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≫MADSECTA(マッドセクタ)
■発売元 ハドソン
■開発元 シェード
■ジャンル ファースト・パーソン・シューティング
■CERO C(15歳以上対象) ※暴力、殺傷描写あり
■定価 1000Wiiポイント
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■消費ブロック数 308
■セーブデータ数 3つ(※1ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー不可
■その他 ニンテンドーWi-Fiコネクション対応
■推定クリア時間 2時間〜3時間(エンディング目的)、18〜25時間(完全攻略目的)
外惑星『HS-0204』からの救助信号。
それは数年前、行方不明になった外惑星探査船からのものだった。
信号を受信した『宇宙国際連合』は、調査隊を組織。
信号の発信先である外惑星『HS-0204』へと派遣する。
そこで彼らが見るものとは…?!
▼Points Check
--- Good Point ---
◆ヌンチャクでキャラクターの移動、リモコンで照準の移動と射撃を行う、Wiiの特性を最大限に反映させた秀逸な操作性
◆探索要素を極力削り、大量の敵を撃破する事に特化させたシューティング色濃い目のゲームデザイン
◆大量の敵を仕留める面白さと爽快感に重視した、潔い構成が光る全13ものステージ
◆爽快感重視のネタに特化した、各ステージのミッション(敵の殲滅に防衛と言った分かり易いものが中心)
◆FPSらしからぬ熱いスコアアタック(特にコンボを繋げて高得点を稼ぐ過程が熱い)
◆ライトからコアまで、幅広く対応したゲームバランス(難易度選択機能搭載)
◆全5種類の難易度の完全制覇のやり込み要素、13ものステージと価格の割には充実し過ぎ総計ボリューム
◆得点を稼ぎ合う面白さにも秀でたWi-Fiコネクションによる協力プレイ
◆快適であり、ユニークな作りのインターフェース(特に武器の残弾数表示)
◆数は少ないが、逆に特徴が掴め易い全4種類の射撃武器
◆ヌンチャクを闇雲に振り回す大胆さと爽快感に満ちたサブ武器『ビームウィップ』
◆ゾロゾロと集団で迫り来る威圧感と生々しい動きが鳥肌モノの昆虫サイボーグ達
◆質素ではあるが昆虫の欠損表現など、そこそこ凝った作りのグラフィック
◆質感抜群、雰囲気抜群の効果音(リモコンから発せられる音も良い感じ)

--- Bad Point ---
◆スティックを素早く二回倒すという、奇怪な設定が理解に苦しむダッシュ操作
◆Cボタンでピンを抜き、ヌンチャクを振って投げるという地味な煩わしさを持った手榴弾の操作(使い勝手も宜しくない)
◆値段の制約故にか、種類などに使い回しが目立つ敵キャラクター達(特にボス)
◆演出が寂しく、盛り上がりにも欠けるストーリー(文章にも若干、妙な所が…)
◆イージーでも妙に手強い、防衛のミッション
◆使い勝手が悪く、実質空気にも等しい存在の乗り物
▼Review ≪Last Update : 10/31/2010≫
お高くありませんけど、本格派なのです。

1000円という値段を侮ること無かれ。


ボンバーマンや桃太郎電鉄、高橋名人の冒険島にスターソルジャーなどでお馴染みのハドソンが初めて放つ、完全新作のファーストパーソンシューター(FPS)。開発は主にキャラクターゲームなどを手掛けるソフトハウス、シェードが担当。

爽快感とスコアアタックの面白さに特化した、珍しいタイプのFPSだ。

ゲーム内容は3D主観視点で展開する、ファースト・パーソン・シューター(FPS)。複数の武器を使いこなして敵を撃破し、ステージを攻略していくというものだ。
システム面ではFPSとしてはワリと珍しい、ステージクリア型を起用。一応、敵の殲滅、防衛などのミッションも設けられてるが、ほとんどおまけ。基本的にはドンパチやりながら進めていく感じである。アイテムの回収や潜入など、入り組んだ展開が多いFPSにしては結構、単純な作りとなっている。
また、近年のFPSでお約束の探索要素も薄め。どのステージも前へ前へと進んで行く構成なので、突撃志向のプレイヤーにはたまらない作りとなっている。迷路のステージも一応あるが、それも今作、画面左上にミニマップを常時表示する親切設計なので、行き先を見失うことはほとんど無い。探索以上に敵とのドンパチに重きを置く。如何にもシューティングゲームには手馴れたハドソンらしいこだわりが現れた、独特のゲームデザインが図られている。
更にプレイヤーが扱う武器も少なめだ。マシンガン、ショットガン、アサルトライフル、ロケットランチャーのたった4種類。最小限の量に抑え込まれている。サブ武器のグレネード(手榴弾)、ビームウィップを入れれば合計6種類だがそれでも結構少ない。ただ、少ないからこそ、各武器の性能把握がし易く、すぐに扱い慣れられるのは大きな売り。沢山武器があって、性能を確かめるだけで一苦労なFPS独特の敷居の高さも無く、スムーズに各武器を扱う楽しさを満喫できる。その恩恵でFPS初心者もスムーズに入っていけるし、FPS独特のドンパチの爽快感をすぐに体験できるのも大きい。沢山の武器を扱うのがFPSの真骨頂だと主張するプレイヤーからすれば、この少なさは不満を感じるかもしれない。しかしそれを犠牲とし、初心者への間口を広げたこの判断自体は、大きな評価に値する行為と言える。それに数は少ないとは言え、FPS独特の敵に応じて武器を使い分ける戦略性はきちんとしてる。むしろ、これだけの数でも十分、その楽しさは演出できると、絞り込んだ故の分かり易さが炸裂している。武器の数を増やさなくても、その面白さは成立する。コアなFPSに慣れたユーザーも、今作をプレイすれば武器の数を多くする事の無意味さみたいなのを体感できるだろう。ドンパチを楽しむ事へのこだわりとして、弾切れが生じ難いのも大きな強み。常にマシンガンを乱射し、敵を一網打尽にする爽快なプレイが継続するので、単に撃つだけでも楽しい。FPS初心者に対しても、撃ちまくれる故の安心感があり、余計な神経を配る必要も無く本編に没頭できるのもなかなか魅力的だ。
敵を倒した際に付着する体液によるダメージなど、他にも独自の工夫は充実。全体として、要素は徹底的に絞り込んではいるが、ゲーム性はバッチリ。絞り込んだなりの遊び易さ、気持ちよさが際立ったFPSに仕上げられている。

しかし、その絞り込んだなりの遊び易さ諸々は、今作の中で突出したセールスポイントではない。シューティングゲームとしてのゲームデザインとバランス調整が徹底されてる、それこそが今作で最も突出したセールスポイントである。
特にドンパチにこだわったステージの作りは爽快。FPSでお馴染みの探索を廃し、ただ突き進んでいくようにしたその構成は、シューティングっぽい単純明快さが炸裂していて、単にステージを動き回るだけでも気持ち良い。元々、FPSはシューティングから派生したジャンルだから、シューティングらしさを出さねばならない!探索など、そもそも論外なんだ!そんな熱いこだわりに満ちたこの作りは、『スターソルジャー』等の多くのシューティングの名作を世に出してきた、ハドソンの意地と言うべきか。醍醐味を深く知るハドソンだからこその、シューティングの本質を突き詰めたゲームデザインには、全く持って感服させられる限りである。ウロウロするより、迫り来る敵を倒しまくるのが気分も高揚するでしょ?全く持って、その通りだとしか言えない。
同じことはバランス面、主に敵の強さと配置の調整にも言える。基本的に今作で登場する敵の大半は耐久度が低く、ほんの数発の攻撃で仕留められるほど弱く設定されている。巷のFPSみたいに何十発もの弾を撃ち込む必要も、頭部を狙って撃つ必要もなく、何処を狙って攻撃してもアッサリ倒せる。群れを成して襲い掛かってきても、武器を乱射すれば簡単に一網打尽できるほど。そんな固くて厄介な敵が、今作にはボス以外にいないのである。だが、そのおかげで沢山の敵を一網打尽にする、シューティングらしい爽快感が濃い目に表現されている。シンプルに武器を撃つ楽しみに浸れるのだ。だから、ステージ進行を妨げられる事も無いし、何処を狙うかなど考える必要も無い。何も考えずに撃つからこそ、シューティングは楽しい。そんなこだわりに富んだ調整が成されているのである。これもまた、ハドソンならではの「簡単に倒せる敵を相手にする気持ちよさ」という巷のFPSのアンチテーゼとなっているのが面白い。確かに、固い敵を相手にするよりは、脆い敵を相手にするのがシューティングとしては爽快だし、何より楽しい。そして、固い敵はステージ進行のテンポを妨げる要素でもある。そんなシューティングとしての当たり前の楽しさを活かそうとするこの徹底振り。これもまた、ハドソンがシューティングの醍醐味を知り尽くしているかの現われと言えるだろう。そして、如何に世間一般のFPSが、シューティングの本質から外れてしまっているか。そんな事もこの調整からは考えさせられてしまう。何の迷いなしに撃つからこそ、シューティングは楽しい。今作をプレイすれば、そう言った巷のFPSの矛盾みたいなのを教えられるかもしれない。本当、ここまで巷のに意見した作りをしたFPSも珍しいぐらいだ。
また今作、FPSらしからぬ「スコア」の概念があるのも斬新。ステージの攻略、ミッションの遂行に重きを置くFPSに、「稼ぐ楽しさ」という不変の遊びを仕込むとは如何にもキャラバンのハドソンらしい。実際にスコアアタック自体、奥深いものに仕上げられており、連続ヒットによるボーナスからクリアタイムボーナスと、そのFPSらしからぬ熱さには戸惑いすら覚えるほど。どんな現代的なゲームでも、不変の遊びを入れるハドソンの執念深さには、脱帽の一言だ。
更に今作、Wi-Fiコネクションによる協力プレイも実装されているのだが、これもただの協力プレイで終わらせず、得点争いの要素も盛り込んでいるハドソンっぽい作りで笑わせてくれる。しかもこれが意外に白熱する出来だから、なおビックリ。FPSの対戦は殺し合い以外にこうもできる!オフラインだけでなく、オンラインにまでこんな不変の楽しさを導入してしまうとは、ハドソン…やりおる、だ。
とは言え、ダウンロードソフト故、巷のFPSとは圧倒的に劣る面も多い。敵の使い回しが多い、グラフィックが並レベルなど。だが、シューティングのゲーム性を推し出したゲームデザインとバランス、スコア稼ぎの楽しさなど、今作がFPSとして革新的な一本であるのは間違いない。ただの撃ち合いで終わらせない内容の深さ、爽快感の高さ。正直、巷のFPSと互角に渡り合えるほどの面白さが、今作にはある。DLソフトにしては、伊達じゃないクオリティの高さなのである。

DLソフトらしからぬクオリティの高さを誇るのは先のばかりでない。全体のボリューム、やり込み要素もまた、その域を超えたものになっている。特に前者は予想外に充実。ステージ総数が全部で13、難易度が5種類と遊び込むとなれば、パッケージソフト並に長く楽しめる。ステージ一つ一つのボリュームも大きめで、これで1000円とは贅沢過ぎるだろと、素で突っ込みたくなってしまうほどだ。
操作性もリモコン&ヌンチャクを使う、『メトロイドプライム3』と同様のスタイルを起用。ヌンチャクでキャラの移動、リモコンのポインタで照準操作の直感的な操作が可能となっていて、非常に快適なゲームプレイを楽しめる。弾薬の補充(リロード)もリモコンを「クイッ」と振るだけ、武器の切り替えは十字キーを指定の方向に押すだけと、その辺の操作も非常にシンプル。Wiiならではのストレスフリーな快適さは、FPS初心者のみならずコアなFPSユーザーでも癖になってしまうだろう。
また、難易度もなかなかの手強さ。最も簡単なイージーですら敵の攻撃が激しいなど、容赦の無い調整が図られている。ただ、理不尽さは皆無。全体として、適切なレベルとなっているので、その辺の抜かりは無しだ。
グラフィックは先も述べたが並レベル。音楽も平凡で印象に残り難い曲が多いためにイマイチな感じだ。ただ、昆虫サイボーグの生々しい動き、欠損表現は頑張っている。虫嫌いには応えるかもしれないが、並のグラフィックであろうと生々しさを追求した作り込みには製作スタッフの本気というものを思い知らされるかもしれない。

その他、インターフェースも快適且つ凝った出来。主に武器の残弾表示が銃の後ろであるのは、なかなかユニーク。ロード時間も皆無で、サクサク進めていけるのが快適だ。
敵の使い回し、ストーリーと演出の寂しさはDLソフトの限界として仕方が無いものがあるが、それでもよくここまで作り込んだなと感心させられる出来。敵を一網打尽にする爽快感重視のゲームバランス、シューティングの面白さを推し出したゲームデザインと、何処をとっても完成度は高い。操作性も最高で、Wiiの魅力を最大限に活かした出来栄え。厳密には外注制作だが、シューティング屋のハドソンがFPSを作るとこうなる、そんな答えが詰まった今作。
まさに初心者から上級者まで、幅広く楽しめる傑作FPSだ。
この爽快なゲーム性と作り込みの深さは一度でも体験する価値がある。オススメです。
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