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Gunbrella(ガンブレラ)


Copyright 2022 doinksoft. All Rights Reserved.

■発売元:Devolver Digital
■開発:doinksoft
■日本語ローカライズ:架け橋ゲームズ(※翻訳:黒澤勇太)
■ジャンル:ノワールパンク・アクションアドベンチャー
■CEROレーティング:C(15歳以上対象) ※暴力・出血・身体欠損表現あり
■定価:1,700円(税込)


田舎で妻と生まれて間もない子供と平穏に暮らしていた男がいた。
ある日、男は妻からの頼みで山へキノコ狩りへと出かける。
そして採取を終えて帰路についた男は、自宅から黒煙が上がっていることに気づく。

自宅に戻った彼が見たのは、何者かによって惨殺された妻と姿を消した子供。
そして、その場に残された傘の形をした銃器「ガンブレラ」だった。

男は残された手がかりである「ガンブレラ」を持ち、旅へと出る。
妻を殺し、子供を連れ去った犯人を見つけ出し、復讐を果たすために。

Good / Bad Pick up


▼Good Point
◆映画『キングスマン』を彷彿とさせつつ、接近戦推奨の設計と移動への応用性で独自色を出している銃器「ガンブレラ」
◆弾数制限ありながら、状況に応じて使い分ける戦術性と個性に秀でた性能面が光るガンブレラ用の弾丸
◆ジャンプからのさらなる大ジャンプ、滑空といった傘らしさと荒唐無稽さが入り乱れたガンブレラの移動系アクション
◆怪しい建物の調査、情報収集のための聞き込みなど、バリエーション豊かで山あり谷ありのメインイベント(クエスト)
◆基本的にストーリー主導型で、行き先が分からず迷うことも最小限に進行するテンポ重視の本編構成
◆ガンブレラの移動アクションの縦横無尽さを引き立たせ、窮屈感の緩和にも一役買っている開放感重視のフィールド設計
◆同じく移動アクションの縦横無尽さを引き立たせ、その凄さを分かりやすくしている小さめのキャラクターグラフィック
◆フィルムノワール特有の血生臭くて殺伐とした雰囲気と、“人外”も出てくる混沌ぶりが異彩を放つ世界観
◆人外も絡んでくるなりの先の読めなさと、中盤における驚きの展開でプレイヤーを強烈に引き付けるストーリー
◆ストーリーと世界観の特徴の全てが凝縮されていると言っても過言ではない変化に富んだボス戦
◆時に思いも知らぬ悲劇が起きてしまったり、情勢が一転するといった小さめながらも驚きも含んだ分岐要素
◆世界観の殺伐さと、混沌とした情勢を的確かつ違和感のない文体で表現した日本語翻訳
◆フィルムノワール系の映画を思わせる重厚で暗い色遣いと、緻密なドット表現で強い印象を残すグラフィック
◆敵を倒せば血しぶきと肉片が飛び散ってバラバラになるという、鮮烈な人体欠損演出(音もだいぶ生々しい)
◆フワッとした独特の挙動ながら、扱うボタンは最小限で取っつき易い操作系
◆過度に難しすぎもせず易しすぎもしない塩梅の難易度(選択機能も用意されている。ただ……)

▼Bad Point
◆無くても十分な側面もあれど、あればあったで遊びやすさの向上に一役買っていた全体マップ確認機能
◆なぜかデフォルトで「ハード」を指定するようになっている難易度選択機能
◆有効な弾丸が豊富になる関係で、力押しによる一方的な戦術が容易になってしまう本編終盤の難易度
◆全体マップ確認機能が特に恋しくなるエリア「アレンデール森林地」(繋がりが複雑でここに限って迷いやすい)
◆影響範囲は途中のイベントぐらいで、結末まで変わるわけではない分岐要素(物足りなさを感じる人もいるかも)
◆そこまで精密に描かれているわけではないが、人によっては生理的嫌悪感を煽りかねない人体欠損演出
◆開放感の表現に一役買ってはいるが、視認性が犠牲になっている側面もある小さめのキャラクターグラフィック

Game Overview


傘銃で悪を狩れ―復讐のために

◇真のネコロイドたる探索型アクションゲーム『Gato Roboto(ガトーロボト)』を手がけたインディースタジオ「doinksoft」が送るノワールパンク・アクションアドベンチャーゲーム。販売は『Gato Roboto』に引き続きDevolver Digital。日本語ローカライズも『Gato Roboto』と同じ架け橋ゲームズが担当しているが、翻訳は『Katana ZERO(カタナゼロ)』『Blasphemous(ブラスフェマス)』などを手がけた黒澤勇太氏が担当している。
ジャンルとしては、横スクロールで展開されるアクションアドベンチャーゲームになる。プレイヤーは主人公の男(※名前はない)を操作し、主要武器にして手がかりでもある「ガンブレラ」を駆使して敵と戦ったり、舞台となる世界の各地を転々と巡ったりしながら復讐を果たすための旅を繰り広げていく。
具体的にはストーリーに沿って発生する「クエスト」を順番に攻略しながら進めていく形である。

◇ステージクリア型でもなければ、ステージという概念自体もないことから、時系列上の前作である『Gato Roboto』と同じ探索型アクションゲームをイメージしがちだが、ゲームデザイン的には相当に際どい。
というのも探索要素に謎解き要素、果ては主人公の成長を通してアクションを増やしながら行動範囲を広げていく類の展開があまり用意されていない。次に向かうべき目的地にしても、スタートボタンを押すと開く「ジャーナル」で随時確認できるため、行き先が分からず迷ったりする機会も少ない。ストーリー性の強い見下ろし視点(俯瞰視点、トップビューとも)のアクションゲームの横視点(サイドビュー)版というのが正確なところである。ゆえに探索型特有の行動範囲が広がっていく展開や、多彩なアクションに期待すると「コレジャナイ!」との感情が沸き起こるかもしれないので注意。『Gato Roboto』はメトロイド全開だったが、今回はどちらかと言うと『モンスターワールド』(4作目っぽさ)寄りの感じである。

◇特徴はタイトルにも冠されている傘型の銃器「ガンブレラ」。これで敵への攻撃を展開していくのが基本になる。銃器のタイプは散弾銃(ショットガン)タイプとなっており、放たれる弾丸も散弾となっているが、散弾外にも「ライフル弾」を始めとする別の弾丸を装てんし、撃つこともできる。ただし、散弾以外の銃弾には弾数制限が設けられている(散弾は制限なし)。 そして、散弾という言葉から大体イメージできるように射程は短め。至近距離で発砲しないと敵には大きなダメージを与えられない。それもあって戦闘では極力、敵の懐にまで近づいて射出する立ち回りが都度、試されてくるようになっている。

傘型の銃器と聞くと、人によっては映画『キングスマン』のガラハッド(ハリー・ハート)が使っていたあの武器と同じものもイメージされるかもしれないが、性能自体は比較的近い。ただし、あれほどハイテクではない。スタン弾も撃てない。

◇『キングスマン』ほどのハイテク仕様ではないものの、傘の生地部分は防弾仕様で、前方に構えれば盾代わりになってくれる。(Xboxコントローラ使用時)左スティック入れっぱなしのまま、RBボタンを押せば傘を開いた状態での高速移動(ダッシュ)も可能。防御した状態でのダッシュということで、某ガンダムの対戦格闘ゲームにちなんで「ガードダッシュ」と呼んでもいいかもしれない。ほかにジャンプ後、上方向に左スティックを倒してRBボタンを押すと、指定した方向に向けて勢いよく大ジャンプするというアクションがある。また、傘と言えば滑空のイメージもあるが、本作もお約束のように用意されている。 こういった戦闘以外のフィールド移動においても「ガンブレラ」には活躍の場が設けられている。もちろん、これはあくまでも一部に過ぎず、ある程度ゲームが進むと「そうはならんやろ」と言いたくなるアクションも可能になる。

◇フィールドに関しては全エリアが地続きになっているが、探索要素や謎解きなどの仕掛けは最小限。一部、出戻る展開もあったりするが、前述したように探索型アクションゲームのように少しずつ行動範囲が広がっていくような体験には乏しい。むしろ、ストーリーに沿って進んでいく展開が大半を占めるため、見た目以上に一本道感の強い構成になっている。ただ、ストーリーにはアドベンチャーゲーム(ノベルゲーム)っぽい若干の分岐要素が設けられている。とは言え、エンディングは1種類だけで、最小限の変化を及ぼす程度の軽いものであるが。
以上のように個性的な武器に焦点を当てつつ、ストーリー性を押し出す構成で個性付けを図ったアクションアドベンチャーゲームに仕上げられている。大事なことなので改めて言うが、アクションアドベンチャーゲームである。探索型アクションゲームではない。『Gato Roboto』のスタジオの新作ということで、似た内容を想像して遊ぶとだいぶ戸惑うだろう。

Review 【Latest Update :4/26/2026 | First Publication Date:4/26/2026】


傘銃という名のロマンと血生臭さ、そして荒唐無稽までもが交差する濃密な良作。

もう作品名からしてあからさまだが、セールスポイントはズバリ「ガンブレラ」のアクションすべて。戦闘から移動に至るまで活躍すると同時に、荒唐無稽で血生臭さも混在した光景を作り上げていくのが面白いと同時に強い印象を残す。

特にガンブレラの魅力が活かされているのは、銃器という元々の設定にちなんだ戦闘周りだ。防弾仕様であるのを活かして迷いなく敵の懐へと接近し、散弾の嵐を浴びせる快感は従来の散弾銃(ショットガン)では到底味わいにくい爽快感と「してやったり」感に満ちている。移動に関連したアクションを使いこなせるようになることで、アクション映画の主人公さながらの人間離れしたカッコイイ立ち回りが楽しめるという、極める楽しさが凝縮されているのも見逃せない。大ジャンプと滑空を活かして敵の背後へと着地し、相手が振り向く瞬間も与えずに散弾を浴びせるのは最たる一例。その構図を想像するだけでも、アクション自体のカッコよさと決められた時の気持ちよさが理解できると思う。

簡単にできることじゃないのも、アクションゲームとしての面白さと一筋縄ではいかない手触りを実現している。そもそも、傘を使うなりに挙動がフワッとしているのと、滑空時もその特性を踏まえた微調整が試されるので、しっかり決められるようになるにはある程度の慣れと練習が避けられない。ただ、操作自体は左スティックとRBボタンの組み合わせだけで行えるという単純明快なもので、ハードルは仕組みほど高くない。むしろ、結構簡単かつ直感的にできてしまう。練習にしても本編には敵が出現せず、戦闘が発生しないフィールドもいくつか用意されているので、意外に取り組みやすい。ついでに言えば、難易度選択機能もあるので、プレイヤー好みの塩梅で楽しむことも可能だ。

いくつかのアクションの中でも、特に大ジャンプを使いこなせるようになれば、一気に戦闘の楽しさが跳ね上がり、どんどん挑戦していきたくなるはずだ。入り組んだ地形を突破していく移動中心の場面においても然り。

このアクション特有の気持ちよさを存分に味わってもらえるよう、開放感を尊重したフィールド設計も必見だ。どうにもこの手の縦横無尽なアクションは、ゲームが進むたびに狭い地形が増え、使いにくくなるみたいな悪い展開を想像しやすい側面がある。だが、本作はそこもちゃんと見越してか、開放感を第一にした本編構成を徹底している。

さすがに一部では狭い地形も登場するが、アクション自体の醍醐味が損なわれないよう加減しており、終始その魅力が損なわれない構造を確立させている。実はあえてそれを失わせる"仕掛け"も用意されていたりするのだが、それも見た目からして「まあ、そうだよね……」と納得できるものになっていて、制作チームのセンスと気遣いが滲み出ている。その辺の工夫の巧みさは、納得感の確立には徹底してこだわっていた『Gato Roboto』の開発チームならではといったところだ。

とにもかくにも、この独特な手触りと使いこなす楽しさは本作ならではのものがあるので、少しでも興味を抱いたのならば今すぐにでも体験してみてほしいところである。

一連のアクションと共に織りなす本編も文字通りの山あり谷あり。複数の敵を相手にする銃撃戦から建物の調査に留まらず、情報収集のための聞き込み、強敵との戦闘(ボス戦)に脱出など、これぞまさしくアクションアドベンチャーと言わんばかりのイベントが盛りだくさん。特に注目はボス戦。本作は妻を殺され、子供を奪われた男の復讐劇というフィルムノワール風の設定ということから、敵対する相手も同じ人間が中心……と思いきや、実際は人外も結構登場する。

その人外の存在感が顕著に描かれているのがボス戦。どんな相手が出てくるのかは見てのお楽しみだが、オープニングで語られるストーリーと雰囲気を前提に直面すれば、きっと「え!?」となってしまうこと請け合い。同時に人外が絡んでくるなりに、ストーリーの終着点も分からなくなり、いかなるオチを迎えるのかへの興味と関心から止め時を失ってしまうだろう。

実際にストーリーも非常に見どころの多い内容に仕上げられている。特に中盤。そこまで辿り着けば、意地でもエンディングを迎えてやるという気持ちになるだろう。また、ストーリーには節々で選択肢が表示され、どれを選んだかによって後々のイベントの展開やキャラクターの境遇が変わるという仕掛けもある。それにも「こんなはずでは……」となる悲劇があったりして、自然にクギ付けになってしまう訴求力がある。

なお、選んだ選択肢に応じて最後のエンディングが変わる要素はないので、そこまで神経質に考える必要はない。ただ、変化のパターン自体は興味深いものが多く、本作のストーリーの作り込み具合を感じさせられるものになっているので、興味があればすべてのパターンを周回込みで確かめてみてほしいところである。

ちなみにエンディングまでに要する時間はだいたい5〜6時間ほど。分岐パターンを把握する周回もやりやすい適度な規模だ。アクションアドベンチャーというジャンルで見ると短い印象を抱くかもしれないが、密度は濃い。特にストーリーにおける"中盤"を体験すれば嫌でも思い知らされるだろう。

ほかにグラフィック・演出周りも率直に言って刺激的かつ凄惨。最も強烈なのが演出で、敵を倒すと血しぶきと肉片を飛び散らせながらバラバラになるなど、極めて鮮烈だ。効果音も相応に生々しい。基本はドット絵ゆえ、内臓も含んだ細部まで表現されている訳ではないが、人によっては生理的嫌悪感を煽るものになっているので、苦手な人は用心いただきたい。ちなみに主人公もやられれば血しぶきと肉片が飛び散ってバラバラになる。下手すればトラウマになりかねないので要注意。

そういった部分もあって、作風的には人を選ぶ。また、気になる点もそこそこあり、フィールドごとの構造を記した全体マップ確認機能が用意されていないのは賛否が分かれるところ。ストーリーによる誘導が強いため目的が分からなくなって右往左往する機会は少ないのだが、「アレンデール森林地」のように地形構造が分かりにくい場所もあるのを踏まえると、あった方が良かったように思える。
難易度も「イージー」「ノーマル」「ハード」の3種類があるのだが、なぜか選択時のデフォルトが「ハード」になっているのも不可解かつ不親切。なぜ「ノーマル」ではないのか……。そして全難易度共通で、終盤になるとガンブレラで撃てる弾丸の種類が豊富になって力押しが容易になり、一方的な展開に陥りやすいのは若干の調整不足を感じてしまうところである。

その辺りが惜しいと言えば惜しいが、ゲーム自体の出来は決して悪くない。少し癖はあるけど使いこなすと本当にカッコイイ立ち回りが楽しめるガンブレラによるアクション、イベント盛りだくさんの本編、そして驚きの仕掛けが凝らされたストーリーなど、遊べば確実に何かしらが残る良作である。
暴力・出血表現の激しさで人を選ぶが、アクションゲーム好きやストーリー性の強い作品が好きな人にはオススメだ。このフィルムノワール全開な雰囲気と、傘銃という名のロマン武器に釣られて遊ぶもよし。きっと色んな意味で刺激的なひと時を過ごせるだろう。さあ傘銃を手に取り、外道を撃て。なお、扱うに当たって英国紳士の魂は不要です。