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≫大乱闘スマッシュブラザーズX
■発売元 任天堂
■開発元 ソラ、ゲームアーツ、HAL研究所(音楽)
■ジャンル 対戦アクション
■CERO A(全年齢対象)
■定価 6800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜4人(※オンラインも共通)
■セーブデータ数 管理データ:1つ、亜空の使者:50個
(※128ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー不可
■その他 ヌンチャク対応、クラシックコントローラ対応、ゲームキューブコントローラ対応、ニンテンドーWi-Fiコネクション&WiiConnect24対応、二層ディスク
■総説明書ページ数 40ページ
■推定クリア時間 7〜12時間(エンディング目的)、250〜350時間(完全攻略目的)
任天堂のオールスター、そしてゲストがゲームの枠を越えて大激突。
対戦プレイに一人プレイ、更にはオンラインの対戦プレイなど多彩な遊びが盛り沢山。
貴方はこの全てを遊び尽くせるか!?
▼Points Check
--- Good Point ---
◆シリーズの伝統、相手を場外にふっ飛ばす独特の爽快感が秀逸な基本ゲームシステム
◆ステージ内の一撃アウトのギミックが増え、転倒要素などにより初心者と上級者との対等な勝負が楽しめるものへと変異したゲームバランス
◆リモコン単体、リモコン&ヌンチャクまであらゆるパターンが用意された幅広い操作性
◆普通の対戦から特殊ルールまで、多彩な遊び方が楽しめる伝統の対戦プレイ
◆シリーズ初、世界中のプレイヤーとの白熱の対戦が楽しめるオンライン対戦モード
◆本編とは別の独立したアクションゲームとして収録された豪華な新モード『亜空の使者』
◆他社のゲームからゲストが出演するなど、豪勢な面子ばかりの登場プレイヤーキャラ達
◆出演漏れしたキャラが乱入する、その仕組みが秀逸な新アイテム『アシストフィギュア』
◆遊び込むとなるとほぼ一生モノな、超膨大な総計ボリューム(やり込み要素がタップリ)
◆ジャンル分けによって登録される方式となり、閲覧し易くなった『フィギュア名鑑』
◆前作にも増して質感のリアルさが増した、繊細且つ美麗なグラフィック
◆有名ゲーム音楽家数十名によってアレンジされた、全200種類以上もの豪華絢爛な音楽
◆元のゲームを遊んだファンならばニヤリと来る、秀逸なサービス演出の数々

--- Bad Point ---
◆壊滅的に長いロード時間(その為、ゲームテンポはこれまでに無いほど劣化…)
◆棲み分けを実現したとは言え、やはり腹立たしいことに変わりは無い『転倒要素』
◆転倒要素の追加により、動かすもどかしさが増してしまった操作性
◆ゲームキューブコントローラ以外ではまともにプレイするのも苦しい操作性(桜井氏が前に手掛けた『メテオス』の悪い所が継承されてしまっている)
◆即死となるギミックを設置し過ぎなバトルステージ(真剣勝負ができるところが少ない)
◆悪い意味で膨大過ぎる総計ボリューム(総じて無駄に詰め込み過ぎな感が否めない)
◆存在意義不明のバーチャルコンソール体験版『名作トライアル』(容量の無駄遣い…)
◆やり込み要素『クリアゲッター』の一部、ゴールデンハンマーで破壊不可能なマスの存在(これでは、ハンマーが何の為の救済処置か分からない。壊せるようにするべきだった)
◆ステージ構成の単調さなど、作りの甘さが激しい新モード『亜空の使者』
◆種類は多いが、原曲の良さを損ねたアレンジ曲も多い音楽(特に『モナピザ』が酷い)
◆根気の無い人ならば確実に折れる、酷過ぎる構成の『亜空の使者』のラストステージ
◆技の種類からしてバランスブレイカーだらけな新要素『最後の切り札』
◆他社からのゲスト以外は総じて地味な登場キャラのチョイス
◆あまりに平易過ぎて直に集まり切ってしまう隠しキャラ(刺激的なキャラも少ない)
◆他のキャラ以上に無理矢理出した感が強い『ソニック』(作中の扱いからして適当…)
▼Review ≪Last Update : 12/6/2008≫
ごめんなさい、これ以上は遊べません…。

物を足すにしても限度を考えて、限度を…。


任天堂オールスター勢揃いの内容と斬新且つ遊び甲斐のあるゲームシステムでメガヒットを記録した『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズの第三弾。開発は前作までのHAL研究所に代わり、ディレクターの桜井政博氏が設立した『ソラ』と『グランディア』シリーズで有名な『ゲームアーツ』、その他の協力スタッフが担当。

膨らませ過ぎて爆発した挙句、まだ膨らませようとするかッ!
新要素入れ込み過ぎの統一性皆無、ヘビー過ぎる超大作である。

ゲーム内容は過去に発売されたNINTENDO64の初代、ゲームキューブのDXと同じ。『ダメージ蓄積量』なる受けたダメージの量が沢山たまったキャラを、多種多様な技を駆使してステージ上から吹っ飛ばす、文字通りの『ぶっ飛ばし方式』なる新システムを取り入れた対戦型アクションゲームだ。
システム周りのみならず任天堂の歴代スター総出演のキャスティング(プレイヤーキャラクター達)、個性豊かなギミックが凝らされたバトルステージ、白熱の対戦プレイ、そして膨大なやり込み要素と言った作風や醍醐味もそのまま。基本的には前作であるゲームキューブのDXに更なる発展・改良を加えた作りとなっている。
しかし、その今作で施された『発展・改良』と言うのがまた、洒落にならないトンデモっぷり。正直、初代からスマブラを遊んできた熱心なプレイヤーは勿論、今作で初めてスマブラをプレイするユーザーにとっても激しく賛否の分かれるものに仕上げられてしまっている。 何がまた賛否が分かれるのかと言うと、まず第一に主となるバトル。
多彩な技を駆使してダメージが一定量蓄積したら強力な『スマッシュ攻撃』でふっ飛ばす。そこまでは過去のシリーズと同じではあるのだが、今作は何を狙ってなのか、この過程というのが一段とやり難いものへと化けてしまっている。その元凶と言うのが新要素『転倒』。
何と今作では、ステージ上を走っている際、プレイヤーキャラがランダムで転んで一瞬、行動不能、隙が出来上がるというあまりにもストレスフルなものが入れ込まれてしまったのである。前作までは特定の必殺技を使ったり、或いは相手の攻撃を受けたりする事で転倒して行動不能となる、如何にもアクションゲームらしい仕様だったのが、途端にギャンブル化!プレイヤーの思い描いた通りの試合運びがまるで出来ない仕様へと改められてしまったのだ。 だから今作は例え、高度なテクニックを積んだとしても、美しいコンボ(連続技)を実演することはほとんど無理。所々で転ぶから、逆に「トラブルにどう対抗し、何処まで自分の流れを作れるか」というアドリブが逆に重要となってくる。スムーズな試合運びが可能となる、そのアクションゲームらしいバランスに魅了されたユーザーにとっては、これはまさに激怒モノ。それほどまでに今作、プレイヤー側の思い通りの動きというのが本編にて実行し難くなってしまっている。
しかも、それだけ留まらず。今作では『着地キャンセル』と呼ばれる、空中攻撃の隙を軽減するテクニックまで廃止。空中攻撃の隙は全プレイヤー共通という、とんでもない改変まで行われてしまっているのだ。それ故、空中攻撃を仕掛けた後に直に体制を立て直し、相手の攻撃を備えると言った瞬時の対応は当然のように不可能。誰もが必ずロスタイムを経験し、相手にでかい隙を与えなければならない。思い通りの動きができた前作とは打って変わり、極めてもどかしく、そして怒りに駆られる不快なものへと改められてしまっているのである。
少し癖はあるけど練習を積めば驚くほど自然にキャラクターを動かせる。そして沢山試合を経験すればするほど、腕が上達していく。そんなアクションゲームらしいバランスに魅了されたユーザーにとって、今作のこの一連のアレンジはまさに、改悪も同然なのは言うまでも無く。本当、恐ろしいまでに今作では「動かす面白さ」ではなく、「もどかしさ」が強められた調整が成されてしまっているのである。
もどかしさが強められたが故に、当然のように操作性の「動かす面白さ」は壊滅的に低下。逆に、どうにもならない事へのストレスが強められた、悲しい有様となってしまっている。見方を変えれば、これは初心者と上級者との実力差を縮める為の策とも言え、上級者であっても初心者に敗れる可能性が上昇した、対等に戦える土壌を想像した魅力溢れる進化とも言えるだろう。だが、アクションゲームの命と言える「動かす面白さ」を損ねてまで、それを目指したのは正直、関心しない。この為に今作が前作以上にアクションゲームとしての魅力を損ねてしまったのは、残念ながら否定の仕様が無いだろう。まだ着地キャンセルの廃止は許せるものの、転倒とかは正直、必要だったのか。思い通りにならないもどかしさを加えるのがゲームを面白くするのへとどう繋がるのか?そこは本当、疑問に思うばかりだ。

また、対戦の舞台となるステージも旧作ステージも含めて40以上と爆発的に増えたが、どのステージも即死になるギミックが凝らされた歪んだものが多く、真剣勝負が行えるステージが2〜3程度しか無いというのにも、先の対戦の仕様変更と同じもどかしさがある。これも初心者と上級者の腕の差を縮める為の策なのだろうが、あまりにやり方が下劣。そして、そんな上級者に向けた新要素も、単なる水増しに過ぎないのだからまた、話にならない。
特に今作から新たに加えられた『亜空の使者』なるストーリー付きアドベンチャーモード…言い方を変えればスマブラのシステムで作られた2Dアクションゲームが遊べるモードの水増しっぷりは尋常でない。任天堂キャラクター総出演による豪華なシナリオが展開する、任天堂のゲーム好きにはそれだけでもうお腹いっぱいのゲームモードではあるが、用意されているステージは何処も無駄に長く、構成も似たりよったりで起伏に富んでおらずと、肝心のゲーム部分があまりに雑。同じネタを繰り返すだけの面白味の無い作りに終始してしまってるのである。しかもこのモード単体の総計ボリュームも、クリアまで最速で7時間以上はかかる。肝心のステージの作りが何処もつまらない為に、もはやこれは苦行も同然だ。挙句、そんなステージのつまらなさのみならず、ステージを駆け抜けるアクションゲーム特有の面白さも、先の転倒の存在もあって皆無。もはや、このモードがアクションゲームとしては崩壊しているのは言うまでも無いだろう…。
あえて台詞を用意せず、「動き」だけで表現されるストーリーは、任天堂キャラクターに対してプレイヤーそれぞれが持つイメージを尊重した作りになっていて素晴らしいのだが、肝心のゲーム部分がダメでは、それも引き立つはずもなく。シリーズ初の試みでありながら、こんなにも雑な作りに終始してしまってるのはただひたすら、残念の一言だ。
他にも、今作では対戦にニンテンドーWi-Fiコネクションを経由した、シリーズファン待望のオンラインモードが加わってるのだが、やはりこれも先の『亜空の使者』のような詰めの甘さが露骨。異常なまでに回線が繋がり難かったり、世界中の誰とでも遊ぶモードだと四人プレイ、制限時間は2分で固定であるなど、色々と痒い所に手が届かぬシステム構築が成されてしまってるのは幾ら無料だとは言え、もう少し充実出来なかったものかと言いたいぐらいだ。こういったシリーズファンが長年、待ち望んできた要素を導入したその姿勢は素晴らしいとは思うが、流石にこれでは擁護のしようがない…。
初心者に遊び易くする反面、上級者には更なるボリューム(やり応え)を。
そんな狙いを持って今作ではこのような要素が加えられたのだろうが、正直言ってこれもまた…初心者対策の事も含めて下劣さが滲み出てしまってるのが本当、嫌らしい限りだ。何でもかんでも足しに足せば、ゲームがより一層、面倒なものとなるのは目に見えた話。何故、それをも今作は加減出来なかったのか…。これもこれで疑問に思うばかりである。

シリーズの売りである操作性もリモコン、ヌンチャクスタイル、クラシックコントローラ、そしてゲームキューブコントローラとあらゆるパターンが用意されてるが、一番使い易いのはゲームキューブコントローラで、他のは使い難いという極端なバランスにされてるのがあまりに酷い。ディレクターの桜井氏が前に手掛けたニンテンドーDSの『メテオス』のタッチペン操作の反省がまるで活かされていない。
ゲーム全体としてみた総計ボリュームもただ、無駄に多いと言う面倒臭さが出てるのが辛い。その分、ほぼ一生遊べるのもまた事実ではあるが、幾ら何でも1人でやれるのにも限度がある。そもそもこんな沢山要素を入れればプレイヤーは喜ぶどころか、逆にお手上げするだろう…と。特に『名作トライアル』と呼ばれるバーチャルコンソールの体験版が遊べるモードは果たして、必要だったのか?
グラフィック、音楽も全体的に気合いの入った作りだが、総じて空回りしてる感が否めず。特に音楽は総計200曲以上、作曲は著名なゲーム音楽家と無駄に気合いが入っている…のだが、曲1つ1つの統一性が取れてなく、「このゲームの曲」という味わいが薄いのがどうにも気になる。アレンジがかけられた曲も中には酷いものがあり、特にGBAの『まわるメイド・イン・ワリオ』の代名詞とも言える曲『こちら☆モナピザ』は改悪同然だ。どこをどうしたらこんなオリジナル以下のものが作れるのか、全く持って理解に苦しむ。

今作で登場するキャラクター達も新鮮さは薄め、大半のキャラは発売前に明かされたメンツばかりと華やかさに欠ける。一方でファンサービスや演出は完璧で、特に『亜空の使者』における荒廃した遊園地にて展開されるMOTHER3にちなんだ展開は冗談抜きにファン必見。また、随所にて挿入される凝ったカット割りが成されたムービーでもも気合いの入った作りとなってるので、これも並行して要チェックだ。
だが、そんな魅力溢れるところがあっても、今作が総じてゲームとしてかなり煩わしいものになってしまってる感は否めず。ロード時間も二層ディスクを起用している影響で致命的に遅め、対戦プレイも仕様変更の影響で盛り上がりがイマイチと、超大作であるのは確かなのだが気軽に遊べない重さが実にもどかしい今作。
総じてシリーズ未プレイのコアユーザー、熱心なファン向けの一本である。純粋にアクションゲームが好きなユーザーや初心者には正直、オススメし難い。手軽にスマブラを楽しみたい!…というのでしたら、これではなくて前作の『大乱闘スマッシュブラザーズDX』か元祖のロクヨン版をオススメします。こいつは初心者にはヘビー過ぎる…。
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