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≫Axiom Verge


■発売・開発元:Thomas Happ Games / ■ジャンル:アクション /
■CERO:B(12歳以上対象) ※暴力描写あり/ ■定価:1,980円(税込)

◆ストアページリンク
≫Steam / ≫Humble Bundle

©Thomas Happ Games LLC


2005年、アメリカ・ニューメキシコ州。
科学者の男性トレースは、ある研究施設内で特殊な装置に対する電磁パルス実験を開始しようとしていた。

だが、実験中に生じた電波の歪みにより、施設全体が倒壊するほどの大爆発が発生。
トレースは天井から落下してきた瓦礫の下敷きになり、その生涯を閉じたかに見えた。



だが、彼は奇妙な世界へと飛ばされ、その地のカプセル内で目を覚ましていた。
同時にトレースの元に何者かの声が響き渡る。
その声に導かれ、銃の形をした生体兵器「アクシオムディスラプター」を手に入れたトレースは、声の主を探し出し、脱出の手がかりを探る為、この世界の探索に乗り出す。果たして、その先に彼を待つものとは。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆往年の探索型アクションらしい、自力で道を切り開く面白さに特化した本編の構成
◆包み隠す気なしのメトロイド臭(エリア間を繋ぐゲートなど、思わずニヤリとする要素が満載)
◆バグが生じた環境を正したり、敵にバグを生じさせて弱体化させるというゲーム側の異常を逆手に取った発想が光る特殊武器「アドレスかく乱機」による戦術
◆正統派のショットから拡散型、追尾式マシンガンなど多種多様な武器とそれを使い分ける楽しさ
◆メトロイド以外の名作アクションゲームをオマージュしたネタも仕込まれた、多彩なアップグレード系のアイテム&アクション(特に「リモコンドリル」、「ワイヤー」の二つは知る人ならニヤリとすること間違いなし)
◆広すぎず、狭すぎずの適度な規模でまとめられたエリアごとのマップ構成
◆プレイヤーの3~4倍に及ぶ巨体と派手な攻撃の数々が圧巻のボス戦(攻撃パターンも練られている)
◆反応の良さとキビキビとした挙動、適切なボタン配置が心地よい操作性
◆早く進めても10時間弱、完全攻略を目指すと2~3倍に膨れ上がる圧倒的なボリューム
◆異次元世界からの脱出のはずが、存外な方向へと突き進んでいくストーリー(しかし……)
◆登場人物からエリアごとの背景など、細部まで作り込まれた世界観と設定(ゲーム中にも資料アイテムが手に入り、それらを読み解くことで意外な事実が判明する要素も)
◆異次元世界特有の居心地の悪さとおぞましさを描き切った、重厚なドット絵によるグラフィック
◆グラフィックから醸し出されるおぞましさにマッチした音楽
◆仰々しい効果音とド派手な爆発など、盛り上がりのツボを見事に押さえた演出全般

--- Bad Point ---
◆ストーリー、世界観の魅力を著しく損ねる稚拙極まりない日本語ローカライズ(翻訳があまりにも雑)
◆雑な翻訳の所為で逆に分かり難くなっているストーリーの真相部分(英語にしないと分からない……)
◆裏を返せば、往年の探索型アクションらしい不親切気味の設計(行き先は基本、教えてくれない)
◆中盤、突然行き先が分からなくなる場面の存在(巨大な蜂のボスを倒した後に起こりやすい)
◆回避不能な攻撃を展開してくる雑魚敵が増えるなど、非常に粗くて理不尽気味な終盤の難易度
◆実質、力押しが最適解になってしまっている残念なラスボス戦(ノーダメージで倒すのはほぼ無理)
◆方向キー2回押しという煩わしさが気がかりなアップグレード系アクションの「ダッシュ」
◆エリア間への高速移動を可能にするワープ機能の不備(この関係で攻略時間も間延びしがち)
▼Review ≪Last Update : 1/24/2021≫
その男には成すべき仕事がある。

そして、思い込まねばならぬ事実がある。



個人開発者Thomas Happ氏が5年の歳月を費やし、ほぼひとりで作り上げた探索型アクションゲーム。2015年にPCのほか、PlayStation 4向けに発売。後にPlayStation Vita、WiiU、Xbox One、Nintendo Switchにも移植されている。

個人制作の範疇を超えすぎた圧倒的なボリュームが異彩を放つ、傑作探索型アクションゲームだ。

内容は広大な迷宮型のマップを舞台に繰り広げられる、横スクロール探索型アクションゲーム。プレイヤーは主人公「トレース」になり、異次元世界に広がる様々なエリアを行き来し、武器や能力を会得しながら仕掛けを解いたり、強大な敵と戦ったりしていくというものである。
先に『メトロイド』、言わずと知れた任天堂の探索型アクションゲームの名を出した通り、ゲームとしての作りは同作とほぼ共通。特に武器が遠距離タイプ、映画『エイリアン』をモチーフにした不気味な世界観、そして小分けされたエリア間を繋ぐ「ゲート」が存在する点で、かなりそちらに寄った作りになっている。同じく探索型アクションゲームの代名詞で『悪魔城ドラキュラ(※月下の夜想曲以降』もあるが、そちら由来の要素は皆無のため、似たような作りは期待しない方がいい。
システム周りも『メトロイド』に寄っている。実質、ほぼそのまんまと表していいほど。アイテムを取得することによるプレイヤーアクションの拡張、それによる行動範囲の拡大、そして広大なマップを隅々まで調べ尽くすことに徹する主な流れがその象徴だ。いずれも元のプレイ経験がある方なら、ゲームを始めて間もない内に仕組みを理解できるだろう。
ただ、あくまでも元にしているのは昔のメトロイド。『メトロイドフュージョン』以降のシリーズで定着した、次の目的地を教えてくれるナビゲーション機能はなく、基本的に自力で道を切り開くことに終始する。一応、道中ではストーリーに関連する会話イベントこそ挿入されるが、具体的にどこへ向かえとまでは教えてくれない。探索型に不慣れな人を考慮した直近のメトロイド新作を思えば、大分旧態依然な設計。「しらみ潰し」こそがカギになる作りだ。
もちろん、独自要素もある。それが「バグ」。ゲームが進むと、敵や周辺の地形環境を狂わせる「アドレスかく乱機」なる武器が手に入り、それによって足場を作り出したり、あらかじめ地形に生じている「バグ(※グラフィックの表示が乱れている箇所)」を消滅させ、進行不能な道を切り開けるようになる。「アドレスかく乱機」の効果は敵に対しても有効であり、照射すれば対象を弱体化させることも可能。プレイヤーに対して害を及ぼす長距離レーザーを放つ敵に使えば、無害なレーザーを照射するようになったり、もの凄い勢いで弾を連射してくる敵に対して使えば、発射速度が低下するなど、脅威を和らげてくれるのだ。いわゆる、ファミリーコンピュータ(ファミコン)時代のゲームで、ROMカセットの刺し方が甘い時などで見受けられたグラフィックの崩壊現象という名の「異常現象」を逆手に取った要素。さながら発想の逆転とも言うべきものに仕上がっていて、本作特有の探索、戦闘の楽しさを表現している。アイディア的にもありそうでなかった新鮮味があり、プレイすれば嫌でも記憶に残るものになっている。
他にプレイヤーの主要武器である「アクシオムディスラプター」も、3方向に拡散するものから近接(ショットガン)、火炎放射などの多彩な種類が用意されており、それらを使い分けながら個々の敵やボスと対峙する場面も豊富に用意されている。ボスに関しては、用いる武器によっては戦闘難易度が著しく変わる仕掛けが凝らされているのも見所だ。
このように探索型アクションゲームとしてはメトロイド寄り、またの言い方で王道の作り。だが、異常現象を逆手に取った仕掛け、戦術によって独自の遊び応えを表現しており、似ているようで異なる味わいに富んだ内容に完成されている。まさに往年のプレイヤーの琴線を刺激する、昔ながらの魅力と新しさを併合した作品と言った趣だ。

本作の魅力は、まさに探索型アクション良い所取りである。
特に親切設計がトレンドになりつつある現代の探索型アクションに不満を持つプレイヤーには、「これぞ!」と言いたくなる打ってつけの内容になっている。徹底して自力で道を切り開くことに終始するからだ。さすがにテキストを使った演出が皆無、とまでは行かず、前述の通りストーリー性も相応にあるが、それでもヒントは最小限でどのように進めと強要してこないので、このジャンルの醍醐味たる「しらみ潰し」を思う存分に味わえる。
アイテム入手を強要されない点も見所だ。行動範囲を広げるアップグレード系に関しては入手しないと行き詰まるが、新たな攻撃を可能にする武器絡みのパワーアップアイテムに関しては一部を除き、無視しても何ら支障はない。なので、手数を増やして戦闘で有利な立ち回りが可能になるようじっくり探索して回収していくもよし、最速クリアのために必要最小限の武器に留めて突撃するもよしという、自由の高い攻略を許容している。そのため、繰り返しプレイにも耐え得るやり込み甲斐の深さも実現されており、飽きが起きにくい設計だ。この点もまた、探索型アクションは周回プレイを重ねて、自らの攻略スタイルが洗練されていく過程を楽しんでこそ、と思うプレイヤーには辛抱たまらない部分と言えるだろう。
裏を返せば、詳細なガイドが欲しい、自力は面倒臭いとの認識が強いプレイヤーほどストレスを感じやすい。右往左往の連続で、滅入ってしまいかねない内容とも言える。とは言え、さすがにマップの構造に関してはファミコン時代の探索型アクションほどの意地悪さ、見えない通路満載な感じではない。そこまで酷い右往左往を強いられることはないよう、行動範囲をホドホドに絞り込んでいるので、「しらみ潰し」を心がければ難なく進めていける。また、探索途中で怪しい場所を発見した時、全体マップ上で「マーカー」を付けるという補助機能も備わっており、これを都度、使いながら進めていけば極端な行き詰まりは回避可能だ。多少の面倒臭さはあれど、昔に依存しすぎない程度にバランスは取った設計。やや好みの分かれる所はあるが、最低限の遊びやすさは確保しており、まさに探索型特有の「自らの力で道を切り開く」という楽しさに焦点を当てた作り込みが凝らされている。それもあって、道が徐々に切り開かれていく楽しさも相応。思わず時間を忘れてのめり込んでしまう中毒性も醸し出された、侮り難き仕上がりとなっている。
探索のみならず、戦闘面もなかなか凝っている。特にプレイヤーの3~4倍もの巨体を誇るボスとの戦いは、まさに”手に汗握る”を体現したかのごとき仕上がり。序盤からそのような面子が続々登場するので、アクションゲームと言えばデカいボスの対決だ、という人にはたまらない一時を楽しめるだろう。ボスのみならず、本作には味方側でも巨大なキャラクターが多数登場するので、その点も注目だ。また、雑魚敵との戦いも独自の戦術が試される設計で見逃せない。先に挙げた「アドレスかく乱機」によるバグ発症がその象徴だ。弱体化させたり、(事実上の)味方にさせたりなど、使いようによって対処の仕方が一変する過程は単純ながらも、ありそうでなかった相手を打ち負かす快感が満載。ちゃんとバグを発生させるなりに相手の容姿も変わったりと、グラフィック面でも凝った仕上がりになっているので、その点も必見だ。インパクトに関しては、巨大なボスの方に軍配が上がってしまうかもしれないが。
そして、本作における”良い所取り”の極みとも言えるのが名作アクションゲームの山のような小ネタの数々。システム周りや世界観の時点で言い逃れできない程度に『メトロイド』の本作だが、ネタにしているのはそれに限らない。例えば巨大なボスとの対決。プレイヤーの3~4倍もの巨体を誇り、彼らを多彩な武器で撃退する過程はコナミの『魂斗羅』で、相手の禍々しい容姿から、経験者なら自然と同作が脳裏を過ぎるものになっている。
さらにアップグレード系アイテムにも露骨なものが。ひとつに「リモコンドリル」。小型のドローンを射出して操作し、プレイヤーの足が及ばない場所を調べるというアイテムだが、この仕組みが完全にサンソフトの『超惑星戦記メタファイト』のそれである。視点が横から見下ろし(トップ)になるような要素はないものの、プレイ経験のある人なら「あれ?」となってしまうこと間違いなしだ。ふたつに「ダッシュ」。横方向への高速移動のほか、ジャンプ後にも使用可能で、飛距離を伸ばせるのだが、この特色が完全にカプコンの『ロックマンX(厳密にはX2以降)』の「エアダッシュ」である。操作のスタイルは同作とはやや異なるのだが、やはりプレイ経験のある人ならば悩み多きB級イレギュラーハンターの姿が脳裏を過ぎってしまうかもしれない。締めのみっつに「ワイヤー」である。もはや、何を指すかは語るまい。ナ○スの総統やバイオニックな魂が揺れ動いたことだろう。現にアイテムの特徴も完全にまんまである。触れば、経験者はきっとこう叫びたくなるだろう。「発動!トップシークレット!(By:水木一郎)」と。
このように知る人をニヤニヤさせる見所も満載なのである。こう言った露骨なネタは、個人が作ったインディーゲームならではと言った所。しかも、それをただ真似るのではなく、本作なりの面白さ、見た目を持ち合わせたものに仕上げているのが実に見事だ。露骨にバイオニックなワイヤーは除外するが、それらの高レベルなまとめ方には、制作者の元ネタへの敬意、自分なりの解釈を加えるという巧みなセンスを感じさせられるだろう。
一連の特色は、悪く言えば名作をなぞっているとも言えるかもしれない。現に「バグ」による戦術を除けば、探索型アクションとしては割と平均的である。しかし、根幹部分の完成度は見事で、そこに往年の名作のネタや要素を散りばめることによって、独自の遊び応えを実現している。何より、古き良き時代の探索型アクションゲームとしての理想的な形を実現しているのは特筆に値する部分だ。故にこそジャンルの醍醐味が「しらみ潰し」にあると豪語する方には刺さる。深々と刺さる。そして、ファミコンからスーパーファミコン時代のアクションゲームを遊んできた世代にも実家のような安心感も抱ける。まさに”昔ながら”と”良い所取り”の魅力がフルスロットルで入り混じっては炸裂する作品になっているのだ。理想的な”古き良き時代のゲーム”ここにあり、と言った感じだ。
かと言って繰り返しになるが古いことに徹せず、マーカー機能などの今なりの配慮も効かせ、直撃世代以外にも楽しめる遊びやすさも確保。そう言ったバランスを取って作っているのには、直撃世代も絡めて唸らされること請け合いだ。

また、本編のボリュームも非常に大きい。早く進めても10時間、じっくり進めた場合はその2倍以上は費やしかねないぐらいだ。探索型アクションゲームとしてはほぼ大作の域である。無論、アイテム回収を始めとするやり込み要素も備わっている。それらの完全な回収を目指した場合のプレイ時間に関しては、もはや察していただきたいの一言だ。しかも、驚きなのは本作、ほぼひとりで作られたゲームであるということ。個人で作ったゲームとしては規格外の極みである。同時に、それなら5年の歳月を費やすのも仕方がないと納得してしまうところもある。本当にそんな時間がかかるのかと半信半疑に思うかもしれないが、プレイすれば嫌というほど思い知らされる。気になれば、今すぐにでも購入して始め、エンディングを目指して見て欲しい。誇張じゃないことを思い知らされるはず。
そのほか、操作性も良好。挙動も軽快、ボタン配置も違和感が無く思うがままにキャラクターを動かせる、アクションゲームの醍醐味を押さえたものに完成されている。ただ、先に触れた空中ダッシュ、そして壁を通過する際に方向キーを素早く2度押すという操作に関しては難あり。特にPC版の場合、Xbox 360コントローラにやや不向きなものになってしまっている。逆にPlayStation 4のDUAL SHOCK 4だと比較的スムーズに出せるので、もし可能であれば本作をプレイする際は同コントローラを用いることを推奨したい。
難易度も全体的に高め。選択機能こそあるが、最も簡単かつ標準の「ノーマル」でも本編後半、回避不能な攻撃を連発する雑魚敵が多数登場して跳ね上がる所がある。ラスボスも実質、ダメージ覚悟を前提にした調整になっているため、熾烈な攻撃を避けながら華麗に相手を倒すことに醍醐味を求める人には強烈なストレスを感じるかもしれない。前半のバランスは良好で、攻めと回避を切り替えながら立ち回れば、ノーダメージ突破も夢じゃない設計になっているだけに、なぜ後半をああも苛烈にしてしまったのかは首を傾げるばかりだ。強化された主人公と対等にするためとは言え、乱暴な発想に至るのは避けていただきたかった。
戦闘以外に探索でも中盤、巨大な蜂のボスを倒した後に進むべき道が分からなくなるのは大いに難あり。ここに関しては、ストーリーイベントを挟むなどして、明確に目的地を伝える措置を取っていただきたかった。
そのストーリーもテキスト周りが酷い。日本語翻訳が大変拙いのだ。特に武器の性能を解説するテキストは稚拙の極みで、どんな効果を発揮するのかが全く読み取れない。また、体力の最大値を上げるアイテムを「健康値アップ」するなど、わざわざ日本語にしなくても十分伝わるだろと物申したくなる翻訳も多々見られる。挙句、ストーリーの台詞もキャラクターの口調が一転することがあり、状況が分かり難くなっている始末だ。
正直、あまりにも仕事が雑と言わざるを得ない。元々、日本語は後発のアップデートで実装されたのだが、それにしたって質が低すぎる上、作者は日本語に訳せばそれで十分伝わると思い込んでいるような姿勢が滲み出ていて不快感すら抱かせる。単に訳したテキストをそのまま当てはめて終わらせただけに等しい雑っぷりである。ここに関しては強い口調で再翻訳し直せと申す次第だ。折角ゲームの出来がいいのに、拙い日本語のせいで気持ちを萎えさせるようにしているとか、さすがに本末転倒が過ぎる。このため、これから本作をプレイする方に対しては決して日本語ではなく、英語でのプレイをお薦めしたい(※オプションで設定可能)。直るまでは観ない方が幸いだ。

前述以外にも一部巨大なボス戦における視認性の悪さ(拡大・縮小演出の弊害)、若干の練習が必須となる「ワイヤー」によるワイヤーアクションなど、気がかりな箇所は存在する。ワープポイントが存在しないにもややストレスだ。ただ、いずれも後半の難易度と日本語テキスト(翻訳)の問題に比べれば些細なもので、プレイしていく内に自然と気にならなくなるレベルのものに収まっている。翻訳の拙さの所為で、分かり難いものになってしまっている致命的な難点こそあれど、ストーリーと世界観は見所満載。特に中盤に登場する敵の親玉の正体は大変衝撃的。また、本作はマルチエンディング制を採用しており、特定の条件達成で結末も大きく変わる。中でも最もベストなエンディング「トゥルーエンド」は度肝を抜くものになっているので、ぜひ頑張って到達してみていただきたい。しばし錯乱状態になるはずだ。
ファミコン時代のゲームを意識したグラフィックの完成度も高い。中でも巨大ボスはドット絵の芸術と言わんばかりのインパクトがある。彼らを倒した後の爆発演出も相応なものになっているので注目だ。対照的に音楽は見た目とは異なり、音源多めの現代風。だが、不気味な世界観とマッチした楽曲が揃っていて、居心地の悪さを表現している。その不安定気味な旋律には、早い所こんな世界からはおさらばしたいとの気持ちになること請け合い。もちろん、ボス戦のようないかにもなゲーム音楽も用意。こちらも場面と絶妙にマッチした楽曲になっているので注目だ。
締めの方で難点を列挙したが、探索型アクションゲームとしては十分に良作以上と言い切れる出来。前述したが、自力で解くタイプが好きな人には確実に刺さるだろう。メトロイドのオマージュ作品としても完成度は高く、シリーズ経験者ならニヤついてしまう要素が満載。それだけに日本語翻訳の拙さが惜しまれるが、それを受け入れてまで遊ぶだけの価値はあると豪語できるほど、傑作と言い切れる作品。ジャンル好きならばぜひ、プレイいただきたい1本だ。
なお、冒頭に書いた通り、PC版以外に家庭用機版もあり、日本ではPlayStation 4、Nintendo Switch版が販売中。できれば専用機で、という方はそちらをどうぞ。ただし、日本語翻訳はPC版同様の酷さなのでご注意を。
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