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≫ZombiU(ゾンビU)
■発売元 ユービーアイソフト
■ジャンル サバイバルホラー
■CERO D(17歳以上対象) ※過度の暴力、出血、身体欠損描写あり
■定価 パッケージ版:6648円(税別)、ダウンロード版:6480円(税込)
■公式サイト ≫こちら / ≫商品&購入ページ(任天堂)
▼Information
■プレイ人数 1〜2人(※通信プレイ時:1人)
■セーブデータ数 1つ(※ユーザーごとに作成可)
■必要容量 セーブ:3MB以上、ダウンロード版:5736MB以上
■その他 Nintendo Network対応、WiiU PROコントローラー対応、Wiiリモコン(&プラス)対応、ヌンチャク対応
■総説明書ページ数 17ページ(※電子説明書)
■推定クリア時間 15〜17時間(エンディング目的)、35〜40時間(完全攻略目的)
And in those days shall men seek death.
And shall not find it , and shall desire to die.
And death shall flee from them.

--- Revelation 9.6 ---

人々は死を求めようとも与えられず、死にたいと願おうとも、死は逃げていくのである。

--- 黙示録 9章6節 ---


2012年、謎の奇病の蔓延により、イギリスのロンドンはゾンビ化した人間が肉を求めてさまよう、この世の地獄と化した。ゾンビ化を免れた生存者も少なからず居たが、女王を始めとする王族、政府要人は既に国外へと脱出。残る一般市民、軍の兵士達の多くはゾンビに襲撃されて死亡、中には噛まれた事で自らもゾンビと化すなど、蹂躙され続けていた。

そんな中、ロンドンの市街地をさまよう生存者の一人がプレッパーなる人間からの無線の声を聞く。
生存者は声に導かれ、ゾンビ達の群れを掻い潜って地下鉄の駅へと逃げ込む。
そのまま足を進めるにつれ、生存者はプレッパーの隠れ家へと辿り着いた。

プレッパーは無線を通じ、隠れ家にやってきた生存者に様々な装備と情報を提供。
ゾンビが徘徊するロンドンで生き残る為の技術を教えるのだった。

かくして、ゾンビから身を守り、戦う術も手にした一人の生存者。
果たして、この未曽有の厄災に見舞われたロンドンで生き残り、無事、国外へと脱出できるのだろうか。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆テレビ側とゲームパッド側の二つのモニターを交互に見ながら、ゾンビと戦ったり、マップを探索していくWiiUならではの特徴を効果的に反映させたゲームデザイン
◆タッチによるアイテム管理、ジャイロセンサーを駆使しての周囲のサーチ、スナイパーライフルの照準合わせなど、WiiUゲームパッドの特色を活かした独特の操作周り
◆主人公不在、モブの一般市民の一人を操作して本編を進める、斬新なストーリー設定
◆ゾンビに噛まれる事で即ゲームオーバーとなり、そのプレイヤーがゾンビとなって新たな主人公(一般市民)の前に立ちはばかる、新しくも背徳的なプレイヤー交代システム
◆非常にしぶとく、集団だとより一層脅威が増す、原点中の原点を突き詰めたゾンビ達の強さ
◆非力な一般市民がゾンビ達と戦う設定を効果的に反映させた、硬派な難易度
◆無慈悲にして、鬼畜の難易度『サバイバル』(ゲームオーバーでセーブデータごと消滅…)
◆非同期型の仕組みと救済措置の側面を併せ持った点がユニークなオンライン要素
◆想定外のトラブル、不利な状況下での戦闘など、バラエティ豊かなイベントが満載の本編
◆ゾンビ達の的確な配置、入り組んだ地形構成が光るフィールドデザイン
◆WiiUゲームパッドならではの表現も光る、ホラーゲームならではの恐怖の演出(特に『保育園』エリアの演出は必見)
◆高い難易度と恐怖のイベントの存在もあって、密度、やり応え共に十分過ぎるボリューム
◆古臭いモデリングながら、荒廃したロンドンの雰囲気を見事に表現しきったグラフィック
◆ジョン・ディーが遺した終末の予言が現実となったら…という「もしも」を描いたストーリー
◆全編日本語吹き替え仕様のボイスなど、地味ながらも丁寧な仕事が光るローカライズ周り
◆人間対ゾンビという、変わった立ち位置で戦うという独特のルール設定が光る対戦プレイ
◆完全なおまけ機能だが、活用次第でドッキリネタとして使える『ゾンビカメラ』

--- Bad Point ---
◆独特だが、逆に人も選ぶ操作性(特にレスポンスの鈍さとアイテム管理が好みを分ける)
◆仕組みは面白いが、一人一人の差別化がほとんど無されてない一般市民達
◆冗談抜きに人によっては卒倒するレベルの怖さを誇る『保育園』
◆自由度が低く、プレイヤー好みの改造はできないに等しい銃火器のカスタマイズ機能
◆ストーリーにおける一部、明かされない謎の存在(特に『保育園』の”アレ”絡みの謎)
◆そんな頻繁に起こる訳でもなく、若干、勿体ぶっている感が否めない『隠れ家』へのゾンビ襲撃イベント
◆非常に素っ気ないエンディング(モブが主人公だから、と思えば理に適ってるが…)
◆一部、進行不可能バグの存在(更新データが配布されているので、適用必須)
▼Review ≪Last Update : 8/28/2016≫
死の霧は大地を覆い、備えなき人々は成す術もなく穢れた手にからめとられる。

そして、終末が訪れ、黒き天使による浄化の時が迫る。


WiiU本体と同時発売されたタイトルの一本で、完全新作のサバイバルホラーゲーム。開発はレイマンシリーズ等を手掛けたユービアイソフト・モンペリエスタジオが担当。

WiiUならではの恐怖感と苛烈なゲームバランスでプレイヤーを翻弄する、衝撃の意欲作だ。

ゲーム内容は一人称(主観)視点で展開する、ファースト・パーソン・シューター(FPS)風サバイバルホラーゲーム。プレイヤーはゾンビの溢れ返るロンドンの街で奇跡的に危機を逃れた生存者の一人となり、『プレッパー』なる謎の人物の指示に従い、物資や武器を集めながら、ロンドンからの脱出を目指すというものである。
本編は『隠れ家』と呼ばれる拠点、ゾンビだらけのロンドンの市街地を行き来しながら、無線経由でプレイヤーに話しかけてくるプレッパーから課せられる依頼(ミッション)を攻略していく形で進行。探索する範囲は広いが、基本は一本道のストーリーに沿っていく仕組みで、アクションアドベンチャーライクなものになっている。
システム周りも、見た目こそFPSで、ピストル等の銃火器も登場するが、シューター要素は薄め。サバイバルホラーだけあって、銃火器の弾は僅かしか手に入らず、シビアさを際立たせる調整が施されている。その為、銃火器でゾンビと戦う際は確実に命中させていかなければならない。ただ、武器は銃火器のみならず、打撃武器としてイギリスの名物スポーツ『クリケット』のバットも用意されている。なので、弾が切れても攻撃手段が失われる事は無い。しかしながら、これで攻撃する際はゾンビに接近しなければならない上、一度振りかぶって振り降ろす形で攻撃が行われる仕組みの為、連続攻撃を仕掛ける事は不可能。そんな武器しかない状況で、複数のゾンビに囲まれたらどうなるかはお察しの通りである。そういう具合に、慎重な立ち回りをプレイヤーに要求する徹底振り。どう足掻いても危機的な状況に晒される、まさにサバイバルなバランス調整が図られた仕上がりになっている。
そして、そんなサバイバルっぷりに拍車をかけるのが今作最大の特色、プレイヤーこと主人公の設定とマップの探索や武器の装備等で用いる『サバイバルキット』こと、WiiUゲームパッドをフル活用したインターフェースだ。
前者に関しては、この種のゲームとしては極めて革新的なものになっている。何と、今作に明確な主人公は居ない。プレイヤーが操作するのは一般市民。映画等で言う所のモブなのである。サバイバルホラーの先駆者的作品であるカプコンの『バイオハザード』シリーズに代表されるように、この手の題材を扱った作品と言えば、特殊部隊に所属する隊員が主人公を務めたりするものだが、今作の場合はモブ。なので、名前など無い。厳密には設定されているのだが、ストーリー上ではただの生存者に過ぎず、それ以上の人柄などは何一つ語られないのだ。おまけにモブだから弱い。防御力は壊滅的、特技も何も無し、武器やツールを最低限使いこなせる程度と、特殊部隊の隊員とは雲泥の差のスペックとなっている。そうも主人公補正も働かず、コロリと殺されてしまう人間をプレイヤーが操作するだけでも、今作の新しさが想像できるだろう。まさにゾンビ作品の御約束を打ち破る設定。これではゾンビの方が強いのも止む無し、と納得するほどひ弱なキャラクターで、本編を攻略していかなければならないのだ。
更にもう一つ革新的な点として、死ぬと別の主人公に切り替わるというのがある。何と、今作では体力ゲージが空になるか、或いはゾンビの噛み付き攻撃を喰らってしまうと、それまで操作してきた主人公は死亡して使用不能となり、別の主人公に切り替わって『隠れ家』から再開するのだ。そして、使用不能になった主人公はどうなるのかというと、ゾンビの一体としてプレイヤーの前に出現!他のゾンビ達と一緒に、新しい主人公を操作するプレイヤーに襲い掛かってくるのである。勿論、新たな主人公も途中でやられてしまえば同様にゾンビ化。そうしてまた、新しい主人公を操作する事になったプレイヤーに牙を向くのだ。プレイヤー自身が操作する主人公が死ぬとゾンビになる!これだけでも、インパクトのあるシステムであるのは容易に察せるだろう。更にユニークな点として、死ぬとゾンビ化以外に、現在所持してる武器やアイテム等の物資も全て消失。次の再開時にはクリケットバットとライトの最低限の装備しか持っていない状況に戻されてしまうのだ。だが、完全消滅する訳では無い。というのも、ゾンビ化した元主人公は武器や物資を入れた『リュック』を背負っている。なので、倒してそのリュックを手に入れさえすれば、全ての物資を取り戻す事ができるのである。倒さなければならないだけあって、少し労力を要するが、かつての主人公を倒し、装備を取り戻すというその過程自体は実に斬新で背徳的。そんな他に類を見ない要素をも取り入れているのだ。こんな真似ができたのも、モブという設定あってこそ。特殊部隊の隊員とかであったら絶対に出来なかったであろう、高い説得力が光るものになっている。また、死亡すると装備品等を失うという下りに『不思議のダンジョン』、『ダークソウル』っぽさが滲み出ているのも面白いところ。双方の良さをゾンビモノとして昇華した仕上がりは、二作を知るプレイヤーならニヤリとするかもしれない。
後者に関しても、主人公同様に非常に革新的な作り。両手でWiiUゲームパッドを持って横や縦に動かしながら周辺環境を見回したり、スキャンしたり、時にはパッド上に表示される専用アイコンをタッチし続けて扉のバリケードを外したりなど、テレビ画面とパッド側モニターの二つの画面を作り出せるWiiUだからこそ成し得た、独特のギミックと遊びが盛り込まれている。何より個性的なのが、テレビ側とパッド側で完全に独立していること。バリケードを外す時にせよ、スキャンする時にせよ、そしてプレイヤー自身が持つリュックを開いて中のアイテム等を使用したり、整理する時にせよ、テレビ側の時間は止まらずに流れ続けるのだ。ゾンビと共に!なので、パッド側の操作に集中してテレビ側に戻ってみたら目の前にゾンビが居て、そのまま噛み付かれて死んでた…なんて事も。だったら双方から目を逸らさなければ良いだろ!、というコマンドー的発想に至るかもしれないが、自然と目がパットの方に集中してしまうようになっているので、そう上手くはいかない。如何にして双方に目をやれるよう、プレイヤー自身が心掛けられるか。そんなゲーム性と恐怖を演出する仕掛けもこの操作には盛り込まれており、まさにWiiUならではの体験を味わえるのだ。主人公の設定も十分に革新的だが、こちらもまた然り。あらゆるプレイヤーに経験した事のないゾンビの恐ろしさを体感させるものになっている。
この他、ゲームモードも本編に当たる『キャンペーン』以外に二人まで参加可能な『マルチプレイ』を収録。また、『キャンペーン』には非同期型のオンライン要素も実装されており、他のプレイヤーのゾンビと遭遇したり、メッセージを残せると言った間接的に情報を共有できる遊びも楽しめる。
こんな具合に見た目こそFPSだが、その中身は真っ当なサバイバルホラーにして、これまでのどの著名な作品も真似した事が無い斬新なアイディアが炸裂した内容に仕上げられている。それでいて、WiiUだからこそのゲーム性までも表現するなど、ハードに合わせた作り込みも入念に成されている徹底振り。任天堂以上にゲームパッドを使いこなしてやる!という、製作スタッフの強烈過ぎる意気込みと本気が炸裂したとも言える、革新的な作品になっているのだ。

例によって、今作の売りはWiiUゲームパッドの特色を活かしきったゲームデザインだ。本当、芸術的の一言。全てが完璧という訳では無く、バリケードの除去のようにタッチ操作を無理矢理起用したものもあったりと、粗削りな所も散見されるのだが、ゾンビの不意討ち、それを恐れながら双方の画面に注意を配るプレイスタイルはテレビ側とパッド側の二つに異なる画面を表示できるWiiU独自のハード仕様あってこその斬新さと面白さが表現されている。
また、サバイバルホラーというジャンルにおいて、革新的と言い切れる新しいゲーム性を演出しているのも素晴らしい。主にゲームバランス周りだが、一般市民が主人公であるという設定からくるか弱さ、それに容赦なく襲いかかってくるゾンビの強靭さという強弱の構図が明確に表現されており、あらゆる武器を使いこなし、時には特殊能力を駆使して戦う他のサバイバルホラー作品の主人公とは一線を画す手強さがある。
また、ゾンビの原点が描かれているのも見逃せないところだ。(何のゲームとは言わないが)昨今は様々なゲームにおいて、強い主人公達と武器によって、ワリと蹂躙され気味のゾンビさん。だが、そもそもゾンビってのはタフでしぶとく、多勢になれば無類の強さを見せる恐怖の象徴でもあった。それはゲームだけでなく、映画でもそのような存在として登場人物に恐れられていた。なのに俺たち…どうして銃の的にされてるの?俺達、恐怖の象徴だろ?蹂躙される側じゃないでしょ。そんな風に疑問に抱いた結果かなのかはゾンビさんのみぞ知るだが、今作は原点中の原点、タフで厄介な脅威としてゾンビが描かれており、モブという設定とも相まって、プレイヤーに絶望を与える存在として君臨している。実際にクリケットバットで叩いたり、銃で攻撃してもそう簡単にやられない所には、彼らの強さというものを嫌というほど思い知らされるはず。複数体相手にした時もまた然り。思わず「的扱いしてすみませんでしたぁッ!」と謝りたくなってしまうだろう。更に弱点となる頭部をヘルメットで隠したタイプ、遠距離攻撃を仕掛けてくるタイプなど、特殊なゾンビさんも数体おり、プレイヤーを翻弄してくる。もう一体、反則級の技を見せる存在も居るのだが…それは本編でのお楽しみ。ゾンビさんを的扱いしてきた人間を気絶させてやるわよ!と言わんばかりの本気を見る事になるだろう。要チェックだ。
そんな強力なゾンビさん達と鉢合わせながら進んでいく本編のレベルデザインに関しても上手い。悪く言えばお使いイベント主体で展開していく構成なのだが、要所要所で発生するトラブルがプレイヤーの恐怖心を煽るものばかりで、全く持って気が抜けない。ゾンビの脅威を退け、物資を回収したりするなんて基本中の基本。時には正面突破に挑まなくてはならなかったり、隠れ家を彼らの強襲から守らなければならないイベントもあったりと、アクションゲームとしての緊迫感を演出した展開がふんだんに仕込まれている。ゾンビの配置も入念に計算されたものになっており、人によっては恐怖のあまり先を進む事すら躊躇ってしまうぐらいである。特にその魅力と製作スタッフのイタズラ心が炸裂した『保育園』は強烈な仕上がり。今作のホラーゲームとしての底力(破壊力?)を痛感させられるだろう。
その他のプレイヤーがゾンビとなって登場するオンライン要素もユニークな作り。倒す事で、そのプレイヤーが持っていた物資を入手できるなど、救済措置の側面も併せ持っており、対処法次第で難易度が一変するのが面白い。特に高いスコアが表示されたゾンビほど豪華な物資を持っているので、上手く倒せた時の快感は格別。別にオンラインに接続せずとも最後まで遊び切れるバランスだが、繋げれば少し良い事があるという程好くその魅力を描いているのも上手いの一言に尽きる。
こう言った独自の遊びを盛り込み、且つサバイバルホラー単品としても新しい手応えに満ちたゲームをロンチタイトルとして出してしまったのは特筆に値する。とは言え、粗削りな所も多い上、ゾンビでホラーという事で明らかに苦手な人を退かせる題材になってしまっている故、人を選ぶところもある。だが、遊べば確実にWiiUの魅力というものを痛感させられる内容。ゲームパッドとはこう使うべきだ、と言わんばかりにあらゆるネタを仕込んだゲームデザインはインパクト抜群。少しゾンビの強さが曇りがちなホラータイトルに違和感を持つ方も是非、一度触れてみて欲しい。その原点の怖さには相当な充実感を得られると同時に、今まで的にしてきたゾンビさん達に対する謝罪の念が湧き出すだろう。

全体のボリュームも申し分無し。スケール的に10時間程度で攻略可能な物量だが、ゾンビの強さと一筋縄ではいかないイベントの存在もあって、密度は濃い。また、難易度選択機能も実装されており、それらを極めるやり込み要素もある。しかも、その難易度の一つには、途中で死亡するととその時点でゲーム終了となり、セーブデータまで削除されてしまう『サバイバル』という鬼畜なものまで用意されている。正直、クリアする事自体が無理に等しいほどに鬼。これをクリアしたとしても特に特典は無いので、無理してプレイする必要はないのだが、そんなハードコアなプレイヤーへの挑戦状的なものまで今作は実装。心が折れるような体験も楽しめてしまうのだ。こう言った遊びを仕込んでいる所にも、今作のボリューム面の凄味を実感させられるはず。様々な意味でプレイヤーを殺しにかかってくる作り込みが成されている。
操作性もほぼ全てのボタンとタッチペン、ジャイロセンサーまでフルに扱うが、自然に馴染む作り。ただ、主に視点操作の挙動が重めで、レスポンスも鈍い為、人によっては少しストレスを感じてしまうかもしれない。その重みがモブらしさを演出していたりもするので、一概に悪いとは言い切れないのだが、賛否が分かれるところではある。
グラフィックも非常に粗く、古臭い。プレイステーション2、ゲームキューブ時代のグラフィックを高精細化したような感じだ。しかし、それが逆にゾンビによって荒廃したロンドンの空気感を演出しているところも。特に血痕の生々しさはその象徴とも言える仕上がりなので必見だ。
音楽に関しては、ほとんど流れず、あっても雰囲気重視のものなので印象には残り難い。ただ、それが逆に恐怖感を高めているので、これもまた一概には悪いとは言えない感じだ。また、印象に残る曲も僅かにあり、中でも今作のテーマ曲とも言えるイギリス国歌『God Save the Queen』のホラーアレンジはなかなか荘厳なものになっているので要チェックである。

ストーリーも主人公は一般市民、モブという事で描写は必要最低限というかなり割り切った作り。しかし、16〜17世紀の錬金術師にして占星術師、そして魔術師とも言われたジョン・ディーが『エノク書』に記したとされる予言が現実のものになったら…という「もしも」を描いた世界観の設定など、アサシンクリードシリーズのUBIらしい実際の歴史と絡めた内容で、非常に興味深いものになっている。謎の人物プレッパーにまつわるエピソード、そしてプレッパーと主人公との関係性をゲーム部分と絡めて表現した最後の展開など、見所も幾つか。また、登場人物達のボイスは日本語吹き替え仕様。声優陣も少なめながら地味に豪華で、プレッパーを演じる大川透、主人公のサポート役ソンドラ演じる高垣彩陽の両氏の演技はいずれも狂気めいたものになっているので要チェックだ。
全体的に非常に高い独自性を誇る今作。ホラー故に人を選ぶ所がある上、レスポンスが鈍い、無理矢理感溢れるタッチ操作、フリーズバグの存在など、手放しに誉められない所も多々あるが、遊べば間違いなくWiiUならではのゲームだと実感できるものに完成されている。過激な描写を多々含む為、17歳以下にはお薦めできないが、それ以上でWiiUを持っている方なら是非、一度体験してみて欲しい屈指の意欲作である。何気に体験版も配信されているのだが、筆者としては製品版から始める事を推奨する。何故かはやれば分かる。…後悔しても、トラウマを負っても保証しませんので、念の為。
ちなみに今作は後発で、プレイステーション4、Xbox One向けに『ゾンビ』と名を改めたリメイクが発売されている。サバイバルホラーとしての新しさはWiiU版と同様なので、WiiUをお持ちでない方はこちらをどうぞ。但し、WiiU版と異なり、ボイスは英語音声+字幕、CEROも18歳以上のみ対象、非同期のオンライン要素も非搭載なので要注意。
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