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≫スカイ・クロラ イノセン・テイセス
■発売元 バンダイナムコゲームズ
■開発元 アクセスゲームズ
■ジャンル ドラマチックフライトシューティング
■CERO A(全年齢対象)
■定価 7140円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1〜2人
■セーブデータ数 3つ(※87ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー可)
■その他 ヌンチャク専用,クラシックコントローラ対応,ゲームキューブコントローラ対応
■総説明書ページ数 44ページ
■推定クリア時間 7〜8時間(エンディング目的)、35〜50時間(完全攻略目的)
幾つかの大戦を経て、完全な平和が実現した世界。
そこでは、人々が平和を実感する為に「ショーとしての戦争」が行われていた。

そんなある日、主人公の所属する戦争請負企業『ロストック社』のエース部隊に、新人パイロット達が着任。少年・少女にしか見えない彼らを前に、基地の大人達は戸惑いを隠せなかった。
彼らは一体何者なのか。
そして、その中でも一際異彩を放つ少女「織科真海(おりしな まうみ)」。
少女の瞳に映し出される空に、エース達の空中戦が展開する。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆機銃メインで展開する、スリリングでスピード感溢れるドッグファイト
◆右手にヌンチャク、左手にリモコンという他のWiiのゲームでも見受けられないスタイルと戦闘機の操縦桿を髣髴とさせる自然な手応えが素晴らしい、独特過ぎる操作性
◆簡単かつスピーディに敵の背後を取れる快適さ、ただの初心者プレイヤー向けの救済処置ではない絶妙な弱みの設定が光る、『タクティカル・マヌーバ・コマンド(TMC)』
◆難易度選択機能、音声ガイド付きのチュートリアルなど、充実した救済処置の数々
◆全難易度の攻略、勲章集め、高ランクチャレンジ、パーツ集めなど、盛り沢山のやり込み要素
◆敵基地への襲撃、特定建造物の破壊、要人擁護など、バラエティー豊かなミッションの数々
◆短めだが、多彩なミッションによる充実感に秀でた『ストーリィ』モード全体のボリューム
◆自由に照準を動かし、射撃する楽しさと利便性に秀でた『2Pアシスト』による協力プレイ
◆一部、調整不足な部分もあるが、優し過ぎず難し過ぎずの適度なバランスが見事な難易度設定
◆パーツ総数こそ少ないが、プレイヤー好みに機体を楽しさはバッチリの『チューニング』機能
◆制約による簡略化もあるが、細部まで丁寧且つ、綺麗に描き込まれたグラフィック
◆「熱い!カッコイイ!耳に残る!」の三拍子が取り揃った珠玉の音楽
◆重厚な効果音、派手なエフェクト、フルボイスによる無線通信など、ツボを抑えに抑えた演出周り
◆重めながら、ラストの爽快で熱い展開が強烈な印象を残す、見所満載のストーリー

--- Bad Point ---
◆やや長めな上、頻繁に挟まれるロード時間(特にブリーフィング⇔ハンガーの流れ)
◆『ミッション6:芭瑠珂(バルカ)』の難易度設定(具体的には後半の撤退ミッションが異様に難しいバランスになっている。しかも、一番簡単な難易度『イージィ』ですら苦戦必至)
◆地上戦や艦隊戦は控え目なミッション(その為、一部武器が使用機会に恵まれない)
◆終盤で鬱憤が晴らせるとは言え、全体的に不快な気分になる展開が多めのストーリー
◆一部、プレイヤーを不快にさせる台詞を吐きまくるキャラクターの存在(特にウクモリ)
◆最終決戦で戦う機体の異様な動き(場面に適した強さだが、物理法則を無視し過ぎ…)
▼Review ≪Last Update : 11/25/2012≫
「最適の健闘を。」

どんなに汚い任務であろうが、彼は空を飛ぶ。


森博嗣の小説『スカイ・クロラ』とその映画版『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』をベースに製作されたフライトシューティングゲーム。製作総指揮はエースコンバットシリーズの『PROJECT ACES(プロジェクト・エース)』、開発はアクセスゲームズが担当。また、特別監修として原作の森博嗣氏、映画版の監督を務めた押井守氏が参加している。

唯一無二の操作性と機銃主体のスピーディなドッグファイトが光る、意外な傑作だ。

ゲーム内容は広大な3D空間を舞台に展開するミッションクリア型フライトシューティングゲーム。戦闘機を操縦し、敵軍の全滅、偵察などの任務の遂行を目指すというものである。
システム及びゲーム性は、製作担当のプロジェクトエースの代表作である『エースコンバット』シリーズに近く、ミッションクリア型で展開する本編など、ほぼそっくりな作りとなっている。但し、例によって全てが同じという訳ではなく、最大の違いとして、操縦する戦闘機がレジプロ仕様の機体、いわゆるプロペラ機に限られているのがある。これが何を意味するのかというと、ミサイルが撃てない。各機体の装備は機銃と予備の爆弾しかなく、それらを駆使してミッションを遂行していかなければならないのである。まさにミサイル無しエースコンバット。かなりストイックで繊細な内容となっている。
それ故、フライトシューティングとしての手応えも独特。元々、機銃自体は他のフライトシューティングゲームでもお馴染みの武器で、それほど珍しいものではないが、今作はそれをメインに据えている為、純粋な射撃のセンスが求められてくるゲームデザインとなっている。単純にロックオンした後に発射し、後は当たるのを待つというミサイルで戦うフライトシューティングと如何に勝手が違うか、それは性質の違いからして明らか。機能に頼るのではなく、己の手で戦うというプレイヤー自身の腕前が試される、絵に描いたような漢(おとこ)仕様にされている。
しかし、機銃だけで戦うとなるとフライトシューティング初心者には厳し過ぎるのでは、と連想してしまうのも事実。実際、ロックオンすれば簡単に当てられた他のフライトシューティングとは違い、今作はプレイヤー自身の操縦テクニックが求められてくるので、敷居が高い作りだと思われてしまうのは致し方が無い。しかも、機銃での攻撃は敵の後ろを狙わないと上手く当たらない為、尚更初心者には厳しい。完全に熟練者向け、と言っても過言ではないほどだ。
だが、今作は断じて熟練者向けのゲームではない。そもそも、敵に機銃で攻撃する事自体、全く難しくない。というのも、攻撃を当て易くする為の親切なシステムが実装されているのである。それが『タクティカル・マヌーバ・コマンド』、通称TMC。簡潔に言うと、ワンボタンで敵機の背後に回り込むアクションを実行するコマンドで、難しい操作を何一つ求めず、あっさり手軽に攻撃のチャンスを作ってくれるという、驚愕のシステムが設けられているのだ。
より詳しく解説すると、今作ではレーダー上に表示される敵機の周辺に『TMCエリア』と呼ばれるサークルが描かれるようになっており、このサークル内に自機が入り込むと『TMCゲージ』なるものが表示され、徐々にそれが溜まっていく仕組みとなっている。そして、ゲージが一定量溜まった時にAボタン(※リモコン&ヌンチャク操作時)を押すと、機体が急旋回。そのまま自動的に敵機の背後に付き、機銃攻撃のチャンスを作ってくれるのである。フライトシューティングとしてはまさに仰天のシステムだが、これにより、初心者でも気軽に機銃主体のドッグファイトを存分に満喫できる作りになっている。また、このコマンドはゲーム全体のテンポの向上にも一役買っており、長期戦に陥り易い上、地味になりがちな機銃主体の戦闘をスピーディで爽快感溢れるものへと昇華させている。更にこのコマンド自体、欠点皆無の万能なものではないというのもミソ。敵によっては背後に回りこんでも直に回避行動を取られたり、また地上系の兵器に対しては全く役に立たないなど、しっかり弱みも設定されていて、難易度を下げる要素としては全く機能していないのである。
初見の印象では初心者対策、熟練者軽視のシステムと見て取れるが、実際は機銃主体の今作ならではの爽快感がたっぷり。初心者に優しく、熟練者でも思わず唸る手応えに富んだ、全く新しいシステムに完成されている。また、操縦の腕だけが試される戦闘を味わいたい方はTMCを封印し、コマンド入力による『マニュアルマヌーバ』主体で戦うという選択肢も取れる。簡単操作で爽快感を味わうのも、通常操作で緊張感を味わうのも全てが自由。そんな懐の広さも今作は兼ね備えており、あらゆるユーザーを満足させる為の作り込みが徹底されている。
その他、操作性は基本はリモコン&ヌンチャクとしつつも、クラシックコントローラなどの従来型コントローラにも対応しているので、好きなプレイスタイルで本編を楽しむ事ができるほか、2プレイヤーが銃撃専門で担当する『2P照準』なるアシストプレイが可能など、遊び易さを意識した工夫が徹底されている。機銃だけで戦うその内容から、敷居の高さを連想しがちだが、その中身は初心者でも手軽に遊べ、尚且つ機銃で戦うフライトシューティング独自の手応えと爽快感を存分に味わえる作り。仕組みは難しそうに見えるが、ビックリするほど触り心地は手軽。一本のフライトシューティングゲームとしても、入門編としても申し分の無い魅力と面白さを秘めた、意外性に富んだ作品に仕上げられている。

そんな今作最大の売りは、リモコン&ヌンチャクによる独特過ぎる操作性である。リモコン&ヌンチャク操作というと、一般的には左手にヌンチャクを持ち、右手にリモコンを持つというスタイルを多くの人は連想するかと思われる。だが、今作のリモコン&ヌンチャク操作は従来のものとは一線を画すものになっている。何と、右手にヌンチャク、左手にリモコンを持つ、逆の持ち方でプレイするものになっているのである。
しかも、肝心の操作自体も非常に独特。と言うのも、機銃の照射、敵機に狙いを定める、旋回、上昇と下降と言った基本操作は全てヌンチャクで行う。機銃の照射はまだしも、敵機に狙いを定めるのはリモコンのポインティングで行うものではと、リモコンを使った操作なら連想するかもしれないが、全く使用しない。それも全ては自機であるレジプロ機の加速減速の切り替え操作にある。今作で操縦するレジプロ機は、加速と減速を適度に使い分けながら動かしていくのだが、その切り替え操作に何とリモコンを使う。それも、実際の操縦桿のように上げたり、下げたりしながら速度を制御していくのである。何故、ポインティングが使えないのかという理由はそれ。リモコンを立てたり、下げたりしながらプレイするので、ポインティングができない設計となっているのだ。それでいて、あまりに斬新。本当に戦闘機を操縦して敵と戦っているかのようなリアルな手応えに満ち溢れたものになっている。また、リモコンだけでなくヌンチャク側の操作も独特で、機体の上昇と下降、旋回は全てヌンチャク内臓のモーションセンサーで行う。下降したければヌンチャクを下げ、上昇したければヌンチャクを上げる。そして、旋回したい場合はその方向にヌンチャクを捻る。そんな直感的な操作で機体を制御していく。こちらもまた、実際の戦闘機の操縦桿に近い、リアルな手応えを感じ取れるものになっているのである。
しかし、その詳細からして、触り心地の悪い操作という印象を抱くかと思われる。リモコンとヌンチャク内臓のセンサーを悪戯に使った、安直で手応えも最悪な操作になっているのではないかと。そういう例を体現したゲームがWiiには幾つかある為、警戒心が湧くのも止むを得ない。だが、実際の所は驚くほど違和感無し。プレイヤーの思うがままに動いてくれるだけでなく、操作自体も手に馴染むので、非常に気持ちのいいものになっているのだ。また、クラシックコントローラなどの従来操作でも遊べるので、この手の操作は…という方向けの配慮も徹底されている。なので、別に無理してこの操作で遊ばなくても問題ない。そんな従来操作で遊びたい方の為の配慮も今作はしっかりしている。だが実際の所、このリモコン&ヌンチャク操作にこそ今作の真髄はある。触ってみれば、逆持ちスタイルという煩わしそうなイメージを一変させる爽快で気持ちのいい手触り感を堪能できること間違いなしだ。そして、この操作がWiiの特色を適当に出す為に盛り込まれたものでは無い事を存分に実感させられるだろう。それほどまでに衝撃度が桁違い。これまでに無い体験が味わえる操作に仕上げられているのだ。
また、操作性だけでなく、フライトシューティング初心者に対する充実した配慮の数々も大きな見所だ。特にTMCは先の繰り返しになるが、便利そうで便利ではない絶妙な設定が秀逸。簡単に敵の背後を取れるとは言え、意外と一筋縄ではいかないそのバランスには、熟練者もこれがただの救済処置として盛り込まれたシステムでない事を痛いほど思い知らされる。それでいて、あえて使わずにプレイするという硬派なプレイにも対応しているという隙の無さ。その辺りにも今作があらゆるユーザーをサポートし、フライトシューティングの世界へと誘おうとこだわり尽くした姿勢を思い知らされるだろう。
あえて言うが、今作は原作付きのゲームである。原作付きというと、内容が浅かったり、作り込みが甘かったりするものが多かったりするが、今作にそう言ったお約束は何一つ無い。それどころか、新しいフライトシューティングを作ろうとする志の高さが炸裂した、単品としても非常に見所満載の内容に仕上げられている。そこまで言っても、結局は原作を知らない人に向けたものではないのでしょと、疑う方もいるかもしれない。しかし、ここまで紹介した操作性やシステムを見て、そう言えるだろうか?それでも疑問に思う方は是非、一度騙されたと思ってプレイしてみて頂きたい。きっと、想像を超えるゲームとしての完成度の高さに度肝を抜かれるはずだ。

ボリュームもエンディングまでは短めだが、高ランクチャレンジ、勲章集めを始めとするやり込み要素が充実。予想以上に長く遊べる、やり応えのある内容になっている。
自機のバリエーションも多彩で、レジプロ機ならではのレトロながらも洗練されたデザインが実に印象的。機体総数も12以上、更に26種類ものパーツを組み合わせる事でプレイヤー好みの機体に改造できる『チューニング』機能も実装するなど、カスタマイズする楽しさもバッチリ。そんなマニア心をくすぐる要素もしっかり盛り込まれている。
難易度も三種類用意されており、気楽に空を舞ったり、シビアな戦いを楽しむなど色々な遊び方が楽しめる。一部、最も簡単な『イージィ』でも難しいミッションがあるなど、やや調整不足な所も散見されるが、大半はプレイヤーの腕と機体とパーツの相性如何によって確実に突破可能なバランスにまとめられているのも見事だ。本編のミッションにしても、オーソドックスなドッグファイトのほか、敵基地への襲撃、特定建造物の破壊、要人擁護などバラエティー豊か。プレイヤーを終始飽きさせない作り込みが成されている。
グラフィックも地上フィールドなど、ハード制約で簡略化された部分もあるが、機体のモデリング、背景描写はなかなかの出来。そして、音楽に関しては「熱い!カッコイイ!耳に残る!」の三拍子。サウンドテストが用意されていないのが理解に苦しむと言いたくなるほど、クオリティの高い仕上がりとなっている。特にラスボス戦の曲は熱過ぎて火傷しかねないほどの出来。ゲーム音楽好きを自称する方なら要チェックも要チェックだ。

演出周りもカッコイイの一言。特にTMCを発動させた際に展開される、自機のダイナミックな旋回アクションは迫力満点。ストーリーも原作知らずとも、十分に楽しめる内容。但し、作風は重めで、不快な言動を発するキャラクターも居る為、結構イラッとさせられる場面が多い。だが、その溜まりに溜まった不満が大爆発する終盤の展開は爽快感抜群。最後までプレイすれば、このゲームに出会えて本当に良かったと、心地良い充実感を得られるだろう。
ロードが長めで、快適性には少し難があるほか、地上戦や艦隊戦のミッションが少ないなど、惜しい所も幾つかあるが、原作付きゲームでありながら、単品のフライトシューティングとしてもしっかりと作り込まれたその内容は絶品の一言。個性的な操作によるWiiならでは手応え、TMCシステムが生み出す新しいドッグファイトの爽快感には今作でしか味わえないものがこれでもかと言わんばかりに詰め込まれている。
原作付きだからと言って侮る事無かれ。Wiiならではの個性的な操作性と斬新なシステム、そして優れた演出が光る今作。原作の『スカイ・クロラ』ファンもさる事ながら、Wiiを持っているプレイヤーからフライトシューティング好きにもお薦めの逸品である。この意外なほど本格派で独自色に富んだドッグファイト、是非、体験してみて欲しい。「最適の健闘を。」
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