良さ
◆高めでありつつ理不尽さを極力抑え、現代的な遊びやすさもカバーした絶妙かつ良好な難易度
◆疾走感ある展開と手に汗握る戦闘シーンにマッチしつつ、耳に残る旋律が異彩を放つ音楽
◆テンポ重視としつつも、個性的なキャラクターと荒唐無稽な展開の数々で盛り上げるストーリー

--- Bad Point ---
◆好意的に見れば往年のゲームらしいが、それでも不足気味な印象は拭いきれないボリューム(特にやり込み要素、難易度選択機能、特別なモードが存在しない辺りが厳しい)
◆完全に意味を成していない実績要素(エンディングに到達するだけで全部埋まってしまう)
◆パターン化のしにくさや視認性の悪さの課題を持った一部のボス(特にラスボス前座とラスボス)
◆基本、どこも襲い来る雑魚敵の撃退に終始するため、変化に乏しい各ステージの道中パート
◆ボス戦敗北時でも決まって道中からの再開となるリトライの仕様
▼Game Overview
この好ましからざる忍(しのび)の道を歩み、荒唐無稽の嵐を乗り越えよ。



◇個人ゲーム開発者のPICOPICO256氏が架空のゲームの動画として公開しながら、好意的な反応が視聴者から寄せられたのを機に制作へと至ったハードコア2D忍者アクションゲーム。販売をフライハイワークス、開発協力で『フェアルーン コレクション』、Nintendo Switch版『片道勇者』などに携わった実績を持つ株式会社エスカドラが参加している。

◇アクションゲームとしてのゲームデザインは伝統的なステージクリア型。厳密には1980年代後半から1990年代前半に見られた1本道(一方通行)構成のステージクリア型、俗に言う”アーケードライク”となっている。基本的に主人公の封魔忍「カイナ」を操作し、襲いかかる敵を撃退しながら「章(チャプター)」と題されたステージを順に攻略していく。各ステージのクリア条件も終盤に待ち受ける大ボスを撃破するという、アーケードライクなアクションゲームお馴染みのものである。
ただ、ステージの構成そのものは道中2割、ボス戦8割という構成で統一されている。いわゆる”ボスラッシュ”スタイルで、大量の中ボスが適時、行く手を阻む。そのため、どのステージも気の抜けない内容。忍者をテーマにしたアクションゲームとしても、やや珍しい極端さが表現されたものに仕上げられている。

◇システム面は前述の1980年代後半から1990年代前半に誕生した忍者アクションゲームをオマージュしている。とりわけ色濃いのは「最後は忍びに道に通づる」の一言から連想される某作。近接メインの「刀(カタナ)」、6種類の「サブウェポン」を併用して敵に対抗するシステムを採用している。ただし、サブウェポンの種類はこちらの方が多く、ラインナップにも「エレキテル」なる高い誘導性能を誇るレーザーが用意されている。また、サブウェポン使用時には「魂」を消費。「魂」は画面左上、カイナの体力ゲージ下に表示され、これが空だとサブウェポンは使えなくなる。ゲージを回復する場合は単純に敵を倒すか、道中に置かれた箱を壊して「魂」を得ればいい。ただ、前者はサブウェポンで敵を倒した時には出現せず、カタナを使った時に限られる。

◇カタナとサブウェポンには「エイム」の概念もあり、コントロールスティック(もしくは方向キー)を倒すと、その方向に沿って攻撃が繰り出されるようになっている。道中には地上のみならず、空中からカイナに襲いかかってくる敵も一緒に登場するため、時折、この操作で狙いを定めて攻撃する必要がある。空中の敵に関しては一部、ジャンプしても届かない高い所に現れるタイプもいるが、その場合は「二段ジャンプ」を使って対処する形になる。さらに地上の敵にもシューティングゲームのような弾幕を張ってくるタイプがいるが、これも使用中は一時的に無敵になる「前転」という対処方法が用意されている。
一連のアクションが象徴する通り、全方位に対処可能なアクションが揃っており、それによって状況に応じて瞬時の判断が試される目まぐるしいアクションが画面いっぱいに展開する。そして、これらも往年の名作忍者アクションゲームをオマージュしており、分かる人ならニヤリとする見所も。作品名は伏せるが、とりあえず「凄い忍は龍のごとし」とだけ。

◇全体としては忍者アクションゲーム(※一部、忍者外)のいい所取りとも言える仕上がりで、様々な要素をオマージュしつつ、ステージ構成や戦術面で異なる手触りを表現した新作に完成されている。とりわけ近接武器とサブウェポンを使い分けながら戦うスタイル自体は、かなり元ネタの存在を意識させるが、他の要素が違っていることから似ているようで違う手応えである。
▼Review ≪Latest Update :12/10/2023 | First Publication Date:12/10/2023≫
かつてのアクションゲームが持っていた”荒唐無稽”が盛り沢山の良作忍者アクション。
前述した通り、本作は往年の名作忍者アクションゲームを徹底してオマージュ。さらに一部、忍者外の作品の要素も採り入れている。それにより、本作は荒唐無稽に次ぐ荒唐無稽の嵐と称せる心を熱くする展開目白押しの内容にまとめられている。

特にその魅力を表現しているのが、各ステージの中ボスたち。個体数の多さもさることながら、攻撃パターンと動きもそれぞれ細かく差別化されているため、プレイヤーを大いに引っかき回してくる。また、どの中ボスにも古くからのゲーム好きを戸惑わせたり、笑いを誘う小ネタが仕込まれている。単純にそれらの元ネタを知らない世代でも、ストーリーにおける天保9年という時代設定を完全に無視した表現の数々に「なんでそんなのがいるの……」と困惑しやすく、強い印象を残すこと請け合いだ。

こうした展開によって、かつてのアクションゲームが持っていた”出会う楽しさ(面白さ)”が表現されているのも特筆すべき部分。厳密には事前の想定の斜め上を行く大きさのボス出現、世界観にそぐわない場所が次のステージとして登場、そして制作者が悪ノリしているとしか思えないネタに次ぐネタの応酬である。そのような”楽しいこと”が相次いで起きるのもあって、とにかくプレイヤーを退屈とさせない。古くからのゲーム好きなら「こういうのが面白かったんだ!」と嬉しくなる。そして、ゲームとしてもそのような意表を突いた展開の数々にどう立ち向かうかという、攻略の面白さと試行錯誤する楽しさを表現しているのだ。

なので、この時点で結論を出すなら、件の1980年代後半から1990年代前半に誕生した1本道構成のステージクリア型アクションゲームが好きだった人なら本作は”買い”である。近頃、あの頃のゲームにあった荒唐無稽を味わっていなくて寂しいと思っているのなら尚更。この辺りで読むのは止めて、すぐにでもゲームを購入して目くるめく忍びの道へと一歩踏み出そう。

単に荒唐無稽な展開ばかりで楽しいに限らず、アクションゲームとしても手応え十分であり、難易度も丹念に調整されている。とりわけサブウェポンを使い分けて敵、中ボスを的確に仕留めていく流れは戦術性の高さもさることながら、上手く決まった時の爽快な手触りも相まってクセになる気持ちよさがある。
また、雑魚敵にも中ボスにも、必ず弱点となるサブウェポンが設定されているのも試行錯誤の楽しさを引き立てている。あるボスに対し、特定のサブウェポンを使ってみたら攻撃頻度が落ち、プレイヤー優位のまま戦いを進めていけるようになるなど、使ったか使わないかで露骨なぐらいの差が現れるのだ。その露骨さには某”蒼い”ヒーローを知る人ならばデジャヴを覚えるとか否か。さらにそのおかげで一見、倒すのは厳しそうに思えるボスにも、必ず突破口はあるとの確信を維持しながら挑んでいける。

弱点のサブウェポンを使えばノーダメージ確定という訳ではなく、「魂」による使用制限があることから、カタナによる近接攻撃も心がける必要があるのも戦闘の面白さを引き立てている。これは終盤のボスでも徹底しており、いかにこの一連の調整に神経を配ったのかが察せる。こうした入念な調整もあって、アクションゲームの醍醐味のひとつたる上達の快感もバッチリ。2周目をプレイした時など、1周目とは決定的に違う動きをプレイヤーが自然にこなすようになるので、その気持ちよさを味わいたいならばぜひ、プレイしてみていただきたい。より一層、本作のバランスに対する印象が良好なものになること請け合いだ。

他に現代のゲームらしく、残機制は非採用(※無限コンティニュー可能)、中ボスを撃破するたびに途中経過が保存されるオートセーブ機能を備えてたりと、親切設計になっているのも素敵な部分。単純にあの頃のゲームが好きだった世代に絞り込まず、知らなかった世代も気兼ねなく遊びやすいものにするという配慮を感じさせられる。

だが、最も本作が刺さるのは前述したリアルタイムで”荒唐無稽さ”のあるアクションゲームに沢山触れてきた世代だ。所々に胸を熱くさせるものが揃っているので、繰り返しになるがピンと来たならば製品版の道を歩もう。また、純粋に2Dアクションとしても展開のハチャメチャさもあり、見ているだけでも楽しいものになっているので、そうした楽しさを求めている人にも打ってつけだろう。ただ、難易度は有功な戦術はあれど、基本的には手加減無用なスタンスに則っているので、あらかじめ心の準備の方を。
細かい所では操作性の良さも魅力のひとつとして挙げられる。とにかく手触りがいい。どのアクションもキビキビ反応するのみならず、敵や大ボスにダメージを与えた際に鳴り響く「ズバシュッ!」というバッサリ音が大変に痛快。かの空前絶後なバッサリ感に勝るとも劣らないといっても過言じゃないほどだ。どんなにキビキビ動いてくれても、それの後にくる反応が痛快でなければ真に操作性が良いとは言えない信念も感じられ、アクションゲームとしては極めて理想的なものに仕上げられている。

相応に演出も素晴らしく派手。特に巨大な斬撃エフェクトと、画面の四隅にデカデカと四字熟語が表示されるボス撃破時の演出は「これぞアクションゲームのボスの散り様!」と言わんばかりに見事な仕上がりになっている。派手であるがゆえ、なかなか倒せずにリトライを繰り返したボスを打ち果たした時の快感も格別。これもまた、リアルタイム世代の心を熱くさせる仕上がりであると同時に、その分かり過ぎた仕上がりには嬉しくなってしまうだろう。

他に音楽も耳に残る楽曲が揃っているほか、グラフィックも見た目こそ8ビット調ながらエフェクトの派手さも相まって古さを感じさせない迫力がある。そして、ストーリーも基本的にステージ開始前とクリア後に少し語られる程度に留めたアクションゲームとしてのテンポを尊重した仕上がり。天保9年を舞台にしているなりのこだわり……かは分からない。ただ、最小限とは言えキャラクターは個性的で、中でもカイナの許嫁「つむじ」はその動きの可愛らしさもあって非常に印象に残る。というか、本作をプレイすれば嫌でも彼女は脳裏に焼き付いてしまうほど忘れられないキャラクターになるだろう。これ以上のことは本編をご覧あれ。

総じて完成度の高い本作だが、難易度は裏を返すと初見殺しな要素が若干多め。また、ラスボス前座のボスに関しては不確定性が高く、パターン化しにくい調整になっているのが惜しい。
その後のラスボスに関しても視認性の問題があり、一部の攻撃を見落としやすいのが結構なストレスを抱かせる。この辺りは攻撃前行動を分かりやすくするとか、色味を押さえるなどの調整を施して欲しかったところだ。
また、ボリュームはハッキリ言って少ない。ステージ数が5つというのもさることながら、やり込み要素が皆無。実績は用意されているのものの、普通にエンディングを迎えるだけでコンプリートできてしまうほどにユルユル。これなら逆に入れない方がよかったほど。難易度選択機能もなく、高い難易度を味わいたいならサブウェポン縛りをするしかない。純粋に絞り込んで作った結果なのかもしれないが、せめてボス戦だけを楽しむボスラッシュモード的な本編以外の遊べる要素は欲しかった。

細かい所でも道中が基本、続々と現れる雑魚敵を撃退しながら進むパターンしかない、中ボス戦で敗北しても道中から再開になるといった難点がある。ただ、前者はボス戦がそれを補っているほか、後者も繰り返すたびに上達が現れてくる見所がある。よって、単純に悪いとは言い難いのがもどかしい限りである。

そんな具合に粗も割とあるのだが、アクションゲームとしての出来は盤石で、昔ながらの”荒唐無稽さ”がたっぷり詰まった良作に仕上げられている。散々繰り返しているが、あの当時のアクションゲームに心奪われた人ならばほぼ確実に刺さる。純粋に現代の横スクロールアクションゲームとしても、遊びやすさをきちんと押さえた仕上がりになっているので、当時の作品を知らない世代も興味があればお手に取っていただきたい。そして、あらゆる試練を乗り越え、好ましからざる忍となるのだ。
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