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≫Rigid Force Alpha


■発売・開発元:com8com1 Software / ■ジャンル:シューティング /
■CERO:A(全年齢対象) / ■定価:2,050円(税込)

◆公式サイト / ストアページ
≫『Rigid Force Alpha』(Steam)
≫『リジットフォース・リダックス』(My Nintendo Store) ※Nintendo Switch版
≫『リジットフォース・リダックス』(PlayStation Store) ※PlayStation 4|5版

Rigid Force Redux © 2020 Developed by com8com1 Software. Published by Chorus Worldwide Games.
© 2020 Headup GmbH, all rights reserved.
▼Information
■プレイ人数:1人 / ■セーブデータ数:1個 / ■必要容量:604.54MB /
■推定クリア時間:1~2時間、5~8時間(完全攻略目的)
「ユナイテッド・プラネット・フリーダム・フォース」(UPFF)の優秀なエンジニアと研究者たちにより、新型宇宙戦闘機「リジット・フォース・アルファ」は完成した。この戦闘機の開発には「COREテクノロジー」なる画期的な技術を活用。それにより、事実上無限にも等しいエネルギー源を機体内部へと実装することに成功したという。

そんな「COREテクノロジー」の基礎を作り上げた「ヴェルミス研究所」が緊急信号をUPFFへと発信。何者かによる攻撃を受けているとのことだった。UPFFはこの事態に対処するため、「リジット・フォース・アルファ」を研究所に向けて出撃させる。

いったい、誰が研究所を攻撃しているのか。
そして、「リジット・フォース・アルファ」はこのミッションを遂行できるのか。
▼Pros cons Pick up
--- Good Point ---
◆見た目は現代風、中身は1980年代後半~1990年代前半の味が強く滲み出た雰囲気作りと演出全般
◆地続きではなく、道中とボス戦が分割された、シューティングゲームとしては珍しいステージ構成
◆後方から現れる敵の迎撃、盾に見立てての攻撃防御など、各ステージの随所で戦術的な展開を演出する「フォースの欠片」によるフォーメーション切り替えシステム
◆「フォースの欠片」同様、敵弾のかき消しを始めとする戦術的な展開を演出する「エネルギーオーブ」
◆クレジット制の採用など、随所が古臭いものの、理不尽さを極力抑える工夫と配慮が凝らされた難易度
◆総数は少なめながら、起伏の表現と多彩な仕掛けの数々で密度の濃い体験を提供する全6ステージ
◆道中から切り離したからこそ可能な表現や、攻撃技といったアイディアが仕込まれたボス戦
◆スコアアタックが楽しめる「アーケードモード」を始め、それなりに充実した収録ゲームモード
◆いい意味で古臭く、どういう訳かRPGが脳裏を過ぎる作風の音楽(特にボス戦の曲がもの凄くRPG)
◆移動を始めとする細かい操作まで、親切に教えてくれるチュートリアル
◆エフェクトを効かせた表現と、どこか懐かしさを抱かせる色遣いが光るグラフィック
◆テキストのみならず、ボイスも含めて完全な日本語化が施されている、凝ったローカライズ
◆『R-TYPE』を始め、随所に仕込まれた日本の名作シューティングを思わせる小ネタの数々

--- Bad Point ---
◆道中とボス戦を分割した弊害による全体的な進行テンポの鈍さ(切り替わりのたびに長い待ちが生じる)
◆悪く言えば、古臭いなりのハードルの高さも滲み出た難易度(特にクレジット制は蛇足感が否めず)
◆1時間経過のたびに最大値が増える、プレイ時間の引き延ばし策同然なクレジット上限増加の仕組み
◆「エネルギーオーブ」の技の関係か、やや硬めに設定された雑魚敵の耐久度
◆凝ってはいるものの、よく見ると表記ゆれがあったりなど、調整が足りてない箇所もあるローカライズ
◆あまりにもアクが強すぎるサポートAI「PYSE(サイ)」のデザイン
▼Game Overview
ジャンルを問わず、ドイツ製のゲームには特有の“味”がある……



◇ドイツのインディーゲームスタジオ「com8com1 Software」開発の横スクロール型シューティングゲーム。一部楽曲は、横スクロールアクションRPG『Elliot Quest (エリエット・クエスト)』(Nintendo Switch、PlayStation 4、PC、Wii U)などを代表作とするMichael Chait氏が手がけている。2020年7月16日には、一部改良を加えたパワーアップ版『Rigid Force Redux(リジットフォース・リダックス)』がNintendo Switch、Xbox One向けにコーラス・ワールドワイドより発売されたが、2024年現在はXbox One版の配信が終了。Nintendo Switch版は販売メーカーをHeadup Gamesへと変更する形で配信が継続。また、新しくPlayStation 4版が配信されている。

◇ゲームの内容は、ステージクリア方式の横スクロールシューティングゲーム。最新鋭の戦闘機「リジッド・フォース・アルファ」のパイロットになり、最新技術の研究開発に取り組んでいる「ヴェルミス研究所」を襲った謎の敵の撃退に挑む。全6ステージ。流れとしては、襲い来る敵をショット攻撃で倒しながらステージを進んでいくシューティングゲーム定番のもの。だが、道中とボス戦が分割され、それぞれが独立して展開されるという、やや珍しい構成になっている。

◇自機「リジッド・フォース・アルファ」も珍しい特徴を持つ。とりわけ象徴的なのが「フォースの破片」と称されたアイテム兼オプション。獲得することで、ショット性能が強化されるのみならず「フォーメーション」の変更が可能になる。フォーメーションの変更は(Xboxコントローラ使用時)LB、RBボタンを押すだけ。LBを押すと破片が後方に、RBを押すと前方へと切り替わる。これで後方から攻めてくる敵を迎え撃ったり、前方からくる弾の盾として活用するなど、状況に応じた戦術が取れる。

◇本作では、敵を倒すと「エネルギーオーブ」なる緑色の小さな物体が散らばる。これを回収すると自機の「エネルギーゲージ」を貯め込める。この貯まったエネルギーを消費して、強力なチャージ攻撃技を繰り出したり、ブレード(斬撃)を繰り出して敵弾をかき消すといったことが可能。主に複数体の敵やボスを相手にする場面で、大きな効果を発揮する。なお、散らばったエネルギーオーブは自機を動かして直接回収する以外にも、Yボタンを押して吸い寄せる方法もある。基本的に進んで回収していくことにより、いずれの攻撃技を途絶えることなく繰り出せる。どちらかの技を使っている時のキャンセルも効きやすいため、チャージ攻撃に使いつつ、ブレード用のエネルギーを温存するのも容易だ。

◇ショット攻撃は「レーザー」「スプレッド」「リバウンド」の3種類。これらを補うサイド攻撃も3種類用意されており、組み合わせによっては意外な効果を発揮する。また、シューティングゲームとしてはややシステムが個性的なのを踏まえてか、チュートリアルも充実。実際に初回プレイ時も本番のステージ1からではなく、チュートリアルから始まる。しかも、一連の解説は日本語フルボイス。解説のたびにテキストを読む手間も軽減させるなど、ローカライズも手の込んだものになっている。そんなシューティングゲームのゲームデザインにおける定番(お約束)にも若干、歯向かった部分もあったりと、見所の多い作品に仕上げられている。
▼Review ≪Latest Update :10/6/2024 | First Publication Date:10/6/2024≫
新しさと懐かしさが融合した作風が強い印象を残す、個性派シューティングゲーム。
本作はドイツのインディーゲームスタジオが作ったというのは冒頭に書いた通りだが、ドイツと言えば、アイレムの名作『R-TYPE』にまつわる伝説が残されている国。それはコモドール64、Amiga版『R-TYPE』のことで、その移植作業を『R-TYPE』ソックリな模造品を作ったコンピュータマニアたちが請け負ったというもの。本家本元の『R-TYPE』の販売を請け負っていた会社に技術力の高さを買われ、本物の移植版を手がけることになったという、ある意味では夢のようなエピソードである。(参考

そのような伝説が残っているのもあってか、ドイツ生まれのシューティングゲームには『R-TYPE』の息吹を感じられる作品が時折見られたりする。で、本作もその例に違わず、『R-TYPE』っぽさが前面に出ている。「フォースの破片」でフォーメーションを切り替えながら敵を迎え撃つ戦術性、(詳細は本編を確かめていただきたいが)生物的な敵を相手にする展開がそれだ。

また、『R-TYPE』は1987年に誕生したゲームだが、その頃の雰囲気を狙ってか、音楽や効果音も古臭さが漂うものに仕上げられている。特に音楽はメロディラインの主張強めで、1980年代から1990年代前半を思わせるコテコテな楽器を中心的に用いるなど、徹底して古臭さを押し出している。その当時を知る世代なら、思わず笑ってしまうこと必至。中でもボス戦の曲は、もの凄くその辺のノリが現れている。人によっては「これ、シューティングゲームじゃなくてRPGの戦闘曲だろ!」とツッコみたくなるかもしれない。実際、もの凄くRPGっぽかったりする。

効果音、演出にもどこか昔っぽさが滲み出ていて、独特の味わいがある。こうした昔のゲームを強く意識した部分がよくも悪くも目立っていて、プレイヤーに強い印象を残すものになっている。

雰囲気周りの話題を先行して書いてしまったが、ゲーム部分もそれっぽさがありつつ、ほんの少し独自性も出している。象徴的なのが道中とボス戦で分割されたステージ構成。特にボス戦は「フォースの破片」を始め、パワーアップアイテムが一切登場しないのに加え、ゲームオーバーになると初期状態にされてここからやり直しになる関係で、退くに退けない緊張感がある。

ただ、それによって極端に難易度が上昇するようなことはなく、「エネルギーオーブ」のチャージ攻撃活用などで、十分に対抗可能なバランスに調整されている。先ほどは書かなかったが、ダメージ制も採用されているため、被弾しても自機が即撃墜されないのも勝てる余地を生んでいる(あくまでも難易度「イージー」と「ノーマル」での話で、「ハード」になると即撃墜されてしまうのだが)。ボス当人も多くは弱点部分に集中攻撃しないとダメージを与えられないタイプのため、フルパワーアップ状態なら力押しで瞬殺できるようなこともない。

正直、この辺のゲームデザインは時代錯誤なのは否めないが、昔を思わせる理不尽さは封じる調整や工夫が凝らされていて、シビアながらも安定感がある手応えが表現されている。ボスの多くが連結構成だと表現的に難しそうと思える容姿をしているなど、道中と分割させたなりの恩恵が現れているのも見所だ。

この分割構成そのものに真新しさはないものの、それを活かしたゲームデザインとバランス調整は個性的かつ独自性があり、強く印象に残るものに仕上げられている。単純に分割構成自体がシューティングゲームでは割と珍しいため、従来型の構成を採用したシューティングゲームに慣れ親しんだプレイヤーにとっては、新鮮に感じる部分があるのも見所と言えるかもしれない。
道中の構成に関しても、妙に起伏の表現にフォーカスした内容に作られているのが異彩を放っている。序盤はそこまで派手な仕掛けは出てこないのだが、ステージ3以降になるとその量が増え、段々と敵を迎え撃つことだけに終始しない展開になってくる。フォーメーションの切り替え、「エネルギーオーブ」を消費して発動させるブレードの活用が試される場面もあるなど、それぞれのシステムの存在意義を出す工夫が凝らされているのも見所だ。
この手のオマージュ系ゲームにありがちな日本の名作ネタもチラホラ。中でも『R-TYPE』好きならば、色々と苦笑いしてしまうかもしれない。さりげなく某アニメ映画のネタまで網羅しているのも必見である。

本編もステージ総数は6つと、数だけなら少なめだが、実際は規模が大きく、ステージやボスの個性付けが入念にされているのもあって物足りなさはあまり感じさせない。さらにステージごとのスコアアタックが楽しめる「アーケードモード」、すべてのボスをどれだけ早く倒せるかに挑む「タイムアタック」など、クリア後の要素も豊富。それらをやり尽くすとなれば、割と長く遊べる。

本作における現代を象徴させる部分たるグラフィックも、エフェクトを適度に効かせた美しい仕上がり。特に各ステージの背景において、その辺への力の入れようが感じられる。他に素晴らしいのが前述した日本語ローカライズで、テキストのみならず、ボイスもちゃんと日本語吹き替え仕様にしているのが素晴らしい。ただ、そんなフルボイス部分が光るサポートAI「PSYE(サイ)」のデザインについては海外ゲーム特有のアクの強さがもの凄く、人によっては拒否反応を覚えるかもしれない。ちなみに家庭用ゲーム機版の『リジットフォース・リダックス』は、日本のアニメを思わせるデザインに一新されているので、あまりそういう所に気を取られたくなければ、家庭用ゲーム機版をオススメする。

色んなところで個性の強さが出ている分、好みの分かれやすい作品なのは否定しない。特に古臭さ全開のゲームデザインと演出全般はその象徴だ。単純にシューティングゲームとしても分割構成にした結果、進行テンポの鈍さが目立ってしまっていたり、雑魚敵の耐久力が気持ち高め、背後からくる敵を知らせる警告がないなどの難点がある。
クレジットのシステムも時代錯誤感が否めないのに加え、その最大数がゲームの総プレイ時間が1時間を超えるたび増えていくのも、若干の水増し工作になっているのが気になる。ボイスも含めて手の込んだローカライズについても、一部、テキストに表記ゆれがあったり、浮いた台詞があるなど、調整されていない箇所があったりする。

それでも、この新しさと懐かしさが融合した雰囲気と作風、分割構成を始めとする個性的な試みの数々は、本作でしか味わえないものがある。少々、手ごわくもあるが、シューティングゲーム好きなら挑んでみて欲しい良作。『タリカン』シリーズを始め、昔のドイツ製ゲームを知る人なら笑いを誘う部分も色々あるので、興味があればお試しいただきたい。『R-TYPE』の伝説は今なおドイツに根付き、語り継がれている事実を思い知らされる……かもしれない。
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