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≫斬撃のREGINLEIV(レギンレイヴ)
■発売元 任天堂
■開発元 サンドロット
■ジャンル 斬撃アクション
■CERO D(17歳以上対象) ※過度の暴力、出血、欠損描写あり
■定価 6800円(税込)
■公式サイト ≫こちら
▼Information
■プレイ人数 1人(※オンラインプレイ時:1〜4人)
■セーブデータ数 5つ(※2ブロック使用:SDメモリーカードへのコピー不可
■その他 ヌンチャク対応、Wiiモーションプラス対応、クラシックコントローラ対応、ニンテンドーWi-Fiコネクション対応
■総説明書ページ数 32ページ
■推定クリア時間 25〜30時間(エンディング目的)、300時間以上(完全攻略目的)
この世の始まりの時から、神々と巨神族は互いに憎しみあって来た。それはやがて大きな戦争となり、遂には巨神族は神により、海の彼方の『ヨトゥンヘイム』へと追放された。
そして巨神族が居なくなった大地には人間が生まれ、大地は『ミズガルド』と呼ばれるようになる。そして神々も『アスガルド』という地を築き、繁栄の時を迎えた。
だが、それと同時にヨトゥンヘイムへ追放された巨神族も、繁栄を遂げていたのである。

そして数千年の時を経て、遂に彼らの神々への復讐が始まった…。
▼Points Check
--- Good Point ---
◆迫り来る敵を斬撃で殲滅する、単純明快で取っ付き易いゲームシステム
◆プレイヤーの二倍以上もの大きさで描かれた、威圧感抜群の巨神族を始めとする敵達
◆Wiiリモコンを剣などに見立てて振る、独自色抜群の操作性
◆斬撃の「バッサリ感」を引き立てる、質感満点の爽快な効果音
◆広々とした、圧倒的な開放感が目を見張る戦闘フィールド(ステージ構成)
◆剣、槍、弓矢など豊富な種類が用意されている上、数も300種類以上と膨大極まりない武器群(武器ごとに異なる操作感が楽しめるのも大きな魅力)
◆300種類以上の武器が演出する、自由度の高い戦略性
◆最大4人までの協力プレイ、専用の高難易度ステージ収録と、盛り沢山でやり応え抜群のオンライン協力プレイモード
◆盛り沢山にも程がある圧倒的なボリューム
◆自由度の高い戦略性が織り成す、良い意味で大らかなゲームバランス
◆初心者からマゾなプレイヤーまでフォローした、全5種類もの難易度
◆終始、熱いノリで展開するストーリー
◆切断面などがディフォルメされてる為、良い意味で生々しくない出血・欠損表現
◆あまり目立たないが、雰囲気に絶妙にマッチしたオーケストラ調の音楽
◆戦場の臨場感を煽り立てる、迫力満点の実力派声優によるボイス演出
◆ド派手なエフェクト演出(建物の倒壊など、サンドロット臭さ炸裂)

--- Bad Point ---
◆ヌンチャクを振るという謎の設定と暴発率の高さがタマにキズなダッシュこと神速移動(クラシックコントローラ操作と同じく、ボタンに割り振るべきだった)
◆Wiiモーションプラス装着時における急激な操作性の向上(非装着時だとポイントエラーが多発するなど、快適性が落ちる。Wiiモーションプラス未所持のプレイヤーに対する差別も同然)
◆使用場面に恵まれないジャンプアクション(使わなくても問題なく戦える)
◆ムービー、本編共に非表示仕様の字幕(ムービーにはあるべきだった気が)
◆長期戦になり易い後半ステージ(途中からリトライ不可というのも鬼)
◆専用ムービーを見るだけという、適当な作りのトレーニングモード
◆いちいちコメントするのがウザったい、メニュー画面のナレーションボイス
◆少し不気味な作りの人間と神のキャラクターの3Dモデル
▼Review ≪Last Update : 11/28/2010≫
「最後の戦いですよ。」

まだ続くじゃない!


『地球防衛軍』シリーズ、『超操縦メカMG』などで知られるサンドロット開発による、完全新作の3Dアクションゲーム。

斬れ味抜群・爽快感抜群の豪快アクションゲームだ。

ゲーム内容はステージクリア型の3Dアクションゲーム。プレイヤーはフレイ、フレイヤのいずれかを操作し、様々な方向から迫り来る敵達を剣、弓などの豊富な武器を駆使しながら倒していくという単純明快な内容だ。
システム周りも舞台となるステージに出現する、敵の群れを全滅させれば良いだけと非常に単純。ステージによっては目的地の到達、ボス敵の撃破などの条件が設けられているが、「敵を倒す」という基本事項は共通。まさに本能の赴くまま、暴れる事だけに集中すれば良い、粋なものになっている。
ただ、そんな内容ゆえ、ゲームの展開はワンパターン。本編では60以上ものステージが用意されているのだが、その大半は敵の全滅。到達やボスの撃破を目的としたステージは全体の3割程度に過ぎない。更にステージの構成も、広いだけの3Dフィールドと単純。個性的な仕掛けが配置されたステージも無ければ、特殊な形をしたステージとかも無し。到達を目的としたステージなど、中には特殊な形をしたステージもあるが、そこも道中に特殊な仕掛けとかは一切無し。基本的には「広いだけ」という、シンプルな作りで統一されている。どのステージもやる事は同じ。しかも、フィールドは広いだけと単純。正直、昨今のアクションゲームとしては、致命的と見て取られても不思議でない仕上がりとなっている。手抜きと言われても擁護の余地無しのレベルデザインと言っても良いだろう。
だが、断じて今作が出来の悪いゲームという訳ではない。確かにステージ構成、目的設定などレベルデザインは甘い。手抜きといわれるのも仕方が無い有様だ。だがその分、本編の主な目的である「敵を倒す面白さ」に気合いが入れられている。むしろ、ステージの構成や目的設定はワザと単純にして、そちらに変化に富んだ展開を作らせるのを任したレベルデザインを執り行っているのである。実際、今作で登場する敵達は個性豊か。シンプルに突撃してくる者もあれば、空から攻めてきたり、増援を召喚するなど、様々な特技を披露してプレイヤーを翻弄する。
そして何より、最大の特徴はその敵達が大群で攻めて来ること。一体二体どころじゃない。十体とか二十体とか、フィールドの約半分を覆い尽くす大群が襲いかかって来るのだ。更に敵は巨大。雑魚ですらプレイヤーの二倍はある。強敵クラスになると三倍や五倍の大きさだ。そんな敵達が大群で襲いかかって来る。想像するだけでも、恐ろしい光景が浮かぶだろうと思う。勝ち目が無さそう絶望するのも仕方が無い、威圧感も恐怖感も満点の展開が画面いっぱいに繰り広げられるのである。そんな恐ろしい敵を相手にしなければならないのだから、ステージの単調さとかに気を向ける余裕などもある訳がなく。まさに「敵を倒す」のコンセプトに特化した、ストレートなレベルデザインが図られているのだ。攻撃パターンも種類も多彩で、尚且つ「でかい」。ステージの構成よりもそっちに目が行ってしまうのも、これでは止む無しだ。
そして、それらの巨大な敵を倒す攻撃アクションも単純。Wiiリモコンを縦や横に振って「斬る」だけ。Wiiならではの直感操作を活かしたものになっている。しかも、攻撃の当たり判定は気持ち広めに設定されており、一同に複数の敵を攻撃可能。なので、本能の赴くがままにリモコンを振りまくれば、簡単に大量の敵を倒す事ができる。勿論、中には安易に攻撃するだけでは倒せない敵もいるが、基本的にはリモコンを振ればどうにかなってしまう大らかさ。アクションがあまり得意でない方でも、手軽に敵を倒す爽快感を堪能できるよう作られているのも大きな魅力だ。まさにWii強みを最大限に発揮した、オリジナリティ溢れる操作の妙が味わえる。また、攻撃の操作は武器によって変化。弓であれば「ABボタンを同時に押し、リモコンを後に引いてボタンを離す」、杖であれば「リモコンでターゲットをポイントしてAボタンで発射」など、個性的な操作が求められる。武器の性能も様々で、隙が大きかったり、威力は弱いが連続攻撃が可能であるなど、装備によって異なる戦いが展開。ただステージをクリアすればそれで終わりじゃない、高いリプレイ性を備えてるのもなかなか魅力的だ。そして極め付けが、武器の種類が300以上。もう、底無し同然である。
ゲーム自体は極めて単純。ステージの作りも素っ気無い。だが、敵が大群で押し寄せてくる上にデカイと、存在感が尋常でない上、攻略方法も多彩と何気に奥深し。そして、攻撃アクションも直感的で爽快感抜群。細かい所は素っ気無いが、「敵を倒す」のコンセプトを貫き通すこだわりが随所にて炸裂。まさにこれぞ豪快アクションゲーム、と言うに相応しいほど、壮大で仰々しい内容に仕上げられているのである。

そして、今作最大の売りがその「豪快さ」である。Wiiリモコンによる独特のアクションと言い、巨大な敵の大群が押し寄せる圧倒的な威圧感と、これほど「豪快」の単語が似合うアクションゲームも他に無い。
特にアクションの爽快感は格別。ただ単に縦や横にリモコンを振り、沢山の敵を一気にぶった切る気持ち良さは、癖になるほどの中毒性と動かす楽しさがある。斬った際の効果音も質感満点で、プレイヤーに確かな手応えを感じさせてくれるのも見事。敵のやられ様もデカイ故に派手で、倒した際の爽快感を大いに引き立てる。
また、今作は上記のゲーム情報の通りだが、D判定の17歳以上対象のゲーム。それ故に非常に残酷な描写が盛り込まれている。厳密に言うと、敵を攻撃した際の演出なのだが、もの凄い量の血が飛び散る。敵の腕や足を攻撃し、切断する度に音を立てて飛び交うのである。更に切断と言った通り、敵の腕や足、頭を斬れば地面に落下する。無論、断面も丸見えだ。そして、敵に止めを刺した時は原型を留めないほどバラバラになってしまう。その光景には「これ、任天堂のゲームか!?」と目を疑うほど。健全な印象の強い任天堂のゲームらしからぬ表現が、今作には満載なのだ。そんな描写満載なのに爽快感があるとか、明らかに変だと思うだろう。だが実際、爽快感があるのだ。というのも、どの描写もディフォルメされてる。血はエフェクト同然で、地面にベットリと垂れ落ちて染みになる事は無いし、切断面にしても生々しさゼロ。まるで肉の断面も同然なものになっている。内蔵とか、そんなものまで事細かに描かれてないし、細かい肉片が飛び散ったりもしない。なので、倒した際に嫌悪感を抱く事は皆無。ビックリするほど、不快感の無いものに仕上げられているのである。残酷な描写が満載なのに爽快感抜群とはこれ如何にと、突っ込みを入れたくなるが、例え17歳以上でこの手の表現が苦手な方であろうと、見耐え得るものに仕上げたのは見事。残酷な表現があっても、17歳以上の全ての人が安心して楽しめるようにと気配った配慮には頭が下がる次第だ。本編の描写が爽快感を重視している一方で、ストーリーには徹底して悲惨な展開を沢山仕込むなど、フォローを施してるのも見事。爽快感を出しても、それを肯定してはならないという、確かな姿勢が保たれているのも任天堂らしいこだわりだ。純粋に敵を倒す爽快感も結構なものだが、表現に対する確固たる姿勢と細かな配慮も、今作独自の魅力。その志の高さには、感服する次第である。
その他、まさにサンドロットのゲームらしい自由度の高さも大きな魅力。どのステージも特定武器の使用を強制するような縛り無し、敵を倒す明確な手順とかも一切無し(※但しボス敵との戦闘は例外)。
好き放題遊び回れる3D空間を創造する職人技と作風は、今作でも炸裂している。厳しい戦いを自ら望むなら弱い武器で挑むのも良し、簡単に攻略したければ強い武器を作って挑むのも良し。そんなバランス面における奔放さも健在で、プレイヤーの好きなやり方で攻略が楽しめるのも実に魅力的だ。そんな遊び場同然の3D空間に大群で攻めてくるデカイ敵の威圧感、それらを画面に十体以上も表示してしまう無茶振りも、さすがはサンドロットと言ったところ。無茶しているが故に処理落ちも発生し、何が起きているのか状況が分からなくなりもするが、それでも迫力はかなりのもの。あまりにゴチャゴチャしてる故につい、笑ってしまうほどだ。本来ならば、ゲーム性の面で問題となる現象を逆手に取って、プレイヤーに刺激と笑いを与えるものとして見せてしまうのは、もはや職人技の域。圧倒的物量とその迫力から醸し出される笑いは、一見の価値大いにアリだ。それを堪能するだけでも、十分におなかいっぱいになれる。
アクションも演出も豪快、そしてステージは自由度満点で大群が攻めてくるなどの無茶振りと笑いのネタが盛り沢山。3D空間だからこそ出来るダイナミックな遊びを表現しようとするこだわりも凄まじく、2Dでは絶対に味わえない動き回る醍醐味が満ち溢れているのも特筆に値する。まさに「豪快」の一言。全てにおいて、もの凄いパワーを持ったアクションゲームなのである。これぞ3Dである事を最大限に活かし切ってしまったゲーム。漢の本気に満ち溢れているのだ。

また、ボリュームも満点。最初に語ったがステージは全部で60以上、更に5種類の難易度、300種類強の武器を収集するやり込み要素もありと、300時間以上は余裕で遊べる内容になっている。更に今作にはオンラインによる最大4人までの協力プレイまで実装。そちらも個別のステージが用意されており、やり込むとなると大変な事に。もう、これだけでもほぼ一生モノと言っても良いだろう。ただ、オンラインはオフラインとは別に武器を集める仕様というのが面倒臭い。これは可能なら、オフラインとの共有方式にして頂きたかったところだ。さすがに水増しと言われても仕方が無い。
また操作性、バランスにも難あり。前者は特に神速移動と呼ばれるダッシュアクションが「ヌンチャクを振る」という操作設定にされてるのが理解に苦しむ。しかも、前に振ったはずが後ろに振ったと判定されると言った暴発も非常に起き易く、イライラさせられる。操作のコツを掴んでしまえばある程度、抑えられるようにはなるが(完全には無理)、こういうのは正直、ボタンに対応させてほしかったところだ。
更に今作はWiiモーションプラスに対応しているのだが、それを付けている時と付けてない時で利便性に決定的な差が出るのも大きな問題。明らかにモーションプラスを付けている時の操作感が良好で、付けてない方では細々とした操作を求められたりと、かなり苦しいプレイを強いられる。これならいっその事、専用タイトルにして欲しかったところだ。これではWiiモーションプラス未所持プレイヤーに対する差別も甚だしい。後者も長いステージでミスすると、最初からやり直しなのが辛い。これもせめてリトライポイントを設けるなどの処置を施して頂きたかった。

グラフィック、音楽は平凡な出来。だが、演出は派手。特に建物が崩れる演出はサンドロット節が炸裂している。ボイスも迫力満点。村人や市民の叫び声には声優の本気とも言えるものを痛感させられるだろう。キャスト陣も豪華で、江原正士、大塚芳忠、石塚運昇などの聞き覚えのあるベテランが多数参加。その他、ストーリーも熱い内容且つ、作中を彩るキャラクターも大変個性的で、彼らの無謀な戦いであろうと果敢に抗っていく姿には心を打たれるかもしれない。
操作性、バランス周りに不備が多く、お世辞にも快適に遊べるゲームだとは言い難い。しかし、爽快な斬撃アクション、物量任せの迫力満点の演出に大量ででか過ぎる敵、胃袋破裂必至なボリュームと、それらを些細な問題点にしてしまうほどの魅力が今作には満載。結構、痛い欠点があるにも関わらず、十分に傑作だと断言できる面白さがある。まさに豪快さが欠点を捩じ伏せてしまっていると言ったところか。
そんな「漢の本気」とも言える圧倒的なパワーが満ち溢れた今作。17歳以上対象故に万人向けではないが、Wiiを持ってるその年齢層以上のプレイヤーなら体験すべき価値のある力作だ。地球防衛軍シリーズなどのサンドロット作品が好きな方もプレイする価値、大いにアリ。この圧倒的な爽快感と迫力、たまりませんぞ。
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