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≫ドンキーコング トロピカルフリーズ |

■販売元:任天堂 /
■開発元:レトロスタジオ、モンスターゲームズ /
■ジャンル:アクション /
■CERO:A(全年齢対象) /
■定価:パッケージ版:5700円(税別) / ダウンロード版:5700円(税別)
◆公式サイト / ストアページリンク(ダウンロード版)
≫ドンキーコング トロピカルフリーズ(任天堂公式サイト)
≫ドンキーコング トロピカルフリーズ | Wii U(商品&購入ページ)
©2014 Nintendo
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▼Information
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■プレイ人数:1~2人 /
■セーブデータ数:3つ(※ユーザーごとに作成可) /
■必要容量:セーブ:1MB以上、ダウンロード版:10GB以上 /
■その他:Nintendo Network対応、WiiU PROコントローラー対応、Wiiリモコン対応、ヌンチャク対応、OFF-TV PLAY対応 /
■推定クリア時間:5~6時間(エンディング目的)、50~80時間(完全攻略目的)
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誕生日を迎え、ディディーコング、ディクシーコング、そしてクランキーコングからお祝いされていたドンキーコング。そんなパーティの最中、北の海より「ザ・スノーマッズ」なるヴァイキングが襲来。
彼らの親玉と思しき者が巨大な笛で強烈な吹雪を発生させ、ドンキーコング達をそれに巻き込ませて遥か遠くへと吹き飛ばしてしまった。そして、吹雪はそのままドンキーコングアイランド全体を覆い、一瞬で雪と氷の世界へと変貌させてしまう。
そして、ドンキーコングアイランドはそのままいとも簡単にザ・スノーマッズに占領されてしまう。遥か彼方の島へと飛ばされたドンキーコング達は、ザ・スノーマッズを追い出し、故郷を再び常夏の楽園へと戻すべく、長い冒険の旅へと出るのであった……。
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▼Pros cons Pick up
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--- Good Point ---
◆前作および旧『スーパードンキーコング』の提携を踏襲した、王道のステージクリア型アクションとしての作り
◆相棒キャラクターが3倍に増加したことにより、さらにバリエーションが広がったタッグアクション
◆現役ドンキーとの夢の共演劇を見せる新たな相棒にして、元祖ドンキーコングことクランキーコング
◆旧シリーズのボタン特化型のスタイルでも遊べるようになって、大幅な改善が図られた操作周り
◆緊急回避手段として用意され、ある程度ゴリ押しでも通せる余地を広げた新要素「コングパウ」
◆1発アウト制の廃止によって、難易度が大幅に緩和されたトロッコ&ロケットバレルコース
◆旧『スーパードンキーコング』シリーズで名曲を生み出した伝説の作曲家デビッド・ワイズ氏による見事な音楽
◆相変わらずの派手な仕掛けと復活した水中コースの存在感が光る、60を超える見所満載のコース
◆前作と作風は同じだが、解像度の向上もあって美しさに磨きがかかったグラフィック
◆敵を攻撃した際の手応え、アイテム獲得時の気持ちよさを際立たせる、前作譲りの素晴らしい効果音(しかし、理解に苦しむ改悪が行われている部分が……)
◆コース達成率、タイムアタックなど、相変わらず盛りだくさんのやり込み要素(特典要素も盛りだくさん)
--- Bad Point ---
◆OFF-TVプレイ程度しかないWii Uゲームパッド由来の要素(規則がある訳ではないにしても、乏しすぎる)
◆なぜかWii Uゲームパッドのスピーカーを入れていないと聞こえてこない謎過ぎる仕様の踏み付け音
◆前作よりも長くなったロード時間(特にゲームスタート時において顕著)
◆全体的に長期戦になりやすいなど、テンポと内容面での課題を抱えたボス戦(トドメを刺すまでが長い)
◆前作よりもワールド数が少なくなったのに伴い、減少したコース総数(ただし、密度は前作に負けず劣らず)
◆息継ぎ、ローリングアタックなど、旧シリーズ経験者には不便さも感じさせる水中面
◆全曲聴けない上、ループもかからない謎仕様のサウンドテスト(音楽の完成度が素晴らしい本作でこの作りは……)
◆相変わらず中途半端さが否めないファンサービス(ワイズ氏の復帰は申し分ないが、水中コースを復活させながらエンガードを登場させないなど、シリーズファンなら首を傾げたくなる部分も少なくない)
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▼Game Overview
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ぜんぶ雪のせいでこうなった。
◇イギリスのレア社から、メトロイドプライムシリーズで知られるレトロスタジオへと開発元を改める形で制作されたスーパードンキーコングシリーズ最新作『ドンキーコングリターンズ』の流れを汲む続編。今回も開発はレトロスタジオが担当。さらにニンテンドー3DS版『ドンキーコングリターンズ3D』を手掛けたモンスターゲームズが製作サポートで参加している。
内容は前作『ドンキーコングリターンズ』を踏襲。主人公のドンキーコングとその仲間たちを操作し、様々な仕掛けが張り巡らされたステージを攻略しながら、故郷の『ドンキーコングアイランド』を氷漬けにして制圧した海賊団「ザ・スノーマッズ」の撃退を目指す、横スクロールのステージクリア型アクションゲームである。
◇本編の流れも同じで、ワールドごとに用意されたコースを順番に攻略していく、『スーパードンキーコング』から連なるシリーズの伝統に則ったものになっている。システム周りも前作ベースで、ダメージ制、主人公のドンキーコングをサポートする役割へと改められた相棒キャラクター、二人同時プレイ、やり込み要素用アイテムに刷新された『KONGパネル』等は今作にも引き続き採用されている。旧『スーパードンキーコング』シリーズより継承された100本集めると残機が増える「バナナ」、冒険を手助けする「アニマルフレンド」、「バナナコイン」によるアイテム購入システムもそのままで、基本的には正統進化を図った作りとなっている。
◇今回は相棒キャラクターが大幅に拡充された。前作ではディディーコングがこのポジションにいたが、今回からディディーに次ぐもう一匹のキャラクターとして、『スーパードンキーコング2』『スーパードンキーコング3』に登場したディクシーコングが登場した。お馴染みの「ポニーテールスピン」のアクションで、ドンキーをサポートしてくれるが、ジャンプ後に上昇するというアクションに変更されており、旧作とは使い勝手が異なる。そのため、旧作のボタンを押し続けていれば緩やかに下降できるアクションは実施できなくなってしまっている。ただ、本編への登場はスピンオフと派生作、移植作を除けば1996年の『スーパードンキーコング3』以来、実に18年ぶりだけあって、存在感は十分。
もう一匹の相棒は、何とクランキーコングである。シリーズお馴染みのガイド兼説教役、マリオと戦った元祖ドンキーコングがプレイアブルキャラクターとして、満を持して本編参戦を果たした。そのため、2代目ドンキーコングと初代ドンキーコングの共同戦線が実現し、過去のシリーズを遊んできたプレイヤーにとっては、大変感慨深いコンビが見られるようになった。アクションも杖を下に突き出してトゲ地帯を移動したり、その反動を活かして大ジャンプしたりなど、非常に個性的で、ファミリーコンピュータでカプコンより発売された『わんぱくダック大冒険』及び『ダックテイルズ2』のスクルージを彷彿とさせるものになっている。
◇新要素では必殺技「コングパウ」が追加。今回からライフゲージの隣に「必殺技ゲージ」がセットされ、これが満タンになった際、対応するボタンを押すことで画面内にいる敵に対し、特殊な攻撃を行う技を繰り出せる。これにより、大量の敵に囲まれた時などを簡単に切り抜けられるようになり、ある程度の力押しが効くようになった。また、必殺技もディディーならば全ての敵を1UPバルーンにする、ディクシーならば回復アイテムにするなど、相棒によって効果が異なる。ゲージを満タンにするにはバナナを100本にする必要があるため、頻繁に繰り出せるわけではないが、これによって前作の特色でもあった高めの難易度も少し緩くなり、アクションゲーム初心者に優しいバランスになった。ある意味、難易度選択機能の役割も担っている新要素となっている。
また、今回は水中面が復活。地上と水中の二つで構成された『スーパードンキーコング3』を彷彿とさせるコースも登場し、バリエーションが多彩になった。ただし、酸素メーターが表示され、それが尽きるとダメージを受けてしまうほか、ローリングアタックを繰り出して敵へ攻撃できるという旧作とは異なる部分もある。水中で活躍するアニマルフレンドの「エンガード」も登場しない。
◇ほかに前作では1発アウトだった「トロッコ」と「ロケットバレル」が最大二回まで耐えられるダメージ方式になったり、コースの一部に分岐要素が設けられたといった変更点もある。操作も、リモコン、リモコン&ヌンチャク以外にWiiUゲームパッド、WiiUPROコントローラに対応し、旧作に近い感覚で遊べるようになった。
続編という性質上、前作から変更や新規に取り入れられた要素もあるが、『スーパードンキーコング』から『スーパードンキーコング2(及び3)』のように主人公まで交代する刷新は行われていない。ある意味、スーパードンキーコングシリーズらしい進化を施した続編として、旧作を遊んでいたプレイヤーに懐かしい香りと驚きを提供し、新規プレイヤーにも改善された救済措置で遊びやすくも手応えのあるアクション体験を提供する、正統進化に徹した続編作品となっている。
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▼Review
≪Latest Update :9/21/2025 | First Publication Date:11/6/2016≫
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極端な難しさを排除しつつ手応えは残した設計と、復活した名作曲家による楽曲が異彩を放つ良作。
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本作の最大の魅力は、前作から更に洗練された難易度設計と、相変わらずアイディア満載の仕掛けで構築されたステージ構成の二つ。前作が歴代屈指の高難易度だったことから、本作もその路線を継承していることを危惧する経験者が少なからず存在するかもしれない。実際のところ、今回も前作の路線を継承するかのように、難関に次ぐ難関が連続する構成となっている。
しかしながら、全体的には前作よりもマイルドになり、何十回ものリトライを強いられるような場面は著しく減少した。特に大きな変化として、トロッコ・ロケットバレルの強制スクロールコースで一発アウト制が廃止されたことが挙げられる。前作では一度でも敵や障害物に接触すれば問答無用でミスとなる苛烈さで、一瞬のミスすら許されない操縦が要求されていた。特に『コモリンのどうくつ』は前作経験者にとって、屈指のトラウマコースとして記憶に刻まれていることだろう。
そうした苛烈すぎるコースで必要以上にプレイヤーを苦しめてしまった反省からか、今回は極端にシビアな操縦が求められるコースの数が減ったほか、ダメージ制導入によってある程度の力押しが効くようになり、比較的攻略しやすい難易度に落ち着いた。決して簡単になったわけではなく、一部プレイヤーの想像を超える展開を見せるコースもあるが、針の穴に糸を通すような繊細なプレイは要求されず、数度のトライ&エラーで突破できる程度の難しさに留められている。
この調整はトロッコ・ロケットバレルのコースに限らず、通常のコースや復活した水中コースにも適用されている。やはり厳しい局面はあるものの、上級者レベルの腕前を要求するような場面は皆無で、冷静に対処するか、ショップで購入できる支援アイテムを使えばスムーズに突破できる程度の難易度で統一されている。
スーパードンキーコングシリーズといえば手強い難易度も一つの売りで、開発会社がレア社からレトロスタジオへと変更された前作でも、11年ぶりの新作としてその伝統は引き継がれた。しかし、あまりにもそこにこだわりすぎた結果、歴代シリーズのトラウマコースと同等の難易度のコースが10種類以上も存在する、とんでもない内容になってしまっていた。実際にニンテンドー3DS版『ドンキーコングリターンズ3D』では、難易度を抑えた『ニューモード』が導入されたほどである。
その経緯を踏まえ、今回はバランスの取れた難易度を目指すかのような作りでまとめられた。結果的にインパクトが薄れた部分もあるが、行きすぎた手強さの追求を抑えたことは、幅広いプレイヤーに遊んでもらうための措置として妥当である。逆に手強いコースは正規ルート外の隠し系コースに集中させることにより、塩梅としては適切となった。簡単にはさせないが、極端に手強いものは正規ルートから外す。この配慮により、バランスは飛躍的に良くなり、旧スーパードンキーコングシリーズに近づいた難易度になったのは確実な進歩であり、原点回帰と言ってもよいだろう。
難易度が抑えられたからといって、コースの印象が薄くなったわけではない。今回も奇想天外なアイディアがたっぷり盛り込まれたコースは盛りだくさんだ。特に今回の大きな見どころは、スクロールに3D表現が取り入れられていることである。シリーズ四作目の『ドンキーコング64』のように、急に3Dアクション的な視点になったり、奥方向にスクロールしたりなど、フル3Dで作られたスーパードンキーコングだからこその演出が楽しめるようになっている。前作も画面奥への移動など3Dを活かした仕掛けはあったが、今作は更にそれを発展させた形だ。『ドンキーコング64』そっくりな場面もあるなど、シリーズファンなら感動を覚えるような展開があるのも大きな見どころである。
まさに2Dと3Dの融合とも言うべき仕上がりには、歴代シリーズの重みと時代の変化を存分に実感させられる。3Dだけでなく、コース上のギミックも新しいものが数多く導入されている。ロケーションも風車の村、山、熱帯草原地帯といった新しいもののほか、渓谷、雪原といった旧作から復活を遂げたものまで実に多彩である。
終盤には「ドンキーコングアイランド」が登場し、前作で登場したロケーションが奇抜な姿に改められてプレイヤーの前に立ちはだかる。そのビジュアルは、前作経験者ならば懐かしさと同時に今回の敵の卑劣さを実感させられるはずだ。そうしたストーリーと関連した描写もパワーアップしており、いつになく波乱万丈で印象深い冒険が楽しめるようになっているのも必見である。
そして、本作には特筆に値するセールスポイントがある。それが音楽。過去の『スーパードンキーコング』シリーズで数多くの名曲を生み出した伝説のサウンドクリエイター、デビッド・ワイズ氏がメインコンポーザーを担当している。ゲームボーイアドバンス版『スーパードンキーコング3』以来となるシリーズへのカムバックを果たしたのだ!
ワイズ氏は2009年頃に古巣のレア社を退社しており、その後はフリーのサウンドクリエイターとして活動していた。その立場を活かして今回、スタッフの一員として参画し、あの雰囲気たっぷりで印象深い楽曲の復活が実現したのである。しかも、今回は新曲中心の構成。アレンジは限定的に留められ、新しいドンキーコングを存分に堪能できるラインナップへと刷新されている。
そして当然のように名曲揃いとなっており、改めてワイズ氏の手腕の高さ、今なお衰えぬセンスの高さを確認させられる素晴らしい出来となっている。しかも、ほぼ全てのステージに固有の曲が用意されているこだわりぶりで、今作がいかに音楽に相当な力を入れているかを察することができる。シリアステイストの曲も多く、終盤の「ドンキーコングアイランド」はその手の曲の宝庫になっている。どんな曲が用意されているかは実際に遊んでのお楽しみだが、シリーズファンから新規プレイヤーまで、その完成度の高さにワイズ氏あってのドンキーシリーズということを確信させられること請け合いである。この音楽目的で遊んでも決して後悔はしないほどなので、ぜひとも要チェックである。
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一方で、コースの数が前作から減少してしまったほか、前作にあった救済措置である『お手本プレイ』が廃止されるなど、劣化を遂げてしまった箇所もある。また、やや冗長なコースが増えているのも気になる点だ。
復活を遂げた水中面についても、酸素ゲージの影響でプレイ感は全く異なっているだけでなく、過去のシリーズで活躍していた『エンガード』の立場を奪うシステムまで導入されてしまっており、シリーズファンの期待を裏切るような作りになってしまっているのは素直に惜しまれるところである。
前作同様にサウンドテストのおまけも実装されているが、全部の曲が聴けるわけではない不完全仕様となっているのも残念だ。今回は音楽の完成度がずば抜けて良いだけに、なぜこのような作りにしてしまったのか疑問である。
その他、ロード時間が少し長くなった点も気になる。特にゲーム開始時のロードの長さは地味にストレスが溜まる。前作もロード時間は存在したが、さして気にならない程度だっただけに、なぜこのようなことになったのかが疑問である。
操作周りも、従来型コントローラ(WiiUゲームパッド、WiiU PROコントローラ)で遊べるようになって遊びやすさが増したが、キーアサイン(ローリングアタックの発動がZRボタンであるなど)が旧作準拠でないのは賛否が分かれる。また、今回もリモコンとリモコン&ヌンチャク操作にも対応しているが、双方とも癖が強すぎるため、普通に切り捨ててほしかったところである。
さらに、WiiUのゲームでありながら、ハード特有のギミックを何ら使っていないのも疑問。OFF-TVプレイができる程度で、テレビ側でプレイしている際は画面非表示という、酷く素っ気ないものになってしまっている。せめてコース全体図や、KONGパネル等の収集アイテムの進捗情報くらい表示してもよかったのではないだろうか。同じ二画面の3DS版『ドンキーコングリターンズ3D』がそのようなことをしていただけに、変な割り切り方にはがっかりさせられる。ゲームパッド側のスピーカーを入れておかないと、敵を踏んだ際の「ポコッ」という効果音が流れないというのも謎仕様である。これ以外にも冗長になりがちなボス戦など、調整の甘さと前作からの進歩を感じない部分も少なからず存在する。
とはいえ、ゲーム自体の出来は素直に良作レベルで、より洗練されたゲームバランスとアイディア満載のコースでたっぷり楽しませてくれる内容に仕上がっている。加えて、旧シリーズのスタッフの一人で数多くの名曲を生み出してきたデビッド・ワイズ氏による新曲も楽しめるなど、ゲーム以外の面でも大きな魅力を備えた今作。
前作経験者からシリーズファンはもちろんのこと、手応えのあるアクションゲームを求めているプレイヤーならぜひ遊んでみていただきたい一本である。音楽目的で遊ぶのもありで、最新のゲーム機でもなお絶大なワイズ氏の存在感も併せて堪能すべし!
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