Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. Wii>
  4. ロックマン10 宇宙からの脅威!!
≫ロックマン10 宇宙からの脅威!!
■発売元 カプコン
■開発元 インティ・クリエイツ
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 単品:1000Wiiポイント
追加コンテンツ:100〜300Wiiポイント(※コンテンツごとに異なる)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■消費ブロック数 97(※追加コンテンツ:2〜3ブロック)
■セーブデータ数 8つ(※3ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー不可
■その他 クラシックコントローラ対応、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応
■推定クリア時間 2〜5時間(エンディング目的)、30〜50時間(完全攻略目的)
西暦20XX年、ロボットに感染する謎の病『ロボットエンザ』が蔓延。
その猛威は瞬く間に世界中に広がり、ロックマンの妹であるロールを始め、多くのロボットが病に倒れてしまった。
今までロボットに頼っていた人々は、ロボットの無い生活に困り果てた。しかも、ロボットが使えない為、ワクチンの開発も一向に進まなかったのだ。

そして1ヵ月後、遂に最悪の事態が起こる。
何と、感染したロボット達が熱暴走を起こし、街を破壊し始めたのだ。
そんな混乱の中、ライト博士の元にDr.ワイリーがやってくる。
ワイリーは治療に必要なワクチンの作り方が判明したという。だが、そのワクチンを作る為の製造機が暴走したロボット達に持ち去られてしまったというのだ。

それを聞いたロックマンは世界とロールを始めとする感染したロボット達を助ける為、立ち上がった。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆前作同様、ファミコン時代のロックマン特有のシンプルさを突き詰めたゲームシステム
◆前作同様、シンプル一直線の取っ付き易さにこだわったロックマンのアクション
◆シリーズ初心者に優しく、それでいて適度な手応えも味わえバランスが見事な新要素『イージーモード』
◆トゲを始めとする即死トラップを減らし、純粋な手応えを追求する作りへと回帰したステージ構成
◆前作にも増して仰々しく、ファミコンらしからぬ表現が強化されたステージギミック
◆特別ステージの攻略なども追加され、更にやり応えが増した新生『チャレンジモード』
◆リプレイ機能、専用ステージの追加でやり込み甲斐と魅力が増した『タイムアタックモード』
◆メニュー画面に移行せず武器切り替えが出来るようになるなど、より快適になった操作性
◆難易度ごとに違う動きをするなど、これまで以上に個性が強くなったボスキャラクター達
◆難易度の追加とチャレンジモードの強化で、大幅に増強された総計ボリューム
◆標準搭載された前作の追加コンテンツ『ブルースモード』(ロックマンとは違った本編が手軽に楽しめるようになった)
◆シリーズ屈指の懐の広さと原点回帰の調整が異彩を放つゲームバランス
◆前作同様に見た目はレトロ風ながら、一線を超えた表現も織り込まれた魅力的なグラフィック
◆ロックマンシリーズならではの名曲揃いの音楽
◆シリーズ第10作目ならではの充実したファンサービスの数々(特に最終ステージ1面で登場するボス、追加コンテンツである3つのスペシャルステージは必見!)

--- Bad Point ---
◆使い勝手が悪くなった特殊武器(この為、ボスを弱点武器で倒すのが異様に難しい)
◆個性が出ているとは言え、差が開き過ぎな感も否めないロックマンとブルースの性能(どうしてもブルースが性能的にもアクション的にも面白い)
◆コントローラの都合により、ダッシュ操作がやり難くなった追加コンテンツ用のスペシャルキャラクター『フォルテ』
◆ノーダメージ攻略に運が絡む調整がタマにキズなボス・コマンドマン(チャレンジモードでの話)
◆お粗末過ぎるエンディング(結末が素っ気無い…)
◆サブタイトルを活かせてないストーリー展開(一応、終盤がそういう展開にはなってるが…)
▼Review ≪Last Update : 4/15/2012≫
宇宙には何があるのか…。

”長過ぎる”真相をその目で確かめよう。


まさかの8ビットスタイルへの回帰にシリーズファンも含め、多くのユーザーに衝撃を与えた本家ロックマンシリーズ最新作『ロックマン9 野望の復活!!』のコンセプトを継承する形で作られた続編にして、記念すべきシリーズ第10作目。開発は前作と同じ、インティ・クリエイツが担当。

今度こそ、本当にロックマンが帰って来た!
懐かしさ溢れる絶妙なゲームバランスと適切な救済処置が光る、久々の傑作だ。

ゲーム内容はこれまでのシリーズと同様の横スクロールで展開する、ステージクリア型アクションゲーム。主人公のロックマンを操作し、自由に選択可能な8つのステージに挑んで最深部で待ち受けるボスを倒し、特殊武器を獲得しながら最終ステージを目指すというものである。
システム周りは前作『ロックマン9 野望の復活!!』を踏襲。スライディング無し、チャージショット無しの初代『ロックマン』とその続編『ロックマン2』路線の新作をコンセプトとした作りとなっている。完全に初代基準という訳ではなく、ラッシュを始めとするサポートキャラクター、『ネジ』によるアイテム購入システム、セーブ機能など、『ロックマン3』以降のシリーズでお約束となったシステムも実装。また、前作で初登場した、トゲによる一発死を防止する救済処置アイテムなどの現代仕様の新要素は今作にも引き継がれている。
無論、単に前作のシステムを継承しただけで作られた続編という訳ではなく、新要素も豊富に追加。その中でも、目玉と言えるもので難易度選択機能がある。これまでのロックマンシリーズでは基本、難易度の選択はできないのが一種の伝統とされてきた。より深く突っ込むと、ロックマンXシリーズを始めとする派生シリーズ、1998年にプレイステーションで発売されたリメイク版『ロックマンコンプリートワークス』、2006年にプレイステーションポータブルで発売されたリニューアル版『ロックマンロックマン』では難易度選択機能が実装されていた例がある。しかし、あくまでもナンバリングの正伝では採用された事は一切なく、久々の登場となった前作においても、その伝統は踏襲されていた。
しかし、このシリーズの難易度というのは、どちらかと言うとアクションゲームが不得意な方にとっては辛口同然である。決して理不尽な難しさではなく、トライ&エラーを重ねる事で活路が見えてくる調整にはなっているのだが、遊び手を選ぶバランスであったのは否めない。ましてや前作は、その路線を極端に継承し過ぎてしまい、熟練のロックマンプレイヤーですら悲鳴を挙げるほどの激辛難易度になってしまっていた。それにより、前作で初めてシリーズに興味を持ったプレイヤーに対し、「初心者お断り」のイメージを決定付かせてしまったのは否定できない事実。シリーズにとっても、非常に大きな過ちであったと言えるだろう。
その反省を踏まえ、今作では他のシリーズやリメイク作品が起用していた難易度選択機能が実装され、初心者向けの『イージーモード』が選択できるようになった。これにより、今回は前作の欠点でもあったシビアさが大幅に緩和。ダメージ量減少のほか、一部の難所には補助の足場が置かれると言った『ロックマンロックマン』の『らくらく』の難易度に近い調整の本編が楽しめるようになった。更にこの難易度でプレイしても、真のラストボスと戦えないと言ったペナルティも何も無し。標準の『ノーマル』と同様、最後までしっかり遊べるようになっている。なので、前作の無慈悲な難易度に絶望した方も、今回は大丈夫。対策としてはありきたりな感も否めないが、前作以上に手軽にロックマンの世界に浸れる環境が今作では整えられている。
また、前作で有料追加コンテンツとして配信されていた、ブルースをプレイヤーキャラクターとした『ブルースモード』、クリアまでの最短時間を競い合う『タイムアタックモード』も今回、基本モードとして実装。一粒で二度美味しく、そしてクリア後のやり込みも充実した内容に進化を遂げている。これに加え、前作では実績の記録程度だった『チャレンジモード』にも、新規に用意された高難易度ステージの攻略、難易度ごとの中ボスやボスとの一騎打ちと言った特別枠を用意。本編のステージに満足できないプレイヤーに対する配慮も徹底されている。しかも、チャレンジ総数は80以上という圧倒的なボリューム。シリーズ屈指の充実振りだ。他にも、有料追加コンテンツだが『ロックマン7』にて初登場したフォルテが使えるようになるなど、ファン待望の特典も追加。難易度だけに限らず、こう言ったファンサービス周りにおいても前作で挙がった不満を徹底的に解消する試みが図られている。
基本は前作を反省し、シビアさの緩和に努めた作りだが、ボリュームの増強や新モードの実装、ファン向けの新コンテンツの収録など、続編らしい強化も徹底された内容に仕上げられている。まさに、シリーズ第10作目だけにある豪華絢爛振り。集大成と言っても何ら不思議ではない要素が大量に詰め込まれた作品に仕上げられている。

難易度選択機能の実装によって、シリーズ未経験のプレイヤーも安心して遊べる親切設計に一新した今作。当然ながら、それが今作最大の魅力…と思いきや、真の魅力は新たに追加されたイージーも含む難易度のバランス全般が「あの頃のロックマン」に戻った事であったりする。
具体的にはステージ設計、敵配置、ボスの強さと言った部分だ。これが今回、ロックマン1〜8、ロックマン&フォルテの基準に戻されたのである。前作の『ロックマン9』は、その部分が陰湿の極みと言ってもいいほど酷な調整で、まるで針の穴に糸を通すかのようなプレイが求められてくる場面が沢山あった。ほんの少しでも位置がズレれば、問答無用で即死。そんな過酷な展開が序盤から繰り広げられ、あまりの厳しさに初心者はおろか、熟練のロックマンプレイヤーも酷く精神面をえぐられたと思われる。同時に久々にロックマンに触った方はこう感じたかもしれない。
「こんな殺しにかかってくる難易度、ロックマンじゃない!」と。
過去にも『ロックマン&フォルテ』に代表されるような、殺しにかかる難易度を特徴としたロックマンは幾つかあった。だが、それらはいずれも陰湿な場面は一部に限っており、基本は難しいけど突破口がありそうと思わせるギリギリのバランスでまとめられていた。それは難易度が控え目の3から8までのシリーズにおいても、である。しかし、前作はその舵取りを間違え、緻密な操作なくしては突破口は永遠に見えない、酷く精神的に悪いバランスにされてしまっていた。
そんな前作の路線を引き継ぐ形で作られた今作。また、あのバランスが継承されたのかと、煮え汁を飲まされた方が警戒心を覚えるのは止むを得ない事である。ましてや、今回は初心者向けのイージーモードを実装。標準のノーマルモードはその反動でこれ以上なく、酷いものになっているのではないのかと心配してしまうのも事実だ。
だが、それは心配無用。今回の標準難易度のノーマルは、心地良い難しさを存分に堪能できる適切なバランスとなっている。基本は難しいけど突破口がありそうと思わせてくれる場面が大半を占める、これぞロックマンと断言できる珠玉のゲームバランスが蘇ったのだ。
なので、今回のノーマルの難易度は大変適切な難しさでまとめられている。一応、針の穴に糸を通すプレイが求められてくる場面もあるのだが、前作よりは控え目。基本的には直感的な動作がカギとなる、昔ながらの心地良い難しさを全面に押し出した調整でまとめられている。敵配置も自然、地形構成も自然、そしてボスの強さも自然。何もかもが「あの頃のロックマン」だ。イージーモード追加で、跳ね上げる行為に出るかと思いきや、ちゃんと標準としての「らしさ」を尊重。前作の反省を最大限に活かした、非常にロックマンらしいバランスになっている。
また、新たに追加されたイージーモードのバランスも秀逸。何と言っても、過剰に易しくするのではなく、適度に易しくするという絶妙な調整になっているのが見事。シリーズの魅力でもある確かなやり応えと達成感、アクション性の高さを何一つ損なっていない、芸術的としか言い様のないバランスに仕上げられている。また、イージーモードでは地形の細かい配置等がノーマルと違うので、全く違う世界が楽しめる独自の魅力を兼ね備えているのも大きな見所。その為、シリーズ経験者でも十分な満足感と手応えを堪能できる。ノーマルと比べると簡単だが、ちゃんと手応えが感じ取れるその絶妙な調整には、熟練者も思わず舌を巻くこと間違いなしだ。これぞまさに職人技。救済処置としても、ロックマンの魅力を感じ取れるモードとしても、非常に完成度の高いものに仕上げられている。
アイテム購入システム、救済処置用アイテムも、バランス改善で有り難味が大幅に向上。いざという時に活躍してくれる頼もしい存在になっている。ステージ上の仕掛けも陰湿さ以上に派手さを追求したものが増え、単に見るだけでも楽しい。対し、ボス戦は前作よりも多少、難易度がアップ。特に特殊武器が今回、癖のある動きをするものが増えた都合で弱点を狙った戦いがやり難くなっている。その分、命中時のダメージが大きめに設定されてはいるが、従来のようにスムーズにサクッと倒せなくなってしまった点は好みを分けるかもしれない。ただ、ステージが少し優しくなった分、こちらの難易度を上げる行為自体は理に適っている。その意味では、ある程度納得できるものになっているのが見事だ。
イージーモードの搭載で、より現代仕様にはなったが、かつてのロックマンとしての良さは何一つ損なわれておらず。更に基本難易度も原点に立ち返り、心地良い難しさが堪能できるゲームバランスに刷新されたのは、前作の難易度に違和感を覚えた方には嬉しい改善点だ。
遊び易さに手応えと、何もかもが水準以上。その完成度はまさにシリーズでも三本の指に入るレベルで、それほどまでに今回は職人的な作り込みが炸裂。あの頃のロックマンが存分に楽しめる作品として完成されているのだ。

操作性も前作を踏襲しつつ、特殊武器選択周りの操作を大幅に改善。メニュー画面に移行せず、Aボタン(クラシックコントローラの場合はLRボタン)で武器の切り替えができるようになり、快適性が劇的に向上している。挙動やレスポンスと言った部分の出来も大変良好。アクションゲームの肝を分かりつくした、完璧な仕上がりだ。
ボリュームの充実ぶりは言わずもがな。普通にクリアするだけなら、前作と変わらないが、完全攻略を目指すと5倍以上の時間がかかる。更に上級者向けのハードモードもクリア後のおまけで用意されている。こちらは前作に迫る高難易度なので、物足りなさを感じた方も十分過ぎる歯応えを堪能できること間違いなしだ。
また、今作はシリーズ第10作目という事で、過去のシリーズを意識したネタの数も群を抜いている。特に見所は最終ステージ1で登場するボス。これにはロックマンファンからシリーズ経験者ならば思わず、大声を挙げてしまうほどのとてつもない衝撃を受けるだろう。一体、どんなボスが立ちはばかるのか、それは是非、実際にプレイして確かめてみて欲しい。
更に『タイムアタックモード』では有料の追加コンテンツとして、3つのスペシャルステージを配信している。このスペシャルステージも凄い。何と、ゲームボーイの『ロックマンワールド』シリーズのステージなのだ。しかも当然如く、グラフィックはフルカラー。更に最後に待ち構えるボスも、ワールドシリーズのオリジナルキャラクターであるロックマンキラーの面々だ。カラーになったあのボス達と戦えるというだけでも、このコンテンツがファンにとっての要購入品なのは言うまでも無く。シリーズ第10作目だけにある、その豪華過ぎる内容は是非とも要チェックだ。

グラフィックと音楽も素晴らしい出来。特に音楽は前作に負けず劣らずの名曲揃いだ。また、シリーズとしては珍しい演出を施した曲が用意されているのも要チェックである。その他、演出周りもデモシーン全般が派手になっているほか、インティ・クリエイツらしいロックマンのお約束をぶち壊す挑戦的な表現があったりと、見所は満載。
ボス戦の戦い難さやストーリーのオチの弱さなど、あと一歩という所も幾つかあるが、全体的な完成度は、シリーズ最高傑作とされる『ロックマン2』などに迫るレベル。久々の傑作と言うには十分過ぎる出来となっている。あの頃のロックマンに回帰したゲームバランス、充実し過ぎのボリューム、そしてイージーモード搭載でより初心者に優しくなり、遊び手を選ばない内容へと進化を遂げたこの『ロックマン10 宇宙からの脅威!!』。
ロックマンシリーズを愛する方は言うまでも無く、アクションゲーム好きからロックマンシリーズを全く遊んだ事のないプレイヤーにまで幅広くお薦めできる傑作だ。シリーズ記念すべき10作目にして、これまでの集大成を名乗るに十分過ぎる圧倒的密度!これを遊ばずして、ロックマンシリーズは語れない。
≫トップに戻る≪