Written in Japanese. Japanese fonts required to view this site / Game Review & Data Base Site
  1. ホーム>
  2. Review Box>
  3. Wii>
  4. 宝島Z バルバロスの秘宝
≫宝島Z バルバロスの秘宝
■発売元 カプコン
■ジャンル 発想力開放アドベンチャー
■CERO A(全年齢対象)
■定価 6090円(税込)
■公式サイト ≫こちら ※音が鳴ります
▼Information
■プレイ人数 1人
■セーブデータ数 3つ(※1ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー可)
■総説明書ページ数 見開き形式
■推定クリア時間 12〜20時間(エンディング目的)、35〜50時間(完全攻略目的)
遠い昔、世界の財宝を奪い、独り占めにしていた『バルバロス』という大海賊が居た。
彼は集めた財宝を全て、とある隠れ島に隠していた。
未だ場所さえ知れず、伝説によって語られるのみの秘境の島。
その島こそが『宝島』、全ての海賊達が憧れる伝説の島である。

類まれな幸運か、運命のイタズラか。
見習い海賊の少年「ザック」は、初めての宝探しで不思議な『喋るどくろ』と出会う。どくろは自らをバルバロスと名乗り、少年に自分の呪いを解いて元の姿に戻してくれれば『宝島』へと案内すると言い出した。

どくろの誘いに乗ったザックは早速、宝島を目指して大冒険に出る。
果たして彼の行く先に待つものとは?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆謎解きを主体とした展開、リモコン一本による独特の操作というテーマで貫き通した、こだわり全開のゲームデザイン
◆使い回しほぼ無し、既存のネタでも新たなアプローチを凝らす徹底した作り込みが図られた各種ステージ構成
◆Wiiリモコンの可能性を徹底追及した、独創的な謎解きネタ(ミニゲーム)の数々
◆謎を解きながら敵を倒すという、独特の構成と今作ならではの味わいに満ち溢れたボス戦
◆南の島、氷の洞窟、お城、更には宇宙空間までと、多彩でカオスなステージロケーション
◆謎解きのヒント、途中リトライなど、地味ながらも充実した救済機能の数々
◆リモコン一本操作ならではのずば抜けたお手軽さと敷居の低さ
◆ステージ総数20以上、ハイスコア攻略にアイテム収集等のやり込みも完備と盛り沢山なボリューム
◆一見複雑そうでも、冷静に観察すればすんなり解ける適切な調整でまとめられたゲームバランス(※終盤を除く)
◆王道の冒険活劇ながら、魅力的なキャラクター達と意外な展開で大いに魅せるストーリー
◆キャラクターの多彩なリアクションとアニメっぽい作風が印象深い、良質なグラフィック
◆冒険活劇らしい仰々しさと無茶苦茶さに満ち溢れた演出全般(特にムービー周りが顕著)
◆カプコンのゲーム好きの心をくすぐる小ネタの数々(何とあるステージではロッ●マンが…)

--- Bad Point ---
◆手軽で敷居が低いのは魅力的だが、判定周りに調整不足が散見される操作性(特にポイント方式による移動及びアイテム回収時の操作でそれが露見する)
◆判定周りの調整不足で無駄に難しい難易度にされてしまっている『チャンバラ』
◆同じく判定周りの調整不足でストレスの溜まる作りになってしまっている『イカリ投げ』
◆終盤における冗長な謎解きネタの数々(ちょっと作業感が強い)
◆終盤における初見殺しトラップの多さ(こういうのはあっても控え目にして欲しかった)
◆ムービースキップ機能の非搭載
◆クレジット制な上、買えば買うほど使い難くなっていくリトライ&ヒント機能
◆セーブがオート方式である事の解説が無い(これは解説すべきでしょう…)
▼Review ≪Last Update : 12/25/2011≫
女海賊がこんなに可愛いわけがない。

そして、こんなに天然なわけがない。


『ストリートファイター』や『ロックマン』などで知られるカプコンが送る、初のWii専用オリジナルタイトル。

リモコン操作の可能性を徹底追及した、革新的な試み満載の傑作だ。

ゲーム内容は3Dの小さな箱庭空間を舞台とした、ステージクリア型の謎解きアドベンチャーゲーム。海賊少年ザックを操作し、舞台となるフィールド内に仕掛けられた謎を解き、伝説の海賊『バルバロス』のパーツを集めていくというものだ。
本編はワールド単位で用意された複数のステージを攻略していく形で展開。各ステージのクリア条件は、バルバロスのパーツが隠された『黄金の宝箱』を開け、その中身を回収する事。それを目指してプレイヤーは、宝箱までの道に仕掛けられた様々な謎を解き明かしていく。
ステージはオーソドックスな謎解き主体の通常ステージ、一定数のステージを攻略すると出現するボスステージの二種類が存在。各ワールドはこのボスステージを攻略するとクリアとなり、次の新しいワールドが開放される仕組みとなっている。通常ステージの詳細は既に解説した通り。宝箱を開ける為、謎を解いていくのが主な流れになっている。ボスステージも最終的な目標は宝箱を開けること。しかし、その名の通りにボスキャラクターがステージ上に鎮座しており、これを倒さないと回収できない仕組みになっている。例によって、ボスはザックを攻撃してくる為、仮に一発でも喰らってしまえば即アウト。しかも、ザックは攻撃手段を持たない為、こちら側からボスへの攻撃は一切行えず。ダメージを与える為にはフィールド上の仕掛けを使うしかないという、まさに謎解きアドベンチャーなプレイが要求されてくる。基本的には通常ステージに動的要素を取り入れた構成ではあるが、マイペースなプレイを禁じてるのもあり、緊張感は抜群。他に類を見ない、スリリングで手に汗握る謎解きを存分に堪能できる作りとなっている。
通常のステージだけでなく、ボスとの戦いまで謎解きとする徹底ぶり。今作が如何に謎解きというテーマに一貫して作られているのか、これだけでもお分かり頂けるだろう。直感や力任せ(ゴリ押し)で適当にプレイしてもクリアできるゲームには断じてしない。そんな尋常無きこだわりが炸裂した謎解きゲームとして完成されているのである。
また、本編のメインディッシュたる謎解きも大変ユニーク。Wiiリモコン一本を駆使して解くという、大胆で独自性の強いネタが満載の構成となっている。
これだけでは、何処となく簡単そうな感じだが、実際はそうでもない。リモコン一本で解くと言っても、仕掛けによって異なる持ち方が要求されてくるのだ。例えば、取っ手付きハンドルならば横持ちで、実際に取っ手を握って回す感覚で動かさなければならなかったり、レバーを操作する際は縦持ちで、手前に倒す感覚で動かさなければならなかったりと。縦から横まで、色々な持ち方が可能なリモコンの強みを存分に活かしたネタの数々がプレイヤーの前に立ちはばかるのだ。単純に仕掛けを動かしたりしながら進めていけば良いと思いきや、その仕掛けを動かすのに一工夫がいる、あまりにも特殊過ぎる構成。独自の操作性を強みとしたWiiの魅力を余す事無く反映させた、唯一無二のラインナップとなっている。
無論、例として上げた仕掛けはほんの一部に過ぎない。他にも釣竿のようにリモコンを握り、大物を釣り上げる謎解き(イベント?)があったり、特殊な例ではリモコンで赤ちゃんをあやす(!?)動きを求められたりなど、個性的な操作を求められるネタがこれでもかと言わんばかりに収録されている。特殊な操作が要求されるものに留まらず、リモコンを振って発動する『ウィーキーベル』でお邪魔する敵や動物をオブジェクトに変え、それを使って謎を解く応用性の広いネタも登場。オーソドックスな謎解きでも、薬品調合から物運びまで豊富なネタを取り揃えており、プレイヤーの発想力に挑戦を仕掛けてくる。特殊操作が求められる過程こそ、何処となくアクションっぽい手応えはあるが、それが謎を解く一手に過ぎない作りになっているのは、まさに謎解きアドベンチャーたる由縁。操作性の独特さによる他に類を見ない手応えも完備しており、プレイヤーに対して新鮮な驚きと体験を提供してくれる。
徹底した謎解きに対するこだわりと、Wiiのゲームとしての独自性を新しさを出そうとする試みの数々。基本こそ『謎を解く』だけとシンプルで取っ付き易いが、その実態は驚くほど独特で、斬新という単語がよく似合う内容。力任せによるゴリ押しも許されず、常に求められるはプレイヤーの発想力だけ。まさにこれぞ謎解きアドベンチャー、そしてWiiのゲームだと言い張れる高い独創性を持った作品に仕上げられている。

そして、今作最大の見所は、そのリモコン操作の可能性を余す事無く追求した謎解きネタと仕掛けの数々だ。とにかく、使い方が上手い。リモコン操作だからこそ実現可能となるネタ、そして新しい遊びとは何か。そんなWiiのゲームとしての唯一無二の面白さを徹底追求しようとした、熱いこだわりの数々が全編において炸裂している。
特に素晴らしいのは、リモコン一本操作に対する確固たるこだわり。ヌンチャク操作へ逃げず、全てのネタをリモコン一本で遊ぶものとしてまとめ上げている事だ。別にそれはWiiリモコン一本で遊ぶゲームなのだから、出来てて当然の事だとも言える。しかし、実際にプレイしてみると、それが当たり前の事じゃないというのを嫌というほど思い知らされる。むしろ、よくここまでリモコン一本操作を守り通せたなと、思わず感服してしまうほどの内容になっているのである。
主にステージ総数と構成がその全てを物語っている。数にして実に20以上。ネタも全てが独立していて、使い回しはほぼ無し。そして、リモコン一本で操作するもので統一。これが如何に無謀な所業であるか、想像に難くないだろう。素人目から見て、そうも大量のネタを注ぎ込めるとは考え難い。絶対に何処かで限界が生じる、ヌンチャクに逃げたくなると想像してしまうだろう。第一、リモコンだけの操作で謎解きアドベンチャーだなんて明らかに無茶。そんなバリエーションを用意できないだろうと、間違いなく途中で息切れを起こす展開を考えてしまう。ところが、今作は息切れしない。20以上のステージ全てで独立したネタを仕込み、バラエティー豊かな体験の数々をプレイヤーに提供する。そして、全ステージでリモコン一本操作を貫徹し、この操作だからこそ出来得る可能性を突き詰めている。下手な使い回しもなければ、ヌンチャク対応という名の逃げも無し。素人の想像を超越する事をやり通してしまっているのである。まさに「そんなバカな!?」の一言。どう考えても無茶な操作体系で、謎解きアドベンチャーゲームを完成させてしまっているのだ。
もう、ただ凄過ぎるの一言に尽きる。20以上のステージを入れながら、最後までリモコン操作を貫徹させるとか、並大抵の事ではないのは明らか。先も語ったが、何処かしらで限界が生じ、ヌンチャク対応を考えてしまうだろう。しかし、今作は空飛ぶ猿やノコギリに変化するムカデなどが登場したりと、世界観があまりにも珍妙。その強みを最大限に活かし、「本来ならあり得ない事が起こる」を前提にプレイヤーの想像を超越するネタの数々を取り入れた。更にそんな世界観だからこそ、ロケーションにしても幽霊の城や巨大戦艦と言った何でもありなステージも用意でき、ネタの幅を広げる事ができた。これがシリアスさを売りにした世界観だったら、とてもこれほどの幅広さは出せなかっただろう。そういう意味ではまさに設定の勝利。明らかに限界があるネタを設定の力で広げる、全ての要素がしっかりと機能した見事なゲームデザインとはまさにこの事だと言えるだろう。ネタに幅が持てたとは言え、それでもヌンチャクへ逃げなかったのも地味ではあるが凄いの一言。今作の開発陣が如何にWiiだからこそのゲームを作る事に意識を集中させたのか、それを実感する事ができる。 また、肝心の謎解きの難易度、プレイ環境への配慮もこだわって作られている。謎解きは全体的に入り組んでいるとは言え、解法にえげつなさはなく、落ち着いて考えれば分かる設定にされているので、解き甲斐と解いた際の快感は非常に気持ちが良い。謎解きの中にはアクション的な操作を求められるものもあるが、それも比率は控え目で、あくまでもメインは静的なネタとしているのも見事だ。更にどうしても分からない時の為の便利なヒント機能も実装。長時間の詰まりを防ぐ為の配慮も万全で、パズルが苦手なプレイヤーでも安心して遊べる環境を構築している。ただ、ヒントが回数制限付きのクレジット制であり、尽きた後に購入しなければならないチケットが買えば買うほど高くなっていく仕様はさすがにやり過ぎ。これは内容が内容だけに、できれば除外して頂きたかった。それに幾らリモコン操作に貫徹したとは言え、移動はヌンチャクを使っても良かったのではと思わせる所があるのも事実。また、判定調整が不十分で、異常な難易度になってしまっているアクションイベントがあるのはさすがに頂けない。特に終盤のチャンバラ、イカリ投げ辺りはもっと十分な調整を図って欲しかったところだ。いずれも強制イベントである為、回避もできず絶対にやらなければならないというのが辛い。こういう所で折角の魅力的な内容が損なわれてしまっているのは実に残念だ。
しかし、リモコン一本にこだわり抜いたその内容が大変魅力的なものであるという事実に変わりは無い。Wiiだからこそのゲームとは何か、そしてリモコンが持つ可能性とはどんなものか。それらを突き詰めたこの内容は、間違いなく数あるWiiのゲームの中でも屈指の独自性を持つものだと断言できる。ある意味、任天堂を超える想像性に富んでいるとも言えるこの内容は、Wiiを持つ全てのプレイヤーが体験しなければならぬものと言っても何らおかしくないだろう。それほどまでに今作の持つWiiリモコンへのこだわりは凄い。ここでしか体験できぬ遊びが沢山詰まっているのだ。

魅力はそのリモコン一本にこだわり抜いた内容だけに留まらない。先も触れたが、全体のボリュームもステージ総数20以上となかなかの量で、かなり遊び応えがある。また、早解きやハイスコアチャレンジと言ったやり込み要素も充実。単に一度クリアしたらそれでお終いとはならぬ奥深さを秘めているのも見逃せない。
ステージのロケーションも先ほど、微かに触れたがとにかく多彩でぶっ飛んでいる。最初こそ南の島や氷の洞窟など、冒険活劇の王道に則ったものばかりだが、ゲーム後半になるとどうしてそうなったとしか言い様のない、無茶苦茶なステージが多数登場する。特に終盤はカオスの一言で、そのぶっ飛んだ構成と演出には度肝を抜かれること間違いなし。誰もが、「宝島と海賊は何処へ行ったんだ!?」と突っ込みたくなってしまうだろう。
アニメ調のグラフィックも非常に良い出来。キャラクター造形が素晴らしく、中でも主人公ザックの多彩なリアクションは、単に見るだけでも楽しいものに仕上げられている。デザイン自体も癖が少なく、万人受けするものに仕上がっているのも見事。誰もが親しみを抱ける世界観にしようとする徹底したこだわりを感じ取る事ができる。
一方で音楽はほとんど空気で、あまり印象的ではない。ただ、盛り上げる所はきちんと盛り上げたりと、使い方は申し分無し。適切な仕事をした仕上がりとなっている。

演出周りも特にデモシーンは全体的に仰々しく、微笑ましいものに仕上がっていて印象深い。特にヒント機能を使う際に降臨する『ヒント神』のデモは必見。その無茶苦茶にして想定の範囲外な内容には思わず吹き出してしまうかもしれない。故に飲み物片手にプレイするのは間違ってもやらないようにしよう。
その他、ストーリーもまさに王道の冒険活劇と言った内容だが、終盤には意外な展開が待ち受けており、結構見応えのあるものに仕上げられている。中でもエンディングはこの世界観にして意外過ぎるほどに切ない。そこまで辿り着くのに色々きついイベントをこなさなければならないのがタマにキズだが、是非ともこの結末はチェックしてみて欲しい。人によっては思わずホロリと来てしまうかも。
リモコン一本にこだわり抜いたからこその欠点も散見されるが、Wiiならではのゲームとしての完成度はかなりのもの。世界観も独特だがデザイン的には癖がないので、大人から子供まで幅広く楽しめる内容に仕上げられている。Wiiならではのゲーム性と操作感、そして全てにおいて限界を突き詰めようとするゲーム屋カプコンの鬼気迫るこだわりに満ちた今作。Wiiを持っている方ならば是非、プレイして頂きたい傑作だ。褒められないところもあるが、このゲーム性はまさにWiiでしか味わえぬ唯一無二のもの。一本のリモコンが提供する、前代未聞の大冒険をその手で実感してみよう。
≫トップに戻る≪