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≫The Wonderful 101(ザ・ワンダフル・ワンオーワン)


■発売元:任天堂 / ■開発元:プラチナゲームズ / ■ジャンル:ユナイト・アクション /
■CERO:B(12歳以上対象) ※暴力、セクシャル描写あり /
■定価:パッケージ版:6600円(税別) / ダウンロード版:7260円(税込)

◆公式サイト / ストアページリンク(ダウンロード版)
≫The Wonderful 101(任天堂公式サイト) / ≫The Wonderful 101 | Wii U(商品&購入ページ)
▼Information
■プレイ人数:1人(※ワンダフルミッション時:1~5人) / ■セーブデータ数:30個(※ユーザーごとに作成可) /
■必要容量:セーブ:8MB以上、ダウンロード版:10196MB以上 /
■その他:Nintendo Network対応、WiiU PROコントローラー対応、クラシックコントローラ対応、OFF-TV PLAY対応 /
■総説明書ページ数:14ページ(※電子説明書) /
■推定クリア時間:18~23時間(エンディング目的)、90~130時間(完全攻略目的)
40年前、銀河の果てから突如、地球に襲来した『ゲスジャーク星団連合連合無敵艦隊』。
それは地球上総戦力のほぼ10倍という戦力を持つ、驚異的な侵略軍だった。

人類は持てる叡智の全てを結集し、地球連合秘密防衛機構『センチネルズ』を設立。二度に渡るゲスジャークの襲撃を奇跡的に退けたが、敵はその本隊を動かし、総攻撃を開始した。

迫りつつある人類滅亡の危機を前に、センチネルズは世界中に散らばる100箇所の支部へ、特務戦闘兵『ワンダフル・ワン』全員の非常招集を発令。人知を超えた力を持つヒーロー達が束になれば、あらゆる悪を砕く無敵の拳と化すだろう。年齢も性別も国籍も性格も異なる彼らが、地球を守るという信念ただ一つを駒に結集する時が来た。

ゆけ、ワンダフル・ワンダブルオー!
人類に仇なす侵略者に100倍の力と勇気で立ち向かえ!
そして、彼らの指揮を執る最後のヒーローは……君だ!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆特定の形を描いて巨大な武器を生み出し、攻撃を実施するという斬新な面白さに満ちた『ユナイト・モーフ』
◆バリエーション豊かで、一体一体倒し方を考えて実行に移す面白さに満ちた敵キャラクター達
◆ステージの道中で逃げ惑う一般市民達を救出する形で補助隊員達を増やしていく、何処となく『ピクミン』チックなスタイルが面白い部隊増員の仕組み(救出も単に接触するだけと簡単)
◆演出の派手さと緊迫感溢れる展開で魅せまくるボス戦(倒し方を考える面白さもバッチリ)
◆ゲームパッド側に視点を移しての謎解きなど、WiiUならではのギミックの数々
◆WiiUゲームパッドのボタンのほか、タッチスクリーンまでフル活用する、個性的な操作性
◆著名な特撮作品、映画等のネタを余す事無く注ぎ込み、ヒーローを題材にした作品なりのツボを完璧に抑えきった、見応え抜群の熱過ぎるストーリー
◆敵との戦闘をメインとしつつも、プレイヤーの予想の斜め上を行く展開を見せまくる、濃過ぎるステージ構成
◆エンディングまで20時間近くかかるなど、アクションゲームとしては規格外な本編ボリューム
◆最高ランク獲得、隠しキャラクターの解禁など、盛り沢山にも程があるやり込み要素
◆一番簡単なものからドS過ぎるものまで、完璧に揃えた全5種類もの難易度
◆ここぞというタイミングで挿入される、絶妙且つ自然なクイック・タイム・イベント
◆光沢感溢れる3Dモデルと画面いっぱいを覆う色鮮やかなエフェクトで魅せる、美麗なグラフィック
◆ヒーローを題材にした作品らしい、勇ましい作風が異彩を放つ音楽(特に主題歌が大変秀逸)
◆随所に仕込まれた、マニアック過ぎるネタの数々(特にオペレーション005C-2のボス戦)

--- Bad Point ---
◆一部アクションの解説が無いなど、全体的にフォロー不足が否めないチュートリアル全般
◆プレイヤーを振るいに落とすかの如き調整が成された序盤の難易度(倒すだけでも一苦労する敵を登場させるなど、全体的に不釣り合い過ぎる)
◆右スティック操作に対応しながら、明らかに描くのが困難極まりないものが含まれた『ユナイト・モーフ』の記号(タッチペン操作に特化しても良かったのでは?)
◆多すぎて鬱陶しさすら感じさせるシューティングパート
◆イージーが事実上のノーマルであるなど、矛盾した難易度表記とそのバランス
◆キャラクターが小さく描かれるなりの視認性の悪さ
◆派手ではあるが、逆にゲーム展開が見辛くなる問題も生じさせてるエフェクト演出
◆クリア後の疲労感があまりにも大きい1ステージ当たりのボリューム
◆苛烈極まりない隠し要素解禁の条件(最高評価獲得と全難易度攻略等、行き過ぎた難しさ)
▼Review ≪Last Update : 10/2/2016≫
「宇宙海賊ガイゾックに入らないか~い?」

ゼーベス星人「うちも募集中です…。」


『ベヨネッタ』を始め、硬派で派手なアクションゲームを多く手掛けてきたプラチナゲームズと任天堂のタッグで製作された、完全新作タイトル。『ベヨネッタ』のほか、カプコン時代に『ビューティフルジョー』、『大神』等に携わった神谷英樹氏がディレクターを務めた新作でもある。

濃密な遊びの数々と強烈なカタルシスが得られる、骨太な野心作だ。

ゲーム内容は3Dの見下ろし視点で展開する、ステージクリア型のアクションゲーム。地球連合秘密防衛機構『センチネルズ』に所属する特務戦闘兵団『ワンダフル・ワンダブルオー』のリーダーで主人公のレッド、そしてその後に付くメンバー達を操作し、地球侵略を目論む『ゲスジャーク星団連合無敵艦隊』の軍勢との戦いに身を投じていくというものである。
本編は『オペレーション』と称された章ごとに用意されたステージを攻略していく、一本道方式で進行。各ステージのクリア条件はゴールへの到達を目指すというものだが、その途上に全部で10種類以上に渡る『ミッション』が設けられており、それらを順にこなしながら進めていく形となる。『ミッション』は基本的にゲスジャークの軍勢との戦闘が大半を占めており、彼らを一人残らず全滅させればミッションクリアとなり、そのままステージの奥へと進めるようになる。そうしてまた、新たなミッションが発生するので、条件達成を目指して攻略し、またステージの奥へと進む事を繰り返していく感じだ。構成的には開発元のプラチナゲームズが手掛けた看板タイトル『ベヨネッタ』を踏襲した感じで、同作のプレイ経験がある方なら、直に馴染めるものになっている。未プレイの方でもルール自体が単純なので取っ付き易い。また、ミッション自体も一部、謎解きが挟まれたりするが、全体的にはアクション重視。キャラクターを動かし、難所を突破していくアクションゲームの基本に準じた作りだ。そんな具合に王道中の王道に徹した、親しみ易いものにまとめられている。
その一方でゲームシステム周りはかなり独特。そもそも、プレイヤーが操作するキャラクターからして変わっている。ヒーロー戦隊だ。いわゆる特撮番組などでお馴染みのナントカレンジャーとか、そういう類の面々である。一応、明確な主人公が一人、打ち立てられているが、彼以外のキャラクターも状況に応じて操作する事になるので、実質、動かすのは複数人で構成された部隊。まさにヒーロー達を動かして戦うアクションゲームと言った趣になっている。なお、メンバーは全部で7人。最初は主人公のレッドとブルーだけとなっているが、ゲームが進むにつれ、一人ずつ加入していく形になっている。
更に今作で面白いのが、このヒーロー戦隊はメンバーだけで構成されている訳ではない。何と、彼らをサポートする一般市民のスーパーヒーロー達、実に90人強を含めた100人で構成されているのだ。これこそが、今作のタイトル『101』が意味するもの。まさに強大な敵に対し、数の力で対抗する設定になっているのだ。但し、プレイヤーが操作するのはリーダーポジションに当たるメンバー。100人一人一人を操作する訳ではない。100人も居るという事で、それらを一人一人動かしていかなければならないのかとイメージしてしまうが、そんな事は断じて非ず。仕組み的には任天堂の『ピクミン』シリーズで言う所のキャプテン・オリマーの感覚で操作するものになっている。なので、設定のイメージとは裏腹にややこしさは皆無。最初は戸惑うかもしれないが、遊んで間もない内にどのようなスタイルで動かすのかがハッキリと分かる設計が成されている。
そして、アクション周りもこの設定を活かした大胆且つ、斬新なアイディアが凝らされている。それが今作の独自性を象徴する要素『ユナイトモーフ』だ。いわゆる合体による大技で、メンバー以外の100人強のスーパーヒーロー達を動かして特定の図形を作り出す事で生まれる強大な武器を使い、敵への攻撃を行うのである。このスーパーヒーロー達を操作するアクションの事を『ワンダライナー』と呼び、基本的にWiiUゲームパッドの右スティックを動かす、或いはタッチペン操作を実施する事でそのモードへと移行させる事ができる。そして、そのモードに入っている状況下で巨大な武器を発現させる図形を描き出せば見事、『ユナイトモーフ』の大技が繰り出せるようになる感じだ。少々、癖のある操作系なので、発言させるまではそれなりの練習が要る。ただ、図形自体は基本的に円や直線と言ったシンプルなものなので、変に複雑なものを描く事は要求されない。また、タッチペンを用いれば、より簡単に図形を描く事もできるなど、スティック操作に抵抗があるプレイヤーへの対処も万全だ。ある意味、WiiUゲームパッドならではの特性を活かした作り。極めて独特且つ、豪快なアクションが堪能できる仕上がりになっている。繰り出せる技も多彩且つ、ユニークなものばかり。巨大な拳で殴ったり、巨大なオブジェクトを動かしたりできる『ユナイト・ハンド』、リーチの長さを活かして敵の集団をまとめて攻撃できるほか、時には扉を開ける鍵(!?)にもなる『ユナイト・ソード』、相手の装甲を引っぺがして丸腰にする悪●城ドラキ●ラ仕込みの『ユナイト・ウィップ』など、豪快で派手なアクションが豊富に用意されている。更にコンピュータ側による自動攻撃を行う『マルチユナイト・モーフ』なるものもあり、プレイヤーが操作するユナイト・モーフと連携させた波状攻撃を仕掛ける事もできる。そう言った戦術的な要素も組み込まれていて、技の組み合わせを極める面白さもバッチリ。アイディアとその見た目の派手さに目を取られ易いが、アクションゲームとしてのやり込みによって極まる奥深さの点もちゃんと抑えられているなど、非常に侮り難いアクションに仕上げられている。
このほか、今作には本編とは別に『ワンダフル・ミッション』なる特殊なミッションに攻略するチャレンジモード的なものも実装。一人だけでなく、最大五人までのマルチプレイにも対応していて、対戦プレイ的な楽しみができるのも大きな特徴だ。更に今作には『ワンダフル・マート』なるショップにて、新たなユナイトモーフを購入すると言ったアップグレード要素も実装。ここでしか買えず、プレイヤー側に装着されないユナイトモーフも幾つかあるほか、消費型の救済アイテム等も購入する事ができるので、本編攻略のお供になってくれる。アイテム以外にもほぼ全てのステージで難易度選択が可能になっているなどの救済措置も万全。任天堂とのタッグで作られたなりの配慮もちゃんと敷かれている。
まさに全てにおいて、唯一無二の手応えを宿した作品。アクションゲームとしての作りは『ベヨネッタ』を踏襲した構成など、多少既視感もあるのだが、100人ものヒーロー達を操作するという基本的なゲームルールと『ユナイトモーフ』による斬新な攻撃、独特の操作性によって未だかつてない遊び応えを宿した内容に完成されている。まさに新感覚アクションゲームというに相応しい内容。あらゆるプレイヤーに唯一無二の体験をもたらす作品になっている。

そんな今作の魅力は外連味溢れるステージ構成とストーリーだ。
特にステージ構成の作り込み具合は単純に言って猛烈。基本的にはゲスジャーク達との戦闘をこなしながらゴールを目指す、アクションゲームの王道に則ったものだが、その相手となるゲスジャーク達のバリエーションが桁違いに多い。雑魚にカテゴライズされる敵との戦闘でさえ、それぞれ固有の戦い方と立ち回りが要求されるので、ワンパターンな展開になり難いのだ。それを現すかのように、敵の中には特定の『ユナイト・モーフ』を駆使して防御態勢を崩した後、別の『ユナイト・モーフ』で追撃を加えると言った二段階の攻撃を仕掛けないと勝てない面子も当然のように出てくる。単純に威力と使い勝手共に優れたモーフだけで戦い通すという事はできないのである。それ故にゴリ押しも一切通用しない為、どんな敵でも戦術で乗り越えてなければならない。そんなバランスなのもあって、ボスでは無い雑魚敵であっても常に本気の勝負に臨む事になる。プレイヤーが全身全霊で挑まなくてはならず、イタズラなゴリ押しも許さぬというアクションゲームの醍醐味を徹底追及した作り込みが成されたものに仕上がっているのだ。ある意味、プラチナゲームズの得意分野全開な出来具合。シーンごとに強烈な手応えと高いゲーム性を堪能できる内容になっている。
戦闘ばかりでなく、ステージごとに用意された多彩なイベントの数々も見逃せない。基本、ステージは一本道で要所要所で敵との戦闘をこなしていく構成ではあるのだが、何処のステージも終始、そのような展開に徹する訳ではなく、決まって独自のイベントが挟まれては、プレイヤーを翻弄させてくる作りになっている。『ユナイト・モーフ』の特技を使い、行く手を遮る扉を開ける為に謎解きに挑戦したり、はたまたゲスジャークの攻撃によって崩壊し始めたビルからの脱出を試みたりなど、色んな展開が仕込まれているので、とにかくプレイヤーを退屈させない。しかも、中にはゲームジャンル自体が変わるという、とんでもない類の展開も用意されている。敵との戦闘…と思ったら、何と野球が始まってしまったり、母艦である『バージンビクトリー号』に一時的に帰還した…と思ったら、そのまま巨大な敵を追撃するシューティングが始まってしまったりなど。思わずプレイヤーが唖然としてなってしまうこと必至の展開が用意されているのだ。しかも、シューティングに至っては3D、斜め見下ろし視点での2Dと言った具合に種類も豊富という、異様な本気っぷり。仮にもアクションゲームで、そこまで作り込まなくても…と、思わずツッコミたくなってしまうようなものになっている。当然ながら、これらは序の口で、他にも今作には大量のイベントを収録。ネタバレになるので名前は伏せるが、任天堂の名作ゲームを完全再現したようなものもあるほどで、色んな意味でやりたい放題感の溢れるものになってしまっている。こんな作り込みが成されているのもあってか、とにかく飽きない。似たような展開が一切無いので、どのステージにおいても、プレイヤー自身が固有の体験を堪能できると同時に強烈な充実感を得られる内容になっているのである。
如何にしてパターン化を防ぎ、プレイヤーを飽きさせないようにするか。アクションゲームにおいては絶対に抑えなければならないとも言える箇所で、この作り方次第で作品の面白さは大きく左右すると言っても過言ではない。同時にそこを作り込んでこそ当たり前とも言えるのだが、今作の作り込み具合が突き抜けて凄い事になっているのかは先述の通り。何もそこまでやらんでも…と言いたくなるほど、プレイヤーを楽しませる事へのこだわりを注ぎ込んだものになっているのである。ディレクターである神谷英樹氏は、過去にも『ビューティフルジョー』、『ベヨネッタ』でそのこだわりを炸裂させ、ステージごとに濃密なネタを詰め込んでた過去があるが、今作はそんな過去作を突き抜ける勢い。それどころか、自分の趣味まで余すことなく投入したと言わんばかりの超絶なものになっている。その趣味の極致とも言えるのがストーリー。これがまた著名な特撮作品、漫画、アニメ、ゲーム、映画と言った要素を惜しげもなく注ぎ込んだ、猛烈なまでに濃くて熱い内容に完成されている。どんな具合に濃くて熱いのかというと、どのステージにおいても毎回、異様に細かい設定解説が挿入されたり、最終回と言わんばかりの展開が繰り広げられるというとイメージし易いだろう。更に主人公達と敵対するライバルキャラクターとその勢力との一騎打ち、過去に心の傷を負わせるほどの悲劇を経験した仲間との対立と和解、侵略者達の謎と言ったヒーロー作品にありがちなネタや展開も仕込まれていて、その手の作品を好むプレイヤーをニヤニヤさせてしまうフィーチャーも取り揃っている。単純にネタ抜きでもストーリーの完成度は高く、中でも中盤以降の熱い展開には、思わず中断せずにゲームを進めて行ってしまうほど見入ってしまうものになっている。主人公のレッドを始め、登場キャラクター達も皆個性的且つ、濃い面子ばかりなので、インパクトも相当なもの。ディレクターの趣味を全て注ぎ込んだ作りなのもあってか、少し人を選ぶ側面があるのも否定しないが、このゲームでしか味わえない感動と驚きが味わえる内容になっているのは揺るぎなき事実。それほどまでに、濃くてプレイヤーを魅了させる作りになっているのである。
他に演出周りもステージ構成、ストーリーの印象の濃さを印象強くさせる引き立て役として活躍。特に音楽の絶妙な切り替え方には思わず舌を巻くほどのカタルシスを得られるはずだ。何気にボリュームも膨大で、エンディングを目指すだけでも20時間は余裕で超過するほど。アクションゲームの平均プレイ時間は長くても10時間ぐらいなものだが、その二倍近くかかってしまうというだけでも、今作の内容が如何に濃いのかを容易に察する事ができるだろう。
長々と語ってきたが、とにかく「濃い!」。ステージ一つ一つが強烈な印象を残し、ストーリーもまた、プレイヤーの心を熱くさせる内容に仕上げられている。同時にディレクターの神谷氏も含めて、波乱万丈でテーマパークを巡り歩くような体験を提供するというこだわりも炸裂するなど、徹底したサービス精神が凝らされている。ある意味、アクションゲームの本質を突き詰めて磨き上げたともいうべき作り。濃過ぎとしか言い様の無い作品なのである。

ただ、良い事ばかりではない。裏を返せば、胃もたれし易い。特にどのステージも普通に20~30分以上、酷いと1時間近く攻略に時間がかかるのはいただけない。一応、チェックポイントが豊富にあるので、ゲームオーバーになったら問答無用でミッションの最初からやり直しという事にはならないが、サクッと遊びたいと思うプレイヤーにしてみれば、この構成には嫌悪感を覚えるだろう。また、イベントが盛り沢山とは言え、さすがにシューティングステージに関しては入れ過ぎな感が否めない。難易度も一発アウト制ではないにせよ、敵の攻撃が苛烈なので、苦手な人には応えるバランス。これもまた、趣味の要素の一つなのかもしれないが、シューティングに苦手意識を持つプレイヤーも少なからず居るだけに、もう少し抑えた難しさに留めて欲しかったところだ。
難易度繋がりで、全体のバランスもお世辞にも良好というには程遠い。一応、難易度選択機能はあり、最も簡単な『ベリーイージー』から、プラチナゲームズのドSっぷりを堪能できる『ベリーハード』まで、色んな手応えを味わえる。しかし、ゲーム開始早々から高度な攻略が求められたり、只でさえ個性的なシステムを採り入れているゲームであるのにチュートリアルやヒントと言ったフォローに乏しく、プレイヤーを突き放した作りになってしまっているのは正直、度し難い。特に序盤の掴みはかなり悪く、初っ端から倒すのに苦労する敵(主に前方からの攻撃を無力化させる装甲を持った『ホーダン』)を出すのは愚の骨頂だ。そういうネタは中盤以降にやるべきだろう。他にも難易度絡みでは『ノーマル』が事実上のハードとも言える難しさで、『イージー』がノーマルに該当するという矛盾したものになっているのも難点。この突き放しぶりは、如何にも元カプコンのスタッフで構成されたプラチナゲームズらしい個性とも言えなくはないのだが、序盤は可能な限り、爽快感を味わえる事に徹した作りにまとめて欲しかったところだ。任天堂のゲームとしても、この作りは如何ともし難い。幾らコアなプレイヤーがターゲットとは言え、ゲームの印象を悪化させるような箇所は潰して欲しかったところだ。
その他、操作性も挙動は概ね良好なのだが、『ユナイト・モーフ』の記号を描くに当たり、右スティックを使うというのが厳しい。一応、タッチペンでも代用可能なのだが、明らかにこちらの方が快適であるのに加え、記号の中にも右スティックで書くのが困難なものがあるだけに、思い切って割り切るべきだったのではと思ってしまう。
グラフィックもエフェクト周りが非常に派手で、迫力のある映像美を表現しているのだが、逆に見え難い所も。特にシューティングステージが顕著で、先のバランスも含め、もう少しマイルドにできなかったのかと惜しまれるばかりだ。

それ以外にストーリーで一部、露骨な性的ギャグがある所も引っかかるところだが、ここは人によって印象が変わる感じ。プレイヤーを楽しませる意図があったにせよ、限度を超え過ぎたところもあり、人によって極度に好みが分かれる作りになってしまっているのが惜しいが、アクションゲームとしての作り込み具合は良作以上の水準。ハマれば傑作と断言できる作品だ。あまり語らなかったが、ゲームパッド側の画面で行われる建物内の謎解きなど、WiiUならではのギミックも仕込まれており、従来型コントローラでは到底味わえない手応えも感じ取れる。ストーリー絡みでも、イベント時の台詞はフルボイスなのに加え、日本語音声と英語音声の二つを収録。更に海外版仕様にしての日本語字幕モードまであったりと、オプション周りも異様に充実している。キャラクターデザインもアメコミ全開ではあるが、主人公達のデザインに何処となく『F-ZERO』のキャプテンファルコン的なときめきを覚える事もあるかもしれない。…いや、あるのか、そういうの?
とにもかくにも、人を選ぶ所はあるが、濃密なゲーム体験をもたらす今作。WiiUをお持ちで、骨太なゲームを欲している方ならば是非、挑戦してみて欲しい野心作だ。先ずはどんなゲームかを確認したい方は、ニンテンドーeショップにて体験版が配信されているので、そちらをどうぞ。101人目のヒーローとなり、侵略者の正義の鉄槌を下すべし!
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