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≫この素晴らしい世界に祝福を!復活のベルディア


■発売元:KADOKAWA / ■開発元:team ladybug / ■ジャンル:アクション /
■CERO(推定):12歳以上対象(暴力表現あり)/
■定価:7,600円(税別:Blue-ray)、6,600円(税別:DVD)

◆公式サイト(アニメ版)
≫この素晴らしい世界に祝福を!2(Blue-ray、DVD1巻:紹介ページ)

©2017 暁なつめ・三嶋くろね/KADOKAWA/このすば2製作委員会
▼Information
■プレイ人数:1人 / ■セーブデータ数:1つ / ■推定クリア時間:1~2時間(エンディング目的)、3~4時間(完全攻略目的)
■注意事項:『この素晴らしい世界に祝福を!2』Blue-ray、DVD第1巻特別版にのみ同梱
機動要塞「デストロイヤー」との闘いから数日後。
アクア、めぐみん、ダクネスの3人は新たなクエストを求め、冒険者ギルドへと向かおうとしていた。



だが、そこに以前倒したはずの魔王軍幹部のひとり、デュラハン(首無し騎士)こと「ベルディア」が出現。
邪悪な魔力を解き放ち、3人を洗脳して自らの配下にしてしまう。
そして、洗脳された3人は「アクセル」の街中で破壊工作(という名の迷惑行為)をし始める。

今日もダラダラと過ごすはずだったカズマは3人を止め、ベルディアを再び退治するため、渋々立ち上がるのだった……。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆よくも悪くも露骨に『ロックマン』を踏襲した既視感バリバリの基本システム
◆既視感バリバリの機動力と技の数々が見所の主人公「カズマ」のアクション
◆敵、罠の配置共に嫌らしいが、理不尽さは極限に抑え込んだ設計の上手さが光るステージ構成
◆アクションゲーム初心者に力押しの余地を設けるRPG由来のシステム全般(アイテム購入、レベルアップ)
◆RPG由来のシステムによって実現した、懐の広い万人向けの難易度設定(幅広い攻略法に対応)
◆それぞれの個性付けに加え、攻略可能な余地を明確に残す設計が見事な全4種類の難易度
◆アクションゲーム経験者をニヤニヤさせる、露骨にして細かすぎるパロディネタの数々
◆『このすば』原作者をニヤニヤさせ、時に「そこまでやるか!」と言わせる原作再現ネタの数々
◆笑い所満載ながら、油断すると手酷い返り討ちに会う危険性も含んだ手応え十分のボス戦
◆数の豊富さに留まらず、内容的にも笑わせるものが含まれたやり込み要素「クエスト」
◆動かすだけでも楽しく、気持ちよいという基本を守り通した操作性(PS4のDUAL SHOCK4との相性が抜群)
◆1990年代が脳裏を過ぎる、ディフォルメされたキャラクターたちのドット絵が印象深いグラフィック
◆ほぼ全てオリジナルに加え、アクションゲームらしい疾走感とカッコよさに満ちた音楽
◆雑魚敵にせよ、ボス(洗脳されたヒロイン)にせよ容赦なく大爆発する仰々しさ全開のエフェクト演出
◆数は少なめながら、アクションゲーム好きにはやり込み意欲を刺激させられるクリア後の隠し要素
◆本作独自の内容ながら、原作『このすば』の魅力はきちんと押さえたストーリー

--- Bad Point ---
◆悪く言えば真新しさはないに等しい基本システム(ただ、難易度の調整で独自性を出している)
◆特典アイテムの宿命ともいえるボリュームの少なさ(本編はあと2ステージぐらい欲しかった)
◆受領できるのはひとつだけ、複数並行は不可能という面倒な仕様の「クエスト」
◆滅多に現れない敵を20匹討伐するなど、水増し感が際立ちすぎな一部クエストの存在
◆1つしか作成できないセーブファイル(ただし、ローカルファイル側をいじれば複数作成可能)
▼Review ≪Latest Update :6/12/2022 | First Publication Date:6/12/2022≫
「来いよ……こっち来いよ!また俺と勝負しろよ!」(Cv:安元洋貴)

行くだけの価値は十分すぎるほどあります。(力説)



2017年1月から3月にかけ放送されたテレビアニメ『この素晴らしい世界に祝福を!2』のBlue-ray Disc(BD)、DVDの第1巻限定版の特典として同梱されたオリジナルのアクションゲーム。制作は『アクションモグラ』、『ファラオリバース』といったインディーゲームを手掛けた個人開発者クロボン氏率いる「team ladybug」が担当。

特典アイテムに留めておくのは勿体ないと思えるほどの完成度を誇る傑作だ。
基本的な内容は、横スクロールのステージクリア型アクションゲーム。プレイヤーは主人公の佐藤和真(カズマ)に扮し、洗脳された仲間のアクア、めぐみん、ダクネス3人の救出と、黒幕のデュラハンこと「ベルディア」の討伐を目指す。

本編の舞台となるステージは自由に選択して攻略していく形となる。カプコンの『ロックマン』シリーズと同じと言えば、ゲームに詳しい人ならば容易に想像できるだろう。そう、「いつものアレ」である。ついでに言ってしまうと、カズマがジャンプした時に決めるポーズも「いつものアレ」である。もはや隠す気なし。各ステージのクリア条件もこれまた『ロックマン』同様、ステージの最後に待ち構える洗脳されたヒロイン(ボス)との戦闘に勝利するだけと単純明快だ。

システム周りも露骨に『ロックマン』を踏襲している。厳密には『ロックマン&フォルテ』、『ロックマンX』シリーズそれぞれを下地にしたゲームデザインで、オープニングステージ、横方向への高速ダッシュ、その勢いを利用したダッシュジャンプ、攻略のお供になるアイテム購入といったシステムが網羅されている。難易度の選択機能も搭載されており、全4種類が選択可能だ。
また、ボスを撃破することにより、それぞれが持つ固有の「スキル」を習得できるシステムも搭載されている。これも端的に言ってしまえば、『ロックマン』シリーズ伝統の「特殊武器」である。もちろん、これを他のボスに対して使うと、普通に攻撃するよりも大きなダメージを与えられる属性相関、またの言い方で「答え」も設定されている。ただ、それらとは別にカズマ個人の持つスキルもあり、「クリエイトウォーター」、「スティール」、「フリーズ」、「狙撃」の4種類がゲームスタート時から使えるようになっている。また、この4種類に関してはアップグレードを図ることにより、威力を強化できる仕組みになっている。
アップグレードは、道中の敵を倒すたびに手に入るお金(エリス)が必要となる。いずれのスキルも最大で2段階までアップグレードを図れるようになっていて、道中の攻略はもちろんのこと、ボス戦の難易度を下げる恩恵が得られるようになる。
さらにお金があれば、回復アイテムなど、消費系のサポートアイテムを購入することもできる。アイテムの購入はステージセレクト画面こと、冒険者ギルドからいつでも実施可能。それなりにお金を貯めれば、多くのアイテムを買い込んでストックした状態にもなれるので、なかなかクリアできない難しいステージ、ボスにはその量に任せた力押しで攻めることも可能だ。

力押しに関してはもうひとつ、本作特有のシステムとしてレベルアップがある。原作の『このすば』がRPGを題材にした作品であることにちなみ、敵を倒すたびに経験値が蓄積されていくシステムを搭載している。この経験値が一定の値まで到達する(画面上に表示された現在のレベルを示す数値が緑色に染まる)とレベルアップ。カズマの攻撃力、防御力が上昇する。これに関しては『ロックマン』というよりは『悪魔城ドラキュラ』、それも似たようなレベルアップシステムを搭載していた『悪魔城ドラキュラ 月下の夜想曲』に象徴される探索型ドラキュラシリーズのオマージュといった感じである。それが本作にも組み込まれており、真正面から自分の実力を頼りにステージを攻略すること、地道にキャラクターを強化しながら最終的に力任せにステージを攻略することの双方を容認するゲームバランスを実現させている。ある意味、アクションゲームがそれほど得意ではないという人へもフォローした設計になっているのだ。ただし、レベルアップの対象になるのは前述の2つだけであり、体力と魔力の2つはその対象外。これらに関してはステージごとに隠された専用のアイテムを発見し、回収しなければ強化が図れないようになっている。なので、レベルを上昇させればさせるほど、急激に難易度が下がるみたいなことはない。その辺はきちんと対策を組んだ設計になっている。

このほかにも『このすば』の代名詞たる「クエスト」もやり込み要素として実装。「特定の敵を一定数倒せ」など、条件を達成することによって、大量のお金が手に入るといった報酬が得られるという”いかにも”な展開も楽しめる設計だ。 このようにゲームデザインは著名なアクションゲーム2作のオマージュ全開であり、いずれの経験者もプレイすれば強烈な既視感(デジャヴ)が過ぎるのは不可避。同時に『このすば』らしい味付けが施されていたり、既存のシステムを組み合わせたことによって新たなプレイ感やゲームバランスが確立されていたりと、単なるオマージュとは言い切れない独特の面白さもある。 あくまでもファンアイテム……というよりはBD、DVDの特典ではあるものの、それに留めておくのは勿体ないと思えるほど見所は多め。ひとつのアクションゲームとしての作り込みも抜かりない、魅力的な作品に仕上げられている。
そんな本作の魅力にして、侮りがたき見所がひとつのアクションゲームとしての完成度の高さ。アニメのBD、DVDの特典アイテムとして出すのはあまりに勿体ないと思ってしまうほど、優れた遊び応えを誇る。

特に秀逸なのが難易度調整の絶妙さである。アクションゲームの初心者から上級者まで手厚くフォローした、懐の広いバランスを実現している。厳密にはレベルアップシステムの存在が大きい。これにより、本格的かつ手ごわいアクションゲームを楽しみたいプレイヤーはステージの攻略だけに集中、ホドホドな展開を楽しみたいプレイヤーは経験値でレベルを上げ、お金を稼いでサポートアイテムを買い込み、火力と財力に任せた(原作にちなんだ)”クズマ”プレイに徹すればいいという棲み分けが容易に可能。それぞれのプレイヤーの力量に適した攻略法を用いて、本編を進めていけるようになっているのである。

このバランスを4種類の難易度すべてで実現しているのも特筆に値する。つまるところ、アクションゲームに苦手意識のあるプレイヤーにもRPG由来の「稼ぎプレイ」という選択肢を設けることによって、最高難易度である「ベリーハード」への挑戦資格を与えている。「ヤバそうだけど、この攻略法を用いればいけるかも……?」という、可能性を残しているのだ。同難易度に記された「ダクネス並みにドMな人向け」の文言に従い、どんな苦境も快感に感じてしまうほどの精神を会得しなくて十分なのである。というか、そんなのを体得してしまったら色んな意味でヤバい世界が見えるようになってしまうから止めましょう!もしかしたら、体得することによって世間的に言う高難易度が売りの作品にも躊躇なく立ち向かっていけるかもしれないけど!

話が脱線したが、そのような可能性を残しているのもあり、仮に高難易度に挑んでいる最中でも「これはダメだ……」という絶望的な(個人差はあるが)心境に陥りにくい。確かに難易度を上げれば上げるほど、道中の攻略およびボスとの戦闘は困難なものになる。しかし、レベルアップとアイテムの買い込みという希望が常に残り続けるからこそ、根気さえあれば何とかなると思える。「普段アクションゲームを遊ばない人は対象にしていません、ごめんなさいね。」と切り捨てず、「こういう手が使えるから、クリアできないほどじゃないよ」と門戸を開放した設定に徹しているのである。まさしく懐の広いバランスと言えるもので、やり込めばやり込むほど感心させられてしまうほどのまとまり具合になっているのだ。
その丹念さたるや、本当に特典アイテムなのかと思えてしまうほど。決して誇張でもなく、本当に単品でも勝負できるほどの可能性を感じさせられるものになっている。そんな大げさな、と思うのも無理はないが、遊んでみれば誇張ではないことがよくわかる。同時に「なぜこれを単品で出さないんだ」との疑問も浮かんでしまうだろう。

4種類の難易度に関しては、差別化も上手い。最も簡単なイージーだと敵などから受けるダメージ量が減少、ボスの攻撃速度が低下するのに対し、「ベリーハード」ではダメージ量上昇、プレイヤーの攻撃力低下、そしてボスの攻撃高速化といった露骨な違いが現れる。また、「ハード」以上の難易度にはテレビアニメ2期に登場したモンスター「リザードランナー」が道中の敵として出現。それによって、イージーとノーマルとは異なる立ち回りが試されたりと、同じステージでも全く違う展開が繰り広げられる変化が生じるのも面白い。当の「リザードランナー」も厄介な強敵になっていて、舐め切って対応しようとすればどうなるかはおよそ想像がつく。とりわけアニメ2期の6話を見たことがあれば、殊更分かりやすいだろう。エリス様のご加護のあらんことを。
また、ステージの作りも素晴らしい。全体的に敵や罠の配置が嫌らしいが、無茶な立ち回りが要求される場面は少なく、「絶妙に手ごわい」という方針に徹して設計されている。触れば1発でやられてしまう罠を大量に敷き詰めるといった、安易な高難易度化を図るような所も少なく、終盤のステージでもそれを貫き通している。理不尽すぎるとか、開発者の嫌がらせだと思えるような場面がほとんどないに等しいだけでも、本作がいかに神経を注いで各ステージを設計したのかが察せるだろう。

このほかにも、各ステージはクリアしていない状況であっても、ポーズ画面からいつでも離脱可能。これにより、RPG的な稼ぎプレイもやりやすいのも地味ながら大きな見所だ。同時にそういった遊び方を許容する設計にしている辺りに、RPGを題材にした『このすば』という作品への敬意、そして、主人公カズマの”クズ”な一面への理解が感じられるのも見事だ。
悪く言えば、ゲームシステムの下地は『ロックマン』であり、そこに『悪魔城ドラキュラ 月下の夜想曲』の要素を加えたような作りなので、ゲーム自体の真新しさは薄めではある。インディーゲームにありがちな、往年の名作に近いものを自分たちで作りだすという精神が発揮された作品ではある。ただ、個々の要素の作り込みには一切の妥協がなく、何よりも難易度のバランス全体に万人向けのカラーを打ち出しているのは本作固有の強みであり、注目に値する部分。『このすば』とゲームの元ネタへの敬意も素晴らしく、ファンアイテムとしてもオマージュタイトルとしても、極めてレベルの高い作品に完成されている。繰り返しになるが、本当にこれが特典アイテムという扱いなのが不思議に感じるほど。ひとつのアクションゲームとしても十分勝負できる仕上がりなのだ。
また、ファンアイテムという一面を持つだけあって、その辺りのサービスも充実している。それも「そこまでやる!?」とツッコミを入れたくなるものが揃っている。例えばポーズ画面。テレビアニメ1期の1話、先も出した2期6話で見られたコマーシャル前のアイキャッチを完全再現している。ご丁寧に効果音までそれっぽくしているという徹底ぶりである。

もうひとつにゲームオーバー。原作通り、女神エリスの元へと送られると同時に数馬の衣装もジャージになる原作再現が行われている。また、最初の1回目に限ってエリスとの会話イベントも発生。その台詞にも、カズマ役の声優である福島潤氏がラジオ番組にて「まさか使われるとは思わなかった」と述懐していたアドリブ由来のものが含まれている。どんなものなのかは見てのお楽しみであるが、恐らくアクシズ教徒なら見ずとも何であるかが分かるだろう。これ以上はエリス様への配慮から言及を控える。
さらに特殊攻撃こと「スキル」には原作小説とアニメにて、アクアとめぐみんが使っていた「花鳥風月」、「エクスプロージョン」もあり、それをカズマが使うというレアな姿を拝める。威力や設定も原作に忠実であり、特に「エクスプロージョン」の燃費の悪さは本作でも健在。しかも、『ロックマンX7』の「エクスプロージョン」と燃費の悪さという一点が共通しているという、まさかのゲームシステム側元ネタ被りまで起こしている。それなりにロックマンに慣れ親しんだ人ならば、ニヤニヤが止まらなくなるのは言うまでもない。また、この「エクスプロージョン」を古城が見える場所で使ってみたり、ボスである洗脳ヒロイン3人に「スティール」を使ってみた時にも独自の変化がある。どんな変化が起こるかは見てのお楽しみである。

他にも雑魚敵の「キャベツ」の中にこっそり「レタス」が紛れ込んでいたり、クエストの1部に「小説1巻44ページに登場するモンスターを20匹討伐せよ」という、テレビアニメ版しか見ていない人を殺しにかかる卑劣なものも(笑)。あるステージの背景にも意外なキャラクターが現れるなど、本当に驚くべき入れ込み具合なので、見ているだけでも楽しい。同時にファンアイテムとしての水準を満たすどころか、満たしすぎてこぼれだしてしまっているという実態を思い知らされるだろう。
ちなみに著名なゲームにまつわるネタも豊富である。システム周りは前述にも出したように『ロックマン』と探索型ドラキュラ全開だが、細かい所にもあるスキル発動時に『スーパーマリオ ヨッシーアイランド』のような照準が表示されるなど、分かる人ならば「んん?」となってしまうものが紛れ込んでいる。最も面白いのはダクネス戦だろう。背景からあるものがこちらへと飛んでくるのだが、それがモロに某デジタルゴリラ全開で、人によってはある種のトラウマが蘇るものになっている。ということは、あのネタも……と思うかもしれないが、これ以上は本編を見てのお楽しみである。妙に凝った再現ぶりを見逃すなかれ。
映像・音響面の完成度も高く、グラフィックはどこか1990年代のアクションゲームを思い起こさせるキャラクターたちのディフォルメされたドット絵が異彩を放つ。動きもよく、所々にどこかで見覚えのあるポーズが紛れ込んでいるのも必見だ。 音楽も全体的にカッコイイ楽曲が揃っていて、各ステージの進行を大いに盛り上げる。ちなみに全曲本作オリジナル、この作品でしか聴けないもの中心である。この点もまた、本作のセールスポイントと言ってもいいかもしれない。

操作性も極めて良好に加え、PlayStation 4(PS4)のDUAL SHOCK4との相性が抜群にいい。設定によっては『ロックマンX4』以降のシリーズと同じ配置で遊べるので、該当コントローラをお持ちであればぜひお試しいただきたい。

総じて『このすば』のファンアイテムとしても、ひとつのアクションゲームとしても驚くべき完成度を誇る本作。素直に傑作と言い切れるほどの仕上がりである。ただ、あくまでも特典アイテムだけあって、全体的なボリュームは少ない。一応、クリア後に特殊ステージが解禁されたり、クエストの攻略といったやり込み要素は網羅されているが、本編は割とあっさり。欲を言えば、あと2ステージはあると、より充実感の高い内容になっていたかもしれない。この辺は個人差もあるので難しいところだが。
また、クエストも数は多い反面、受領できるのはひとつだけと複数並行できないのが面倒。このため、コンプリートを目指そうとすると作業感が増してしまう。内容に関しても一部、滅多に現れない敵を20匹も倒せという、水増し感の強いものがあるのは褒められない。この辺は数を抑えてほしかったところである。それ以外にセーブがひとつしか作れないのも不便。ただ、これはゲームフォルダの「config」に生成される「game.sav」というファイルをバックアップする形で複数作成ができるという抜け道がある。もし、難易度別のセーブデータを残したいという時には有効的な手段なので、活用いただきたいところだ。

最後の最後に欠点を連ねてしまったが、それでも傑作という評価自体に揺らぎはない。ストーリー的には原作およびアニメ版の『このすば』を知る人が対象だが、あまり知らずともひとつのアクションゲームとして遊べる作りである。とりわけ『ロックマン』シリーズが好きな人ほどお試しいただきたい1本だ。アニメ版のBD、DVDの特典ということから、作品に興味がない人にとっては購入ハードルが高かったりするが、それを乗り越えて遊ぶだけの価値は十分すぎるほどにある。ぜひ、機会があればプレイいただきたい意外性あふれる逸品だ。ついでにこれを機に『このすば』の世界に入ってみるのも一興です。
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