≫DRAINUS -ドレイナス-
■発売元:PLAYISM、ワイソーシリアス /
■開発:team ladybug /
■ジャンル:シューティング /
■IARC:7歳以上対象(軽度の暴力表現あり) /
■定価:1,480円(税込)
◆公式サイト / ストアページ
≫『DRAINUS』(Steam)
≫『DRAINUS -ドレイナス-』(My Nintendo Store) ※Nintendo Switch版
©️Team Ladybug・WSS Playground. All rights reserved. Licensed and Published by Active Gaming Media Inc.
▼Information
■プレイ人数:1人 /
■セーブデータ数:10個 /
■必要容量:198MB /
■推定クリア時間:3~4時間(2周)、10~11時間(完全攻略目的)
「カーラル帝国」による圧政に苦しむ宇宙の片隅にある惑星「ハルパクス」。
そこに集められた一人の男は「惑星適応障害」なる病に侵されていた。治療を施すためには、遠き故郷の惑星へと帰らなければならない。だが、彼の娘「イリーナ」もまた奴隷であるがゆえにその術はなく、途方に暮れていた。
そんな中、カエルのような姿をしたヒューマノイド「ゲーニー」がイリーナの前に現れる。
彼いわく、自らは50年後の未来から来た者であり、カーラル帝国が5000以上の惑星を消滅させてしまうという。その暴挙を食い止めるため、イリーナの手を貸して欲しいという。
なぜ自分なのか、何も分からないイリーナだったが、父の病の進行を目にしてゲーニーに協力することを決断。
かくして、帝国軍に溢れる宇宙に飛び出し、彼らを打倒しながら故郷の星を目指す旅が始まった。
▼Pros cons Pick up
--- Good Point ---
◆避ける以上に”当たりに行く”メリットを強調する意欲的な装備「リフレクター」
◆自機「ドレイナス」の強さを始めとする各種便利機能によって実現した”攻略しやすい”難易度
◆確かな必然性があり、プレイ意欲を刺激する仕組みも完成された2周前提の本編
◆ステージ攻略中でもボス戦中でも自機をレベルアップ可能な大らかさが光る機能拡張システム
◆プレイヤーの好きなペースで進めることを容認するチェックポイント単位のオートセーブ機能と、クリア済みステージ再プレイ機能(RPG的な稼ぎプレイによる攻略が狙える)
◆一連の特徴によって、シューティングゲーム初心者にも攻略の余地が設けられた通常難易度「ノーマル」
◆エンディングまでは短めながら、アイテム収集に隠し高難易度など意外に盛りだくさんなボリューム
◆イベント尽くしの構成と名作シューティングを意識した小ネタが満載の全6ステージ
◆苛烈な攻撃を展開しつつも、「リフレクター」などの装備活用で難なく倒せる余地も設けたボス戦
◆本編開始時点の発進シーン、仰々しい爆発演出を始めとする熱い演出の数々
◆緻密なデザインとエフェクトの派手さといった、細かな作り込みが見所のグラフィック
◆各ステージの疾走感とイベントの盛り上げ役として貢献している音楽(楽曲も熱いものが揃っている)
--- Bad Point ---
◆「リフレクター」活用を基本とする関係による一部の初見殺しな攻撃(特にボス戦で目立つ)
◆攻撃を打ち込んでいるという手応えの弱さに直結している、ヒット効果音の大人しさ
◆カーソル周りのレスポンスの鈍さが気にかかるメニュー周りの操作感
◆盛り上がる場面満載だが、登場人物の少なさもあって若干の小規模感も否めないストーリー
◆一部、人によってはトラウマを呼び起こしかねない某名作シューティングゲーム由来のオマージュボス
▼Game Overview
避けるな。「リフレクター」展開の上で飛び込み、反撃せよ。
VIDEO
◇『ファラオリバース』、『この素晴らしい世界に祝福を!復活のベルディア』、『Touhou Luna Nights』といった探索型アクションゲームを多数手がけてきたインディーゲーム開発チーム「team ladybug」による、完全新作の横スクロールシューティングゲーム。2023年2月2日からはNintendo Switch版も発売中。
「惑星適応障害」なる病に侵された父親を治療するため、主人公「イリーナ」がカエルのような姿をした「ゲーニー」と共に最新鋭戦闘機「ドレイナス」を操縦し、圧政を敷く「カーラル帝国」との戦いを繰り広げながら遠い故郷の惑星を目指すというストーリー。進行は伝統的なステージクリア型。終盤に立ちはだかるボスを倒せばステージクリアになる。
◇自機「ドレイナス」は様々な特殊機能を備えている。とりわけ象徴的なのが「リフレクター」。(※Xboxコントローラ使用時)Bボタンを押しっぱなしにすると自機周辺にバリアを展開。この状態で敵弾に接触すると吸収して無効化できる。対象となるのはレーザーを始めとするエネルギー系。極太なレーザーも対象で、明らかに回避不能な場面でも「リフレクター」を展開すれば無傷で乗り越えられる。また、Bボタンを離せば、吸収したエネルギーによる反撃を攻撃主へと自動で実施。大きなダメージを与えることができる。なお、エネルギー系は吸収可能な反面、ミサイルを始めとする物理系は吸収不可能。これらの弾は自機に当たらないよう、直接動いて回避する必要がある。エネルギー系の弾との見分けをつける意図を込め、ゲーム中では赤枠で囲われて表示される。
◇「リフレクター」で吸収したエネルギーは、画面上に表示された「エネルギータンク」へと蓄積されていく。これは敵を倒した時に落とす「クリスタル」のアイテムを獲得した時も同様。貯まった「エネルギータンク」は自機の性能強化で使用。そのため、本作は積極的に吸収していくほど自機の強化を早められる。自機の強化方法もやや特殊で、ポーズ画面を表示して「機能を拡張する」の項目を選び、追加したい機能を決める。これを画面上部中央に表示される「パワーアップソケット」にセットすれば、戦闘中での使用が可能となる。厳密には敵が倒す「パワーアップアイテム」を獲得し、機能を装備した「パワーアップソケット」が点灯すると使用可能になる仕組みで、強化後すぐではない。また、機能の拡張はステージクリア時に表示されるメニュー画面からも可能。
◇強化対象の機能も多彩。「リフレクター」用のゲージ、「パワーアップソケット」、後半以降劇「スーパーボム」の最大値(使用回数)拡張のほか、特殊なショットやオプションを追加実装できる。また、いちどクリアしたステージに戻れるシステムがあるため、RPGのような稼ぎプレイも可能となっている。
◇他に特徴的なシステムで、「パワーアップソケット」は自機の耐久力も兼任。なので、強化を図れば図るほど、自機が打たれ強くなる。細かいところで雑魚敵・ボスのすべてに体力ゲージを表示、随所にオートセーブが実施されるチェックポイントを配置といった親切設計を打ち出す試みも満載。王道にして伝統的なステージクリア型シューティングを踏襲したゲームデザインでありながらも、攻略面ではプレイヤーの裁量次第で色んなことが試せるという非常に意欲的、かつ間口の広さが際立つ作品になっている。
▼Review
≪Latest Update :4/30/2023 | First Publication Date:4/30/2023≫
これぞ正真正銘、万人向けの横スクロールシューティングゲーム。
攻略しやすさを強調したゲームデザイン、巧みな難易度調整が光る傑作である。
万人向けといっても、要はプレイヤーの腕前に応じた難易度が用意された設計ということだろう、と思うかもしれない。実際、「イージー」「ノーマル」「ハード」の3段階の難易度をゲーム開始時点に選ぶことになっている。そして、「イージー」があるから万人受け、攻略しやすい(ゲームクリアしやすい)難易度になっているのだろうと結論付けると思う。
ハッキリ言って、それは大間違い。本作は「イージー」のみならず、「ノーマル」以降の難易度も万人向け、それこそ初めてシューティングゲームを遊ぶ、苦手という人でも攻略しやすい難易度に調整されている。むしろ、本作はそのようなプレイヤーであっても「イージー」以上に「ノーマル」によるプレイが推奨されるほどとなっている。
なぜかと言えば、前述のシステム周りが物語る通り、自機「ドレイナス」が強い。「リフレクター」で物理系以外の攻撃すべてを無効化できるのに加え、それと共に貯まる「エネルギータンク」で自由かつ積極的に強化を図っていける。そもそも、そのような仕組み上、弾を避けることはそんなに重要ではない。逆に「リフレクター」展開の上で進んで当たりにいくことが推奨されるという、シューティングゲームとしては驚きの設計になっている。そうすることによるメリットがあまりにも大きいのだ。
また、「ドレイナス」自体も1発被弾する程度で撃墜されてしまうほどヤワくない。「パワーアップソケット」が耐久力の役割も兼ねているため、点灯しているソケットが多いほど、その分だけ耐えしのげる。それと共にショットの威力が落ちるといった弱体化も生じるが、「リフレクター」はどんなにそうなろうがずっと使用可能。また「スーパーボム」はエネルギー充てん式で、そのエネルギーは「リフレクター」による吸収、「クリスタル」の回収によって貯められる。
そして、その間に「エネルギータンク」がある程度貯まれば、ポーズをかけて機能拡張を図って強化させ、反撃にうって出るのもいい。もっと乱暴な手では、そのポーズ画面からチェックポイントまで、あるいはクリア済みのステージまで戻るという選択をしてやり直し、「エネルギータンク」をため込む手もありである。
こうした仕組みもあって、どの難易度でも攻略しやすい。それは「ハード」でも共通で、根気と発想次第では本当にシューティングゲームが苦手、初めてだという人でも攻略できる余地がある。そうしたこともあって、本作は”万人向け”と言い切れる。単純に腕前に応じた難易度が用意されているからではなくて、どこでも自分なりの攻略法が編み出せ、それが活かせるように設計されているからこその”万人向け”なのである。この辺りは前述の『ファラオリバース』、『この素晴らしい世界に祝福を!復活のベルディア』などの作品でも、工夫による攻略の余地を設けていたアクションゲームを作ってきた「team ladybug」らしさが滲み出ている。
地味に秀逸な点で通しプレイが必須ではないこともある。チェックポイント通過時のオートセーブ、ポーズ画面からの機能拡張がそれを指していて、ちょっとずつ進めていくことを許容している。基本的にシューティングゲーム、主に古典的な縦横のステージクリア型は通しプレイという名のノンストップ進行が定番であり、醍醐味だ。しかし逆に言えば、ちょっとずつ進めていきたいという欲求に応えてくれる余地がない。途中まで進めて、続きは明日以降というようなことも大抵は不可能だ。中にはステージセレクト機能を搭載している、中断セーブ機能を設けているというゲームも存在するが、比率的には低い方だろう。
そんなジャンルの定番にして、古典的な醍醐味がないというだけでも、相当に挑戦的。同時にこのジャンル特有の弱点を的確に突いている。そして、自分なりのペースで戦術の基礎や立ち回りなどの感覚を掴んでいけるため、最終的にはノンストップ進行に挑んでみたくなる挑戦意欲も湧く……という具合にプレイヤーの成長を促す仕組みとしても完成されている。
この段階的に慣れていける構成を作り上げている点でも、本作は古典的なシューティングゲームのゲームデザインに新たな可能性と解釈を示しているといっても過言ではない。豊富な攻略法を設けた探索型アクションゲームを多数手がけてきた「team ladybug」らしさもあると同時に、そのノウハウが絶妙に応用されている。
ゆえに本作はシューティングゲーム入門作品としても完璧に等しい仕上がりである。そう言われても人を選ぶのだろう、と怪訝に思いもするかもしれないが、声を大にして繰り返す。本作は”万人向け”であり、難易度も驚くほど攻略しやすいバランスになっている。なので、今後プレイ予定のシューティングゲーム初心者、苦手な方は騙されたと思って「ノーマル」で始めてみていただきたい。きっと、”万人向け”と表した意味と攻略しやすい難易度の真骨頂を思い知るはずだ。
少しネタバレになるが、本作は全6ステージ構成の2周前提の内容。真のエンディングを迎えるとなれば、ゲーム本編を2周しなければならない。その概略だけでも「うわ、面倒くさそう……」となるかもしれないが、ご安心を。攻略しやすい難易度というのは2周目であっても維持される。とは言え、「2周目なんてやりたくないわ!1周で終わらせろ!」との不満も噴出するかもしれないが、そこもまたご安心あれ。本作の2周目は是が非でも挑まざるを得ないものである。その理由はストーリーに隠されているのだが、詳細は伏せる。だが、見れば「なんだよ……やるっきゃないじゃん!」という気持ちになるはずである。ちなみに2周目では雑魚敵、ボスも強化されるが、これにも非常に納得感のある理由付けがされている。これも実際に見てのお楽しみだが、一通り体験すれば「このゲームの2周目は無くてはならない!」との絶対的な確信を得られるはずである。保証する。
ストーリー絡みでは演出も凝っていて、ゲーム本編開始時のドレイナス発進シーンは特に必見。また、爆発エフェクトも申し分ない派手さであり、小気味よい効果音と共に爽快な気分に浸らせてくれる。エフェクト以外のグラフィックもメカデザインの細かさが光る。音楽もそれぞれのステージでの激しい戦闘を盛り上げる楽曲が満載だ。
ただ、敵にショットを撃ち込んでいる時の効果音が大人しすぎる、ポーズメニュー画面の移行が気持ち遅めでカーソルのレスポンスが鈍い、一部に接触判定があるのか分かりにくい背景があるといった難点も。また、主にボス戦では初見殺しな攻撃も目立つ。これは「リフレクター」による吸収が推奨されるシステム上の都合もある。ただ、事前警告は出るようになっているので、理不尽さは抑えられているのがせめてもの救いではある。あとは一部、人によってはトラウマを呼び覚ますであろう、某名作シューティングゲームのオマージュボスの存在も気になると言えば気になるところかもしれない。(かくいう自分は呼び覚まされた)
もの凄く細かいものでは、ストーリーは盛り上がり所こそあれど、登場人物が少ない関係で若干、小規模に感じやすいところもある。ただ、全体の完成度は自信を持って傑作と言い切れるもので、本当に万人向けなシューティングゲームになっている。全編シューティングゲーム初心者や苦手な人を第一にしている訳でもなく、上級者にも精神がすり減ること必至の隠し高難易度を用意するなど抜かりはない。何より、ゲームデザインの巧みさの数々に唸ること請け合いである。まさにシューティングゲームは”やさしさの時代へ”と言いたくなってしまう魅力が詰まった逸品。おススメもおススメだ。しつこいが、これから遊ぶ人も最初は必ず難易度「ノーマル」で始めてみていただきたい。そして豊富な攻略法を駆使し、ゲームクリアをツカめ!
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