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≫Wii Sports
■発売元 任天堂
■ジャンル スポーツ
■CERO A(全年齢対象)
■定価 4800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人
■セーブデータ数 1つ(※2ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー可)
■その他 ヌンチャク対応(ボクシングのみ)
■総説明書ページ数 24ページ
■推定クリア時間 測定不能
Wiiリモコンで打つ、投げる。
簡単操作で手軽楽しめるスポーツゲーム、登場。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆リモコンを振るだけ(メニュー周りではボタン使用)のシンプルで直感的な操作性
◆操作性のシンプルさに並行し、分かり易い面白さにこだわった5種類のスポーツゲーム
◆全ゲーム共通、本当にそのスポーツをやっているかのような手応えを限りなく演出した、質感溢れる効果音(特にテニスのラケットの音は爽快)
◆同じく、プレイヤーの腕の差が物を言わない、平等なバランスが見事な対戦プレイ
◆ラケットを振るだけの操作しか要求されない、単純明快さが秀逸な『テニス』
◆移動周りをフルオートで行ってくれる為、普通のテニスに比べて繋げ易いラリー(繋げ易い為に、試合の展開もかなり白熱する)
◆やや簡略化されてはいるが、本物さながらの臨場感が異彩を放つ『ボウリング』
◆本当に玉を握るかのような手触り感とアクションが秀逸なボウリングの操作性
◆一本のリモコンがあるだけで楽しめる、懐の広さが秀逸なボウリングの対戦プレイ
◆ボタン3回押しの常識に一石を投じた操作性が魅力的な『ゴルフ』
◆ストレス解消や気分転換にはもってこいの、抜群の爽快感を誇る『ボクシング』
◆自らの限界に挑戦する、古き良きゲームの魅力と中毒性に富んだ『トレーニングモード』
◆プレイヤー自身の基本体力が丸分かりになる(?)仕組みが秀逸な『体力測定』
◆『似顔絵チャンネル』で作成したMiiをプレイヤーキャラにできる、ユニークなおまけ要素
◆シンプルではあるが、ゲームとしてのプレイのし易さにこだわった、ライトなグラフィック
◆曲数こそ少なめだが、スポーツゲームらしい爽やかな曲調が印象的な音楽

--- Bad Point ---
◆あまりに簡略化し過ぎて、ゲームとしても単調極まりない『ベースボール』
◆バッティングする側が出来るのが振る事しか無いなど、ピッチング側との差があまりにも激し過ぎる、ベールボールの操作性(せめてバントぐらいあっても!)
◆ダブルス限定で、シングルスが楽しめない『テニス』(できても良かった気が)
◆Wiiリモコンの感度の良さと釣り合っていない、『ゴルフ』のショット操作のパワーバランス(豪快にショットを打とうとすれば、問答無用でパワーオーバーしてしまう)
◆何が出るか、完全にランダムとされてしまっている『ボクシング』のパンチ攻撃
◆対戦プレイに特化した作りの為、簡素な一人プレイ
▼Review ≪Last Update : 7/26/2008≫
日ごろの思いを相手にぶつけるべし!

…in the Boxing.


Wii並びにWiiリモコンのデモンストレーションタイトルとしてリリースされた、任天堂としては久々となる、完全オリジナルのスポーツゲーム。

老若男女誰もが楽しめる、超お手軽スポーツゲームの決定版だ。

収録されているスポーツゲームは全部で5種類。『テニス』、『ベースボール』、『ボウリング』、『ゴルフ』、そして『ボクシング』が用意されている。各ゲームの操作は『ボクシング』を除き、全てWiiリモコン1本で操作。テニスでラケットを振るのも、ベースボールでバットを振るのも、リモコン一本でできる、普段ゲームを遊ばない方でもすんなりと溶け込める、シンプルで直感的な操作方法を起用している。
また、各ゲームもそんな操作に並行する形で、ルール周りを徹底的に簡略化。リモコンを振るだけでも楽しい、シンプルな面白さにこだわった作りに仕上がっている。
そんな各スポーツゲームのルール周りと魅力は以下の通り。

◆テニス
ルール周りは現実のテニスと同じだが、試合方式はダブルズ(二人ペアで戦う試合)限定。1対1のシングルは無いという、随分と思い切った作りとなっている。その為、一人プレイや二人で対戦を行う場合は、二人分のキャラを操作。対し三人、四人で対戦プレイをする場合はチームに分かれて個人を操作する事になる。いわゆるタイマン勝負ができない為、本格的なテニスを期待すると肩透かしに遭う。
しかし、出来自体はなかなかのもので、特にコート内の移動をフルオートにし、リモコンを振る事だけに特化したシンプルな操作性は抜群の気持ち良さ。ボールを跳ね返す効果音も質感たっぷりで、リモコンを普通に振るだけでも面白いという、如何にも任天堂らしいこだわりが炸裂しているのも見逃せないところだ。また、移動がフルオートで行われるという事もあり、試合中にラリーが組み易く、白熱した試合展開が楽しめる作りになっているのも同じく必見。
操作が簡単、ルールも簡単なので老若男女を問わず楽しめ、そして誰もが対等な試合展開を楽しめる、今作を象徴するスポーツゲームの一つ。実際に遊んだ際には是非、プレイしてみて頂きたいゲームだ。特に対人戦がお薦め。

◆ベースボール
バッティングとピッチングのみ、守備の必要は一切無いという、あまりに簡素な作り。しかも試合も3回で終了と、かなり短めに設定されている。
更に操作周りも、ピッチングに関しては、投げる際にWiiリモコンの特定のボタンを押す事で変化球が出せたり、十字キーで内角や外角に狙いを付けたりなど、細かなアクションができるようになっているのだが、対するバッティングの方はバットを振るだけ、バントは不可能という、これまた基本システム並に簡素な有様となっている。
単刀直入に言ってしまうと、今作で収録されているスポーツゲームの中では最もお薦めできない一本。特に守備が無かったり、バッティングにバント操作が無い都合により、試合展開が進めば進むほど単調になり、モチベーションが下がるというのは致命的。ピッチングに多彩なアクションを入れ込むのなら、バッティングの方も充実させて頂きたかったところだ。せめてバントとかができれば、もう少しマシな内容になっていただろうに。
言うまでも無く、単調な展開に陥り易いので、一人プレイ、二人プレイ(三人以上は不可能)共に面白味無し。これは時間があったら触る程度で十分。一応、Wiiで野球をやるとどうなるのか、気になるならやる価値はあるかもしれない。

◆ボウリング
先の二つとは異なる、現実のボウリングに最も忠実な作り。最大10フレームをプレイして合計のスコアを競うなど、例によって簡略化されているところもあるのだが、十字キーによる立ち位置の調整やカーブショットなど、操作周りはかなり凝っている。またボールを投げる際の操作も、本当にボールを掴むかのようにBボタンを押し、リモコンを胸の前で構え、そのまま後ろに引いて投げるように振り、タイミングよくボタンを離すという、現実のボウリングさながらの仕様。大袈裟な表現だが、家で本物のボウリングをやっているかのような、不思議な手触り感を堪能できてしまうほど。
それほどまでに優秀な要素を備えているが故に、出来自体は5種類の中ではトップクラス。操作性の素晴らしさもあるが、それ以上にちゃんと交互プレイに徹したゲーム展開、物理演算によるリアルな倒れ方をするピンなど、現実のボウリングさながらの臨場感がリアルに描かれているのが素晴らしい。特にピンの倒れ方、そしてピンを倒した際の効果音の気持ち良さは先の『テニス』に匹敵するほど。動かすだけでなく、倒すだけでも面白いという妙味が滲み出ている。またプレイ中、周囲でボウリングを楽しんでいる客が出てくると言った地味な演出があるのも、臨場感の盛り上げに一役買っていて良い感じだ。これもまた、『テニス』に匹敵して、老若男女を問わず楽しめるゲーム。完全に対戦向きなので、一人プレイには向かないが、大勢の人が集まった時には是非、やってみて頂きたい一つだ。
ちなみに、このゲームに限って対戦は、リモコン1本でも楽しめる。そんな「別売のリモコンが買えない!」…という方の為の救済処置が成されているのも、このゲームならではです。

◆ゴルフ
ルールは実際のゴルフに忠実だが、試合方式はスコア争いの『ストローク』のみ。マッチプレイ(1対1の打数勝負)は無い。また、ゲーム中に登場するホール数も少なめ。ベースボールと同じく、簡略化が行われた作りとなっている。
それ故に、本格的なものを期待すると肩透かしに遭うが、出来自体はなかなかのもの。特にリモコンをゴルフクラブと見立てた操作性は秀逸で、ボタン3回押しが通例だったゴルフゲームに一石を投じる、実に革新的なものとなっている。また、クラブ選択、方向調整などの操作もちゃんと用意されているので、ゴルフならではの戦略性もバッチリ。各ホールも、如何にも現実のゴルフらしくも、ゲームらしいシンプルさに突出した作りとなっており、誰もが手軽にゴルフの面白さを堪能できるという、絶妙なバランス調整が施されている。
ただ、スイングのパワーバランスが、Wiiリモコンの感度に反した調整となってしまっており、本物のクラブさながらに振ってしまうと、ミスショットになるというのが非常に残念。弱く振った方が良いショットが打てるとか、流石に矛盾し過ぎも良いところ。豪快にスイングした方が、気持ちよかったのにどうしてこんな調整で通してしまったのか…。本当、もっとリモコンの癖を考慮した上での調整を行って欲しかったの一言に尽きる。Wiiでゴルフを表現するとどうなるのかが気になるなら、プレイする価値はあるが、純粋に対戦ツールとしてこれを求めるのはお薦めしない。もっとスイングが感度を無視したものでなければ、お薦めのゲームと言えたのだが…。全く持って、惜しい。

◆ボクシング
5種類の中で唯一、ヌンチャクを装着しなければ楽しめないゲーム。と言っても、ヌンチャク側のボタン並びにリモコン側のボタンは一切使わず、他のゲームと同じようにコントローラそのものを振って楽しむ作りなので、複雑さは皆無。
ルールは1分3ラウンド形式で行う、現実のボクシングを簡略化させたルールとなっているが、実際の試合そのものはなかなか本格的で、操作周りもガードやウィービング(回避)など、ボウリングほどではないが凝った作りとなっている。
今作に収録されているゲームの中では、最も一人プレイに適した一本。対戦プレイもガチンコ勝負が楽しめるのでかなり盛り上がるが、一人プレイでも個性豊かな対戦相手が登場するので、結構やり込める。
また、このゲームは他のゲーム以上に体を動かすので、有酸素運動として楽しめるのも大きな特徴。流石に長時間プレイのは、再起不能となりかねないのでお薦めはしないが、大体30分ぐらいやれば脂肪の燃焼を体感できる…はず。手軽に運動したいという方なら、試してみる価値アリだ。
強いて言うなら、二人対戦を楽しむ前にヌンチャクが必要となる負担がかかるのと、パンチのパターンがランダムで、思った通りの攻撃ができないのが残念だが、今作の中では最も楽しめる作りとなっているので、テニスと並行して是非、試してみて欲しい。ただし、やり過ぎにはマジでご用心。

随分と大雑把に語ってきたが、今作に収録されているスポーツゲームの詳細、並びに特徴はこんなところ。一部、あまりにシンプルさにこだわり過ぎて破綻してしまっているものもあるが、基本的な完成度はいずれも及第点の域。
各ゲーム共に「Wiiでスポーツゲームを実現すると、どんな面白さがあるのか」と言ったチャレンジ、「Wiiならではの操作の面白さ」へのこだわりが如何なく発揮された、大変優秀な仕上がりとなっている。シンプルなゲームでも、可能な限り、ゲームとしての面白さを追及するその姿勢は、流石任天堂と言ったところだ。

そんな今作最大の魅力はやはり、対戦プレイの面白さと敷居の低さ…これに尽きるだろう。
先のゲーム紹介でも話したが、収録されているゲームはいずれも操作周りがリモコンを振ると言った、直感的なものに限られているから、ゲームを普段遊ばない人でも、少し説明を聞けば理解できてしまうので、非常に取っ付き易い。
更に、この直感的な操作は経験者、未経験者問わず、腕の差がものを言わないので、対戦プレイにおいてゲーム慣れした方が有利…と言った差別化が生じる事も無い。
それ故に、誰もが対戦プレイに参加でき、誰もが経験の差を感じる事無く、各ゲームでの対戦が楽しめる。まさに、腕の差関係なしの平等な対戦が、今作では楽しめてしまうのだ。
だから、遊んでいて片方が強過ぎて試合が一方的になるのもほとんど無い。
何かと、今作のようなスポーツモノ問わず、ゲームの対戦プレイというのは腕の差がもの言うのが多く、未経験者が経験者と戦えば一方的な負け戦になるものが多く、それが返って間口を狭める原因となっていた。その問題を解消する為、これまでにゲームはハンデ制度を設けたりなどの対策を打ってきたりしたが、必ずしもそれは良いとは言わず、逆に対戦の不公平さを助長するだけだった。それに対し今作は、操作とルールの簡略化だけを行い、間口を広げた。何とも呆気ない結末である。結局、ゲームルールと操作さえ取っ付き易いものなら、誰もが楽しめる対戦ゲームは作れる、…それを軽々と証明してしまったのだから。まさに、近年の対戦ゲームに対する強烈なアンチテーゼとはこのこと。結局、シンプルに勝る平等はない。そんな当たり前の事を、本作の対戦プレイでは堪能できてしまうのだ。
特に、対戦相手を友人とか知り合いでなく、父親や母親、そして祖父母として楽しんでみれば、そのシンプルの強みというものをヒシヒシと痛感させられるだろう。
一人でプレイするのもアリと言えばアリだが、今作を遊ぶというのであれば、何が何でもこの対戦プレイは遊んでみて欲しい。きっと、ゲームの面白さとは複雑こそが全てではない、それは対戦も然り…と言った本質を思い知らされるはずだ。

誰もが楽しめる対戦プレイの他にも、特殊な課題に挑戦する一人プレイ専用の『トレーニングモード』、本作独自の手法によって行う『体力測定』等、魅力的な要素はまだまだある。
更にWii本体の『似顔絵チャンネル』で作成した『Mii』をプレイヤーキャラとして使える、特別なシステムも導入されており、より感情移入できるプレイが楽しめるのも面白い。
グラフィックやサウンドも、さほど強烈という訳でもないが、とても丁寧に作られており、一切の妥協がない。特に音楽は種類こそ少なめながら、スポーツゲームらしい、爽やかな曲が盛り沢山。常に聴く事になるタイトル画面の曲に関しては、かなり良い曲に仕上がっているので、是非とも要チェックだ。
これ以外にも、やり込み派プレイヤーならはついつい、ムキになってしまう『熟練度』のシステムや抜群の選び易さを誇るメニューインタフェースなど、見所は尽きない。 対戦が全てのゲームな為、一人プレイには厳しい作りとなってしまっているのが寂しいが、完成度そのものはWii初期の作品としてはかなりのもの。特に対戦ツールとしての万能性は抜群なので、接待プレイとかには大いに適している。Wiiリモコンならではの直感的な操作性、シンプルさと奥深さにこだわった5種類のスポーツゲーム、そして誰もが対等に楽しめ、盛り上がれる対戦プレイと、作りはシンプルながらも見所に秀でたこの『Wii Sports』。Wiiを持っているユーザーならば是非とも遊んで頂きたい、新感覚・お手軽スポーツゲームの決定版だ。このシンプルさと気持ち良さ、Wiiでなけりゃ楽しめない。
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