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≫ワリオランドシェイク
■発売元 任天堂
■開発元 グッド・フィール、プロダクションI.G、草薙
■ジャンル アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 5800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 4つ(※1ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー可)
■総説明書ページ数 28ページ
■推定クリア時間 5〜7時間(エンディング目的)、20〜25時間(完全攻略目的)
古代儀の中にある不思議な世界『ユーレトピア』。妖精のような姿をしたメルフル族が幸せに暮らしていたこの世界は今、『シェイキング』と名乗る海賊によって荒らされていた。
シェイキングはメルフル族の女王『クイーンメルフル』と伝説のお宝『デルデルのサイフ』を奪い、更にはメルフル族全員をも捕まえてしまったのである。

そんなシェイキングが暴れる中、一人のメルフルが命かながら脱出。
たまたま古代儀を見ていた、キャプテン・シロップの力を借り、ワリオに助けを求めるのだが…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆行きは探索、帰りは脱出の二面性が丁寧に表現された、独特のステージ構成(ワリオランドアドバンスと同じ)
◆サーチライトで出現する足場に浮遊カプセルと、ヘンテコさ満点のステージギミック
◆何も考えずにリモコンを振る気持ち良さと楽しさに秀でたシェイクアクション
◆シェイクアクションの振る気持ち良さを演出する、心地良い効果音(他の爆発系の音とかも、質感があって秀逸)
◆ワリオらしい「何でもあり」の良さが活かされた、ステージロケーション(遺跡、大都市と相変わらずのごちゃ混ぜぶり)
◆タイムアタック、指定物撃破など、やり甲斐のある課題が充実した『ミッション』
◆正統派の戦いからレース勝負まで、バリエーション豊かなやり甲斐満点のボス戦
◆宝物図鑑、サウンドテストとコンプリート欲を刺激させる、秀逸なおまけ要素群
◆アイテム収集、ミッション攻略など、やり応え満点&適度に充実したやり込み要素
◆アクションゲーム初心者に優しい、温めのゲームバランス
◆ファミコンを髣髴とさせる、少ないボタンで直感的に動かせる基本操作
◆アニメそのままの動きと質の高さが衝撃的なグラフィック(特にキャラクター全般)
◆アクションゲームらしい、ノリの良い名曲揃いの音楽
◆普通にアニメとして放送しても通用しそうな出来のムービーデモ
◆ワリオファンには嬉しい、10年ぶりの復活を遂げたキャプテンシロップ

--- Bad Point ---
◆方向をリモコンの傾きで調整する、煩わしい操作を要求される投げアクション(活用の仕方が無理矢理過ぎる)
◆移動方向をリモコンの傾きで調整する、嫌らしい操作を要求される潜水艦
◆お馴染みのリアクションも少なくなり、多彩さが失われたワリオの基本アクション
◆操作感は悪くないが、ステージへの活かし方がイマイチで、テンポの悪化にも繋がっているシェイクアクション
◆アクションゲーム上級者には物足りない、温過ぎるゲームバランス
◆あまりに素っ気無いエンディング(その為、ストーリーが実質空気同然)
◆出来は良いのにフルボイスでないのが勿体無いムービーデモ
◆やや作業的な感も否めない『ミッション』の課題(特に爆発ブロックの処理など)
◆オプションで画面表示を「16:9」のワイドサイズにした時だけ表示される、ミッションを始めとする進行表示の情報枠(さすがにこれは標準解像度(4:3)のテレビを使ってるプレイヤーに対しての苛めでしかない…)
▼Review ≪Last Update : 10/18/2009≫
こんな形で再会する事になるとは…。

まさかの『がんばれゴエモン』スタッフ最新作。


パワフルなアクション、独自のシステムで人気を博したワリオランドシリーズ最新作。開発は元コナミの『がんばれゴエモン』のスタッフが集うソフトハウス、グッド・フィール。キャラクターグラフィックを『攻殻機動隊』シリーズ、『BLOOD+』で知られるアニメーション製作会社プロダクションI.G、背景グラフィックを『サザエさん』、『家庭教師ヒットマンREBORN!』、『機動戦士ガンダム00』などの背景画作成で知られる有限会社草薙が担当している。

アクションの出来はなかなか。
しかし、無理矢理なリモコン操作が蛇足でしかない、惜しい佳作だ。

内容は、横スクロールで展開する、オーソドックスなステージクリア型アクションゲーム。ワリオを操り、全5つ以上のワールドに用意されたステージを攻略していくというものだ。探索と脱出の2パートで構成されたステージ、ダメージ制など、ゲームシステムはゲームボーイアドバンスの『ワリオランドアドバンス』をベースとしている。というか、実際のところ『ワリオランドアドバンス』の続編だ。ただ、色々と細かい部分が変更されている。
『ワリオランドアドバンス』では『宝石のかけら』と呼ばれる、ワールドのボスがいる部屋に入る為に必要なカギのアイテムを各ステージで4つ集めなければならなかった。対し今作では、それが完全廃止。普通にステージを順にクリアして行けばボスに到達できる、シンプルな構成に回帰した。宝石集めに作業的な印象を抱いていた方には、嬉しい改善と言えるだろう。また、ワリオランドシリーズとしても、従来の路線に原点回帰した感じで、これはこれでナイスな判断である。
また、『ワリオランドアドバンス』では最初のワールドクリア後、4つのワールドを好きな順番で始められたが、今回は『シロップのお店』で『地図』のアイテムを買わないと、各ワールドがプレイできないシステムに改められている。つまり、5ワールドを好きな順番で始めたいのであれば、コインを一定量集めなければならないという事。更にワールドのボスを倒しても、地図が無ければ次のワールドへは行けないのだ。これはこれで、賛否が分かれるシステムである。ただ、必要なコイン自体は1つのワールドをクリアする頃には、自然と溜まるようになっているので、作業的な展開にはなり難い。その辺は上手く調整されている。さすがアクション製作には長けた、ゴエモンスタッフだけにあると言ったところだ。
そして、ワリオと言えば体当たりを始めとする豪快なアクションだが、これは今回、大幅に減少。『ワリオランドアドバンス』にあったダッシュアタックは、特定のブロックに入らない限り出せなくなったほか、敵の攻撃を受けて特殊な体質に変身出来る『リアクション』に至っては、2〜3個にまで減った。更に言うと初代ワリオランドにあった変身アクションも皆無。過去にも増して、少なくなってしまっているのである。
ただ、その代わりとして新たなアクション、『シェイク』が導入されている。

その『シェイク』こそが、今作の大きな売り。その言葉が現す通りだが、Wiiリモコンを振る(シェイク)事で、数々の特殊アクションができるのだ。地面にパンチして地震を起こしたり、コイン袋を振って沢山のコインを出したりなど、いずれも豪快なものばかり。他にも、敵に捕まった時の脱出や鉄棒で大車輪ジャンプをするなど、場所は限られるが、そのようなアクションも行える。如何にもWiiらしく、発想がかなり簡素な感も拭えないが、アクションとしては結構、面白く出来ている。特に何も考えずにリモコン振る!(或いは振りまくる!)…というシンプルな動作は、巷の2Dアクションゲームでは味わえない、独自の気持ちよさに満ちている。何も考えずに動かすからこその爽快感とも言うべきものがあって、実に面白い。
シェイクアクションのエフェクトも、その気持ちよさを大いに煽る。激しくコイン袋を振ると莫大な量のコインが吹き出たりなど、ちゃんとそのアクションに応じた反応がちゃんと返される様は、如何にも任天堂らしい操作感に対するこだわりの現れと言える。振った際に鳴る「シャカシャカ(※他にも数パターンあり)」という効果音も気持ち良く、純粋に「振るだけで楽しい」という面白さを出しているのも秀逸。ワリオができるアクションが減らされたのも、これを目立たせる為だというのなら、納得が行くものがある。メインを光らせ、サブは最小限にという辺り、この操作ならではのアクションゲームを作り出そうという、熱い意気込みを痛感させられる。
しかし、シェイク操作の気持ち良さは悪くないのに、ゲームにおける活かし方がイマイチなのは褒められない。特にステージにおいて、使う場面がほぼ固定されているなど、作業的な扱いにされてしまっているのは苦しい。シェイク使う際、止まる必要がある為、あえてそうしたのかもしれないが、結果として、アクション自体の蛇足感を強めてしまってる。もう少し、そのアクションをスムーズに使う為の構成が考えられなかったのかと、悔やまれる。
だが、それ以上に最悪なのは、シェイク以外にもリモコンを使わせようとする、任天堂製Wiiゲームの悪しき癖が現れている事だ。歩行リフトの移動時、敵などの物を投げる方向を決める時とか、決まってリモコンを傾けねばならないのである。これが最高にウザい。単にストレスが溜まるばかりなのだ。そもそも、普通に十字キーでやった方が遥かに快適である事を無理矢理リモコン動作にしている事からして、言葉が悪いが馬鹿の極みだ。何故、そんな所までWiiリモコンを使わせようとしたのか、理解に苦しむ。
肝心の動作自体もゲーム性にダメージを与えており、物を投げる時に限って言えば、狙いが定め難かったり、また強制的に動きを止められるなどと散々。更に、このリモコンの傾きで上下の移動方向を調整しなければならない、潜水艦の操作感なんてかなり最悪。敵の弾を回避するだけでもたついたりと、要らぬストレスを出してしまっている。そういう時に限り、「十字キーで操作したい!」と内心思うのがザラ。何で、そういう移動までリモコンでしなければならないのか意味不明だ。本当、勿体無いにも程がある。単純にシェイク操作の作りが良いのに何故、それに絞ったステージの構成を始めとする、ゲームデザインが行えなかったのか。シェイクだけに絞り、先の動作を十字キーだけに絞るとか、ダメだったのか。
もし、十字キー操作だとつまらない、新しさが無い為と判断したのだとすれば、それはもう許し難いの一言に尽きる。Wiiのゲーム故、従来ゲームとの違いを出すのは分かる。しかし、その違いは最小限に留めてこそで、その他、基本的な所までWiiらしくする必要は無いんじゃなかろうか?そんな十字キーとかで動かすのが快適な所までWiiらしくしたら、遊ぶ側からすればストレスだろう。このゲームに限らず、他の任天堂製Wiiゲームにも言えるが、何でそんな基本的なところまでリモコンとかの特性を活かす必要があるのか。少しは、普通にゲームを遊びたいプレイヤーの気持ちを考えて頂きたい。

操作性の悪さは言うまでも無く、バランス面もお世辞にも良くない。とにかく全体的に温過ぎて手応えに欠ける。アクション初心者にして見れば、これはこれで良いのかもしれないが、もう少し手強く出来なかったのかと疑問符が出る。特に終盤とか、もう少し難しくしても良かったのでは?おまけとして用意された隠しステージやボス戦の難易度が綺麗にまとまっているだけに疑問符が残る。
逆にやり込み要素は充実しており、各ステージに用意された『ミッション』の攻略、シリーズお馴染みの宝物探しは結構、やり甲斐がある。また、特典要素も素晴らしく、ミッションクリア時の特典であるサウンドテストはニク過ぎだ。
プロダクションI.Gほか、著名なアニメ製作会社によるグラフィック、音楽も大変良質。特に音楽は『がんばれゴエモン』シリーズ等で数多くの名曲を世に生み出したコンポーザー、冨田朋也氏が手掛けているだけに飛び抜けた出来。脱出パートの曲、潜水艦ステージ全般の曲は、いずれも必聴の価値アリだ。また、ゴエモンを彷彿とさせる曲もあるなど、地味なファンサービスがあるのも見逃せない。
演出もストーリーはアニメムービーによるデモで表現するなど、地味に凝ってる。しかし、アニメのムービーで声が無いのはちと不自然。ワリオは喋らないままで良いとして、他のキャラは別に喋らせても良かったのでは無いだろうか。クオリティは申し分ないのに(それもプロダクションI.Gという大手に作らせておいて)、何か勿体無い感じがしてならない。

ストーリーも結末を含め、全体的にあまりに空気過ぎるのが少し寂しい。ただ、GBの『ワリオランド2』以来、10年ぶりにキャプテンシロップが登場するのは、なかなかニクい。ワリオファンにはたまらないファンサービスと言えるだろう。
操作性の問題など、残念な欠点も多々あるが、アクションゲームとしてはそこそこの出来。アクション初心者にはこの上ないほど最適な内容に仕上げられている。逆に上級者には物足りない感もあるが、やり込み要素や音楽など、良質な所がワリとあるので、それなりに楽しめる。ツメの甘さはあるが、Wiiらしい2Dアクションの味が凝縮された今作。
ワリオシリーズファンはもとより、変わった操作で楽しむ2Dアクションを遊んでみたい方なら是非、プレイしてみて欲しい佳作だ。難易度も控えめなので、アクションゲーム入門編としても最適です。
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